JP2005014367A - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノズル開口からインク滴を吐出する第1の駆動波形と、ノズル開口からインク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させる第2の駆動波形とを選択しながら個別電極に出力する駆動波形発生手段を備えるようにした。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プリンタ、ファックスなどに適用されるインクジェット式記録装置に関し、ノズル開口部のインク増粘と乾燥を防止し安定的にインク滴を吐出させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られている。かかるインクジェット式記録装置では、インクジェットヘッドのノズルが被記録媒体に対向するようにヘッドホルダに設けられ、このヘッドホルダはキャリッジに搭載され被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に走査されるようになっている。
【0003】
このようなインクジェットヘッドのヘッドチップの一例の分解概略を図8に、また、要部断面を図9に示す。
【0004】
図8及び図9に示すように、圧電セラミックプレート101には、複数のチャンバ102が並設され、各チャンバ102は、側壁103で分離されている。各チャンバ102の長手方向一端部は圧電セラミックプレート101の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。このような各チャンバ102内の両側壁103の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印加用の電極105が形成されている。
【0005】
また、圧電セラミックプレート101のチャンバ102の開口側には、カバープレート107が接着剤109を介して接合されている。このカバープレート107には、各チャンバ102の浅くなった他端部と連通する凹部となる共通インク室111と、この共通インク室111の底部からチャンバ102とは反対方向に貫通するインク供給口112とを有する。
【0006】
さらに、圧電セラミックプレート101とカバープレート107との接合体のチャンバ102が開口している端面には、ノズルプレート115が接合されており、ノズルプレート115の各チャンバ102に対向する位置にはノズル開口117が形成されている。
【0007】
なお、圧電セラミックプレート101のノズルプレート115とは反対側でカバープレート107とは反対側の面には、配線基板120が固着されている。配線基板120には、各電極105とボンディングワイヤ121等で接続された配線122が形成され、この配線122を介して電極105に駆動電圧を印加できるようになっている。
【0008】
このように構成されるヘッドチップでは、インク供給口112から各チャンバ102内にインクを充填し、所定のチャンバ102の両側の側壁103に電極105を介して所定の駆動電界を作用させると、側壁103が撓み変形してチャンバ102内の容積が一時的に変化し、これにより、チャンバ102内のインクがノズル開口117から吐出する。
【0009】
例えば、図10に示すように、チャンバ102aに対応するノズル開口117からインクを吐出する場合には、そのチャンバ102a内の電極105a,105bに正の駆動電圧を印加すると共にそれぞれに対向する電極105c,105dを接地するようにする。これにより、側壁103a,103bにはチャンバ102aに向かう方向の駆動電界が作用し、これが圧電セラミックプレート101の分極方向と直交すれば、圧電厚みすべり効果により側壁103a,103bがチャンバ102a方向に撓み変形し、チャンバ102a内の容積が減少してインクに対する圧力が増加し、ノズル開口117からインクが吐出する。
【0010】
このようなインクジェットヘッドにおいては、頻繁に吐出動作が行われるノズル開口部では順次新しいインクが供給されるためにインクの乾燥が殆ど無いが、インクの吐出が休止状態または非吐出のデータが連続して同一のチャンバに対して入力されると、ノズル開口部のインクは空気にさらされたままになるので乾燥し増粘し、この状態でインクの吐出を行うと吐出速度の低下、飛行曲がり、目詰まりを生じさせる。
【0011】
このため、ヘッドを印字領域外に移動してインクを強制的に吐出したり、ノズルプレート側にキャップを当てて吸引するなどして、増粘したインクを排出する動作を定期的に行うことが提案されている。
【0012】
また、上述した増粘したインクを排出する方法ではインク消費量の増加を招き、印字を中断する必要があるため印字速度が低下し、これを解決するためにインクが吐出しない程度に低い電圧で圧電セラミックを駆動してメニスカスを振動させ増粘したメニスカス表面のインクを攪拌させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開昭55−123476号公報(第5頁)
【0014】
【特許文献1】
特開昭57−61576号公報(第1−2頁、第2図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した吐出しない程度の低い電圧でメニスカスを振動させる方法においては、印字動作中に記録データの指定によりインクを吐出しないノズルに対してメニスカスを振動させようとすると、吐出するノズルと吐出しないノズルに印可する電圧を変えなければならず、電圧制御や駆動回路が複雑になるという問題がある。本発明は、このような事情に鑑み、複雑な電圧制御を必要とせず、印字動作中であっても任意のノズルに対して吐出しない程度にメニスカスを振動させることによりノズル開口部のインクの増粘を抑制することができ、且つメニスカスを振動させるノズルの指定を簡便に行うことができるインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、圧電セラミックプレートにノズル開口に連通し且つインクの充填されたチャンバを複数並設すると共に各チャンバの両側の側壁に電極が設けられ、前記電極に電圧駆動波形を与え前記側壁に駆動電界を発生させることでインクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、
外部回路から出力される印字に係る記録データに基づいて、前記ノズル開口からインク滴を吐出する第1の駆動波形、または前記ノズル開口からインク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させる第2の駆動波形のいずれかを選択しながら前記電極に電圧駆動波形を出力する駆動波形発生手段を具備することを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0017】
本発明の第2の態様は、前記第1の駆動波形と前記第2の駆動波形に加えて、ノズル開口部のメニスカスを振動させない第3の駆動波形のうちのいずれかの駆動波形を前記記録データにより選択しながら前記電極に電圧駆動波形を出力する駆動波形発生手段を具備することを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドにある。
【0018】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、1つのチャンバに対する前記記録データが少なくとも2ビット以上の情報量を持ち、該情報量未満の1ビットを使用して第2の駆動波形と第3の駆動波形を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0019】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記記録データのうち1ビットを使用して前記第2の駆動波形と前記第3の駆動波形を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0020】
本発明の第5の態様は、第1〜4の態様の何れかにおいて、前記第2の駆動波形の電圧振幅が前記第1の駆動波形と同じで、前記第2の駆動波形のパルス幅が前記第1の駆動波形より短いことを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0021】
本発明の第6の態様は、第1〜5の態様の何れかにおいて、印字開始直前に前記第2の駆動波形を前記電極に与えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0022】
本発明の第7の態様は、第1〜5の態様の何れかにおいて、前記ノズルからのインク吐出を制御する吐出タイミング信号の回数を数えるカウンタ回路を備え、該カウンタ回路において計数した所定の回数毎に定期的に前記第2の駆動波形を前記電極に与えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0023】
本発明の第8の態様は、第1または第2の態様において、前記駆動波形発生手段は、前記電極に駆動波形を出力する駆動回路と、前記ノズルからのインク吐出を制御する吐出タイミング信号の回数を数えるカウンタ回路と、外部回路から出力される印字に係る前記記録データと前記カウンタ回路から出力されるデータとの論理和を演算して前記駆動回路に出力OR回路と、からなることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0024】
本発明の第9の態様は、第1または第2の態様において、前記駆動波形発生手段は、前記電極に駆動波形を出力する駆動回路と、前記記録データを出力する制御手段からの情報に基づいて、印字開始直前であることを検出する印字開始検知手段と、前記制御手段から出力される前記記録データと前記印字開始検知手段から出力されるデータとの論理和を演算して前記駆動回路に出力OR回路と、からなることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0025】
本発明の第10の態様は、第1〜9の態様の何れかのインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。
【0027】
本実施形態のインクジェット式記録装置10は、図1に示すように、色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド20と、このインクジェットヘッド20が主走査方向に複数並設されて搭載されたキャリッジ11と、フレキシブルチューブからなるインク供給管91を介してインクを供給するインク貯留手段の一部であるインクタンク90とを具備し、キャリッジ11は、一対のガイドレール12a、12b上に軸方向に移動自在に搭載されている。また、ガイドレール12a、12bの一端側には駆動モータ13が設けられており、この駆動モータ13による駆動力が、当該駆動モータ13に連結されたプーリ14aと、ガイドレール12a、12bの他端側に設けられたプーリ14bとの間に掛け渡されたタイミングベルト15に沿って移動されるようになっている。
【0028】
また、キャリッジ11の搬送方向と直交する方向の両端部側には、ガイドレール12a,12bに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ16,17が設けられている。これらの搬送ローラ16,17は、キャリッジ11の下方に当該キャリッジ11の搬送方向とは直交する方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0029】
そして、これら搬送ローラ16,17によって被記録媒体Sを送りつつキャリッジ11をその送り方向とは直交方向に走査することにより、インクジェットヘッド20によって被記録媒体S上に文字及び画像等が記録される。
【0030】
なお、各インクジェットヘッド20は、単色のインクを吐出する大型タイプであり、例えば、本実施形態では、黒色(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色のインクに対応して4つ並設されてキャリッジ11に搭載されている。
【0031】
また、各色のインクが充填されている各インクタンク90は、キャリッジ11の主走査方向の移動や、被記録媒体Sの移動の邪魔にならない位置で、且つインクジェットヘッド20内に負圧を与えるように、インクジェットヘッド20のノズル開口よりも所定量低い位置に設けられている。
【0032】
さらに、インクジェット式記録装置10には、詳しくは後述するが、各インクジェットヘッド20の駆動回路のそれぞれに印字データ等を送信するための図示しない外部回路が設けられている。
【0033】
なお、このようなインクジェット式記録装置10では、例えば、起動時、印刷開始前等の所定のタイミング、あるいは任意のタイミングで、インクジェットヘッド20のノズルプレート表面をワイピングして付着したインクを除去する、いわゆるクリーニング動作が行われる。
【0034】
ここで、図2〜図4を参照して、上述したインクジェット式記録装置に搭載されるインクジェットヘッドについて説明する。なお、図2は、本実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図であり、図3は、インクジェットヘッドの要部断面図であり、図4は、ヘッドチップの分解斜視図及び斜視断面図である。
【0035】
図示するように、本実施形態のインクジェットヘッド20は、ヘッドチップ30と、この一方面側に設けられる流路基板40と、ヘッドチップ30を駆動するための駆動回路等が搭載された配線基板50とを有し、これらの各部材は、それぞれベースプレート60に固定されている。
【0036】
ヘッドチップ30を構成する圧電セラミックプレート31には、ノズル開口32に連通する複数の溝33が並設され、各溝33は、側壁34で隔離されている。各溝33の長手方向の一端部は圧電セラミックプレート31の一端面まで延設されており、他端部は、他端面まで延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各溝33の幅方向両側の側壁34には、溝33の開口側に長手方向に亘って駆動電界印加用の電極35が形成されている。
【0037】
圧電セラミックプレート31に形成される各溝33は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状により形成されてしまう。また、各溝33内に形成される電極35は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。
【0038】
このような溝33の両側の側壁34の開口側に設けられた電極35には、フレキシブルプリンテッドサーキット(FPC)51の一端が接続され、FPC51の他端側は、配線基板50上の駆動回路52に接続されることで、電極35は駆動回路52に電気的に接続されている。
【0039】
さらに、圧電セラミックプレート31の溝33の開口側には、インク室プレート36が接合されている。インク室プレート36には、貫通して形成された共通インク室36aが並設された溝33全体に亘って設けられている。
【0040】
なお、インク室プレート36は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレート31との接合後の変形を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いることが好ましい。
【0041】
また、圧電セラミックプレート31とインク室プレート36との接合体の溝33が開口している端面には、ノズルプレート37が接合されており、ノズルプレート37の各溝33に対向する位置にはノズル開口32が形成されている。
【0042】
本実施形態では、ノズルプレート37は、圧電セラミックプレート31とインク室プレート36との接合体の溝33が開口している端面の面積よりも大きくなっている。このノズルプレート37は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口32を形成したものである。また、図示しないが、ノズルプレート37の被印刷物に対向する面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が設けられている。
【0043】
さらに、この圧電セラミックプレート31とインク室プレート36との接合体の各溝33が開口している端面側の外周面には、この接合体が係合する係合孔38が設けられたノズル支持プレート39が接合されている。なお、このノズル支持プレート39は、ノズルプレート37の接合体端面の外側と接合されて、ノズルプレート37を安定して保持するためのものである。
【0044】
そして、このような構成のヘッドチップ30は、圧電セラミックプレート31のインク室プレート36とは反対側の面がベースプレート60に接合固定されている。一方、このインク室プレート36の一方面には、流路基板40が接合されいる。
【0045】
なお、この流路基板40の表面には、ベースプレート60に沿って突出して設けられてインク供給路41が開口する連結部42が設けられており、この連結部42にはステンレス管等で形成されたインク連通管43の一端部側が接続されている。そして、このインク連通管43の他端側は、例えば、インクカートリッジ等のインクタンクにインク供給管91を介して接続されて所定量のインクを一時的に貯留するインク貯留部80に接続されている(図1参照)。
【0046】
ここで、駆動回路への記録データ入力と駆動回路から各チャンバ33内の側壁34に設けられた一対の個別電極35に駆動信号を出力する駆動手段を詳細に説明する。なお、図5は、インクジェットヘッド20の電気回路ブロック図である。
【0047】
図5に示すように、駆動回路52には、各チャンバ33に対応する記録データ53がシリアルに入力され、その後、吐出タイミング信号54が入力されることにより、駆動波形が電極35に出力される。
【0048】
記録データ53は2ビット幅のデータを持っており、駆動回路52に入力されるデータの値によって以下に説明する3つの駆動波形のうちのいずれかの駆動波形が選択され駆動回路52から個別電極35に出力される。例えば、駆動回路52に入力されるデータ53(D1、D0)の値が“11”の場合、インク滴を吐出する第1の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。また、データの値53(D1、D0)が“01”の場合、インク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させノズル開口部のインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。また、データ53(D1、D0)の値が“00”の場合、メニスカスを振動させずインク滴の吐出もしない第3の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。なお、上記2ビットのデータにおいて、右側がD0で左側がD1である。
【0049】
また、記録データ53のD0信号は、外部回路55からの1ビット幅の記録データとカウンタ回路56の出力とがOR回路で接続されている。外部回路55からの出力データが“0”で、且つ、カウンタ回路56の出力が“1”の場合に駆動回路52へ入力される記録データ53が“01”となる。
【0050】
ここで、カウンタ回路56は印字中において吐出タイミング信号54の入力回数を数えながら定期的に出力が“1”となるような回路であり、この回路を挿入することにより、印字中において 外部回路55から“0”データが連続して入力された場合にも、駆動回路52へ入力される記録データ53が定期的に“01”になりインクの増粘を防ぐことができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、主に、駆動回路52、カウンタ回路56、及びOR回路によって駆動波形発生手段を構成している。
【0052】
ここで、第1〜第3の駆動波形について詳細に説明する。なお、図7(a)は、一つのチャンバ部分についての圧電セラミックプレートの断面図であり、図7(b)〜図7(d)は個別電極35に付与される駆動波形を示す図である。
【0053】
図7(b)〜図7(d)に示す駆動波形70〜72は、各チャンバ33a〜33c内の一対の電極35a〜35cにそれぞれ印加される駆動電圧を示し、駆動波形73は、駆動電圧を示す駆動波形70〜72によってチャンバ33bの両側の側壁34a、34bに発生させる駆動電界を示す駆動波形である。
【0054】
また、図7(b)の71aはインク滴を吐出する第1の駆動波形であり、図7(c)の71bはインク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させノズル開口部のインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形であり、図7(d)の71cはメニスカスを振動させずインク滴の吐出もしない第3の駆動波形である。該当チャンバの側壁を挟んで外側の電極35a、35cに付与される駆動波形70、72は図7(b)〜図7(d)で同様であり、該当チャンバの電極35bに付与される駆動波形71a〜71cによって側壁34a、34bに加わる駆動電界73a〜73cが異なる。
【0055】
図7(b)の駆動電界73aは、プラス側に電界がかかってチャンバ33bの容積を一時的に増大させる区間と、マイナス側に電界がかかってチャンバ33bの容積を一時的に減少させる区間とからなっており、この一連の動作によってインク滴が吐出される。図7(c)の駆動電界73bの場合は、プラス側に電界がかかってチャンバ33bの容積を一時的に増大させるが、パルス幅が短いためにインク滴を吐出するほど大きな圧力変化にはならない。但し、ノズル開口部32のメニスカスは振動するので、増粘したインクを攪拌することができる。図7(d)の駆動電界73cの場合は、電界がかかっていないのでチャンバ33b内には圧力変化が発生せず、インク滴は吐出しない。
【0056】
外部回路からの出力データが“0”の時は、常にインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形を選択することも考えられるが、本実施形態では圧電セラミックの振動の繰り返しによる劣化を考慮し、インクの増粘が抑えられる程度に一定間隔で第2の駆動波形を選択し、その他は圧電セラミックの振動がない第3の駆動波形を選択するような構成とした。
【0057】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録装置の記録データの制御を説明する電気回路ブロック図である。なお、上述した実施形態1と同一部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
図6に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置はカウンタ回路56の替わりに印字開始検知手段57を設け、印字開始検知手段57とOR回路を外部回路55内部に構成するようにした。これ以外の基本的な構成は、実施形態1のインクジェット記録装置と同一である。
【0059】
記録データ53は2ビット幅のデータを持っており、駆動回路52に入力されるデータの値によって以下に説明する3つの駆動波形のうちのいずれかの駆動波形が選択され駆動回路52から個別電極35に出力される。例えば、駆動回路52に入力されるデータ53(D1、D0)の値が“11”の場合、インク滴を吐出する第1の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。また、データの値53(D1、D0)が“01”の場合、インク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させノズル開口部のインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。また、データ53(D1、D0)の値が“00”の場合、メニスカスを振動させずインク滴の吐出もしない第3の駆動波形が選択されて個別電極35に出力される。なお、上記2ビットのデータにおいて、右側がD0で左側がD1である。
【0060】
また、記録データ53のD0信号は、制御手段からの1ビット幅の記録データと印字開始検知手段57の出力とがOR回路で接続されている。制御手段からの出力データが“0”で、且つ、印字開始検知手段57の出力が“1”の場合に駆動回路52へ入力される記録データ53が“01”となる。
【0061】
ここで、印字開始検知手段57は、制御手段からの情報により印字開始直前に出力が“1”となるような構成であり、印字開始直前の記録データは“01”となる。このため、印字開始直前に吐出しない程度にメニスカスを振動させることができるので、インクの増粘を防ぐことができ、良好な印字結果が得られる。
【0062】
なお、本実施形態においては、主に、駆動回路52、印字開始検知手段57、制御手段、及びOR回路によって駆動波形発生手段を構成している。
【0063】
(他の実施形態)
なお、本実施形態では、駆動回路52へ入力される記録データ53を2ビット幅としたが、3ビット以上のデータ量を持ち、インク滴のドロップ量を変えて印字するような多値のインクジェット記録装置に使用してもかまわない。また、本実施形態1では、カウンタ回路56をインクジェットヘッド20内部で構成し、本実施形態2では、印字開始検知手段57を外部回路55内部で構成したが、これらの回路をインクジェットヘッド20内部と外部回路55のどちらで構成してもかまわない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェト式記録装置及びインクジェット式記録方法によれば、記録データによってインク滴を吐出する第1の駆動波形とインク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させノズル開口部のインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形とメニスカスを振動させずインク滴の吐出もしない第3の駆動波形とを選択しながら駆動波形を個別電極に与えるようにしたことにより、印字動作中であっても任意のノズルに対して吐出しない程度にメニスカスを振動させることができ、吐出しない程度にメニスカスを振動させるノズルの指定を簡便に行うことがでる。
【0065】
また、吐出しないノズルに対して一定間隔で第2の駆動波形を与えるようにしたことにより、圧電セラミックへの余計な振動を抑えることができ、ヘッドの寿命に効果を得ることができる。
【0066】
また、インクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形を、インク滴を吐出する第1の駆動波形と同じ電圧振幅で、且つ短いパルス幅で与えることにより、複雑な電圧制御を必要としない。
【0067】
また、記録データが少なくとも2ビット以上の情報量を持ち、そのうちの1ビットを使用してインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形とメニスカスを振動させずインク滴の吐出もしない第3の駆動波形を選択できるようにしたことにより、簡単なカウンタ回路の追加で定期的にメニスカスを振動させることができる。
【0068】
また、印字開始直前にインクの増粘を防ぐことができる第2の駆動波形を与えるようにしたことにより、印字開始直後から良好な印字が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの組立工程を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの電気回路ブロックである。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッドの電気回路ブロックである。
【図7】本発明の実施形態に係る圧電セラミックプレートの断面図及び一対の個別電極に付与される駆動波形を示す図である。
【図8】従来技術に係るインクジェットヘッドのヘッドチップの概要を示す概略斜視図である。
【図9】従来技術に係るインクジェットヘッドのヘッドチップの概要を示す断面図である。
【図10】従来技術に係るインクジェットヘッドのヘッドチップの概要を示す断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェット式記録装置
20 インクジェットヘッド
30 ヘッドチップ
32 ノズル開口
33 チャンバ
34 側壁
35、35a、35b、35c 個別電極
40 流路基板
50 配線基板
52 駆動回路
53 記録データ
54 吐出タイミング信号
55 外部回路
56 カウンタ回路
57 印字開始検知手段
70、71a〜71c、72 電圧駆動波形
73a〜73c 電界駆動波形
Claims (10)
- 圧電セラミックプレートにノズル開口に連通し且つインクの充填されたチャンバを複数並設すると共に各チャンバの両側の側壁に電極が設けられ、前記電極に電圧駆動波形を与え前記側壁に駆動電界を発生させることでインクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、
外部回路から出力される印字に係る記録データに基づいて、前記ノズル開口からインク滴を吐出する第1の駆動波形、または前記ノズル開口からインク滴を吐出しない程度にメニスカスを振動させる第2の駆動波形のいずれかを選択しながら前記電極に電圧駆動波形を出力する駆動波形発生手段を具備することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記第1の駆動波形と前記第2の駆動波形に加えて、ノズル開口部のメニスカスを振動させない第3の駆動波形のうちのいずれかの駆動波形を前記記録データにより選択しながら前記電極に電圧駆動波形を出力する駆動波形発生手段を具備することを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項2において、1つのチャンバに対する前記記録データが少なくとも2ビット以上の情報量を持ち、該情報量未満の1ビットを使用して第2の駆動波形と第3の駆動波形を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項3において、前記記録データのうち1ビットを使用して前記第2の駆動波形と前記第3の駆動波形を選択可能に構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記第2の駆動波形の電圧振幅が前記第1の駆動波形と同じで、前記第2の駆動波形のパルス幅が前記第1の駆動波形より短いことを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、印字開始直前に前記第2の駆動波形を前記電極に与えることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記ノズルからのインク吐出を制御する吐出タイミング信号の回数を数えるカウンタ回路を備え、該カウンタ回路において計数した所定の回数毎に定期的に前記第2の駆動波形を前記電極に与えることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 前記駆動波形発生手段は、前記電極に駆動波形を出力する駆動回路と、前記ノズルからのインク吐出を制御する吐出タイミング信号の回数を数えるカウンタ回路と、外部回路から出力される印字に係る前記記録データと前記カウンタ回路から出力されるデータとの論理和を演算して前記駆動回路に出力OR回路と、からなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記駆動波形発生手段は、前記電極に駆動波形を出力する駆動回路と、前記記録データを出力する制御手段からの情報に基づいて、印字開始直前であることを検出する印字開始検知手段と、前記制御手段から出力される前記記録データと前記印字開始検知手段から出力されるデータとの論理和を演算して前記駆動回路に出力OR回路と、からなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1〜9の何れかのインクジェットヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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