JP2005105018A - 樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents

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Hideaki Yoshikawa
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Abstract

【課題】 懸濁液から粒子形状や粒度分布を悪化させることなく、容易に有機溶媒を除去できる樹脂微粒子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 少なくとも樹脂と有機溶媒を含有する混合液と、無機分散剤を含有する水系媒体との懸濁液から有機溶媒を撹拌および減圧条件下に除去する工程を有する樹脂微粒子の製造方法であって、脱溶媒工程が、溶媒残留率が60重量%以下となるまでは、撹拌周速を40m/分以下とし、溶媒残留率が95重量%となった時点から60重量%以下となるまでは系内圧力を−95〜−76kPaとすることを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
【選択図】 なし


Description

本発明は、樹脂微粒子の製造方法に関するものであり、特にシャープな粒度分布を有する樹脂微粒子の製造に適した製造方法に関する。
樹脂微粒子は、電子写真用トナーをはじめ、粉体塗料、つや消し剤、ブロッキング防止剤、クロマトグラフィー用担体、薬剤用担体、ギャップ調整剤、電気粘性流体、化粧品など幅広い用途に使用されている。これら樹脂微粒子の製造法としては予め樹脂やその他配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液を水系媒体中に分散懸濁させ、得られた分散液から加熱や減圧等によって有機溶媒を除去することにより、粒子化させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この方法における有機溶媒の除去法として、有機溶媒を分散している液滴から水系媒体中に移行させる液中乾燥を行い、さらに水系媒体中の有機溶媒を加熱や減圧等により、懸濁液と気体との接触界面において有機溶媒を気化させることにより除去する方法がある(例えば特許文献2参照)。しかしながら従来これらの方法では、懸濁液にかかるせん断により粒度分布が広がることや、粒子表面の細孔発生などにより形状が悪化(比表面積の増加等)すること、さらには粒子内部の空隙発生による密度の低下などの欠点があった。
特開平5−127422号公報 特開平7−152202号公報
本発明は、従来技術における上記のような実状に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、懸濁液から粒子形状や粒度分布を悪化させることなく、容易に有機溶媒を除去できる樹脂微粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、予め樹脂やその他配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液を水系媒体中に分散懸濁させ、得られた分散液から加熱や減圧等によって有機溶媒を除去することにより、粒子化させる方法について鋭意検討した。この結果、懸濁液から有機溶媒を除去する工程において、特定の撹拌および減圧条件下で実施することにより、粒子形状や粒度分布の悪化、および粒子密度の低下をさせることなく、容易に有機溶媒を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも樹脂と有機溶媒を含有する混合液と、無機分散剤を含有する水系媒体との懸濁液から有機溶媒を撹拌および減圧条件下に除去する工程を有する樹脂微粒子の製造方法であって、脱溶媒工程が、溶媒残留率が60重量%以下となるまでは、撹拌周速を40m/分以下とし、溶媒残留率が95重量%となった時点から60重量%以下となるまでは系内圧力を−95〜−76kPaとすることを特徴とする樹脂微粒子の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、粒度分布や粒子形状の悪化、粒子密度の低下をさせることなく、樹脂微粒子を製造することが可能である。これによりトナーに用いた場合は良質な画像を得ることが出来、また粉体塗料に用いた場合は、平滑で高光沢な塗膜を得ることが出来る。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の樹脂微粒子の製造方法においては、樹脂および必要により他の配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液を用いる。本発明に使用される樹脂としては、有機溶媒に溶解または分散し、水系分散媒に溶解しない(好ましくは溶解度が1%以下)ものであれば特に限定されず、例えば、重付加系樹脂、ビニル重合系樹脂、縮合系樹脂および開環重合系樹脂などが使用できる。樹脂の数平均分子量〔(Mn)、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による、以下同様〕は好ましくは1000以上、さらに好ましくは5000以上であり、融点は、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60〜200℃である。
上記の重付加系樹脂としてはポリウレタン樹脂などが挙げられ、ビニル重合系樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および酢酸ビニル系樹脂などが挙げられる。縮合系樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂などが挙げられる。開環重合系樹脂としては、ポリエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテル樹脂およびエポキシ樹脂であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、およびポリエステル樹脂である。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの樹脂は、通常用いられるものでよく、例えば、特開2002−226328号公報、特開2002−284881号公報に記載のものが挙げられる。
本発明において、樹脂の溶解もしくは分散に用いる有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン、ヘキサン等の脂肪族または芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合してもよい。
これらの有機溶媒は、樹脂を溶解(25℃における溶媒に対する樹脂の溶解量が好ましくは10%以上)できるものであって、かつ、25℃の水に対する溶解度が0〜30%のものであることが好ましい。さらに工業化を行うにあたり、作業上の安全性、コスト及び生産性等をも考慮すると、シクロヘキサン、酢酸エチル、および/またはテトラヒドロフランが特に好ましい。なお、上記および以下において%は、特に記載のない限り、重量%を意味する。
これらの有機溶媒は、樹脂および必要により他の配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液の粘度が、25℃において1000〜30000mPa・sの範囲になるように用いられるのが好ましく、さらに好ましくは3000〜20000mPa・sの範囲である。また樹脂および他の配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液の固形分含量(有機溶媒以外の成分の混合液中の含量)は、好ましくは5〜80%、さらに好ましくは10〜70%である。
本発明において、樹脂混合液は、樹脂微粒子の用途に応じ、配合成分を添加することが出来る。例えば電子写真用トナー用途の場合、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を適宜配合してもよい(例えば特開平11−044969号公報参照)。
樹脂以外の配合成分の樹脂に対する添加量は、樹脂の種類や用途により異なるが、好ましくは100%以下、さらに好ましくは5〜80%である。とくに電子写真用トナー用途の場合は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは5〜30%である。
電子写真用トナー用途の場合、着色剤としては、カーボンブラック、磁性粉、有機顔料(シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料等)その他の、静電荷像現像用トナー粒子の着色剤として通常用いられるものが挙げられる。離型剤としては、石油ワックス、鉱物ワックス、動植物ワックス、合成ワックスその他の、静電荷像現像用トナー粒子の離型剤として通常用いられるものが挙げられる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物その他の、静電荷像現像用トナー粒子の帯電制御剤として通常用いられるものが用いられる。
また粉体塗料用途の場合、着色剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ベンゾイン、帯電防止剤、酸化防止剤などの、通常用いられる塗料用配合成分を適宜配合してもよい(例えば特開平10−316896号公報参照)。
また化粧品用途の場合、着色剤、補強剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤などの、通常用いられる配合成分を適宜配合してもよい(例えば特開2002−226328号公報参照)。
本発明においては、上記の樹脂を有機溶媒に溶解または分散した混合液を、無機分散剤を含有する水系媒体に分散または懸濁させてなる分散懸濁液を用いる。この分散懸濁液は、上記の樹脂を含有する混合液を、無機分散剤を含有する水系媒体中に導入する工程で得られる。
本発明に使用される無機分散剤としては、酸化物(シリカ、アルミナ、チタニア等)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、リン酸三カルシウム、シリケート(粘土、珪藻土、ベントナイト等)等を挙げることができる。これらの中では炭酸カルシウムが好ましい。
また、これらの無機分散剤は、その粒子表面がカルボキシル基を有する重合体で被覆されているものがより好ましい。このような重合体で被覆されたものを用いると、安定した樹脂微粒子を製造することができる。また、上記のカルボキシル基を有する重合体としては、Mnが1000〜200000の範囲のものを用いることが好ましい。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーの単独重合体又はそれらの共重合体、及びそれらと他のビニル系モノマー(例えば特開2002−284881号公報に記載のもの)との共重合体(例えばカルボキシル基含有モノマーのモル比が10〜99モル%)も使用することができる。また、そのカルボキシル基はナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩や、アンモニウム塩であってもよい。
これら無機分散剤は、ボールミルやビーズミルのようなメディアの入った分散機、高圧分散機または超音波分散機等を用いて水系媒体中に分散させる。
水系媒体は、水と必要により水溶性有機溶媒からなるものである。水溶性有機溶媒は25℃での水への溶解度が5以上(好ましくは8以上)の溶媒であり、例えば酢酸エチル、エチレングリコール、アセトン、メタノール等が挙げられる。これらの中では酢酸エチルが好ましい。水系媒体中の水溶性有機溶媒の含有量は、好ましくは30%以下、さらに好ましくは1〜15%である。
分散後の平均粒子径としては1〜1000nmの範囲のものが好ましく、さらに好ましくは5〜500nmである。また、無機分散剤の使用量は、上記樹脂および他の配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液100部に対して、好ましくは1〜500部の範囲であり、さらに好ましくは5〜200部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
また樹脂微粒子の粒度分布を均一にするためには、水系媒体中に無機分散剤を分散させるとともに、水に溶解する高分子分散剤を添加することが好ましい。これら高分子分散剤は、水系媒体中に均一に溶解していれば如何なる方法によって添加してもよい。
上記高分子分散剤としては、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000(GPCによる)で、水に対し25℃で0.5%以上溶解させることの出来るものが好ましい。特にカルボキシル基を有するものの中で、ヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基を持たないものが好ましい。具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性のセルロースエーテルが好ましく、特にカルボキシメチルセルロースが好ましい。
これらのセルロース類は、エーテル化度が0.6〜1.5で、平均重合度が50〜3000のものが好ましい。また、そのカルボキシル基は、ナトリウム、カリウム等の金属塩であってもよい。また。高分子分散剤の使用量は、上記樹脂および配合成分を有機溶媒に溶解または分散した混合液100部に対して、好ましくは50部以下であり、さらに好ましくは0.2〜20部の範囲である。
無機分散剤と高分子分散剤の使用重量比は、好ましくは100:0〜100:30、さらに好ましくは100:0.5〜100:15である。
分散懸濁液(本発明においては水中油型の懸濁液となる)を得るのに使用される装置としては、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、TKオートホモミクサー、TKロボミックス(特殊機化工業社製)、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業社製)等のバッチ式乳化機;エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機;クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業社製)等のバッチ又は連続両用乳化機;マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製)、ナノメーカー、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVゴウリン(ゴウリン社製)等の高圧乳化機;膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機;バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機;超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。
本発明における懸濁液の脱溶媒工程は、上記分散懸濁液を乾燥固化させることなく、懸濁液中の有機溶媒を除去して樹脂微粒子分散液を得るものである。有機溶媒除去前の懸濁液の固形分濃度(有機溶媒と水系媒体以外の成分の濃度)は、好ましくは1〜60%、さらに好ましくは5〜40%である。また、有機溶媒除去前の懸濁液中の有機溶媒含量は、好ましくは1〜50%、さらに好ましくは5〜30%である。樹脂の含有量は、好ましくは1〜60%、さらに好ましくは5〜35%である。水系媒体の含有量は、好ましくは30〜90%、さらに好ましくは40〜80%である。無機分散剤の含有量は、好ましくは0.5〜20%、さらに好ましくは1〜15%である。高分子分散剤の含有量は、好ましくは5%以下、さらに好ましくは0.01〜2%である。
この懸濁液の脱溶媒は、分散懸濁液作成直後に実施してもよく、また得られる樹脂微粒子の粒度分布をよりシャープにするために、粒子を安定させるための収斂を行った後で実施してもよい。収斂は分散懸濁工程終了後、例えば懸濁液を5〜40℃の温度範囲で1分〜6時間置くことによって行われる。このとき懸濁液は静置でもよく、あるいは線速度1〜50m/分のゆっくりとした流動を与えてもよい。
本発明の製造方法において、脱溶媒工程に用いる有機溶媒除去装置としては、一般的な減圧可能な(気密性に優れた)攪拌羽根回転型の撹拌槽を使用することができる。撹拌羽根の形状についても特に限定されないが、櫂型、スパイラル型、マックスブレンド型などの撹拌羽根を使用することができる。
攪拌羽根の個数は単数であっても複数(例えば2〜10個)であってもよい。また、攪拌羽根の長さ(回転の中心から端部まで)は、回転の中心から槽壁面までの距離の80%以上が好ましく、90〜99%がさらに好ましい。また攪拌羽根の具体的な長さは本発明の製造方法における周速を満たすことができるものであれば特に限定されないが、例えば10kLの容量の櫂型攪拌装置の場合0.7〜1.2mが好ましい。
本発明の製造方法における脱溶媒工程において、溶媒除去中の懸濁液の温度は、溶媒除去可能な温度であれば特に限定されないが、0〜50℃であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40℃である。懸濁液の温度が0℃以上であれば、実用的な時間内で溶媒除去を完了することができ、また50℃以下であれば、凝集による粒度分布の悪化が起こりにくい。
溶媒除去中の懸濁液のpHは、6〜11であることが好ましく、さらに好ましくは7〜10である。懸濁液のpHが6以上であれば良好な粒子形状を保持することが出来、また11以下であれば粒度分布の悪化が起こりにくい。懸濁液のpHを上記範囲に調整するために、通常用いられる酸またはアルカリを添加することが出来る。本pH調整は脱溶媒工程の前に実施するのが好ましい。
本発明における脱溶媒工程において、溶媒残留率が60%以下、好ましくは50%以下となるまでは撹拌周速を抑える必要がある。撹拌周速は40m/分以下であり、好ましくは1〜30m/分である。ここで溶媒残留率とは、有機溶媒除去前の有機溶媒量に対する懸濁液中の有機溶媒の量(%)を意味し、周速とは、攪拌羽根の、攪拌軸から最外端の部分の周速を意味する。溶媒残留率が60%より多い領域では、油滴が不安定であり、せん断を極力与えないようにしなければならない。撹拌周速が40m/分を超える場合には、このせん断が大きいため、粒子の合一による凝集物が発生して粒度分布を悪化させることがある。また溶媒残留率が60%以下、好ましくは50%以下になった後は、油滴が安定化しているため、撹拌周速を上げることができる。この時の周速としては10〜100m/分が好ましく、さらに好ましくは30〜80m/分である。
脱溶媒工程において、脱溶媒初期〔溶媒残留率が95%(好ましくは98%)となるまで〕を除き、溶媒残留率が60%以下、好ましくは50%以下となるまでは、系内圧力(気相)を−95〜−76kPaとする必要がある。脱溶媒開始時から系内圧力を上記範囲内とするのは、脱溶媒速度が速くなりすぎるため困難であるが、脱溶媒開始後できるだけすみやかに上記系内圧力に調整するのが好ましい。系内圧力が−95kPa未満であれば、液滴からの急激な有機溶媒除去により、粒子形状を悪化させる恐れがある。また、系内圧力が−76kPaを越えると、脱溶媒の速度が遅くなり、工業化規模で実用的な工程時間で有機溶媒除去が完了しない。
脱溶媒工程において、有機溶媒除去中の懸濁液温度に応じて系内圧力を変えることにより粒子形状をさらに向上させ、粉体流動性を向上させることが出来る。この場合、有機溶媒除去中の懸濁液の温度を10〜40℃とし、有機溶媒除去中の懸濁液の有機溶媒含量が有機溶媒除去前に対し30%以下となるまでは、懸濁液の温度によって系内圧力を式(1)を満たす範囲で実施するのが好ましい。
Y≧0.0193X−0.4386X−90.887 (1)
〔Xは温度(単位:℃)、Yは圧力(単位:kPa)を表す。ただし10≦X≦40〕
溶媒残留率が60%以下となった後は、粒子形状が安定化しているため、系内圧力を下げて溶媒除去速度を高めることができる〔ただし、30%以下となるまでは、上記式(1)を満たす範囲が好ましい。〕。この場合系内圧力としては、−76kPa以下が好ましく、−80kPa以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法における脱溶媒工程において、脱溶媒速度を上げるためには有機溶媒除去中にキャリアガスを系内に通過させるのが好ましい。キャリアガスとしては、エアー、ヘリウム、窒素、アルゴンなど一般的なガスを単独、または2種以上を混合して使用することが出来るが、工業的に安価に使用できるエアー、窒素を単独、または混合して使用することが好ましい。
キャリアガスは気相あるいは液相のどちらを通過させてもよく、また両方を併用することも出来るが、脱溶媒工程の初期は気相のみとし、後期は液相に切替えるのが好ましい。気相から液相への切替えは、懸濁液中の有機溶媒含量が、有機溶媒除去前に対し、70%以下となった時点が好ましく、60〜40%となった時点がさらに好ましい。
気相に通過させるキャリアガス量としては、0.1〜50L/分・1000kgが好ましく、さらに好ましくは0.5〜30L/分・1000kgである。ここで、/分・1000kgとは、脱溶媒工程前の懸濁液1000kg(1t)当たりの1分間に通過させるキャリアガス量を意味する。キャリアガス量が0.1〜50L/分・1000kgであれば、流量に応じて脱溶媒速度の向上効果が得られる。
また、液相に通過させる場合のキャリアガス量は、0.1〜50L/分・1000kgが好ましく、さらに好ましくは0.5〜30L/分・1000kgである。キャリアガス量が0.1L/分・1000kg以上であれば、流量に応じて有機溶媒除去速度の向上効果が大きくなり、また50L/分・1000kg以下であれば、ガスの吹き込み口付近において、懸濁液にかかるせん断が大きくなることがなく、粒子の合一による凝集物が発生して粒度分布を悪化させる恐れがない。
脱溶媒工程後の、樹脂微粒子分散液中の有機溶媒の含量は、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。
本発明における樹脂微粒子の製造方法には、上記脱溶媒工程の後、必要に応じて、洗浄脱水、乾燥、篩分、分級、外添等の工程が付加される。洗浄脱水工程は、脱溶媒工程で得られた樹脂微粒子分散液から水系媒体を除去した後、洗浄および脱水して、ケークを得る工程である。この洗浄および脱水工程では、主に分散懸濁工程で使用した無機分散剤を溶解除去する(好ましくは残存量が樹脂微粒子に対し1%以下となるまで)ために、脱溶媒工程で得られた樹脂微粒子分散液を酸処理し、次に水で洗浄して脱水するのが好ましい。ただし、必要に応じて酸処理後に、アルカリ処理を追加してもよい。
上記酸処理に用いられる酸としては特に限定されず、工業的に通常用いられるものを使用することが出来るが、好ましくは塩酸である。酸処理のpHとしては、5以下が好ましく、さらに好ましくは4以下である。上記アルカリ処理に用いられるアルカリとしては特に限定されず、工業的に通常用いられるものを使用することが出来るが、好ましくはアンモニア、水酸化ナトリウムである。アルカリ処理のpHとしては7以上が好ましく、さらに好ましくは8以上である。
乾燥工程は、上記洗浄脱水工程で得られたケークを乾燥させて粉体を得る工程である。乾燥工程は樹脂微粒子が凝集や粉砕を起こさない方法であれば、特に限定されない。例えば循風乾燥機を用い、ケークを30〜60℃で2〜30時間乾燥することによって、粉体を得ることができる。乾燥後の樹脂微粒子中の水分の含量は2%以下が好ましい。
篩分および分級工程は、乾燥によって得られた粉体中に含有する粗大粉や微粉等を除去する工程である。また外添工程は、得られた粉体の流動性を向上させるなどの機能を付与するために、粉体に前記他の配合成分を添加、混合する工程である。これらの工程は、樹脂微粒子が凝集や粉砕を起こさない方法であれば、特に限定されない。
本発明の製造方法によれば、体積平均粒径が5〜10μm、個数粒度分布GSDfが2.0以下、体積粒度分布GSDcが1.5以下のシャープな粒度分布を有する樹脂粒子を容易に製造することができる。
本発明の製造方法により得られた樹脂微粒子は、電子写真用トナーをはじめ、粉体塗料、つや消し剤、ブロッキング防止剤、クロマトグラフィー用担体、薬剤用担体、ギャップ調整剤、電気粘性流体、化粧品など幅広い用途に使用することが出来るが、特に電子写真用トナー、および粉体塗料に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
《トナー用樹脂微粒子の製造》
<実施例1>
[混合液の作成]
・ ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物とビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸(モル比1:1:2)からなるポリエステル樹脂(Tg:66℃、融点:106℃) 90部
・ C.I.ピグメントブルー 5部
・ パラフィンワックス(融点:89℃) 5部
・ 酢酸エチル 100部
上記成分をエバラマイルダーで25℃で12時間分散することによりポリエステル樹脂が溶解したトナー材料混合液200部を得た。
[分散懸濁液の作成]
・ アクリル酸−マレイン酸共重合体(Mn:10000)で被覆された炭酸カルシウム(平均粒径:0.18μm) 60部
・ 平均重合度800〜900、エーテル化度0.70〜0.80のカルボキシルメチルセルロース 2部
・ イオン交換水 238部
上記成分をエバラマイルダーで25℃で5時間分散することにより水系媒体300部を得た。この水系媒体300部をTKオートホモミキサー(特殊機化工業製)を用い8000rpmで撹拌している中に、上記トナー材料混合液200部を投入した。そのまま25℃で10分間撹拌した後停止し、懸濁液500部を得た。
[脱溶媒工程]
分散懸濁工程で得られた懸濁液500部を25℃で10分間静置した後、櫂型撹拌装置(攪拌羽根の長さ1.0m)、冷却トラップ、ジャケット、キャリアガス導入管、圧力コントローラおよび真空ポンプを装着した有機溶媒除去槽に移し、下記に示す条件で有機溶媒除去を行った。脱溶媒後の有機溶媒含量は0.3%であった。
<有機溶媒除去条件>
撹拌周速(溶媒残留率50%以上):30m/分
撹拌周速(溶媒残留率50%未満):70m/分
ジャケット温水温度:35℃
懸濁液温度:30℃
系内圧力:−85kPa±1kPa〔式(1)の右辺:−86.7〕(脱溶媒開始直後を除く)
キャリアガス(窒素)流量(溶媒残留率60%以上):気相5L/分・1000kg懸濁液
キャリアガス(窒素)流量(溶媒残留率60%未満):液相5L/分・1000kg懸濁液
[洗浄、脱水]
脱溶媒工程で得られたトナー分散液の200部に、10規定塩酸40部を加え、15分間撹拌した後、加圧濾過した。さらに加圧濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、ケークを得た。
[乾燥、篩分]
脱水工程で得られたケークを50℃オーブンで乾燥し、目開き45μmの金網で篩分することにより、45μmを越える粒子径のものを除いて、静電荷像現像用トナーを得た。水分の含量は0.2%であった。
<実施例2>
実施例1の方法において、溶媒残留率60%未満でのキャリアガス(窒素)流量を、液相8L/分・1000kgにした以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得た。
<実施例3>
実施例1の方法において、脱溶媒工程の系内圧力を−82kPa±1kPaにした以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得た。
<比較例1>
実施例1の方法において、溶媒残留率50%以上の時の撹拌周速を50m/分とした以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得た。
<比較例2>
実施例1の方法において、脱溶媒工程の系内圧力を−97kPa±1kPaとした以外は、実施例1と同様にして、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1〜実施例3、および比較例1〜比較例2で得られたトナーについて、マルチサイザー3型(ベックマン・コールター社製)を用いた体積平均粒径、個数粒度分布GSDf(D50n/D84n)、体積粒度分布GSDc(D16v/D50v)の測定結果、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した粒子形状評価結果、パウダーテスターPT−R型(ホソカワミクロン社製)を用いた、かため見掛け密度および粉体の圧縮比(ゆるめ見掛け密度とかため見掛け密度の比)の測定結果を表1に示す。
本粒度評価において体積平均粒径は5〜10μmであることが好ましい。個数粒度分布GSDfは2.0以下であることが好ましい。また、体積粒度分布GSDcは1.5以下であることが好ましい。また、粉体の圧縮比は粉体流動性の指標であり、圧縮比が0.5以下であれば、良好な粉体流動性を示す。
本粒子形状評価の判定基準は下記のとおりである。
◎ : 粒子表面に凹凸が見られない。
○ : 粒子表面に凹凸が少ない。
× : 粒子表面に凹凸が多い。
かため見掛け密度の測定条件と判定基準は次のとおりである。
カップ容量25ml、タッピング回数180回(1回/秒)の条件で、上記パウダーテスターを用いて測定し(単位:g/cm)、下記の基準で判定した。
◎ : 0.540以上
○ : 0.510以上0.540未満
× : 0.510未満
Figure 2005105018
実施例1〜実施例3、および比較例1〜比較例2で得られたトナーについて、以下の手順で外添処理を行い、ブローオフ法による帯電量の測定を行った。
[外添処理]
トナー100部と、シリカR972(日本エアロジル社製)1部をヘンシルミキサーを用いて混合し、外添トナーを得た。
[帯電測定]
外添トナー8部と、PMMAをコーティングした50μmのフェライトキャリア100部を、温度10℃湿度15%の低温低湿環境下で混合し、ブローオフ法にてトナーの帯電量を測定した。同様に温度28℃、湿度80%の高温高湿環境下で混合し、帯電量を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2005105018
比較例1〜2は実施例1〜3に比べて帯電量が低い結果となった。これは粒度分布や粒子形状の悪化によって、粉体流動性が悪くなった影響と考えられる。
《粉体塗料用樹脂微粒子の製造》
<実施例4>
[混合液の作成]
・ メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレン共重合体(モル比21:26:8:45)とジフェニルホスファイト(0.2%)からなる樹脂(Tg:51℃、Mn:4000) 60部
・ 1、12−ドデカン2酸 11部
・ レベリング剤(モダフロー;モンサント社製) 0.5部
・ ベンゾイン 0.5部
・ 酸化チタン 28部
・ 酢酸エチル 100部
上記成分をエバラマイルダーで8時間撹拌することにより上記樹脂が溶解した粉体塗料材料混合液200部を得た。
[分散懸濁液の作成]
・ アクリル酸−マレイン酸共重合体(Mn:10000)で被覆された炭酸カルシウム(平均粒径:0.18μm) 40部
・ 平均重合度800〜900、エーテル化度0.70〜0.80のカルボキシルメチルセルロース 2部
・ イオン交換水 258部
上記成分をエバラマイルダーで5時間分散することにより水系媒体300部を得た。この水系媒体300部をTKオートホモミキサー(特殊機化工業製)を用い8000rpmで撹拌している中に、上記粉体塗料材料混合液200部を投入した。そのまま10分間撹拌した後停止し、懸濁液500部を得た。
[脱溶媒工程]
分散懸濁工程で得られた懸濁液500部を10分間静置した後、櫂型撹拌装置(攪拌羽根の長さ1.0m)、冷却トラップ、ジャケット、キャリアガス導入管、圧力コントローラおよび真空ポンプを装着した有機溶媒除去槽に移し、下記に示す条件で有機溶媒除去を行った。脱溶媒後の溶媒含量は0.2%であった。
<有機溶媒除去条件>
撹拌周速(溶媒残留率50%以上):30m/分
撹拌周速(溶媒残留率50%未満):70m/分
ジャケット温水温度:35℃
懸濁液温度:30℃
系内圧力:−85kPa±1kPa〔式(1)の右辺:−86.7〕(脱溶媒開始直後を除く)
キャリアガス(窒素)流量(溶媒残留率60%以上):気相5L/分・1000kg懸濁液
キャリアガス(窒素)流量(溶媒残留率60%未満):液相5L/分・1000kg懸濁液
[洗浄、脱水]
脱溶媒工程で得られたトナー分散液の200部に10規定塩酸40部を加え、15分間撹拌した後、加圧濾過した。さらに加圧濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、粉体塗料ケークを得た。
[乾燥、篩分]
脱水工程で得られたケークを40℃オーブンで乾燥し、目開き150μmの金網で篩分することにより、150μmを越える粒子径のものを除いて、粉体塗料を得た。水分の含量は0.4%であった。
<比較例3>
実施例4の方法において、溶媒残留率50%以上での撹拌周速を50m/分とした以外は、実施例4と同様にして粉体塗料を得た。
<比較例4>
実施例4で用いたものと同じ粉体塗料材料を2軸押し出し機「池貝PCM30型」(池貝鉄工株式会社製)を用いて、110℃の条件下溶融混練した。冷却後粉砕器で粉砕し、150μmメッシュで篩分することにより、150μmを越える粒子径のものを除いて、粉体塗料を調製した。
実施例4および比較例3〜4で得られた各粉体塗料について、以下の項目の評価を行った。評価結果を表3に示す。
1)塗膜平滑性
粉体塗料用静電塗装機を用いてリン酸亜鉛処理鋼板に塗装し、180℃で20分間焼き付けをおこなって試験板を得た。膜厚40〜60μmの塗面を、目視により平滑性を下記の基準で判定した。
○:凹凸がなく平滑
△:やや凹凸がある
×:全面に凹凸がある
2)ペレットフロー
0.5gの粉体塗料を直径15mmφの大きさのペレットに整形し、45°に傾斜させた金属板上にのせ、170℃の雰囲気下20分間置き、流れ落ちた長さ(mm)を測定した。
3)塗膜の光沢(60度光沢)の測定
JIS K5400 7.6に準拠して評価した。
Figure 2005105018

Claims (5)

  1. 少なくとも樹脂と有機溶媒を含有する混合液と、無機分散剤を含有する水系媒体との懸濁液から有機溶媒を撹拌および減圧条件下に除去する工程を有する樹脂微粒子の製造方法であって、脱溶媒工程が、溶媒残留率が60重量%以下となるまでは、撹拌周速を40m/分以下とし、溶媒残留率が95重量%となった時点から60重量%以下となるまでは系内圧力を−95〜−76kPaとすることを特徴とする樹脂微粒子の製造方法。
  2. 前記脱溶媒工程において、有機溶媒除去中の懸濁液の温度が10〜40℃であり、溶媒残留率が95重量%となった時点から30重量%以下となるまでは、懸濁液の温度X(単位:℃)に応じて、下式(1)の関係を満たす系内圧力Y(単位:kPa)で実施することを特徴とする請求項1記載の樹脂微粒子の製造方法。
    Y≧0.0193X−0.4386X−90.887 (1)
    (ただし10≦X≦40)
  3. 前記脱溶媒工程において、有機溶媒除去中に気相および/または液相にキャリアガスを通過させることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂微粒子の製造方法。
  4. 前記脱溶媒工程において、初期は気相にキャリアガスを0.1〜50L/分・1000kg、後期は液相にキャリアガスを0.1〜50L/分・1000kg通過させる請求項3記載の樹脂微粒子の製造方法。
  5. 得られる樹脂微粒子の、体積平均粒径が5〜10μm、個数粒度分布GSDfが2.0以下、体積粒度分布GSDcが1.5以下である請求項1〜4のいずれか記載の樹脂微粒子の製造方法。
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