JP2005146452A - 装飾織布及びその製造方法 - Google Patents

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忠臣 國兼
Kenichi Tokunaga
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Abstract

【課題】 熱可逆変色性材料と虹彩材料とを用いることにより、古来より受け継がれた伝統的な技法では表現することのできない新規な装飾を施した意匠性の高い装飾織布を提供する。
【解決手段】 織布上に変色設定温度が17〜35℃である熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、長着や帯などに用いられる装飾織布及びその製造方法に関するものである。
周知の通り、長着や帯などの和服に用いられる各種織布には、意匠性を高めるための装飾が施されることが多く、古来より様々な装飾技法が採用されている。例えば、織布の伝統的な染色技法の一つである友禅染においては、糊置防染法などを駆使して織布に多彩で華麗な絵模様が施されるが、さらに、振袖や留袖などの高級な長着に用いられる場合には、当該絵模様に加えて刺繍や金銀箔置きの技法により絢爛豪華な装飾が施されている。
ところで、近年、技術の発展に伴って新たな各種装飾材料が開発されており、例えば、後出特許文献1には、温度変化により色彩が可逆的に変化する熱可逆変色性の装飾材料(サーモクロミック材料)や光の照射の有無によって色彩が可逆的に変化する光可逆変色性の装飾材料(フォトクロミック材料)が開示されている。
また、目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料も種々開発されており、例えば、モルファ蝶のような呈色を有する虹彩材料として後出特許文献2には、紫外線や赤外線波長を反射し、かつ可視光線領域の波長の反射、干渉による発色を行う微細な凸型翼部と、複数個の上記凸型翼部を接続する芯部とからなる繊維やチップ(小片)であって、凸型翼部と芯部の断面形状を一定の形状に形成することにより、可視光領域で反射、干渉による発色機能が生じ、例えば青紫乃至青緑の色調を有し、かつ見る角度によって異なった色に見える美麗な色調を呈色する構造体及び当該チップを用いた塗料が開示されている。
特開平5−33276号公報(第3,5〜7頁) 特開平6−17349号公報(第1,5頁)
そこで、本発明は、近年開発された前記各装飾材料を利用することにより、古来より受け継がれた伝統的な技法では表現することのできない新規な装飾を施した意匠性の高い装飾織布を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく研究・実験を重ねた結果、織布上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成すれば、熱可逆変色層の色彩変化が虹彩層の呈色に大きく影響し、温度変化によって熱可逆変色層の色彩が変化すると、これに伴って虹彩層の呈色が著しく変化し、意匠性の極めて高い新規な模様を施すことができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
即ち、本発明に係る装飾織布は、織布上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成したものである。
また、本発明は、前記装飾織布において、熱可逆変色性材料が温度の上昇に伴って明色又は寒色に変化するものである。
また、本発明は、前記いずれかの装飾織布において、熱可逆変色性材料が温度の下降に伴って暗色又は暖色に変化するものである。
また、本発明は、前記いずれかの装飾織布において、熱可逆変色性材料の変色設定温度が17〜35℃であって外温が該変色設定温度を上回ると黒色から白色に変化するものである。
また、本発明に係る長着又は帯は、前記いずれかの装飾織布を用いて仕立てたものである。
さらに、本発明に係る装飾織布の製造方法は、織布上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成するものである。
本発明によれば、熱可逆変色層上に虹彩層を形成したので、熱可逆変色層の色彩が虹彩層の呈色に大きく影響し、温度変化によって熱可逆変色層の色彩が変化すると、これに伴って虹彩層の呈色が著しく変化するため、二種類の装飾効果が得られるから、意匠性の極めて高い新規な模様を施した装飾織布を提供できる。また、熱可逆変色性材料として温度の上昇に伴って明色又は寒色に変化すると共に、温度の下降に伴って暗色又は暖色に変化するものを使用すれば、気温が高い場所においては観者に対して涼しげな印象を与え、気温が高い場所においては観者に対して温かい印象を与える装飾織布を得ることができる。
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態.
図1は本実施の形態に係る装飾織布を示した断面図であり、図1において、1は、織布2上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層3を形成した後、熱可逆変色層3上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層4を形成した装飾織布である。
織布2としては、無地のものに限らず、例えば、錦、厚板、繻珍、御召などの織り模様のものであってもよく、また、染め模様が施されたものであってもよい。
熱可逆変色性材料としては、変色設定温度が17〜35℃のものであればよい。また、変色設定温度を境として色彩が変化するものであってもよく、有色から無色に変化するものであってもよい。熱可逆変色性材料には、酸顕色性物質と酸性物質と溶媒とからなる3成分組成物、酸顕色性物質と酸性物質とからなる2成分組成物、コレステリック液晶、金属錯塩結晶などがあり、3成分組成物、2成分組成物及びコレステリック液晶は、通常微細な合成樹脂粉末中に分散された状態或いはマイクロカプセルに内包された状態で使用されるが、本発明においてはこれらの状態のものも使用できる。市販品としては、例えば、ファーストブラックAQ-27 (品番:株式会社松井色素化学工業所製)やOR-30 (品番:株式会社記録素材総合研究所製)などがある。
熱可逆変色性材料を含有させるバインダーとしては、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの合成樹脂を主材料とするものを使用すればよい。市販品としては、例えば、アクリル酸共重合エマルジョンを用いたバインダーS(商品名:株式会社松井色素化学工業所製)などがある。
目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料としては、例えば、モルファ蝶のような呈色を有する繊維のカット(小片)、酸化鉄被覆酸化アルミニウムフレーク、酸化チタン被覆酸化アルミニウムフレーク、酸化鉄被覆雲母、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆シリカフレーク、酸化チタン被覆シリカフレーク、オキシ塩化ビスマスなどを使用すればよい。市販品としては、イリオジン(商品名:メルク株式会社製)、シラリック(商品名:メルク株式会社製)、カラーストリーム(商品名:メルク株式会社製)、バイフレアー(商品名:メルク株式会社製)などがある。
前記各種虹彩材料を含有させるバインダーとしては、熱可逆変色層3の色彩を虹彩層4の呈色に影響させるため、透明又は半透明のものを使用し、例えば、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの透明合成樹脂又は半透明合成樹脂を主材料とするものを使用すればよい。
なお、目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーの具体例としては、市販のクロマルージョン(商品名:デュポン株式会社製)やメドルカラー(商品名:シンロイヒ株式会社製)などがある。
また、装飾織布1における虹彩層4上に、さらに光可逆変化性材料を含有するバインダーや蓄光塗料、金銀箔や金銀粉末などを用いて装飾加工を施してもよい。
本発明に係る装飾織布は、長着や帯に限らず、従来の装飾織布と同様に巾着やタペストリーなど幅広く各種物品に使用することもできる。
先ず、織布として絹繊維からなる着尺用どんす銀通し白色織布を用意し、所要の図案に基づいて織布に下絵を描く。この時、下絵には、水によって簡単に洗い流せる青花液を使用した。次に、織布に描かれた下絵に沿って白色のまま残す部分(染色を施さない部分)に糊置する。なお、糊置には、防染剤としてパラフィンワックスを使用した。次いで、当該織布を伸子張りし、豆汁で地入れを行って自然乾燥させた後、図案に基づいて筆及び刷毛により各種染料を挿し、乾燥後、濃色染料によって染める部分を残すようにパラフィンワックスを使用して伏糊し、濃色染料によって地染めを行った。次いで、トリクレンを使用して当該織布からパラフィンワックスを洗い流し、次いで、100℃にて50分間蒸しを行った後、水洗いし乾燥した。以上の各工程を経て友禅染技法による染め模様を施した絹織布を得た。
続いて、前記織布の白色で残した部分(染色が施されていない部分)に、変色設定温度が約27℃であって外温(周囲雰囲気温度)が変色設定温度を下回ると黒色に変色し、また、外温が該変色設定温度を上回ると白色に変色する熱可逆変化性材料(ファーストブラックAQ-27 ;品番:株式会社松井色素化学工業所製)をバインダー(バインダーS;商品名:株式会社松井色素化学工業所製)に含有させたものを筆にて塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダー(クロマルージョン;商品名:デュポン株式会社製)を筆にて塗布して虹彩層を形成して目的とする装飾織布を得た。
本実施例にて得られた装飾織布を用いて留袖を仕立てたところ、外温が約27℃以上の場所においては、白地の熱可逆変色層上で虹彩層が僅かに呈色し、観者に対して涼しげな印象を与える模様となり、また、温度が約27℃以下の場所においては、黒地の熱可逆変色層上で虹彩層が強く呈色し、観者に対して重厚な印象を与える模様となる意匠性の高い模様を有する留袖を得ることができた。
先ず、絹繊維からなる帯地用白色織布(羽二重)を用意し、所要の図案に基づいて織布に下絵を描く。この時、下絵には、青花液を使用した。次に、織布に描かれた下絵に沿って白色のまま残す部分にパラフィンワックスを使用して糊置する。次いで、当該織布を伸子張りし、豆汁で地入れを行って自然乾燥させた後、図案に基づいて筆及び刷毛により各種染料を挿して自然乾燥させ、乾燥後にトリクレンを使用して当該織布からパラフィンワックスを洗い流し、次いで、100℃にて50分間蒸しを行った後、水洗いし乾燥した。以上の各工程を経て友禅染技法による染め模様を施した絹織布(帯地)を得た。
続いて、前記織布の白色で残した部分に、変色設定温度が約27℃であって外温が変色設定温度を下回ると黒色に変色し、また、外温が該変色設定温度を上回ると白色に変色する熱可逆変化性材料(ファーストブラックAQ-27 ;品番:株式会社松井色素化学工業所製)をバインダー(バインダーS;商品名:株式会社松井色素化学工業所製)に含有させたものを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダー(クロマルージョン;商品名:デュポン株式会社製)を塗布して虹彩層を形成し、さらに、虹彩層上に光可逆変化性材料(フォトピュアカラー;商品名:株式会社松井色素工業所製)をバインダー(バインダーS;商品名:株式会社松井色素化学工業所製)に含有させたものを点状に塗布して装飾加工を施して目的とする装飾織布を得た。
本実施例にて得られた装飾織布を用いて帯を仕立てたところ、温度が約27℃以上の場所においては、白地の熱可逆変色層上で虹彩層の呈色が抑えられ、観者に対してカジュアルな印象を与える模様となり、また、温度が約27℃以下の場所においては、黒地の熱可逆変色層上で虹彩層の呈色が増し、観者に対して重厚な印象を与える模様となり、かつ、光が照射されることによって光可逆変色性材料の色彩が変化し、より意匠性の高い模様を有する帯を得ることができた。
実施の形態に係る装飾織布を示した断面図である。
符号の説明
1 装飾織布
2 織布
3 熱可逆変色層
4 虹彩層

Claims (7)

  1. 織布上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成したことを特徴とする装飾織布。
  2. 熱可逆変色性材料が温度の上昇に伴って明色又は寒色に変化するものである請求項1記載の装飾織布。
  3. 熱可逆変色性材料が温度の下降に伴って暗色又は暖色に変化するものである請求項1又は2記載の装飾織布。
  4. 熱可逆変色性材料の変色設定温度が17〜35℃であって外温が該変色設定温度を上回ると黒色から白色に変化するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の装飾織布。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の装飾織布からなることを特徴とする長着。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の装飾織布からなることを特徴とする帯。
  7. 織布上に熱可逆変色性材料を含有するバインダーを塗布して熱可逆変色層を形成した後、該熱可逆変色層上に目視する角度によって異なる色彩を呈する虹彩材料を含有するバインダーを塗布して虹彩層を形成することを特徴とする装飾織布の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010007204A (ja) * 2008-06-26 2010-01-14 Hiramatsu Sangyo Kk カラーフロップ性を有する着色布帛
JP2015523248A (ja) * 2013-05-15 2015-08-13 ベンテックス カンパニー,リミテッド 生体活性エネルギーを放射する衣類用繊維シート
CN118254427A (zh) * 2024-04-18 2024-06-28 浙江夜光明光电科技股份有限公司 一种装饰感温材料

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