JP2005192538A - 新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ、その製法およびその用途 - Google Patents

新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ、その製法およびその用途 Download PDF

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Abstract

【目的】一般的な臨床検査用酵素として、Km値の小さい、好ましくは約15.0以下のクレアチンアミジノヒドロラーゼを提供する。
【構成】アルカリゲネス属細菌由来のクレアチンアミジノヒドロラーゼをコードする遺伝子を用いて、該遺伝子に変異を導入して、蛋白質工学的手法により、下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼおよびその製法ならびに該酵素を使用するクレアチンまたはクレアチニン定量用試薬。
作用:クレアチン+H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40〜50℃
至適pH:約8〜9
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼ及びペルオキシダーゼを共役酵素として活性測定を
行う場合のクレアチンに対するKm値:3.0〜10.0mM
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5

Description

本発明は新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ、その製法及び該酵素を使用するクレアチンまたはクレアチニン定量用試薬に関する。
クレアチニンおよびクレアチンは血液または尿中に見い出され、その量を迅速かつ正確に検出測定することは、疾病、例えば尿毒症、慢性腎炎、急性腎炎、巨人症、強直性筋異栄養症などを診断するのに非常に重要である。このような診断を行うために、血液または尿中のクレアチン及びクレアチニンを定量することは頻繁に行われている。
従来のクレアチンの定量法としては、試料中のクレアチンにクレアチンアミジノヒドロラーゼおよびザルコシンオキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素を過酸化水素測定手段により測定して、試料中のクレアチンを定量する。また、クレアチニンにクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼおよびザルコシンオキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素を過酸化水素測定手段により測定して、試料中のクレアチニンを定量する方法などがある。
一方、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼは微生物界に広く見い出されており、既に工業的に製造され、臨床検査薬として使用されている。
しかしながら、公知の各種菌体から製造されたクレアチンアミジノヒドロラーゼは熱安定性が低く、またクレアチンに対するKm値も大きかった。例えばバチルス属由来の酵素(特公昭61−17465号公報)は、熱安定性は40℃以下と低い。さらにシュードモナス・プチダ由来の酵素は、クレアチンに対する見かけのKm値は1.33mMと小さいが(ArchivesBiochemistry and Biophysics 177, 508-515 (1976))、活性測定法が異なっており、臨床検査薬で汎用されているザルコシンオキシダーゼとペルオキシダーゼを共役酵素として用いた活性測定法でのクレアチンに対するKm値は不明であった。コリネバクテリウム属、ミクロコッカス属、アクチノバチルス属、バチルス属由来の酵素(特公平3−76915号公報)は、熱安定性は50℃以下であるが、クレアチンに対するKm値は約20mMと大きかった。
上記の問題点を解決するため、本発明者らは既にアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する細菌が熱安定性に優れ、かつ、クレアチンに対するKm値が比較的小さい(Km値:約15.2)クレアチンアミジノヒドロラーゼを生産することを見い出した(特願平6−63363号)。さらに、該菌株よりクレアチンに対するKm値の比較的小さいクレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子を単離し、グラム陰性細菌を宿主として、大量に該酵素を生産する技術を確立した(特願平7−117283号)。
また、同じアルカリゲネス属細菌から、高pH領域において安定であり、また、Km値の小さいクレアチンアミジノヒドロラーゼが報告されている(特開平7−170979号公報)。
しかし、これらのクレアチンアミジノヒドロラーゼは、一般的な臨床検査薬である酵素としては、まだKm値が大きく、更にKm値の小さい、望ましくは約15.0以下のクレアチンアミジノヒドロラーゼが要望されていた。
本発明者らは上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、アルカリゲネス属由来の上記クレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子を用い、蛋白工学的手法により、クレアチンに対するKm値のより小さい新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを創出することに成功した。
すなわち、本発明は下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼである。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約3.5〜10.0mM
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
また、本発明は下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを生産する微生物を栄養培地にて培養し、新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを採取することを特徴とする新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼの製造法である。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約3.5〜10.0mM
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
本発明は、上記クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有することを特徴とする試料中のクレアチン定量用試薬である。
また、本発明はクレアチニンアミドヒドロラーゼ、上記クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有することを特徴とする試料中のクレアチニン定量用試薬である。
本発明により診断薬用酵素として有用な、Km値の小さい新規クレアチンアミジノヒドロラーゼを創出し、工業的に大量に該クレアチンアミジノヒドロラーゼを生産できる。
本発明の一実施態様は、下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼである。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約4.5±1.0
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
また、別な実施態様は、下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼである。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約6.5±1.0
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
さらに、別な実施態様は、下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼである。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約9.0±1.0
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼを製造する方法の1つは、野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼをコードする遺伝子に変異を導入して、蛋白工学的手法により、野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼに比べてクレアチンに対するKm値の小さくなった新規クレアチンアミジノヒドロラーゼを製造する方法である。
変異を導入するための野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼをコードする遺伝子は特に限定されないが、本発明の一実施態様では、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes
faecalis)TE3581(FERM P−14237)由来の配列表・配列番号2のクレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子を用いた。
本発明の別な実施態様は、配列表・配列番号1に記載されたアミノ酸配列をコードする遺伝子に変異を導入して、野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼに比べてクレアチンに対するKm値の小さくなった新規クレアチンアミジノヒドロラーゼを製造する。
野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子に変異を導入する方法は、既知のいかなる方法でも用いることができる。例えば、野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子DNAと変異源となる薬剤を接触させる方法や紫外線照射による方法などから、蛋白工学的な手法、例えばPCR法や部位特異的変異などの方法を用いることができる。また、遺伝子修復機構が欠損されたため、高頻度に遺伝子に変異が起こる大腸菌を用いたinvivoでの変異の導入も可能である。
上記のようにして得られた変異クレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子を例えば大腸菌に形質転換した後、クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性検出用寒天培地(J.Ferment. Bioeng.,Vol.76 No.2 77-81(1993)) に塗布し、発色の強いコロニーを選抜する。選抜したコロニーは、栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で一晩培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。
菌体を破砕する方法は、公知のいかなる手法を用いても良く、例えば超音波処理やガラスビーズ破砕の様な物理的破砕法やリゾチームの様な溶菌酵素を用いる方法が利用できる。この粗酵素液を用いて、2種類の基質濃度の異なる活性測定反応液によりクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性を測定し、両者の活性比率を野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼと比較することにより、クレアチンに対するKm値の小さくなったクレアチンアミジノヒドロラーゼをスクリーニングすることができる。
上記方法により選抜された菌株から精製クレアチンアミジノヒドロラーゼを取得する方法は、公知のいかなる手法を用いても良く、例えば下記方法がある。
栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的または物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から硫安沈澱によりクレアチンアミジノヒドロラーゼ画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(ファルマシア・バイオテク)ゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。
この操作の後、オクチルセファロースCL−6B(ファルマシア・バイオテク)カラムクロマトグラフィーにより分離・精製し、精製酵素標品を得ることができる。この精製酵素標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一のバンドを示す程度に純化される。
本発明において使用する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを生産する微生物としては、エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M1)(FERM BP−5374)、エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M2)(FERM BP−5375)、エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M3)(FERM BP−5376)が例示される。
これらの微生物を培養し、該培養物から本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼを採取する方法は特に限定されるものではなく、通常の方法に従う。
本発明の上記製法により得られた新規クレアチンアミジノヒドロラーゼは、下記理化学的性質を有する。
作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
至適温度:約40℃〜50℃
至適pH:約8.0〜9.0
熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約3.5〜10.0mM
分子量:約43,000(SDS−PAGE)
等電点:約4.5
本発明におけるKm値は、ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測定を行う場合のクレアチンに対するKm値である。従来のシュードモナス・プチダ由来の酵素は、クレアチンに対する見かけのKm値は1.33mMと小さいが(ArchivesBiochemistry and Biophysics 177, 508-515
(1976))、活性測定法は、反応液中の残存したクレアチンをα−ナフトールとジアセチルにより定量する方法であり、臨床検査薬で汎用されているザルコシンオキシダーゼとペルオキシダーゼを共役酵素として用いた活性測定法でのクレアチンに対するKm値は不明であった。
本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼは、ザルコシンオキシダーゼ及び過酸化水素検出用組成物を組み合わせて、クレアチンの測定に使用することができる。またクレアチニンアミドヒドロラーゼを共存させて、クレアチニンを定量することができる。
本発明の試料中のクレアチン定量用試薬は、上記クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有する。
本発明の試料中のクレアチニン定量用試薬は、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、上記クレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有する。
本発明のクレアチンまたはクレアチニンの定量に使用するザルコシンオキシダーゼは、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、アルカリゲネス属、シュードモナス属、マイクロコッカス属、バチルス属等の起源の微生物より得ることができ、これらのいくつかは既に市販されている。
クレアチニンアミドヒドロラーゼとしては、シュードモナス属、フラボバクテリウム属、アルカリゲネス属、ペニシリウム属等の起源の微生物より得ることができ、これらのいくつかは既に市販されている。
過酸化水素検出用組成物はペルオキシダーゼ活性を有する酵素及び色原体、緩衝液を含む。ペルオキシダーゼ活性を有する酵素としては、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ブロムペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ等が挙げられる。色原体は更に水素受容体およびカプラーよりなる。水素受容体は過酸化水素、ペルオキシダーゼ、カプラーとの反応に際し、水素を受容する化合物であれば良く、例えば4−アミノアンチピリン、3−メチル−2−ベンソチアゾリン−ヒドラジン誘導体等が挙げられる。またカプラーとしては、アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)などのアニリン誘導体、フェノール、p−クロロフェノールなどのフェノール誘導体が挙げられる。
本発明のクレアチン定量用試薬中、各成分の好ましい量はクレアチンアミジノヒドロラーゼ約5〜300U/ml、ザルコシンオキシダーゼ約1〜100U/ml、ペルオキシダーゼ約0.01〜50U/ml、水素受容体約0.1〜10mM、カプラー約0.1〜50mMである。
本発明のクレアチニン定量用試薬中、各成分の好ましい量はクレアチニンアミドヒドロラーゼ約10〜300U/ml、クレアチンアミジノヒドロラーゼ約10〜300U/ml、ザルコシンオキシダーゼ約1〜100U/ml、ペルオキシダーゼ約0.01〜50U/ml、水素受容体約0.1〜10mM、カプラー約0.1〜50mMである。
本発明のクレアチンまたはクレアチニン定量用試薬は、通常、pH約6〜8の緩衝液とともに使用する。例えばリン酸緩衝液、グッド緩衝液、トリス緩衝液等が挙げられる。
本発明の試薬には必要によりアスコルビン酸オキシダーゼまたはカタラーゼを添加してもよい。更に本発明の試薬には酵素反応または呈色反応を円滑に行わせるために他の化合物を添加しても良い。このような化合物としては、例えば安定化剤、界面活性剤、賦形剤等が挙げられる。
本発明は以下の測定反応を利用する。
Figure 2005192538
Figure 2005192538
Figure 2005192538
生成したキノンイミン色素は通常、500〜650nmの波長で吸光度測定を行う。クレアチンの定量法としては、エンド法およびレート法で行われるが、エンド法を用いるのが一般的である。
本発明のKm値が小さいクレアチンアミジノヒドロラーゼは、従来の酵素に比べて、クレアチンまたはクレアチニンの定量において、検査試薬中の使用酵素量を約1/3〜1/4に減少させることが可能であり、かつ、反応後半の反応性が良好となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例中、クレアチンアミジノヒドロラーゼの活性測定は以下のようにして行った。なお、本発明の酵素活性の定義は、下記条件下に1分間に1μモルのザルコシンを生成する酵素量を1単位(U)とする。
反応混液組成
0.3M HEPES pH7.6
0.005% 4アミノアンチピリン
0.015% フェノール
1.8 % クレアチン
6U/ml ザルコシンオキシダーゼ
6U/ml ペルオキシダーゼ
上記反応混液3mlをキュベット(d=1cm)に取り、37℃で約3分間予備加温する。次に酵素液0.1mlを加え、緩やかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で500nmの吸光度変化を5分間記録し、その2〜5分の直線部分から1分間あたりの吸光度変化を求める(△ODテスト)。
盲検は酵素溶液の代わりに酵素希釈液(50mM リン酸カリウム緩衝液,pH7.5)0.1mlを加え上記と同様に操作を行って、1分間当たりの吸光度変化を求める(△ODブランク)。
計算式
Figure 2005192538
13.3:キノンイミン色素の上記測定条件下でのミリモル吸光係数
(cm2 /μM)
1/2 :酵素反応で生成した過酸化水素1分子から形成するキノンイミン色素は1/2分子であることの係数
1.0 :光路長(cm)
0.1 :添加酵素液量(ml)
参考例1 染色体DNAの分離
アルカリゲネス・フェカリスTE3581の染色体DNAを次の方法で分離した。
該菌体(FERM P−14237)を150mlの普通ブイヨン培地で30℃一晩振盪培養した後、遠心分離(8000rmp,10分間)により集菌した。10%シュークロース、50mMトリス塩酸(pH8.0)、50mM EDTAを含んだ溶液5mlに懸濁し、1mlのリゾチーム溶液(10mg/ml)を加えて37℃15分間保温し、次いで1mlの10%SDS溶液を加えた。この溶液に等量のクロロホルム・フェノール溶液(1:1)を加え、攪拌混合し、10,000rpm、3分間の遠心分離で水層と溶媒層に分離し、水層を分取した。この水層に2倍量のエタノールを静かに重層し、ガラス棒でゆっくり攪拌しながら、DNAをガラス棒に巻き付かせて分離した。
このDNAを1mM EDTAを含んだ10mMトリス塩酸、pH8.0溶液(以下、TEと略記)で溶解した。これを等量のクロロホルム・フェノール溶液で処理後、遠心分離により水層を分取し、2倍量のエタノールを加えて上記方法で、もう一度DNAを分離し、2mlのTEで溶解した。
参考例2
クレアチニンアミジノヒドロラーゼをコードする遺伝子を含有するDNA断片および該DNA断片を有する組換えベクターの調製
参考例1で得たDNA20μgを制限酵素Sau3AI(東洋紡製)で部分分解し、シュークロース密度勾配遠心分離法により2〜10kbpの断片を回収した。一方、制限酵素BamHI(東洋紡製)で切断したpBluescriptKS(+)をバクテリアルアルカリホスファターゼ(東洋紡製)により脱リン酸化処理した後、両DNAをT4DNAリガーゼ(東洋紡製)1ユニットで16℃、12時間反応させ、DNAを連結した。連結したDNAはエシェリヒア・コリーJM109のコンピテントセル(東洋紡製)を用いて形質転換し、クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性検出用寒天培地〔0.5%酵母エキス、0.2%肉エキス、0.5%ポリペプトン、0.1%NaCl、0.1%KH2PO4 、0.05%MgSO4 /7H2 O、1.15%クレアチン、10U/mlザルコシンオキシダーゼ(東洋紡製)、0.5U/mlペルオキシダーゼ(東洋紡製)、0.01%o−ジアニシジン、50μg/mlアンピシリン、1.5%寒天〕に塗布した。クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性の検出は、上記培地に生育し、且つ茶色に染色されるコロニーを指標に行った。使用したDNA1μg当たり約1×105個の形質転換体のコロニーが得られた。
約12,000個のコロニーをスクリーニングした結果、6株茶色に染色されるコロニーを見いだした。これらの株をLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、50μg/mlアンピシリン)で培養し、クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性を測定したところ、いずれの株からもクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性が検出された。これらの株のうち、最もクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性の高かった株の保有するプラスミドには、約5kbpの挿入DNA断片が存在しており、このプラスミドをpCRH17とした。
次いでpCRH17の挿入DNAの制限酵素EcoRV(東洋紡製)とPstI(東洋紡製)にて切り出し、同制限酵素で切断したpBluescript KS(+)に連結してpCRH173を作成した。
実施例1 組換えプラスミドpCRH273の作製
参考例2の組換えプラスミドpCRH173を用い、ベクター由来のβ−ガラクトシダーゼの構造遺伝子から挿入DNAのクレアチンアミジノヒドロラーゼ構造遺伝子上流部分を、配列番号3に記載した合成DNAと市販の変異導入キット(TransformerTM ; Clonetech 製)により削除して、組換えプラスミドpCRH173Mを作製した。なお、変異の導入の詳細な方法については、キット添付のプロトコールに準拠した。
更にpCRH173Mを制限酵素EcoRI(東洋紡製)で切断した後、セルフライゲーションさせてpCRH273を作製した(図1)。
実施例2 クレアチンアミジノヒドロラーゼ遺伝子への変異の導入
実施例1で作製したpCRH273で市販の大腸菌コンピテントセル(E. coli
XLI−Red;Clonetech製)形質転換した後、全量をアンピシリンを含んだ(50μg/ml;ナカライテスク製)3mlのLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl)に接種し、37℃で一晩振盪培養した。この培養液全量から常法によりプラスミドを回収した。このプラスミドで再度市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli JM109;東洋紡製)を形質転換し、クレアチンアミジノヒドロラーゼ活性検出用寒天培地に塗布して37℃一晩培養した。こうして得られた変異クレアチンアミジノヒドロラーゼライブラリーからクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性を強く発現している株(着色の強い株)を選抜した。
実施例3 Km値の減少したクレアチンアミジノヒドロラーゼのスクリーニング
実施例2で選抜した候補株をアンピシリンを含んだ(200μg/ml)3mlのTB培地(1.2%ポリペプトン、2.4%酵母エキス、0.4%グリセロール、0.0231%KH2PO4 、0.1254%K2 HPO4 )に接種し、37℃で一晩振盪培養した。その培養液1mlから遠心分離により菌体を回収し、ガラスビーズ破砕により粗酵素液を調製した。得られた粗酵素液を用いて前述した活性測定法によりクレアチンアミジノヒドロラーゼを測定した。 また、基質濃度のみを1/10に減らした活性測定試薬を用いて、同様にクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性を測定した。この2種類の活性値の比率(1/10基質濃度の活性÷常法の活性)が野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼに比べ上昇した株をKm値の減少した変異体として選抜した。
上記の方法により約20,000株についてスクリーニングした結果、3株のクレアチンに対するKm値の小さくなった変異体を取得することができ、それぞれの有する組換えプラスミドをpCRH273M1(FERM BP−5374)、pCRH273M2(FERM BP−5375)、pCRH273M3(FERM BP−5376)と命名した。
実施例4 エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M1)からのクレ
アチンアミジノヒドロラーゼの製造
6LのTB培地を10L−ジャーファーメンターに分注し、121℃、15分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌ろ過した50mg/mlアンピシリン(ナカライテスク製)、及び200mM IPTG(日本精化製)をそれぞれ6ml添加した。この培地にLB培地であらかじめ30℃24時間振盪培養したエシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M1)(FERM BP−5374)の培養液60mlを接種し、37℃で24時間通気撹拌培養した。培養終了時のクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性は8.7U/mlであった。
上記菌体を遠心分離にて集菌し、50mM リン酸緩衝液,pH7.0に懸濁した。
上記菌体懸濁液をフレンチプレスで破砕し、遠心分離を行い上清液を得た。得られた粗酵素液を硫安分画後セファデックスG−25(ファルマシア バイオテク)ゲルろ過により脱塩し、オクチルセファロースCL−6B(ファルマシア バイオテク)カラムクロマトグラフィーにより精製し、精製酵素表品を得た。本方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼ標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを示し、この時の比活性は18.4U/mg−proteinであった。
表1にこれまでの精製のまとめを示す。また表2に上記方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼの理化学的性質を示す。
Figure 2005192538
Figure 2005192538
実施例5 エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M2)からのクレ
アチンアミジノヒドロラーゼの製造
6LのTB培地を10L−ジャーファーメンターに分注し、121℃、15分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌ろ過した50mg/mlアンピシリン(ナカライテスク製)、及び200mM IPTG(日本精化製)をそれぞれ6ml添加した。この培地にLB培地であらかじめ30℃24時間振盪培養したエシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M2)(FERM BP−5375)の培養液60mlを接種し、37℃で24時間通気撹拌培養した。培養終了時のクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性は5.6U/mlであった。
上記菌体を遠心分離にて集菌し、50mM リン酸緩衝液,pH7.0に懸濁した。
上記菌体懸濁液をフレンチプレスで破砕し、遠心分離を行い上清液を得た。得られた粗酵素液を硫安分画後セファデックスG−25(ファルマシア バイオテク)ゲルろ過により脱塩し、オクチルセファロースCL−6B(ファルマシア バイオテク)カラムクロマトグラフィーにより精製し、精製酵素表品を得た。本方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼ標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを示し、この時の比活性は14.3U/mg−proteinであった。
表3にこれまでの精製のまとめを示す。また表4に上記方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼの理化学的性質を示す。
Figure 2005192538
Figure 2005192538
実施例6 エシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M3)からのクレ
アチンアミジノヒドロラーゼの製造
6LのTB培地を10L−ジャーファーメンターに分注し、121℃、15分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌ろ過した50mg/mlアンピシリン(ナカライテスク製)、及び200mM IPTG(日本精化製)をそれぞれ6ml添加した。この培地にLB培地であらかじめ30℃24時間振盪培養したエシェリヒア・コリーJM109(pCRH273M3)(FERM BP−5376)の培養液60mlを接種し、37℃で24時間通気撹拌培養した。培養終了時のクレアチンアミジノヒドロラーゼ活性は8.3U/mlであった。
上記菌体を遠心分離にて集菌し、50mM リン酸緩衝液、pH7.0に懸濁した。
上記菌体懸濁液をフレンチプレスで破砕し、遠心分離を行い上清液を得た。得られた粗酵素液を硫安分画後セファデックスG−25(ファルマシア バイオテク)ゲルろ過により脱塩し、オクチルセファロースCL−6B(ファルマシア バイオテク)カラムクロマトグラフィーにより精製し、精製酵素表品を得た。本方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼ標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを示し、この時の比活性は14.8U/mg−proteinであった。
表5にこれまでの精製のまとめを示す。また表6に上記方法により得られたクレアチンアミジノヒドロラーゼの理化学的性質を示す。
Figure 2005192538
Figure 2005192538
下記表7に本発明の新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼと野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼのクレアチンに対するKm値をまとめた。表7からも明らかなように本発明の新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼが野生型クレアチンアミジノヒドロラーゼに比べて、Km値が低下したことが判る。
Figure 2005192538
実施例7
実施例5にて調製した精製クレアチンアミジノヒドロラーゼと野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼを用いて、下記組成を有するクレアチニン測定用試液を調製し、クレアチンアミジノヒドロラーゼのクレアチニン測定用試液での必要量を比較した。
実施例5のクレアチンアミジノヒドロラーゼ 20,40,60U/ml
または野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼ
クレアチニンアミドヒドロラーゼ 150U/ml
ザルコシンオキシダーゼ 7U/ml
ペルオキシダーゼ 3PU/ml
MOPSバッファー 0.1M、pH8.0
トリトンX−100 0.1%
4−アミノアンチピリン 0.15mM
TOOS(アニリン誘導体) 0.2mM
クレアチニン100mg/dlを含有する試料60μlに、上記試液3mlを添加し、吸光度変化を37℃、波長546nmで測定した。その測定結果(タイムコース)を図2に示す。図中、Wildは野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼを示し、pCRH273M2は本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼを示す。
図2から明らかなように、5分間で測定反応を終結させるとすると、本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼは野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼに比べて、少ない酵素量(約1/3量)で測定が可能であった。また、測定後半の反応性、つまり試料中のクレアチニン量が少なくなった時の反応性が良好であることが確認された。
(配列表)
Figure 2005192538
Figure 2005192538
Figure 2005192538
Figure 2005192538
Figure 2005192538
組換えプラスミドpCRH273を示す図面である。 本発明のクレアチンアミジノヒドロラーゼおよび野性型クレアチンアミジノヒドロラーゼを使用して、試料中のクレアチニンを測定した場合の測定結果(タイムコース)を示す図面である。

Claims (7)

  1. 下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ。
    作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
    至適温度:約40℃〜50℃
    至適pH:約8.0〜9.0
    熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
    ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
    定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約3.5〜10.0mM
    分子量:約43,000(SDS−PAGE)
    等電点:約4.5
  2. 下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ。
    作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
    至適温度:約40℃〜50℃
    至適pH:約8.0〜9.0
    熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
    ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
    定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約4.5±1.0
    分子量:約43,000(SDS−PAGE)
    等電点:約4.5
  3. 下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ。
    作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
    至適温度:約40℃〜50℃
    至適pH:約8.0〜9.0
    熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
    ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
    定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約6.5±1.0
    分子量:約43,000(SDS−PAGE)
    等電点:約4.5
  4. 下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ。
    作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
    至適温度:約40℃〜50℃
    至適pH:約8.0〜9.0
    熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
    ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
    定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約9.0±1.0
    分子量:約43,000(SDS−PAGE)
    等電点:約4.5
  5. 下記理化学的性質を有する新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを生産する微生物を栄養培地にて培養し、新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼを採取することを特徴とする新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼの製造法。
    作用:クレアチン + H2 O → ザルコシン + 尿素
    至適温度:約40℃〜50℃
    至適pH:約8.0〜9.0
    熱安定性:約50℃以下(pH7.5、30分間)
    ザルコシンオキシダーゼおよびペルオキシダーゼを共役酵素として、活性測
    定を行う場合のクレアチンに対するKm値:約3.5〜10.0mM
    分子量:約43,000(SDS−PAGE)
    等電点:約4.5
  6. 請求項1記載の新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有することを特徴とする試料中のクレアチン定量用試薬。
  7. クレアチニンアミドヒドロラーゼ、請求項1記載の新規なクレアチンアミジノヒドロラーゼ、ザルコシンオキシダーゼおよび過酸化水素検出用組成物を含有することを特徴とする試料中のクレアチニン定量用試薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019195300A (ja) * 2018-05-10 2019-11-14 東洋紡株式会社 測定感度を改善した生体成分測定キット及び生体成分測定方法
CN117448306A (zh) * 2023-10-27 2024-01-26 上海天鹜科技有限公司 一种应用于肌酐检测的肌酸脒基水解酶突变体及其突变位点选择、纯化和检测方法

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