JP2005201301A - 可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置 - Google Patents

可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電気的な制御系統に故障が発生した場合でも容量可変部を傾転することができ、信頼性や安全性を向上することができるようにする。
【解決手段】 レギュレータ24の油圧パイロット部28に指令圧Pを供給する指令装置41を、電磁比例減圧弁43、絞り47およびシャトル弁48等により構成する。電磁比例減圧弁43は原動機の回転数に対応したパイロット圧Pi を管路44A内に発生する。絞り47の上流側に位置する管路44Bに保全圧Ph を発生させ、この保全圧Ph とパイロット圧Pi のうち高い方の圧力をシャトル弁48から指令圧Pとして出力する。フィードバック機構30は、斜板21の傾転動作を軸方向変位に変換して取出す変換部31と、変換部31で取出した軸方向変位により回転軸13の軸方向に平行移動する並進バー33等とで構成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えばホイールローダ、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーンまたはクローラ式の油圧ショベル、油圧クレーン等の作業車両に好適に用いられる可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置に関する。
一般に、建設機械等の作業車両に用いられる油圧動力伝達機構(以下、HSTという)には、例えば油圧源となる可変容量型油圧ポンプと油圧モータ等の油圧アクチュエータとの間を油圧閉回路により接続する構成とした閉回路方式のHSTと、油圧ポンプと油圧アクチュエータとの間を油圧開回路により接続する構成とした開回路方式のものとがある。
そして、閉回路方式のHSTに用いられる可変容量型油圧ポンプには、例えば斜板等の容量可変部を傾転角零の中立位置から正,逆の両方向に傾転制御するための傾転制御装置が設けられ、この傾転制御装置は、傾転制御圧が給排されることにより油圧ポンプの容量可変部を傾転駆動する傾転シリンダとしての傾転アクチュエータを備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、この場合の傾転制御装置には、例えばチャージポンプとタンクとの間に設けられ原動機の回転数に応じた前,後差圧を発生させる電磁比例減圧弁と、該電磁比例減圧弁の前,後差圧を前記傾転制御圧として傾転アクチュエータに給排する管路の途中に設けられ前記傾転制御圧の給排方向を切換える方向切換弁とが設けられている。
そして、この方向切換弁は、例えば車両の走行方向を切換える前後進切換弁等により構成され、前記傾転アクチュエータに給排する傾転制御圧の方向を正,逆に切換えることにより、油圧ポンプの容量可変部を傾転角零の中立位置から正,逆の両方向に傾転させ、車両の走行方向を前進,後進,停止のいずれかに切換えるものである。
また、前記電磁比例減圧弁は、例えば電気的な制御手段であるコントローラから原動機の回転数に対応した電気信号が出力されることにより、この電気信号に応じた油圧による前,後差圧を容量可変部の傾転制御圧として発生させ、原動機の回転数が低い回転数のときには、傾転制御圧(差圧)を低い圧力として容量可変部の傾転角を小さくし、油圧ポンプの容量を小容量に抑える。そして、原動機の回転数が高い回転数となったときには、傾転制御圧(差圧)を高い圧力として容量可変部の傾転角を大きくし、油圧ポンプの容量を大容量に制御するものである。
一方、油圧ショベル等の建設機械には、開回路方式の油圧回路等に一般的に採用され、容量可変部を一方向のみに傾転させることを前提とした可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置も多く用いられている。そして、この場合の可変容量型油圧ポンプは、ディーゼルエンジン等の原動機で回転軸が一方向に回転駆動されることにより、タンクから吸込んだ作動油を高圧の圧油として一方向に吐出し、この圧油を作業用油圧シリンダ、走行用または旋回用油圧モータ等の各油圧アクチュエータに向けて供給するものである(例えば、特許文献2参照)。
この従来技術による可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置は、傾転制御圧が給排されることにより油圧ポンプの容量可変部を傾転駆動する傾転アクチュエータと、制御スリーブ内にスプールを有したサーボ弁からなり該傾転アクチュエータに給排する傾転制御圧を指令信号に従って制御するレギュレータと、該レギュレータに対して前記指令信号を出力する信号出力手段等とを備えている。
そして、この場合の信号出力手段は、例えば電磁比例減圧弁等からなり、外部からの電気信号に応じて指令信号となるパイロット圧を増減させ、このパイロット圧に従ってレギュレータのスプールを摺動変位させる。これにより、レギュレータは、前記傾転制御圧を増減させるように制御し、この傾転制御圧に応じて傾転アクチュエータを作動させることにより容量可変部の傾転角(ポンプ容量)が増減されるものである。
特開平3−117777号公報 特開2003−74461号公報
ところで、上述した従来技術(特許文献1)による可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置は、例えばチャージポンプとタンクとの間に設けた電磁比例減圧弁により、原動機の回転数に応じた前,後差圧を容量可変部の傾転制御圧として発生させ、この傾転制御圧(差圧)によって容量可変部の傾転角を増減させる構成としている。
しかし、この場合の電磁比例減圧弁は、電気的な制御手段であるコントローラにより前,後差圧が制御されるものであるから、例えばコントローラが故障して電気信号の出力が停止されたときには、傾転制御圧となる前,後差圧を発生できなくなり、容量可変部の傾転制御が失効するばかりでなく、最悪の場合には容量可変部が中立位置に停止してしまい、油圧ポンプによる圧油の吐出が中断されるという問題がある。
一方、他の従来技術(特許文献2)による可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置についても、レギュレータに指令信号を出力する信号出力手段を、例えばコントローラからの電気信号によりパイロット圧を可変に制御する電磁比例減圧弁で構成した場合には、前述の場合と同様な問題が生じる。
また、他の従来技術による可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置は、所謂油圧開回路等に一般的に採用されるように、容量可変部を一方向のみに傾転させることを前提としたもので、油圧モータ等の油圧アクチュエータと油圧ポンプとの間を、例えば油圧閉回路で接続し、容量可変部を両方向に傾転させて油圧ポンプによる圧油の吐出方向を両方向に切換えて用いる場合には、下記のような問題が生じるものである。
即ち、この場合の可変容量型油圧ポンプは、斜板等の容量可変部を例えば傾転角零の中立位置を基準として一方向(例えば、正方向)にのみ傾転駆動する構成としたもので、前記中立位置を基準として正,逆の両方向に傾転する場合を想定して設計したものではない。
このため、このような可変容量型油圧ポンプは、油圧モータ等の油圧アクチュエータに対し、例えば油圧閉回路を用いて接続しようとすると、前記中立位置を基準として正方向と逆方向とに容量可変部が傾転駆動されるように大幅な設計変更を行う必要が生じる。
しかも、このような可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置は、容量可変部の傾転動作に追従してレギュレータの制御スリーブをフィードバック制御するフィードバック機構を備えている場合が多い。しかし、このフィードバック機構は、例えば容量可変部を正方向に傾転する場合と逆方向に傾転する場合とで、レギュレータの制御スリーブを逆向きにフィードバック(摺動変位)させることになり、制御スリーブのフィードバック制御等を円滑に行うことができないという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、容量可変部を正方向と逆方向に傾転して圧油の吐出方向を両方向に切換えることができると共に、電気的な制御系統に故障が発生した場合でも容量可変部を傾転することができ、信頼性や安全性を向上することができるようにした可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、容量可変部を正方向と逆方向に傾転して圧油の吐出方向を両方向に切換える場合でも、レギュレータのフィードバック制御を円滑に行うことができ、全体の構造を簡素化できると共に、生産性の向上、コストの低減化等を図ることができるようにした可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、容量可変部を有し回転軸が原動機によって回転駆動される可変容量型の油圧ポンプと、傾転制御圧が給排されることにより該油圧ポンプの容量可変部を傾転駆動する傾転アクチュエータと、該傾転アクチュエータに給排する前記傾転制御圧を外部からの指令信号に従って制御するレギュレータと、該レギュレータに対して前記指令信号を出力する信号出力手段とを備えた可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記油圧ポンプは、前記傾転アクチュエータにより容量可変部を傾転角零の中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動する構成とし、前記信号出力手段は、前記原動機の回転数に対応した電気信号を出力するコントローラと、該コントローラから出力される電気信号を油圧力に変換し該油圧力をパイロット圧として出力する電気油圧変換部と、該電気油圧変換部から出力されるパイロット圧の最高圧とタンク圧との中間の圧力を保全圧として発生させる保全圧発生部と、該保全圧発生部による保全圧と前記電気油圧変換部によるパイロット圧とを比較し高い方の圧力を前記指令信号として前記レギュレータに出力する高圧選択部とにより構成したことにある。
また、請求項2の発明によると、前記保全圧発生部は、前記原動機により駆動され前記油圧ポンプよりも低い圧力を発生させる他のポンプと、該他のポンプの吐出側をタンクに接続する戻し管路の途中に設けられ上流側に前記保全圧を発生させる絞りとにより構成し、前記高圧選択部は、該絞りの上流側部位と前記電気油圧変換部の出力側とを接続する他の管路の途中に設けられた高圧選択弁により構成している。
また、請求項3の発明によると、前記信号出力手段は、前記電気油圧変換部から出力されるパイロット圧が最高圧となったときに前記容量可変部の傾転角が最大となるように前記レギュレータに指令信号を出力し、前記保全圧は、前記容量可変部の傾転角が最大となる前記指令信号の圧力よりも低い圧力に設定する構成としている。
一方、請求項4の発明によると、前記レギュレータと前記傾転アクチュエータとの間には、前記容量可変部を中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動するために、前記傾転制御圧の給排方向を切換える方向切換弁を設けてなる構成としている。
また、請求項5の発明によると、前記レギュレータは、制御スリーブ内にスプールが設けられた油圧パイロット式のサーボ弁からなり、該サーボ弁の制御スリーブと前記容量可変部との間には、前記制御スリーブを容量可変部の傾転動作に追従してフィードバック制御するフィードバック機構を設ける構成としている。
また、請求項6の発明によると、前記フィードバック機構は、前記容量可変部が中立位置にあるときに前記油圧ポンプの回転軸に沿った軸方向一側の初期位置となり、前記容量可変部が正,逆方向に傾転駆動されるときには前記初期位置から軸方向他側に向けて変位するように前記容量可変部の傾転動作を軸方向変位に変換して取出す変換部と、該変換部と前記レギュレータの制御スリーブとの間に設けられ該変換部で取出した軸方向変位を前記制御スリーブに伝える変位伝達部とにより構成している。
また、請求項7の発明によると、前記フィードバック機構の変位伝達部は、前記容量可変部が傾転するときに前記制御スリーブと一緒に前記回転軸の軸方向に沿って並進運動する並進部材により構成している。
さらに、請求項8の発明によると、前記油圧ポンプは、前記回転軸が回転可能に設けられる筒状のケーシングと、前記回転軸と一体に回転するように該ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有したシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、該各ピストンの端部に装着されたシューが摺動する摺動面を有し前記容量可変部となってケーシング内に傾転可能に設けられた斜板とを備え、前記傾転アクチュエータは、前記回転軸の径方向に離間して前記ケーシング内に設けられ前記斜板を中立位置から正,逆方向に傾転駆動する傾転ピストンによって構成し、前記レギュレータは、該傾転ピストンから離間して前記ケーシングに設けられ前記制御スリーブをフィードバック機構を介して前記斜板に連結する構成とし、前記フィードバック機構の変位伝達部は、その途中部位を前記ケーシングに対し前記回転軸の軸方向に沿って移動可能または揺動可能に取付ける構成としている。
上述の如く、請求項1に記載の発明は、油圧ポンプの容量可変部を傾転アクチュエータで傾転角零の中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動する構成としているので、例えば容量可変部を正方向に傾転している状態では油圧ポンプから油圧アクチュエータに対し、例えば油圧閉回路を通じて一方向に圧油を給排することができ、容量可変部を逆方向に傾転したときには油圧ポンプから油圧アクチュエータに対して他方向(逆方向)に圧油を給排することができる。また、レギュレータに指令信号を出力する信号出力手段を、コントローラ、電気油圧変換部、保全圧発生部および高圧選択部とにより構成しているので、原動機の回転数に対応した電気信号を出力するコントローラが正常に動作している通常動作時には、電気油圧変換部により原動機の回転数に対応したパイロット圧を出力でき、高圧選択部は、このときのパイロット圧と保全圧発生部による保全圧とを比較し高い方の圧力を前記レギュレータに指令信号として出力することができる。そして、このような通常動作時には、前記保全圧よりもパイロット圧を高い圧力とすることにより、前記レギュレータを原動機の回転数に対応して可変に制御でき、容量可変部の傾転角(油圧ポンプの押しのけ容積)を原動機の回転数に応じて増減することができる。
一方、コントローラ等の電気的な制御系統に故障が発生した場合には、コントローラからの電気信号が失効するために電気油圧変換部からパイロット圧を出力できず、例えばタンク圧のレベルまでパイロット圧が低下することがある。しかし、このような制御系統の故障時でも、保全圧発生部は、タンク圧よりも高い保全圧を発生し続けるので、高圧選択部は保全圧を指令信号として前記レギュレータに出力でき、該レギュレータで傾転制御圧を制御することにより油圧ポンプの容量可変部を、例えば中立位置から正方向または逆方向に傾転した状態に保持することができる。このため、電気的な制御系統の故障時にも、油圧ポンプから圧油を吐出し続け、例えば作業車両が走行不能になる等の問題を解消でき、信頼性や安全性を向上することができる。
また、前記高圧選択部が保全圧を指令信号としてレギュレータに出力し、この保全圧に従って油圧ポンプの容量制御を行うときには、容量可変部の傾転角を最大傾転よりも小さく抑えて圧油の吐出量を制限することにより、例えば車両のオペレータに電気系統の故障発生を気付かせることができ、迅速な対応を促すことができる。また、通常動作時には、電気油圧変換部がコントローラからの電気信号をパイロット圧に変換して指令信号を出力できるので、このときの制御特性をコントローラ側でソフト的に容易に変更することができ、設計の自由度を高めることができる。
また、請求項2に記載の発明は、保全圧発生部を他のポンプと絞りとにより構成し、該絞りの上流側に保全圧を発生させると共に、高圧選択部としての高圧選択弁を、絞りの上流側部位と電気油圧変換部の出力側とを接続する管路の途中に設ける構成としているので、コントローラ等の電気的な制御系統に故障が発生した場合には、前記絞りの上流側に発生する保全圧を用いてレギュレータにより傾転制御圧を制御でき、例えば油圧ポンプの容量(押しのけ容積)を中間容量に保つことができる。また、前記他のポンプは原動機により回転駆動されるため、前記保全圧を原動機の回転数に応じて増減でき、油圧ポンプの容量も原動機の回転数に応じてある程度は増減させることができる。
しかも、絞りの上流側に発生する保全圧は、電気系統の故障時等のように非常時に使用するものであるため、絞りを用いた圧力損失の特性等を高精度に設定する必要はなく、絞りの構造を含めて油圧回路の構成を簡素化することができる。また、この場合には、絞りによる圧力損失を小さくしても、必要な保全圧を発生できるので、エネルギ効率も向上することができる。そして、高圧選択部は、シャトル弁等の高圧選択弁により構成することができる。
また、請求項3に記載の発明によると、コントローラ、電気油圧変換部、保全圧発生部および高圧選択部からなる信号出力手段は、前記電気油圧変換部から出力されるパイロット圧が最高圧となったときに容量可変部の傾転角が最大となるようにレギュレータに指令信号を出力でき、一方の保全圧は、前記容量可変部の傾転角が最大となる前記指令信号の圧力よりも低い圧力に設定することができるので、この保全圧に従って油圧ポンプの容量制御を行うときには、容量可変部の傾転角を最大傾転よりも小さく抑えて圧油の吐出量を制限することができ、例えば車両のオペレータに電気系統の故障発生を気付かせ、迅速な対応を促すことができる。
一方、請求項4に記載の発明は、レギュレータと傾転アクチュエータとの間に設けた方向切換弁を切換制御することにより、前記傾転アクチュエータに対する傾転制御圧の給排方向を切換えることができ、この傾転制御圧に従って容量可変部を中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動することができる。また、これによってレギュレータを含めた傾転制御装置全体の構造を簡素化でき、生産性の向上、コストの低減化等を図ることができる。
また、請求項5に記載の発明によると、油圧パイロット式のサーボ弁からなるレギュレータの制御スリーブと容量可変部との間には、前記制御スリーブを容量可変部の傾転動作に追従してフィードバック制御するフィードバック機構を設ける構成としているので、容量可変部の傾転制御圧を指令信号に従って制御しながらレギュレータの制御スリーブを、容量可変部の傾転角に応じてフィードバック制御することができ、容量可変部の傾転角(例えば、車両の走行速度等)を指令信号に従って増減させるように安定した制御を実現することができる。
また、請求項6に記載の発明は、フィードバック機構を変換部と変位伝達部とにより構成しているので、容量可変部が中立位置にあるときにはフィードバック機構が油圧ポンプの回転軸に沿った軸方向一側の初期位置となり、前記容量可変部が正,逆方向に傾転駆動されるときには前記初期位置から軸方向他側に向けて変位するように、変換部によって容量可変部の傾転動作を軸方向変位に変換して取出すことができる。そして、変位伝達部は、このような軸方向変位をレギュレータの制御スリーブに伝えることができ、この制御スリーブをスプールと同方向に摺動変位させるようにレギュレータをフィードバック制御することができる。
従って、当該油圧ポンプを油圧アクチュエータに対し、例えば油圧閉回路を用いて接続した場合にも、容量可変部を中立位置から正方向と逆方向とにそれぞれ傾転して圧油の吐出量(流量)を両方向で制御できると共に、容量可変部が正,逆いずれの方向に傾転されるときにもレギュレータのフィードバック制御を円滑に行うことができる。そして、制御スリーブ内にスプールを有したサーボ弁によりレギュレータを構成できるので、傾転制御装置全体の構造を簡素化することができる。また、当該油圧ポンプは、所謂油圧開回路に適用しても油圧アクチュエータに圧油を給排することができるので、油圧閉回路と開回路との双方に適用でき、汎用性を高めて生産性の向上、コストの低減化等を図ることができる。
また、請求項7に記載の発明は、フィードバック機構の変位伝達部を、容量可変部が傾転するときにレギュレータの制御スリーブと一緒に回転軸の軸方向に沿って並進運動する並進部材により構成しているので、容量可変部が傾転するときに変換部により変換して取出される軸方向変位を、回転軸の軸方向に沿った並進部材の並進運動としてレギュレータの制御スリーブに伝えることができ、該制御スリーブを円滑にフィードバック制御することができる。
さらに、請求項8に記載の発明は、制御対象の油圧ポンプとして斜板式の可変容量型油圧ポンプを用い、レギュレータは、それぞれの制御スリーブをフィードバック機構を介して斜板に連結する構成とし、フィードバック機構の変位伝達部は、その途中部位を油圧ポンプのケーシングに対し回転軸の軸方向に沿って移動可能または揺動可能に取付ける構成としているので、斜板式の可変容量型油圧ポンプを油圧アクチュエータに対し例えば油圧閉回路を用いて接続した場合でも、斜板を傾転角零の中立位置から正方向と逆方向とにそれぞれ傾転でき、圧油の吐出量を両方向で制御できると共に、斜板が正,逆いずれの方向に傾転されるときにもレギュレータのフィードバック制御を円滑に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態による可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置を、例えばホイールローダ等のホイール式作業車両における走行用油圧回路に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は可変容量型油圧ポンプとしての斜板式可変容量型油圧ポンプで、該油圧ポンプ1は、後述のケーシング11、回転軸13、シリンダブロック14、弁板19および斜板21等によって構成されるものである。
また、油圧ポンプ1は、例えばディーゼルエンジン等の原動機2により回転軸13が回転駆動され、図1に示す如く一対の主管路3A,3B内に圧油を流通させるものである。そして、油圧ポンプ1は、主管路3A,3Bを介して後述の油圧モータ5に接続され、所謂油圧閉回路4を構成しているものである。
5は油圧アクチュエータとしての走行用油圧モータで、該油圧モータ5は、例えば減速機6を介してホイール式作業車両の車輪7,7に連結されている。そして、油圧モータ5は、油圧ポンプ1からの圧油が主管路3A,3Bを介して給排されることにより、車輪7を回転駆動して作業車両を走行駆動するものである。
11は油圧ポンプ1の外殻となるケーシングで、該ケーシング11は、図2、図3に示すように筒状のケーシング本体11Aと、該ケーシング本体11Aの両端側を閉塞したフロントケーシング11B、リヤケーシング11Cとから構成されている。そして、リヤケーシング11Cには、一対の給排通路12A,12Bが設けられ、該給排通路12A,12Bは、図1に示す主管路3A,3Bに接続されるものである。
また、ケーシング本体11Aの外周側には、図3に示す如く後述するレギュレータ24の弁ハウジング25内と連通する開口部11Dとドレン通路11Eとが形成されている。そして、ケーシング本体11Aの開口部11D内には、後述の並進バー33がガイド部材34等を介してスライド可能に取付けられるものである。また、ケーシング11内はドレン室となって後述のタンク36に接続されている。
13はケーシング11内に回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸13は、フロントケーシング11Bとリヤケーシング11Cとにそれぞれ軸受を介して回転可能に支持され、フロントケーシング11Bから軸方向に突出する突出端13A側が、図1に示す原動機2により回転駆動されるものである。
14は回転軸13と一体的に回転するようにケーシング11内に設けられたシリンダブロックで、該シリンダブロック14には、その周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダ15,15,…が設けられている。
16,16,…はシリンダブロック14の各シリンダ15内にそれぞれ摺動可能に挿嵌されたピストンで、該各ピストン16は、後述の斜板21が正,逆方向に傾転されたときに、シリンダブロック14の回転に伴ってシリンダ15内を往復動し、吸入行程と吐出行程とを繰返すものである。
また、ピストン16の一端側は、図2ないし図5に示すようにシリンダブロック14のシリンダ15から回転軸13の軸方向に突出し、該ピストン16の突出端側には、シュー17,17,…がそれぞれ揺動可能に取付けられている。
18は各シュー17を斜板21に対して保持する環状のシュー押えで、該シュー押え18は、図3ないし図5に示す如く後述する斜板21の摺動面21Aに向けてシュー17をそれぞれ押圧し、斜板21の摺動面21A上で各シュー17が環状軌跡を描くように摺動変位するのを補償するものである。
19はケーシング11内に位置してリアケーシング11Cとシリンダブロック14との間に設けられた弁板で、該弁板19は、シリンダブロック14の端面に摺接し、シリンダブロック14を回転軸13と一緒に回転可能に支持している。また、弁板19には、図3に示す如く眉形状をなす一対の給排ポート19A,19Bが形成され、これらの給排ポート19A,19Bは、リヤケーシング11Cの給排通路12A,12Bと連通しているものである。
そして、弁板19の給排ポート19A,19Bは、シリンダブロック14の回転時に各シリンダ15と間欠的に連通し、一方の給排通路12A(または12B)側から各シリンダ15内に吸込まれた作動油をピストン16により加圧させると共に、各シリンダ15内で高圧状態となった圧油を他方の給排通路12B(または12A)から吐出させる機能を有している。
20は回転軸13の周囲に位置してフロントケーシング11Bに設けられた斜板支持体で、該斜板支持体20は、斜板21の裏面側に位置し、斜板21を傾転可能に支持するための傾転支持面20Aを有している。そして、該傾転支持面20Aは、図4に示すように凹湾曲面形状をなし、斜板21を矢示A,B方向に傾転中心Cの回りで摺動可能に案内するものである。
21はケーシング11内に斜板支持体20を介して傾転可能に設けられた容量可変部としての斜板で、該斜板21は、表面側が各シュー17に対する摺動面21Aとなり、裏面側は斜板支持体20の傾転支持面20Aに嵌合される凸湾曲状の傾転案内面21Bとなっている。
ここで、斜板21の傾転案内面21Bは、図4ないし図6に示すように傾転中心Cから半径Rの円弧面として形成され、傾転中心Cは、回転軸13の軸線O−O上に配置されるものである。そして、斜板21は、図4、図7に示す傾転角零の中立位置から正方向(矢示A方向)と逆方向(矢示B方向)とに後述の傾転アクチュエータ22,23を用いて傾転駆動され、このときの傾転角θに応じて油圧ポンプ1の容量(圧油の吐出量)が可変に制御されるものである。
22,23は斜板21を傾転駆動する一対の傾転アクチュエータで、該傾転アクチュエータ22,23は、図2ないし図5に示すようにシリンダブロック14の径方向外側に位置してケーシング本体11Aに形成されたシリンダ穴22A,23Aと、該シリンダ穴22A,23A内に摺動可能に挿嵌され、該シリンダ穴22A,23Aとの間に液圧室22B,23Bを画成した傾転ピストン22C,23Cと、液圧室22B,23B内に配設され、該傾転ピストン22C,23Cを斜板21側に向けて常時付勢したスプリング22D,23Dとにより構成されている。
ここで、傾転アクチュエータ22,23は、ケーシング本体11Aに対しシリンダブロック14の径方向で互いに対向する位置に配設され、傾転ピストン22C,23Cによって斜板21を矢示A,B方向に傾転駆動する。即ち、傾転アクチュエータ22,23の液圧室22B,23Bは、図3、図6に示すように後述の制御管路39B,39Aに接続され、傾転制御圧が給排される。
そして、この傾転制御圧で傾転ピストン23Cが図5に示す如くシリンダ穴23A内から伸長し、傾転ピストン22Cがシリンダ穴22A内に縮小するときには、斜板21が傾転ピストン23Cによって矢示A方向(正方向)に傾転駆動される。また、傾転ピストン22Cがシリンダ穴22A内から伸長し、傾転ピストン23Cがシリンダ穴23A内へと縮小するときには、斜板21が傾転ピストン22Cによって矢示B方向(逆方向)に傾転駆動されるものである。
24は傾転アクチュエータ22,23に傾転制御圧を給排する容量制御弁としてのレギュレータで、該レギュレータ24は、図3に示すようにケーシング本体11Aの外側に位置してケーシング11に設けられた弁ハウジング25と、後述の制御スリーブ26、スプール27、油圧パイロット部28および弁ばね29等とからなり、図6に示す如く制御スリーブ26内にスプール27を有した油圧パイロット式のサーボ弁によって構成されるものである。
ここで、レギュレータ24の弁ハウジング25には、図3に示す如く傾転制御圧の給排ポート25A,25B等が設けられ、給排ポート25Aは後述の制御管路37Aを介してパイロットポンプ35の吐出側に接続されている。また、給排ポート25Bは後述の制御管路37Bに接続されている。そして、レギュレータ24の弁ハウジング25は、ケーシング11の外側面に液密に固定して設けられ、制御スリーブ26およびスプール27等は、回転軸13(図6に示す軸線O−O)と平行に延びるように配設されている。
26は弁ハウジング25内に摺動可能に挿嵌された筒状の制御スリーブで、該制御スリーブ26は、その軸方向一側の外周に後述の並進バー33が複数の固定ねじ等を用いて一体的に連結され、並進バー33の動き(回転軸13の軸方向に沿った並進運動)に追従して弁ハウジング25内を軸方向(図4中の矢示D,E方向)に摺動変位するものである。
27は制御スリーブ26内に摺動可能に挿嵌して設けられたスプールで、該スプール27は、制御スリーブ26の内周側で弁ハウジング25の軸方向に摺動変位することにより、給排ポート25Bを給排ポート25Aまたはドレン通路11Eに選択的に連通,遮断するものである。
28はスプール27の軸方向一側に位置して弁ハウジング25に設けられた油圧パイロット部で、該油圧パイロット部28は、後述の弁ばね29に抗してスプール27を軸方向に駆動するためのプランジャ28Aを有し、後述の指令圧管路49を介して指令圧が供給される。
そして、油圧パイロット部28のプランジャ28Aは、指令圧管路49からの指令圧をパイロット圧として受圧することにより、このパイロット圧に応じてスプール27を弁ハウジング25内で軸方向に摺動変位させ、図6に示すレギュレータ24を中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換えるものである。
29はスプール27の軸方向他側と弁ハウジング25との間に配設された弁ばねを示し、該弁ばね29は、スプール27を油圧パイロット部28側に向けて常時付勢し、例えば図6に示すレギュレータ24を中立位置(イ)に復帰させるものである。
30は斜板21の傾転動作に追従させてレギュレータ24をフィードバック制御するフィードバック機構で、該フィードバック機構30は、図3、図6に示すように斜板21の側面とレギュレータ24の制御スリーブ26との間に設けられた後述の変換部31および並進バー33により構成されている。
31は斜板21の傾転動作を回転軸13の軸線O−Oに沿った軸方向変位に変換して取出すための変換部で、該変換部31は、斜板21の側面から突出した状態で斜板21に固定して設けられた係合部としての突起部32と、後述の並進バー33に凹形状をなして設けられた被係合部としてのスライダ部33Aとにより構成されている。
そして、並進バー33のスライダ部33Aは、斜板21側の突起部32と摺動可能に係合することにより、斜板21の傾転動作を後述の如く軸方向変位に変換するものである。また、斜板21側の突起部32と並進バー33のスライダ部33Aとは、並進バー33が斜板21(突起部32)に対して回転軸13の軸方向に相対移動するのを規制し、回転軸13の軸方向と直交する方向に関しては斜板21(突起部32)と並進バー33とが相対移動するのを許すように両者を相対移動可能に連結している。
この場合、突起部32は、斜板21の側面に植設されたボルトまたはピン等により円柱状に形成され、斜板21が図6、図7に示す如く傾転角零の中立位置となった状態で回転軸13の軸線O−O上に位置するように配設されている。また、突起部32は、図7に示すように斜板21の傾転中心Cから半径Raだけ離間した位置に配置され、この半径Raは、傾転案内面21Bの半径Rよりも小さい半径(Ra<R)となっている。
33はフィードバック機構30の変位伝達部を構成する並進部材としての並進バーで、該並進バー33は、図3に示す如く後述のガイド部材34を介してケーシング本体11Aの開口部11D内にスライド可能に取付けられ、回転軸13の軸方向(図6に示す軸線O−O)に沿った並進運動を行うものである。そして、並進バー33は、図3に示すようにケーシング11内を回転軸13の径方向に延び、斜板21の側面と制御スリーブ26との間に配設されている。
ここで、並進バー33は、長さ方向の一側が断面コ字形状をなす凹形状のスライダ部33Aとなり、斜板21側の突起部32と共に変換部31を構成するものである。そして、該スライダ部33Aは、図6に示す如く回転軸13の軸線O−Oに対して直交する方向に延び、スライダ部33A内には斜板21側の突起部32が摺動可能に係合している。
そして、並進バー33のスライダ部33Aは、斜板21が中立位置にあるときに斜板21の突起部32と共に図7に示す初期位置に配置され、回転軸13の軸線O−Oと直交する線F−F上に位置する。このとき、並進バー33は、回転軸13の軸線O−Oに沿って最も後退(図6中の矢示E方向に後退)した位置に配置されるものである。
また、斜板21が中立位置から図5、図8に示すように矢示A方向(正方向)に傾転され、その傾転角θが角度α(θ=α)となったときには、斜板21の突起部32が軸線O−Oに対して角度αの位置まで回動される。これにより、並進バー33のスライダ部33Aは、突起部32の動きに追従して図8に示す線G−Gの位置まで平行移動(並進運動)され、初期位置の線F−Fに対して寸法aだけ回転軸13の軸方向に変位される。
一方、斜板21が中立位置から図9に示すように矢示B方向(逆方向)に傾転され、その傾転角θが角度β(θ=β)となったときには、斜板21の突起部32が軸線O−Oに対して角度βの位置まで回動される。これにより、並進バー33のスライダ部33Aは、突起部32の動きに追従して図9に示す線H−Hの位置まで平行移動され、初期位置の線F−Fに対して寸法bだけ回転軸13の軸方向に変位される。
なお、斜板21が正,逆方向に同一の傾転角θ(例えば、角度α,β)をもって傾転されるときには、斜板21の傾転角θに相当する角度α,βが互いに逆向きの等しい角度(α=β)となり、このときの軸方向変位に相当する前記寸法a,bは同一の値(a=b)に設定されるものである。
また、並進バー33は、図3に示す如く長さ方向の他側が制御スリーブ26を径方向外側から挟む二又状の固定部33Bとなり、該固定部33Bは、複数の固定ねじまたはリベット等の固定手段により制御スリーブ26の外周側に固定されている。そして、並進バー33は、制御スリーブ26に対して一定の角度(例えば、垂直となる90度)で固定された状態に保持され、制御スリーブ26の径方向に延びると共に、回転軸13の軸線O−Oに沿って制御スリーブ26を図4中の矢示D,E方向に変位させるものである。
このように、斜板21側の突起部32と並進バー33のスライダ部33Aとからなる変換部31は、斜板21が突起部32と一緒に正,逆方向に傾転するときに、斜板21の傾転動作を回転軸13の軸線O−Oに沿ったスライダ部33Aの軸方向変位(例えば、寸法a,b分の変位)に変換して取出す。そして、変位伝達部となる並進バー33は、スライダ部33Aの軸方向変位を固定部33Bにより制御スリーブ26に対し同様の軸方向変位として伝えるものである。
34は図3に示すケーシング11の開口部11Dを覆うように設けられたガイド部材で、該ガイド部材34は、並進バー33の長さ方向中間部を移動(摺動)可能に支持し、並進バー33が上,下方向(例えば、シリンダブロック14の周方向)等に揺動したり、ガタ等で振動したりするのを抑え、これによって、並進バー33が回転軸13の軸方向に滑らかに平行移動(並進運動)するのを補償するものである。
かくして、斜板21が図2中の矢示A,B方向に傾転されるときには、斜板21の傾転動作に従って図3に示す並進バー33が回転軸13の軸方向に平行移動するようになる。そして、並進バー33の平行移動は、固定部33B側でレギュレータ24の制御スリーブ26にそのまま伝えられ、これによりレギュレータ24のフィードバック制御が行われるものである。
35は傾転制御圧を発生させるパイロットポンプで、該パイロットポンプ35は、図1に示す原動機2で油圧ポンプ1と一緒に回転駆動される他のポンプを構成している。そして、パイロットポンプ35は、例えば図3に示すタンク36内から作動油を吸込みつつ、制御管路37A内に傾転制御用の圧油を後述の吐出管路42を介して吐出させるものである。
この場合、パイロットポンプ35から吐出される圧油の圧力は、低圧リリーフ弁38によって油圧ポンプ1の吐出圧よりも十分に低い圧力(例えば、3〜4MPa程度)に保たれるものである。また、制御管路37Bは、レギュレータ24の給排ポート25Bと後述の前後進切換弁40との間に設けられ、レギュレータ24等を介してタンク36に接続される。
39A,39Bは傾転アクチュエータ23,22の液圧室23B,22Bに傾転制御圧を給排する他の制御管路で、該制御管路39A,39Bは、図3、図6に示すように後述の前後進切換弁40を通じて制御管路37A,37Bに切換え接続されるものである。
40は制御管路37A,37Bと制御管路39A,39Bとの間に設けられた方向切換弁としての前後進切換弁で、この前後進切換弁40は、図3、図6に示す如く左,右のソレノイド部40A,40Bを有した電磁弁からなり、例えば運転室内の切換レバー(図示せず)をオペレータが手動操作することによって、車両の停止位置(a)から前進位置(b)または後進位置(c)に切換えられるものである。
そして、前後進切換弁40を停止位置(a)から前進位置(b)に切換えた状態では、後述する指令装置41(シャトル弁48)からの指令圧Pに応じてレギュレータ24が切換制御されることにより、パイロットポンプ35からの傾転制御圧が制御管路37A,39Aを通じて傾転アクチュエータ23の液圧室23Bに供給される。
また、このときには傾転アクチュエータ22の液圧室22Bから制御管路39B,37B、レギュレータ24等を介して傾転制御圧がタンク36側に排出される。これにより、傾転アクチュエータ23の傾転ピストン23Cは、斜板21を図6中の矢示A方向に傾転駆動するものである。
一方、前後進切換弁40を停止位置(a)から後進位置(c)に切換えたときには、パイロットポンプ35からの傾転制御圧が制御管路37A,39Bを通じて傾転アクチュエータ22の液圧室22Bに供給される。また、傾転アクチュエータ23の液圧室23Bからは、制御管路39A,37B、レギュレータ24等を介して傾転制御圧がタンク36側に排出されることにより、傾転アクチュエータ22の傾転ピストン22Cが斜板21を図6中の矢示B方向に傾転駆動するものである。
このように、前後進切換弁40は、レギュレータ24と傾転アクチュエータ22,23との間に設けられ、車両の停止位置(a)から前進位置(b)または後進位置(c)に切換えられることにより、傾転アクチュエータ22,23に対する傾転制御圧の給排方向を切換えると共に、この傾転制御圧に従って斜板21を中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動させるものである。
41はレギュレータ24に指令圧(指令信号)を出力する信号出力手段としての指令装置で、該指令装置41は、図6および図10に示すパイロットポンプ35、低圧リリーフ弁38、吐出管路42、後述の電磁比例減圧弁43、戻し管路46、絞り47、シャトル弁48、原動機2の回転数検出器50およびコントローラ51等により構成されている。
42はパイロットポンプ35の吐出側に接続された吐出管路で、該吐出管路42は、図6に示すように下流側が後述する電磁比例減圧弁43の流入側に接続されている。また、吐出管路42の途中部位には、低圧リリーフ弁38の流入側が接続されると共に、接続点Jの位置では制御管路37Aが分岐しているものである。
43は指令装置41の一部を構成する電気油圧変換部としての電磁比例減圧弁で、該電磁比例減圧弁43は、図6に示す如く流入側が吐出管路42の下流側に接続され、その流出側は管路44Aに接続されている。また、電磁比例減圧弁43は電磁比例ソレノイド部43Aを有し、該ソレノイド部43Aは、後述するコントローラ51の出力側に図10に示す如く接続されている。
そして、電磁比例減圧弁43は、コントローラ51から出力される電気信号を油圧力に変換し、この油圧力を図6中に示すパイロット圧Pi として管路44A内に出力(供給)するものである。この場合の管路44Aは、その基端側が電磁比例減圧弁43に接続され、先端側が後述のシャトル弁48に接続されている。また、シャトル弁48と後述する接続点Kとの間には、他の管路44Bが設けられている。
45は指令装置41の一部を構成する保全圧発生部で、この保全圧発生部45は、図6に示すようにパイロットポンプ35、低圧リリーフ弁38、戻し管路46および後述の絞り47等により構成され、この場合の戻し管路46は、パイロットポンプ35の吐出側を低圧リリーフ弁38を介してタンク36に接続しているものである。
47は戻し管路46の途中に設けられた絞りで、該絞り47は、パイロットポンプ35から低圧リリーフ弁38を介して戻し管路46内に流通する油液に絞り作用を与え、これによって絞り47の上流側部位(例えば、図6中に示す接続点K側)に保全圧Ph を発生させるものである。
また、絞り47の上流側となる接続点Kには、低圧リリーフ弁38の流出側が接続されると共に、後述するシャトル弁48との間に管路44Bが接続されている。そして、この管路44B内にも保全圧Ph が発生し、この保全圧Ph は、例えば1.0MPa前,後の圧力に設定されるものである。
48は管路44A,44B間に設けられた高圧選択部を構成する高圧選択弁としてのシャトル弁で、該シャトル弁48は、管路44A内のパイロット圧Pi と管路44B内の保全圧Ph とを比較し、高い方の圧力を指令信号(指令圧P)として指令圧管路49に出力するものである。そして、シャトル弁48で選択した指令圧Pは、指令圧管路49を通じてレギュレータ24の油圧パイロット部28にパイロット圧として供給されるものである。
50は原動機2の回転数を検出する回転数検出器で、該回転数検出器50は、例えばクランク角センサ等により構成され、後述するコントローラ51の入力側に図10に示すように接続されている。そして、回転数検出器50は、原動機2の回転数に対応した検出信号をコントローラ51に出力するものである。
51はマイクロコンピュータ等により構成され、指令装置41の一部をなすコントローラで、該コントローラ51は、図10に示す如く入力側が回転数検出器50等に接続され、出力側は電磁比例減圧弁43のソレノイド部43A等に接続されている。
ここで、電気的な制御手段であるコントローラ51は、回転数検出器50から出力される検出信号(図1に示す原動機2の回転数)に対応した電気信号を電磁比例減圧弁43のソレノイド部43Aに出力するものである。そして、電磁比例減圧弁43は、図11に例示する特性線52のように指令圧Pとなるパイロット圧Pi を、原動機2の回転数Nに対応して可変に出力する。
また、図6に示す絞り47の上流側部位(接続点K、管路44B)に発生する保全圧Ph は、パイロットポンプ35から吐出される圧油の吐出量が原動機2の回転数Nに応じて増減されるため、図11中に二点鎖線で例示した特性線53のように変化する。そして、例えばコントローラ51の故障時等には、保全圧Ph が後述の如くシャトル弁48によって指令圧Pとして選択されるものである。
この場合、原動機2の回転数は、例えば車両の運転室内に設けた走行ペダル、燃料レバーまたは制御ダイヤル(いずれも図示せず)等をオペレータが操作することにより、ガバナ等の回転数制御装置(図示せず)によって最低回転数(例えば、停止状態の回転数零)から最高回転数Nt (図11に示す)まで可変に制御される。
また、原動機2の回転数Nを最高回転数Nt まで上昇させたときに、電磁比例減圧弁43によるパイロット圧Pi は、図11に示す特性線52のように最高圧Pt (例えば、2.5MPa程度)まで増加する。一方、絞り47の上流側に発生する保全圧Ph は、特性線53のように中間圧Pm (例えば、1.0MPa程度)以下の圧力に抑えられるものである。
本実施の形態による斜板式可変容量型油圧ポンプ1を備えたホイール式作業車両の走行用油圧回路は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、図6に示す前後進切換弁40を停止位置(a)に配置した状態では、制御管路39A,39Bが共に制御管路37Aに接続され、傾転アクチュエータ22,23の液圧室22B,23Bは、等しい圧力状態に保たれるため、斜板21は傾転角零の中立位置に保持される。
このため、原動機2により回転軸13を回転駆動してシリンダブロック14を回転させても、各ピストン16がシリンダブロック14の各シリンダ15内で往復動することはなく、油圧ポンプ1の給排通路12A,12Bは互いに同圧状態となって、油圧モータ5への主管路3A,3Bを通じた圧油の給排は停止されたままとなる。
次に、車両のオペレータが前後進切換弁40を停止位置(a)から前進位置(b)に切換えたときには、指令装置41(シャトル弁48)からの指令圧Pに応じてレギュレータ24が切換制御されることにより、パイロットポンプ35からの傾転制御圧が制御管路37A,39Aを通じて傾転アクチュエータ23の液圧室23Bに供給される。
そして、このときには指令装置41(シャトル弁48)からの指令圧Pが、指令圧管路49を介してレギュレータ24の油圧パイロット部28にパイロット圧として供給されるので、レギュレータ24の弁ハウジング25内では、スプール27が指令圧Pに応じて軸方向に摺動変位され、レギュレータ24は図6に示す中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換えられる。
このため、制御管路37Bはレギュレータ24、ケーシング11内のドレン室等を介してタンク36に接続されるようになり、傾転アクチュエータ22の液圧室22B内から傾転制御圧が制御管路39B,37B、レギュレータ24等を介してタンク36側に排出される。これにより、傾転アクチュエータ23の傾転ピストン23Cは、斜板21を図6中の矢示A方向に傾転駆動する。
そして、斜板21が矢示A方向に傾転された状態では、シリンダブロック14が回転軸13と一体に回転することより、各ピストン16は傾転角θに対応したストローク量(押しのけ容積)をもってシリンダブロック14の各シリンダ15内で往復動を繰返すようになる。このため油圧ポンプ1は、例えば給排通路12A側から各シリンダ15内に油液を吸込みつつ、給排通路12B側から圧油を吐出する。
これにより、図1に示す走行用の油圧閉回路4内では、主管路3A,3B内を矢示A1 方向に沿って圧油が流通し、走行用の油圧モータ5を圧油の給排によって回転駆動することができる。そして、油圧モータ5の回転出力は、減速機6を介してホイール式作業車両の車輪7,7に伝達され、各車輪7を回転駆動することにより、例えば前進方向に作業車両を傾転角θに対応する速度で走行駆動できる。
一方、前後進切換弁40を停止位置(a)から後進位置(c)に切換えたときには、シャトル弁48からの指令圧Pに応じてレギュレータ24が切換制御されることにより、パイロットポンプ35からの傾転制御圧が制御管路37A,39Bを通じて傾転アクチュエータ22の液圧室22Bに供給される。また、傾転アクチュエータ23の液圧室23Bからは、制御管路39A,37B、レギュレータ24等を介して傾転制御圧がタンク36側に排出され、傾転アクチュエータ22の傾転ピストン22Cにより斜板21を図6中の矢示B方向に傾転駆動することができる。
そして、この場合には図1に示す走行用の油圧閉回路4内で矢示B1 方向に沿って圧油を流通することができ、走行用の油圧モータ5を同方向に回転駆動することにより、油圧モータ5の回転出力を減速機6を介してホイール式作業車両の車輪7,7に伝達しつつ、例えば後進方向に作業車両を傾転角θに対応する速度で走行駆動できる。
ところで、車両が前進または後進するときの走行速度は、油圧ポンプ1による圧油の吐出量(流量)によって決められ、この吐出量は斜板21の傾転角θに応じて増減される。そして、容量制御弁であるレギュレータ24を斜板21の傾転角θに応じてフィードバック制御しない限りは、斜板21の傾転角θ(即ち、車両の走行速度)をシャトル弁48からの指令圧Pだけで安定して制御することは難しい。
そこで、本実施の形態では、レギュレータ24の制御スリーブ26と斜板21の側面との間にフィードバック機構30を設け、斜板21が傾転角零の中立位置から正,逆方向のいずれの方向に傾転駆動されるときにも、斜板21の傾転動作に追従させてフィードバック機構30によりレギュレータ24をフィードバック制御する構成としている。
そして、このフィードバック機構30は、斜板21の傾転動作を軸方向変位に変換して取出す変換部31と、該変換部31で取出した軸方向変位により傾転動作に追従して回転軸13の軸方向に平行移動する並進バー33とからなり、この並進バー33は、変換部31による軸方向変位を先端側の固定部33Bによって制御スリーブ26に伝えるものである。
この場合、変換部31は、斜板21の側面に固定して設けられたピン等からなる円形の突起部32と、該突起部32に摺動可能に凹凸嵌合するように並進バー33の長さ方向一側に設けられ回転軸13の軸線O−Oと直交する方向に延びた凹形状のスライダ部33Aとにより構成し、斜板21の傾転動作を軸線O−Oに沿った軸方向変位に変換して並進バー33に伝えるものである。
このため、斜板21が中立位置から図8に示す如く矢示A方向(正方向)に傾転され、その傾転角θが角度α(θ=α)のときには、斜板21の突起部32が軸線O−Oに対して角度αの位置まで回動され、並進バー33のスライダ部33Aを、突起部32の動きに追従して図8に示す線G−Gの位置まで平行移動(並進運動)することができる。
そして、斜板21の傾転中心Cから半径Raの位置にある突起部32が角度αだけ回動するときには、並進バー33が初期位置の線F−Fから線G−Gの位置まで回転軸13の軸方向に変位するので、この軸方向変位量を下記の数1式による寸法aとして求めることができる。
Figure 2005201301
一方、斜板21が中立位置から図9に示すように矢示B方向(逆方向)に傾転され、その傾転角θが角度β(θ=β)となるときには、斜板21の突起部32が軸線O−Oに対して角度βの位置まで回動され、並進バー33のスライダ部33Aを、突起部32の動きに追従して図9に示す線H−Hの位置まで平行移動することができる。
そして、このときには並進バー33が初期位置の線F−Fから線H−Hの位置まで回転軸13の軸方向に変位するので、この軸方向変位量も下記の数2式による寸法bとして求めることができる。
Figure 2005201301
このように、斜板21側の突起部32と並進バー33のスライダ部33Aとからなる変換部31により、斜板21の傾転動作を回転軸13の軸線O−Oに沿った軸方向変位(例えば、寸法a,b分の変位)に変換して取出すことができ、これを並進バー33により制御スリーブ26に対し固定部33B側で同様の軸方向変位として伝達することができる。
そして、このときの軸方向変位は、斜板21が矢示A方向(正方向)に傾転するときにも、矢示B方向(逆方向)に傾転するときにも、同一方向(図6に示す矢示D方向)の変位として取出すことができ、斜板21が中立位置から正方向と逆方向のいずれに傾転される場合でも、レギュレータ24の制御スリーブ26をスプール27と同方向に摺動変位させ、制御スリーブ26を円滑にフィードバック制御することができる。
また、本実施の形態では、レギュレータ24の油圧パイロット部28に対して指令圧P(パイロット圧)を供給する指令装置41を、図6および図10に示す如くパイロットポンプ35、低圧リリーフ弁38、吐出管路42、電磁比例減圧弁43、戻し管路46、絞り47、シャトル弁48、回転数検出器50およびコントローラ51等により構成している。
そして、例えば走行ペダル(図示せず)の踏込み操作等に従って原動機2の回転数Nを増減させるときには、この回転数Nを回転数検出器50で検出することによりコントローラ51から回転数Nに対応した電気信号を電磁比例減圧弁43に出力でき、該電磁比例減圧弁43により電気信号をパイロット圧Pi に変換できると共に、図11中に特性線52として例示したパイロット圧Pi を、図6に示す管路44A内に発生することができる。
また、図6に示す絞り47の上流側(接続点K、管路44B側)には、パイロットポンプ35から吐出された圧油が低圧リリーフ弁38、絞り47を介して戻し管路46に流通することにより保全圧Ph が発生でき、この保全圧Ph は、図11中に二点鎖線で例示した特性線53のように原動機2の回転数Nに応じて増減する。
そして、管路44A,44B間に設けたシャトル弁48は、このときのパイロット圧Pi と保全圧Ph とを比較し、高い方の圧力を指令圧Pとして指令圧管路49からレギュレータ24の油圧パイロット部28に供給できる。この場合、コントローラ51が正常に動作している通常動作時には、パイロット圧Pi の方を保全圧Ph よりも高い圧力に設定できる。
このため、通常動作時にシャトル弁48からは、パイロット圧Pi を指令圧Pとして出力でき、この指令圧Pを図11中の特性線52の如く原動機2の回転数に応じて可変に制御できると共に、レギュレータ24の弁ハウジング25内でスプール27を指令圧Pに応じて軸方向に摺動変位させつつ、レギュレータ24の切換制御を行うことができる。
そして、パイロットポンプ35から制御管路37A,37B、39A,39B等を介して傾転アクチュエータ22,23に給排する傾転制御圧は、レギュレータ24によって可変に制御されるので、このときの傾転制御圧に応じて斜板21の傾転角θ(油圧ポンプ1の押しのけ容積)を可変に制御でき、図12に示す特性線54の如く斜板21の傾転角θを指令圧Pに従って増減することができる。
また、このような通常動作時には、原動機2の回転数Nを最高回転数Nt まで上昇させると、レギュレータ24の指令圧Pが電磁比例減圧弁43によるパイロット圧Pi に従って、図11に示す特性線52の如く最高圧Pt まで増加するので、この場合には斜板21の傾転角θを指令圧Pの最高圧Pt に応じて図12に示す特性線54の如く最大傾転角θt まで正,逆の双方向で傾転でき、ポンプ容量を最大流量に設定することができる。
一方、コントローラ51等の電気的な制御系統に故障が発生した場合には、コントローラ51から電磁比例減圧弁43に電気信号を出力できなくなることがある。そして、この場合には電磁比例減圧弁43が失効するために前記パイロット圧Pi を出力できず、例えばタンク圧のレベルまでパイロット圧Pi が低下することがある。
しかし、本実施の形態にあっては、このような制御系統の故障時でも、パイロットポンプ35から圧油を吐出している間は、絞り47の上流側にタンク圧よりも高い保全圧Ph を発生し続けることができる。このため、シャトル弁48は、保全圧Ph (図11中に二点鎖線で示す特性線53)を指令圧Pとしてレギュレータ24の油圧パイロット部28に出力できる。
そして、このような制御系統の故障時でも、絞り47の上流側に発生する保全圧Ph は、原動機2の回転数Nを増大させることにより図11中の特性線53に沿って中間圧Pm まで上昇するので、レギュレータ24を指令圧P(例えば、中間圧Pm )で切換制御することができ、斜板21を中立位置から正方向または逆方向に傾転した状態に保持することができる。
そして、指令圧Pが中間圧Pm のときには、図12に示す特性線54の如く斜板21の傾転角θを中間傾転角θm に設定することができ、ポンプ容量を中間容量に維持して油圧ポンプ1による圧油の吐出を続行できる。このため、電気的な制御系統の故障時にも、図1に示す油圧ポンプ1から油圧モータ5に向けて圧油を吐出し続け、例えば作業車両が走行不能になる等の問題を解消できる。
従って、本実施の形態によれば、容量可変部となる斜板21を中立位置から正方向または逆方向に傾転して油圧ポンプ1による圧油の吐出方向を両方向に切換えることができると共に、電気的な制御系統に故障が発生した場合でも、斜板21を中立位置から傾転した状態に保持して圧油の吐出を続行でき、信頼性や安全性を向上することができる。
また、このような故障発生時には、斜板21の傾転角θを最大傾転角θt よりも小さい、例えば中間傾転角θm 程度に抑えて圧油の吐出量を制限することにより、例えば車両のオペレータに電気系統の故障発生を気付かせることができ、迅速な対応を促すことができる。
しかも、絞り47の上流側に発生する保全圧Ph は、電気系統の故障時等のように非常時に使用するものであるため、絞り47を用いた圧力損失の特性等を高精度に設定する必要はなく、絞り47の構造を含めて図6に示す如き油圧回路を簡素化することができる。また、この場合には、絞り47による圧力損失を小さくしても、必要な保全圧Ph を発生できるので、エネルギ効率も向上することができる。
また、コントローラ51等が正常に動作している通常動作時には、電気油圧変換部となる電磁比例減圧弁43によりコントローラ51からの電気信号をパイロット圧Pi に変換でき、これをシャトル弁48から指令圧Pとして出力できるので、例えば図11中に示す特性線52の制御特性をコントローラ51側でソフト的に容易に変更することができ、設計の自由度を高めることができる。
また、本実施の形態によれば、斜板式可変容量型油圧ポンプ1を油圧モータ5に対し、図1に例示した油圧閉回路4を用いて接続した場合にも、斜板21を中立位置から正方向と逆方向とにそれぞれ傾転して圧油の吐出量(流量)を両方向で制御でき、車両の前進走行時または後進走行時にも斜板21の傾転角θに応じた速度制御を円滑に行うことができる。
しかも、容量制御弁となるレギュレータ24については、制御スリーブ26内にスプール27を有した簡単な構造の油圧パイロット式サーボ弁により構成できるので、傾転アクチュエータ22,23、レギュレータ24およびフィードバック機構30を含めた傾転制御装置全体の構造も簡素化することができ、部品点数を減らして組立時の作業性等も向上することができる。
また、レギュレータ24と傾転アクチュエータ22,23との間に前後進切換弁40を設けているので、レギュレータ24を含めた傾転制御装置全体の構造を従来技術に比較して簡素化でき、生産性の向上、コストの低減化等を図ることができる。
さらに、当該油圧ポンプ1の傾転制御装置は、図1に例示した油圧閉回路4に限らず、所謂油圧開回路に適用しても油圧モータ等の油圧アクチュエータに圧油を給排することができるので、油圧閉回路と開回路との双方に適用でき、汎用性を高めて生産性の向上、コストの低減化等を図ることができる。
なお、前記実施の形態では、前後進切換弁40を左,右のソレノイド部40A,40Bを有した電磁弁(電磁式方向切換弁)により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧パイロット式の方向切換弁により前後進切換弁を構成してもよい。また、プッシュ・プルケーブルやリンク機構等を用いて切換操作される機械式の方向切換弁により前後進切換弁を構成してもよい。
また、前記実施の形態では、原動機2の回転数Nをクランク角センサ等の回転数検出器50を用いて検出するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば原動機2の回転数Nを設定する回転数設定器(走行ペダル、燃料レバーまたは制御ダイヤル等)の操作量を操作量検出器で検出し、この検出信号を原動機2の回転数検出信号として用いてもよい。
一方、前記実施の形態では、保全圧発生部45を、パイロットポンプ35、低圧リリーフ弁38、戻し管路46および絞り47等により構成し、絞り47の上流側に保全圧Ph を発生させる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば低圧リーフ弁38よりも設定圧が低く設定された他のリリーフ弁、または低圧のアキュムレータ等を用いて保全圧発生部を構成してもよい。
また、前記実施の形態では、フィードバック機構30の変換部31側で取出した軸方向変位をレギュレータ24の制御スリーブ26に伝える変位伝達部を並進部材としての並進バー33により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば途中部位がケーシングに揺動可能に支持(連結)された揺動リンクを用いて変位伝達部を構成し、変換部31側で取出した軸方向変位をこの揺動リンクによりレギュレータ24の制御スリーブ26に伝える構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、斜板式可変容量型油圧ポンプ1の傾転制御装置を、例えばホイールローダ等のホイール式作業車両における走行用油圧回路に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、走行用の油圧回路に限らず、例えば旋回用の油圧回路等、種々の用途の油圧閉回路にも適用できるものである。
また、前記実施の形態では、斜板式可変容量型油圧ポンプ1の傾転制御装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明の適用対象は、斜板式可変容量型油圧ポンプに限らず、例えば斜軸式の可変容量型油圧ポンプであってもよく、この場合には、例えば弁板等が容量可変部を構成するものである。
さらに、本発明が適用される作業車両としてはホイールローダに限らず、例えばホイール式油圧ショベル、ホイール式油圧クレーン、ブルドーザ、リフトトラックと呼ばれる作業車両、またはクローラ式の油圧ショベル、油圧クレーン等の作業車両等にも適用できるものである。
本発明の第1の実施の形態による可変容量型油圧ポンプが設けられた油圧閉回路を示す回路図である。 図1に示す油圧ポンプの縦断面図である。 油圧ポンプを図2中の矢示 III−III 方向からみた縦断面図である。 斜板が中立位置にある状態を図3中の矢示IV−IV方向からみた拡大断面図である。 斜板が正方向に傾転した状態を示す図4と同様位置での断面図である。 斜板の傾転制御装置を示す回路構成図である。 図6中の斜板を傾転ピストンと共に示す正面図である。 図7中の斜板を正方向に傾転した状態を示す正面図である。 図7中の斜板を逆方向に傾転した状態を示す正面図である。 指令装置のコントローラ等を示す制御ブロック図である。 原動機の回転数と指令圧との関係を示す特性線図である。 指令圧と斜板の傾転角との関係を示す特性線図である。
符号の説明
1 油圧ポンプ
2 原動機
4 油圧閉回路
5 油圧モータ(油圧アクチュエータ)
11 ケーシング
13 回転軸
14 シリンダブロック
15 シリンダ
16 ピストン
17 シュー
19 弁板
20 斜板支持体
21 斜板(容量可変部)
21A 摺動面
22,23 傾転アクチュエータ
22B,23B 液圧室
22C,23C 傾転ピストン
24 レギュレータ
25 弁ハウジング
26 制御スリーブ
27 スプール
28 油圧パイロット部
29 弁ばね
30 フィードバック機構
31 変換部
32 突起部(係合部)
33 並進バー(変位伝達部、並進部材)
33A スライダ部(被係合部)
33B 固定部
34 ガイド部材
35 パイロットポンプ(他のポンプ)
36 タンク
40 前後進切換弁(方向切換弁)
41 指令装置(信号出力手段)
43 電磁比例減圧弁(電気油圧変換部)
44A,44B 管路
45 保全圧発生部
46 戻し管路
47 絞り
48 シャトル弁(高圧選択部、高圧選択弁)
49 指令圧管路
50 回転数検出器(回転数検出手段)
51 コントローラ
P 指令圧(指令信号)
Pi パイロット圧
Ph 保全圧

Claims (8)

  1. 容量可変部を有し回転軸が原動機によって回転駆動される可変容量型の油圧ポンプと、傾転制御圧が給排されることにより該油圧ポンプの容量可変部を傾転駆動する傾転アクチュエータと、該傾転アクチュエータに給排する前記傾転制御圧を指令信号に従って制御するレギュレータと、該レギュレータに対して前記指令信号を出力する信号出力手段とを備えてなる可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置において、
    前記油圧ポンプは、前記傾転アクチュエータにより容量可変部を傾転角零の中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動する構成とし、
    前記信号出力手段は、前記原動機の回転数に対応した電気信号を出力するコントローラと、
    該コントローラから出力される電気信号を油圧力に変換し該油圧力をパイロット圧として出力する電気油圧変換部と、
    該電気油圧変換部から出力されるパイロット圧の最高圧とタンク圧との中間の圧力を保全圧として発生させる保全圧発生部と、
    該保全圧発生部の保全圧と前記電気油圧変換部のパイロット圧とを比較し高い方の圧力を前記指令信号として前記レギュレータに出力する高圧選択部とにより構成したことを特徴とする可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  2. 前記保全圧発生部は、前記原動機により駆動され前記油圧ポンプよりも低い圧力を発生させる他のポンプと、該他のポンプの吐出側をタンクに接続する戻し管路の途中に設けられ上流側に前記保全圧を発生させる絞りとにより構成し、前記高圧選択部は、該絞りの上流側部位と前記電気油圧変換部の出力側とを接続する他の管路の途中に設けられた高圧選択弁により構成してなる請求項1に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  3. 前記信号出力手段は、前記電気油圧変換部から出力されるパイロット圧が最高圧となったときに前記容量可変部の傾転角が最大となるように前記レギュレータに指令信号を出力し、前記保全圧は、前記容量可変部の傾転角が最大となる前記指令信号の圧力よりも低い圧力に設定する構成としてなる請求項1または2に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  4. 前記レギュレータと前記傾転アクチュエータとの間には、前記容量可変部を中立位置から正方向と逆方向とに傾転駆動するために、前記傾転制御圧の給排方向を切換える方向切換弁を設けてなる請求項1,2または3に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  5. 前記レギュレータは、制御スリーブ内にスプールが設けられた油圧パイロット式のサーボ弁からなり、該サーボ弁の制御スリーブと前記容量可変部との間には、前記制御スリーブを容量可変部の傾転動作に追従してフィードバック制御するフィードバック機構を設ける構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  6. 前記フィードバック機構は、前記容量可変部が中立位置にあるときに前記油圧ポンプの回転軸に沿った軸方向一側の初期位置となり、前記容量可変部が正,逆方向に傾転駆動されるときには前記初期位置から軸方向他側に向けて変位するように前記容量可変部の傾転動作を軸方向変位に変換して取出す変換部と、該変換部と前記レギュレータの制御スリーブとの間に設けられ該変換部で取出した軸方向変位を前記制御スリーブに伝える変位伝達部とにより構成してなる請求項5に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  7. 前記フィードバック機構の変位伝達部は、前記容量可変部が傾転するときに前記制御スリーブと一緒に前記回転軸の軸方向に沿って並進運動する並進部材により構成してなる請求項6に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
  8. 前記油圧ポンプは、前記回転軸が回転可能に設けられる筒状のケーシングと、前記回転軸と一体に回転するように該ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有したシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、該各ピストンの端部に装着されたシューが摺動する摺動面を有し前記容量可変部となってケーシング内に傾転可能に設けられた斜板とを備え、
    前記傾転アクチュエータは、前記回転軸の径方向に離間して前記ケーシング内に設けられ前記斜板を中立位置から正,逆方向に傾転駆動する傾転ピストンによって構成し、
    前記レギュレータは、該傾転ピストンから離間して前記ケーシングに設けられ前記制御スリーブをフィードバック機構を介して前記斜板に連結する構成とし、
    前記フィードバック機構の変位伝達部は、その途中部位を前記ケーシングに対し前記回転軸の軸方向に沿って移動可能または揺動可能に取付ける構成としてなる請求項6または7に記載の可変容量型油圧ポンプの傾転制御装置。
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