JP2005204352A - 接着剤及びモータに対する永久磁石の固定方法並びに永久磁石式モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性及び充填性がいずれも高く、永久磁石の冷却性を大幅に高めることが可能な接着剤を提供する。
【解決手段】モータ1の永久磁石5を固定するのに用いる接着剤6であって、メソゲン基及び重合性基を分子中に含むモノマー7の100重量部に対して、重合性基を含み室温から100℃の範囲で液状の樹脂8の10重量部を少なくとも含み、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させた。
【選択図】 図4
【解決手段】モータ1の永久磁石5を固定するのに用いる接着剤6であって、メソゲン基及び重合性基を分子中に含むモノマー7の100重量部に対して、重合性基を含み室温から100℃の範囲で液状の樹脂8の10重量部を少なくとも含み、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させた。
【選択図】 図4
Description
本発明は、永久磁石式モータに係り、特に、永久磁石を固定するのに好適な接着剤及び永久磁石の固定方法に関するものである。
永久磁石式モータは、その出力が増すと、ステータに巻いたコイルの電流が増して発熱したり、永久磁石内の過電流によって発熱したりするが、この永久磁石の発熱に伴う温度上昇は、永久磁石の磁力が減じてしまうといった事態を招く恐れがあるため、モータの出力性能の維持ないし向上を実現し得る冷却技術の構築が望まれている。
「機械工学便覧」社団法人 日本機械学会 発行 昭和63年5月15日 A8−46〜A8−56
ところが、従来の永久磁石式モータにおいて、永久磁石を固定するのに用いる接着剤は、熱伝導率が低いこと、充填性が悪いこと、といった欠点を有しており、磁石固定部と永久磁石との間の接着層が、発熱した永久磁石の断熱層として作用してしまうことから、永久磁石の冷却の妨げとなっている。
そこで、熱伝導性フィラーを充填して、接着剤の熱伝導性及び充填性を高める試みがなされているが、熱伝導性フィラーを多く充填した場合には、接着剤の粘性が上昇して充填時に空気を巻き込んでしまい、一方、熱伝導性フィラーの充填量を少なく抑えた場合には、満足し得る熱伝導性を得ることができず、結果として、いずれの場合も、永久磁石の冷却性を高めることができないという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、熱伝導性及び充填性がいずれも高く、永久磁石の冷却性を大幅に高めることが可能な接着剤を提供することを目的としている。
本発明は、モータの永久磁石を固定するのに用いる接着剤であって、メソゲン基及び重合性基を分子中に含むモノマー100重量部に対して、重合性基を含み室温から100℃の範囲で液状の樹脂10重量部を少なくとも含み、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させた構成としたことを特徴としており、この接着剤の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
また、本発明のモータに対する永久磁石の固定方法は、モータの磁石固定部に永久磁石を固定するに際して、上記接着剤を永久磁石とモータの磁石固定部との間に塗布した後、上記永久磁石に磁力を与える熱処理の段階で接着剤を熱硬化させて、これにより生じる接着力でモータの磁石固定部に永久磁石を固定する構成としている。
さらに、本発明のモータにおいて、永久磁石が上記接着剤を用いて固定してある構成としている。
本発明の接着剤において、メソゲン基とは、液晶性を発現する官能基を示す。具体的には、表1に示すように、ビフェニル,ターフェニル,フェニルベンゾエート,アゾベンゼン,スチルべンやその誘導体などが挙げられる。
通常、メソゲン基を含むモノマーは常温で固体であり、その取り扱いは困難であるが、室温から100℃で液状の樹脂10重量部を少なくとも含んでいることから、ペースト状又は液状となり、取り扱いが易しくなる。永久磁石は、高温で磁力が減じてしまうが、磁力の減り始め温度まで加熱溶融させることなく塗布することができる。
本発明の接着剤では、モノマー中に液晶性を発現するメソゲン基を有しているので、液晶状態では、図1に示すように、分子が高次構造を形成し、その結果、高分子材料の熱伝導媒体とされているフォノンによる熱伝導が促進されることとなる。
一方、本発明のモータに対する永久磁石の固定方法において、接着剤が硬化する前に磁場を印加することで、図2に示すように、接着剤中のメソゲン基(7)の分子鎖を磁場方向に配向させることができ、磁場を印加しながら熱処理すれば、メソゲン基を上記のように配向した状態で固定化して、この配向状態を使用中も維持することが可能になる。
ここで、メソゲン基は、その分子鎖の軸方向の熱伝導率が高いことから、磁場方向、すなわち、ロータの径方向の熱伝導性が向上する。したがって、磁石の熱伝導方向と接着剤の熱伝導方向とが一致することから、磁石で発した熱をロータへ効率良く伝達可能となり、加えて、磁石に磁力を与える工程で印加する磁場を利用できるので、分子鎖の配向のための磁場印加工程を別個に設ける必要がなくなる。
本発明の接着剤によれば、上記した構成としているので、熱伝導を促進させることができ、したがって、永久磁石の冷却性能の大幅な向上を実現することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の接着剤において、モノマー及び液状の樹脂が重合性基としてエポキシ基を有する構成を採用することができ、この場合には、重合後の硬化物は熱的にも機械的にも安定し、磁石や磁石固定部をはじめとして様々な物に対して良好な接着力を得ることができる。
また、本発明の接着剤において、モノマー及び液状の樹脂よりも熱伝導率の高いフィラーを有している構成としてもよく、このような構成を採用することで、磁石固定部と永久磁石との間の接着層の熱伝導効率を高めることが可能となる。
さらに、本発明の接着剤において、フィラーが絶縁性を有している構成とすることもでき、この場合には、接着層に渦電流発生に伴う発熱が起こらない。ここで、絶縁性フィラーとしては、絶縁性及び熱伝導性の観点から、例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化けい素、炭化けい素、ダイヤモンド等を使用することができる。
一方、本発明のモータに対する永久磁石の固定方法において、接着剤が硬化する温度を永久磁石の磁力が減じる温度よりも低く設定することができ、このような構成を採用することで、永久磁石の磁力が減じるのを回避することが可能である。
そして、本発明のモータでは、永久磁石を上記接着剤を用いて固定するように成すことで、発熱した永久磁石の熱伝導性を高めて温度の上昇を少なく抑え得ることとなり、その結果、出力の向上が図られることとなる。
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図3及び図4は本発明の一実施例を示している。
図3及び図4は本発明の一実施例を示している。
図3に示すように、この永久磁石式モータ1は、ステータコア2と、ロータ3と、シャフト4を備えており、ロータ3に設けた軸方向に貫通する磁石用孔(モータの磁石固定部)3aには、永久磁石5が接着剤6を介して固定してある。
上記接着剤6は、図4に示すように、メソゲン基を含むモノマー7と100℃で液状の樹脂8とで主として構成してあって、その配合比は、モノマー100重量部に対して樹脂10重量部としてある。そして、この実施例では絶縁フィラー9が配合してあり、モノマー7及び液状の樹脂8は重合性基としてエポキシ基を有している。
上記ロータ3の磁石用孔3aに永久磁石5を固定するに際しては、接着剤6をロータ3の磁石用孔3aと永久磁石5との間に塗布した後、永久磁石5に磁力を与える熱処理の段階で接着剤6を熱硬化させて、これにより生じる接着力でロータ3の磁石用孔3aに永久磁石5を固定するようにしている。
この場合、接着剤6を熱硬化させる前に磁場を印加することにより、メソゲン基を一方向に規則的に配向させている、すなわち、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させている。
上記接着剤6の樹脂8はその配向方向の熱伝導性が良いので、発熱した永久磁石の5の熱をロータ3に効率良く伝達可能であり、また、モノマー7及び液状の樹脂8が重合性基としてエポキシ基を有していることから、熱的にも機械的にも安定した接着性が得られる。なお、図4では、絶縁フィラー9の粒子径が均一な場合を示しているが、絶縁フィラー9の粒子径が互いに異なっていても何ら支障はない。
[実施例2]
図5は本発明の他の実施例を示しており、この実施例では、磁場を印加せずに接着剤26を熱硬化させるようにしていて、他の構成は先の実施例と同じである。
図5は本発明の他の実施例を示しており、この実施例では、磁場を印加せずに接着剤26を熱硬化させるようにしていて、他の構成は先の実施例と同じである。
上記したように、磁場を印加せずに接着剤26を熱硬化させているので、図5に示すように、メソゲン基を含んだモノマー7を一方向に規則的に配向させているとは言えないが、メソゲン基を含んだモノマー7は、磁場を印加しなくても自己配向する特性を有していることから、上記接着剤26は、メソゲン基を含まないモノマーからなる接着剤と比較して熱伝導性に優れている。
[実施例3]
図6は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤36が絶縁フィラー9を含まない場合を示していて、他の構成は実施例1と同じである。
図6は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤36が絶縁フィラー9を含まない場合を示していて、他の構成は実施例1と同じである。
この実施例において、接着剤36を熱硬化させる前に磁場を印加することにより、メソゲン基を一方向に規則的に配向させている、すなわち、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させているので、発熱した永久磁石の5の熱をロータ3に効率良く伝達可能であり、また、上記接着剤36は、メソゲン基を含まないモノマーからなる接着剤と比較して熱伝導性に優れている。
[実施例4]
図7は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤46をメソゲン基を含むモノマー47と100℃で液状の樹脂48とから主として構成している。この接着剤46のモノマー47は、アクリル酸エステルや、メタクリル酸エステル等のアクリル系の重合性基を有しており、他の構成は実施例1と同じである。
図7は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤46をメソゲン基を含むモノマー47と100℃で液状の樹脂48とから主として構成している。この接着剤46のモノマー47は、アクリル酸エステルや、メタクリル酸エステル等のアクリル系の重合性基を有しており、他の構成は実施例1と同じである。
この実施例において、実施例1のエポキシ基を含むモノマー7から得られるエポキシ樹脂よりも耐熱性や耐湿性等の性能が劣ることから、モータの使用環境によってクラックCが生じる可能性がないとは言えないものの、上記接着剤46も、メソゲン基を含まないモノマーからなる接着剤と比較して熱伝導性に優れている。
[実施例5]
図8は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤56が導電性のフィラー59を配合している場合を示していて、他の構成は実施例1と同じである。
図8は本発明のさらに他の実施例を示しており、この実施例では、接着剤56が導電性のフィラー59を配合している場合を示していて、他の構成は実施例1と同じである。
この実施例において、接着剤56のフィラー59が導電性を有していることから、この接着剤56の層に渦電流発生に伴う発熱が生じる可能性がないとは言えないものの、上記接着剤56も、メソゲン基を含まないモノマーからなる接着剤と比較して熱伝導性に優れている。
[比較例1]
図9は比較例を示しており、この比較例の接着剤96は、メソゲン基を含まない樹脂98と熱伝導性のフィラー99とから主として構成してある。
図9は比較例を示しており、この比較例の接着剤96は、メソゲン基を含まない樹脂98と熱伝導性のフィラー99とから主として構成してある。
この比較例において、熱伝導性の向上を図って、熱伝導性フィラー99を高充填するようにしたため、接着剤96の粘度が高くなって、接着剤充填時に空気Aを巻き込んでしまい、その結果、上記した実施例1〜5の接着剤と比較して冷却性能が劣ってしまう。
[比較例2]
図10は他の比較例を示しており、この比較例の接着剤106は、メソゲン基を含まない樹脂108から主として構成してある。
図10は他の比較例を示しており、この比較例の接着剤106は、メソゲン基を含まない樹脂108から主として構成してある。
この比較例において、フィラーを省いた分だけ充填性を高めることで、冷却性能の向上を図っているが、接着剤106の熱伝導性が低くなり、その結果、上記した実施例1〜5の接着剤と比較して冷却性能が劣ってしまう。
[比較例3]
図11はさらに他の比較例を示しており、この比較例の接着剤116は、メソゲン基を含むモノマー7と100℃で液状の樹脂8とで主として構成してあるが、その配合比をモノマー100重量部に対して樹脂10重量部以下としている。
図11はさらに他の比較例を示しており、この比較例の接着剤116は、メソゲン基を含むモノマー7と100℃で液状の樹脂8とで主として構成してあるが、その配合比をモノマー100重量部に対して樹脂10重量部以下としている。
この比較例において、液状樹脂の配合比が少ないため、接着剤116を充填する際には、永久磁石5の減磁開始温度以上に加熱して溶融させる必要があり、したがって、モータの出力性能が低下してしまう。
上記した実施例において、ロータ3に4つの磁石用孔3aを形成して、これらの磁石用孔3aに永久磁石5をそれぞれ配置するようにしているが、永久磁石5の形状や個数はこれに限定されるものではなく、磁気設計に基づいて、適宜形状の永久磁石5を必要数配置することができる。
1 永久磁石式モータ
3a 磁石用孔(モータの磁石固定部)
5 永久磁石
6,26,36,46,56 接着剤
7 メソゲン基及びエポキシ基を含むモノマー
8,48 液状の樹脂
9,59 フィラー
3a 磁石用孔(モータの磁石固定部)
5 永久磁石
6,26,36,46,56 接着剤
7 メソゲン基及びエポキシ基を含むモノマー
8,48 液状の樹脂
9,59 フィラー
Claims (7)
- モータの永久磁石を固定するのに用いる接着剤であって、メソゲン基及び重合性基を分子中に含むモノマー100重量部に対して、重合性基を含み室温から100℃の範囲で液状の樹脂10重量部を少なくとも含み、メソゲン基の延在方向を熱伝導方向に略一致させたことを特徴とする接着剤。
- モノマー及び液状の樹脂が重合性基としてエポキシ基を有する請求項1に記載の接着剤。
- モノマー及び液状の樹脂よりも熱伝導率の高いフィラーを有している請求項1又は2に記載の接着剤。
- フィラーが絶縁性を有している請求項3に記載の接着剤。
- モータの磁石固定部に永久磁石を固定するに際して、請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤を永久磁石とモータの磁石固定部との間に塗布した後、上記永久磁石に磁力を与える熱処理の段階で接着剤を熱硬化させて、これにより生じる接着力でモータの磁石固定部に永久磁石を固定することを特徴とするモータに対する永久磁石の固定方法。
- 接着剤の熱硬化温度を永久磁石の磁力が減じる温度よりも低く設定する請求項5に記載のモータに対する永久磁石の固定方法。
- 永久磁石が請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤を用いて固定してあることを特徴とする永久磁石式モータ。
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-
2004
- 2004-01-13 JP JP2004004918A patent/JP2005204352A/ja not_active Withdrawn
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