JP2005225711A - 酸化鉄系黄色顔料及びその製造方法 - Google Patents

酸化鉄系黄色顔料及びその製造方法 Download PDF

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潤 高田
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真 中西
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裕史 浅岡
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Abstract

【課題】 人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし0<x<1)なる構造をもつAl置換Znフェライトを、500℃〜1400℃において焼成することにより製造することができる。特に上記xが0.075以上0.8以下の場合において、その色調が鮮明な黄色系を呈する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化鉄系黄色顔料及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、黄鉛等の人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料、及びその製造方法に関するものである。
無機顔料は有機顔料に比較して耐熱性・耐候性・耐薬品性に優れており、変色を起こし難いいため、屋外や水中等の過酷な環境下で多く使用されている。無機顔料のうち黄色無機顔料は、注意を促すためのトラフィックペイント・工事用車両・建設用機械等広範に用いられ、その需要は有色顔料中で赤色顔料についで第2位と非常に大きい。
かかる黄色無機顔料としては、黄鉛(PbCrO4等)・カドミウムイエロー・酸化鉄イエロー(γ−FeOOH)が従来から知られている。しかし黄鉛・カドミウムイエローは、鉛(Pb)・クロム(Cr)・カドミウム(Cd)等の人体・環境に有害な物質を含むため好ましくない。特に黄鉛は鉛中毒予防規則に指定されている有害な物質である。他方、酸化鉄イエローは上記有害物質を含まない点で好ましいが、耐熱性が低く約300℃でγ−Fe23へ相変態し、黒褐色へ変色してしまうという欠点がある。それゆえ、かかる人体・環境に有害な物質を含まず、かつ耐熱性・耐候性に富む黄色無機顔料の開発が求められている。
この黄色無機顔料(該顔料の製造方法)としては、黄色酸化鉄系顔料へ水酸化亜鉛を析出付着させ、焼成して得られるものが開示されている(特許文献1参照)。またα−FeOOHにAlを固溶させたアルミニウム固溶黄色酸化鉄が開示されている(特許文献2参照)。その他スピネル型構造をもった鉄(Fe)・亜鉛(Zn)等からなる複合酸化物(フェライト)からなる黄色無機顔料について開示されている(例えば特許文献3〜8参照)。
ところで、ZnFe24(亜鉛フェライト)のFeの一部をアルミニウム(Al)に置換した化合物を、固相反応法・水熱反応法によって製造する方法については、すでに知られている(非特許文献1及び2参照)。
特公平3−57055号公報(公告日:平成3年(1991)8月30日、公開公報:特開昭63−8221号公報、公開日:昭和63年(1988)1月14日) 特開平11−209645号公報(公開日:平成11年(1999)8月3日) 特開昭56−95955号公報(公開日:昭和56年(1981)8月3日) 特開昭58−60622号公報(公開日:昭和58年(1983)4月11日) 特開昭51−35700号公報(公開日:昭和51(1976)3月26日) 特開平57−11829号公報(公開日:昭和57(1982)1月21日) 特公平7−17384号公報(公告日:平成7年(1995)3月1日、公開公報:特開平2−32169号公報、公開日:平成2年(1990)2月1日) 特開平4−224115号公報(公開日:平成4年(1992)8月13日) J. C. Waerenborgh, M. O. Figueiredo, J. M. P. Cabral and L. C. J. Pereira. "Temperature and Composition Dependence of the Cation Distribution in Synthetic ZnFeyAl2-yO4(0≦y≦1) Spinels" Journal of Solid State Chemistory, Volume 111, Issue 2, August 1994, Pages 300-309. J. A. Toledo, M. A. Valenzuela, P. Bosch, H. Armendariz, A. Montoya, N. Nava and A. Vazquez. "Effect of Al3+introduction into hydrothermally prepared ZnFe2O4" Applied Catalysis A: Genaral, Volume 198, Issues 1-2, 15 May 2000, Pages 235-245.
しかしながら、上述した黄鉛等の代替黄色無機顔料は、有害物質を含まないという点では優れているものの、耐熱性・耐候性の問題、製造工程上の問題、色調上の問題等を抱えている。
具体的には、特許文献1に記載された黄色無機顔料は、複数化合物(Fe23、ZnO、ZnFe24等)の分散体であり、製造時において各化合物の組成比の制御が困難であり、その結果、製造された顔料の色調のバラツキが生じ易い。
また特許文献2に記載された黄色無機顔料は、α−FeOOHに比して確かに耐熱性は向上しているものの、約330℃以上では相変態するためトラフィックペイント等に用いる場合、その焼付け温度(約800℃)では黒褐色に変色してしまう。
よって以上示したごとく、上記従来の方法は黄鉛・カドミウムイエロー等の代替黄色無機顔料として十分満足のいくものとはなっていなかった。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく、耐熱性・耐酸性・耐塩基性に優れた化合物として知られているスピネル型化合物(例えばMgAl24)、特に無害で安全な茶色顔料であるZnフェライト(ZnFe24)、及び白色顔料であるZnAl24に着目し、Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし0<x<1)なる構造をもつ、いわゆるAl置換Znフェライトからなる黄色無機顔料製造の可能性を検討した。より具体的には、種々のFeとAlの組成比を持つAl置換Znフェライトを、種々の焼成温度及び種々の製造方法(錯体重合法・湿式共沈法・固相反応法)によって製造し、その色調の判定を行なった。
その結果500℃〜1400℃の焼成温度範囲において、Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし0<x<1)なる構造をもつAl置換Znフェライトの全率固溶体が得られること、及び上記xが0.075以上0.8以下の組成比において、色調が鮮明な黄色系を呈する該化合物粉末が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、上記課題を解決するために、Zn、Fe、Alからなる酸化鉄系顔料であって、式Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし式中0<x<1)で表されるAl置換Znフェライトを含み、かつ黄色を呈することを特徴としている。
上記構成によれば、黄鉛等の人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中のxが0.075以上0.8以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、焼成温度範囲を500℃を超え1400℃未満とすることで、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中xが0.4以上0.8以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、焼成温度が500℃を超え900℃未満の範囲とすれば、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中xが0.15以上0.6以下であることを特徴としている。
上記構成によれば、焼成温度範囲を800℃以上1400℃未満とすることで、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、1200℃以下において黄色を呈することを特徴としている。
上記構成によれば耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料を提供することができ、トラフィックペイント等に用いる場合の焼付け温度(約800℃)においても変色することなく当該用途に好適に利用が可能である。
一方、本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料の製造方法は、上記課題を解決するために、
Zn、Fe、Alからなる酸化鉄系顔料であって、
式Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし式中0<x<1)で表されるAl置換Znフェライトを含み、かつ黄色を呈する酸化鉄系黄色顔料の製造する際に、
錯体重合法または湿式共沈法または固相反応法を用いることを特徴としている。
上記いずれの方法を用いることによっても黄鉛等の人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料を製造することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料の製造方法は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中xが0.075以上0.8以下である場合において、焼成温度が500℃を超え1400℃未満であることを特徴としている。
上記構成によれば、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を製造することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料の製造方法は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中xが0.4以上0.8以下である場合において、焼成温度が500℃を超え900℃未満であることを特徴としている。
上記構成によれば、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を製造することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料の製造方法は、上記課題を解決するために上記構成に加えてさらに、上記式中xが0.15以上0.6以下である場合において、焼成温度が800℃以上1400℃未満であることを特徴としている。
上記構成によれば、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を製造することが可能となる。
また本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料の製造方法は、上記課題を解決するために上記の湿式共沈法を用いる場合において、pH7.5以上の条件下で共沈を行なうことを特徴としている。
上記構成によれば、色調が鮮明な黄色系を呈する酸化鉄系黄色顔料を製造することが可能となる。
本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料及びその製造方法によれば、人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料、及びその製造方法を提供することが可能となる。換言すればトラフィックペイント等の過酷な使用条件下においても安定的に黄色を呈し、かつ安全な酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料(以下適宜本黄色顔料と称する)は、Zn、Fe、Alからなる酸化鉄系顔料であって、Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし式中0<x<1)で表されるAl置換Znフェライトを含み、かつ黄色を呈するものである。以下適宜、上記Al置換フェライトの構造式を単に「上記式」と称する。
ここでAl置換Znフェライトとは、耐熱性・耐酸性・耐塩基性に優れているZnフェライト(ZnFe24)中のFeがAlに置換された化合物である。本発明者らは、かかるAl置換Znフェライトが黄色顔料としてなり得るかについて検討を行なった。より具体的には、Al置換Znフェライト中のAl置換比率(以下適宜「上記式中x」と称する場合有り)及び製造時の焼成温度条件が各々異なる複数のAl置換Znフェライトからなる顔料試料を製造し、当該顔料試料各々の色彩・色調を評価して黄色を呈する条件を検討した。すなわち顔料試料が黄色を呈するAlの置換比率の好適な条件、及び同じく好適な焼成温度を検討したということである。またあわせて本黄色顔料の製造方法についても検討を行なった。
<1.本黄色顔料の製造方法>
本黄色顔料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば自体公知の錯体重合法または湿式共沈法または固相反応法が好適に用いることが可能である。
(1−1.錯体重合法)
「錯体重合法」は、簡単にはクエン酸による金属イオンの錯体化(キレート化)とエチレングリコールによる3次元ネットワークを経て金属イオンを均一に分散させる方法である。図2を用いてさらに説明すれば、複数種の金属イオン(Fe3+、Al3+)とクエン酸を水に溶解し、安定なキレート錯体を形成させ、これにエチレングリコールを加えて加熱重合エステル化させ、オリゴマーを経て最終的に3次元ネットワーク構造を有する高分子ゲル、すなわち錯体重合を形成する方法である。当該方法によれば、金属イオンを均一に分散させることができ固溶域の拡大が期待できる。また原料コストも安価である。
本黄色顔料を製造する場合には、例えば図3に示す工程により本黄色顔料を製造すればよい。具体的には、硝酸鉄(Fe(NO33・9H2O)と硝酸アルミニウム(Al(NO33・9H2O)と硝酸亜鉛(Zn(NO32・6H2O)とを秤量し混合する。この時目標とするAl置換比率(上記式中x)に対応する比率で、硝酸アルミニウムと硝酸鉄を混合する。例えば、上記式中xが0.4を目標とするときには、アルミニウム(Al)と鉄(Fe)のモル比が0.4:0.6となるように混合する。次に上記原料合計に対してモル比で5倍量のクエン酸、同15倍量のエチレングリコール、及び同50倍量の水を加えて錯体化、ゲル化を行なう。次に180℃で12時間大気中にて重合を行なった後、450℃で24時間熱分解を行なう。これを500℃から1400℃で2時間焼成を行なった後、冷却し粉砕を行なって顔料試料を製造することができる。
上記製造方法の一例においてFeの原料として硝酸鉄の水和物を用いているが、Fe原料としては特にこれに限定されるものではく、例えば、酢酸鉄(II)・臭化鉄(II)及びその水和物・臭化鉄(III)・塩化鉄(II)及びその水和物・塩化鉄(III)及びその水和物・クエン酸鉄(III)及びその水和物・乳酸鉄(II)及びその水和物・硝酸鉄(III)及びその水和物・過塩素酸鉄(II)及びその水和物・硫酸鉄(II)及びその水和物・硫酸鉄(III)及びその水和物・クエン酸アンモニウム鉄(III)・硫酸アンモニウム鉄(II)及びその水和物・硫酸アンモニウム鉄(III)及びその水和物、並びにシュウ酸鉄(II)二水和物、リン酸鉄(II)及びその水和物、リン酸鉄(III)及びその水和物、酸化鉄、フッ化鉄(II)及びその水和物、シュウ酸鉄(III)アンモニウム及びその水和物等が利用可能である。
また上記製造方法の一例においてAlの原料として硝酸アルミニウムの水和物を用いているが、Al原料としては特にこれに限定されるものではく、例えば、酢酸アルミニウム及びその水和物・硫酸アンモニウムアルミニウム及びその水和物・臭化アルミニウム・乳酸アルミニウム・硝酸アルミニウム及びその水和物・過塩素酸アルミニウム及びその水和物・硫酸アルミニウム及びその水和物・シュウ酸アルミニウム及びその水和物・リン酸二水素アルミニウム等が利用可能である。
また上記製造方法の一例においてZnの原料として硝酸亜鉛の水和物を用いているが、Zn原料としては特にこれに限定されるものではく、例えば、酢酸亜鉛・塩化亜鉛等が利用可能である。
一方、上記製造方法の一例においてクエン酸の添加量は、上記原料の合計に対してモル比で5倍量を添加しているが、これは特に限定されるものではなく、原料の合計に対してモル比で1〜10倍量添加すればよい。さらに3倍量〜8倍量添加することが好ましい。またエチレングリコールの添加量についても上記製造方法の一例において上記原料の合計に対してモル比で15倍量を添加しているが、これは特に限定されるものではなく、原料の合計に対してモル比で5〜30倍量添加すればよい。さらに10倍量〜20倍量添加することが好ましい。また水の添加量についても上記製造方法の一例において上記原料の合計に対してモル比で50倍量を添加しているが、これは特に限定されるものではなく、原料の合計に対してモル比で5〜70倍量添加すればよい。さらに30倍量〜60倍量添加することが好ましい。
なおシュウ酸鉄(II)二水和物、リン酸鉄(II)及びその水和物、リン酸鉄(III)及びその水和物、酸化鉄、フッ化鉄(II)及びその水和物、シュウ酸鉄(III)アンモニウム及びその水和物をFe原料として用いて錯体重合法を行なう場合は、各原料を硝酸・塩酸・酢酸等の酸に溶解した後に、クエン酸・エチレングリコールを加えて錯体重合法を行なう必要がある。上記Fe原料自体の溶解度が低いためである。
また上記製造方法の一例において、重合を180℃で12時間の条件で行なっているが、特にこれに限定されるものではない。すなわち温度条件は、反応効率・製造コスト等を考慮すれば、120℃〜350℃の範囲で行なうことが好ましく、150℃〜250℃の範囲で行なうことがさらに好ましく、150℃〜200℃の範囲で行なうことが最も好ましい。また反応時間については、反応温度に依存するところが大きく、各反応温度においてゲル化するまで反応を行なえばよい。また重合の際の雰囲気中の圧力条件については、大気圧下で行なえばよい。
また上記製造方法の一例において熱分解を大気中で450℃、24時間の条件で行なっているが、特にこれに限定されるものではない。すなわち温度条件は、熱分解効率・製造コスト等を考慮すれば、400℃以上で行なうことが好ましく、400℃以上500℃以下の範囲で行なうことがさらに好ましい。また反応時間についても1時間〜48時間の範囲で行なうことが好ましく、8時間〜24時間の範囲で行なうことがさらに好ましい。また熱分解の際の雰囲気中の圧力条件については、製造コストを考慮すれば大気圧下で行なえばよい。
また上記製造方法の一例において焼成温度は、500℃を超え1400℃未満の範囲で行なっている。500℃以下ではAl置換Znフェライトの固溶体が生成しにくく、1400℃以上ではエネルギーコストが高くなること、及び色の再現が困難であるからである。よって上記式中のxの好適な条件0.075以上0.8以下の場合、500℃を超え1400℃未満の範囲において焼成を行なえば、黄色を呈する黄色顔料が製造することができる。特に上記式中のxが0.4以上0.8以下である場合の焼成温度は、500℃を超え900℃未満が好ましく、500℃以上750℃以下がさらに好ましい。上記焼成温度条件とすることで色調に優れた黄色を呈する黄色顔料が製造できるからである。一方、上記式中のxが0.15以上0.6以下である場合の焼成温度は、800℃以上1400℃未満が好ましく、850℃以上1150℃以下がさらに好ましい。上記焼成温度条件とすることで色調に優れた黄色を呈する黄色顔料が製造できるからである。また熱分解の際の雰囲気中の圧力条件については、大気圧下で行なえばよい。また焼成時間についても特に限定されるものではなく、1時間から24時間が好ましく、1時間から8時間がさらに好ましく、1時間から4時間が最も好ましい。上記好ましい条件とすることで色調に優れた黄色を呈する黄色顔料が製造できる。
また焼成後の冷却の条件については、急冷または徐冷のいずれを行なってもよい。なお急冷とは加熱温度から室温まで10℃/分以上の割合で冷却することを意味し、徐冷とは10℃/分以下の割合で徐々に冷却することを意味する。図7にAl置換比率(上記式中x)が0.4、0.5、0.6の顔料試料について、1100℃で2時間焼成した後急冷した顔料試料と、10℃/分以下の条件で徐冷を行なった顔料試料の色調を比較した結果を示す。図7によれば徐冷を行なった顔料試料の方が明度、彩度が増し、かつ黄色が強くなった(L***値が高くなった。L***値については後述する)。よって焼成後は徐冷を行なう方がより好ましい場合があるといえる。冷却の手段・条件は通常用いられる手段・条件を用いればよい。
また冷却後の試料の粉砕手段も通常用いられる手段・条件を用いればよく、例えばボールミル、スタンプミル、自動乳鉢等を用いて好適に行なうことができる。なお、着色力・分散性に優れた顔料が製造するためには、顔料試料の平均粒子径がなるべく微細となるまで粉砕することが好ましい。
後述する実施例において本発明者等は、かかる錯体重合法によって種々のAl置換Znフェライトからなる顔料試料を製造し、その中から黄色を呈する本黄色顔料を製造することに成功している。
(1−2.湿式共沈法)
「湿式共沈法」は、各原料の混合水溶液を、水酸化ナトリウム(NaOH)等を沈殿剤として加えて共沈させ、生成した沈殿をろ過、焼成、粉砕して顔料試料を製造する方法である。図4に湿式共沈法を用いて顔料試料を製造する一例を示す。まず硝酸鉄(Fe(NO33・9H2O)と硝酸アルミニウム(Al(NO33・9H2O)と硝酸亜鉛(Zn(NO32・6H2O)とを秤量して混合し、原料水溶液を調製する。この時目標とするAl置換比率(上記式中x)に対応する比率で、硝酸アルミニウムと硝酸鉄を混合する。例えば、上記式中xが0.4を目標とするときには、アルミニウム(Al)と鉄(Fe)のモル比が0.4:0.6となるように混合する。またこのときの各金属塩水溶液の濃度は、金属塩の溶解度によっても異なるが最大1M程度が好ましい範囲である。次に上記原料水溶液に2MのNaOHをpH7.5または8.0になるまで滴下し、水酸化亜鉛・水酸化鉄・水酸化アルミニウムの混合物を共沈させる(合成・反応)。次にろ過等によって生成した水酸化亜鉛・水酸化鉄・水酸化アルミニウムの混合物と溶媒とを分離する(固液分離)。次にろ別した水酸化亜鉛・水酸化鉄・水酸化アルミニウムの混合物を水洗し、NaNO3を完全に除去する。次に水酸化亜鉛・水酸化鉄・水酸化アルミニウムの混合物を乾燥後、500℃〜1400℃で2時間焼成を行なってAl置換Znフェライトを得る。焼成して得られたAl置換Znフェライトを冷却後、粉砕を行なって最終的に顔料サンプルを製造する。
上記製造方法の一例においてFeの原料として硝酸鉄の水和物を用いているが、Fe原料としては特にこれに限定されるものではく、水溶性の金属塩であれば好適に用いることが可能である。例えば、酢酸鉄(II)・臭化鉄(II)及びその水和物・臭化鉄(III)・塩化鉄(II)及びその水和物・塩化鉄(III)及びその水和物・クエン酸鉄(III)及びその水和物・乳酸鉄(II)及びその水和物・硝酸鉄(III)及びその水和物・過塩素酸鉄(II)及びその水和物・硫酸鉄(II)及びその水和物・硫酸鉄(III)及びその水和物・クエン酸アンモニウム鉄(III)・硫酸アンモニウム鉄(II)及びその水和物・硫酸アンモニウム鉄(III)及びその水和物等が利用可能である。
また上記製造方法の一例においてAlの原料として硝酸アルミニウムの水和物を用いているが、Al原料としては特にこれに限定されるものではく、水溶性の金属塩であれば好適に用いることが可能である。例えば、酢酸アルミニウム及びその水和物・硫酸アンモニウムアルミニウム及びその水和物・臭化アルミニウム・乳酸アルミニウム・硝酸アルミニウム及びその水和物・過塩素酸アルミニウム及びその水和物・硫酸アルミニウム及びその水和物・シュウ酸アルミニウム及びその水和物・リン酸二水素アルミニウム等が利用可能である。
また上記製造方法の一例においてZnの原料として硝酸亜鉛の水和物を用いているが、Zn原料としては特にこれに限定されるものではく、水溶性の金属塩であれば好適に用いることが可能である。例えば、酢酸亜鉛・塩化亜鉛等が利用可能である。
また上記製造方法の一例において沈殿剤として2MのNaOHを用いているが、特にこれに限定されるものではなく、例えばアンモニア、水酸化カリウム(KOH)等が利用可能である。また濃度についても特に限定されるものではなく、1M以上10M以下が好ましく、1M以上5M以下がさらに好ましい。
また上記製造方法の一例において共沈を行なう際に、原料水溶液に対して2MのNaOHをpHが7.5または8.0となるように添加している。pH7.0以下になるようにNaOHを添加して製造した顔料試料は、赤茶色を呈し目的とする黄色顔料とならないからである。これは製造した顔料試料はα−Fe23固溶体とZnAl24固溶体の2相共存となり、このうちのα−Fe23固溶体が赤茶色を呈するからである。図8に、pH7.0,7.5,8.0の条件下で共沈を行なって製造した顔料試料の色調を比較した結果を示す。なお、上記顔料試料はAl置換比率(上記式中x)が0.5のものの結果を示す。また焼成条件については、1100℃で2時間焼成した後急冷した顔料試料と、10℃/分以下の条件で徐冷を行なった顔料試料についてそれぞれ示している。図8によればpH7.5及び8.0の条件下で共沈を行なった試料について黄色を呈し、pH7.0の条件下で共沈を行なった試料について赤茶色を呈することがわかる(図中L***値については後述する)。よって、湿式共沈法を用いて本黄色顔料を製造する際には、共沈の際のpH条件は7.5以上であることが好ましい条件である。
また上記製造方法の一例において、ろ過による固液分離を行なっているが、固液分離の手段としては通常のろ紙、ナイロンメンブレンフィルター等によるろ過、並びに遠心分離等の手段を利用すればよい。後述する実施例においては、ポアサイズ3μmのろ紙を用いてろ過を行なっている。
また上記製造方法の一例において水洗を行なっているが、水洗は例えばろ別した沈殿を水に再懸濁し、再度ろ過等の手段により固液分離を行なう。これをNaNO3がなくなるまで繰り返すことにより行なう。
なお、焼成・粉砕の手段及び条件については上記「錯体重合法」の項で説示したもの同様である。
後述する実施例において本発明者等は、かかる湿式共沈法によって種々のAl置換Znフェライトからなる顔料試料を製造し、その中から黄色を呈する本黄色顔料を製造することに成功している。
(1−3.固相反応法)
「固相反応法」は原料である金属化合物を固体のまま混合し、高温で焼成し、冷却後粉砕を行なうことによって顔料試料を製造する方法である。
ここで本黄色顔料の製造の際に用いる金属原料化合物のうち、Fe原料としては例えば酸化鉄・水酸化鉄・オキシ水酸化鉄が好適であり、Al原料としては例えば酸化アルミニウム・水酸化アルミニウムが好適であり、Zn原料としては例えば酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好適に用いられる。この時目標とするAl置換比率(上記式中x)に対応する比率で、酸化アルミニウムと酸化鉄を混合する。例えば、上記式中xが0.4を目標とするときには、アルミニウム(Al)と鉄(Fe)のモル比が0.4:0.6となるように混合する。
なお、焼成・粉砕の手段及び条件については上記「錯体重合法」の項で説示したもの同様である。
<2.顔料試料の評価方法>
(2−1.Al置換比率(上記式中x)の確認と固溶体生成の確認)
上記製造方法によって製造された種々の顔料試料については、X線回析によってAl置換比率(上記式中x)を確認している。その結果の一例を図5に示す。図5は、1,000℃で2時間焼成して得られた各Al置換比率の顔料試料についてX線回析を行なった結果を示している。図5の結果によれば上記式中のFeがAlに置換されている様子が確認できる。上記確認を600℃〜1400℃の焼成条件で製造した顔料試料について行なっているが、全ての条件においてAl置換Znフェライトの生成が確認できた。なお上記X線回析は、リガク社製RINT−2000を用いて粉末X線回析法を行なった。
また同じく上記製造方法によって製造された種々の顔料試料について格子定数との関係を調べることによって、固溶体が取得できたか否かを評価している。その一例を図6に示す。図6は、1,000℃で2時間焼成して得られた各Al置換比率の顔料試料について格子定数とAl置換比率の関係を調べた結果を示している。図6の結果によればAl置換比率と格子定数とが直線関係を示していることがわかり、上記焼成条件において製造した全ての顔料試料について固溶体が生成していることが確認できる。上記確認を600℃〜1400℃の焼成条件で製造した顔料試料について行なっているが、全ての条件においてAl置換Znフェライトの固溶体の生成が確認できた。
(2−2.色彩・色調の評価)
上記製造方法によって製造した種々の顔料試料について、色彩・色調の評価を行なっている。評価方法は特に限定されるものではないが、本発明者等は,L***表示系により行なっている。それ以外の評価方法としては、xyz表色系・マンセル表色系・L***表色系・ハンター表色系等が利用可能である。
***表示系は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、日本においてJISに採用されている物体の色を示す世界基準である。ここで、L*は明度を示し、a*及びb*によって色相と彩度を示す。すなわち、L*値がプラス側に高い、換言すればL*値が正の値でありその絶対値が大きいほど明度が明るく白に近いことを示し、反対にマイナス側に高い、換言すればL*値が負の値でありその絶対値が大きいほど黒に近いことを示している。またa*値がプラス側に高い、換言すればa*値が正の値でありその絶対値が大きいほど赤に近く、反対にマイナス側に高い、換言すればa*値が負の値でありその絶対値が大きいほど緑に近いことを示している。またb*値がプラス側に高い、換言すればb*値が正の値でありその絶対値が大きいほど黄色に近く、反対にマイナス側に高い、換言すればb*値が負の値でありその絶対値が大きいほど青に近いことを示している。評価は上記3つの値を総合して判断するが、簡単に黄色を評価するにはb*値のみでも可能である。このときb*値が30以上でれば黄色顔料(言い換えれば黄色を呈する顔料)として好適である。さらには、L*値およびb*値(30以上)がプラス側に高く、換言すればL*値およびb*値が正の値でありその絶対値が大きくa*値が0に近いことが黄色顔料(言い換えれば黄色を呈する顔料)として理想的なL***値である。なお、黄鉛顔料のL***値の測定結果の一例は、(L*=82.16、a*=18.32、b*=88.32)である。
Al置換比率(上記式中x)が異なり、焼成温度条件(600℃〜1200℃)が異なる種々の顔料試料についてL***値を測定した結果を図1に示す。なお上記測定には分光測色計(ミノルタ社製CM−2600d)を用いた。図1中横軸方向には各Al置換比率(上記式中x)を示している。具体的には、Al置換比率(上記式中x)が右から、0.000・0.075・0.100・0.150・0.200・0.225・0.300・0.375・0.400・0.450・0.500・0.525・0.600・0.675・0.700・0.750・0.800・0.875・0.900・1.000の場合の結果を示している。また同図中の縦軸方向に各焼成温度条件の場合の結果を示している。より具体的には、上から焼成温度が1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃・700℃・600℃の場合の結果を示している。
製造した各種顔料試料が黄色を呈するためのAl置換比率(上記式中x)の好適条件、及び焼成温度の好適条件を、図1中のb*値が30付近であること、及び視覚的に黄色を呈すると判断できることを基準に判断すれば、Al置換比率が0.075以上0.8以下の場合に全ての焼成温度条件(500℃を超え1400℃未満、図1中では1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃・700℃・600℃)が好適であると判断できた。特にAl置換比率が0.4以上0.8以下の場合には、500℃を超え900℃未満の焼成温度条件(図1中では800℃・700℃・600℃)がさらに好適であると判断できた。またAl置換比率が0.15以上0.6以下の場合には、800℃以上1400℃未満の焼成温度条件(図1中では1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃)がさらに好適であると判断できた。さらには、Al置換比率が0.4以上0.6以下の場合には、500℃を超え1400℃未満(図1中では1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃・700℃・600℃)の範囲において、全ての顔料試料が色調に優れた黄色を呈するために、さらに好適な条件であるといえる。
よって以上の条件となるようにAl置換Znフェライトを含む顔料試料を製造すれば、黄色を呈する顔料が得られる。また上記条件を満たすAl置換Znフェライトを含む顔料試料、すなわち本黄色顔料の熱安定性について試験を行なったところ、室温(例えば25℃)から1200℃の温度範囲において退色・変色が起こらず非常に安定な黄色顔料であるということ、換言すれば耐熱性に優れた顔料であるということがわかった。
なお本黄色顔料は、上記式中xが単一であるAl置換Znフェライトのみからなっていても、上記式中のxが異なるAl置換Znフェライトの混合物からなっていてもよい。また、本黄色顔料は他の顔料、例えばα−Fe23からなる赤色顔料、ZnOからなる白色顔料、α−Al23からなる白色顔料等の混合物であってもよい。さらに本黄色顔料は、Al置換Znフェライト以外の物質が含まれていてもよい。
以下本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1:錯体重合法による顔料試料の製造〕
(方法)金属原料として可溶性金属塩であるZn(NO32・6H2O(99.0%)、Fe(NO33・9H2O(99.0%)、Al(NO33・9H2O(99.0%)を用いた。上記各金属塩を適当な組成比となるように混合した後、各金属イオンの合計に対してモル比で50倍量の水を添加し水溶液を製造した。次に各金属塩の合計に対してモル比で5倍量のクエン酸を添加してキレート錯体化を行ない、同じくモル比で15倍量のエチレングリコールを加えてゲル化し、180℃で12時間重合を行なった後、大気中にて450℃・24時間熱分解を行ったものを前駆体とした。次にこの前駆体を種々の温度で焼成・冷却・粉砕を行なって顔料試料とした。なお焼成時間は2時間とした。
製造した顔料試料の構成相の確認及び格子定数の測定には、リガク社製RINT−2000を用いて粉末X線回析法により行なった。またFE-SEM(日立社製S−4300)を用いて顔料試料の粒子形態を観察した。色彩・色調の測定には、分光測色計(ミノルタ社製CM−2600d)を用い、評価方法はL***表示系を用いて行なった。
(結果)600℃〜1400℃にて2時間焼成して製造した顔料試料の構成相を、粉末X線回析法により確認した。図5に1000℃にて焼成して製造した種々の顔料試料のX線回析結果を示す。
図5は、式Zn(Fe(1-x)Alx24中xが0,0.15,0.3,0.45,0.6,0.75,0.9,1.0の場合の結果を示しているが、各X線回析パターンからいずれの場合においても単相のAl置換Znフェライトが得られていることがわかった。なお、600℃〜1400℃全ての焼成温度において製造した顔料試料において単相のAl置換Znフェライトが得られた。
また異なる焼成温度で製造した種々のAl置換比率を持つAl置換フェライトよりなる顔料試料各々について格子定数を調べた結果、同一のAl置換比率を持つAl置換フェライトよりなる顔料試料は、一定の格子定数を有していた。図6に1000℃にて焼成して製造した種々の顔料試料について、Al置換比率と格子定数の関係を調べた結果について示す。図6によれば、1000℃で焼成して製造した顔料試料について、Al置換比率と格子定数が直線関係にあることより、上記焼成温度で製造した全ての顔料試料について固溶体を取得できたことが確認できた。なお600℃〜1400℃にて焼成した各顔料試料について同様に調べた結果、Al置換比率と格子定数が直線関係にあった。よって、これらの顔料試料においても全て固溶体が得られたことを確認した。
種々製造した顔料試料の色調について、L***表示系を用いて評価した結果を図1に示す。図1中横軸方向には各Al置換比率(上記式中x)を示している。また同図中の縦軸方向に各焼成温度条件の場合の結果を示している。製造した各種顔料試料が黄色を呈するためのAl置換比率(上記式中x)の好適条件、及び焼成温度の好適条件を、図1中のb*値が30付近であること、及び視覚的に黄色を呈すると判断できることを基準に判断すれば、Al置換比率が0.075以上0.8以下の場合に全ての焼成温度条件(500℃を超え1400℃未満、図1中では1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃・700℃・600℃)が好適であると判断できた。特にAl置換比率が0.4以上0.8以下の場合には、500℃を超え900℃未満の焼成温度条件(図1中では800℃・700℃・600℃)がさらに好適であると判断できた。またAl置換比率が0.15以上0.6以下の場合には、800℃以上1400℃未満の焼成温度条件(図1中では1200℃・1100℃・1000℃・900℃・800℃)がさらに好適であると判断できた。
図9にZnFe24を焼成温度800℃と1000℃にて製造した顔料試料の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示している。同図から、800℃で焼成した粒子に比べて1000℃で焼成した粒子が大きいことがわかる。
〔実施例2:湿式共沈法による顔料試料の製造〕
(方法)金属原料としてZn(NO32・6H2O(99.0%)、Fe(NO33・9H2O(99.0%)、Al(NO33・9H2O(99.0%)を用いた。上記各試薬を式Zn(Fe(1-x)Alx24中x=0.4〜0.6を持つ0.1M水溶液に調整した。それぞれの水溶液にNaOH(0.1M)滴下し、pH7.0,7.5,8.0の条件にて共沈を行なった。固液分離を行なった後水洗し、NaNO3を完全に除去した。乾燥させた試料をプレス成形し、各種温度にて2時間焼成を行なった。急冷(加熱炉から試料を取り出し室温まで冷やす)、または徐冷(10℃/分の割合で冷却)により冷却を行なった後、粉砕して顔料試料とした。評価方法は、実施例1の方法に準じて行なった。
(結果)pH7.5及びPH8.0の条件下で共沈を行なって製造した各顔料試料は、仕込み組成に相当するAl置換比率を持つ単相のAl置換Znフェライトが得られた。一方、pH7.0で製造した顔料試料は、α−Fe23固溶体と、ZnAl24固溶体の2相共存であった。これは、0.1MのFe3+,Al3+,Zn2+の水酸化物がそれぞれpH1.6,3,7で沈殿し始めるために、Fe(OH)3−Al(OH)3の共沈殿とAl(OH)3−Zn(OH)2の随伴沈殿がそれぞれ起こったものと考えられる。
図8に、pH7.0,7.5,8.0において共沈を行ない、1100℃にて2時間焼成して製造したAl置換比率0.5の顔料試料についてL***表示系を用いて評価した結果を示す。また焼成後の冷却を急冷により行なった場合の結果と、徐冷(10℃/分)により行なった場合の結果を示す。
pH7.5及びpH8.0において共沈を行なって製造した顔料試料は黄色を呈した。一方pH7.0で共沈を行なって製造した顔料試料は赤茶色を呈した。これはα−Fe23固溶体が生成したためである。また徐冷による効果はほとんどみられなかった。よって、湿式共沈法を用いて本黄色顔料を製造する際には、共沈のpH条件は7.5以上であることが好ましい条件であるといえる。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、本発明にかかる酸化鉄系黄色顔料及びその製造方法によれば、人体・環境に有害な物質を含むことなく、耐候性・耐熱性に優れた酸化鉄系黄色顔料、及びその製造方法を提供することが可能となる。換言すればトラフィックペイント等の過酷な使用条件下においても安定的に黄色を呈し、かつ安全な酸化鉄系黄色顔料を提供することが可能となる。
それゆえ、黄色顔料を必要とする機械産業(工業用、農業用等)、建設・建築業、電気産業、ガラス産業等広範な産業分野において利用可能である。
Al置換比率が異なり、焼成温度条件(600℃〜1200℃)が異なる種々の顔料試料についてL***値を測定した結果を示す図である。 錯体重合法の概念を説明する図である。 錯体重合法によるAl置換Znフェライトを含む酸化鉄系顔料の製造方法の一例を示す工程図である。 湿式共沈法によるAl置換Znフェライトを含む酸化鉄系顔料の製造方法の一例を示す工程図である。 1000℃、2時間の焼成条件にて製造した種々の顔料試料についてのX線回析パターンを示す図である。 1000℃、2時間の焼成条件にて製造した種々の顔料試料について、Al置換比率と格子定数の関係を示す図である。 Al置換比率(上記式中x)が0.4、0.5、0.6の顔料試料について、1100℃で2時間焼成した後急冷した試料と、10℃/分以下の条件で徐冷を行なった顔料試料のL***値を測定した結果を示す図である。 pH7.0,7.5,8.0の条件下で湿式共沈法を行なって製造した顔料試料について、1100℃で2時間焼成した後急冷した試料と、10℃/分以下の条件で徐冷を行なった顔料試料のL***値を測定した結果を示す図である。 (a)はZnFe24を焼成温度800℃にて製造した顔料試料の走査電子顕微鏡(SEM)写真図であり、(b)はZnFe24を焼成温度1000℃にて製造した顔料試料の走査電子顕微鏡(SEM)写真図である。

Claims (10)

  1. Zn、Fe、Alからなる酸化鉄系顔料であって、
    式Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし式中0<x<1)で表されるAl置換Znフェライトを含み、かつ黄色を呈することを特徴とする酸化鉄系黄色顔料。
  2. 上記式中のxが0.075以上0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化鉄系黄色顔料。
  3. 上記式中xが0.4以上0.8以下であることを特徴とする請求項2に記載の酸化鉄系黄色顔料。
  4. 上記式中xが0.15以上0.6以下であることを特徴とする請求項2に記載の酸化鉄系黄色顔料。
  5. 1200℃以下において黄色を呈することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の酸化鉄系黄色顔料
  6. Zn、Fe、Alからなる酸化鉄系顔料であって、
    式Zn(Fe(1-x)Alx24(ただし式中0<x<1)で表されるAl置換Znフェライトを含み、かつ黄色を呈する酸化鉄系黄色顔料の製造する際に、
    錯体重合法または湿式共沈法または固相反応法を用いることを特徴とする酸化鉄系黄色顔料の製造方法。
  7. 上記式中xが0.075以上0.8以下である場合において、
    焼成温度が500℃を超え1400℃未満であることを特徴とする請求項6に記載の酸化鉄系黄色顔料の製造方法。
  8. 上記式中xが0.4以上0.8以下である場合において、
    焼成温度が500℃を超え900℃未満であることを特徴とする請求項7に記載の酸化鉄系黄色顔料の製造方法。
  9. 上記式中xが0.15以上0.6以下である場合において、
    焼成温度が800℃以上1400℃未満であることを特徴とする請求項7に記載の酸化鉄系黄色顔料の製造方法。
  10. 湿式共沈法を用いる場合において、
    pH7.5以上の条件下で共沈を行なうことを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の酸化鉄系黄色顔料の製造方法。
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JP2007238392A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Admetech:Kk 生体加熱材料として用いられるMgFe2O4の製造方法及びこの製造方法により得られたMgFe2O4
JP2008156494A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Sanyo Chem Ind Ltd スラッシュ成形用樹脂粉末組成物
JP2014225655A (ja) * 2013-04-25 2014-12-04 中部電力株式会社 熱電変換材料

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