JP2005287394A - マイクロ波通風乾燥による玄米および発芽玄米の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の籾米乾燥手段では乾燥中にあるいは貯蔵中に失われてしまう玄米の特質を失わないようにその持つ成分(栄養成分、香気成分、旨み成分)の保持性、特にタンパク質の保持性を高め、成分の表層部への移動による表面の硬化を防ぎ、常圧での炊飯に依っても柔らかくておいしいごはん(炊飯米)が得られる玄米の製造方法を提供する。
【解決手段】籾米をその特質を損なわない温度範囲でその内部の温度をマイクロ波加熱により高く保持し、一方表面をより低温に通風しながら乾燥し、籾米の内部と表面の温度差により生じた水分の蒸気分圧差により内部の水分を蒸気の状態で表面に移動させ、水分の移動だけで他の成分は内部に留め、硬質膜の形成を防ぐ、タンパク質の保持率が高く、アミノ酸に富み、かつやわらかい玄米の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、籾米乾燥での水分の移動を調節し、成分保持性の良好な玄米の製造方法に関し、特に籾米をマイクロ波通風乾燥することにより成分の保持性が良好で、常圧炊飯したごはん(炊飯米)がやわらかい玄米および発芽玄米の製造方法に関する。
近年、日本人の食生活は大きく変わってきているものの、主食はやはり米である。玄米は、でんぷん、タンパク質の他、特にりん、鉄分、カリウム、ビタミンB1・E、γ−アミノ酪酸(GABA)等に富み、栄養価が高いことから健康に良い食糧であると理解されている。しかし、精白米と比べてみると玄米は炊飯しにくく、しかも表皮が非常に硬く食感など嗜好性の点で美味しくないため、進んで食することは少ない。しかし、玄米に秘められた機能性が明らかになるのに伴い、長寿と健康指向からこの玄米を改良しておいしく食べられるよう研究開発の努力がなされている。
玄米を炊いたごはん(炊飯米)が硬い原因には外皮が硬いことと、それがために吸水性が悪く旨く炊飯できないことが考えられる。
籾米は一部の天日乾燥されるのを除くと、現在ではほとんどが熱風又は冷風で乾燥されている。これらの乾燥法では、熱の移動が籾米の表面から内部へと向かい、内部に水分を残しながら籾米表面から乾燥が進行し、内部と表面との間に生じた水分濃度差によって、内部の水分が液体の状態で籾米表面に毛細管移動しながら乾燥が進行する。この水分の液体移動に伴って、溶質成分も内部から籾米表面に向かって移動する。
籾米表面では水分のみが気化・蒸発してしまうため、移動してきた種々の溶質成分は表面に取り残され堆積し、その成分は空気に触れて酸化され硬質膜を形成するようになる。さらにこの乾燥に伴って脂質成分も最外層の果皮に堆積し、空気に触れ酸化され、膠やゴム状に変質し、硬質膜を強固なものとしてしまう。酸化が進むと玄米の硬い膜が強化され、炊飯してもなかなか歯で切断できにくく、口にいつまでも残り、歯に触り不快な食感となる。
これが玄米の食感を悪くする原因であり、復水性を悪くしデンプンのα化を遅らせ、さらにもちもち感やふっくら感が出ない。そのため、炊飯前に充分吸水させるため長時間水に浸し、加圧釜を使用しても、長時間の浸漬で食感や風味が落ち精白米からのごはんのようにはならない。
さらに、脂質が酸化することによって生じる酸化臭がいやな糠臭の原因となり、食欲を削ぎ、本来の美味しさを損ない、消費者に敬遠される原因の一つになっている。そこで、酸化を防ぎ品質を保持するため、真空パックや脱酸素剤を使用することになる。
玄米を美味しく食べる方法の一つとして発芽玄米がある。玄米の一番表面にある硬くて消化の悪い果皮や種皮を削り、温水に所定時間浸漬することにより得られる発芽玄米は、常圧炊飯で十分柔らかに炊飯でき、豊かな栄養食品となることが知られており、多数の製造技術が提案されている。そのなかで、籾米を水と接触し、飽和含水率まで吸水させた後、その籾米を容器内で循環させながら籾米が開穎する直前まで発芽させ、発芽した籾米を取り出し、乾燥・貯蔵し、必要に応じて籾摺りを行い玄米を得る方法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、出願人は、食品の乾燥にマイクロ波加熱を採用することにより、長期保存に耐える抗酸化性乾燥食品の製造について提案している(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−253148号公報 特開2002−262841号公報
本発明は、従来の籾米乾燥手段では乾燥中にあるいは貯蔵中に失われてしまう玄米の特質を失わないように、玄米の持つ成分(栄養成分、香気成分、旨み成分)の保持性、特にタンパク質(アミノ酸)の保持性を高め、成分の表層部への移動による表面の硬化を防ぎ、常圧での炊飯に依っても柔らかくておいしいごはん(炊飯米)が得られる玄米または発芽玄米の製造方法を提供することを目的とする。
発明者は鋭意研究の結果、籾米の乾燥にマイクロ波加熱と通風を行うことにより、籾米内部の水分を表面に移動させ、米の成分は内部にとどめ得ることを見出し、これに基づいて本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、
(1)籾米をその特質を損なわない温度範囲でその内部の温度をマイクロ波加熱により高く保持し、一方表面をより低温に通風しながら乾燥し、籾米の内部と表面の温度差により生じた水分の蒸気分圧差により内部の水分を蒸気の状態で表面に移動させ、水分の移動だけで他の成分は内部に留め、硬質膜の形成を防ぐことを特徴とするタンパク質の保持率が高く、アミノ酸に富み、かつやわらかい玄米の製造方法、
(2)表面に通風する温度が10〜25℃であることを特徴とする(1)項に記載のタンパク質保持率が高くかつやわらかい玄米の製造方法、および
(3)(1)又は(2)項に記載された方法により製造された玄米を水に浸漬処理又は調湿処理して0.5〜1mm発芽させ、洗浄後再びマイクロ波通風乾燥したことを特徴とする発芽玄米の製造方法
を提供するものである。
なお、やわらかい玄米とは、常圧で炊飯した後、精白米ご飯と同様(に近い)ふっくらとしたやわらかいご飯が得られる玄米を意味する。
本発明によれば、得られる玄米はタンパク質の保持率が、乾燥直後はもちろん、貯蔵30日経過後であっても、他の乾燥手段による玄米の製造方法に比べきわめて高く、他の栄養成分等も多い。そして、マイクロ波通風乾燥玄米は、熱風乾燥玄米に比べ見た目でも精白米により近く、各層の研磨粉も明度が高いことから炊飯米がより白い。
そして、本発明による玄米は、常圧での炊飯であっても得られるごはん(炊飯米)は、炊きあがりにパサつきが少なく、玄米の表皮は硬くなくふっくらとした柔らかみがあり、より精白米ごはんに近いものである。もちろん栄養価は精白米ごはんより優れている。したがって、家庭用発芽玄米製造器で本発明による玄米を発芽させ炊飯すると、よりやわらかく機能性成分(GABA等)に富んだものとなる。
本発明のやわらかい玄米または発芽米の製造方法の好ましい実施の態様について、詳細に説明する。
本発明で使用するマイクロ波加熱には次のような乾燥装置が好適である。ベルトコンベア式マイクロ波通風乾燥装置は、キャビティにベルト出入口に電波漏洩防止装置を設けたもので、マイクロ波電源装置から導波管を経て途中で2分割してキャビティ天井2箇所からマイクロ波を供給する。枠に防虫網を張った籾米を載せる架台が網目状のテフロン加工したガラス繊維製ベルトコンベアが取り付けられ、これがキャビティ内と系外を循環するよう設けられている。また、温湿度を調節した空気を通風ガイドに沿って吹き上げ、架台を通気し、ガイドを通り、系外で除湿、温度調節して再循環する通風装置が付設してある。マイクロ波実効出力は0、0.125、0.178、0.25、0.5kWである。品質のよい製品を得るためには、乾燥時間が長くなるがマイクロ波実行出力の低い方が好ましい。
マイクロ波を照射すると、直接籾米の内部を加熱することができ、熱移動や成分移動が従来の乾燥手段とは逆転する。
架台に広げた籾米にマイクロ波を照射すると、籾米内部で加温し、籾表面を低温の風に曝すと、内部の水分は蒸気の状態で表面に移動するようになる。使用するマイクロ波は、2400MHz〜2500MHzの電磁波で、波長約12cmであり、このマイクロ波エネルギーは籾米中の双極子分子を回転・振動させ、分子の運動エネルギーに変換される。この分子の激しい回転・振動状態は、加熱された分子の熱運動と同等である。
これにより、内部温度が上昇し、水分のみ蒸気の状態で低温側の籾米表面に移動し、内部のタンパク質等や溶質成分はその場に残る。
籾米表面に接する空気の温度は、好ましくは10〜25℃、より好ましくは18〜23℃で、風速0.5〜2.0m/秒で通風する。籾米表面の温度はキャビティ天井中央部の穴から赤外線温度計で測定する。
表面に移動した水分の一部は蒸発せず、冷たい空気に蝕れ凝縮・液化するため、表面の水分濃度が内部より高くなる。すなわち、水分減少(乾燥)が内部から進行するようになる。生じた水分濃度差によって表面で液化した水分の一部が再び内部に毛細管移動し、この時、表層に存在する溶質成分等が、内部に引き込まれ、内部に移動した水分は加温され、再び気化して低温の表面に再移動する。この現象が繰り返され乾燥が進む一方で、時間とともに表層の成分が内部に取り込まれ、水分や溶質成分と伴に果皮から脂質成分も内部に移動する。種々の成分等が取り除かれた表層の数ミクロンの組織が、空気による酸化から守るカプセル状に米を包むため、脂質が酸化しにくく、抗酸化性が付与される。
従来、脂質が酸化されると、生じた過酸化物が共存するタンパク質と反応してアミノ酸が破壊され、栄養素が低下してしまう。さらに脂質の酸化が進むとカルボニル化合物が発生し、アミノ化合物との間でアミノ・カルボニル反応が起こり、におい物質を発生させアミノ酸を変性させてしまう。これに対し、本発明の方法は、上述のように玄米に抗酸化性を付与し、脂質が酸化しにくくなるので、アミノ酸の変質を抑えてアミノ酸を多く含む玄米を製造することができ、しかも玄米の貯蔵性を良くすることができる。
さらに表層への成分の移動・堆積や脂質の酸化がないため熱風乾燥等で見られる、硬質膜の形成が無く、吸水性に優れ、炊飯したときやわらかい食感の玄米ごはんとなる。
炊飯する直前まで果皮が米を酸化から守るカプセルとして作用し、炊飯前の水洗時に、米を研ぎ果皮を破壊し吸水性をさらに改良してから水に浸漬できる。このように、硬質膜がなく果皮や種皮を容易に破壊でき、吸水性をさらに改良することが可能で、通常の炊飯器であっても、よりふっくらと、もちもち感のある玄米ごはんを得ることができる。
マイクロ波通風乾燥により得られた玄米を家庭用発芽器で発芽させ炊飯し食するもよく、加湿又は水に浸漬により発芽させ洗浄後再びマイクロ波通風乾燥しドライタイプの発芽玄米を製造することにより、機能性のさらに高いよりやわらかい玄米の製造が可能である。特に、温度17℃、湿度70〜90%、6〜24時間の条件で調湿処理することが好ましい。
本発明で用いられる籾米は特に限定されないが、無農薬で作られたものが好ましい。
次に、本発明のタンパク質の保存率が高く、やわらかい玄米の製造方法を比較例と共に実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
実施例1
試料として、埼玉県熊谷市農業試験場提供の籾米(コシヒカリ、2003年度産の新米)を使用した。架台(200mm×300mm)に100gの上記籾米を広げ、これを2段重ね10組(計2.0Kg)で、ベルトコンベア式マイクロ波通風乾燥装置(3000mm×1200mm×H1300mm)内に送りこんだ。通風温度20℃、風速1.3m/秒、ベルトコンベア速度0.2m/分、マイクロ波実効出力250Wに設定し、試料を乾燥した。装置を通過する毎に、試料質量を測定し、再び装置に入れ、加熱乾燥式水分計(商品名:A&D MX−50、株式会社エー・アンド・デイ製)で含水率を測定し、含水率14%(市販される籾米の含水率に相当)まで乾燥を繰り返した。乾燥時間は460分で、平均品温は29℃だった。乾燥後は、籾米のまま袋詰にし、空気を抜いて室温(20〜25℃)にて貯蔵した。貯蔵した籾米を籾摺りして、玄米を得た。
比較例1
実施例1で用いた装置に実施例1で用いた試料を配置し、マイクロ波を照射せずに送風温度を40℃に設定して乾燥した。30分ごとに試料の質量を測定し、再び装置に入れ、含水率14%まで乾燥を繰り返した。乾燥時間は150分で、平均品温は39℃だった。乾燥後は、籾米のまま袋詰にし、空気を抜いて室温(20〜25℃)にて貯蔵した。貯蔵した籾米を籾摺りして、玄米を得た。
比較例2
実施例1で用いた試料を4日間にわたり、天日(平均気温23℃)で含水率約14%まで乾燥した。乾燥時間は5940分で、平均品温は19℃だった。乾燥後は、籾米のまま袋詰にし、空気を抜いて室温(20〜25℃)にて貯蔵した。貯蔵した籾米を籾摺りして、玄米を得た。
(評価)
実施例1並びに比較例1及び2で得られた玄米をそれぞれ粉砕し、これをそれぞれ1g秤り取り、ケルダール法によりそのタンパク質量を求めた。
(1)成分分布の測定
実施例1及び比較例1で得られた玄米を、酒米試験用の精米機で研磨した。採取量より研磨率を算出し、各研磨粉の粗タンパク質量を測定した。得られた結果を図1に示す。図1は、研磨率に対する粗タンパク質量の分布を示すグラフである。図1中、縦軸は粗タンパク質量(%)を、横軸は研磨率(%)を示す。
図1の結果から明らかなように、比較例1の熱風乾燥した玄米は、実施例1のマイクロ波通風乾燥した玄米と比較して、玄米内部の粗タンパク質量が少ないことがわかった。このことから、実施例1の玄米の方が、比較例1の玄米に比べてタンパク質保持率がよいことがわかった。
(2)明度・色度の測定
貯蔵後の玄米について肉眼で観察したところ、実施例1のマイクロ波通風乾燥した玄米の方が、比較例1の熱風乾燥した玄米よりも白く精白米により近かった。また、上記(1)の各研磨粉の明度および色度について、測色色差計(商品名:Color Meter NE2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。その結果、実施例1の玄米が比較例1の玄米のものに比べて、どの層においても明度が高く、全体的に明るいことがわかった。
(3)貯蔵による粗タンパク質量の変化
実施例1並びに比較例1及び2で得られた玄米をそれぞれ、5℃、相対湿度59%で5週間、9週間にわたり貯蔵した。貯蔵後の試料の粗タンパク質量をそれぞれ測定した。得られた結果を図2に示す。図2は、保存日数と粗タンパク質量との関係を示すグラフである。図2中、縦軸は粗タンパク質量(%)を、横軸は保存日数(日)を示す。
図2の結果から明らかなように、乾燥直後(0日目)の粗タンパク質量は、比較例1の熱風乾燥した玄米では10%、比較例2の天日乾燥した玄米では12%であったのに対し、実施例1のマイクロ波通風乾燥した玄米の粗タンパク質量では15%と多く有していた。この結果から、平均品温が高すぎたり、乾燥に時間がかかりすぎたりした場合には、品質(粗タンパク質量)に影響を及ぼすことがわかった。
次に、保存性についてみると、図2から明らかなように、どの乾燥方法で得られた玄米も乾燥直後は高い粗タンパク質量を示していたが、貯蔵初期に急速な減少が見られ、30日以降はほぼ一定の値を維持した。いずれの玄米も、日本食品標準成分表による通常の玄米の粗たんぱく質量7.4%よりも多い粗タンパク質量ではあったが、比較例1の玄米の粗タンパク質量は30日目以降は8.5%であったのに対し、実施例1の玄米の粗タンパク質量は30日目以降でも11.4%と高かった。このことから実施例1の玄米は保存性に優れ、長期保存しても品質(粗タンパク質量)が低下しないことがわかった。
なお、30℃、相対湿度56%の条件で貯蔵したところ、30日目を経過すると、比較例1の熱風乾燥した玄米の粗タンパク質量は7.4%にまで減少したのに対し、実施例1の玄米の粗タンパク質量は10.4%と高かった。このことから30℃という高い温度で保存した場合でも、実施例1の玄米は日本食品標準成分表による通常の玄米の粗たんぱく質量よりも多い粗タンパク質量を有することがわかった。
実施例2
実施例1とまったく同様にして籾米を乾燥した。乾燥した籾米を籾摺りして、玄米を得た。
比較例3
乾燥時間を160分としたこと以外は、比較例1とまったく同様にして籾米を乾燥した。乾燥した籾米を籾摺りして、玄米を得た。
(評価)
実施例2及び比較例3で得られた玄米のやわらかさ(レオロジー)を測定した。
まず、実施例2及び比較例3で得られた玄米を、塩化ナトリウム飽和水溶液を用いて相対湿度75%に調整した密閉容器に入れ、40℃で6週間貯蔵した。それぞれの貯蔵玄米70gを、でんぷんを均一に且つ十分に糊化させるために30℃の恒温水槽を用いて吸水させた。その後、各玄米を通常の家庭用炊飯器に入れ、所定量の水を加えて常圧で炊飯を行った。
炊飯した玄米の25粒ずつをそれぞれ試料として、レオロジーを測定し、それぞれ炊飯米のかみごこちの判断指標とした。切断する接触面積を設定するために、それぞれ1粒の幅を測り解析装置に入力し、その後クリープメータの台座に試料を載せ、くさび型プランジャーを用いて破断強度解析装置(高分解型クリープメーター、商品名:RE2−33005、株式会社山電製)で破断強度曲線を作成した。
破断強度曲線について説明する。破断強度曲線のモデルを図3に示す。図3中、縦軸は荷重(gf)を示し、試料の押し返した力を表す。横軸は歪み率(%)を示し、(変形距離/試料の元の厚さ)×100で計算される値を表す。具体的には、歪み率が0%のときは試料を歯で噛み始めた状態に対応し、歪み率が100%のときは上歯と下歯がぶつかり試料を噛み切った状態に対応する。
台座に載せた試料にプランジャーを当て荷重を加えていくと試料が歪んでいき、ある点で試料に破断が生じる。この時の荷重を破断荷重という。破断荷重が大きい場合は試料が硬いことを表し、破断荷重が小さい場合は試料が軟らかいことを表す。さらに荷重を加えていくと試料の破断が大きくなり、見かけ上の荷重は一旦小さくなる。このときの最小値と破断荷重との差をもろさ荷重という。もろさ荷重が大きい場合は試料がもろいことを表し、もろさ荷重が小さい場合は試料に粘り気があることを表す。さらに荷重を加えていくと最終的に試料が完全に破断する。このときの荷重を最大最終荷重という。
各試料から得られた破断強度曲線から、上記のようにして破断荷重、もろさ荷重、最大最終荷重を読み取り、その分布図を作成し図4に示した。図4中、X軸(図中の左側方向)はもろさ荷重(gf)を示し、Y軸(図中の右側方向)は破断荷重(gf)を示し、Z軸(図中の高さ方向)は最大最終荷重(gf)を示す。
図4から明らかなように、比較例3の熱風乾燥した玄米は、破断荷重332gf(3.26N)、もろさ荷重38gf(0.37N)を中心に広く分布していたのに対し、実施例2のマイクロ波通風乾燥した玄米は、破断荷重197gf(1.93N)、もろさ荷重27gf(0.265N)付近にほぼ集中していた。この結果、比較例3の玄米は、破断荷重が大きいのでその外皮は硬いことがわかり、もろさ荷重が大きいのでその内側はもろいことがわかる。すなわち、外皮が硬いために吸水性が悪く、でんぷんのα化が遅れ、もちもち感やふっくら感がなく、食感が悪い。これに対し、実施例2の玄米は、比較例3の玄米に比べて、やわらかく粘り気のある状態であることがわかった。すなわち、実施例2の玄米は、比較例3の玄米に比べて、やわらかく炊けていることがわかった。
研磨率に対する粗タンパク質量の分布を示すグラフである。 保存日数と粗タンパク質量の関係を示すグラフである。 モデルの破断強度曲線を示すグラフである。 各試料の破断強度曲線から得られた破断荷重、もろさ荷重、最大最終荷重の分布図である。

Claims (3)

  1. 籾米をその特質を損なわない温度範囲でその内部の温度をマイクロ波加熱により高く保持し、一方表面をより低温に通風しながら乾燥し、籾米の内部と表面の温度差により生じた水分の蒸気分圧差により内部の水分を蒸気の状態で表面に移動させ、水分の移動だけで他の成分は内部に留め、硬質膜の形成を防ぐことを特徴とするタンパク質の保持率が高く、アミノ酸に富み、かつやわらかい玄米の製造方法。
  2. 表面に通風する温度が10〜25℃であることを特徴とする請求項1記載のタンパク質保持率が高くかつやわらかい玄米の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された方法により製造された玄米を水に浸漬処理又は調湿処理して0.5〜1mm発芽させ、洗浄後再びマイクロ波通風乾燥したことを特徴とする発芽玄米の製造方法。
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