JP2005291356A - 転がり軸受の解析方法及び解析システム - Google Patents

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Abstract

【課題】シャフトが結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受の挙動を充分な解析精度で簡便に解析する。
【解決手段】転がり軸受におけるボール44の位置と、該ボール44における接触点を含むアキシャル平面である仮想断面S2を特定する(ステップS5)。ボール44の仮想断面S2上における接触荷重fiを求める(ステップS6)。ボール44の仮想断面S2上における減衰を求める(ステップS7)。各ボール44について仮想断面S2、接触荷重fi及び減衰を求めた後(ステップS8)、各接触荷重fi及び各減衰を合成して合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを求める(ステップS9)。合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTから6軸周りの荷重を求める(ステップS10)。
【選択図】図7

Description

本発明は、転がり軸受にシャフトが取り付けられた状態で、該シャフトに外力が作用する際の変位及び歪み等を解析するための転がり軸受の解析方法及び解析システムに関する。
エンジン開発におけるクランクシャフトの機構解析は、設計初期段階から重要視されており、このための機構解析技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、多気筒型のエンジンにおけるクランクシャフトへの負荷増大を低減させるための設計方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの技術及び方法で想定されているエンジンは多気筒型であって、クランクシャフトは滑り軸受により軸支されている。
一方、単気筒小型エンジン等の組立型クランクシャフトは転がり軸受によって軸支されているものがある。このようなクランクシャフトの挙動解析には軸支する転がり軸受の挙動も解析する必要がある。転がり軸受の挙動に関しては種々の論文が発表されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照)。
特開平10−169637号公報 Niino T. et al.「Development of simulation technology for dynamic behavior of crankshaft system in motorcycle engines」 JSAE Review、 Vol.23 (2002) 坂口智也、赤松良信「玉軸受の振動シミュレーション」 NTN TECHNICAL REVIEW、 No.69 (2001) 多田誠二「高速回転下における保持器音および振動・挙動の解析」 KOYO Engineering Journal、 No.160 (2001)
前記の特許文献1及び非特許文献1に記載されている方法及び技術は多気筒エンジンで、クランクシャフトの軸受に滑り軸受を用いているエンジンのための解析に用いられるものであり、小型エンジン等で転がり軸受により軸支されているクランクシャフトの解析に適用することは困難である。
また、前記の非特許文献2及び非特許文献3に記載されている解析方法は、軸受単体の解析を行うための方法であり、クランクシャフトを含んだ機構全体の解析やクランクシャフトに変動荷重をうける場合の解析に適用することは困難である。
一方、転がり軸受の解析方法としては、従来から線形及び非線形の単純なばね・ダンパモデルが用いられているが、このようなモデルは、クランクシャフトのような変動荷重を受けるシャフトを軸支する転がり軸受の解析に対しては解析精度が不十分である。また、転がり軸受の3次元的幾何形状から各部の接触を判断して個々の転動体における荷重を求めるという詳細接触解析手法を適用するためには膨大な計算時間を要し、実用的とはいえない。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、クランクシャフト等のシャフトが結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受の挙動を簡便に解析することができ、しかも充分な解析精度を有する転がり軸受の解析方法及び解析システムを提供することを目的とする。
本発明に係る転がり軸受の解析方法は、略同軸の内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪の間に転がり可能に設けられた複数の転動体とを有する転がり軸受の解析方法において、前記各転動体の仮想断面上における接触荷重を求める工程と、前記各接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求める工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る転がり軸受の解析システムは、略同軸の内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪の間に転がり可能に設けられた複数の転動体とを有する転がり軸受の解析システムにおいて、前記各転動体のアキシャル平面上における接触荷重を求める手段と、前記各接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求める手段と、を有し、前記アキシャル平面は、前記転動体が前記内輪又は前記外輪と接触する接触点を含む平面であることを特徴とする。
このように、各転動体の仮想断面上における接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求めることにより、シャフトが結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受の挙動を解析することができ、しかも充分な解析精度を有する。転動体は3次元的で複雑な接触に基づいて公転運動するが、上記の方法により転動体の運動を仮想断面上の2次元平面における運動に置き換えることができ、接触荷重精度を維持したまま簡便に解析することができる。
この場合、前記仮想断面は、前記転動体が前記内輪又は前記外輪と接触する接触点を含むアキシャル平面であると、より正確な解析を行うことができる。
また、前記接触荷重は関数で求められ、該関数は解析プログラムにソルバとして組み込まれると、解析プログラムと協動的に解析処理を行うことができる。
前記転がり軸受の弾性的な特性を含む有限要素法モデルに対して前記合成荷重ベクトル及び前記合成トルクベクトルを作用させ、前記転がり軸受又は該転がり軸受に軸支されるシャフトの所定の箇所における変位又は歪みを求めてもよい。有限要素法モデルによれば、実績のある従来の解析ツールを適用して簡便に解析を行うことができる。変位又は歪みを求めることにより、転がり軸受、シャフト等の評価を適切に行うことができる。
本発明に係る転がり軸受の解析方法及び解析システムによれば、各転動体の仮想断面上における接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求めることにより、シャフトが結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受の挙動を解析することができる。また、実用上充分な解析精度を有する。
以下、本発明に係る転がり軸受の解析方法及び解析システムについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図19を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、解析対象となる転がり軸受10及び12は、単気筒型のエンジン14におけるクランクシャフト16の両端のジャーナル部17a、17bを回転可能に軸支しており、クランクケース18に固定されている。クランクシャフト16はジャーナル部17a及び17bと、コネクティングロッド20の下端部を回転可能に軸支するクランクピン22と、該クランクピン22の両端を支えるとともにバランサとして作用するウェブ24a、24bとを有する。クランクピン22はジャーナル部17a、17bに対して偏心しており、クランクシャフト16が回転することによりコネクティングロッド20の上端に軸支されたピストン26がシリンダボア28内で昇降する。シリンダボア28の上部の燃焼室内には霧化燃料が供給され、点火プラグ30によって着火、爆発してピストン26を所定タイミングで押し下げてクランクシャフト16を回転させることになる。クランクシャフト16には図示しないクラッチ及び変速機を介して車輪が接続されており、自動二輪車等の車両を駆動することができる。霧化燃料の着火、爆発によりクランクシャフト16には変動荷重が加わる。
図3に示すように、転がり軸受10は内輪40と、外輪42と、これらの内輪40と外輪42の間に転がり可能に設けられた複数のボール(転動体)44とを有する。ボール44の個数を個数Nとする。外輪42は前記クランクケース18に固定されており、内輪40はジャーナル部17aに接続されている。
転がり軸受12は転がり軸受10と同構造であり、ジャーナル部17bを軸支している。
図4に示すように、ボール44は内輪40の軌道面40aと接触点Pで接触し、該接触点Pから接触荷重fを受ける。接触荷重fはラジアル平面(中心軸Zに垂直な平面)S1に対して接触角βの角度の方向に作用する。ボール44は、接触荷重fが作用する方向に貫通量δだけ弾性変形してつぶれている。つまり、ボール44は、軌道面40aと軌道面42aに挟まれることにより微少量だけ潰れて接触面が存在することになり、潰れる以前のボール44の元の形状の外周と軌道面42aとの距離が貫通量δとして定義される。なお、図4においては、理解を容易にするために貫通量δが軌道面42aの側にのみ存在するように図示しているが、実際にはボール44は軌道面40a側も変形しており、軌道面40a側と軌道面42a側はそれぞれδ/2ずつ弾性変形している。
ボール44は転がり軸受10の中心軸Zを基準とした公転角度αに応じて、位置が特定される。つまり、中心軸Zに直交するX軸、Y軸を図5に示すように規定し、ボール44が8つである場合には、X軸上のボール44aは、α=0°又はα=360°として特定される。また、ボール44から反時計方向に順に隣接するボール44b,44cは、それぞれα=45°、α=90°として特定される。また、X−Y平面はラジアル平面S1になる。
次に、転がり軸受10及び12を解析するための解析システム50について説明する。
図6に示すように、解析システム50は入力装置としてのキーボード52、マウス54及び記憶媒体ドライブ56と、解析装置としての本体58と、出力装置としてのモニタ60及びプリンタ62とを有する。記憶媒体ドライブ56は出力装置としても用いることができる。解析システム50は、例えば、パーソナルコンピュータシステムを用いることができる。
本体58は、転がり軸受10、12及びクランクシャフト16等の解析モデルデータD3を作成する転がり軸受特性作成部66と、作成された解析モデルデータD3に基づく解析を行う主計算部68とを有する。
転がり軸受特性作成部66は、プリプロセッサ部70と、線形静解析部72と、コンタクトプロセッサ部74とを有する。プリプロセッサ部70は、入力装置から入力された転がり軸受10、12及びクランクシャフト16等の形状、材質等のデータに基づいて線形静解析に必要な内輪40、外輪42及びボール44の有限要素法データD1を作成する部分である。この有限要素法データD1には形状メッシュ、荷重及び所定の境界条件が付加される。線形静解析部72はプリプロセッサ部70で作成された有限要素法データD1を用いて線形静解析を行う部分であり、所定の節点剛性データD2を作成する。この線形静解析部72で行う線形静解析には、汎用構造解析プログラムが利用可能である。
コンタクトプロセッサ部74は、線形静解析部72で作成された節点剛性データD2を用いて、内輪40、外輪42及びボール44の接触解析を行い解析モデルデータD3を作成する部分である。コンタクトプロセッサ部74は、ボール44の仮想断面S2上における接触荷重fを求めるための接触関数を作成する手段を有し、該接触関数を解析モデルデータD3に含める。接触関数では貫通量δ、接触角β等パラメータに基づき各ボール44毎の接触荷重fを求めることができる。
この解析モデルデータD3は主計算部68に供給されるとともに所定の記憶部に記録される。
主計算部68は汎用機構解析プログラム80と、該汎用機構解析プログラム80に組み込む解析ソルバ82とを有する。解析ソルバ82は、汎用機構解析プログラム80に組み込まれることにより該汎用機構解析プログラム80と協動的に解析処理を行うことができる。
解析ソルバ82は、先ず、クランクケース18の外輪42の取付中心部を基準として内輪40の変位、角度、速度及び角速度を計算する。
次に、解析モデルデータD3の接触関数から各ボール44毎の接触荷重fi(i=1〜N)と、減衰とを求め、これらを合成して合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを求める。添え字iは各ボール44の識別番号である。合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTは3次元的なベクトルとして求められる。接触荷重fiは仮想断面S2における2次元的なベクトル量として求められ、各ボール44毎にf1、f2、f3…fNとして表される。
解析ソルバ82は、具体的には、次の(1)式及び(2)式に基づいて合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを求める。
Figure 2005291356
Figure 2005291356
ここで、Fi及びTiはボール44の1個分の接触荷重ベクトル及び軸周りトルクベクトルであり、C( )は減衰を求める関数であり、viは並進速度ベクトルである。C( )は、例えば、接触荷重fiに対する比例関係の関数でもよい。
またliは中心軸Zから接触点Pまでの距離ベクトルである。func(δi、βi)は、転がり軸受特性作成部66で得られた接触関数であり、fi=func(δi、βi)である。なお、δi及びβiは代表的な引数であり、接触関数はこれ以外の引数をとりうる。
また、δiは各ボール44毎の貫通量δであり、並進軸方向成分の値として直交する3軸方向の成分値で表される。
さらに、転がり軸受10に加えられる変動荷重等の外力により変位、内輪40及び外輪42の中心位置から転がり軸受10に発生する力及びトルクを求め、これらの力及びトルクを合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTに反映させる。
なお、接触荷重fiは、仮想断面S2における2次元的なベクトル量であるが、各ボール44毎に仮想断面S2の向きが異なることから、結局、接触荷重fiは(1)式において3次元的なベクトルとして扱われる。
求められた合成荷重ベクトルFは、直交するX軸、Y軸及びZ軸の3方向成分に分解され、合成トルクベクトルTは、直交する3つの方向成分(いわゆる、ロール、ピッチ及びヨーの方向成分)に分解され、結局、6軸周りの荷重が求められる。得られた6軸周りの荷重は汎用機構解析プログラム80の解析に供される。これにより、汎用機構解析プログラム80では転がり軸受10、12及びクランクシャフト16の所定の箇所における変位を求めることができる。解析ソルバ82は、汎用機構解析プログラム80における時間領域での数値積分法を用いた計算に対応可能な程度に高速な処理が可能である。
次に、このように構成される解析システム50を用いて転がり軸受10、12及びクランクシャフト16の挙動解析を行う方法について説明する。以下の説明では、断りのない限り表記したステップ番号順に処理が実行されるものとする。
先ず、図7のステップS1において、入力装置から転がり軸受10、12及びクランクシャフト16等の形状、材質等のデータを入力する。
ステップS2において、転がり軸受特性作成部66のプリプロセッサ部70、線形静解析部72及びコンタクトプロセッサ部74が順に動作し、有限要素法データD1、節点剛性データD2及び解析モデルデータD3を作成する。
このとき、コンタクトプロセッサ部74は、接触関数func(δi、βi)を作成する。
ステップS3において、主計算部68は、クランクケース18の外輪42の取付中心部を基準として内輪40の変位、角度、速度及び角速度を計算する。
ステップS4において、ボール44のうち1つを以下のステップS5〜S7の処理対象として特定する。具体的には、所定のカウンタの番号に従い、前記添え字iの番号を特定すればよい。
ステップS5において、添え字iにより特定されるボール44の公転角度αから接触荷重fiが作用するアキシャル平面である仮想断面S2を特定する。
ステップS6において、前記ステップS5で特定された仮想断面S2内での接触角β及び接触荷重fiを求める。接触荷重fiは前記接触関数func(δi、βi)により求められる。
ステップS7において、接触荷重fiに基づいて減衰を求める。この減衰は、前記関数C( )により求められる。
ステップS8において、全てのボール44について前記ステップS5〜S7の処理を行ったか否かを確認する。全てのボール44について処理が終了していればステップS9へ移り、未終了であればステップS4へ戻る。
ステップS9において、前記(1)式及び(2)式に基づいて合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを求める。
ステップS10において、合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを分解して、6軸周りの荷重を求める。
ステップS11において、前記ステップS10で求められた6軸周りの荷重を汎用機構解析プログラム80に供給し、有限要素法等の手法により転がり軸受10、12又はクランクシャフト16の所定の箇所における変位を求めることができる。
次に、解析システム50を用いて行われた転がり軸受10、12及びクランクシャフト16の挙動解析の結果について説明する。
先ず、転がり軸受10及び12の単体の静的剛性検証を行った。つまり、解析モデルデータD3を用いて転がり軸受10及び12に対して静的にラジアル荷重Fr(図3参照)を加えた際のラジアル方向の弾性変形量とラジアル隙間との和である変位量drとラジアル荷重Frとの関係を調べた。同様に、静的にアキシャル荷重Fa(図3参照)を加えた際のアキシャル方向の弾性変形量とアキシャル隙間との和である変位量daとアキシャル荷重Faとの関係を調べた。
図8及び図9に示すように、隙間量dr、daに関して、解析モデルデータD3に基づく解析グラフ線100a及び102aと、予め検証されている基礎グラフ線100b及び102bとはそれぞれ高い相関を示し、解析モデルデータD3を用いた転がり軸受10及び12の静的な剛性を充分再現可能であることが検証された。また、この検証は、ボール44の公転位置のレイアウトが異なる複数の場合について行い、それぞれ高い相関があることが確認された。
次に、転がり軸受10、12とクランクシャフト16とのアセンブリ状態について検証した。この検証のために、図10に示すアセンブリ検証治具104を用いて実測データを計測した、アセンブリ検証治具104は、実際の転がり軸受10、12及びクランクシャフト16を前記クランクケース18と同様に保持するものであり、クランクピン22には、荷重を加えることのできるボルト106が設けられている。ボルト106は、所定の荷重で破断するように設定されており、該ボルト106が破断するまでの間は静的荷重が加えられ、破断時には衝撃荷重が加えられることになる。
アセンブリ検証治具104には、4つのギャップセンサ108a〜108dが設けられており、ウェブ24aの軸方向の変位dxa、上方向の変位dya、ウェブ24bの軸方向の変位dxb、上方向の変位dybが計測可能である。
ボルト106が破断するまでの間におけるボルト106に加わる荷重Fsに対する変位dxaを図11に示す。図11から、アセンブリ検証治具104のギャップセンサ108aから得られた実測データ110bと、解析モデルデータD3を用いて解析システム50で得られたシミュレーションデータ110aとは高い相関を示すことが了解される。
また、ボルト106の破断時における衝撃荷重に対する変位dxaの変化及び変位dyaの変化を図12及び図13に示す。図12から、実測データ112bと、解析モデルデータD3を用いて解析システム50で得られたシミュレーションデータ112aとは高い相関を示すことが了解される。同様に、図13から、実測データ114bと、シミュレーションデータ114aとは高い相関を示すことが了解される。なお、図示を省略するが、変位dxb及び変位dybについても、実測データとシミュレーションデータは高い相関を示した。
図12及び図13に示す時系列変位結果を用いて、周波数解析を行った結果を図14及び図15に示す。この図14及び図15から了解されるように、特に1000[Hz]前後において実測データ117b及び118bとシミュレーション結果117a及び118aがほぼ符合している。
このように、解析モデルデータD3は、静的及び動的な解析に充分適用可能であることが確認された。
次に、実際のエンジン14(図1参照)における転がり軸受10、12及びクランクシャフト16の挙動と、解析システム50における解析結果との比較検証を行った。この比較検証のため、実際のエンジン14のクランクケース18にギャップセンサを設けてウェブ24aの変位yを計測するとともに、クランクピン22の隅部の遅角側に歪みゲージを設けて霧化燃料を爆発させる際の歪みsを計測した。エンジン14は、実際に霧化燃料を供給して着火、爆発させて運転した。
図16及び図17に示すように、エンジン回転数Neが4000[r/min]時及び8000[r/min]時のクランク角θに対するウェブ24aの変位yは、実測データ120b及び122bとシミュレーションデータ120a及び120aでそれぞれほぼ符合した。
また、図18及び図19に示すように、エンジン回転数Neが4000[r/min]時及び8000[r/min]時のクランク角θに対するクランクピン22の隅部における歪みsは、実測データ124b及び126bとシミュレーションデータ124a及び126aでそれぞれほぼ符合した。
このように、解析システム50によれば、エンジン14の低速回転域及び高速回転域において実測データと高い相関を示すシミュレーションデータが得られ、実用上充分な解析精度を有することが確認された。
また、エンジン回転数Neが10000[r/min]時の歪みsに関して、従来のばね・ダンパモデルを用いた場合のデータは、実測データ又は解析システム50により得られるシミュレーションデータと比較して30%程度の誤差があることが確認され、従来手法と比較して解析システム50の解析精度が高いことが実証された。
上述したように、本実施の形態に係る転がり軸受の解析方法及び解析システム50によれば、各ボール44の仮想断面S2上における接触荷重fiを合成して合成荷重ベクトルF及び合成トルクベクトルTを求めることにより、クランクシャフト16が結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受10、12の剛性を再現可能であって、挙動を解析することができ、しかも充分な解析精度を有する。
また、実際のエンジン14を運転する際には、ボール44は3次元的で複雑な接触に基づいて公転運動するが、上記の方法によりボール44の運動を仮想断面S2上における運動に置き換えることができ、接触荷重fの数値精度を維持したまま簡便に解析することができる。
さらに、主計算部68では、主に仮想断面S2上の接触荷重fに基づいて解析を行うことから、解析モデルデータD3は構築が容易であり、しかもデータ量や計算負荷が低減し、解析時間の大幅な低減が図られる。
また、本実施の形態に係る転がり軸受の解析方法及び解析システム50は、深溝型の転がり軸受10及び12に限らず、例えば、ころ軸受、ニードル軸受等の各種軸受けに適用可能であることはもちろんである。
本発明に係る転がり軸受の解析方法及び解析システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々のステップ及び構成を採り得ることはもちろんである。
単気筒型のエンジンの一部断面側面図である。 転がり軸受及びクランクシャフトの模式斜視図である。 転がり軸受及びクランクシャフトの一部断面拡大斜視図である。 転がり軸受のボール、内輪及び外輪のアキシャル断面図である。 直交座標における公転角度とボールの位置との関係を示す図である。 本実施の形態に係る転がり軸受の解析装置のブロック図である。 本実施の形態に係る転がり軸受の解析方法の手順を示すフローチャートである。 解析モデルデータの転がり軸受にラジアル方向の静荷重をかけてシミュレーションした結果を示すグラフである。 解析モデルデータの転がり軸受にアキシャル方向の静荷重をかけてシミュレーションした結果を示すグラフである。 アセンブリ検証治具の一部断面斜視図である。 解析モデルデータのアセンブリに静荷重をかけてシミュレーションした結果である。 解析モデルデータのアセンブリに衝撃荷重をかけてシミュレーションした上下方向の変位を示すグラフである。 解析モデルデータのアセンブリに衝撃荷重をかけてシミュレーションした軸方向の変位を示すグラフである。 解析モデルデータのアセンブリに衝撃荷重をかけてシミュレーションした上下方向の変位の周波数解析結果を示すグラフである。 解析モデルデータのアセンブリに衝撃荷重をかけてシミュレーションした軸方向の変位の周波数解析結果を示すグラフである。 低回転時のクランク角に対するウェブの変位のシミュレーション結果である。 高回転時のクランク角に対するウェブの変位のシミュレーション結果である。 低回転時のクランク角に対するクランクピンの歪みのシミュレーション結果である。 高回転時のクランク角に対するクランクピンの歪みのシミュレーション結果である。
符号の説明
10、12…転がり軸受 14…エンジン
16…クランクシャフト 17a、17b…ジャーナル部
18…クランクケース 20…コネクティングロッド
22…クランクピン 24a、24b…ウェブ
40…内輪 40a、42a…軌道面
42…外輪 44…ボール
50…解析システム 58…本体
66…転がり軸受特性作成部 68…主計算部
70…プリプロセッサ部 72…線形静解析部
74…コンタクトプロセッサ部 80…汎用機構解析プログラム
82…解析ソルバ
f、fi…接触荷重 func…接触関数
D1…有限要素法データ D2…節点剛性データ
D3…解析モデルデータ F…合成荷重ベクトル
P…接触点 T…合成トルクベクトル
α…公転角度 β、βi…接触角
δ、δi…貫通量

Claims (5)

  1. 略同軸の内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪の間に転がり可能に設けられた複数の転動体とを有する転がり軸受の解析方法において、
    前記各転動体の仮想断面上における接触荷重を求める工程と、
    前記各接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求める工程と、
    を有することを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  2. 請求項1記載の転がり軸受の解析方法において、
    前記仮想断面は、前記転動体が前記内輪又は前記外輪と接触する接触点を含むアキシャル平面であることを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  3. 請求項1記載の転がり軸受の解析方法において、
    前記接触荷重は関数で求められ、該関数は解析プログラムにソルバとして組み込まれることを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  4. 請求項1記載の転がり軸受の解析方法において、
    前記転がり軸受の弾性的な特性を含む有限要素法モデルに対して前記合成荷重ベクトル及び前記合成トルクベクトルを作用させ、前記転がり軸受又は該転がり軸受に軸支されるシャフトの所定の箇所における変位又は歪みを求めることを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  5. 略同軸の内輪及び外輪と、前記内輪と前記外輪の間に転がり可能に設けられた複数の転動体とを有する転がり軸受の解析システムにおいて、
    前記各転動体のアキシャル平面上における接触荷重を求める手段と、
    前記各接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求める手段と、
    を有し、
    前記アキシャル平面は、前記転動体が前記内輪又は前記外輪と接触する接触点を含む平面であることを特徴とする転がり軸受の解析システム。

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