JP2005296595A - 脱臭用微生物製剤の製造及び脱臭方法 - Google Patents

脱臭用微生物製剤の製造及び脱臭方法 Download PDF

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Abstract

【課題】動物の糞尿,コンポスト,汚泥等の悪臭発生源に対し添加することによって悪臭の脱臭及び悪臭発生の抑制を行う事を特徴とする脱臭用微生物製剤の製造方法及び脱臭方法。
【解決手段】糞尿,コンポスト,汚泥等の悪臭発生源に対して添加することによって効果が持続し,悪臭成分を無臭の成分に変化させ,しかも細菌による糞尿,コンポスト,汚泥等からの悪臭発生を抑制する能力を有する細菌を得るべく各種糞便のコンポストを分離源として検索を行った。その結果,バチルス・フシホルミス(Bacil−ls fusiformis)の亜種に位置するバチルス属細菌が上記の条件を満たし,この種の細菌を主成分とする脱臭用製剤を用いた場合に糞尿の悪臭除去と悪臭発生抑制ができることを見出した。

Description

本発明は,悪臭の脱臭に関するものである。さらに詳しくは,糞尿,コンポスト,汚泥等の脱臭,及びそれらよりの悪臭発生防止に関するものである。
ヒトや動物の排泄物は,本来有機肥料としての価値を有しているにも拘わらず,衛生上の問題があることと同時に,その特有の悪臭が障害となって,それを利用するよりも早く処理することが望まれ,都市部では水洗そして下水処理という大規模な公共投資された設備を用い,経費をかけて処理する手段がとられている。また,下水道の設備が無い地方ではヒトの排泄物を簡易水洗の浄化槽によって処理することも行われてきた。とくに,肥料として価値の高い鶏糞や馬糞は,乾燥するすることによって臭気を抑え,肥料として流通に乗せることも行われている。しかしながら,近年そのような経費とエネルギ−をつぎ込む処理法ではなく,有機物を有価物として利用することが望まれ,微生物の働きによってコンポスト化などを行う技術が開発されて来た。ところが,このような場合でも糞尿等の排泄物の悪臭を除去することが必要である。その目的の脱臭剤及び脱臭方法として,以下のようなものが開発されているが,それぞれにも欠点がある。
イ)活性炭,ゼオライト,シリカゲルなどの無機多孔性材料やイオン交換樹脂が悪臭除去のための吸着剤として有効であるとされているが,吸着物質の量が一定量以上となると吸着能力を失い,悪臭除去効果が失われる。
ロ)悪臭物質の大半がアミン,メルカプタン,カルボン酸などの反応性に富んだ化合物であるので,これらと反応して共有結合を生成するような不飽和結合を有する有機化合物を脱臭剤として用いる方法も知られているが,この場合も反応量が一定量以上となると悪臭除去効果が失われる。
ハ)悪臭物質を無臭の物質に変化させる植物由来の酸素も知られているが,この酸素が特定の物質にのみ作用することから糞尿のように雑多な臭気物質を含むものに効果が少ないことと,糞尿に含まれる雑多な物質や微生物により変性を受けて効果が持続しない。
ニ)イ)〜ニ)の問題を克服する脱臭方法として微生物を用いることが考えられ,いくつか報告されているが,それぞれ特定の悪臭物質の除去に有効であっても雑多な悪臭成分のすべてに有効なものは報告されていない。
糸状菌 「発酵工学会誌」58巻197頁,1980年 酵母 「発酵工学会誌」55巻134頁,1977年 細菌 「科学と工業」 63巻374頁,1989年
本発明は,糞尿,コンポスト,汚泥等から発生する悪臭物質(アンモニア,トリメチルアミン,硫化水素,メチルメルカプタン,硫化メチル,二流化メチル,低級脂肪族カルボン酸,低級脂肪族アルデヒド等)を無臭の物質に変化させることにより脱臭する微生物脱臭剤とそれを用いる脱臭方法に関する。
本発明は,上記課題を解決するために,1)糞尿,コンポスト,汚泥等の悪臭発生源に対して添加することによって効果が持続し,2)悪臭成分を無臭の成分に変化させ,3)しかも細菌による糞尿,コンポスト,汚泥等からの悪臭発生を抑制する能力を有する細菌を得るべく,各種糞便のコンポストを分離源として検索を行った。その結果,バチルス・フシホルミス(Bacills fusiformis)の亜種に位置するバチルス属細菌が上記の条件を満たし,この種の細菌を主成分とする脱臭用製剤を用いた場合に糞尿の悪臭除去と悪臭発生抑制ができることを見出し,本発明を完成した。
即ち本発明は,糞尿の悪臭除去及び悪臭発生抑制に当たり,バチルス・フシホルミスの亜種に位置するバチルス属細菌を主成分とすることを特徴とする脱臭用微生物製剤に係わる。
本発明では,バチルス・フシホルミスの亜種に位置するバチルス属細菌(以下本発明細菌とする)が何れも使用できる。その具体例としては,例えば,本発明者が鶏糞コンポストから分離したバチルス・スペシ−スMKH−01株(以下単にMKH−01株とする)を挙げることができる。このMKH−01株は,文献末記載の新規菌株であり,独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センタ−FERM P−19736号として寄託した。この菌株の菌学的性質は下記表1の通りである。
Figure 2005296595
上記の菌学的性質からMKH−01株は,バチルス属細菌であると見いだされる。このMKH−01株の16SrDNAの塩基配列は表2の通りである。
Figure 2005296595
さらに,同株と近縁種の標準株とについて16SrDNAの1547塩基配列を比較した相違性は,表3の通りである。
Figure 2005296595
表3の結果から,バチルス属MKH−01株は,バチルス・フシホルミスとバチルス・スファエリカスの近縁の新しい種で,バチルス・フシホルミスの亜種であると見いだされれる。
上記MKH−01株の培養はバチルス属に属する公知の細菌と同様にして行えばよい。本発明細菌を主成分とする脱臭用微生物製剤を製造するに当たっては,細菌を懸濁液状,ペ−スト状,乾燥粉末,顆粒状など何れの状態にしてもよく,添加剤をしようしてもしなくてもよい。添加剤としては,公知のものが何れも採用できる。たとえば,水に可溶性のものとしては,糖質,タンパク質,塩類などが使用され,水に不溶性のものとしては,澱粉,オガクズ,バカスなど澱粉,セルロ−ス,キチンなどを主成分とする天然の有機材料,活性炭,ゼオライト,シリカゲル,白砂,珪藻土,ガラスなどの無機材料やポリアクリルアミド,塩化ビニル,ナイロン,ウレタン,ポリエステルなどの合成高分子材料が使用される。
本発明の脱臭用微生物製剤を用いる対象としては,ヒト,鶏,牛,馬,羊などの動物の糞尿のほか,生ゴミ,食品工場廃棄物,汚泥などの天然物由来の悪臭を発生するものすべてが挙げられる。細菌の添加量は,対象によって異なるが,悪臭発生の比較的少ないものに対しては,対象物1gにつき10−10個程度,悪臭発生が著しいものに対しては,同じく10−10個程度を添加することが効果的である。
本発明によれば,悪臭除去及び悪臭発生抑制のために以下のような効果が達成される。
(1)本発明品を用いることにより,悪臭除去のための特別な設備を必要とせず,しかも新たな悪臭発生を防止することができる。
(2)本発明菌は,広い範囲の悪臭成分の除去及び発生抑制に有効で,各種の悪臭発生物を対象とすることができる。
(3)本発明菌は,生育に特別な栄養物を必要とせず,各種の悪臭発生物中で増殖することができるので,作用の効果が持続する。
(4)本発明菌は,悪臭を除去する上にさらに雑菌の繁殖によって悪臭がすることを抑制することができる。
MKH−01株を,肉エキス1%,ペプトン1%,酵母エキス0.2%,グルコ−ス0.1%を含む液体培地(pH7.0)にて37℃で2日間振盪培養した。
得られた菌体を遠心分離によって集め,3%スキムミルク,5%グルコ−ス,1%グルタミン酸ナトリウムを含む保護剤(pH7.0)を加えて凍結乾燥し,粉末の菌剤を調整した。下記実施例において,この粉末を菌剤(1g当たりの生菌数が1011個〉を用いて各種糞尿及びコンポストの脱臭と悪臭発生防止を行った。悪臭発生の判定は,官能試験によって行った。
家庭用簡易型浄化槽(1999L)を家族4人で六カ月連続使用して,排水が悪臭を発する状態になった槽中に乾燥菌剤15gを水と共に便器から流し込んだところ,悪臭は除去され,その後三カ月以上悪臭の発生が抑制された。
実施例1と同規模の家庭用合併処理浄化槽に本発明の乾燥菌剤を添加する前後の処理槽から発生する臭気成分の濃度を特定悪臭物質測定方法(昭和47年環境庁告示第9号)に従って測定したところ,表4の通りであった。
Figure 2005296595
鶏糞4.3kgを厚さが1cm位になるようにポリエチレン製ビニル袋中に広げ,乾燥菌剤43gを加えて切り返し,袋の口を縛って30℃にて2日間置いたところ,鶏糞特有の悪臭が消失した。
建設現場の簡易式トイレの汚物タンク(300L)に,乾燥菌剤20gを約100mlの水に溶かして流し込んだところ,タンクが一杯になり交換する時点まで臭気が発生しなくなった。
ドラム缶にすてられ,数日を経て悪臭を発生するようになった生ゴミ約100kgの表面に,乾燥菌剤1gを約100mlの水に溶かしスプレ−したところ,特有の悪臭が消失した。
下水処理場の汚泥の山(表面積約100m)に乾燥菌剤300kgを約30Lの水に溶かし散布したところ,1日後に悪臭発生が抑制された。
猫5匹を飼っている部屋に,乾燥菌剤2gを200mlの水に溶かして家庭用噴霧器でスプレ−したところ,部屋内の悪臭が消失した。
動植物から発せられる,あらゆる悪臭の除去に利用できる。

Claims (3)

  1. バチルス・フシホルミスの亜種に属する微生物を主成分とする脱臭用製剤の製造方法。
  2. バチルス・フシホルミスの亜種に属する微生物がバチルス属細菌MKH−01である特許請求範囲第1項に記載の微生物製剤を用いる糞尿,コンポスト,汚泥等の脱臭方法。
  3. 第2項に記載の微生物を主成分とする悪臭発生抑制剤及び悪臭発生抑制方法。
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