JP2005297025A - タンデム圧延装置のチャタリング予測方法及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンデム圧延装置におけるチャタリング発生を予測し、その予測に基づきタンデム圧延装置を制御する。
【解決手段】圧延材5を複数の圧延機F(i)で連続的に圧延するタンデム圧延装置1で、各圧延機F(i)に備えられたワークロール3,3の上下振動と、圧延中の圧延材5の内部を伝播する張力振動とを考慮した圧延機F(i)の自励振動モデルを作成し、この自励振動モデルを用いて、圧延機F(i)でのチャタリングの発生の有無を予測する。
【選択図】図1
【解決手段】圧延材5を複数の圧延機F(i)で連続的に圧延するタンデム圧延装置1で、各圧延機F(i)に備えられたワークロール3,3の上下振動と、圧延中の圧延材5の内部を伝播する張力振動とを考慮した圧延機F(i)の自励振動モデルを作成し、この自励振動モデルを用いて、圧延機F(i)でのチャタリングの発生の有無を予測する。
【選択図】図1
Description
本発明は、タンデム圧延装置におけるチャタリング予測方法と、当該チャタリング予測方法を用いて、チャタリングが発生しないようにタンデム圧延装置を制御する制御方法に関するものである。
従来から、タンデム圧延装置において、圧延速度を上げて行くと、最終圧延機や上流側の圧延機で自励振動が発生し、この振動を原因として板厚不良や圧延材破断などの圧延トラブルが発生することが知られている。この現象はチャタリング(圧延機の自励振動)といわれるものであって、特に、冷間の薄板圧延で顕著に発生していた。チャタリングの振動周波数は約100Hz〜700Hz程度であり、圧延機の固有振動数に近い値を示す。
チャタリング現象は、圧延機の固有振動数、圧延潤滑状態、圧延材張力や圧延速度などの圧延条件が関わっていることが知られており、特に、圧延速度とは強い相関を持つため、チャタリングが起こった際には、現場での対応として、圧延速度を下げたりすることでチャタリング現象を回避していた。しかしながら、圧延速度の低下により、生産性が低下するなどの他の問題が起こっていた。
チャタリング現象は、圧延機の固有振動数、圧延潤滑状態、圧延材張力や圧延速度などの圧延条件が関わっていることが知られており、特に、圧延速度とは強い相関を持つため、チャタリングが起こった際には、現場での対応として、圧延速度を下げたりすることでチャタリング現象を回避していた。しかしながら、圧延速度の低下により、生産性が低下するなどの他の問題が起こっていた。
このようなチャタリング現象を回避する技術としては、例えば、特許文献1〜特許文献3、非特許文献1があった。
特許文献1には、タンデム圧延装置による冷間圧延において、高速圧延時のワークロールでの潤滑油膜厚さを算出して、この潤滑油膜厚さが設定された下限を越える場合にチャタリングが発生すると考え、かかる下限値を越えないように潤滑油を供給する技術が開示されている。
特許文献2には、タンデム圧延装置による冷間圧延において、最終圧延機に隣接する上流側の圧延機の摩擦係数に基づいて、最終圧延機の摩擦係数の目標範囲を設定し、この目標範囲を満たすように、最終圧延機又は上流側圧延機の潤滑条件を変更する技術が開示されている。
特許文献1には、タンデム圧延装置による冷間圧延において、高速圧延時のワークロールでの潤滑油膜厚さを算出して、この潤滑油膜厚さが設定された下限を越える場合にチャタリングが発生すると考え、かかる下限値を越えないように潤滑油を供給する技術が開示されている。
特許文献2には、タンデム圧延装置による冷間圧延において、最終圧延機に隣接する上流側の圧延機の摩擦係数に基づいて、最終圧延機の摩擦係数の目標範囲を設定し、この目標範囲を満たすように、最終圧延機又は上流側圧延機の潤滑条件を変更する技術が開示されている。
特許文献3には、タンデム圧延装置による冷間圧延において、先進率が負になるとチャタリングが発生しやすいとの知見から、各圧延機の先進率が負にならないように圧下率配分や張力、圧延速度を制御する技術が開示されている。
一方、非特許文献1には、チャタリングの発生メカニズムを考慮した上で自励振動モデル(チャタリング発生モデル)を構築することが記載されている。この自励振動モデルは、圧延機のワークロールの上下振動に加えて、水平振動がチャタリングに大きく寄与しているとし、チャタリング発生のメカニズムのモデル化を図っている。
特開平09−239430号公報(第3頁〜第9頁、図1)
特開2000−94024号公報(第2頁〜第7頁、図1、図2)
特開平03−151107号公報(第1頁〜第3頁、図4)
石野ら、「圧延機チャタリングの振動解析」、日本機械学会論文集(C編)、(社)日本機械学会、2003年11月、69巻687号、PP135〜142
一方、非特許文献1には、チャタリングの発生メカニズムを考慮した上で自励振動モデル(チャタリング発生モデル)を構築することが記載されている。この自励振動モデルは、圧延機のワークロールの上下振動に加えて、水平振動がチャタリングに大きく寄与しているとし、チャタリング発生のメカニズムのモデル化を図っている。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3のいずれも、実績データから得たれた推定式を用いてチャタリング防止の対応を行うものであって、チャタリング発生のメカニズムを明らかにした上で、その防止措置を講じてはいない。ゆえに、異なった条件下でのチャタリング発生に対応できる技術とはなっていない。
また、非特許文献1に記載された自励振動モデルは、チャタリング発生のメカニズムを論理的に考察した上で構築されているものの、圧延材に作用する張力は一定と仮定し、単独の圧延機に発生するチャタリングに着目したものとなっている。従って、前記自励振動モデルは、各圧延機が相互に影響しあって振動が発生・増長すること、換言すればタンデム圧延装置全体での振動の挙動を反映しているとは言い難い。
また、非特許文献1に記載された自励振動モデルは、チャタリング発生のメカニズムを論理的に考察した上で構築されているものの、圧延材に作用する張力は一定と仮定し、単独の圧延機に発生するチャタリングに着目したものとなっている。従って、前記自励振動モデルは、各圧延機が相互に影響しあって振動が発生・増長すること、換言すればタンデム圧延装置全体での振動の挙動を反映しているとは言い難い。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、タンデム圧延装置全体を考慮した自励振動モデルを構築した上で、かかるモデルを用いたチャタリング予測方法提供すると共に、当該チャタリング予測方法を用いて、チャタリングが発生しないようにタンデム圧延装置を制御する制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本願出願人は、チャタリングの発生状況を詳細に観察・研究した結果、図1に示す如く、タンデム圧延装置において、ある圧延機で自励振動が発生した場合、それらが圧延材中を伝播する張力振動として隣接する圧延機に伝播し、ついにはタンデム圧延装置全体としてチャタリングが発生することを明らかにした。すなわち、チャタリングの原因として、各圧延機におけるワークロールの上下振動と、その上下振動を隣接する圧延機に伝播させる圧延材中の張力振動との2つが重要であるとの見解に達した。
本願出願人は、チャタリングの発生状況を詳細に観察・研究した結果、図1に示す如く、タンデム圧延装置において、ある圧延機で自励振動が発生した場合、それらが圧延材中を伝播する張力振動として隣接する圧延機に伝播し、ついにはタンデム圧延装置全体としてチャタリングが発生することを明らかにした。すなわち、チャタリングの原因として、各圧延機におけるワークロールの上下振動と、その上下振動を隣接する圧延機に伝播させる圧延材中の張力振動との2つが重要であるとの見解に達した。
そこで、本願発明人は、タンデム圧延装置のチャタリング予測方法における課題解決のための技術的手段を、圧延材を複数の圧延機で連続的に圧延するタンデム圧延装置で、各圧延機に備えられたワークロールの上下振動と、圧延中の圧延材の内部を伝播する張力振動とを考慮した圧延機の自励振動モデルを作成し、この自励振動モデルを用いて、圧延機でのチャタリングの発生の有無を予測することとしている。
この技術的手段によれば、自励振動モデルを用いることで、様々な条件下でのチャタリング発生の有無を予測することが可能となる。
この技術的手段によれば、自励振動モデルを用いることで、様々な条件下でのチャタリング発生の有無を予測することが可能となる。
前記自励振動モデルを構築するにあたり、まず、本願出願人は、ワークロールの上下振動に関与するものとして、圧延荷重の変動に起因する振動と、圧延機内に存する流体の粘性に起因する上下方向の振動と、圧延機全体の剛性による上下方向の撓み振動とを考えた。
さらに、ある圧延機のワークロールが上下に振動し始めて、そのロールギャップが狭くなった場合、当該ロールギャップの通過抵抗が大きくなって、圧延材の移送速度が遅くなり結果として圧延材中の張力が減少するようになる。逆に、ロールギャップが広くなった場合は、圧延材の移送速度が速くなりその結果として圧延材中の張力が増大するようになる。このような現象の考察から、ワークロールの上下振動は、圧延材の張力振動を引き起こし、それが隣接する圧延機に影響を及ぼし、振動がタンデム圧延装置全体に波及すると考えるに至った。
さらに、ある圧延機のワークロールが上下に振動し始めて、そのロールギャップが狭くなった場合、当該ロールギャップの通過抵抗が大きくなって、圧延材の移送速度が遅くなり結果として圧延材中の張力が減少するようになる。逆に、ロールギャップが広くなった場合は、圧延材の移送速度が速くなりその結果として圧延材中の張力が増大するようになる。このような現象の考察から、ワークロールの上下振動は、圧延材の張力振動を引き起こし、それが隣接する圧延機に影響を及ぼし、振動がタンデム圧延装置全体に波及すると考えるに至った。
以上のことを鑑み、本願出願人は、前記自励振動モデルを、 圧延荷重の変動、圧延機内に存する流体の粘性、圧延機全体の弾性の少なくとも1つがワークロールの上下振動に寄与するとしたワークロール運動方程式と、隣り合う圧延機間での圧延板の移送速度変化が張力振動を発生するとした張力振動方程式と、を各圧延機毎に設定し、前記ワークロールの上下振動と張力振動とが同一周波数で発生するとして、前記ワークロール運動方程式及び張力振動方程式から特性方程式を導出し、この特性方程式をもって構成している。
各圧延機におけるワークロール運動方程式と張力振動方程式とを解くにあたり、両者が同一周波数の振動解を持つと仮定し特性方程式を導出しているが、ワークロールの上下振動が張力振動で他の圧延機に伝播するという状況下においては、ワークロールの上下振動と張力振動との周波数が異なるとは考えにくく、同一周波数振動という仮定は妥当である。
各圧延機におけるワークロール運動方程式と張力振動方程式とを解くにあたり、両者が同一周波数の振動解を持つと仮定し特性方程式を導出しているが、ワークロールの上下振動が張力振動で他の圧延機に伝播するという状況下においては、ワークロールの上下振動と張力振動との周波数が異なるとは考えにくく、同一周波数振動という仮定は妥当である。
前記仮定により、数学的手法を用いて特性方程式を導出でき、当該特性方程式をもって自励振動モデルを構築することが可能となる。
特性方程式から、チャタリング発生を予測するにあたっては、特性方程式の複素数解の実部がプラスの場合に、チャタリングが発生すると判定するようにするとよい。
これは、特性方程式の解として振動解を仮定しているため、その解が複素数である場合には、かかる複素数解の実部の符号を見ることにより、振動が発散する(自励振動となる)かどうかが、数学的にすでに自明な事柄だからである。
特性方程式から、チャタリング発生を予測するにあたっては、特性方程式の複素数解の実部がプラスの場合に、チャタリングが発生すると判定するようにするとよい。
これは、特性方程式の解として振動解を仮定しているため、その解が複素数である場合には、かかる複素数解の実部の符号を見ることにより、振動が発散する(自励振動となる)かどうかが、数学的にすでに自明な事柄だからである。
これら数学的見知の基に、特性方程式の複素数解の実部にのみ着目することで、チャタリング発生を知ることができるようになる。
一方、タンデム圧延装置の最適制御方法における課題解決のための技術的手段は、前記自励振動モデルを用いて、チャタリング発生を防止可能とする各圧延機での圧延制御量を算出し、これに基づいて各圧延機を制御することを特徴とする。
この技術的手段によれば、様々な条件下のタンデム圧延装置において、自励振動モデルを用いて理論的にチャタリングの発生を防止することが可能となる。
一方、タンデム圧延装置の最適制御方法における課題解決のための技術的手段は、前記自励振動モデルを用いて、チャタリング発生を防止可能とする各圧延機での圧延制御量を算出し、これに基づいて各圧延機を制御することを特徴とする。
この技術的手段によれば、様々な条件下のタンデム圧延装置において、自励振動モデルを用いて理論的にチャタリングの発生を防止することが可能となる。
なお、好ましくは、前記自励振動モデルの複素数解の実部がマイナスとなるように、各圧延機での圧延制御量を算出し、これを基に各圧延機を制御するとよい。
これによれば、特性方程式の複素数解の実部にのみ着目し、タンデム圧延装置を制御することができるようになる。
さらに好ましくは、前記自励振動モデルの複素数解の実部を圧延制御量で変分し、この変分値がプラスの場合は、当該変分値が減少するように各圧延機の圧延制御量を変化させ、前記変分値がマイナスの場合は、当該変分値が増加するように各圧延機の圧延制御量を変化させるとよい。
これによれば、特性方程式の複素数解の実部にのみ着目し、タンデム圧延装置を制御することができるようになる。
さらに好ましくは、前記自励振動モデルの複素数解の実部を圧延制御量で変分し、この変分値がプラスの場合は、当該変分値が減少するように各圧延機の圧延制御量を変化させ、前記変分値がマイナスの場合は、当該変分値が増加するように各圧延機の圧延制御量を変化させるとよい。
これによれば、最適制御理論で用いられる変分法の考えを用い、より簡単且つリアルタイムにタンデム圧延装置を制御することが可能となる。
なお、前記圧延制御量は、圧延材張力及び板厚であるとよい。
なお、前記圧延制御量は、圧延材張力及び板厚であるとよい。
本発明によれば、タンデム圧延装置全体を考慮した自励振動モデルにより、タンデム圧延装置のチャタリング発生を正確に予測できるようになると共に、この自励振動モデルを用いて、チャタリングが発生しないようにタンデム圧延装置を制御することが可能となる。
以下、本発明にかかるタンデム圧延装置のチャタリング予測方法及び制御方法を、薄板の冷間圧延を行うタンデム圧延装置を例示して説明する。
図2、図3には、冷間薄板圧延用のタンデム圧延装置1が模式的に示されている。
本タンデム圧延装置1に備えられている各圧延機F(i)は、一対のワークロール3,3とそれをバックアップする一対のバックアップロール4,4とを有している。圧延材5は下流側(i−1側)から上流側(i+1側)へ圧延されつつ移送される。
各圧延機F(i)には、入側の圧延材5の板厚を計測する入側板厚計6や、出側板厚を計測する出側板厚計7が備えられ、入側張力を計る入側張力計8や出側張力を計測する出側張力計9も設けられている。加えて、出側の圧延材の速度(板速度)を計測する板速計10や圧延荷重を計測する圧延荷重計11も備えられている。
図2、図3には、冷間薄板圧延用のタンデム圧延装置1が模式的に示されている。
本タンデム圧延装置1に備えられている各圧延機F(i)は、一対のワークロール3,3とそれをバックアップする一対のバックアップロール4,4とを有している。圧延材5は下流側(i−1側)から上流側(i+1側)へ圧延されつつ移送される。
各圧延機F(i)には、入側の圧延材5の板厚を計測する入側板厚計6や、出側板厚を計測する出側板厚計7が備えられ、入側張力を計る入側張力計8や出側張力を計測する出側張力計9も設けられている。加えて、出側の圧延材の速度(板速度)を計測する板速計10や圧延荷重を計測する圧延荷重計11も備えられている。
さらに、前記各計測計6,7,8,9,10,11で計られた圧延機F(i)の圧延制御量が入力されて、後述する制御方法に従ってチャタリングが発生しない圧延制御量を算出し、その圧延制御量で圧延機F(i)を制御する制御手段12を備えている。
このタンデム圧延装置1において、当該装置1におけるチャタリング予測方法及びその制御方法を実施しており、以下、その予測方法及び制御方法を説明する。
まず、タンデム圧延装置1でチャタリングが発生するか否かを判定するために用いる自励振動モデルについて述べる。
[自励振動モデル]
本願出願人は、チャタリングの発生状況を詳細に観察、研究した結果、図1に示す如く、ある圧延機F(i)で自励振動(図中のA)が発生した場合、それらが圧延材5中を伝播する張力振動として、隣接する圧延機F(i+1)、F(i−1)に伝播し(図中のB)、ついにはタンデム圧延装置1全体としてチャタリングが発生することを明らかにした。このことから、チャタリングの原因として、各圧延機F(i)におけるワークロール3,3の上下振動と、その上下振動を隣接する圧延機F(i+1)、F(i−1)に伝播させる圧延材5中の張力振動との2つが重要であるとの見解に達した。
このタンデム圧延装置1において、当該装置1におけるチャタリング予測方法及びその制御方法を実施しており、以下、その予測方法及び制御方法を説明する。
まず、タンデム圧延装置1でチャタリングが発生するか否かを判定するために用いる自励振動モデルについて述べる。
[自励振動モデル]
本願出願人は、チャタリングの発生状況を詳細に観察、研究した結果、図1に示す如く、ある圧延機F(i)で自励振動(図中のA)が発生した場合、それらが圧延材5中を伝播する張力振動として、隣接する圧延機F(i+1)、F(i−1)に伝播し(図中のB)、ついにはタンデム圧延装置1全体としてチャタリングが発生することを明らかにした。このことから、チャタリングの原因として、各圧延機F(i)におけるワークロール3,3の上下振動と、その上下振動を隣接する圧延機F(i+1)、F(i−1)に伝播させる圧延材5中の張力振動との2つが重要であるとの見解に達した。
換言すれば、圧延材5を複数の圧延機F(i)で連続的に圧延するタンデム圧延装置1で、各圧延機F(i)に備えられたワークロール3,3の上下振動と、圧延中の圧延材5の内部を伝播する張力振動とを考慮した圧延機の自励振動モデルを作成した。
図4には、かかる考えに基づく自励振動モデルの導出過程を示している。
まず、各圧延機F(i)でのワークロール3の運動方程式と、隣接する圧延機F(i),F(i+1)間における張力振動方程式を設定する。これらの動的方程式に、圧延荷重の変動等を示す静的方程式を組み合わせることで、タンデム圧延装置1全体の圧延状態を示す式を導出する。
図4には、かかる考えに基づく自励振動モデルの導出過程を示している。
まず、各圧延機F(i)でのワークロール3の運動方程式と、隣接する圧延機F(i),F(i+1)間における張力振動方程式を設定する。これらの動的方程式に、圧延荷重の変動等を示す静的方程式を組み合わせることで、タンデム圧延装置1全体の圧延状態を示す式を導出する。
この圧延状態を示す式において、振動解をΔx=exp(ωt)、Δσ=exp(ωt)、ωは複素数と仮定し、特性方程式を導出する(特性方程式については、例えば、「小川枝郎著,応用数学概論,1980年,培風館」等を参照)。このようにして導出された特性方程式が自励振動モデルとなる。
以下、自励振動モデルの導出について詳しく説明する。
まず、モデルに用いる変数は次の通りである。なお、変数はi番目の圧延機F(i)(iスタンド)に関するものを示している。
・入力張力:σ(i) in
・出側張力:σ(i) out
・入側板厚:h(i) in
・出側板厚:h(i) out
・入側板速度:V(i) in
・出側板速度:V(i) out
・ワークロール速度:Vr(i)
・ワークロール扁平変形係数:K(i)
・圧延機F(i)の見かけの質量(ミルのマス係数):m(i)
・ワークロールやバックアップロールのダンピング係数:λ(i)
・圧延機F(i)のミル定数:M(i)
・圧延材の板幅:W
・隣接するスタンド間の距離:L
・縦波音速:Vs
・次スタンドへの張力伝達遅れ:τ0=L/Vs=1.0×10-4
・次スタンドへの板厚伝達遅れ:τ1=L/V(i) out=1.0×10-2〜5.0×10-3
次に、静的方程式を考える。
以下、自励振動モデルの導出について詳しく説明する。
まず、モデルに用いる変数は次の通りである。なお、変数はi番目の圧延機F(i)(iスタンド)に関するものを示している。
・入力張力:σ(i) in
・出側張力:σ(i) out
・入側板厚:h(i) in
・出側板厚:h(i) out
・入側板速度:V(i) in
・出側板速度:V(i) out
・ワークロール速度:Vr(i)
・ワークロール扁平変形係数:K(i)
・圧延機F(i)の見かけの質量(ミルのマス係数):m(i)
・ワークロールやバックアップロールのダンピング係数:λ(i)
・圧延機F(i)のミル定数:M(i)
・圧延材の板幅:W
・隣接するスタンド間の距離:L
・縦波音速:Vs
・次スタンドへの張力伝達遅れ:τ0=L/Vs=1.0×10-4
・次スタンドへの板厚伝達遅れ:τ1=L/V(i) out=1.0×10-2〜5.0×10-3
次に、静的方程式を考える。
まず、荷重変動ΔPの静的方程式は、式(1)で表される。
上側ワークロール3の変位をΔxとした場合、ワークロール3,3の変位の静的方程式は、式(2)で表される。
圧延機F(i)における先進率fsの変動Δfsは、式(3)で表される。
次に、動的方程式として、圧延機F(i)に設けられたワークロール3の運動方程式を考える。
ワークロール運動方程式は、圧延荷重の変動、圧延機内に存する流体の粘性、圧延機F(i)全体の弾性の少なくとも1つがワークロール3の上下振動に寄与すると考えたもので、式(4)に示すようになる。
すなわち、ワークロール3の上下振動の原因としては、まず、圧延荷重P(i)の変動が考えられる。加えて、ミル定数M(i)で表される圧延機F(i)全体の弾性が関与すると考える。
ワークロール運動方程式は、圧延荷重の変動、圧延機内に存する流体の粘性、圧延機F(i)全体の弾性の少なくとも1つがワークロール3の上下振動に寄与すると考えたもので、式(4)に示すようになる。
すなわち、ワークロール3の上下振動の原因としては、まず、圧延荷重P(i)の変動が考えられる。加えて、ミル定数M(i)で表される圧延機F(i)全体の弾性が関与すると考える。
さらに、圧延機F(i)内に存する流体の粘性は、ワークロール3の見かけのダンピング係数λ(i)として表現され、ワークロール3の上下振動に寄与するものとする。
圧延機F(i)内のワークロール3やバックアップロール4はベアリング構造で圧延機本体に支持されているが、かかるベアリング構造内には潤滑のための油膜(流体)があり、この油膜の粘性に起因する上下方向の流体振動が発生したりする。また、ワークロール3やバックアップロール4はそれぞれが流体シリンダ等により支持されている場合は、当該流体シリンダ内の流体の粘性に起因する上下振動が発生したりする。これらの振動が、前記ダンピング係数λ(i)を介してワークロール運動方程式に反映されるようになる。
圧延機F(i)内のワークロール3やバックアップロール4はベアリング構造で圧延機本体に支持されているが、かかるベアリング構造内には潤滑のための油膜(流体)があり、この油膜の粘性に起因する上下方向の流体振動が発生したりする。また、ワークロール3やバックアップロール4はそれぞれが流体シリンダ等により支持されている場合は、当該流体シリンダ内の流体の粘性に起因する上下振動が発生したりする。これらの振動が、前記ダンピング係数λ(i)を介してワークロール運動方程式に反映されるようになる。
一方、張力振動方程式は、隣り合う圧延機F(i)間での圧延板の移送速度変化が、張力振動を発生するとしたもので、式(5)のようになる。
張力振動は、圧延材5の中を縦波で且つ音速のスピードで伝播するため、その速度だけ、振動の伝播に時間遅れが発生する。この遅れ分は式(6)で表現される。加えて、圧延材5自体は式(7)で示されるごとく、次スタンドに対して遅れることになる(むだ時間)。
式(4)に式(1)を代入することで、式(8)が得られる。
この式(8)へ式(2)を代入することで、式(9)を得ることができる。
式(9)の関係は、各圧延機F(i)で成立するものであるため、タンデム圧延装置1全体では、式(10)のようになる。
一方、式(7)に式(2)を代入すると、式(11)のようになる。
式(11)を式(10)へ代入すると、式(12)が導かれる。
このようにして導かれた式(12)に式(6)を代入すると、式(13)が得られる。
さらに、式(5)に、式(2),式(6),式(11)を代入すると、式(14)が得られる。
式(13),式(14)は、ΔxとΔσoutの連立方程式となっており、以下のように表記することができる。
前記連立偏微分方程式(式(15))を解くにあたり、式(16)に示すように、ワークロール3,3の上下振動と張力振動とが同一周波数で発生すると仮定する。
ある圧延機F(i)で発生したワークロール上下振動は圧延材5の中を張力振動として伝播し、隣接する圧延機F(i+1),F(i−1)へ振動を伝播することになるが、この状況下でワークロール3,3の上下振動と張力振動とが異なるとは非常に考えにくく、両者が同一周波数とするという仮定は妥当なものである。
式(16)の解のもとで、式(15)の行列式(デターミナント)を考えると、式(17)のようになる。
式(16)の解のもとで、式(15)の行列式(デターミナント)を考えると、式(17)のようになる。
式(17)を解くと、式(18)のようになり、さらに具体的に計算を進めると、式(19)を導くことができる。これは連立偏微分方程式(式(15))の特性方程式である。
式(19)の第2項目を右辺に移項し、両辺を二乗した上で計算を進めることで、式(20)を導くことができる。
式(20)をわかりやすいように整理したものが、式(21)であり、これがタンデム圧延装置1の自励振動モデルである。
なお、圧延荷重Pおよび先進率fsに対する偏微分計算をするにあたっては、適宜設定した荷重モデルおよび先進率モデルよりP,fsを計算するようにしている。これら荷重モデルおよび先進率モデル中には、摩擦係数μを含んでいるが、摩擦係数は同定することで算出可能である。
[自励振動モデルを用いたチャタリング予測方法]
この自励振動モデルを用いて、チャタリングの発生状況をシミュレーションした結果を図5、図6に示す。
[自励振動モデルを用いたチャタリング予測方法]
この自励振動モデルを用いて、チャタリングの発生状況をシミュレーションした結果を図5、図6に示す。
自励振動モデル(式(21))は4次方程式であり、その解として、ω=0の明白解と、実解1個と、複素数解2個とを有している。この複素数解の実部がダンピング項であって、プラスの場合は発散すなわち自励振動発生、マイナスの場合はダンピングすなわち振動減衰となる。また、複素数の虚部は振動項であって自励振動の周波数を決定する。
式(21)の解を解析的に求めることは一般的に困難であるため、本実施形態の場合は、コンピュータ等を用いた数値解析により、複素数解の実部と虚部を求めるようにしている。前記コンピュータは、タンデム圧延装置1の制御手段12として備えられているプロコン(プロセスコンピュータ)やワークステーションであってもよく、タンデム圧延装置1とは独立した、実験室等に設置されたワークステーションであってもよい。
式(21)の解を解析的に求めることは一般的に困難であるため、本実施形態の場合は、コンピュータ等を用いた数値解析により、複素数解の実部と虚部を求めるようにしている。前記コンピュータは、タンデム圧延装置1の制御手段12として備えられているプロコン(プロセスコンピュータ)やワークステーションであってもよく、タンデム圧延装置1とは独立した、実験室等に設置されたワークステーションであってもよい。
まず、数値計算に当たり、各圧延機F(i)の動特性として求まる圧延機の見かけの質量(ミルのマス係数)m(i)、ワークロール3の見かけの弾性係数(ダンピング係数)λ(i)、圧延機F(i)のミル定数M(i)を決定する必要がある。これらのパラメータは、圧延機F(i)に対する強制振動実験より決定することが可能であるが、本実施形態ではチャタリングの周波数(約100Hz)に一致するように各パラメータを決定した。
具体的には、チャタリングが発生した圧延材(圧延材コイル)の圧延速度、圧延荷重、板厚等の実測値とチャタリング周波数との測定を行い、これらの値を用いて、圧延速度の上昇と共に、自励振動モデルの複素数解の実部がプラスとなる速度とチャタリングの発生が一致するようにm(i)、λ(i)とを決定した。このように特定の圧延材で決定したm(i)とλ(i)とにより、他の圧延材でのチャタリング発生が予測できることは、本願出願人らの数々の実験から明らかとなっている。
具体的には、チャタリングが発生した圧延材(圧延材コイル)の圧延速度、圧延荷重、板厚等の実測値とチャタリング周波数との測定を行い、これらの値を用いて、圧延速度の上昇と共に、自励振動モデルの複素数解の実部がプラスとなる速度とチャタリングの発生が一致するようにm(i)、λ(i)とを決定した。このように特定の圧延材で決定したm(i)とλ(i)とにより、他の圧延材でのチャタリング発生が予測できることは、本願出願人らの数々の実験から明らかとなっている。
図5において、横軸は圧延速度であり、縦軸は摩擦係数である。自励振動モデルの計算結果から、斜線部が発散領域(チャタリング発生領域)であって、白抜き部が減衰領域であることが判明した。すなわち、発散領域は、式(21)の複素数解の実部がプラスの領域であり、減衰領域はマイナスの領域である。
なお、計算において、圧延速度、摩擦係数以外の圧延条件、すなわち板厚、圧下率、板張力等は、圧延機F(i)を最高圧延速度で操業している時のものとしている。
図5からわかるように、チャタリングの発生すると考えられる発散領域は、高摩擦係数側と低摩擦係数側とに存在している。
なお、計算において、圧延速度、摩擦係数以外の圧延条件、すなわち板厚、圧下率、板張力等は、圧延機F(i)を最高圧延速度で操業している時のものとしている。
図5からわかるように、チャタリングの発生すると考えられる発散領域は、高摩擦係数側と低摩擦係数側とに存在している。
実際の圧延では、圧延速度が上昇するに従い、ロールバイト内への導入油膜厚さが厚くなり潤滑性が向上する。図中の圧延実績で圧延速度に伴い摩擦係数が減少しているのはこのためである。
また、圧延速度とともに摩擦係数が低下するため、高速域では発散領域に掛かりつつあり、潤滑過多でチャタリングが発生している現状の操業実績と一致する。したがって、この図から、摩擦係数を上げることによりチャタリングが防止できることがわかる。
なお、低速側では摩擦係数の上限側に掛かっているが、実操業においてはチャタリング発生は認められていない。これは、自励振動のメカニズムとして何らかの外乱(自励振動と同じ周波数で外部から供給されるトリガー)が必要であり、低速部では圧延機F(i)のモータ回転による周波数が十分に高くないため、外乱とは成り得ていないためであると推測される。
また、圧延速度とともに摩擦係数が低下するため、高速域では発散領域に掛かりつつあり、潤滑過多でチャタリングが発生している現状の操業実績と一致する。したがって、この図から、摩擦係数を上げることによりチャタリングが防止できることがわかる。
なお、低速側では摩擦係数の上限側に掛かっているが、実操業においてはチャタリング発生は認められていない。これは、自励振動のメカニズムとして何らかの外乱(自励振動と同じ周波数で外部から供給されるトリガー)が必要であり、低速部では圧延機F(i)のモータ回転による周波数が十分に高くないため、外乱とは成り得ていないためであると推測される。
このように自励振動モデルを用いれば、過去の知見であるチャタリング発生に関する摩擦係数の上下限の存在が予測可能となる。また、このようにチャタリングの発生には摩擦係数の影響が大きいことも説明可能であり、本自励振動モデルがチャタリング発生状況を正確にシミュレートしていることがわかる。
そこで、本自励振動モデルを用いて、出側張力と摩擦係数による安定域の計算を行った結果を図6に示す。この図において、横軸が圧延機F(i)の出側張力であり、縦軸が摩擦係数である。
そこで、本自励振動モデルを用いて、出側張力と摩擦係数による安定域の計算を行った結果を図6に示す。この図において、横軸が圧延機F(i)の出側張力であり、縦軸が摩擦係数である。
図6から明らかなように、チャタリングが発生した実績(図中の×印)は、シミュレーション結果における発散領域に入っていることがわかる。逆に、圧延実績でチャタリングが生じなかった事例(図中の●印)は、減衰領域に入っていることもわかる。
これらの結果から、本自励振動モデルにより、チャタリング発生の限界が十分予測できていることがわかる。出側張力を変更することより、圧延状況を減衰領域に移行させることができて、チャタリングの防止が可能であることがわかる。
さらに、本シュミレーション結果から、低張力側でチャタリングが防止できる場合と、高張力側でチャタリングが防止できる場合の2パターンがあることが明らかになっている。
[自励振動モデルを用いた制御方法(1)]
次に、前述した自励振動モデルを用いて、タンデム圧延装置1でチャタリングを発生させないように制御を行う方法について説明する。
これらの結果から、本自励振動モデルにより、チャタリング発生の限界が十分予測できていることがわかる。出側張力を変更することより、圧延状況を減衰領域に移行させることができて、チャタリングの防止が可能であることがわかる。
さらに、本シュミレーション結果から、低張力側でチャタリングが防止できる場合と、高張力側でチャタリングが防止できる場合の2パターンがあることが明らかになっている。
[自励振動モデルを用いた制御方法(1)]
次に、前述した自励振動モデルを用いて、タンデム圧延装置1でチャタリングを発生させないように制御を行う方法について説明する。
図7は、制御方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
まず、各圧延機F(i)において、m(i)、λ(i)を予め圧延機F(i)の振動特性実験等から求めておく。(S1ー1)
次に、予めわかっているミル定数M(i)、スタンド間距離L、板のヤング率Eおよびワークロール3の扁平係数Kを読み込むようにする。(S1−2)
その後、冷間での薄板タンデム圧延を開始する。(S1−3)
圧延開始後、圧延の実績値として、板速度V(i)とロール速度Vrを測定し先進率fsを求める。(S1−4)
さらに、各圧延機F(i)の入側板厚hin,出側板厚hout,入側張力σin,出側張力σout,ロール半径Rから摩擦係数μを同定する。(S1−5)
この摩擦係数μ、入側板厚hin、出側板厚hout、入側張力σin、出側張力σoutから圧延荷重式を用いて実績の圧延荷重P(i)に一致するように変形抵抗Kpを求める。(S1−6)
このようにして求めた摩擦係数μと変形抵抗Kpを、適宜設定した先進率モデルと圧延荷重モデルとに代入し、数値計算をすることで式(21)のp,q,rの値を求める。(S1−7、S1−8、S1−9)
最終的に、前記p,q,rの値から、式(21)の解を求めて、複素数解の実部の符号を判断し、実部がプラスの場合はチャタリングが発生し、実部がマイナスの場合は安定(チャタリングなし)であるとする。(S1−10,S1−11)
チャタリングが発生した場合は、前記実部の値をマイナスにするように、圧延制御量を制御する。(S1−12)
以上の処理は、図1、図2に示されている制御手段12により行われており、制御手段12は、圧延機F(i)に接続されたプロコン又はプロコンに付属するワークステーションから構成されている。
まず、各圧延機F(i)において、m(i)、λ(i)を予め圧延機F(i)の振動特性実験等から求めておく。(S1ー1)
次に、予めわかっているミル定数M(i)、スタンド間距離L、板のヤング率Eおよびワークロール3の扁平係数Kを読み込むようにする。(S1−2)
その後、冷間での薄板タンデム圧延を開始する。(S1−3)
圧延開始後、圧延の実績値として、板速度V(i)とロール速度Vrを測定し先進率fsを求める。(S1−4)
さらに、各圧延機F(i)の入側板厚hin,出側板厚hout,入側張力σin,出側張力σout,ロール半径Rから摩擦係数μを同定する。(S1−5)
この摩擦係数μ、入側板厚hin、出側板厚hout、入側張力σin、出側張力σoutから圧延荷重式を用いて実績の圧延荷重P(i)に一致するように変形抵抗Kpを求める。(S1−6)
このようにして求めた摩擦係数μと変形抵抗Kpを、適宜設定した先進率モデルと圧延荷重モデルとに代入し、数値計算をすることで式(21)のp,q,rの値を求める。(S1−7、S1−8、S1−9)
最終的に、前記p,q,rの値から、式(21)の解を求めて、複素数解の実部の符号を判断し、実部がプラスの場合はチャタリングが発生し、実部がマイナスの場合は安定(チャタリングなし)であるとする。(S1−10,S1−11)
チャタリングが発生した場合は、前記実部の値をマイナスにするように、圧延制御量を制御する。(S1−12)
以上の処理は、図1、図2に示されている制御手段12により行われており、制御手段12は、圧延機F(i)に接続されたプロコン又はプロコンに付属するワークステーションから構成されている。
かかる制御手段12には、圧延荷重計11、板速計10、入側張力計8、出側張力計9、入側板厚計6、出側板厚計7からの出力信号が入力されるようになっている。これら入力値を基にして、プロコンやワークステーション内で前記S1−1〜S1−12の処理を行い、計算結果に基づいて算出された圧延制御量を出力するようにしている。詳しくは、前記処理をサブルーチン化し、板厚hin、hout、張力σin、σout、ロール速度Vr、板速度V、圧延荷重P(i)を送ることにより、複素数解の実部を返すようになっている。
チャタリング発生の指標となる実部の値は、プロコンやワークステーションのモニタ画面に表示されるようになっており、オペレータはチャタリングが実際に発生する前に圧延条件が不安定になっているかどうかの判断を行うことが可能である。もし実部の値がマイナスであったりマイナスに変わる兆候が見られる際には、それに基づいて、圧延荷重やワークロールギャップを変更すると共に、ルーパ系を制御し、入側張力σin、出側張力σoutを変更するとよい。
チャタリング発生の指標となる実部の値は、プロコンやワークステーションのモニタ画面に表示されるようになっており、オペレータはチャタリングが実際に発生する前に圧延条件が不安定になっているかどうかの判断を行うことが可能である。もし実部の値がマイナスであったりマイナスに変わる兆候が見られる際には、それに基づいて、圧延荷重やワークロールギャップを変更すると共に、ルーパ系を制御し、入側張力σin、出側張力σoutを変更するとよい。
以上述べた処理は圧延中にリアルタイムで行われる。なお、本制御において、板厚や板速については、実測値が望ましいが、マスフロー板厚やゲージ板厚などのモデルによる推定値でも構わない。
[自励振動モデルを用いた最適制御方法(2)]
図8は、最適制御方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
本実施形態は、S2−1〜S2−10は、第1実施形態とS1−1〜S1−10と略同一の処理工程となっている。
[自励振動モデルを用いた最適制御方法(2)]
図8は、最適制御方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
本実施形態は、S2−1〜S2−10は、第1実施形態とS1−1〜S1−10と略同一の処理工程となっている。
その後の工程、S2−11〜S2−14までが第1実施形態と大きく異なっており、自励振動モデルの複素数解の実部の変分を求め、その変分値に基づいて、圧延機F(i)を制御するようにしている。
詳しくは、まず、複素数の実部Qを式(22)のように関数表現が可能であると考える。
詳しくは、まず、複素数の実部Qを式(22)のように関数表現が可能であると考える。
次に、式(22)に変分法の考え方を導入して、Qの値が増加(マイナスからプラス側へ変化)した場合に、Qを減少させて圧延状態を安定域に止め置くようにする。Qを変分するための変数として、入側板厚hin、出側板厚hout、入側張力σin、出側張力σoutを選択し、式(22)を変分した式(23)を考える。
式(23)中のδQ1〜δQ4を数値的に算出し(S2−11)、その絶対値の最も大きいものδQ(i)=maxを選択する。δQ(i)=maxの絶対値がプラスの値であるなら、δQ(i)が減少するように圧延制御量を制御する。(S2−12、S2−13)
逆に、δQ(i)=maxの絶対値がマイナスであるなら、δQ(i)が増加するように圧延制御量を制御する。(S2−12、S2−14)
このようにすることで、Qの値はほぼ一定の値に留め置かれるようになり、チャタリングが発生せず安定な圧延状態が保持されるようになる。
逆に、δQ(i)=maxの絶対値がマイナスであるなら、δQ(i)が増加するように圧延制御量を制御する。(S2−12、S2−14)
このようにすることで、Qの値はほぼ一定の値に留め置かれるようになり、チャタリングが発生せず安定な圧延状態が保持されるようになる。
なお、本実施形態の方法でタンデム圧延装置1を制御した場合には、圧延制御量を変化させることにより、圧延材5の板厚変動が生じるようになる。この際、圧延制御量を変更した圧延機F(i)の前段又は後段側の圧延機F(i−1)又はF(i+1)を適宜制御して、最終的な出側板厚が変化しないように制御するとよい。これら板厚の制御は、圧延機の板厚制御機能として既存の技術を採用するとよい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明にかかる技術は、チャタリングを発生する可能性があり、且つその発生を制御する必要のある圧延装置に適用可能である。圧延材5が厚板であっても、熱間圧延であっても問題はない。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、本発明にかかる技術は、チャタリングを発生する可能性があり、且つその発生を制御する必要のある圧延装置に適用可能である。圧延材5が厚板であっても、熱間圧延であっても問題はない。
1 タンデム圧延装置
3 ワークロール
4 バックアップロール
12 制御手段
F(i) 圧延機(i番目)
3 ワークロール
4 バックアップロール
12 制御手段
F(i) 圧延機(i番目)
Claims (7)
- 圧延材を複数の圧延機で連続的に圧延するタンデム圧延装置で、
各圧延機に備えられたワークロールの上下振動と、圧延中の圧延材の内部を伝播する張力振動とを考慮した圧延機の自励振動モデルを作成し、
この自励振動モデルを用いて、圧延機でのチャタリングの発生の有無を予測することを特徴とするタンデム圧延装置のチャタリング予測方法。 - 前記自励振動モデルは、圧延荷重の変動、圧延機内に存する流体の粘性、圧延機全体の弾性の少なくとも1つがワークロールの上下振動に寄与するとしたワークロール運動方程式と、隣り合う圧延機間での圧延板の移送速度変化が張力振動を発生するとした張力振動方程式と、を各圧延機毎に設定し、
前記ワークロールの上下振動と張力振動とが同一周波数で発生するとして、前記ワークロール運動方程式及び張力振動方程式から特性方程式を導出してなることを特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延装置のチャタリング予測方法。 - 前記特性方程式の複素数解の実部がプラスの場合に、チャタリングが発生すると判定することを特徴とする請求項2に記載のタンデム圧延装置のチャタリング予測方法。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載された自励振動モデルを用いて、チャタリング発生を防止可能とする各圧延機での圧延制御量を算出し、これに基づいて各圧延機を制御することを特徴とするタンデム圧延装置の制御方法。
- 前記自励振動モデルの複素数解の実部がマイナスとなるように、各圧延機での圧延制御量を算出し、これを基に各圧延機を制御することを特徴とする請求項4に記載のタンデム圧延装置の制御方法。
- 前記自励振動モデルの複素数解の実部を圧延制御量で変分し、この変分値がプラスの場合は、当該変分値が減少するように各圧延機の圧延制御量を変化させ、
前記変分値がマイナスの場合は、当該変分値が増加するように各圧延機の圧延制御量を変化させることを特徴とする請求項4に記載のタンデム圧延装置の制御方法。 - 前記圧延制御量は、圧延材張力及び板厚であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のタンデム圧延装置の制御方法。
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