JP2005299721A - 自動車用ボールねじ - Google Patents

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Yasushi Tateishi
康司 立石
Keisuke Kazuno
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Abstract

【課題】 ボールの循環が滑らかで、トルク変動が少なく、伝達効率にも優れていて、強度、および生産性にも優れた自動車用ボールねじを提供する。
【解決手段】 この自動車用ボールねじ1は、自動車の各種アクチュエータに使用されるものであって、ねじ軸1およびナット3と、これらねじ軸2およびナット3の対向面に形成されたねじ溝4,5間に介在するボール6とでなる。循環形式は、駒部材7によるものとされる。ねじ軸2のねじ溝4は転造加工されたものである。ねじ軸2のねじ溝4の肩部に、断面円弧状の面取部20が、前記転造加工により同時に形成されたものとする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、電動パワーステアリング装置や、自動マニュアルトランスミッション(AMT)等のアクチュエータに使用される自動車用ボールねじに関する。
従来、ボールねじにおいて、ねじ軸のねじ溝の肩部に、断面円弧状の面取部を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1)。これは、高速時にねじ溝肩部に衝突しながらボールが循環するときに、損傷を生じ易くなることを回避し、長寿命化を図るものである。
特開2002−266976号公報
上記の従来例は、工作機械、一般産業機械に用いられるボールねじにおいて、機械の高速化が進んでいることにより、その高速運転時に要求される特性に対してなされた工夫である。
自動車用ボールねじの用途においては、高速運転される工作機械,一般産業機械とは異なった特性が求められている。すなわち、電動パワーステアリング等の人の手によって直接に操作される装置においては、その操舵感を損なわないように、トルク変動の少ない作動が要求される。また、自動マニュアルトランスミッション(AMT)や、電動ブレーキ等のアクチュエータとして用いられる場合は、電子制御との親和性、あるいはより大きな推力を得るための、高い効率、つまり機械損失のないものであることが求められる。
また、自動車用のボールねじでは、安全性が強く要望され、さらに低コスト化のために生産性に優れたものであることが求められる。
この発明の目的は、ボールの循環が滑らかで、トルク変動が少なく、伝達効率にも優れていて、強度、および生産性にも優れた自動車用ボールねじを提供することである。
この発明の自動車用ボールねじは、自動車用アクチュエータに使用されるボールねじであって、ボールを転走させるねじ溝が対向して形成されたねじ軸およびナットと、前記対向するねじ溝間に介在した複数のボールとを備え、前記ねじ軸のねじ溝が転造加工されたものであり、前記ねじ軸のねじ溝の内面がねじ軸外径面に続く肩部に、断面円弧状の面取部が前記転造加工により形成されたことを特徴とする。
この構成の自動車用ボールねじによると、ねじ軸のねじ溝の肩部に断面円弧状の面取部が形成されているため、ねじ溝間のランド部を乗り超えてボールが循環するときのボールの循環が滑らかで、トルク変動が少なく、伝達効率にも優れたものとなる。上記面取部が設けられていると、ノイズレベルも低下するため、例えば電動パワーステアリング装置等のように音響特性が求められる自動車用の用途において、その要求特性に応じたものとできる。
また、このねじ軸は転造加工によるため、生産性に優れている。この場合に、ロールダイスによる冷間転造加工を行うため、ロールダイスの、ねじ軸製品としてねじ溝肩部に相当する部分に断面円弧状の部分を設けておくことで、ねじ溝肩部の断面円弧状の面取部が形成される。このように、ロールダイスに断面円弧状の部分を設けておいて、ねじ溝と同時に肩部の面取部を転造加工することは、ねじ軸のねじ溝となる部分の材料を塑性流動させ、肉が盛り上がってきた場合に、局部的な力の集中を防止し、割れの防止、あるいはスプリングバック量を小さくして精度良く加工するためにも有効である。この転造加工法により、ねじ軸のねじ溝肩部に容易に任意寸法の円弧状面取部を形成することが可能であるため、自動車用ボールねじのねじ軸の加工においては、上記の転造加工が、生産性向上によるコスト面、性能面の両方から適している。
この成形性と、実際のボールねじを回転させた場合の作動性を考慮した場合、前記円弧状の面取部の曲率半径が、ボールの半径の2.5〜25%の範囲であることが好ましい。25%を超えると、ボールが押し付けられることで生じるねじ溝内面の応力発生範囲である接触楕円が、ねじ溝の面取部に干渉する量が増加し、短寿命を引き起こす可能性がある。また、2.5%未満であると、面取部が小さ過ぎて、面取部を設けたことによる各種の効果が十分に得られない。
また、転造加工されるねじ軸を使用する場合、そのランド部の材料不充足部分であるシーミング部の形状管理が不可欠である。シーミング部が大きいと、ランド部をボールが乗り超えるときに、ボールが落ち込むことがあり、その円滑な作動が妨げられる。したがって、面取部を設けるだけでなく、シーミング部の寸法を管理することが重要である。このシーミング部は、ランド部の軸方向長さの1/2以下とすることで、滑らかなボールの動作が得られる。
この発明の自動車用ボールねじは、循環形式が駒式である場合、つまりナットのねじ溝同士を連結する駒部材を設けたものである場合に、特に、上記各効果が有効となる。
自動車用ボールねじにおいては、循環方式として、ナットのコンパクト性や、ナット回転時に循環部が等配列にできる特長があることから、駒式が採用されることが多い。この循環方式は、ボールが循環するときに、ねじ軸のランド部上を、駒内の空間で拘束されながら乗り超えて循環する形式である。このため、ねじ軸のねじ溝の肩部に断面円弧状の面取部を設けたことや、シーミング部の寸法を1/2以下にすることによる円滑化等の効果が有効に発揮される。
この発明の自動車用ボールねじは、自動車用アクチュエータに使用されるボールねじであって、前記ねじ軸のねじ溝が転造加工されたものであり、前記ねじ軸のねじ溝の内面がねじ軸外径面へ続く肩部に、断面円弧状の面取部が前記転造加工により形成されたものであるため、ボールの循環が滑らかで、トルク変動が少なく、伝達効率にも優れていて、強度、および生産性にも優れたものとなる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図5と共に説明する。このボールねじ1は、自動車用のアクチュエータに使用される駒式のボールねじであって、ねじ軸2およびナット3と、これらねじ軸2およびナット3の対向面に形成されたねじ溝4,5間に介在するボール6とでなる。ねじ溝4,5は、ボール6を転走される螺旋状の溝である。この実施形態の自動車用ボールねじ1を使用する自動車用アクチュエータは、自動車の自動マニュアルトランスミッション(AMT)に使用されるものであるが、この他に、電動パワーステアリング、後輪操舵装置、自動車用電動ブレーキ等に使用されるものであって良い。
ナット3は、ボール6の循環用の部品として駒部材7が設けられている。駒部材7は、ナット3に内外面に貫通して形成された嵌合用開口8に嵌合し、ナット3の螺旋状のねじ溝5の隣合う各周の部分同士を連結する1条の連結溝9を内面に形成した部材である。この連結溝9により、ねじ軸2とナット3のねじ溝4,5間で形成される螺旋条のボール転走路が周回経路となり、ボール6がこの周回経路を循環移動する。ボール6は、連結溝9を通過するときは、ねじ軸2のねじ溝4のねじ山を乗り超えることになる。
図4に示すように、駒部材7は、ナット3のねじ溝5に係合する一対のウイング部10を有し、かつナット3の外径部に固定される一対の加締部11を有している。これらウイング部10の内径側からの係合と加締部11の外径側からの加締によって、駒部材7はナット3に固定される。
図3に示すように、ナット3は、外周面に一対のトラニオン軸部14を有している。ねじ軸2は、一端にカップリング嵌合部13を有し、他端に軸受嵌合部15が設けられている。
このような駒式の自動車用ボールねじ1において、この実施形態では、ねじ軸2のねじ溝4が転造加工されたものとされる。また、図1(B)に拡大して示すように、ねじ軸2のねじ溝4の内面4aがねじ軸外径面2aへ続く肩部に、断面円弧状の面取部20を前記ねじ溝4の転造加工により同時に形成する。
面取部20の曲率半径rは、ボール6の半径Rの2.5〜25%の範囲とする。ねじ軸2の隣合うねじ溝4間の外径面2aからなるランド部21には、転造加工により材料の不充足部分である円周溝状のシーニング部22が生じる。このシーニング部22の軸方向長さbは、ランド部21の軸方向長さaの1/2以下とする。
ランド部21の軸方向長さは、面取部20が設けられているため、面取部20を無しとした場合の長さとなる。また、シーニング部22の軸方向長さbは、ランド部21の外径面よりも凹みが生じ始める位置の間の長さである。
ねじ軸2のねじ溝4の転造加工は、図5に示すように、支持台34に回転および進退自在に支持された丸棒状の素材Wを、一対のロールダイス35の間に挟み込み、ロールダイス35を回転させることにより行う。ロールダイス35は、外周面に転造用の多条の螺旋条突条35aを有するものである。
図1のねじ溝4の断面円弧状の面取部20は、図6に示すように、上記ロールダイス35に、面取部20と対応する断面円弧状の型部35bを設けておくことにより、ねじ溝4と同時に転造加工される。
この構成の自動車用ボールねじ1によると、ねじ軸2のねじ溝4の肩部に断面円弧状の面取部20が形成されているため、ランド部20を乗り超えてボール6が循環するときのボール6の循環が滑らかで、トルク変動が少なく、伝達効率にも優れたものとなる。すなわち、ボール6は駒部材7を通過するときに、駒部材7の連結溝9内に拘束されながらランド部20上を、乗り超えて循環することになる。この循環時のボール6の動作が面取部20によって円滑に行われる。面取部20が設けられていると、ノイズレベルも低下するため、例えば電動パワーステアリング装置等のように音響特性が求められる自動車用の用途において、その要求特性に応じたものとできる。
また、このねじ軸2は転造加工によるため、生産性に優れている。この場合に、ロールダイス35にねじ軸製品のねじ溝肩部に相当する部分に上記断面円弧状の型部35b(図6)を設けておくことで、ねじ溝4と同時に面取部20が形成される。このように、ロールダイス35に断面円弧状の型部35bを設けておいて、ねじ溝4と同時に肩部の面取部20を転造加工することは、ねじ軸2のねじ溝4となる部分の材料を塑性流動させ、肉が盛り上がってきた場合に、局部的な力の集中を防止し、割れの防止、あるいはスプリングバック量を小さくして精度良く加工するためにも有効である。
この転造加工法により、ねじ軸2のねじ溝肩部に容易に任意寸法の円弧状面取部20を形成することが可能であるため、自動車用ボールねじ1のねじ軸2の加工においては、上記の転造加工が、性能面、生産性向上によるコスト面の両方から適している。
この成形性と、実際のボールねじ1を回転させた場合の作動性を考慮した場合、面取部20の曲率半径rは、ボール6の半径Rの2.5〜25%の範囲であることが好ましい。25%を超えると、ボール6が押し付けられることで生じるねじ溝内面の応力発生範囲である接触楕円Pが、ねじ溝4の面取部20に干渉する量が増加し、短寿命を引き起こす可能性がある。また、2.5%未満であると、面取部20が小さ過ぎて、面取部20を設けたことによる各種の効果が十分に得られない。
また、転造加工されるねじ軸2を使用する場合、そのランド部21の不充足部分であるシーミング部22の形状管理が不可欠である。シーミング部22が大きいと、ランド部21をボール6が乗り超えるときに、ボール6が落ち込むことがあり、その円滑な作動が妨げられる。したがって、面取部20を設けるだけでなく、シーミング部22の寸法を管理することが重要である。このシーミング部22は、ランド部21の軸方向長さaの1/2以下とすることで、滑らかなボール6の動作が得られる。
図7〜図9は、この実施形態に係るボールねじ1を使用した自動マニュアルトランスミッション(AMT)におけるシフト機構の一例を示す。このシフト機構30は、ハウジング31内に複数本平行に設置された進退自在な任意のシフトレール32を、その長手方向(Y方向)に移動させることで、シフト動作、つまり変速ギヤ(図示せず)の切換を行うものである。各シフトレール32は、切欠32aを有していて、図8のシフトフィンガ33が係合可能である。このシフトフィンガ33の係脱により、進退動作させるシフトレール32が選択される。
シフトフィンガ33を上記選択のために進退させるを動作に、第1のモータ34および第1のボールねじ36が用いられる。また、シフトフィンガ33を揺動させてシフトレール32を進退させる動作に、図9の第2のモータ35および第2のボールねじ37が用いられる。これら第1および第2のボールねじ36,37に、上記実施形態の自動車用ボールねじ1が用いられる。ただし、第1のボールねじ36は、そのナット3につき、トラニオン軸部14がなく、係合溝16が設けられたものとする。
図8において、ハウジング31に第1のシャフト部材38が進退自在に設置され、その外周にスリーブ39が進退のみ自在に嵌合している。スリーブ39は、第1のシャフト38と一体に回動が可能である。このスリーブ39に、上記シフトフィンガ34が設けられている。第1のシャフト部材38と平行に、第1のボールねじ36のねじ軸2が配置されてハウジング31に回転自在に支持され,ねじ軸2の一端は第1のモータ34の出力軸にカップリング40を介して回転伝達可能に連結されている。ボールねじ36のナット3は、係合溝16を有していて、この溝16に、スリーブ39に設けられた係合片41がナット進退方向に係合する。この係合のため、モータ34でボールねじ36のねじ軸2を回転させることにより、そのナット3が進退し、ナット3と共に、スリーブ39およびシフトフィンガ33を進退させることができる。この進退により、任意のシフトレール32の切欠32aにシフトフィンガ33を係合させることができる。
図9において、第2のボールねじ37のねじ軸2は、ハウジング31に回転自在に設置されていて、モータ35の出力軸にカップリング42を介して回転伝達可能に連結されている。ボールねじ37のナット3に設けられたトラニオン軸部14は、レバー44に設けられた係合切欠44aに係合している。レバー44は、ハウジング31に支持部45によって回動自在に支持された回動シャフト46と一体に固定されており、回動シャフト46の軸心回りに正逆揺動自在である。第2のモータ35により第2のボールねじ37のねじ軸2を回転させると、ナット3が進退し、このナット3の進退により、レバー44と共に回動シャフト46が回動させられる。回動シャフト46は、図8の第1のシャフト38と平行に設けられていて、レバー等の駆動伝達手段(図示せず)を介し、その回動を第1のシャフト38に伝達可能である。このため、第2のモータ35で第2のボールねじ37のねじ軸2を回転させ、これによりそのナット3を進退させることにより、レバー44、回動シャフト46、および第1のシャフト38を介してスリーブ39が回動させられる。このスリーブ39の回動により、そのシフトフィンガ34が係合したシフトレール32を進退させ、変速ギヤ(図示せず)の切換動作が行える。
なお、上記実施形態では、自動車用ボールねじ1の循環形式を駒式としたが、この発明は循環形式を問わず適用でき、例えば、エンドキャップ式や、ガイドプレート式、リターンチューブ式等の自動車用ボールねじにも適用することができる。
(A)はこの発明の一実施形態にかかるボールねじの一部省略断面図、(B)はそのねじ軸のねじ形状を示す部分拡大断面図である。 同ボールねじの正面図である。 そのねじ軸のランド部の部分拡大斜視図である。 (A)〜(C)は、それぞれナットの駒部材嵌合部分を示す部分展開図、同ナットの駒部材嵌合部分の縦断面図、および同駒部材の概略斜視図である。 転造加工設備の破断正面図である。 そのロールダイスの部分拡大正面図である。 同ボールねじを用いた手動マニュアルトランスミッションの切換機構の平面図である。 図7のA−A線拡大断面図である。 図8のB−B線拡大断面図である。
符号の説明
1…ボールねじ
2…ねじ軸
3…ナット
4,5…ねじ溝
6…ボール
7…駒部材
20…面取部
21…ランド部
22…シーニング部

Claims (4)

  1. 自動車用アクチュエータに使用されるボールねじであって、ボールを転走させるねじ溝が対向して形成されたねじ軸およびナットと、前記対向するねじ溝間に介在した複数のボールとを備え、前記ねじ軸のねじ溝が転造加工されたものであり、前記ねじ軸のねじ溝の内面がねじ軸外径面に続く肩部に、断面円弧状の面取部が前記転造加工により形成されたことを特徴とする自動車用ボールねじ。
  2. 請求項1において、前記円弧状の面取部の曲率半径が、ボールの半径の2.5〜25%の範囲である自動車用ボールねじ。
  3. 請求項1または請求項2において、前記ねじ軸のねじ溝間のランド部に前記転造加工で生じるシーニング部の軸方向長さを、ランド部の軸方向長さの1/2以下とした自動車用ボールねじ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ナットのボール循環形式が、このナットのねじ溝同士を連結する駒部材を設けた駒式のものである自動車用ボールねじ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20100043582A1 (en) * 2007-05-01 2010-02-25 Ntn Corporation Ball Screw And A Method For Manufacturing The Same
US10293848B2 (en) 2014-12-03 2019-05-21 Trw Automotive U.S. Llc Rack ball nut assembly for a vehicle steering gear and related components thereof

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