以下に、本発明の一実施の形態における再生装置を図面に基づいて説明する。なお、この一実施の形態では、音声データ再生出力する構成について説明するが、音声データとともに画像データを再生出力するために処理する構成や、再生出力するために処理するいわゆるミキサなどの構成とするなどしたものでもよい。また、スピーカに音声データを再生出力させる構成について説明するが、処理した音声データをDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disk)、ハードディスク(Hard Disk)などの光ディスクや磁気ディスク、磁気テープ、フィルムの音声トラック、メモリなどの記録媒体に記録させる構成、ネットワークを介して配信させる構成などにも適用できる。図1は、再生装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、再生装置におけるデジタル信号処理部のプログラムとしての概略構成を示すブロック図である。図3は、ミキシング・エフェクト部の概略構成を示すブロック図である。図4は、群遅延特性および周波数との関係における遅延処理の有無の差を示すグラフである。図5は、インパルス応答と遅延時間との関係を示すグラフである。
〔再生装置の構成〕
図1において、100は再生装置で、この再生装置100は、音声データおよび画像データを利用者が視聴可能に処理する。この再生装置100は、処理した音声データを再生、すなわち音声として出力する複数の出力手段200が接続される。
出力手段200は、再生装置100から出力される各種音声データをそれぞれ再生出力する。これら出力手段200は、デジタル/アナログコンバータ(Digital-Analog Converter:DAC)210と、アンプ220と、スピーカ230と、を備え、複数例えば6対設けられている。
なお、本実施の形態においては、複数の出力手段200の各スピーカ230として、例えばいわゆる5.1チャンネル(ch)、すなわち基準点となる聴取位置、すなわち再生される音声データを聴取する聴取者の略正面に位置して設置されるセンタースピーカ230Cと、聴取者に対して前方右側に設置される右前スピーカ230Rと、聴取者に対して前方左側に設置される左前スピーカ230Lと、聴取者に対して後方右側に設置される右後スピーカ230SRと、聴取者に対して後方左側に設置される左後スピーカ230SLと、0.1chに相当する低音効果音である低音成分を再生する低音効果音用スピーカ230LFEと、を備えた構成を例示して説明する。その他、後方スピーカを略中央、すなわち聴取者の後方にセンタースピーカ230Cに略対向する状態に1つ増やした6.1chや、後方スピーカをサラウンドスピーカのように2つ増やした7.1チャンネルなどでもよい。
デジタル/アナログコンバータ(Digital-Analog Converter:DAC)210は、再生装置100に接続され、再生装置100から出力される処理されたデジタルの音声データをアナログに変換する。そして、DAC210は、アナログに変換した音声データを、それぞれアンプ220へ出力する。
アンプ220は、DAC210に接続されているとともに、スピーカ230にそれぞれ接続されている。これらアンプ220は、DAC210から出力されるアナログ信号の音声データを適宜スピーカ230から出力可能に処理し、スピーカ230へ出力して再生出力させる。
一方、再生装置100は、システムマイコン300と、入力手段としての入力操作部400と、モニタ部500と、音声処理部600と、を備えている。システムマイコン300は、再生装置100全体の動作を制御する。このシステムマイコン300には、入力操作部400、モニタ部500および音声処理部600が接続されている。
入力操作部400は、入力操作可能な例えば図示しない操作ボタンや操作つまみなどのスイッチを複数有している。この入力操作部400は、これらスイッチの入力操作により所定の信号をシステムマイコン300に出力し、各種条件をシステムマイコン300に設定入力する。なお、入力操作部としては、スイッチの入力操作にて設定入力する構成に限らず、音声入力などいずれの入力方法が利用できる。また、いわゆるリモコンであるリモートコントローラとして構成し、入力操作に対応した信号を無線媒体を介してシステムマイコン300へ送信して設定入力させる構成としてもよい。
モニタ部500は、例えば液晶やEL(Electro Luminescence)パネルなどの表示装置が用いられる。そして、モニタ部500は、システムマイコン300の制御により、システムマイコン300から出力される信号に基づいて、音声データの処理状況や再生出力状態、入力操作内容などを表示する。
音声処理部600は、システムマイコン300に制御され、音声データを各出力手段200のスピーカ230から音声としてそれぞれ再生出力するための処理をする。この音声処理部600は、複数の音声データ入力端子610と、音声データ取得手段としてのデジタルインターフェースレシーバ(Digital Interface Receiver:DIR)620と、音声データ処理装置としてのデジタル信号処理部(Digital Signal Processor:DSP)630と、出力手段200に対応した複数、例えば6つの音声データ出力端子660と、を備えている。
なお、本実施の形態では、出力手段200および音声データ出力端子660は、例えば出力手段200の数に対応して6つ設けた構成について説明するが、複数の出力手段200の一部または全部をいわゆるワイヤレスとし、処理した音声データを無線媒体を介して転送する構成としてもよい。このような構成では、例えば再生装置100に処理した音声データを送信する送信手段を設けるとともに、出力手段200に受信手段を設けるなどするとよい。
音声データ入力端子610は、例えば図示しないプラグが着脱可能に接続されるコネクタやリード線が接続されるターミナルなどである。そして、音声データ入力端子610は、音声データを出力する音声データ出力機器が着脱可能に接続され、この音声データ出力機器から出力される音声データが入力される。例えば、図示しない電子楽器から出力されるアナログ信号の音声データをアナログ/デジタルコンバータにて変換したデジタル信号の音声データ、あるいは上述したような光ディスクや磁気ディスクなどの記録媒体から読取装置のドライブにて読み取ったデジタル信号の音声データなどが例示できる。
デジタルインターフェースレシーバ(Digital Interface Receiver:DIR)620は、音声データ入力端子610に接続されている。このDIR620は、音声データ入力端子610に入力された音声データを取得して適宜変換し、このDIR620に接続されたデジタル信号処理部630へストリーム音声データとして出力する。
音声データ出力端子660は、例えばプラグが接続されるコネクタやリード線が接続されるターミナルなどである。この音声データ出力端子660は、デジタル信号処理部630に接続されるとともに、各出力手段200のDAC210にそれぞれ接続すなわち出力手段200の数に対応して複数設けられ、各出力手段200がリード線を介して接続可能となっている。そして、音声データ出力端子660は、デジタル信号処理部630から出力される音声データを出力手段200へ出力する。
デジタル信号処理部(Digital Signal Processor:DSP)630は、DIR620、音声データ出力端子660およびシステムマイコン300に接続されている。そして、デジタル信号処理部630は、システムマイコン300により制御され、DIR620から出力されるストリーム音声データを取得し、適宜音声データをいわゆるミキシング処理およびエフェクト処理をするとともに遅延処理であるディレイ処理を実施し、音声データ出力端子660へ出力する。このデジタル信号処理部630は、音声データ取得手段としての複数の入力端子631と、データバス632と、ストリームデータ入力部633と、ホストインターフェース部634と、記憶手段としてのメモリ部635と、演算手段である制御手段としての演算部636と、オーディオデータ出力部637と、複数の出力端子638と、を備えている。
入力端子631は、DIR620に接続され、音声データ入力端子610毎に入力される音声データに対応しDIR620から出力されるストリーム音声データがそれぞれ入力される。これら入力端子631は、音声データ入力端子610に対応して複数設けられ、各音声データ入力端子610に入力されDIR620で処理されて出力される対応したストリーム音声データが入力される。
ストリームデータ入力部633は、入力端子631およびデータバス632に接続されている。このストリームデータ入力部633は、DIR620から入力端子631に入力されたストリーム音声データを取得し、適宜データバス632へ出力する。
ホストインターフェース部634は、システムマイコン300およびデータバス632に接続されている。このホストインターフェース部634は、システムマイコン300からの指示指令をデータバス632を介して演算部636へ出力し、演算部636を適宜動作させる。
オーディオデータ出力部637は、データバス632および出力端子638に接続されている。このオーディオデータ出力部637は、データバス632から演算部636で後述する処理が実施された音声データを取得して出力端子638へ適宜出力する。
出力端子638は、入力端子631に対応して複数設けられている。これら出力端子638は、入力端子631に入力されオーディオデータ出力部637から出力されるストリーム音声データを、各出力手段200のスピーカ230から再生出力させる各チャンネルの音声データL,R,LS,RS,C,LFE(Low Frequency Effect)として出力する。なお、音声データLFEは、いわゆる5.1チャンネル(ch)のうちの0.1chに相当、すなわち低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力させる低音効果音である低音成分だけを含んだチャンネルの他、詳細は後述するが、切替動作により低音効果音用スピーカ230LFEを他のスピーカ230C,230F,230L,230SR,230SLと同様に所定の周波数で除去せずにそのまま再生出力させるチャンネルともなる。
メモリ部635は、例えば光ディスクや磁気ディスクあるいはメモリカードなどの記録媒体に各種データを記憶および読み出すドライブやドライバなどを備えた構成や半導体チップなど、各種データを記憶および読み出し可能に構成されている。このメモリ部635は、データバス632に接続され、ストリーム音声データを適宜処理するためのプログラムや所定のストリーム音声データを遅延処理するための処理条件などを記憶する。また、メモリ部635には、例えばストリーム音声データを格納する後述するデータ格納領域635Aを有している。
演算部636は、データバス632に接続され、システムマイコン300からの指令信号に基づいて、メモリ部635に記憶されたプログラムや処理条件に基づいて、ストリームデータ入力部633からデータバス632に出力されるストリーム音声データを適宜処理する。
そして、DSP630は、メモリ部635に記憶されたプログラムにより、図2に示すように、制御手段として機能するコントローラ710と、メモリ部635のデータ格納領域635Aと、ミキシング・エフェクト部720と、を構成している。すなわち、コントローラ710が、入力端子631からそれぞれ入力されるストリーム音声データを、データ格納領域635Aに一時的に格納させるとともに、ミキシング・エフェクト部720にて各スピーカ230に振り分ける処理をする。そして、ミキシング・エフェクト部720は、図3に示すように、複数すなわち入力端子631に対応した数の音声データ処理部800にて構成されているこれら音声データ処理部800は、出力調整部810と、エフェクト処理部820と、複数の低域通過フィルタ830と、フィルタ選択手段840と、複数の個別出力調整部850と、遅延処理手段860と、低音処理切替手段870と、を備えている。
コントローラ710は、メモリ部635および入力端子631に接続するとともに、ミキシング・エフェクト部720の各音声データ処理部800の遅延処理手段860、フィルタ選択手段840および低音処理切替手段870に接続されている。そして、コントローラ710は、入力端子631のうちのいずれか一つに入力される同期信号を取得し、この同期信号に基づいて他の入力端子631にそれぞれ入力されるストリーム音声データを、メモリ部635のデータ格納領域635Aに一時的に適宜格納させる。この同期信号は、音声データ入力端子610から入力される音声データを同じタイミングで出力させて同期を採るための信号で、例えば基準パルスや内部クロックなどが例示できる。
また、コントローラ710は、詳細は後述するが、同期信号に基づいてメモリ部635のデータ格納領域635Aから読み出したストリーム音声データを、各音声データ処理部800の遅延処理手段860を制御して遅延処理を制御する。例えば、映像出力する構成と同期して、所定の映像出力の際に所定の音声データの時間情報に基づいて所定の音声データを再生出力させたり、音声データ入力端子610からそれぞれ入力されるストリーム音声データをこれらストリーム音声データに設けられた時刻情報に基づいて同期させて再生出力させるなどが例示できる。
さらに、コントローラ710は、各音声データ処理部800のフィルタ選択手段840を制御して、エフェクト処理部820から出力されるストリーム音声データを、所定の低域通過フィルタ830を通過させる処理をする。また、コントローラ710は、詳細は後述するが、各音声データ処理部800の低音処理切替手段870を制御して、エフェクト処理部820から出力されるストリーム音声データを、所定のスピーカ230から通常に再生出力させるか、所定の低音効果音として再生出力させるか、を切り替える処理をする。
これらコントローラ710による各音声データ処理部800のフィルタ選択手段840および低音処理切替手段870の制御は、例えば入力操作部400の操作ボタンや操作つまみの入力操作に対応して出力される信号に基づいて、システムマイコン300がスピーカ230から入力操作に対応して所定の制御信号を出力する。このシステムマイコン300から出力される制御信号を、ホストインターフェース部634およびデータバス632を介して演算部636が認識し、プログラムとしてのコントローラ710が制御信号に基づいて切替制御する。
ミキシング・エフェクト部720の各音声データ処理部800の出力調整部810は、入力端子631にそれぞれ接続され、入力端子631に入力されたストリーム音声データを取得し、この取得したストリーム音声データを所定の出力で出力させる制御をする。この出力の制御としては、例えば入力操作部400の操作ボタンや操作つまみの入力操作に対応して出力される信号に基づいて、システムマイコン300がスピーカ230から出力する出力量すなわちボリュームを入力操作に対応して調整する制御信号を出力する。このシステムマイコン300から出力される制御信号を、ホストインターフェース部634およびデータバス632を介して演算部636が認識し、プログラムとしての出力調整部810が制御信号に対応して取得したストリーム音声データの出力を制御する。
エフェクト処理部820は、出力調整部810に接続され、出力調整部810から出力されるストリーム音声データをエフェクト処理する。具体的には、周波数や位相を変更するなどしてスピーカ230から再生出力されるストリーム音声データの音色を変更したりエコーを付加するなどの音質を変更する。このエフェクト処理部820は、上述したように、例えば入力操作部400による入力操作に対応するシステムマイコン300からの制御信号に基づいてエフェクト処理の内容が設定される。このエフェクト処理部820は、エフェクト処理したストリーム音声データを複数に分岐して出力する。すなわち、エフェクト処理部820には遅延処理手段860およびフィルタ選択手段840が接続され、詳細は後述するが、出力するスピーカ230の数に対応して6つに分岐して出力し遅延処理手段860にて遅延処理するとともに、フィルタ選択手段840にて低音効果音の抽出処理を選択可能としている。
低域通過フィルタ830は、いわゆるローパスフィルタ(Low-Pass Filter:LPF)で、エフェクト処理部820から出力されるストリーム音声データの所定の周波数より高い周波数を除去して低域部分のみを通過させる。この低域通過フィルタ830は、除去する周波数帯が異なる特性で複数設けられている。そして、各低域通過フィルタ830は、それぞれフィルタ選択手段840に接続されている。
フィルタ選択手段840は、エフェクト処理部820に接続され、コントローラ710の制御により、エフェクト処理部820から出力されるストリーム音声データを、いずれの低域通過フィルタ830に通過させるかを切り替えて選択する。このコントローラ710による切替制御は、上述したように、例えば入力操作部400による入力操作に対応するシステムマイコン300からの制御信号に対応して実施される。
個別出力調整部850は、各スピーカ230から再生されるストリーム音声データをそれぞれ個別にボリューム制御する。このボリューム制御についても、出力調整部810と同様に、入力操作部400による入力操作に対応するシステムマイコン300からの制御信号に対応して実施される。なお、例えばセンタースピーカ230C、右前スピーカ230R、左前スピーカ230L、右後スピーカ230SRおよび左後スピーカ230SLから再生出力されるストリーム音声データに対応する個別出力調整部850は遅延処理手段860とエフェクト処理部820との間に位置して設けられ、エフェクト処理部820から分岐されて出力されるこれらストリーム音声データはボリューム制御された後に遅延処理される。一方、低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力されるストリーム音声データに対応する個別出力調整部850は遅延処理あるいは低域通過フィルタ830による所定周波数帯の除去処理後にボリューム制御される位置、すなわち遅延処理手段860および低域通過フィルタ830と出力端子638との間に位置して設けられている。
遅延処理手段860は、複数、例えば出力手段200の数に対応した複数のディレイ処理手段861を有している。この遅延処理手段860の各ディレイ処理手段861は、各出力手段200における基準点となる聴取者との距離に対応し最も遠くに設置されるスピーカ230を基準として聴取者までの距離が短くなるにしたがって遅延時間が長くなる遅延処理をする。すなわち、最終的に各スピーカ230からストリーム音声データが同タイミングで聴取者が聞き取れる状態に遅延処理される。なお、このスピーカ230の設置位置に関する遅延処理は、入力操作部400の切替操作、例えば音声データ出力端子660に接続する構成として、出力手段200ではなく例えば各種記録媒体に処理した音声データを記録するための出力インターフェースが接続されたり、ネットワークを介して送信する送信手段、エンコーダなどが接続された構成など、切替操作により実施させないことも可能である。
また、遅延処理手段860は、コントローラ710の制御により、フィルタ選択手段840の切替動作に対応して全体的な遅延時間を相対的に長くなる状態に遅延処理する。すなわち、コントローラ710が低音処理切替手段870を切り替えてストリーム音声データから低音成分を抽出する処理が選択された際に、コントローラ710がフィルタ選択手段840を切り替えて選択された低域通過フィルタ830をストリーム音声データが通過する際に生じる遅延に対応して、他のスピーカ230であるセンタースピーカ230C、右前スピーカ230R、左前スピーカ230L、右後スピーカ230SRおよび左後スピーカ230SLから出力されるストリーム音声データを遅延させ、低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力される低音効果音のストリーム音声データと再生出力タイミングを同期させる。
具体的には、再生時に空間合成された際の群遅延特性が平坦、すなわち低音効果音用スピーカ230LFEとその他のスピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLの合成特性において、周波数と群遅延との関係が周波数に対してほぼ一定となる平坦な状態にコントローラ710にて遅延時間を設定し、各ディレイ処理手段861で遅延処理する。なお、音声データ出力端子660に出力手段200が接続されて設置位置に対応した遅延処理も必要である場合には、設定した遅延時間を聴取者までの設置距離に基づく遅延時間に加算した遅延時間に関する信号に基づいて各ディレイ処理手段861で遅延処理する。
遅延時間は、低域通過フィルタ830がはしご型のLC回路となるバターワース(Butterworth)型のローパスフィルタの場合、除去する周波数であるカットオフ周波数、および低域通過フィルタ830の次数、すなわちはしご型のLC回路におけるリアクトルおよびコンデンサの接続数により、バターワース特性に基づいて表1に示すようなマトリックス状に演算される。この演算する演算式に基づいてコントローラ710が遅延時間を演算する。
なお、あらかじめ演算した結果を、表1に示すようなカットオフ周波数と低域通過フィルタ830の次数とのマトリックス状のテーブル構造のデータとしてメモリ部635に記憶させておき、選択された低域通過フィルタ830に対応する遅延時間を表1のマトリックス状のテーブル構造のデータから読み出すようにしてもよい。
そして、コントローラ710が演算する演算式としては、例えばバターワース型の低域通過フィルタ830でカットオフ周波数が40Hz以上200Hz以下の範囲においては、以下の数1に示す2次関数で近似された演算式が例示できる。具体的には、群遅延特性が例えば図4中の点線で示す状態を平坦とするための遅延時間を、カットオフ周波数と次数との関数としてプロットして近似値を求めることにより、以下のカットオフ周波数の2次関数で近似された数1および表2の条件に示す演算式が求められる。この数1において、Tは遅延時間〔ms〕、Fcはカットオフ周波数で、a0,a1,a2は係数である。そして、バターワース型の低域通過フィルタ830でカットオフ周波数が40Hz以上200Hz以下の範囲における係数a0,a1,a2は、表2に示す状態となる。
〔数1〕
T=a0・Fc2+a1・Fc+a2
なお、コントローラ710が演算する演算式は、上記表2に示す条件の数1に限らず、カットオフ周波数が他の範囲、低域通過フィルタ830を構成するリアクトルやコンデンサの電気特性の公差、聴取者が各スピーカ230から同期して再生出力されていると認識する範囲などの誤差範囲を考慮して、以下の数2に示す演算式の範囲に設定される。すなわち、この数2に示す範囲であれば、聴取者は低音効果音が遅延して再生出力されることによる不快感を生じず、良好な聴感が得られる。なお、この数2に示す演算式における係数e1,e2は、表3に示す条件である。
〔数2〕
(T−e1*T)≦T≦(T+e2*T)
また、例えば低域通過フィルタ830がバターワース型以外のローパスフィルタの場合についても、図5に示すように、低域通過フィルタ830のインパルス応答の振幅が最大値となる時間をτとすると、遅延時間Tは以下の数3で示す演算式で求められる。すなわち、この遅延時間Tにてディレイ処理することで、聴取者は低音効果音が遅延して再生出力されることによる不快感を生じず、良好な聴感が得られる。
〔数3〕
T=τ±0.15τ
このように、コントローラ710にて演算した遅延時間で遅延処理されて遅延処理手段860から出力されるストリーム音声データは、各スピーカ230に対応する出力端子638へ出力される。
低音処理切替手段870は、コントローラ710の制御により、低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力させる音声データとして、低域通過フィルタ830の通過による所定の周波数帯を除去して低音効果音として抽出した音声データとして再生出力させるか、他のスピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLと同様に所定の周波数帯を除去しない通常の音声データとして再生出力させるかを選択する。すなわち、低音処理切替手段870は、低音効果音用スピーカ230LFEに対応する遅延処理手段860のディレイ処理手段861および複数の低域通過フィルタ830と、低音効果音用スピーカ230LFEに対応する個別出力調整部850との間に位置して設けられている。そして、低音処理切替手段870は、コントローラ710の制御により低音効果音用スピーカ230LFEに対応するディレイ処理手段861と、複数の低域通過フィルタ830とを切り替え、低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力させる音質を設定する。この低音処理切替手段870のコントローラ710による切替制御は、同様に例えば入力操作部400による入力操作に対応するシステムマイコン300からの制御信号に対応して実施される。
〔再生装置の動作〕
次に、上記再生装置の再生動作について説明する。
(直接再生処理)
まず、再生装置の再生動作として、入力される音声データを処理してダイレクトに各出力手段200のスピーカ230からそれぞれ出力させる再生動作について、以下に説明する。
あらかじめ設定されている許容範囲内の所定の位置関係で、各スピーカ230を設置する。そして、各スピーカ230を再生装置100の音声データ出力端子660に接続するとともに、音声データを出力する電子楽器や読取装置などの図示しない音声データ出力機器を音声データ入力端子610に接続する。この状態で再生装置100や音声データ出力機器に電源が投入されると、システムマイコン300が聴取者による入力操作部400の各種入力状況を認識する。
すなわち、演算部636は、低音効果音用スピーカ230LFEから再生出力させる音声データとして、低音効果音として出力させるか他のスピーカ230と同様に出力させるかの聴取者による入力操作部400の入力操作内容を認識する。この入力操作内容に基づいて、コントローラ710が低音処理切替手段870を適宜切り替える。すなわち、低音処理切替手段870は、コントローラ710からの制御信号に基づいて、低域通過フィルタ830側または遅延処理手段860側のいずれかに切替接続する。
また、演算部636は、低音効果音として出力させる旨が設定された状態で、その低音状態の設定すなわち低音効果音として再生出力させる音質に対応したいずれの低域通過フィルタ830が選択設定されたかを認識する。そして、この入力操作内容に基づいて、コントローラ710はフィルタ選択手段840を動作させ、いずれかの低域通過フィルタ830に切り替える。
そして、演算部636は、低音処理切替手段870が低音効果音として音声データを低音効果音用スピーカ230LFEから出力させる旨の低域通過フィルタ830側に切り替えられ、フィルタ選択手段840にて選択される低域通過フィルタ830を認識することで、遅延処理手段860にてストリーム音声データを遅延処理する遅延時間を演算する。すなわち、各スピーカ230の聴取者までの設置位置に対応した遅延時間をあらかじめ記憶しておいたメモリ部635から読み出す。さらに、選択された低域通過フィルタ830の特性に対応して、この低域通過フィルタ830をストリーム音声データが通過することにより生じる遅延に対応した遅延時間を、あらかじめメモリ部635に表2に示すようなマトリックス状のテーブル構造で記憶されたデータから読み取る。そして、読み取った遅延時間を合算し、合計の遅延時間で各遅延処理手段860のディレイ処理手段861で遅延処理可能に設定する。
なお、メモリ部635に記憶されたデータから遅延時間を読み取る他に、上述した数1あるいは数3に示す演算式がメモリ部635に記憶されている場合には、これらの演算式に基づいて低域通過フィルタ830をストリーム音声データが通過することにより生じる遅延に対応した遅延時間を演算する。そして、設置距離に対応する遅延時間と合算して遅延処理可能に設定するなどしてもよい。
さらに、演算部636は、各スピーカ230から再生出力させる出力レベル、すなわちボリューム量の入力操作状況を認識する。そして、この入力操作内容に基づいて、コントローラ710が出力調整部810および個別出力調整部850におけるボリューム制御、すなわち所定の係数を設定し、通過するストリーム音声データの再生出力レベルを調整可能にする。
また、演算部636は、各スピーカ230から再生出力させる音声データの音質を設定、すなわちエフェクト処理状況に関する設定についての入力操作状況を認識する。そして、この入力操作内容に基づいて、コントローラ710がエフェクト処理部820を制御して音声データを所定のエフェクト処理するための係数を設定し、通過するストリーム音声データを入力操作に対応したエフェクト状態で処理可能にする。
この状態で、音声データ出力機器から音声データが出力されると、この音声データ出力機器が接続される再生装置100の音声データ入力端子610に入力される。この各音声データ入力端子610に入力された音声データは、DIR620にて適宜変換し、DSP630へそれぞれストリーム音声データとして出力する。そして、DSP630では、各音声データ入力端子610でそれぞれ取得した複数のストリーム音声データを、音声データ入力端子610に対応する複数の入力端子631にてそれぞれ取得する。そして、各入力端子631で取得したストリーム音声データを、ミキシング・エフェクト部720の各音声データ処理部800にてそれぞれ処理する。
すなわち、入力端子631に入力されたストリーム音声データは、出力調整部810により、聴取者による入力操作部400の入力操作の状況に応じたコントローラ710からの制御信号に基づいてあらかじめ設定された内容で、それぞれ出力レベル調整すなわちボリューム制御される。さらに、ボリューム制御されたストリーム音声データは、エフェクト処理部820により、あらかじめ入力操作部400の入力操作の状況に応じた設定内容で、エフェクト処理すなわち所定の音質に適宜変更する。
そして、フィルタ選択手段840および低音処理切替手段870が低域通過フィルタ830に接続されているので、エフェクト処理部820から出力されたストリーム音声データは、フィルタ選択手段840で選択された低域通過フィルタ830を通過する。この低域通過フィルタ830の通過により、ストリーム音声データは、その低域通過フィルタ830で設定されているカットオフ周波数で高域成分が除去され、下流側に接続され低音効果音用スピーカ230LFEに対応した個別出力調整部850に出力される。この個別出力調整部850に出力されたストリーム音声データは、あらかじめ設定された入力操作部400の入力操作の状況に応じた設定内容で、ボリューム制御されて出力端子638へ出力され、他の音声データ処理部800から出力されるストリームデータと加算される。
また、エフェクト処理部820を通過したストリーム音声データは、各スピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLに対応した個別出力調整部850により、あらかじめ設定された入力操作部400の入力操作の状況に応じた設定内容でボリューム制御され、遅延処理手段860に出力される。この遅延処理手段860に出力されたストリーム音声データは、各スピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLに対応した各ディレイ処理手段861で、あらかじめ選択された低域通過フィルタ830に対応して設定された遅延時間に基づいて遅延処理し、それぞれ対応する各スピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLが接続される出力端子638に出力され、各音声データ処理部800から出力される遅延処理後のストリーム音声データと加算される。
そして、出力端子638で各出力手段200に対応して加算されたストリーム音声データは、音声データ出力端子660から各出力手段200のDAC210に出力され、適宜アナログ信号のストリーム音声データに変換される。さらに、アンプ220で増幅処理され、各スピーカ230で再生出力される。
なお、例えば電源投入時における入力操作状況の認識により、演算部636が低音効果音を利用しないと判断した場合には、コントローラ710は単に各スピーカ230の設置位置による遅延時間をメモリ部635から読み取って遅延処理手段860に設定する。この低音効果音を利用しないとの判断は、低音効果音用スピーカ230LFEから他のスピーカ230と同様に所定の周波数でカットオフする処理が実施されない音声データを出力させる旨の遅延処理手段860側に低音処理切替手段870が切替接続されていると認識することによる。
そして、この場合には、エフェクト処理部820から出力されたストリーム音声データは、低音処理切替手段870が遅延処理手段860側に接続されていることから、個別出力調整部850を介して、あるいはそのまま遅延処理手段860に入力され、低域通過フィルタ830を通過しない。そして、ストリーム音声データは、遅延処理手段860のディレイ処理手段861にて、設定された設置位置に関する遅延時間で遅延処理されて出力端子638へ、低音効果音用スピーカ230LFEに対応する遅延処理されたストリーム音声データは個別出力調整部850を介して出力端子638へ出力され、それぞれ加算されて各出力手段200のDAC210へ出力される。
(蓄積データの再生処理)
次に、再生装置100の再生動作として、入力される音声データを一旦記憶し、記憶した各音声データを同期させてスピーカ230から出力させる再生動作について、以下に説明する。
各接続が得られた状態で再生装置100や音声データ出力機器に電源が投入されると、上述した場合と同様に、システムマイコン300が聴取者による入力操作部400の各種入力状況を認識する。さらに、演算部636は、入力操作部400による入力操作にて、入力される音声データを記憶させる旨の設定入力の待機状態となっている。
そして、音声データ出力機器から音声データが出力され、再生装置100の音声データ入力端子610に入力されると、上述したようにミキシング・エフェクト部720にて適宜処理し、各スピーカ230から再生出力させる。この音声データ入力端子610から音声データが入力されている際に、演算部636が入力操作部400による入力操作にて音声データを記憶させる旨の設定入力を認識すると、コントローラ710は同期信号に基づいて記憶させる設定入力の時点から記憶を停止させる旨の設定入力までのタイミング情報としての時刻情報をストリーム音声データに付加してメモリ部635のデータ格納領域635Aに記憶させる。
このようにしてメモリ部635に記憶させた複数の音声データを、例えば再生装置100に接続した図示しない表示装置に横軸に時間軸、縦軸に出力レベルとして表示させる。そして、入力操作部400の入力操作にて、表示される音声データを適宜つなぎ合わせたり、重ね合わせたりするなどの加工処理をし、その加工処理状態で再生出力させる場合、コントローラ710は表示に対応して各ストリーム音声データに付加された時刻情報に基づいてメモリ部635のデータ格納領域635Aからストリーム音声データを読み取る。これら読み取ったストリーム音声データを、上述したように、適宜遅延処理し、出力端子638へ出力して加算し、表示装置で加工処理した状態で各出力手段200のスピーカ230から再生出力させる。
(音声データの記録)
次に、再生装置100の動作として、出力手段200の代わりに処理した音声データを記録媒体に記録したりネットワーク配信などをするために出力インターフェースなどが接続された場合の処理動作について、以下に説明する。
各接続が得られた状態で再生装置100や音声データ出力機器に電源が投入されると、上述した場合と同様に、システムマイコン300が操作者による入力操作部400の各種入力状況を認識する。そして、処理した音声データを記録あるいはネットワーク配信などのデータ処理をする旨の入力操作を認識すると、コントローラ710にて遅延処理手段860における遅延処理として各スピーカ230の設置位置に関する遅延時間を実施させない制御をする。
そして、音声データが入力されると、上述したように、低域通過フィルタ830を利用する場合に所定の遅延時間を読み出しあるいは演算し、適宜遅延処理して出力端子638へ出力して加算し、音声データ出力端子660に接続された出力インターフェースへ出力する。
〔再生装置の作用効果〕
上記実施の形態について、低域通過フィルタ830を通過させる際に、対応して遅延処理する場合と、遅延処理しない場合とについての実験結果について、以下に説明する。図6は、振幅周波数特性および周波数との関係における遅延処理の有無の差を示すグラフである。
低域通過フィルタ830として、バターワース型のローパスフィルタを用い、例えば図6に示す減衰率で音声データを通過させる条件において、遅延処理をした本実施例と、遅延処理しない、すなわち単に設置距離に対応する遅延処理のみ実施する比較例とを比較し、群遅延特性の状態を比較した。その結果を図4に示す。この図4に示すように、低域通過フィルタ830に対応して上記一実施の形態と同様に遅延処理させることで、群遅延特性がほぼ平坦となり、良好な再生ができることがわかる。
上述したように、上記実施の形態では、コントローラ710により、音声データを所定の低音効果音用スピーカ230LFEから出力させる音声データを所定の周波数のみを通過させる低域通過フィルタ830に通過させる際に生じる遅延分である遅延時間で、低域通過フィルタ830を通過させずにスピーカ230C,230R,230L,230SE,230SLで再生出力させる音声データに対して遅延処理手段860の各ディレイ処理手段861で遅延処理させる。このため、音声データから低音成分を抽出して再生させるために低域通過フィルタ830を通過させる処理により他の音声データとの再生タイミングに遅延が生じる場合でも、その遅延に対応して他の音声データを遅延させて低音成分と同タイミングで適切に再生出力させることができる。したがって、複数の低域通過フィルタ830にて抽出する低音成分を切り替えても、その都度適切な再生タイミングが得られ、良好な音声データの再生が得られる。
そして、コントローラ710により、音声データが通過する低域通過フィルタ830の群遅延特性の周波数毎の分散を最小にする遅延時間を求める関数の近似値となる数1に示す演算式に基づいて遅延時間を演算する。このため、低域通過フィルタ830を通過した低音成分の音声データと低域通過フィルタ830を通過しない他の音声データとを同タイミングで再生させるための遅延時間が、低域通過フィルタ830の特性に対応して容易に得られる。
また、コントローラ710により、低域通過フィルタ830が除去するカットオフ周波数の2次関数に基づいて遅延時間を演算する。このため、コントローラ710による同一タイミングでの良好な再生のための遅延時間の演算が容易にでき、処理付加が低下して迅速に処理でき、構成の簡略化も容易に図れ、良好な再生が容易に得られる。そして、複数の低域通過フィルタ830に対応してマトリックス状にメモリ部635に格納しておく必要がなく、メモリ部635の容量を有効活用でき、構成の簡略化が容易に図れる。また、演算式にてあらかじめ演算した遅延時間を音声データを通過させる低域通過フィルタ830に対応してマトリックス状に関連付けたデータ構造としてメモリ部635に記憶し、適宜読み出す構成とすることにより、遅延時間を取得するまでの演算時間を省略でき、より迅速に遅延時間を取得でき、迅速な音声データの処理ができ、音声データが再生されるまでの時間を短縮でき、良好な再生が得られる。
さらに、コントローラ710により、遅延時間をT〔ms〕、前記カットオフ周波数をFcとしたとき、係数a0,a1,a2が表2に示す値を採る数1に示すT=(a0・Fc2+a1・Fc+a2)に基づいて遅延時間を演算する。このため、良好に容易に周波数に対する群遅延特性を平坦化でき、同一タイミングによる適切な音声データの再生が簡単な演算式で良好に得られる。特に、低域通過フィルタ830として広く利用されるバターワース型のローパスフィルタで良好な再生が得られ、さらにはカットオフ周波数が40Hz以上200Hz以下の範囲にローパスティルタでより良好な再生が得られる。
また、係数e1,e2が表3に示す値を採る数2に示す(T−e1*T)≦T≦(T+e2*T)に基づいて演算された遅延時間に基づいてコントローラ710にて遅延処理する。このため、所定のバターワース型のローパスフィルタに限らず、良好な再生が得られ、汎用性を向上できる。
さらに、低域通過フィルタ830のインパルス応答の振幅が最大値となる時間をτとしたときに、コントローラ710にて数3に示すT=τ±0.15τを遅延時間として演算して遅延処理する。この場合、バターワース型の低域通過フィルタ830に限らず、例えばチェビシェフ型や楕円型、ベッセル型などのいずれのフィルタを利用する場合でも対応でき、汎用性を向上できる。
そして、低音処理切替手段870により、低域通過フィルタ830を通過させる場合と通過させない場合とに切替可能としているため、低音効果音用スピーカ230LFEを他の通常のスピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLと同様に通常の音声データを再生させることも可能となり、より汎用性を向上できる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
上述した実施の形態では、上述したように、5チャンネルに限らず、2つ以上のスピーカ230を用いて2チャンネル以上の多チャンネル音声データを再生する構成に適用できる。また、表示装置に映像データを表示させるために映像データをも処理する構成としてもよい。この映像データを処理する構成では、低域通過フィルタ830を通過させる遅延分で映像データをも合わせて遅延処理すればよい。この構成により、映像データと、各スピーカ230から再生する音声データとの同期も採れ、良好な視聴が得られる。
また、音声データ入力端子610から入力する音声データとしては、楽器や読取装置からの音声データを入力する構成について例示して説明したが、例えばネットワークを介して配信される音声データを入力する構成とするなどしてもよい。
そして、再生装置100としては、オーディオ機器などに限らず、例えばプログラムを読み込んで再生装置100の構成あるいはDSP630を構築した演算手段としての例えばパーソナルコンピュータや複数台のコンピュータが接続されたネットワーク、半導体素子、複数の電気部品が搭載された回路基板などの構成としてもよい。そして、本発明は、このコンピュータに読み込ませるプログラム、さらにはこのプログラムを記録した記録媒体などの構成として構成してもよい。この場合には、利用の拡大が容易に図れる。
また、複数の低域通過フィルタ830を設け、フィルタ選択手段840にて切り替えて説明したが、低域通過フィルタ830を1つのみとして低域通過フィルタ830を切替できない構成としてもよい。
さらには、低域通過フィルタ830を通過させず、低音効果音用スピーカ230LFEに通常の音声データを再生できるように低音処理切替手段870を設けて切替可能に構成して説明したが、低域通過フィルタ830を通過して抽出された低音効果音である低音成分の音声データのみを再生できる構成としてもよい。
また、上記一実施の形態では、遅延処理する直接再生処理と、蓄積データの再生処理との双方の処理が実行可能な再生装置として説明したが、いずれか一方のみ処理する構成としてもできる。また、蓄積データ再生処理において、音声データを再生する際に、低域通過フィルタ830を通過させる音声データを負の遅延処理を実施してもよい。すなわち、低域通過フィルタ830の通過により遅延する分に対応する早いタイミングである早い時間分で、低音抽出する音声データをメモリ部635から読み出し、音声データを低域通過フィルタ830に通過させるとともに、他のスピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLで再生させる音声データは、同期させてメモリ部635から読み出して遅延処理することなくそのまま再生可能に処理させる構成としてもよい。このような構成でも、上記一実施の形態と同様の低域通過フィルタ830に対応して低音成分を抽出する音声データと通常通り再生させる音声データとを良好に同期して再生できる。
本発明は、上述した一実施の形態および実施形態の変形のみに限ることなく、その他、本発明の目的を逸脱しない範囲で様々な応用が可能である。
〔実施の形態の作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、コントローラ710により、音声データを所定の低音効果音用スピーカ230LFEから出力させる音声データを所定の周波数のみを通過させる低域通過フィルタ830に通過させる際に生じる遅延時間に基づいて、第1のチャンネル信号となる低域通過フィルタ830に通過させて低音効果音用スピーカ230LFEで再生出力させる音声データと、低域通過フィルタ830を通過させずにスピーカ230C,230R,230L,230SE,230SLで再生出力させる音声データとのタイミングを同期させている。すなわち、低域通過フィルタ830を通過させずにスピーカ230C,230R,230L,230SE,230SLで再生出力させる音声データに対して、遅延処理手段860で遅延処理させる。このため、音声データから低音成分を抽出して再生させるために低域通過フィルタ830を通過させる処理により他の音声データとの再生タイミングに遅延が生じる場合でも、その遅延に対応して他の音声データを遅延させて低音成分と同タイミングで適切に再生出力させることができる。したがって、複数の低域通過フィルタ830にて抽出する低音成分を切り替えても、その都度適切な再生タイミングが得られ、良好な音声データの再生が得られる。
また、上記実施の形態において、コントローラ710により、同期信号に基づいて音声データを取得したタイミングに関するタイミング情報である時刻情報とともにメモリ部635に記憶する。そして、同期信号に基づいて、所定の低音効果音用スピーカ230LFEから出力させる音声データを低域通過フィルタ830に通気させる際に生じる遅延分に対応する早いタイミングの時刻情報に関連付けられた音声データをメモリ部635から読み出し、低域通過フィルタ830に通過させて低音効果音用スピーカ230LFEから再生可能に出力させるとともに、同期信号に対応するタイミングの時刻情報に関連付けられた音声データをメモリ部635から読み出し、フィルタを通過させずにスピーカ230C,230R,230L,230SR,230SLから再生可能に出力する構成とする。このことにより、音声データから低音成分を抽出して再生させるために低域通過フィルタ830を通過させる処理により他の音声データとの再生タイミングに遅延が生じる場合でも、その遅延に対応して他の音声データより早いタイミングで読み出して同期させるので、同タイミングで適切に再生出力できる。したがって、複数の低域通過フィルタ830にて抽出する低音成分を切り替えても、その都度適切な再生タイミングが得られ、良好な音声データの再生が得られる。