JP2006014632A - サイトメガロウイルスの検出および定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一定温度、一段階操作で、迅速にCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを増幅、検出することを特徴とする、CMVの検出および定量方法の提供。
【解決手段】 CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを、特異的に増幅可能なオリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを利用し、これらのオリゴヌクレオチドプライマーの組合せからなるRNA増幅工程を、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて測定する検出法によって、前記課題を解決する。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、特定核酸配列を利用したCMVの検出および定量方法に関する。
サイトメガロウイルス(CMV)は、βヒトヘルペスウイルス科に属する正20面体DNAウイルスで日本の成人の90%が感染している。通常、出産直後に感染するが、不顕性感染が多いので、特に病状は現れない。後天的には、尿、唾液、母乳、精液を感染原とする接触感染と、輸血または臓器移植による医原性感染がある。CMVは生涯にわたって生体内に潜伏し、宿主の生理的変化によって潜伏感染状態から活性化(再活性化)して回帰発症を繰り返すことが特徴である。悪性腫瘍、AIDS患者、臓器移植患者では、免疫不全状態がCMV再活性化の起因となり、間質性肺炎、肝炎、網膜炎、脳炎、腎炎が発症することが多い。特に、臓器移植が成功したにも関わらず、その後の間質性肺炎等で命を落とすことは大きな問題となっている。このように、致命的な疾病の原因となるCMV感染の再活性化の迅速高感度な診断法を確立することは、早期治療のために重要である。
従来、CMV感染の診断法としては、患者の生体液からCMVを分離して同定する方法があるが2〜3週間を要し迅速性に欠ける。また、患者血清中の抗CMV抗体を検出する血清診断法では、抗体非特異反応が生じる問題や高感度が得にくい、抗体価の変化によりウイルスの消長を捕らえにくい等の欠点がある。
最近、リアルタイムPCR(polymerase chain reaction)法によるCMV由来のDNAの検出が可能となっている。これは、CMV由来のDNAに特異的なプライマーを用い、ウイルスDNAをPCRにより増幅、検出する方法であり、感度が高いという特徴がある。しかし、CMVはさまざまな臓器に潜伏感染しているため、PCR法でDNAを検出するだけでは、再活性化と潜伏感染の区別がつかない。また、CMVの再活性化時に発現されるmRNAを増幅、検出するRT−PCR(reverse transcriptase−polymerase chain reaction)法も考案されているが、mRNAをcDNAに変換する工程が必要であり、操作に熟練を要し、検出結果を得るまでに長時間を要する。しかも、微量でもDNAが存在すると、mRNAが存在しなくても陽性と判定される危険性がある。
一方、以下の方法が知られている。
RNAを逆転写してcDNAに変換した後、反応液を昇降温してDNAを増幅するいわゆるPCRを実施するRT−PCR法とは異なり、反応液の昇降温なしにRNAをRNAとして増幅し検出する方法である(例えば特許文献2に記載されたNASBA法、特許文献3に記載されたTMA法、特許文献4に記載された増幅・検出法等)。これらの方法では、例えば、その転写によって特定配列のRNA転写産物を生成する、RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む2本鎖DNAを合成することを含む方法である。
より具体的には、例えば、任意のRNAに存在し、該RNAを他のRNAから区別し得る特定配列に対して、(1)その3’端に相補的なDNAプライマーとRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)を用い、RNAを鋳型として特定配列と相補的なDNAを生成し、(2)この逆転写によって生じるRNA−DNA2本鎖に対して、リボヌクレアーゼH活性を有する酵素を作用させてRNAを分解し、1本鎖DNAを生成させ、(3)この1本鎖の3’端に相補的で、それ自身がその5’端にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を有するDNAプライマーとDNA依存性DNAポリメラーゼを用い、前記したプロモーター配列を含む2本鎖DNAを合成し、(4)この2本鎖DNAにRNAポリメラーゼを作用させて転写産物(特定配列のRNA)を生成するのである。RNA転写産物は特定配列のRNAであるため、前記(1)の反応における鋳型となり、前記(1)反応で用いるDNAプライマーと結合し、(2)以降の反応が進行してRNA増幅の連鎖反応が引き起こされる。
これら方法の特徴は、PCRのように反応液を昇降温する必要がなく、またRNAの逆転写とその後の連鎖的増幅反応を分けて実施することがない、という点にある。特許文献1の方法は、特許文献2の方法をCMV由来のmRNAの増幅、検出に応用した例である。しかし、この方法は、固相担体に吸着または結合させた捕捉プローブに増幅されたRNAを捕捉させた後、検出用プローブをハイブリダイズさせ、未反応の検出用プローブを分離した後、捕捉プローブ、増幅されたRNA、検出用プローブの複合体を検出するものであり、迅速性に欠ける。その点において、増幅された特定配列に対して特異的に結合可能な、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(特許文献5に記載)を反応液に共存させ、特定配列又はそれに相補的な配列の増幅と同時にその増幅の様子を検出(モニタリング)することができる特許文献4に記載の増幅、検出法は一定温度、一段階操作で実施でき、迅速性に優れた定量法である。
しかし、この特許文献4の方法に適したCMV由来のmRNA増幅用のプライマーおよび検出用プローブは知られていない。これは特許文献4の方法が一定温度でmRNAの増幅、検出を行うために、標的となるmRNAが高次構造を形成してオリゴヌクレオチドの結合を阻害するため、増幅、検出効率が悪くなると考えられているからである。よって一定温度においても結合効率が低下せず、mRNAの増幅および検出を行い得るオリゴヌクレオチドが必要であった。
特開平9−289900
特許第2650159号 特許第3241717号 特開2000−014400号 特願2000−154431号
そこで本発明の目的は、CMVが感染した細胞から得られた試料に対し、特許文献4のような方法を適用して、CMV由来のmRNAを増幅、検出することにより、再活性化したCMV量を一定温度、一段階操作で、迅速に検出、定量可能な方法を提供することにある。
前記の目的を達成するためになされた本願請求項1の発明は、CMVが感染した細胞から得られた試料に対して、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに存在する特定配列について、特定配列の一部と相補的な配列を有する第1のプライマー(配列番号6、7又は8で示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むことを特徴とする)及び特定配列の一部と相同的な配列を有する第2のプライマー(配列番号3、4又は5で示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むことを特徴とする。ここで第1または第2のプライマーのいずれか一方はその5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されたプライマーである)を用いて、(1)1本鎖RNAを鋳型とするRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による特定配列に相補的なcDNAの合成、(2)リボヌクレアーゼH活性を有する酵素によるRNA−DNA2本鎖のRNAの分解(1本鎖DNAの生成)、(3)1本鎖DNAを鋳型とするDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による特定配列又は特定配列に相補的な配列とRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAの生成、及び、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素による該2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物の生成(このRNA転写産物は、前記(1)の反応における鋳型となる)を行うことによるCMV由来のmRNAに存在する特定配列の増幅方法である。
本願請求項2の発明は、インターカレーター性蛍光色素で標識された、配列番号9又は10に示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオチド(以下オリゴヌクレオチドプローブという)の存在下で請求項1の増幅が実施され、該オリゴヌクレオチドプローブと前記RNA転写産物との相補結合によって複合体を形成していない場合と比較して蛍光特性が変化することを利用して反応液の蛍光強度を測定することによる、CMV由来のmRNAの検出および定量方法である。
本願請求項3の発明は、請求項1の増幅方法において、CMV由来のmRNAを前記特定配列の5’末端で切断する際に、配列番号1又は2で示されるオリゴヌクレオチドを使用することを特徴とする増幅方法である。
本願請求項4の発明は、配列番号6、7又は8で示される、塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含む、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチドである。
本願請求項5の発明は、配列番号3、4又は5で示される、塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含む、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチドである。
本願請求項6の発明は、配列番号9又は10で示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含む、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチドである。
本願請求項7の発明は、配列番号1又は2で示されるいずれかの塩基配列からなる、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチドである。
本願請求項8の発明は、請求項4、5、6又は7に記載のいずれかのオリゴヌクレオチドを含有するCMVの検出および定量キットである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、RNAをRNAとして増幅する方法を採用することにより、CMV由来のmRNAを一定温度、一段階操作で、迅速に検出可能である。特に転写産物に対して特異的に結合可能な、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを反応液に共存させておけば、特定配列又はそれに相補的な配列の増幅と同時にその増幅の様子を検出(モニタリング)することができる。モニタリングに用いるプローブは、特定配列又はそれに相補的な配列と特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドに、該ヌクレオチドが転写産物と相補結合すると結合していない状態と比較して蛍光特性が変化するインターカレーター性蛍光色素を結合したものであり、本発明を実施するにおいて前記モニタリングは最も好適な形態である。なお、オリゴヌクレオチドへのインターカレーター性蛍光色素の標識方法は特に限定はないが、リン原子からリンカーを介して結合する方法が望ましい。結合方法としては先ず、オリゴヌクレオチドの鎖内または末端にアミノ基等の官能基を導入し、インターカレーター性蛍光色素にも必要であればオリゴヌクレオチドへ導入した官能基と反応又は結合可能な官能基を導入し、双方の官能基同士を結合させることが例示できる。より詳細には、特許文献5又はIshiguro,T(1996)Nucleic Acids Res.24(24)4992−4997に記載されている。
本発明は、一定温度で実施することができるが、その温度は35℃から50℃(好ましくは43℃)と比較的低温である。
本発明の実施に当たっては、まずCMV由来のmRNA中に存在する特定配列を決定する。本発明では、CMVの潜伏状態では発現せず、再活性化時のみ、大量に発現するCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを標的mRNAとした。次に、この標的mRNA内の特定配列に基づいて本発明の実施に使用する第1及び第2プライマー等の配列をデザインする。例えば配列番号3〜8で示される塩基配列又はその相補鎖中の、少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、実施例において述べるように、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAの増幅用プライマーとして好適な配列の一例を示したものであり、配列番号9又は10で示される塩基配列又はその相補鎖中の、少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、検出用プローブとして特に好適な配列の一例を示したものである。
ここで試料とは、mRNAを含む核酸試料を意味する。本発明では、CMVが感染したヒト細胞を材料として、例えば特開平7−59572号等に記載された方法に基づいて調製した試料を使用し、前記例示したようなmRNAを直接的な増幅・検出対象とすることで、当該試料の由来元であるヒト細胞中のCMVの検出および定量を行うものである。
以下に本願発明を更に具体的に説明する。試料中に、増幅・検出対象としたCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAが存在した場合には、(1)該mRNA中に存在する特定配列を鋳型として、第1のプライマー(特定配列の3’末端領域に相補的配列)が相補結合し、RNA依存性DNAポリメラーゼによる伸長反応からcDNAを生成することによりRNA−DNAからなる2本鎖を形成し、(2)次いでリボヌクレアーゼH活性を有する酵素によりRNA−DNA2本鎖のRNAが分解されて1本鎖DNAを生成する。その後、(3)該1本鎖DNAに対し第2のプライマー(標的RNAの5’末端領域に相同的配列で、その5’末端にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されている)が相補結合し、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記標的RNA配列と相同的な配列からなるRNAを転写可能なプロモーターを有する2本鎖DNAを生成する。そして、(4)該2本鎖DNAがRNAポリメラーゼ活性を有する酵素存在下で前記特定配列と相同的な配列からなるRNA転写産物が生成されるが、このRNA転写産物は特定配列からなるRNAであるため(1)の反応における鋳型となり、結果として上記(1)から(4)の反応はRNAやDNAを生成する際の酵素基質が使い尽くされるか、又は、上記の各種酵素が失活するまで連鎖的に生じることになる。
上記例は第2プライマーとしてその5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されたものを用いる例(以下第1形態という)である。本発明では、第1プライマーの5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を付加して使用しても良い(以下第2形態という)。第1形態で本発明を実施する場合には、特定配列の増幅効率を高めてその検出感度を向上させるために、前記(1)の反応に先立って、特定配列を含むRNAを特定配列の5’末端で切断しておくことが好ましい(例えば特許文献4参照)。
RNAを切断する方法としては、例えば、特定配列の5’末端に重複して隣接する領域に対して相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド(切断用オリゴヌクレオチド)を共存させ、後の反応でも使用されるリボヌクレアーゼH活性を有する酵素を作用させて切断する方法を例示することができる。該オリゴヌクレオチドは、配列番号1又は2に示す配列からなるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。ここで、切断用オリゴヌクレオチドの3’末端は、このオリゴヌクレオチドがプライマーとして機能しないよう、例えばアミノ化等の処理を施しておくことが好ましい。
CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを検出および定量するためには、上記のようにして増幅された特定配列の存在を検出してその存否を確認し、又は、増幅された特定配列の量(RNAコピー数)から試料中に存在した特定配列量(対象となったRNAコピー数)を推定する必要がある。特定配列の検出は、例えば一定時間上記反応を行った反応液に対して、特定配列に対して相補的に結合し得る固定化及び標識化プローブを用いるサンドイッチアッセイ法を適用することもできるが、前述したように、特定配列に特異的に結合する、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを使用することが好ましい。またこのプローブは前記(1)から(4)の反応を阻害しないため、その存在下で上記特定配列の増幅を実施して、特定配列の増幅の様子をモニタリングすることが特に好ましい。なお、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ共存下で特定配列の増幅を行う場合には、そのプローブ部分が伸長反応のプライマーとして機能しないように、例えばその3’末端にグリコール酸やビオチンを付加する等しておくことが好ましい。そして増幅反応中にこのインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブが特定配列と結合して発する蛍光信号を蛍光検出機によって測定し、そのプロファイルから得られる情報(例えば蛍光色素が発する蛍光の強度が一定の強度に達するまでに要した増幅反応時間等)を既知量の標準RNAに関するプロファイルから得られる情報と比較することにより、その存否を確認し、又は、増幅された特定配列の量(RNAコピー数)から試料中に存在した特定配列量(対象となったRNAコピー数)を推定することができる。該オリゴヌクレオチドプローブの塩基配列としては、配列番号9又は10に示される配列中の少なくとも連続した10塩基からなる配列であることが好ましい。
以上に記載した本発明の方法は、予め検出キットを用意しておくことにより、極めて簡単に実施することが可能である。検出キットは、好ましくは、第1及び第2のプライマー、(第1形態で本発明を実施するのであれば)切断用プライマー、インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、リボヌクレアーゼH活性を有する酵素、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、RNAポリメラーゼ活性を有する酵素、これら酵素の基質等の、特定配列を増幅し検出するために必要な全ての試薬を含むものであるが、これら全ての試薬を単一の容器に封入可能な点は特筆すべきである。即ち、一定量の試料をかかる単一容器に分注するという操作さえ実施すれば、その後は自動的にCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを増幅し検出することができる。この容器は、例えば蛍光色素が発する信号を外部から測定可能なように、少なくともその一部分が透明な材料で構成されてさえいれば良く、試料を分注した後に密閉することが可能なものはコンタミネーションの防止のうえで特に好ましい。
以上の説明のように、本発明によれば、比較的低温かつ一定温度(35℃〜50℃、好ましくは43℃)条件下で、増幅反応から検出までを1段階の操作で、短時間に、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを増幅、検出、定量することができる。
本発明では、試料中の標的RNA(CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNA)をもとにして、DNA依存性RNAポリメラーゼのプロモーター領域を末端にもつ2本鎖DNAが合成され、これが多量の1本鎖RNAの合成源になり、さらに合成された1本鎖RNA量は飛躍的に増大し、インターカレーター性蛍光色素で標識されたプローブが、生成した1本鎖RNAと相補結合することによる蛍光増加を測定する工程において、蛍光強度が増加する過程を解析することにより、簡便かつ、短時間に初期RNA量を決定することが可能である。
一段階操作で、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAを検出するためのオリゴヌクレオチドの組合せを提供すること、すなわちCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAの増幅用のオリゴヌクレオチドプライマー、及び検出用のオリゴヌクレオチドプローブの組合せを提供することで、それを利用した簡便、迅速かつ高感度なCMVの検出および定量方法ならびに検出および定量キットを医療分野に提供する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。使用する第1のプライマー、第2のプライマー、切断用プライマーの組合せは表1に示した。そのうち最も増幅効率の高かった表1の9番の組合せを実施例に示した。ただし、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
Figure 2006014632
実施例1
インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを作製した。
配列番号9に記載の配列中の5’末端から4番目の塩基(G)と5番目の塩基(C)の間のリン原子に、インターカレーター性蛍光色素として公知の色素であるオキサゾールイエローを標識し、オキサゾールイエロー標識オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号9)を調製した(Ishiguro,T(1996)Nucleic Acids Res.24(24)4992−4997参照)。
実施例2
本願発明によるオリゴヌクレオチドプライマーの組合せを用いて、β2.7 RNAの様々な初期コピー数における検出を行った。
(1)β2.7 RNAの調製を行った。
β2.7 RNAとは、CMV由来のβ2.7遺伝子の塩基配列(National Center Biotechnology Informationのaccession No.:X17403の184889番目〜187359番目の2471塩基)中の2154塩基の2本鎖DNAをクローニング後、鋳型としてインビトロ転写により合成、精製されたRNAである。
β2.7 RNA(2154mer)を試料とし、260nmの紫外部吸収により定量後、RNA希釈液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA、0.5U/μl RNase Inhibitor、5.0mM DTT)を用い1.0×10コピー/5μl〜30コピー/5μlとなるよう希釈した。コントロール試験区(nega)にはRNA希釈液のみを用いた。
(2)以下の組成の反応液20.0μlを0.5ml容PCR用チューブ(Gene Amp Thin−Walled Reaction Tubes、パーキンエルマー製)に分注し、これに上記RNA試料5μlを添加した。
反応液の組成(濃度は酵素溶液添加後の反応系の最終濃度)
60.0mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.6)
18.0mM 塩化マグネシウム
100.0mM 塩化カリウム
1.0mM DTT
各0.25mM dATP,dCTP,dGTP,dTTP
各3.0mM ATP、CTP、UTP
2.25mM GTP
3.6mM ITP
各1.0μMの第1のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号8)と第2のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号5)。なお、第2オリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列の5’末端には配列番号11(T7ポリメラーゼのプロモーター配列)を付加して使用した。
0.16μMの切断用オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号2;β2.7 RNAを第2のプライマーが結合し得る位置で切断するためのオリゴヌクレオチド。3’末端はアミノ化)
6ユニット リボヌクレアーゼ インヒビター(タカラバイオ社製)
13.0% DMSO
容量調製用蒸留水
12.0nMのインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(実施例1で調製したもの)。
(3)上記の反応液を、43℃で5分間保温後、以下の組成で、かつ、予め43℃で2分間保温した酵素液5.0μlを添加した。
酵素液の組成(反応時の再終濃度)
2.0% ソルビトール
6.4ユニット AMV逆転写酵素 (タカラバイオ(株)製)
142ユニット T7 RNAポリメラーゼ (GIBCO製)
3.6μg 牛血清アルブミン
容量調製用蒸留水
(4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、43℃保温して、励起波長470nm、蛍光波長510nmで、反応溶液の蛍光強度を経時的に測定した。
酵素添加時の時刻を0分として、サンプルの蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグランドの蛍光強度値)の経時変化を図1に示した。RNAサンプル濃度は1.0×10コピー/30μlから30コピー/30μlである。図1より、β2.7 RNAの初期濃度に依存した蛍光プロファイルが得られ、未知試料中に存在するCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNA量を検出することが可能であることが示唆された。
初期β2.7 RNA量10コピー/30μlから30コピー/30μlにおいて、反応時間とRNAの生成とともに増大する蛍光増加率のグラフである。cal30はβ2.7 RNA 30コピー/5μL、cal10^2はβ2.7 RNA 10コピー/5μL、cal10^3はβ2.7 RNA 10コピー/5μL、cal10^4はβ2.7 RNA 10コピー/5μL、cal10^5はβ2.7 RNA 10コピー/5μL、cal10^6はβ2.7 RNA 10コピー/5μLである。negaはRNA試料の代わりにRNA希釈液のみを用いた。

Claims (8)

  1. 試料中のサイトメガロウイルス(cytomegalovirus、以降CMVと略す)に由来するmRNA内の特定配列の一部と相補的な配列を有する第1のプライマー及び特定配列の一部と相同的な配列を有する第2のプライマー(ここで第1又は第2のプライマーのいずれか一方はその5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されたプライマーである)を用いて、(1)1本鎖RNAを鋳型とするRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による特定配列に相補的なcDNAの合成、(2)リボヌクレアーゼH活性を有する酵素によるRNA−DNA2本鎖のRNAの分解(1本鎖DNAの生成)、(3)1本鎖DNAを鋳型とするDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素による特定配列又は特定配列に相補的な配列とRNAを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAの生成、及び、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素による該2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物の生成(このRNA転写産物は、前記(1)の反応における鋳型となる)を行い、前期試料中のCMVを増幅する方法において、前記mRNAがCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAであり、前記第1のプライマーが配列番号6、7又は8で示されるいずれかの塩基配列又はその相補鎖中の、少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオチドであり、前記第2のプライマーが配列番号3、4又は5で示されるいずれかの塩基配列又はその相補鎖中の、少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオチドである、CMVに由来するmRNAの増幅方法。
  2. インターカレーター性蛍光色素で標識された、配列番号9又は10に示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも連続した10塩基以上からなるオリゴヌクレオチド(以下オリゴヌクレオチドプローブという)の存在下で請求項1の増幅が実施され、該オリゴヌクレオチドプローブと前記RNA転写産物との相補結合によって複合体を形成していない場合と比較して蛍光特性が変化することを利用して反応液の蛍光強度を測定することによる、CMV由来のmRNAの検出および定量方法。
  3. 請求項1のmRNAの増幅方法において、第2のプライマーにプロモーター配列が付加されている場合、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAの前記特定配列の5’末端に重複して隣接する領域に対して相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドの存在下で実施され、該オリゴヌクレオチドが配列番号1又は2に示されるいずれかの配列からなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1の増幅方法。
  4. 配列番号6、7又は8で示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチド。
  5. 配列番号3、4又は5で示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも10の連続するヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチド。
  6. 配列番号9又は10に示される、いずれかの塩基配列又はその相補鎖中の少なくとも連続した10塩基以上からなることを特徴とする、CMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチド。
  7. 配列番号1又は2に示される、いずれかの塩基配列からなることを特徴とするCMV由来のβ2.7遺伝子のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチド。
  8. 請求項4、5、6又は7に示される、いずれかのオリゴヌクレオチドを含有するCMVの検出および定量キット。

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