JP2006149140A - 静電吸引駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 粗送り駆動と微細送り駆動とを選択的に駆動することができるとともに、速度変動の幅を抑制して移動速度の平滑性を高めた静電吸引駆動装置を提供する。
【解決手段】 駆動信号をST1からST7の順番でA相ないしH相電極からなる8相の電極23にそれぞれ与えると、電極33a,33bを有する可動子側がPO1の状態からPO1’の状態に向けて徐々にY1方向に移動させられる。このとき、可動子の平均速度v1(ave)は図8BのΣV1に示す実線となるため、速度変動の幅を低く抑えることができ、移動速度の平滑性(等速性)を高めることができる。また駆動信号をA相ないし4相電極からなる4相の電極23に所定の組み合わせて与えると、1ステップ当たりの移動距離が延びるため、粗送り駆動とすることが可能となる。
【選択図】図8
【解決手段】 駆動信号をST1からST7の順番でA相ないしH相電極からなる8相の電極23にそれぞれ与えると、電極33a,33bを有する可動子側がPO1の状態からPO1’の状態に向けて徐々にY1方向に移動させられる。このとき、可動子の平均速度v1(ave)は図8BのΣV1に示す実線となるため、速度変動の幅を低く抑えることができ、移動速度の平滑性(等速性)を高めることができる。また駆動信号をA相ないし4相電極からなる4相の電極23に所定の組み合わせて与えると、1ステップ当たりの移動距離が延びるため、粗送り駆動とすることが可能となる。
【選択図】図8
Description
本発明は、カメラや携帯電話機などにおいてレンズを前後方向に移動させる駆動装置に係わり、特に静電力(クーロン力)を用いた静電吸引駆動装置に関する。
従来の静電吸引駆動装置に関する先行技術文献としては、例えば以下の特許文献1などが存在している。図15は、特許文献1に図1として示されている静電吸引駆動装置の概略構成を示す図、図16は同じく図2として示されている電極に印加される駆動信号を示すタイミングチャートである。
この静電吸引駆動装置では、図15に示すように第1の固定子2aと第2の固定子2bとが所定の距離を隔てた状態で互いに対向配置され、その間にスライド移動する可動子3が配置されている。
前記第1の固定子2aには所定方向に順次配列された3系統の電極A,B,C(第1電極)が設けられ、前記第2の固定子2bには一様な1系統の電極Dが設けられている。また前記可動子3は、一方の表面に前記第1の固定子2aの各電極A,B,Cの電極ピッチに対応して設けられた電極部3aと、他方の表面に前記第2の固定子2bに対向して設けられた平坦な電極部3dとを有しており、前記両電極部3aおよび3dは同一電位に維持される1系統の電極E(第3電極)を形成している。
図16に示すように、前記第1の固定子2aに設けられる電極Aに電圧を印加して、電極Aの電位を可動子3に設けられる電極Eの電位よりも高くすると、電極Aと電極Eとの間で作用する静電力(クーロン力)により、可動子3は第1の固定子2a側に吸引される。その際、電極Aと電極部3aがぴったり重なり合う状態がもっとも安定であるため、可動子3は電極Aと電極部3aとが重なり合うように電極Aより作用力を受ける。続いて、電圧を印加する電極を第2の固定子2bに設けられる電極Dに切り換えると、可動子3は第2の固定子2b側に吸引される。さらに、電圧を印加する電極を固定子2aに設けられる電極Bに切り換えると、電極Aに電圧を印加した際と同様なメカニズムにより、可動子3は電極Bと電極部3aが重なり合う用に電極Bより作用力を受ける。このような一連の動作、即ち電圧を電圧源6からスイッチング回路5を介して電極A→電極D→電極B→電極D→電極C→電極D→電極A…と順次繰り返して印加する(第1の固定子2aに設けられる電極A〜Cと第2の固定子2bに設けられる電極Dとに交互に電圧を印加するとともに、第1の固定子2aに設けられる電極を前記所定方向に順次切り換える)ことにより、可動子3は微視的には上下振動をしながら、巨視的には第1の固定子に配列された電極の配列方向(図中の右側)に駆動されるようになっている。
特開2001−346385号公報
上記のような静電吸引駆動装置を、例えばカメラなどに搭載し、オートフォーカスのためのレンズを移動させるための駆動装置として用いる場合には、レンズを移動させるだけの推進力を得ること、およびその際の移動速度や応答速度などを高める必要がある。そして、そのためには大きな静電力(クーロン力)の発生させることにより、大きな推進力を得ることができるような静電吸引駆動装置とする必要がある。
ここで前記静電力は、一般に印加電圧の二乗および電極間の対向面積に比例するとともに、ギャップの隙間寸法の二乗に反比例するという性質を有する。したがって、これら各要素を最適な値に設定することにより大きな静電力を得ることが可能となる。
しかし、前記印加電圧を高めるにはカメラに搭載可能な電池や耐電圧などによる問題からの制約がある。またギャップの隙間寸法を狭めるにも加工精度の問題などからおのずと限界がある。
また上記従来の静電吸引駆動装置は、第1,第2の固定子2a,2b側の各電極と可動子3側の電極とが平面的に対向する構成である。このため、前記電極間の対向面積を広くするには、前記第1の固定子2a、第2の固定子2bおよび可動子3に設けられた各電極の面積を平面的に大きくする必要があるが、それでは静電吸引駆動装置自体が大型化してしまう。しかも、前記可動子3の重量も増加してしまうため、かえって可動子3の移動速度や応答速度を低下させてしまうといった問題がある。
さらに上記のようなオートフォーカス用のレンズ駆動装置では、レンズを初期の待機位置から目標位置(焦点位置)まで移動させるのであるが、前記待機位置から移動させる際には移動速度を高めて移動に要する時間を短縮する粗送り駆動と、目標位置に接近したときには移動速度を落として前記目標位置に正確に停止させる微細送り駆動とを有する構成が好ましい。
しかし、上記従来の静電吸引駆動装置では移動速度を可変することができない構成であり、レンズの粗送り駆動と微細送り駆動とを選択することができなかった。このため、レンズを高い精度で目標位置に停止させることが困難であるといった問題もあった。また精度を高めようとする場合には、前記レンズを何度か往復移動させることなどが必要であり、フォーカシングに時間を要するという問題もあった。
さらには、移動速度を等速に維持することが困難という構造上の問題も有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、小型化することができるとともに、大きな推進力を発生することができるようにした静電吸引駆動装置を提供することを目的としている。
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、小型化することができるとともに、大きな推進力を発生することができるようにした静電吸引駆動装置を提供することを目的としている。
また本発明は、粗送り駆動と微細送り駆動とを選択的に駆動することが可能な静電吸引駆動装置を提供することを目的としている。
さらに本発明は、等速移動における速度変動の幅を抑制して移動速度の平滑性(等速性)を高めた静電吸引駆動装置を提供することを目的としている。
本発明は、移動方向および幅方向に配列された複数の電極からなる固定子側電極群を有する固定子と、同じく移動方向および幅方向に配列されるとともに前記固定子側電極群を形成する個々の電極に対向する複数の電極からなる可動子側電極群を有するとともに移動自在に設けられた可動子と、前記可動子を前記移動方向に案内するガイド手段と、所定の相数からなる駆動信号を生成し且つ前記固定子側電極群と可動子側電極群との間に与える駆動信号供給手段と、を備えた静電吸引駆動装置であって、
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法(L1)で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1)と前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2)とが、互いに等しい長さ寸法(T)で形成されていることを特徴とするものである。
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法(L1)で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1)と前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2)とが、互いに等しい長さ寸法(T)で形成されていることを特徴とするものである。
この場合、前記第1組と前記第2組との間では、電極同士の長さ寸法および隙間同士の長さ寸法が互いに等しく(a1=a2,b1=b2)、且つ前記電極と隙間とは異なる長さ寸法(a1=a2≠b1=b2)で形成されているものが好ましい。
また本発明は、複数の電極からなる固定子側電極群を備えた固定子と、前記固定子側電極を形成する個々の電極に対し前記移動方向と直交する幅方向の両面で対向する可動子側電極群を備えるとともに前記移動方向に移動可能な可動子と、前記可動子を前記移動方向に案内するガイド手段と、所定の相極数からなる駆動信号を生成し且つ前記固定子側電極群と可動子側電極群との間に与える駆動信号供給手段と、を備えた静電吸引駆動装置であって、
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1=T1)と前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2=T2)とが、互いに異なる長さ寸法(T1≠T2)で形成されていることを特徴とするものである。
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1=T1)と前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2=T2)とが、互いに異なる長さ寸法(T1≠T2)で形成されていることを特徴とするものである。
この場合には、前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1=T1)に前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2=T2)を加えた区間を1ピッチ(T1+T2)としたときに、前記他方の電極群では前記1ピッチが移動方向に繰り返されることにより、前記電極と隙間とが形成されているものが好ましい。
さらには、前記一方の電極群に形成された電極の長さ寸法(L1)と、前記他方の電極群に形成された電極の長さ寸法(a1,a2)とが、異なる長さ寸法で形成されているものが好ましい。
本発明の静電吸引駆動装置は、電極の配置がいわゆる等ピッチ電極配線の駆動方式として構成することもできるし、あるいはいわゆる不等ピッチ電極配線の駆動方式とすることもできる。
また前記他方の電極群に設けられた前記第1組の移動方向の長さ寸法(a1+b1=T1)に前記第2組の移動方向の長さ寸法(a2+b2=T2)を加えた区間を1ピッチとしたときに、前記一方の電極群は前記1ピッチに相当する区間内にnヶ(ただし、nは0以外の偶数)の電極を有しており、且つ前記駆動信号供給手段の相数がn又はn/2とすることができる。
例えばn=8とすると、相数が8相の場合には微細な送り駆動とすることができ、相数が4相(n/2)の場合には粗い送り駆動とすることが可能となる。
前記駆動信号一回当たりの前記可動子の移動量が、前記一方の電極群に形成された電極の長さ寸法(L1)の整数倍である。
上記においては、前記一方の電極群が可動子側電極群であり、前記他方の電極群が固定子側電極群であるとすることができる。
本発明の静電吸引駆動装置では、小型でありながら大きな推進力を得ることができる。
また可動子に対する粗送り駆動と微細送り駆動とを有し、駆動方式を必要に応じて選択できるようにした静電吸引駆動装置を提供することができる。
また可動子に対する粗送り駆動と微細送り駆動とを有し、駆動方式を必要に応じて選択できるようにした静電吸引駆動装置を提供することができる。
また本発明では、可動子の送り速度を一定とすること、すなわち速度変動の幅を低く抑えることにより、等速性(移動速度の平滑性)を高めることができる。
図1は本発明の静電吸引駆動装置を示す分解斜視図、図2は固定子と可動子とが対向した状態を示しており、図1のII−II線における断面図である。図3は固定子の構造を部分的に示す平面図、図4は本発明の第1の実施の形態として静電吸引駆動装置の固定子側の電極と可動子側の電極との関係を示す平面図である。なお、以下においては図示Y1方向が移動方向、X方向が幅方向、Z方向が高さ方向である。
図1に示すように、本発明の静電吸引駆動装置10は、高さ方向の図示Z2側に設けられた固定子20と、図示Z1側に設けられた可動子30とを有している。
前記固定子20は、移動方向であるY方向に延設された平板状の部材であり、例えばシリコンなどの絶縁性の材料で形成されている。前記固定子20の図示Z1方向を向く対向面(固定子側対向面)20aの幅方向(X方向)の両端部には、移動方向(Y方向)に沿って互いに平行に延びる一対のV字形状の案内溝21,21が設けられている。前記案内溝21,21の表面は摩擦抵抗の小さな平滑面で形成されている。
一方、前記可動子30の移動(Y)方向の長さ寸法は、前記固定子20よりも短い寸法で形成されている。前記可動子30は導電材料で形成され、その下面には図示Z2方向を向く対向面(可動子側対向面)30aが形成されている。あるいは可動子30をシリコンなどの絶縁材料で形成し、その一方(Z2側)の面に導電性の平板など取り付けて対向面(可動子側対向面)30aとしたものであってもよい。
可動子30の前記対向面30a側の幅方向(X方向)の両端部には、図示Z2方向に凸状に突出するとともに移動方向(Y方向)に沿って互いに平行に延びる一対の案内凸部31,31が設けられている。案内凸部31,31の先端には、前記V字形状の案内溝21,21に対向する台形状の一対の対向部31a,31aが形成されている。なお、前記対向部31a,31aの表面も摩擦抵抗の小さな平滑面で形成されている。
図2に示すように、前記固定子20の対向面20aと可動子30の対向面30aを対向させると、前記案内凸部31,31の対向部31a,31aが前記案内溝21,21に嵌合的に挿入され、前記静電吸引駆動装置10が組み付けられる。この状態において前記可動子30に移動方向の力を与えると、前記可動子30をY方向(移動方向)に直線的に移動させることが可能とされている。すなわち、この実施の形態における前記案内溝21,21と前記案内凸部31,31とは、前記可動子30を移動方向に案内するガイド手段として機能している。
図1に示すように、前記固定子20の前記対向面20a上には複数の平板状の電極23からなる固定子側電極群が設けられている。
個々の電極23は、例えば銅などの導電性金属をZ方向に垂直にメッキ成長させることにより形成されている。前記電極23の向きは、幅広の電極面が前記移動(Y)方向に対して平行となるように、すなわち前記電極面が幅方向に対し垂直となるように形成されている。そして、このような複数の電極23が、前記移動方向および幅方向に沿って前記対向面20a上に等間隔で規則正しく整列されている。
図3に示す実施の形態では、X方向(幅方向)に6列形成された電極23が、Y方向(移動方向)に所定の間隔を開けてn行形成されている。すなわち、n行6列からなる固定子側電極群が形成されている。なお、前記固定子側電極群の並びは、前記のようなn行6列に限られるものではなく、これよりも多い配列でもよいし、少ない配列でもよい。
また前記固定子20の対向面20a、即ち前記電極23の基部には図示X方向に延びる複数の導電部24がY方向にn行形成されており、各導電部24は一行ごとに6ヶ(6列)の電極23がすべて同じ電位となるように導通接続されている。ただし、移動方向(Y)方向に隣り合う導電部24と導電部24との間は電気的に絶縁された状態にある。そして、前記各導電部24ごとに固定子20の外部に引き出されており、外部に設けられた図示しない駆動信号供給手段から各導電部24ごとに所定の駆動信号が与えられるようになっている。
なお、図3および図4に示す第1の実施の形態では、各導電部24ごと、すなわちY方向に並ぶ各行ごとにそれぞれA相電極、B相電極、C相電極、D相電極、E相電極、F相電極およびG相電極の7相からなる電極に駆動信号が与えられる7相駆動方式の静電吸引駆動装置10Aである。
一方、図1に示すように、前記可動子30側の対向面(可動子電極面)30a上にも複数の平板状の電極33からなる可動子側電極群が形成されている。前記電極33は、上記固定子20の場合同様に、銅などの導電性金属をZ方向に垂直にメッキ成長させることにより形成されており、幅広の電極面を移動(Y)方向に平行とした状態で、前記移動方向および幅方向に沿って所定の間隔で規則正しく整列されている。なお、図1に示す本実施の形態では、電極33が可動子30の対向面30a上に7行5列で形成されている。
そして、図2および図4に示すように、幅方向に隣り合う固定子20側の電極23と電極23との間に前記可動子30側の電極33が挿入すると、前記固定子20側の電極23の電極面と前記可動子30側の電極33の電極面とが互いに幅(X)方向を向いて対向するように配置される。
図4に示す第1の実施の形態では、前記固定子20側の電極23の幅方向の電極間隔W1は前記可動子30側の電極33の幅方向の厚さ寸法t1よりも広く形成され、同様に前記可動子30側の電極33の幅方向の電極間隔W2は前記固定子20側の電極23の幅方向の厚さ寸法t2よりも広く形成されている。
また第1の実施の形態に示す前記固定子20側では、前記電極23の移動方向の長さ寸法と、前記電極23と電極23との間に形成される隙間34の移動方向の長さ寸法とが共に等しい長さ寸法L1で形成されている。
一方、前記可動子30側では第1組を形成する電極33と隙間34、および第2組を形成する電極33と隙間34とが設けられている。前記第1組の移動方向の長さ寸法は電極33がa1および隙間34がb1に設定されており、前記第2組の移動方向の長さ寸法は電極33がa2および隙間34がb2に設定されている。よって、電極33に隙間34を加えた前記第1組の移動方向の全長T1はT1=a1+b1であり、同じく前記第2組の移動方向の全長T2はT2=a2+b2である。
そして、前記第1組の移動方向の全長T1に前記第2組の移動方向の全長T2を加えた長さ寸法T(=T1+T2)が、この実施の形態における1ピッチ(1周期分のピッチ)とされており、この1ピッチ内に前記A相電極ないしG相電極からなる7相の電極が配置されている。
また第1の実施の形態では、前記第1組の移動方向の全長T1と前記第2組の移動方向の全長T2とは同じ長さ寸法で形成されている(T1=T2)。また前記第1組の電極33の長さ寸法a1と第2組の電極33の長さ寸法a2とは互いに等しい長さ寸法で形成されており(a1=a2)、且つ前記第1組の隙間34の長さ寸法b1と第2組の隙間34の長さ寸法b2とは互いに等しい長さ寸法で形成されており(b1=b2)。ただし、第1組と第2組のいずれにおいても、前記電極33と隙間34とは異なる長さ寸法で形成されている(a1(=a2)≠b1(=b2))。
なお、上記のように前記第1組の全長T1と前記第2組の全長T2とが同じ長さ寸法に形成されている場合、すなわち移動方向に隣り合う組どうしの全長が互いに等しい長さ寸法に形成されている場合を等ピッチ電極配置の駆動方式と称する。
よって、上記図4に第1の実施の形態として示される静電吸引駆動装置10Aは、等ピッチ7相駆動方式の静電吸引駆動装置である。
さらに、図2に示すように前記固定子20側の電極23および可動子30側の電極33のZ方向の高さ寸法は、前記固定子20と可動子30とが組み付けられた状態において、前記電極23および電極33の先端が、前記対向面20aおよび対向面30aの表面に当接しない程度に設定されている。
図2および図4に示す状態では、固定子20側の電極23の電極面と可動子30側の電極33の電極面とが互いに平行な状態で対向配置されている。このため、前記電極23と電極33との間に電位差を与えると、前記電極23の電極面と電極33の電極面とが対向し合うそれぞれの部分にコンデンサが形成される。
そして、本実施の形態に示す静電吸引駆動装置では、固定子20側の複数の電極23と可動子30側の複数の電極33とを三次元的に対向配置させることにより、コンデンサを形成する電極(電極23と電極33)間の対向面積を従来以上に拡大することができる。よって、後述するように前記電極間に大きな静電吸引力を発生させることができ、可動子30を大きな推進力で駆動することが可能となっている。
図5は、第1の実施の形態の静電吸引駆動装置に与えられる駆動信号の一例を示すタイミングチャート図、図6は第1の実施の形態の静電吸引駆動装置における可動子の動作を図5の各ステップごとに示す平面図、図7は静電吸引駆動装置の一般的な基本的動作の説明するものであり、Aは可動子のステップごとの動作を示す平面図、Bはステップに対する可動子の中心速度の変化を示す図、Cは各ステップごとの駆動信号を示すタイミングチャートである。また図8は第1の実施の形態に示される静電吸引駆動装置10Aの基本的動作の説明するためのものであり、Aは可動子のステップごとの動作を示す平面図、Bはステップに対する可動子の中心速度の変化を示す図である。なお、図6、図7A,図8Aでは可動子30側を幅方向(X方向)の両側から挟むように対向配置される固定子20の一方を省略して示している。また可動子側電極群を構成するすべての電極33は電気的に接続されているが、説明の都合上図示Y2側から可動子30側の電極33a,電極33bとして説明する。また各ステップの順番は、ST1のようにSTの後に番号を付して説明する。なお、A相電極ないしG相電極を形成する固定子20側の電極23を符号AないしGで示している。
前記固定子20側の電極23で形成されるA相電極ないしG相電極の7相の電極には、図示しない駆動信号供給手段から図5に示すような所定の駆動信号が与えられる。すなわち、ST1ではB相電極、E相電極及びF相電極に電圧が印加され、ST2ではB相電極、C相電極及びF相電極に電圧が印加され、ST3ではC相電極、F相電極及びG相電極に電圧が印加され、ST4ではC相電極、D相電極及びG相電極に電圧が印加され、ST5ではA相電極、D相電極及びG相電極に電圧が印加され、ST6ではA相電極、D相電極及びE相電極に電圧が印加され、ST7ではA相電極、B相電極及びE相電極に電圧が印加される。そして、これらの各ステップSTは、ST1→ST2→ST3→ST4→ST5→ST6→ST7→ST1→ST2・・・の順番で繰り返される(Y1方向に移動する場合)。
前記静電吸引駆動装置10Aが、例えば図4および図6のPO1に示すような初期状態、すなわち可動子30側の一方の電極33aの側面と、G相電極のY1側の右半面、A相電極の全面およびB相電極のY2側の左半面とが対向し、且つ可動子30側の他方の電極33bの側面と、D相電極およびF相電極の全面とが対向する状態にあったとする。
この初期状態PO1において、上記ST1に示す駆動信号を前記A相電極ないしG相電極に与えると、可動子30側の電極33aとB相電極との間に静電吸引力(クーロン力)が作用し、且つ可動子30側の他方の電極33bとE相電極およびF相電極との間にも静電吸引力(クーロン力)が作用するため、前記静電吸引力により可動子30が全体的にY1方向に移動距離L1だけ移動させられる。このとき可動子30は最も安定する状態、すなわち前記可動子30側の電極33aの側面と、固定子側20のA相電極およびB相電極の全面とが対向し、且つ可動子30側の他方の電極33bの側面と、固定子20側のD相電極のY1側の右半面、E相電極の全面およびF相電極のY2側の左半面とが対向するPO2の状態に設定させられる。
同様に、前記PO2の状態の静電吸引駆動装置10Aに対し、図示しない駆動信号供給手段から上記ST2に示す駆動信号を与えると、さらに可動子30の電極33a,33bはY1方向に移動距離L1だけ移動させられたPO3に示す状態に設定され、さらにST3→ST4→ST5→ST6と駆動信号を続けて与えると、前記可動子30は駆動信号一回当たりY1方向に移動距離L1(固定子側の電極23の長さ寸法と同寸法)単位で移動させられ、それぞれPO4→PO5→PO6→PO7で示す各状態に設定させられる。そして、前記PO7の状態の静電吸引駆動装置10Aに対し、上記ST7に示す駆動信号を与えると、可動子30の電極33a,33bを前記初期状態PO1と同じ状態であるPO1’の状態に設定することができる。
以上のように、図5に示すST1からST7に従う駆動信号を、固定子20側の電極23により構成されたA相電極ないしG相電極の7つの電極相に順次与えることにより、可動子30を前記1ピッチに相当する長さ寸法T(=T1+T2)だけY1方向に移動させることができる。そして、前記ST1からST7までの一連の動作を順次繰り返すことにより、可動子30を進行方向(Y1方向)に順次移動させることが可能となる。
また同様の原理から、例えばST7→ST6→ST5→ST4→ST3→ST2→ST1→ST7→ST6・・・というように、前記一連の動作を前記とは逆の順番で行うことにより、前記可動子30を進行方向(Y1方向)とは逆方向(Y2方向)に順次移動させることができる。
上記においては、図5に示すように、各ステップにおいて電圧を印加するごとに可動子30側を除電すること、すなわち各ステップとステップとの間に可動子30側を除電することが好ましい。すなわち、固定子20側の電極23にHレベルの電圧を与えると、固定子20側の電極23に正電荷が発生するため、可動子30側の電極33に負電荷が誘導されることにより、前記固定子20側の電極23と可動子30側の電極33との間にコンデンサが形成されるが、固定子20側の電極23をLレベルとしただけでは、可動子30側の電極33は前記負電荷が蓄積された帯電状態が維持されてしまう。このため、可動子30側を除電しない場合には、可動子30の動きが鈍くなり、移動速度や応答速度が低下しやすいという弊害が生じうる。
この問題を解決するには、可動子30を各ステップごとにグランド電位に接地することにより、帯電する電荷をグランド側(接地電位)に放出されるようにすればよい。ただし、常に可動子30を接地した状態にしておくと、可動子側電極33に必要な負電荷が誘導され難くなり、前記静電吸引力の低下を招くおそれがある。
そこで、図5に示すような除電信号を用いて、各ステップにおいては駆動信号の電圧がHレベルからLレベルに切り換わったタイミングで可動子30を除電することが好ましい。なお、前記除電の方法としては、トランジスタなどのスイッチング素子を用いて行うことができる。また可動子30に帯電している電荷は所定の大きさの抵抗を介してグランド側(接地電位)に逃がしてやればよい。なお、前記抵抗値は、前記コンデンサの容量と抵抗値の積からなる時定数RCと前記Lレベルの時間との関係から決定されるが、Lレベルの時間内に前記帯電している電荷が十分に放出させることが可能な値とすることが好ましい。
ここで図7を参照しつつ静電吸引駆動装置10の一般的な基本動作を説明する。
例えばPO1の状態として、図7Aに示すように、一つの可動子30側の電極33に対し、2つの固定子20側の電極23としてB相電極とC相電極が対向しており、このPO1の状態から図7Cに示すようにST−aとしてC相電極とその下流側(Y1側)に位置するD相電極に駆動信号を印加すると、前記可動子30側の電極33は、静電吸引力に引き付けられ、PO2の状態、すなわち前記駆動信号が印加された2つの固定子20側のC相電極とD相電極と対向する位置まで移動させることができる。
例えばPO1の状態として、図7Aに示すように、一つの可動子30側の電極33に対し、2つの固定子20側の電極23としてB相電極とC相電極が対向しており、このPO1の状態から図7Cに示すようにST−aとしてC相電極とその下流側(Y1側)に位置するD相電極に駆動信号を印加すると、前記可動子30側の電極33は、静電吸引力に引き付けられ、PO2の状態、すなわち前記駆動信号が印加された2つの固定子20側のC相電極とD相電極と対向する位置まで移動させることができる。
同様に、PO2の状態において、ST−bとしてD相電極とE相電極に駆動信号を印加すると、前記可動子30側の電極33は、PO3の状態、すなわち前記駆動信号が印加された2つの固定子20側のD相電極とE相電極と対向する位置まで移動させることができる。
このとき、図7Bに示すように可動子30側の電極33の中心速度をvGとすると、PO1の状態からPO2の状態に至る間およびPO2の状態からPO3の状態に至る間では前記中心速度vGは2次関数的な挙動を示す。このため、上記のように、単に駆動信号を与える電極23を2づつ順番に変更するだけの一般的な駆動方式では可動子30の速度変動の幅が大きくなり移動速度を一定に維持することが難しい。
すなわち、可動子30側の電極33が位置P1から位置P2に至る間、および位置P3から位置P4に至る間では中心速度vGは増加する(加速度が正)が、位置P2から位置P3に至る間、および位置P4から位置P5に至る間では中心速度vGは減少(加速度が負)する。しかも、位置P3,P5では中心速度vGが共に0となるため、いわゆるデットポイントPdが発生し、移動中の前記可動子30には急激な発進と停止を繰り返すノッキング現象が生じる。
しかし、図8A,Bに示すように、上記第1の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Aの駆動方式では、まずPO1の状態からST1においてB相電極、E相電極およびF相電極に駆動信号を与えると、B相電極のみに吸引される一方の電極33aにはST1の段の左欄に示すような中心速度v1aが発生し、E相電極およびF相電極に吸引される他方の電極33bには右欄に示すような中心速度v1bを発生する。前記中心速度v1aとv1bとは、それぞれ別個独立に駆動信号を与えた場合に、一方の電極33aと他方の電極33bにそれぞれ発生する速度を示している。よって、ST1において可動子30全体に発生する中心速度v1は、一方の電極33aと他方の電極33bに発生する中心速度v1a,v1bを重ね合わせたv1=v1a+v1bとすることができる。なお、中心速度v1bは2つの電極の静電吸引力で引かれ、中心速度v1aは1つの電極の静電吸引力で引かれるため、中心速度の大きさ(振幅量)の関係はv1a<v1bである。
同様に、PO2の状態においてST2として、B相電極、C相電極およびF相電極に駆動信号を与えると、B相電極およびC相電極に吸引される一方の電極33aにはST2の段の左欄に示すような中心速度v2aが発生し、F相電極に吸引される他方の電極33bには右欄に示すような中心速度v2bが発生するため、ST2(換算後の位置P2と位置P4との間)において可動子30全体に発生する中心速度v2はv2=v2a+v2bとなる。
以下同様に、ST3〜ST7で発生する中心速度をそれぞれv3,v4,v5,v6およびv7とし、これらを各ステップごとに換算して図示すると、可動子30全体の移動速度は図8Bの最下段に示すΣV1となる。
なお、換算の方法は、例えば前記中心速度v1aは位置P1と位置P3との間で発生し、前記中心速度v1bは位置P1’と位置P3’との間で発生するものであるが、これらは中心速度v1(=v1a+v1b)として可動子30全体に発生するので、このときの中心速度v1は前記位置P1と位置P3に発生するものとして換算する。以下同様に、中心速度v2は位置P2と位置P4の間、中心速度v3は位置P3と位置P5の間・・・のように換算する。
そして、前記図8Bの最下段のΣV1に示すように、各中心速度v1〜v7は部分的に重なように表され、可動子30全体の平均速度は実線で示すv1(ave)となるため、平均速度v1(ave)を平滑化することができる。しかも、デットポイントPdを無くすことができるため、移動中の可動子30に対するノッキング現象を発生させることない。すなわち、先のステップで発生した中心速度が0となる前に、次のステップにおいて新たな中心速度を発生させることができ、つまり先のステップで発生した静電吸引力が最大となって可動子30を停止させる力と化する前に、次のステップにおいて新たに発生した静電吸引力が可動子30を移動方向に引っ張ることができるため、可動子30をスムーズに移動させることができる。
また各中心速度v1〜v7は、一方の電極33aの発生した中心速度と、他方の電極33bに発生した中心速度とを加算したものとなるため、その大きさ(振幅量)を大きくすることができる。すなわち、可動子30を吸引する力は、一方の電極33aと固定子20側の電極23に発生する静電吸引力と、他方の電極33bの固定子20側の電極23に発生する静電吸引力の合力となるため、より大きな静電吸引力で、可動子30を移動方向に引っ張ることができる。
図9は本発明の第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置の固定子側の電極と可動子側の電極と関係を示す平面図、図10は第2の実施の形態の静電吸引駆動装置に与えられる駆動信号の一例を示すタイミングチャート図、図11は第2の実施の形態に示される静電吸引駆動装置10Bの基本的動作の説明するためのものであり、Aは可動子のステップごとの動作を示す平面図、Bはステップに対する可動子の中心速度の変化を示す図である。
第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Bは、上記第1の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Aとほぼ同じ構成である。したがって、以下には主として静電吸引駆動装置10Bが、静電吸引駆動装置10Aに比較して異なる点について説明する。
図9に示すように、第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Bは、固定子20側の電極23が移動距離L1の長さ寸法と隙間寸法で形成されている点は上記第1の実施の形態同様であるが、固定子20側がA相からH相までの8相の駆動電極で形成された8相駆動方式である点で相違している。
またこの静電吸引駆動装置10Bでは、可動子30側の電極33のうち、第1組の電極33aの長さ寸法a1と第2組を形成する電極33bの長さ寸法a2とは互いに等しい長さ寸法で形成されている(a1=a2)が、前記第1組を形成する隙間34aの長さ寸法b1と第2組を形成する隙間34bの長さ寸法b2とは異なっており(b1≠b2)、第2組を形成する隙間34bの方が第1組を形成する隙間34aよりも長めに形成されている(b1<b2)点での相違している。なお、第2の実施の形態では、前記第1組を形成する隙間34aの長さ寸法b1との寸法差|b1−b2|は、|b1−b2|=2・L1に設定されている。
このため、前記第1組の全長T1(=a1+b1)と前記第2組の全長T2
(=a2+b2)との関係もT1<T2に設定されており、このように前記第1組の全長T1と前記第2組の全長T2とが異なる長さ寸法で形成されている場合、つまり移動方向に隣り合う組どうしの全長が互いに異なる長さ寸法に形成されている場合を不等ピッチ電極配置の駆動方式と称する。すなわち、上記図9に第2の実施の形態として示される静電吸引駆動装置10Bは、不等ピッチ8相駆動方式の静電吸引駆動装置である。
(=a2+b2)との関係もT1<T2に設定されており、このように前記第1組の全長T1と前記第2組の全長T2とが異なる長さ寸法で形成されている場合、つまり移動方向に隣り合う組どうしの全長が互いに異なる長さ寸法に形成されている場合を不等ピッチ電極配置の駆動方式と称する。すなわち、上記図9に第2の実施の形態として示される静電吸引駆動装置10Bは、不等ピッチ8相駆動方式の静電吸引駆動装置である。
この静電吸引駆動装置10Bの前記固定子20側の電極23で形成されるA相電極ないしH相電極の8相の電極には、図10に示すような所定の駆動信号が与えられる。すなわち、可動子30がY1方向に移動する場合には、ST1ではB相電極、E相電極及びF相電極に電圧が印加され、ST2ではB相電極、C相電極及びF相電極に電圧が印加され、ST3ではC相電極、F相電極及びG相電極に電圧が印加され、ST4ではC相電極、D相電極及びG相電極に電圧が印加され、ST5ではD相電極、G相電極及びH相電極に電圧が印加され、ST6ではD相電極、E相電極及びH相電極に電圧が印加され、ST7ではA相電極、E相電極及びH相電極に電圧が印加され、ST8ではA相電極、E相電極及びF相電極に電圧が印加される。そして、これらの各ステップSTを、ST1→ST2→ST3→ST4→ST5→ST6→ST7→ST8→ST1→ST2・・・の順番で繰り返すと、図11Aに示すように可動子30をPO1→PO2→PO3→PO4→PO5→PO6→PO7→・・・のようにY1方向に順送り(移動)させることができる。
このとき、図11Bに示すように、ST1ではB相電極により静電吸引力される一方の電極33aにはST1の段の左欄に示すような中心速度v1aが発生し、E相電極およびF相電極に吸引される他方の電極33bには右欄に示すような中心速度v1bが発生する。よって、ST1において可動子30全体に発生する中心速度v1は、v1=v1a+v1bとなる。前記中心速度v1を前記位置P1と位置P3との間に発生する中心速度v1として換算して示すと、図11B最下段のΣV2の欄に点線で示すようなv1となる。
同様に、PO2の状態においてST2として、B相電極、C相電極およびF相電極に駆動信号を与えると、B相電極およびC相電極に吸引される一方の電極33aには図11BのST2の段に示すような中心速度v2aが発生し、F相電極に吸引される他方の電極33bには中心速度v2bが発生する。よって、ST2(換算後の位置P2と位置P4との間)において可動子30全体に発生する中心速度v2(=v2a+v2b)は、図11B最下段のΣV2の欄に中心速度v1に続いて示されるようなv2となる。
以下同様に、ST3〜ST8で発生する中心速度をそれぞれv3,v4,v5,v6,v7およびv8とすると、可動子30全体に発生する中心速度は各ステップごとに図11Bの最下段のΣV2に示すものとして表わすことができる。そして、上記第1の実施の形態同様に、各中心速度v1〜v8は部分的に重なるため、可動子30全体の平均速度v2(ave)を前記ΣV2の実線で示すように平滑化することができる。しかも、この場合にもデットポイントPdが形成されず、よって移動中の可動子30に対するノッキング現象の発生を防止することが可能である。
図12は本発明の第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置の固定子側の電極と可動子側の電極と関係を示す平面図、図13は第3の実施の形態の静電吸引駆動装置10Cに与えられる駆動信号の一例を示すタイミングチャート図、図14は第3の実施の形態に示される静電吸引駆動装置10Cの基本的動作の説明するためのものであり、Aは可動子のステップごとの動作を示す平面図、Bはステップに対する可動子の中心速度の変化を示す図である。
第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cは、上記第1及び第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10A,10Bとほぼ同じ構成である。したがって、以下には主として静電吸引駆動装置10Cが、静電吸引駆動装置10A,10Bに比較して異なる点について説明する。
まず、この静電吸引駆動装置10Cの可動子30側の電極33の構成は、上記第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Bと同様であり、いわゆる不等ピッチ電極配置の駆動方式である。
一方、固定子20側の電極23の構成は、図12に示すように前記電極23の長さ寸法と隙間寸法が前記移動距離L1で形成されている点は上記第1および第2の実施の形態同様であるが、固定子20側がA相、B相、C相およびD相電極の4相で形成された4相駆動方式である点で相違している。
すなわち、上記図12に第3の実施の形態として示される静電吸引駆動装置10Cは、不等ピッチ4相駆動方式である。
第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cの固定子20側の電極23、すなわちA相電極ないしD相電極からなる4相の電極には、図13に示すような所定の駆動信号が与えられる。
すなわち、可動子30がY1方向に移動する場合には、ST1ではA相電極及びB相電極に電圧が印加され、ST2ではB相電極及びC相電極に電圧が印加され、ST3ではC相電極及びD相電極に電圧が印加され、ST4ではD相電極及びA相電極に電圧が印加される。そして、これらの各ステップSTを、ST1→ST2→ST3→ST4→ST1→ST2・・・の順番で繰り返すと、図14Aに示すように、可動子30をPO1→PO2→PO3→PO4→・・・のようにY1方向に順送り(移動)させることができる。
このとき、図14Bに示すように、ST1では、位置P2に設けられたB相電極と位置P4に設けられたC相電極とによって一方の電極33aにST1の段の左欄に示すのような中心速度v1aが発生する。同時に、位置P2’に設けられたA相電極と位置P4’に設けられたB相電極とによって他方の電極33bにはST1の段の右欄に示すような中心速度v1bが発生する。よって、ST1において可動子30全体に発生する中心速度v1は、上記同様にv1=v1a+v1bとなる。そして、これを前記位置P1ないし位置4間に発生する中心速度v1として換算して示すと、図11Bの最下段のΣV3に点線で示すようなv1となる。
同様に、PO2の状態においてST2として、B相電極およびC相電極に駆動信号を与えると、図11BのST2の段の左欄に示すようなに一方の電極33aには中心速度v2aが発生し、他方の電極33bには中心速度v2bが発生する。よって、ST2(換算後の位置P3と位置P5との間)において可動子30全体に発生する中心速度v2(=v2a+v2b)は、図11Bの最下段のΣV3に点線で示すようなv2となる。
以下同様に、ST3およびST4で発生する中心速度をそれぞれv3およびv4とすると、可動子30全体に発生する中心速度は各ステップごとにΣV3に示すものとして表わすことができる。そして、上記第1、第2の実施の形態同様に、可動子30全体の平均速度v3(ave)は、ΣV3に実線で示すものとなる。
第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cの平均速度v3(ave)は、前記図7に示す一般的な駆動方式に比較して前記可動子30の速度変動の幅を小さく抑えることが可能であるが、上記第1及び第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10A,10Bの平均速度v1(ave)やv2(ave)に比較した場合には速度変動の幅が大きいものとなる。
しかしながら、上記第1及び第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10A,10Bでは1ステップ(駆動信号1回当たり)当たりL1に相当する距離しか移動させることができなかったが、この第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cでは、1ステップ当たり(駆動信号1回当たり)2倍の移動距離に相当する距離2・L1(固定子側の電極23の長さ寸法の整数倍)だけ移動させることが可能である。すなわち、第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cでは粗送り駆動に適しており、第1及び第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10A,10Bでは静電吸引駆動装置10B,10Cは微細な送り駆動に適している。
また第2の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Bが必要とする電極の相数は8相であるのに対して、第3の実施の形態に示す静電吸引駆動装置10Cではその半分の4相とすることができる。したがって、駆動信号供給手段の構成や上記固定子20側に形成される配線、例えば各導電部24と駆動信号供給手段の出力とを結ぶ配線パターンを容易化することができる。
しかも、上記第1および第2の実施の形態同様にデットポイントPdを有しないため、移動中の可動子30に対するノッキング現象の発生を防止することができる。
したがって、上記第第2の実施の形態に示した8相駆動と、第3の実施の形態に示した駆動の技術を用いると、固定子20側の各電極23に与える駆動信号の組み合わせを変更するだけで、微細送りと粗送り駆動とを容易に選択的して駆動させることができる。
このため、例えば可動子30上にレンズを搭載したレンズ送り機構を構成し、前記レンズを光軸方向に移動させることにより、オートフォーカス制御を行わせるカメラ装置として応用することが考えられる。この場合、レンズを待機位置から始動させる際には粗送り駆動とすることにより、移動速度を高めて移動に要する時間を短縮することができる。また目標位置(焦点位置)に接近したときには微細送り駆動に切り換えることにより、移動速度を落として前記目標位置に正確に停止させることにより、精度の高いフォーカシングを行うことが可能となる。
しかも、上記本発明の静電吸引駆動装置10では、可動子の移動速度を可変調整することが可能となるため、フォーカシングに要する時間が短いカメラ装置を提供することができるようになる。
なお、上記各実施の形態では、固定子20側に電極と隙間の長さ寸法が共に等して長さ寸法L1からなる固定子側電極群が設けられ、可動子3側に前記長さ寸法L1よりも長い可動子33と隙間34とを有する可動子電極群が形成された関係のもので説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、前記の関係が逆であってもよい。
10,10A,10B,10C 静電吸引駆動装置
20 固定子
20a 対向面
21 案内溝(ガイド手段)
23 固定子側の電極(A〜H相電極)
24 導電部
30 可動子
30a 対向面(可動子対向面)
31 案内凸部(ガイド手段)
33 可動子側の電極
33a 可動子側の電極(第1組)
33b 可動子側の電極(第2組)
34 隙間
a1,a2 可動子側の電極の長さ寸法
b1,b2 可動子側の隙間の長さ寸法
L1 固定子側の電極と隙間の長さ寸法(移動距離)
Pd デットポイント
T1 第1組の長さ寸法
T2 第2組の長さ寸法
T 1ピッチ(1周期分のピッチ)の長さ寸法
vG,v1,v2,v3,v4,v5,v6,v7 中心速度
v1(ave) ,v2(ave),v3(ave) 可動子全体の平均速度
20 固定子
20a 対向面
21 案内溝(ガイド手段)
23 固定子側の電極(A〜H相電極)
24 導電部
30 可動子
30a 対向面(可動子対向面)
31 案内凸部(ガイド手段)
33 可動子側の電極
33a 可動子側の電極(第1組)
33b 可動子側の電極(第2組)
34 隙間
a1,a2 可動子側の電極の長さ寸法
b1,b2 可動子側の隙間の長さ寸法
L1 固定子側の電極と隙間の長さ寸法(移動距離)
Pd デットポイント
T1 第1組の長さ寸法
T2 第2組の長さ寸法
T 1ピッチ(1周期分のピッチ)の長さ寸法
vG,v1,v2,v3,v4,v5,v6,v7 中心速度
v1(ave) ,v2(ave),v3(ave) 可動子全体の平均速度
Claims (8)
- 移動方向および幅方向に配列された複数の電極からなる固定子側電極群を有する固定子と、同じく移動方向および幅方向に配列されるとともに前記固定子側電極群を形成する個々の電極に対向する複数の電極からなる可動子側電極群を有するとともに移動自在に設けられた可動子と、前記可動子を前記移動方向に案内するガイド手段と、所定の相数からなる駆動信号を生成し且つ前記固定子側電極群と可動子側電極群との間に与える駆動信号供給手段と、を備えた静電吸引駆動装置であって、
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法と前記第2組の移動方向の長さ寸法とが、互いに等しい長さ寸法で形成されていることを特徴とする静電吸引駆動装置。 - 前記第1組と前記第2組との間では、電極同士の長さ寸法および隙間同士の長さ寸法が互いに等しく、且つ前記電極と隙間とは異なる長さ寸法で形成されている請求項1記載の静電吸引駆動装置。
- 複数の電極からなる固定子側電極群を備えた固定子と、前記固定子側電極を形成する個々の電極に対し前記移動方向と直交する幅方向の両面で対向する可動子側電極群を備えるとともに前記移動方向に移動可能な可動子と、前記可動子を前記移動方向に案内するガイド手段と、所定の相極数からなる駆動信号を生成し且つ前記固定子側電極群と可動子側電極群との間に与える駆動信号供給手段と、を備えた静電吸引駆動装置であって、
前記固定子側電極群と可動子側電極群のうち、一方の電極群は、電極と隙間とが前記移動方向に沿って互いに等しい長さ寸法で交互に配列され、
他方の電極群は、第1組を形成する電極と隙間および第2組を形成する電極と隙間とを有するとともに、前記第1組と第2組とが移動方向に沿って交互に配列されており、
前記第1組の移動方向の長さ寸法と前記第2組の移動方向の長さ寸法とが、互いに異なる長さ寸法で形成されていることを特徴とする静電吸引駆動装置。 - 前記第1組の移動方向の長さ寸法に前記第2組の移動方向の長さ寸法を加えた区間を1ピッチとしたときに、前記他方の電極群では前記1ピッチが移動方向に繰り返されることにより、前記電極と隙間とが形成されている請求項3記載の静電吸引駆動装置。
- 前記一方の電極群に形成された電極の長さ寸法と、前記他方の電極群に形成された電極の長さ寸法とが、異なる長さ寸法で形成されている請求項1ないし4のいずれか記載の静電吸引駆動装置。
- 前記他方の電極群に設けられた前記第1組の移動方向の長さ寸法に前記第2組の移動方向の長さ寸法を加えた区間を1ピッチとしたときに、前記一方の電極群は前記1ピッチに相当する区間内にnヶ(ただし、nは0以外の偶数)の電極を有しており、且つ前記駆動信号供給手段の相数がn又はn/2とされている請求項3ないし6のいずれか記載の静電吸引駆動装置。
- 前記駆動信号一回当たりの前記可動子の移動量が、前記一方の電極群に形成された電極の長さ寸法の整数倍である請求項1または3記載の静電吸引駆動装置。
- 前記一方の電極群が可動子側電極群であり、前記他方の電極群が固定子側電極群である請求項1ないし7のいずれか記載の静電吸引駆動装置。
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