JP2006183305A - 釘穴止水性能を有する建築用留め具 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な方法・手段によって、透湿防水紙の抱える釘穴止水性能に関する問題点を解決すること。
【解決手段】例えば、釘の頭部周辺、釘頭部から釘胴部の上部にある螺旋状凹凸部(すべり止めのすじ)までの部分、又は、タッカーの少なくとも針(芯)内側部分(透湿防水紙と接する部分)のように、少なくとも透湿防水紙との接貫通部周辺が膨潤性を有する物質で被覆されていることを特徴とする、留め具が金物、釘、又はタッカー針等の建築用留め具。
【選択図】 図5

Description

本発明は、釘穴止水性能を有する、釘及びタッカー針等の建築用留め具に関する。
現在の気密性及び断熱性の向上した住宅においては、室内の暖房等の結果生じる湿気が壁内部に滲入して断熱材に吸着・吸収され、水分が壁内で結露し、その結果、断熱性能が低下し、さらには壁内部に多くの結露を発生させることがある。
このような問題を解決するために、軽量で施工性に優れた透湿防水紙(シート)が開発されている。この透湿防水紙は繊維で補強された微細孔を有しており、外壁から滲入する雨水を撥水性の表面で防ぎ、且つ、壁内部に溜まる湿気を水蒸気として屋外に放出する機能を有する。
しかしながら、このような透湿防水紙には、下地防水用として以前に使用されていたアスファルトルーフィング又はタールフェルトと呼ばれるアスファルト系の防水紙が有するような釘穴止水性能が無い為に、外壁材を固定する金物、胴縁を柱や間柱に止めつける釘、又はタッカーの針等が透湿防水紙を貫通する部分では雨水が浸入し、更に困ったことには、通気孔、釘、及びタッカーからの毛管現象によって、合板面等に直接貼り付けられた透湿防水紙を介して外部の雨水が壁内部に引き込まれ、その結果、木材を腐朽させる原因ともなっている。
このような透湿防水紙の抱える釘穴止水性能に関する問題点を解決するために、これまでにも様々な改良が試みられてきた。例えば、不織布及びフィルムを有し、釘孔止水性を有する透湿防水性シート(特許文献1)、吸水ポリマー層を含む自己修復防水シート(特許文献2)等が開発されてきた。更に、雨水の滲入を防ぐこと等を目的とする防水シート施工用の座金(特許文献3、特許文献4)等も考案されている。
特開2000−167956号公報 特開2004−278264号公報 特開2001−140844号公報 特開2001−140855号公報
本発明者は、簡便な方法・手段によって、釘穴止水性能に関して透湿防水紙の抱える上記の問題点を解決することを課題とし、研究した結果、釘などの留め具の少なくとも一部を膨潤性を有する材料を被覆することによって、この課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の核態様に係るものである。
1.少なくとも透湿防水紙との貫通部周辺が膨潤性を有する物質で被覆されていることを特徴とする建築用留め具。
2.更に、透湿防水紙との貫通部周辺より上部の少なくとも一部が膨潤性を有する物質で被覆されていることを特徴とする上記1記載の建築用留め具。
3.留め具が金物、釘、又はタッカー針である、上記1又は2記載の建築用留め具。
4.釘頭部から釘胴部の上部にある螺旋状凹凸部(すべり止めのすじ)までの部分が膨潤性を有する物質によって被覆されている釘である、上記3記載の建築用留め具。
5.膨潤性を有する物質が結束線を兼ねており、該結束線によって連結されている自動釘打機用釘である、上記3記載の建築用留め具。
6.少なくとも芯内側部分が膨潤性を有する物質によって被覆されていることを特徴とするタッカー針である、上記3記載の建築用留め具。
7.膨潤性を有する物質が架橋高分子である、上記1ないし6の何れか一項に記載の建築用留め具。
8.膨潤性を有する物質が、更に、防錆性も有していることを特徴とする、上記1ないし7の何れか一項に記載の建築用留め具。
本発明の建築用留め具は、少なくとも透湿防水紙との貫通部周辺が膨潤性を有する物質で被覆されていることによって、外壁材を固定する金物、胴縁を柱や間柱に止めつける釘、又はタッカー針等が透湿防水紙を貫通する部分において、この物質が雨水等の水分を吸収することによって膨潤して体積が増し、止水層を形成することによって、かかる貫通部分において透湿防水紙と留め具との隙間に形成されている僅かな空間(間隙)を密閉(遮断)してしまい、その結果、このような間隙を伝って外部の雨水等が壁内に浸入することを有効に防ぐことが出来る。
又、この物質が防錆性も有している場合には、該物質で被覆された部分の錆の進行を抑え、例えば、留め具の頭部が容易に錆ないことによって、接合する基材の保持力を長期間に亘って維持することが出来る。
本発明において、「建築用留め具」とは、外壁材を接合(固定)する金物、胴縁を柱や間柱に止めつける釘、又はタッカー針等、建築、特に木造物の建築において、特に透湿防水紙が使用されているような個所で、他の部材の固定のために用いられる建築用部材を意味する。このような建築用留め具には様々な構造・形状有する数多くの種類があるが、これらはいずれも当業者には周知である。尚、「透湿防水紙(通気防水紙)」とは、一般的に、外壁から滲入する雨水を撥水性の表面で防ぎ、且つ、壁内部に溜まる湿気を水蒸気として屋外に放出する機能を有する紙(シート)状の建築用部材を意味し、例えば、繊維で補強された微細孔を有しているが、特にこのような構造に限定されるものではなく、又、名称も上記のものに限定されるものではない。このような透湿防水紙は当業者には公知である。
又、「透湿防水紙との貫通部周辺」とは、本発明の留め具によって貫通された透湿防水紙の部分(破断部分、又は、貫通穴)の近傍に位置する留め具の部分であり、透湿防水紙の貫通部分と留め具との隙間に形成されている僅かな空間(間隙)の周辺部分でもある。従って、その位置は、留め具の種類・大きさ・構造及び透湿防水紙を介して留め具によって固定される相手の部材の種類・厚さ等によって変動するものである。
本発明の留め具においては、少なくとも、貫通部周辺が膨潤性を有する物質で被覆されている必要があるが、本発明の効果を一層顕著に発揮するには、更に、その上部の少なくとも一部、例えば、釘の頭部周辺、釘頭部から釘胴部の上部にある螺旋状凹凸部(すべり止めのすじ)までの部分、又は、タッカーの少なくとも針(芯)内側部分(透湿防水紙と接する部分)が膨潤性を有する物質によって被覆されていることが好ましい。
通常、留め具は膨潤性を有する物質で夫々個別に被覆されているが、例えば、自動釘打機用釘のように、一群の釘が結束線によって連結されているような場合には、この結束線自体を膨潤性を有する物質としたり、又は、該物質で被覆された結束線を使用することによって同様の効果を得ることが出来る。この場合に、夫々の留め具に対しても膨潤性を有する物質による上記のような被覆処理が施されていても良い。
「膨潤性を有する物質」とは、滲入した雨水等の水分を吸収して、その体積が増大する物質であり、その代表的な例は、イオン性高分子又は中性高分子のゲル状態となるような、ビニル系高分子及びセルロース誘導体等の各種の架橋高分子(三次元網目構造を有する)を挙げることが出来る。このような物質は当業者には公知であり、その中から適当なものを選択して使用することが出来る。
留め具及び膨潤性を有する物質の種類・大きさ及び数などの様々な条件に応じて、塗布、吹き付け、又は浸漬等の当業者に公知の任意の方法・手段によって、建築用留め具の上記のような適当な部分を該物質で被覆することが出来る。
更に、このような膨潤性を有する物質に防錆性を付与することによって、錆を防ぎ、接合する基材の保持力を長期間に亘って維持することが出来る。防錆性を付与する手段は任意であるが、例えば、鉛丹、亜酸化鉛、シアナミド鉛、及び鉛酸カルシウム等の鉛系顔料系、亜鉛黄(ジンククロメート)及び塩基性クロム酸鉛のようなクロム酸塩顔料、並びに、亜鉛末のような金属粉系顔料等の当業者に公知の錆止め顔料を膨潤性を有する物質に適当量で混入させたり、又はこれらの錆止め顔料を被覆した膨潤性を有する物質の上に更に塗布する等によって、容易に防錆性を付与することが出来る。
代表的な壁構造を具体例を図1に示し、その断面を図5に示す。従来の建築用留め具(釘及びタッカー針)の具体例を図2に示す。本発明の建築用留め具の具体例を図3及び図4に示す。尚、本発明の技術的範囲はこれに何等限定されるものではない。当業者であれば、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的特徴に基づき容易に想到することが出来る、各種の変形及び修飾態様も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の本発明の建築用留め具を使用することによって、木造住宅の耐久性を高めることが可能であり、外壁下地材の釘穴止水性を高め、通気防水紙の持つ長所を生かした壁体を構成することが可能となり、耐久性の高い木造住宅を提供することができる。同時に、屋根を構成するために必要な釘又は棟脱落予防金物の固定にも使用することが出来、高い耐蟻性や耐震性を備えた住宅を建設することが出来る。
代表的な壁構造の一具体例である。 従来の建築用留め具(釘及びタッカー針)の具体例を示す。 建築用留め具(釘及びタッカー針)の具体例であり、釘頭部から釘胴部の上部にある螺旋状凹凸部(すべり止めのすじ)までの部分が膨潤性を有する物質によって被覆されている。 建築用留め具の具体例であり、膨潤性を有する物質からなる結束線又は、該物質で被覆された結束線によって連結されている一群の自動釘打機用釘。 図1に示した壁構造の断面図である。
符号の説明
1 生活湿気:人体や燃焼器具・調理などで発生する生活湿気は、壁体を構成する素材やその下地材に吸収され、多くは壁内に蓄積される。高気密化した建物の多くは壁内に滲入した水分で内部の断熱材を湿潤させて断熱性能を低下させ、壁体内部結露を発生させて木材の腐朽や蟻害の原因となる。
2 内装下地ボード類:シックハウスなどを考慮して室内の湿度変化に応じて吸放湿性能をもつ素材を用いることが多くなっている。
3 防湿フィルム:近年は室内側壁面に防湿フィルムを貼り、生活湿気を滲入させない工夫が見られるが、それでもその隙間からの水分の滲入を防ぎ切れず、又、防湿フィルムは壁内部の水分を長く滞留させることになり、所謂「呼吸しない壁」を作ることとなり、木材の腐朽や蟻害はより深刻となった。
4 断熱材:グラスウールやロックウール等の綿状断熱マットの他に、発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレンなどの発泡プラスチックパネル、更に、近年は発泡ウレタンの現場吹き付けや、ガラス繊維やセルロースファイバー充填工法等、断熱材は多種多様である。
5 合板等:壁の外側に合板を施工することは、ツーバイフォー工法ばかりでなく、施工性の良さから、耐震性能の向上や外装工事の簡略化の目的でしばしば施工されるが、合板の透湿性能は弱く、通気防水紙の性能を大きく阻害している。
6 透湿防水紙:繊維を混入して補強した通気孔付ポリエチレンシート。
7 釘、タッカー:透湿防水紙には釘穴やタッカー芯の跡等の多くのキズが残る。
8 雨水の浸入:外壁からの雨漏りが屋根からの雨漏りよりも多いことは住宅性能保証機構の保険金支払い額として報告されている。外壁から滲入した雨水が毛管現象で防水紙と構造材の境に滲入してできる湿潤面。
9 胴縁、金物:木製胴縁または固定金物で、スペース厚は15〜18mm程度。
10 通気空間:(9)の空間を利用して壁内の湿気を外部に排出する通気層。
11 外装仕上げ材:下見板貼り、モルタル、サイディング等。
12 従来の釘。
13 従来のタッカー針。
14 本発明の釘表面に付いている螺旋状の凹凸面
15 釘の凹部分に塗布した膨潤性を有する物質(膨潤止水材(防錆素材)):雨水を吸水して膨潤して止水層を形成する。
16 タッカー針(芯)内側に塗布した膨潤性を有する物質(膨潤材(防錆素材)):雨水を吸水して膨潤して止水層を形成する。
17 膨潤性を有する物質(膨潤止水材(防錆素材))から成る結束線、又は該物質を塗布された結束線及び釘。
18 室内側胴縁:防湿フィルムを施工した場合でも壁や胴縁を固定する金物で透湿する。

Claims (8)

  1. 少なくとも透湿防水紙との貫通部周辺が膨潤性を有する物質で被覆されていることを特徴とする建築用留め具。
  2. 更に、透湿防水紙との貫通部周辺より上部の少なくとも一部が膨潤性を有する物質で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の建築用留め具。
  3. 留め具が金物、釘、又はタッカー針である、請求項1又は2記載の建築用留め具。
  4. 釘頭部から釘胴部の上部にある螺旋状凹凸部(すべり止めのすじ)までの部分が膨潤性を有する物質によって被覆されている釘である、請求項3記載の建築用留め具。
  5. 膨潤性を有する物質が結束線を兼ねており、該結束線によって連結されている自動釘打機用釘である、請求項3記載の建築用留め具。
  6. 少なくとも芯内側部分が膨潤性を有する物質によって被覆されていることを特徴とするタッカー針である、請求項3記載の建築用留め具。
  7. 膨潤性を有する物質が架橋高分子である、請求項1ないし6の何れか一項に記載の建築用留め具。
  8. 膨潤性を有する物質が、更に、防錆性も有していることを特徴とする、請求項1ないし7の何れか一項に記載の建築用留め具。
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