本発明は、1又は複数の一定の波長の光を選択的に発する特性を有する微細構造体と、その製造方法と、その製造に使用されるマスター型と、微細構造体を利用した発光機構とに関するものである。
一定の波長の光を選択的に発する特性を有する微細構造体について、図7を参照して説明する。なお、以下の説明において使用するいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。図7(1)は本発明に係る微細構造体を示す斜視図、図7(2)はその微細構造体を示す平面図、図7(3)は図7(2)の微細構造体をA−A線に沿って示す断面図である。図7の微細構造体51には、一定の寸法を有する凹部52が規則的に形成されている。この凹部52は、各部分の寸法が、例えば、正方形である開口部53の一辺の寸法LAが0.35μm、深さ寸法Dが7μm、凹部52の間における壁部54の厚さ寸法Tが0.15μmになるようにして、形成されている。そして、このような微細構造体51をタングステンによって形成し、その微細構造体51をフィラメントとして使用して白熱電球を構成することが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。この構成によれば、凹部52における赤外線の輻射が選択的に抑制されるので、フィラメント全体として可視光線が選択的に輻射される白熱電球が実現される。また、この構成において寸法LA,D,Tを適当に定めることによって、フィラメントからの赤外線の輻射が選択的に抑制される白熱電球、又は、フィラメントから可視光線が選択的に輻射される白熱電球が実現される。
上述の微細構造体を製造する従来の方法のうち、第1の方法として、リソグラフィー技術とめっき技術とを基本とするとともに、シンクロトロン装置から放射されるX線を使用したLIGAプロセスが使用されている(例えば、非特許文献2参照)。この方法を、図8を参照して説明する。図8(1)−(6)は、リソグラフィー技術を使用して微細構造体製造用のマスター型を製造する従来の技術における、レジスト塗布、露光、現像、めっき、及びレジスト除去の各工程と完成したマスター型とをそれぞれ示す断面図である。
この第1の方法によれば、前工程として、リソグラフィー技術とめっき技術とを使用して、微細構造体の製造に使用されるマスター型を製造する。まず、図8(1)に示すように、シリコンからなる基板55の上に、感光性を有するレジスト(以下「レジスト」という。)56を数μmの厚さに塗布する(塗布工程)。次に、図8(2)に示すように、所望のパターン57が描画されたマスク(フォトマスク)58をレジスト56の上方に配置して、そのマスク58を介してレジスト56に、シンクロトロン装置から放射されるX線XRを照射する(露光工程)。次に、図8(3)に示すように、基板55におけるレジスト56が塗布された面を現像液に浸漬する(現像工程)。これによって、レジスト56のうち未露光部分59が現像液に溶解するので、基板55の上には未露光部分59に対応する凹部60を有するレジストパターン61が形成される。次に、図8(4)に示すように、レジストパターン61が形成された基板55にめっき(電鋳)を施す(めっき工程)。これにより、金属(例えば、Ni)が凹部60に充填されるとともにレジストパターン61の上部に堆積して、その金属からなるマスター型62が形成される。このマスター型62は、製造しようとする微細構造体が反転された寸法形状を有する。次に、図8(5)に示すように、レジストパターン61を除去する(レジスト除去工程)。次に、基板55からマスター型62を剥離することにより、図8(6)に示されたマスター型62を完成させる。
次に、第1の方法における後工程として、以下のようにして微細構造体を形成する。まず、めっき用の型として、微細構造体が反転された寸法形状を有するマスター型62を使用して、微細構造体と同一の寸法形状を有する1次複製型を形成する。ここで、本出願書類では、「同一の寸法形状」とは「ほぼ同一の寸法形状」を意味する。次に、めっき用の型として1次複製型を使用して、微細構造体が反転された寸法形状を有する2次複製型を形成する。次に、その2次複製型を使用して、めっきにより微細構造体を形成した後に、2次複製型から微細構造体を剥離する。これによって、マスター型62が反転された寸法形状を有する微細構造体(図7参照)が完成する。この方法によれば、X線光源としてシンクロトロン装置という限られた装置が必要になるので、マスター型を製造する際の製造コストが大きくなるという問題がある。
また、微細構造体を製造する第2の方法として、製造コストを低減する目的で、上述のX線に代えて紫外線を使用したUV−LIGAプロセスが提案されている。この方法によれば、最小寸法がサブミクロンであって高いアスペクト比(この場合には微細構造体51の壁部54の高さ(=D)と厚さTとの比)を有する微細構造体を形成することが困難であるという問題がある。その理由は、高アスペクト比を有する微細構造体を形成する目的でレジストを厚く塗布し、そのレジストに紫外線を照射し、照射されたレジストを現像した場合に、薄くて高いレジストパターン(図8(3)のレジストパターン61参照)が安定して残存しにくいからである。したがって、フィラメントから赤外線の輻射が選択的に抑制され、又は、可視光線が選択的に輻射される白熱電球を実現することが困難である。加えて、第1の方法と第2の方法とによれば、所望のパターン57が描画されたマスク58を使用してマスター型62を製造する。これにより、微細構造体51の寸法形状を変更する場合には、パターン57を変更して新たなマスク58を製作しなければならない。したがって、寸法形状を変更した微細構造体51を製造する際に、時間と製造コストとが必要になる。
また、微細構造体を製造する第3の方法として、自己組織化と呼ばれる方法が提案されている。この方法は、まず、微細穴を形成する対象となる金属体の表面に、レジストとして機能する、例えばアルミニウムからなる金属層を形成する。次に、このレジスト用金属層の表面を陽極酸化処理して、多数の微細穴を有する陽極酸化皮膜を形成する。次に、この陽極酸化皮膜をレジストとして、そのレジストが形成された金属体に対してエッチング処理を行う。このことにより、金属体に微細穴を形成する(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、レジスト用金属層の表面を陽極酸化処理して多数の微細穴を有する陽極酸化皮膜を形成する際に、微細穴のサイズや深さを均一化することが困難であるという問題がある(例えば、特許文献2の図3,図4参照)。その理由は、微細穴のサイズや深さは、陽極酸化処理を行う際の印加電圧、電解液の種類・濃度・温度、陽極酸化時間等に依存するので、これら複数のパラメーターを最適に制御することは困難だからである。したがって、フィラメントから赤外線の輻射が選択的に抑制され、又は、可視光線が選択的に輻射される白熱電球を実現することが困難である。
特開平3−102701号公報(第5−7頁、第4A−4B図)
特開平6−002167号公報(第3−4頁、図1−図4)
川合知二監修、「図解 ナノテク活用技術のすべて」、初版、株式会社工業調査会、2002年11月27日、p.241
田畑修、「マイクロシステムと放射X線応用3次元微細加工技術」、成形加工、社団法人プラスチック成形加工学会、2003年4月、第15巻,第4号、p.247−249
本発明が解決しようとする課題は、微細かつ所望の寸法を有する多数の凹部と壁部とが形成され壁部が高アスペクト比を有する微細構造体と、その製造方法と、その製造に使用されるマスター型と、その微細構造体を利用した発光機構とを提供することである。
上述の課題を解決するために、本発明に係る微細構造体(11)は、少なくとも1つの面において所定の寸法形状からなる複数の凹部(12)と該凹部(12)の間における壁部(13)とが設けられ、凹部(12)の寸法形状に基づいて面から1又は複数の一定の波長を有する光を選択的に発する特性を有する微細構造体(11)であって、機械的加工によって形成されたマスター型(1)に基づいて形成されており微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する成形型(8)に対して成膜された金属製部材からなることを特徴とする。
また、本発明に係る微細構造体(11)は、上述の微細構造体(11)において、マスター型(1)は微細構造体(11)が反転された寸法形状を有しており、成形型(8)は、マスター型(1)を使用して微細構造体(11)と同一の寸法形状を有する1次複製型(5)を形成した後に該1次複製型(5)を使用して形成されており微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する2次複製型(8)からなるとともに、機械的加工は楕円振動切削加工であることを特徴とする。
また、本発明に係る微細構造体(11)の製造方法は、少なくとも1つの面において所定の寸法形状からなる複数の凹部(12)と該凹部(12)の間における壁部(13)とが設けられ、凹部(12)の寸法形状に基づいて面から1又は複数の一定の波長を有する光を選択的に発する特性を有する微細構造体(11)の製造方法であって、微細構造体(11)が反転された寸法形状を有するマスター型(1)を準備する工程と、マスター型(1)を使用して微細構造体(11)と同一の寸法形状を有する1次複製型(5)を形成する工程と、1次複製型(5)を使用して微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する2次複製型(8)からなる成形型(8)を形成する工程と、成形型(8)に対して成膜することによって金属製部材を形成する工程と、成形型(8)から金属製部材を剥離することによって該金属製部材からなる微細構造体(11)を形成する工程とを備えるとともに、マスター型(1)は機械的加工によって製造されたことを特徴とする。
また、本発明に係る微細構造体(11)の製造方法は、上述の微細構造体(11)の製造方法において、機械的加工は楕円振動切削加工であることを特徴とする。
また、本発明に係るマスター型(1)は、少なくとも1つの面において所定の寸法形状からなる複数の凹部(12)と該凹部(12)の間における壁部(13)とが設けられ、凹部(12)の寸法形状に基づいて面から1又は複数の一定の波長を有する光を選択的に発する特性を有する微細構造体(11)を製造する際に使用されるマスター型(1)であって、微細構造体(11)が反転された寸法形状を有し、機械的加工によって反転された寸法形状が形成されているとともに、微細構造体(11)は、微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する成形型(8)に対して成膜されることによって形成され、成形型(8)は、マスター型(1)を使用して微細構造体(11)と同一の寸法形状を有する1次複製型(5)を形成した後に該1次複製型(5)を使用して形成されており微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する2次複製型(8)からなることを特徴とする。
また、本発明に係るマスター型(1)は、上述のマスター型(1)において、機械的加工は楕円振動切削加工であることを特徴とする。
また、本発明に係る発光機構(20,25,29,31,34,36)は、少なくとも1つの面において所定の寸法形状からなる複数の凹部(12,23,27)と該凹部(12,23,27)の間における壁部(13,24,28)とが設けられ、凹部(12,23,27)の寸法形状に基づいて面から1又は複数の一定の波長を有する光を選択的に発する特性を有する微細構造体(11)を使用した発光機構であって、微細構造体(11)は、機械的加工によって形成されたマスター型(1)に基づいて形成され微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する成形型(8)に対して成膜されることによって形成された金属製部材からなり、微細構造体(11)が加熱されることによって面から光が選択的に輻射又は反射されることを特徴とする。
また、本発明に係る発光機構(20,25,29,31,34,36)は、上述の発光機構(20,25,29,31,34,36)において、マスター型(1)は微細構造体(11)が反転された寸法形状を有しており、成形型(8)は、マスター型(1)を使用して微細構造体(11)と同一の寸法形状を有する1次複製型(5)を形成した後に該1次複製型(5)を使用して形成されており微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する2次複製型(8)からなるとともに、機械的加工は楕円振動切削加工であることを特徴とする。
本発明によれば、所定の寸法形状からなる複数の凹部(12)とそれらの凹部(12)の間における壁部(13)とが形成された微細構造体(11)が、次のようにして得られる。まず、機械的加工によって微細構造体(11)が反転された寸法形状を有するマスター型(1)を製造し、そのマスター型(1)に基づいて微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する成形型(8)を形成し、その成形型(8)にめっきを施すことによって微細構造体(11)が形成される。これにより、微細構造体(11)に形成された壁部(13)が、機械的加工によって形成されたマスター型(1)の溝部(4)に対応する。したがって、機械的加工によってマスター型(1)の溝部(4)のアスペクト比を高くすることができるので、所望の寸法と高いアスペクト比とを有する壁部(13)が形成された微細構造体(11)が得られる。また、機械的加工によってマスター型(1)の寸法形状を決定するので、微細構造体(11)における複数の凹部(12)とそれらの凹部(12)の間における壁部(13)との寸法形状が容易に変更される。更に、楕円振動切削加工を使用してマスター型(1)を製造することによって、高精度で所望の寸法と高いアスペクト比とを有する壁部(13)が形成された微細構造体(11)が得られる。加えて、そのような微細構造体(11)を製造する製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、機械的加工によってマスター型(1)の寸法形状を決定するので、高いアスペクト比を有する壁部(13)が形成された微細構造体(11)の製造に適した、所望の寸法と高いアスペクト比とを有する多数の溝部(4)を有するマスター型(1)が得られる。また、楕円振動切削加工を使用してマスター型(1)が製造されるので、高精度で所望の寸法と高いアスペクト比とを有する溝部(4)が形成されたマスター型(1)が得られる。更に、マスター型(1)を製造する際の製造コストが低減される。
また、本発明によれば、発光機構(20,25,29,31,34,36)が、上述した微細構造体(11)を含んでいる。これにより、所望の波長に応じた最適な寸法形状を有する発光機構(20,25,29,31,34,36)が、短い時間かつ低い製造コストで製造される。したがって、所望の波長を有する光を発する発光機構(20,25,29,31,34,36)が得られる。また、リソグラフィー技術によって製造されたマスター型(1)を使用して発光機構を製造する場合に比べて、発光機構(20,25,29,31,34,36)が発する光の波長が容易に設定される。
楕円振動切削加工を使用して、所望の寸法と高いアスペクト比とを有する多数の溝部(4)が形成され、微細構造体(11)が反転された寸法形状を有するマスター型(1)が製造される。このマスター型(1)を使用して微細構造体(11)と同一の寸法形状を有する1次複製型(5)を形成し、1次複製型(5)を使用して微細構造体(11)が反転された寸法形状を有する成形型(8)を形成する。そして、この成形型(8)にめっきを施して、所定の寸法形状からなる複数の凹部(12)と該凹部(12)の間における壁部(13)とが設けられた微細構造体(11)を製造する。また、こうして製造された微細構造体(11)を使用して、凹部(12,23,27)と壁部(13,24,28)とが設けられた面から1又は複数の一定の波長を有する光を選択的に発する特性を有する発光機構(20,25,29,31,34,36)が得られる。
実施例1として、本発明に係る微細構造体、その製造方法、及びその製造に使用されるマスター型について、図1,図2を参照して説明する。本発明に係る微細構造体は、機械的加工により形成されたマスター型に基づいて形成された成形型であってその微細構造体が反転された寸法形状を有する成形型を使用して、その成形型にめっきが施されることによって形成された金属製部材からなることを特徴とする。図1(1)は本実施例に係るマスター型を示す斜視図、図1(2)はマスター型から1次複製型を形成する工程を示す断面図、図1(3)は1次複製型から2次複製型を形成する工程を示す断面図である。図2(1)は2次複製型にめっきを施して金属製部材を形成する工程を、図2(2)は2次複製型から金属製部材を剥離する工程を、図2(3)は完成した微細構造体をそれぞれ示す断面図である。なお、本実施例では、微細構造体は、図7(3)に示された微細構造体51と同一の寸法形状を有するものとする。
図1(1)に示されているように、本発明に係るマスター型1は、厚板状のベース部2と、平面視した場合に格子状に配列され互いに同一の寸法形状を有する直方体状の突起部3と、それらの突起部3の間に設けられ互いに同一の寸法形状を有する溝部4とを有している。このマスター型1は、溝部4が微細かつ均一な寸法と高いアスペクト比(この場合には溝部4の深さ(=H)と幅Wとの比)とを有するようにして、Ni−Pめっき材料やアクリル系樹脂材料等に直接機械的加工を施すことによって形成される(後述)。また、マスター型1は、製造しようとする微細構造体が反転された寸法形状を有するようにして形成されている。そして、突起部3と溝部4とは、各部分の寸法が、例えば、突起部3の平面形状である正方形の一辺の寸法LMが0.35μm、高さ寸法Hが7μm、溝部4の幅寸法Wが0.15μmになるようにして、形成されている。
マスター型1を使用して本発明に係る微細構造体を製造する製造方法について、図1と図2とを参照して説明する。まず、図1(2)に示すように、めっき用の型としてマスター型1を使用して、Niめっきによりマスター型1に対してNiを成膜して、微細構造体と同一の寸法形状を有する1次複製型5を形成(成膜)する。この1次複製型5は、マスター型1が反転された寸法形状を有するとともに、マスター型1の突起部3と溝部4とにそれぞれ対応して形成された溝部6と突起部7とを有する。その後に、マスター型1から1次複製型5を剥離する。ここで、Niめっきによって形成された1次複製型5がマスター型1の表面から剥離しやすいように、マスター型1の表面に予め適当な表面処理(例えば、Auめっき等)を施しておくことが好ましい。この点については、めっき用の型としてこの後に使用する型、例えば、1次複製型5等の表面においても同様である。この工程によれば、マスター型1における溝部4のアスペクト比(溝部4の深さ(=H)と幅Wとの比)を高くしておくことによって、1次複製型5における突起部7のアスペクト比(突起部7の高さと厚さとの比)を高くすることができる。
次に、図1(3)に示すように、めっき用の型としてマスター型1が反転された寸法形状を有する1次複製型5を使用して、Niめっきにより1次複製型5に対してNiを成膜して、マスター型1と同一の寸法形状(すなわち、微細構造体が反転された寸法形状)を有する2次複製型8を形成(成膜)する。その後に、1次複製型5から2次複製型8を剥離する。この2次複製型8は、マスター型1と同一の寸法形状を有するとともに、マスター型1の突起部3と溝部4とにそれぞれ対応して形成された突起部9と溝部10とを有する。そして、2次複製型8は、微細構造体(後述)を成形するための成形型として機能する。この工程によれば、1次複製型5における突起部7のアスペクト比を高くしておくことによって、2次複製型8における溝部10のアスペクト比を高くすることができる。
次に、図2(1)に示すように、めっき用の型としてマスター型1と同一の寸法形状を有する2次複製型8を使用して、めっきにより2次複製型8に対して金属を成膜して、マスター型1が反転された寸法形状を有する微細構造体11を形成(成膜)する。したがって、この微細構造体11は、マスター型1が反転された寸法形状を有するとともに、マスター型1の突起部3と溝部4とにそれぞれ対応して形成された凹部12と壁部13とを有する。この工程によれば、2次複製型8における溝部10のアスペクト比を高くしておくことにより、微細構造体11における壁部13のアスペクト比を高くすることができる。したがって、機械的加工を使用してマスター型1における溝部4のアスペクト比を高くしておくことによって、微細構造体11において高いアスペクト比を有する壁部13が形成される。なお、この工程において使用するめっき材料としては、高融点材料であるTa,Nb,W,Ti,Mo等が考えられる。めっきのしやすさを考えると、これらの材料のうちTaを使用することが好ましい。
次に、図2(2)に示すように、2次複製型8から微細構造体11を剥離する。これにより、図2(3)に示されているように、マスター型1が反転された寸法形状を有する、本発明に係る微細構造体11が完成する。したがって、微細構造体11における凹部12の一辺の寸法LAと、壁部13の厚さ寸法Tと、凹部12の深さ寸法Dとは、マスター型1における各部分の寸法に対して次のような関係になる。まず、凹部12の一辺の寸法LAは、LA=マスター型1の突起部3の一辺の寸法LM=0.35μmである。また、厚さ寸法Tは、T=マスター型1の溝部4の幅寸法W=0.15μmである。また、深さ寸法Dは、D=マスター型1の突起部3の高さ寸法H=7μmである。ここで、微細構造体11におけるこれらの寸法LA,T,Dについては、機械的加工によってマスター型1を製造する際に、マスター型1における各部分の寸法LM,W,Hを適当な値に設定することにより、容易に変更することができる。そして、寸法LM,W,Hの設定については、加工する際の加工軸の位置を変更することにより、nmオーダーで行うことができる。
ここで、機械的加工によりマスター型を製造する製造方法について、図3,図4を参照して説明する。図3(1)は図1(1)のマスター型を製造する際に使用される工具の先端部を、図3(2)はその工具の動作を、それぞれ示す斜視図である。図4(1)と図4(2)とは、マスター型を製造する際に工具が材料に押し付けられる場合と引き離される場合との作用をそれぞれ示す部分断面図である。図3(1)に示されているように、マスター型の製造に使用される工具14は、ほぼ直方体状の先端部15を有するダイヤモンド工具であって、その先端部15には適当な逃げ角aが設けられている。この工具14は、切削加工を行う適当な工作機械に取り付けられている。工作機械としては、例えば、特開2000−52101号公報に示されているような、いわゆる楕円振動切削加工を行う工作機械を使用することができる。この工作機械は、工具14が取り付けられた柱状部材からなる振動子(図示なし)に対して、振動子の軸方向にそれぞれ直交する2方向であって互いに直交する2方向に、2個の圧電素子(図示なし)を使用してそれぞれたわみ振動を与えて、これにより工具を楕円振動させる。また、精密な加工を実現するためには、楕円振動の周波数を、超音波領域の周波数(例えば17kHz以上)に設定して切削することが好ましい。
工具14の動作を、図3を参照して説明する。図3(2)に示すように、まず、移動機構(図示なし)によって所定の切削速度で切削方向Adに被削材16を移動させながら、被削材16と工具14の先端部15とを接触させる。ここで、工具14は、振動子によって生成される周期的な軌跡17を描いて楕円振動している。そして、被削材16の移動方向(切削方向Ad)は、一方の圧電素子が生成するねじり振動の方向であるY方向と同一である。また、被削材16の切削される面は、他方の圧電素子が生成するねじり振動の方向であるX方向に垂直である。
次に、工具14が、リボン状の切りくず18Aを生成しながら被削材16を切削する。ここで、工具14の先端部15は軌跡17を描いて楕円振動しているので、その先端部15の運動は、被削材16の切削される面に垂直な背分力方向Bdと、切削方向Adと同方向の主分力方向Cdとに分解される。先端部15における楕円振動のこれら2方向の成分により、工具14が切取り厚さ19だけ被削材16を切削することになる。
工具14が被削材16を切削する際の作用について、図4を参照して、被削材16に対して工具14が押しつけられる場合と引き離される場合とに分けて説明する。まず、図4(1)に示すように、軌跡17に従って、工具14を、背分力方向Bd(図の右方向)と主分力方向Cd(図の上方向)とが合成された方向に移動させる。これにより、工具14を被削材16に押し当てて、被削材16を主分力方向Cdに向かって切削する。
次に、図示は省略するが、図4(1)の状態から引き続いて、軌跡17に従って、工具14を図の上方向と左方向とが合成された方向に移動させる。これにより、工具14を被削材16に押し当てて被削材16を切削しながら、被削材16から工具14を図の左方向に引き離す。したがって、工具14により被削材16を切削し、その切削によって発生したリボン状の切りくず18Aを引き出して流出方向Ddに流出させることになる。
次に、図4(2)に示すように、軌跡17に従って、工具14を背分力方向Bd(図の左方向)と主分力方向Cd(図の下方向)とが合成された方向に移動させる。これによって、被削材16から工具14を引き離す。したがって、図4(1)と図4(2)との間の状態、言い換えれば工具14が被削材16に接触している間は、リボン状の切りくず18Aが引き出される。また、工具14が被削材16から離れた後には被削材16と工具14との間に間隙が生じるので、切削により発生した粒子状の切りくず18Bが、工具14の近傍に供給された切削油(図示なし)によって排出される。また、切削する際に発生した摩擦熱が切削油によって奪われるので、工具14が効果的に冷却される。
次に、図示は省略するが、図4(2)の状態から引き続いて、軌跡17に従って、工具14を図の下方向と右方向とが合成された方向に移動させる。これにより、被削材16に向かって工具14を接近させ、再び接触させる。以下、図4(1)の状態に戻り、切削を再開する。上述の工程を繰り返すことによって、工具14が楕円振動しながら、被削材16に切削加工を施すことになる。ここで、所定の電気信号に基づいて、移動機構(図示なし)により被削材16の送り方向を制御すれば、図1の溝部4について曲線を含む任意のパターンを、被削材16に形成することができる。
本発明に係る微細構造体、及びその製造方法によれば、それぞれNiめっきによって、マスター型1を使用して1次複製型5を形成し、1次複製型5を使用して2次複製型8を形成する。そして、Taめっきにより、2次複製型8を使用して微細構造体11を形成する。また、マスター型1は、機械的加工である楕円振動切削加工によって、微細かつ均一な寸法を有する多数の突起部3と溝部4とが形成されるようにして、かつ、それらの溝部4が高いアスペクト比(溝部4の深さ(=H)と幅Wとの比)を有するようにして、製造される。これらにより、次のような効果が得られる。第1に、微細構造体11を製造する際に使用されるマスター型1が、シンクロトロン装置から放射されるX線を使用することなく製造されるので、マスター型1を製造する際の製造コストが低減される。第2に、微細かつ均一な寸法と高いアスペクト比とを有する多数の溝部4が形成されたマスター型1が機械的加工によって製造され、そのマスター型1に基づいてNiめっきを使用して1次複製型5と2次複製型8とを順次形成し、その2次複製型8に基づいてTaめっきを使用して微細構造体11を形成する。したがって、微細かつ均一な寸法を有する多数の凹部12と壁部13とが一括して形成されるとともに、壁部13が高いアスペクト比(壁部13の高さ(=D)と厚さTとの比)を有する微細構造体11が製造される。第3に、マスター型1の溝部4と突起部3とに関する寸法、すなわち図1の寸法LM,W,Hを、材料に直接機械的加工を施すことによって容易に変更することができる。したがって、微細構造体11において、凹部12と壁部13とに関する寸法、すなわち図2の寸法LA,T,Dを容易に変更することができるとともに、その際の時間と製造コストとを抑制することができる。
また、本実施例に係るマスター型1を製造する際には、楕円振動する工具14が被削材16に断続的に接触することにより、被削材16が切削加工されて溝部4が形成される。したがって、工具14と被削材16との接触時間が短くなり、かつ、接触していない状態が生じる。また、楕円振動する工具14がリボン状の切りくず18Aを引き出すので、被削材16と工具14との間の摩擦抵抗が減少する。また、工具14が被削材16に接触していない状態において、粒子状の切りくず18Bが排出されやすくなる。これらにより、次の効果が得られる。第1に、工具14が被削材16に切削加工を施す際の加工抵抗が減少する。これによって、溝部4の間の残り部分(図1の突起部3)においてばりや崩れ等の発生が抑制されるとともに、微細かつ均一な寸法と高いアスペクト比とを有する多数の溝部4が得られる。したがって、工具14の破損を防止しながら、これらの多数の溝部4を有するマスター型1が製造される。また、第2に、工具14と被削材16との接触時間が短くなるとともに接触していない状態が生じるので、工具14が効果的に冷却される。したがって、工具14の長寿命化を図りながらマスター型1が製造される。第3に、マスター型1において、溝部4と突起部3とに関する寸法、すなわち図1の寸法LM,W,Hを容易に変更することができるとともに、その際の時間と製造コストとを抑制することができる。
なお、ここまでの説明における楕円振動の振幅は、切削加工するパターン(図1の溝部4)の寸法精度、工具14の材質、被削材16の被削性等に基づいて、適当に定めればよい。その際に、例えば、楕円振動の振幅を、切込み深さ(切込み量)に比較して、同等〜1/3程度の値をとることができる。また、回転振動の軌跡17を楕円とした。これに限らず、工具14を、楕円の特殊な場合である真円を描いて回転振動させてもよい。
また、楕円振動する工具14に対して被削材16を移動させることにより、被削材16を切削加工した。これに限らず、固定された被削材16に対して楕円振動する工具14を移動させてもよく、工具14と被削材16との双方を移動させてもよい。また、工具14を回転振動させたが、これに限らず、被削材16が固定されたステージ(図示なし)を回転振動させることもできる。
また、振動子に対して、その軸方向にそれぞれ直交する2方向であって互いに直交する2方向に、2個の圧電素子を使用してそれぞれたわみ振動を与えて、これにより工具を楕円振動させた。楕円振動切削加工を行う工作機械としては、たわみ振動以外の2方向の振動を振動子に与えることによって工具を楕円振動させる工作機械を使用してもよい。
また、楕円振動切削加工によって、マスター型1に直方体状の突起部3を格子状に形成した。突起部3の形状は、円柱状や角柱状(例えば、6角柱状)であってもよい。また、突起部3の配置については、格子状以外の配置、例えば、市松模様状の配置であってもよい。
また、Niめっきによって1次複製型5と2次複製型8とを、Taめっきによって微細構造体11を、それぞれ形成(成膜)した。めっき材料については、他の金属材料を使用しもよい。また、上述しためっきに代えて、めっき以外の適当な成膜方法、例えば、CVDを使用して成膜することもできる。
実施例2として、本発明に係る発光機構について、図5,図6を参照して説明する。図5(1)−(4)と図6(1)−(2)とは、本実施例に係る発光機構の具体例をそれぞれ示す断面図である。本実施例に係る発光機構は、実施例1に係る微細構造体から構成され、微細かつ均一な所定の寸法を有する多数の凹部と壁部とを有することを特徴とする。そして、この所定の寸法は、発光機構が選択的に発する光の波長に応じて、最適な値に定められている。なお、ここでいう発光機構が発する「光」には、電磁波としての可視光線だけでなく赤外線、紫外線も含まれ、更に、X線も含まれ得る。また、「光を発する」とは、「光を輻射する」及び「光を反射する」のいずれをも意味するものとする。
図5(1)に示された発光機構20は、実施例1に係る微細構造体(図2の微細構造体11参照)が一定の幅を有し細長い板状又はひも状に加工されたフィラメント21と、そのフィラメント21の両端がそれぞれ接続されている導入線22(図では導入線の端部を示す)とを有する。そして、通常の白熱電球と同様に、フィラメント21は支持具(図示なし)によって支持され、フィラメント21と導入線22とはガラス容器の中に配置されているとともに、ガラス容器には希ガス又はハロゲン元素からなるガスが封入されている(その内部が真空状態になっていてもよい)。また、微細構造体からなるフィラメント21においては、所定の波長を有する可視光線L(この場合には単色光)を選択的に輻射するように、凹部23と壁部24とに関する寸法が設定されている。この構成によれば、導入線22を介してフィラメント21に電流を供給してフィラメント21を発熱させる(加熱する)ことにより、フィラメント21から図の上方に向かって、可視光線Lが輻射されるとともに赤外線の輻射が抑制される。したがって、可視光線Lについて優れた発光効率を有する発光機構20が得られる。なお、フィラメント21については、凹部23と壁部24とが外側になるようにして、コイル状に形成してもよい。
図5(2)に示された発光機構25は、図5(1)と同様のフィラメント21及び導入線22と、フィラメント21における可視光線Lを輻射しない側(図では下側)の所定の位置に配置され微細構造体からなる反射部材26とを有する。反射部材26においては、所定の波長を有する赤外線IRを選択的に輻射するように、凹部27と壁部28とに関する寸法が設定されている。また、この反射部材26は、図示されたように、全体の断面形状がほぼ放物線を描くように湾曲した微細構造体からなり、その放物線の焦点にフィラメント21がほぼ位置するようにして配置され、フィラメント21から受け取った赤外線IRを反射する反射鏡として機能する。この構成によれば、導入線22を介してフィラメント21に電流を供給してフィラメント21を発熱させる(加熱する)ことにより、フィラメント21からは図の上方に可視光線Lが輻射されるとともに、図の下方に可視光線(単色光ではない)と赤外線IRとが輻射される。そして、赤外線IRによって加熱された反射部材26が赤外線IRを選択的に輻射し(言い換えれば反射部材26によって赤外線IRが反射され)、この赤外線IRがフィラメント21を更に加熱する。したがって、フィラメント21からいったん輻射された赤外線IRが再びフィラメント21を加熱することによって、低い消費エネルギーで同等の発光効率を有する省エネルギー化された発光機構25が得られる。なお、図5(2)では、フィラメント21と反射部材26とが左右方向に延びるようにして描かれている。これに限らず、フィラメント21と反射部材26とを手前−奥方向に延びるようにして構成し、フィラメント21の手前側と奥側との両端に導入線22を接続してもよい。
図5(3)に示された発光機構29は、図5(2)と同様のフィラメント21及び導入線22と、フィラメント21の真下にほぼ一定の小さな間隔を置いて配置された反射部材30とを有する。反射部材30においても、反射部材26と同様に、所定の波長を有する赤外線IRを選択的に輻射するように、凹部27と壁部28とに関する寸法が設定されている。この構成によっても、赤外線IRによって加熱された反射部材30が赤外線IRを輻射し(言い換えれば反射部材30によって赤外線IRが反射され)、この赤外線IRがフィラメント21を更に加熱する。したがって、フィラメント21からいったん輻射された赤外線IRが再びフィラメント21を加熱することによって、低い消費エネルギーで同等の発光効率を有する省エネルギー化された発光機構29が得られる。
図5(4)に示された発光機構31は、タングステン線等からなるヒータ32と、ヒータ32を取り囲むように設けられた円筒状の輻射部材33とを有する。ヒータ32は、図の手前側と奥側との両端においてそれぞれ導入線(図示なし)に接続されている。輻射部材33においては、図5(1)のフィラメント21と同様に、所定の波長を有する可視光線Lを選択的に輻射するように、凹部23と壁部24とに関する寸法が設定されている。この構成によれば、導入線を介してヒータ32に電流を供給してこれを発熱させる(加熱する)ことにより、ヒータ32の周方向に向かって可視光線(単色光ではない)と赤外線IRとが輻射される。そして、円筒状の輻射部材33は、赤外線IRによって内側から加熱されることにより、外側に向かって可視光線Lを選択的に輻射する。したがって、低い消費エネルギーで同等の発光効率を有する省エネルギー化された発光機構が得られる。なお、ヒータ32を、輻射部材33と同様に円筒状の構成にして、所定の波長を有する赤外線IRを選択的に輻射するように形成された凹部と壁部とを有するようにしてもよい。この場合には、ヒータ32から赤外線IRが選択的に輻射されるとともに、可視光線の輻射が選択的に抑制される。したがって、赤外線IRによって輻射部材33が内側から効率的に加熱されるので、いっそう低い消費エネルギーで同等の発光効率を有する発光機構31が得られる。
図6(1)に示された発光機構34は、図5(1)の発光機構と同様に、一定の幅を有し細長い板状又はひも状に加工されたフィラメント35を有する。しかし、図5(1)の発光機構とは異なり、微細構造体からなるフィラメント35においては、所定の波長を有する赤外線IRを選択的に輻射するように、凹部27と壁部28とに関する寸法が設定されている。この構成によれば、導入線22を介してフィラメント35に電流を供給してフィラメント35を発熱させる(加熱する)ことにより、図の上方に向かって、フィラメント35からは赤外線IRが輻射されるとともに、可視光線の輻射が抑制される。したがって、赤外線IRについて優れた発光効率を有する発光機構34、言い換えれば優れた発熱効率を有する発熱機構が得られる。
図6(2)に示された発光機構36は、円筒状の輻射部材37を有する。この輻射部材37は、貼り合わされた外側部材38と内側部材39とから構成されている。そして、外側部材38及び内側部材39の各貼り合わせ面の反対面においては、所定の波長を有する赤外線IRを選択的に輻射するようにして、凹部27と壁部28とに関する寸法が設定されている。すなわち、外側部材37と内側部材38とは、赤外線IRを選択的に輻射する機能を有する。この構成によれば、輻射部材37に電流を供給することにより輻射部材37を発熱させて(加熱して)、その外側と内側とに向かってそれぞれ赤外線IRが輻射される。これにより、内側に向かって輻射される赤外線IRによって輻射部材37が内側から更に加熱され、加熱された輻射部材37が外側に向かって赤外線IRを選択的に輻射する。したがって、赤外線IRについて優れた発光効率を有する発光機構36、言い換えれば優れた発熱効率を有する発熱機構が得られる。なお、輻射部材37を、外側部材38と内側部材39とが貼り合わされた平板状の構成にしてもよい。この構成によれば、内外両面(上下両面)に向かってそれぞれ赤外線IRを輻射する輻射部材が得られる。
本発明に係る各発光機構20,25,29,31,34,36は、図1に示されたマスター型1の溝部4と突起部3とが機械的加工によって製造され、そのマスター型1に基づいてめっきにより形成された微細構造体から構成される。そして、その微細構造体は、マスター型1の溝部4と突起部3とにそれぞれ対応する壁部24,28と凹部23,27とを有する。これにより、第1に、波長に応じた最適な寸法形状を有する発光機構が、短い時間かつ低い製造コストで製造される。第2に、機械的加工によってマスター型1の寸法(図1の寸法LM,W,H参照)を容易に設定することができる。したがって、リソグラフィー技術を使用して製造されたマスター型を使用する場合に比べて、発光機構が発する光の波長が容易に設定される。第3に、マスター型1の溝部4と突起部3とが機械的加工によって製造されることにより、微細かつ均一な寸法と高いアスペクト比とを有する溝部4と、微細かつ均一な寸法を有する突起部3とが得られる。このことによって、各発光機構20,25,29,31,34,36において、微細かつ均一な寸法と高いアスペクト比とを有する壁部24,28と、微細かつ均一な寸法を有する凹部23,27とが得られる。したがって、所望の波長を有する光を発する発光機構が得られる。具体的には、発熱量が少なく所望の波長を有する可視光線Lを発する発光機構、又は、発する可視光線Lの光量が少なく所望の波長を有する赤外線IRを発する発熱機構が得られる。
なお、本実施例で説明したように、可視光線Lとして特定の波長を有する単色光を輻射したい場合には、凹部23と壁部24とに関する寸法を、その波長に応じた特定の値に設定してマスター型(図1のマスター型1参照)を製造すればよい。加えて、可視光線Lとして様々な波長を有する白色光を輻射したい場合には、凹部23と壁部24とに関する寸法を、それらの波長に応じた複数の値に設定してマスター型を製造すればよい。このように、発する光の波長を任意に設定できる理由は、次の通りである。すなわち、マスター型1の溝部4と突起部3とが機械的加工を使用して製造されることによって、壁部24,28と凹部23,27とに関する寸法を均一にすることのみならず、それらの寸法を所望の値にして適度にかつ場所を指定してばらつかせることが可能になるからである。したがって、所望の色分布や階調等を有する光を発する発光機構を製造することもできる。また、様々な波長を有する赤外線IRを輻射又は反射させたい場合において、凹部27と壁部28とに関する寸法の設定に関しても同様である。
また、発光機構20,25,29,34については、各構成要素、すなわち、フィラメント21,反射部材26,反射部材30,フィラメント35を、面状に構成することもできる。この場合には、機械的加工を使用して微細構造体製造用のマスター型を製造する際に、そのマスター型が所望の面積・形状を有するように加工すればよい。このことによって、優れた発光効率と均一な又は所望の発光特性とを有する面光源としての発光機構、及び、優れた発熱効率と均一な又は所望の発熱特性とを有する面熱源としての発熱機構が得られる。
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
図1(1)は実施例1に係るマスター型を示す斜視図、図1(2)はマスター型から1次複製型を形成する工程を示す断面図、図1(3)は1次複製型から2次複製型を形成する工程を示す断面図である。
図2(1)は2次複製型にめっきを施して金属製部材を形成する工程を、図2(2)は2次複製型から金属製部材を剥離する工程を、図2(3)は完成した微細構造体をそれぞれ示す断面図である。
図3(1)は図1(1)のマスター型を製造する際に使用される工具の先端部を、図3(2)はその工具の動作を、それぞれ示す斜視図である。
図4(1)と図4(2)とは、マスター型を製造する際に工具が材料に押し付けられる場合と引き離される場合との作用をそれぞれ示す部分断面図である。
図5(1)−(4)は、実施例2に係る発光機構の具体例をそれぞれ示す断面図である。
図6(1)−(2)は、実施例2に係る発光機構の具体例をそれぞれ示す断面図である。
図7(1)は本発明に係る微細構造体を示す斜視図、図7(2)はその微細構造体を示す平面図、図7(3)は図7(2)の微細構造体をA−A線に沿って示す断面図である。
図8(1)−(6)は、リソグラフィー技術を使用して微細構造体製造用のマスター型を製造する従来の技術における、レジスト塗布、露光、現像、めっき、及びレジスト除去の各工程と、完成したマスター型とをそれぞれ示す断面図である。
符号の説明
1 マスター型
2 ベース部
3,7,9 突起部
4,6,10 溝部
5 1次複製型
8 2次複製型(成形型)
11 微細構造体
12,23,27 凹部
13,24,28 壁部
14 工具
15 先端部
16 被削材
17 軌跡
18A リボン状の切りくず
18B 粒子状の切りくず
19 切取り厚さ
20,25,29,31,34,36 発光機構
21 フィラメント
22 導入線
26,30 反射部材
32 ヒータ
33,37 輻射部材
35 フィラメント
38 外側部材
39 内側部材
L 可視光線
IR 赤外線