JP2006245332A - 発光素子、発光装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光素子1は、陰極3と陽極6との間に、主として無機半導体材料で構成される電子輸送層4と、電子輸送層4に接触する発光層Lと、発光層Lに接触する正孔輸送層5とを介挿してなるものであり、電子輸送層4は、第1の無機半導体材料を主材料として構成される第1の領域41と、第2の無機半導体材料を主材料として構成され、第1の領域41と特性の異なる第2の領域42とを有する。また、前記特性の相違は、各領域41、42の伝導帯下端準位の相違であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
現在、より高性能な有機EL素子を得るため、材料の開発・改良をはじめ、様々なデバイス構造が提案されており、活発な研究が行われている。
そして、実用化に向けて、さらなる発光効率および耐久性(寿命)の向上を目指し、種々の研究がなされている。
本発明の発光素子は、陰極と陽極との間に、電子輸送層および発光層を介挿してなる発光素子であって、
前記電子輸送層は、前記第1の無機半導体材料を主材料として構成される第1の領域と、第2の無機半導体材料を主材料として構成され、前記第1の領域と特性の異なる第2の領域とを有することを特徴とする。
これにより、発光効率および耐久性(寿命)に優れる発光素子が得られる。
これにより、第1の領域および第2の領域の各特性を調整し、発光素子の発光効率を向上させることができる。
伝導帯下端準位の相違は、電子輸送層全体の電子移動度、電子注入効率等の性能に影響を及ぼす。
すなわち、各領域を構成する材料を設定することにより、電子輸送層全体としての性能を調整し、発光素子の発光効率を向上させることができる。
これにより、発光層に注入された電子が、電界の向きと逆方向に移動しても、第2の領域の高い伝導帯下端準位にブロックされるため、第1の領域側への移動を抑制することができる。
これにより、陰極から電子輸送層へ電子を注入する際のエネルギー障壁が最適化され、電子の注入効率の低下を最小限に抑えつつ、前述した電子の逆移動を確実に抑制することができる。
これにより、陰極から電子輸送層への電子の注入が阻害されることなく、発光素子の発光効率をより向上させることができる。
本発明の発光素子では、前記第1の無機半導体材料は、金属酸化物を主成分とするものであることが好ましい。
金属酸化物は、電子輸送能に特に優れることから好ましい。
酸化チタンは、化学的に特に安定で、また、電子輸送能に特に優れるものである。
本発明の発光素子では、前記第2の無機半導体材料は、金属硫化物、金属セレン化物および金属リン化物のうちの少なくとも1種を主成分とするものであることが好ましい。
これらの材料の伝導帯下端準位は、金属酸化物のそれより高いため、電子の逆移動を効果的に抑制することができる。
これにより、電子輸送層は、その電子移動度や電子注入効率等の性能をより向上させるとともに、第2の領域としての機能をより効果的に発揮し得るものとなる。
本発明の発光素子では、前記第2の領域は、前記第1の領域の少なくとも一部を膜状に被覆していることが好ましい。
これにより、第2の領域の機能をより効果的に発揮させることができ、発光層の発光効率をより向上させることができる。
これにより、第2の領域の機能をさらに効果的に発揮させることができ、発光層の発光効率をさらに向上させることができる。
本発明の発光素子では、前記第1の領域は、チューブ状および/または粒状をなす部分を有することが好ましい。
これにより、電子輸送層全体としての電子輸送能をより向上させることができる。
これにより、チューブ状をなす部分の機械的強度が高くなり、安定した電子輸送を行うことができる。
本発明の発光素子では、前記第1の領域のチューブ状をなす部分は、その長さが5〜300nmであることが好ましい。
これにより、電子輸送層の電子輸送能および発光材料との結合量をそれぞれ向上させることができる。
これにより、チューブと発光材料との結合量がより大きなものとなる。
本発明の発光素子では、前記第1の領域の粒状をなす部分は、その平均粒径が10〜150nmであることが好ましい。
これにより、チューブ同士の間隙をより効果的に充填し、電子輸送層全体としての電子輸送能をより向上させることができる。
これにより、発光層の形成領域を増大させること、すなわち、電子輸送層への発光材料の付着量(吸着量)を増大させることができる。また、正孔輸送層も、電子輸送層の空孔内に入り込むように形成することができる。
また、発光サイトが広がることから、発光に寄与する発光材料(分子数)が増大し、各発光材料が変質・劣化する速度(程度)を緩和することができる。すなわち、発光素子の耐久性(寿命)の向上を図ることができる。
これにより、発光素子において、経時的に短絡が生じ、発光効率が低下するのを防止すること、すなわち、耐久性(寿命)の向上を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層は、その空孔率が前記電子輸送層の空孔率より小さくなるように形成されたものであることが好ましい。
これにより、正孔輸送層が陰極と接触するのをより確実に防止または抑制することができる。また、このような構成のバリヤ層は、比較的容易に形成することができるという利点もある。
これにより、バリヤ層は、正孔輸送層と陰極との接触をより確実に防止または抑制することができる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層は、その空孔率が20%以下であることが好ましい。
これにより、正孔輸送層と陰極との接触を防止または抑制する効果を、さらに向上させることができる。
これにより、バリヤ層は、正孔輸送層と陰極との接触をより確実に防止または抑制することができる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層は、その平均厚さが1μm以下であることが好ましい。
これにより、正孔輸送層と陰極との接触を防止または抑制する効果を、さらに向上させることができる。
これにより、バリヤ層と電子輸送層との間での電子の受け渡しが円滑に行われるようになる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層は、MOD法により形成されたものであることが好ましい。
MOD法によれば、バリヤ層形成用材料中において、バリヤ層の構成材料の前駆体の反応(例えば、加水分解、重縮合等)が防止されるため、バリヤ層をより容易かつ確実に(再現性よく)形成することができる。また、得られるバリヤ層を、緻密な(前記範囲内の空孔率の)ものとすることができる。
これにより、正孔輸送層と電極との間でのリーク(短絡)をより確実に防止または抑制することができ、発光素子の耐久性(寿命)のさらなる向上を図ることができる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層は、前記陰極と前記電子輸送層との間に位置することが好ましい。
これにより、バリヤ層は、正孔輸送層と陰極との接触をより確実に防止または抑制することができる。
これにより、バリヤ層と電子輸送層との間での電子の受け渡しがより確実に(効率よく)行われるようになる。
本発明の発光素子では、前記バリヤ層と前記電子輸送層とは、一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、バリヤ層と電子輸送層との間での電子の受け渡しがより確実に(効率よく)行われるようになる。
これにより、バリヤ層と電子輸送層との間での電子の受け渡しがより確実に(効率よく)行われるようになる。
本発明の発光素子では、発光層と陰極との間に、正孔輸送層を有することが好ましい。
これにより、発光効率をより向上させることができる。
これにより、発光効率をさらに向上させることができる。
本発明の発光素子では、前記電解質組成物は、液状またはゲル状をなしていることが好ましい。
これにより、正孔輸送層と発光層との接触面積をより増大させることができる。その結果、発光素子の発光効率をより向上させることができる。
この電解質は、酸化還元反応が効率よく行われるものであり、かかる電解質を含有する第1の領域は、特に、正孔の輸送能に特に優れたものとなる。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送層は、その前記陽極側に、主として高分子材料で構成される第2の領域を有することが好ましい。
これにより、第1の領域が直接陽極に接触するのを防止することや、正孔を第1の領域へ効率よく注入することができる。かかる第2の領域を設けることにより、発光素子の発光効率をより向上させることができる。
これにより、発光素子の大型化(特に、厚膜化)や、正孔の第1の領域への注入効率が低下するのを確実に防止することができる。
本発明の発光素子では、前記第2の領域は、前記電解質組成物を主材料として構成される領域に接触していることが好ましい。
これにより、発光素子の大型化(特に、厚膜化)や、正孔の第1の領域への注入効率が低下するのを確実に防止することができる。
これにより、第1の領域への正孔の注入効率をより向上させることができる。その結果、正孔輸送層全体における正孔の輸送効率がより向上する。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送層は、その平均厚さが0.1〜100μmであることが好ましい。
これにより、発光素子が大型化(特に、厚膜化)するのを防止しつつ、十分な発光効率が得られる。
かかる特性は、発光素子において、陰極と陽極との間での短絡(リーク)が好適に防止または抑制されていることを示すものであり、このような特性を有する発光素子は、発光効率が特に高いものとなる。
本発明の発光装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発光装置が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
図1は、本発明の発光素子の実施形態の縦断面を模式的に示す図、図2は、図1に示す発光素子における各部(各層)の界面付近を拡大して示す図、図3は、図1に示す発光素子における電子輸送層、発光層および正孔輸送層の界面付近を、さらに拡大して示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
基板2は、発光素子1の支持体となるものである。本実施形態の発光素子1は、基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)であるため、基板2および陰極3には、それぞれ、透明性は特に要求されない。
なお、発光素子1が基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)の場合、基板2および陰極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明、半透明)とされる。
陰極3の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
このような陰極3の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、200〜500nm程度であるのがより好ましい。
一方、陽極6は、後述する正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極6の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いることが好ましい。
このような陽極6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
このような電子輸送層4は、陰極3から注入された電子を、発光層Lまで輸送する機能を有するものである。また、陰極3に、後述する正孔輸送層5が接触するのを防止する機能、すなわち、後述するバリヤ層8と同様の機能も有する。
これにより、後述する発光層Lの形成領域を増大させること、すなわち、電子輸送層4への発光材料の付着量(吸着量)を増大させることができる。また、後述する正孔輸送層5も、電子輸送層4の空孔内に入り込むように形成することができる。
また、発光サイトが広がることから、発光に寄与する発光材料(分子数)が増大し、各発光材料が変質・劣化する速度(程度)を緩和することができる。すなわち、発光素子1の耐久性(寿命)の向上を図ることができる。
ここで、第1の領域41および第2の領域42の特性の相違としては、例えば、各領域41、42の伝導帯下端準位(LUMO)の相違、価電子帯上端準位(HOMO)の相違、電子親和力の相違、熱伝導率の相違等が挙げられる。
また、例えば、各領域41、42を、それぞれ異なる原子配置(結晶構造)の材料で構成することにより、各領域41、42中の原子の充填密度、原子間距離が異なり、その結果、電子雲の重なり方、すなわち、電子状態等を異ならせることができる。
さらに、例えば、各領域41、42のサイズ、例えば、チューブ状であれば外径、長さ、粒状であれば粒径等が異なることにより、前述と同様、各領域41、42中の原子および分子の電子状態等を異ならせることができる。
例えば、第1の領域41と第2の領域42の各伝導帯下端準位を異ならせることにより、各領域41、42を移動する電子の挙動を制御し、電子輸送層4全体の電子移動度、電子注入効率等のような性能を調整することができる。
以下、前記設定の方法について具体的に説明する。
ここでは、第1の領域41と第2の領域42を、それぞれ異なる組成の材料で構成する場合について説明する。
この場合、図3に示す発光層Lに注入された電子が、電界の向きと逆方向に移動しても、第2の領域42の高い伝導帯下端準位にブロックされるため、第1の領域41側への移動を抑制される。したがって、陰極3から電子輸送層4への電子の注入が阻害されることなく、発光素子1の発光効率をより向上させることができる。
また、金属酸化物の中でも、第1の無機半導体材料としては、酸化チタン(TiO2)を主成分とするものがより好ましい。酸化チタンは、化学的に特に安定で、また、電子輸送能に特に優れるものである。
この場合、図3に示す陰極3からバリヤ層8を介して第1の領域41に注入された電子は、より低い準位へと移動しようとするため、第2の領域42を介して、容易に発光層Lへと移動することができる。したがって、電子輸送層4全体としての電子移動度が(カスケード的に)向上し、発光素子1の発光効率をより向上させることができる。
また、この場合、第2の領域42の伝導帯下端準位は、発光層Lの伝導帯下端準位より高い方が好ましい。これにより、前記電子は、より確実に発光層Lへと移動することができる。
この場合、図3に示す第2の領域42側から移動してくる正孔が、第1の領域41の低い価電子帯上端準位にブロックされ、陰極3側へと流出するのを抑制することができる。その結果、発光素子1の発光効率をより向上させることができる。
チューブ43は、その長手方向の電子移動度が高い。したがって、電子輸送層4がチューブ43を含有することにより、電子輸送層4全体としての電子輸送能をより向上させることができる。
ここで、電子輸送層4が含有するチューブ43は、その外径が3〜70nm程度であるのが好ましく、5〜50nm程度であるのがより好ましい。チューブ43の外径が前記範囲内にあることにより、チューブ43の機械的強度が高くなり、安定した電子輸送を行うことができる。
なお、チューブ43は、その外径がほぼ一定な略円筒形の他、その外径が一方の端に向かって徐々に拡大または縮小する略円錐形(ホーン状)をなすもの、長手方向の途中で分岐するようなY字状をなすもの、または、これらが同心的に重なり合ったもの等であってもよい。
粒子44の平均粒径は、10〜150nm程度であるのが好ましく、20〜100nm程度であるのがより好ましい。粒子44の平均粒径が前記範囲内にあることにより、チューブ43同士の間隙をより効果的に充填し、電子輸送層4全体としての電子輸送能をより向上させることができる。
また、第2の領域42は、このような第1の領域41の少なくとも一部(図示の構成では、ほぼ全体)を層状に被覆している。これにより、第2の領域42の機能をより効果的に発揮させることができ、発光素子1の発光効率をより向上させることができる。
このような電子輸送層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜50μm程度であるのが好ましく、5〜30μm程度であるのがより好ましい。これにより、電子輸送層4の機械的強度(膜強度)が低下するのを防止しつつ、発光素子1の薄型化を図ることができる。
電子輸送層4には、図3に示すように、その外面および空孔の内面に沿って、発光層(発光部位)Lが形成されている。
このような発光層Lの構成材料(発光材料)としては、各種高分子の発光材料、各種低分子の発光材料を単独または任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このような発光材料の電子輸送層4への付着量は、特に限定されないが、電子輸送層4の1cm2当り、1×10−9〜1×10−6mol程度であるのが好ましく、1×10−9〜1×10−7mol程度であるのがより好ましい。かかる量の発光材料を電子輸送層4に付着させることにより、発光素子1の発光効率をより向上させることができる。
このような発光層Lに接触して、正孔輸送層5が設けられている。
正孔輸送層5は、陽極6から注入された正孔を、発光層Lまで輸送する機能を有するものである。
第1の領域51は、電解質組成物を主材料として構成されている。電解質組成物は、正孔の輸送能に優れるため、正孔輸送層5の一部を電解質組成物を主材料として構成することにより、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
この電解質組成物に用いる電解質としては、特に限定されないが、例えば、I/I3系、Br/Br3系、Cl/Cl3系、F/F3系のようなハロゲン系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられ、これらを単独または混合系として用いることができる。
I/I3系の電解質の具体例としては、例えば、I2と、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2のような金属ヨウ化物や、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドのような4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等との組み合わせ等が挙げられる。
また、電解質組成物には、t−ブチルピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジンのような塩基性化合物を添加することが好ましい。
さらに、電解質組成物中に、I:ポリマーを添加する方法、II:オイルゲル化剤を添加する方法、III:ポリマー前駆体を添加しておき、これを重合する方法、IV:ポリマーを添加しておき、これに架橋反応を生じさせる方法等により、電解質組成物をゲル化することができる。
これらの中でも、ポリマーとしては、特に、ポリアクリロニトリルおよびポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一方を主成分とするもことが好ましい。
IIIの場合、ポリマー前駆体としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂のような各種硬化性樹脂の前駆体等が挙げられる。
IVの場合、反応性基を含有するポリマーと、この反応性基と架橋反応する架橋剤とを併用することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エステル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化合物、α,β−不飽和スルホニル化合物、α,β−不飽和カルボニル化合物、α,β−不飽和ニトリル化合物等が挙げられる。
この第2の領域52の構成材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
また、前記化合物は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
特に、第2の領域52の構成材料としては、ポリチオフェン化合物を含有するもの、特に、前述のPEDOT/PSSが好適である。これにより、第1の領域51への正孔の注入効率をより向上させることができる。
なお、第1の領域51および第2の領域52のいずれか一方は、必要に応じて、省略することができる。
封止部材7は、陰極3、発光層Lが形成された電子輸送層4、正孔輸送層5および陽極6を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材7を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
このような発光素子1において、電子輸送層4と陰極3との間には、正孔輸送層5(第1の領域51)が電子輸送層4を介して陰極3と接触するのを防止または抑制する機能を有するバリヤ層(下地層)8が設けられている。
このバリヤ層(短絡防止手段)8は、正孔輸送層5が陰極3と接触するのを防止することができれば、その構成は任意であるが、図2に示すように、その空孔率が電子輸送層4の空孔率より小さくなるように形成されたものであることが好ましい。このような構成とすることにより、正孔輸送層5が陰極3と接触するのをより確実に防止または抑制することができる。また、このような構成のバリヤ層8は、比較的容易に形成することができる。
具体的には、バリヤ層8の空孔率Aは、20%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、2%以下であるのがさらに好ましい。すなわち、バリヤ層8は、緻密層であることが好ましい。これにより、前記効果をさらに向上させることができる。
具体的には、バリヤ層8の平均厚さは、3μm以下であるのが好ましく、0.1〜1μm程度であるのがよりに好ましい。これにより、前記効果をさらに向上させることができる。
さらに、バリヤ層8と電子輸送層4とは、図2に示すように一体化していること、すなわち、バリヤ層8と電子輸送層4とが一体的に形成されていることが好ましい。これにより、バリヤ層8と電子輸送層4との間での電子の受け渡しがより確実に(効率よく)行われるようになる。
なお、バリヤ層8の設置位置は、図示のものに限定されず、例えば、電子輸送層4と発光層Lとの間等に設けるようにしてもよい。
この場合、密な部分は、電子輸送層4の厚さ方向の任意の位置に、任意の数設けることができる。具体的には、電子輸送層4は、陰極3側に密な部分を一箇所設ける構成、発光層L側に密な部分を一箇所設ける構成、密な部分で粗な部分を挟んだ部分を有する構成や、粗な部分で密な部分を挟んだ部分を有する構成等とすることもできる。
このような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
この陰極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法のような気相成膜法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法のような液相成膜法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
このバリヤ層8は、例えば、ゾル・ゲル法、蒸着(真空蒸着)法、スパッタリング法(高周波スパッタリング、DCスパッタリング)、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法等により形成することができるが、これらの中でも、ゾル・ゲル法により形成することが好ましい。
このMOD法によれば、バリヤ層形成用材料中において、バリヤ層8の構成材料の前駆体の反応(例えば、加水分解、重縮合等)が防止されるため、バリヤ層8をより容易かつ確実に(再現性よく)形成することができる。また、得られるバリヤ層8を、緻密な(前記範囲内の空孔率の)ものとすることができる。
バリヤ層8を酸化チタンを主材料として構成する場合、その前駆体としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等の有機チタン化合物を用いることができる。
[3−1] 第1の領域41の形成
この第1の領域41は、例えば、第1の無機半導体材料のチューブ43および粒子44を含有する電子輸送層形成用材料を、バリヤ層8上に供給し、脱分散媒の後、焼成すること等により形成することができる。
電子輸送層形成用材料の供給方法としては、前述したような各種塗布法を用いることができる。
ここで、酸化チタンを主材料とするチューブ43の製造方法を代表に説明する。
この酸化チタンの合成には、例えば、ゾル・ゲル法、気相法、液相法等の方法を用いることができる。
例えば、ゾル・ゲル法では、まず、酸化チタンの前駆体であるチタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシドと溶媒を混合した溶液を調製し、この溶液に酸を添加する。
また、酸としては、例えば、硝酸、塩酸、酢酸等を用いることができる。
次いで、この溶液に水を添加することにより、前駆体を加水分解させるとともに、溶媒および水を除去して、ゲル化物を得る。そして、このゲル化物を高温で焼成することにより、酸化チタンを得る。
気相法は、含水酸化チタンを高温で焼成することにより、酸化チタンを得る方法である。
次いで、この溶液中の塩を加水分解して、不溶性の含水酸化チタンを沈殿させ、溶液中の溶媒を除去することにより、含水酸化チタンを得る。そして、この含水酸化チタンを高温で焼成することにより、酸化チタンを得る。
液相法は、四塩化チタンを酸素および水素とともに加熱することにより、酸化チタンを得る方法である。これにより、四塩化チタンは、チタン単体に変化するとともに酸化され、酸化チタンとなる。
次に、得られた酸化チタンからチューブ43を得る。
まず、酸化チタンを、アルカリ性溶液中に添加し、アルカリ処理を行う。
また、アルカリ処理では、加熱を伴うのが好ましく、その加熱条件は、通常、加熱温度が60〜150℃程度、加熱時間が10〜20時間程度である。
次に、溶液中の溶媒を除去し、沈殿物を1〜10時間程度、混練することにより、チューブ43を得ることができる。
混練方法としては、特に限定されないが、例えば乳鉢を用いた混練等が挙げられる。
なお、本実施形態では、酸化チタンを主材料とするチューブ43の製造方法を代表に説明したが、他の無機半導体材料を主材料とするチューブ43も酸化チタンと同様の製造方法を用いて製造することができる。
この第2の領域42は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等の各種気相成膜法を用いて形成することができる。
また、第2の領域42は、前記工程[3−1]と同様に、第2の無機半導体材料を含有する電子輸送層形成用材料を、第1の領域41上に供給し、脱分散媒の後、焼成すること等により形成することもできる。
この発光層Lは、例えば、電子輸送層4に発光材料を含む液を接触させた後、脱溶媒(または脱分散媒)すること等により形成することができる。
これにより、発光材料が電子輸送層4の外面および空孔の内面に、例えば吸着、結合等して、これらの面に沿って発光層Lが形成される。
発光材料を含む液を調製する溶媒(または分散媒)としては、例えば、各種水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、必要に応じて、前記積層体に対して、例えば60〜100℃程度の温度で、0.5〜2時間程度、熱処理を施してもよい。これにより、発光材料をより強固に電子輸送層4に吸着(結合)させることができる。
この陽極6は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[6] 次に、陽極6の下面に、第2の領域52を形成する。
この第2の領域52は、発光層Lと同様にして形成することができる。
[8] 次に、封止部材7に設けられた注入口(図示せず)から、電解質組成物を、発光層Lが形成された電子輸送層4と、第2の領域52との間の空間に注入する。
次いで、注入口を、例えば接着剤等の封止材により封止する。
以上のような工程を経て、本発明の発光素子1が製造される。
なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
図4は、本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図4に示すディスプレイ装置10は、基体20と、この基体20上に設けられた複数の発光素子1とで構成されている。
回路部22は、基板21上に形成された、例えば酸化シリコン層からなる保護層23と、保護層23上に形成された駆動用TFT(スイッチング素子)24と、第1層間絶縁層25と、第2層間絶縁層26とを有している。
駆動用TFT24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
このような回路部22上に、各駆動用TFT24に対応して、それぞれ、発光素子1が設けられている。また、隣接する発光素子1同士は、第1隔壁部31および第2隔壁部32により区画されている。
そして、各発光素子1を覆うように封止部材(図示せず)が基体20に接合され、各発光素子1が封止されている。
このようなディスプレイ装置10(本発明の発光装置)は、各種の電子機器に組み込むことができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置10で構成されている。
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置10で構成されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
以上、本発明の発光素子、発光装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
1.発光素子の製造
(実施例1)
[1] まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を2枚用意した。
[2] 次に、一方のガラス基板上に、真空蒸着法によりAlLiを被着させ、平均厚さ300nmの陰極を形成した。
なお、陰極の表面抵抗は、約5Ω/□であった。
なお、このバリヤ層の空孔率は、2%であった。
[4] 次に、このバリヤ層上に、平均厚さ10μmの電子輸送層を形成した。
[4−1] まず、第1の領域を形成した。
ゾル−ゲル法により合成した酸化チタンを乳鉢で混練し、チューブ状の酸化チタン(外径:5nm、長さ:30nm、比表面積:500m2/g)を得た。
次に、酸化チタン粒子(平均粒径:10nm)を用意した。
次いで、これらのチューブ状および粒状の酸化チタンとポリエチレングリコールとを含有するエタノール水溶液を調製した。なお、チューブ状の酸化チタンと粒状の酸化チタンとの比率は、重量比で60:40となるようにした。
次いで、チューブ状および粒状の酸化チタンの集合物に対して、600℃×2時間で焼成を行った。これにより、第1の領域を得た。
なお、この第1の領域の空孔率は、30%であった。
また、酸化チタンの伝導帯下端準位は、4.5eVである。
基板の温度を350℃に設定し、第1の領域上に、真空蒸着法により硫化カドミウム(CdS)を被着させた。
なお、蒸着時の真空度は1×10−4Pa、蒸着速度は1nm/秒であった。
また、硫化カドミウムの伝導帯下端準位は、4.8eVである。
なお、イリジウム錯体の電子輸送層の1cm2当りでの付着量が、1×10−8molとなるようにした。
なお、ITO電極の表面抵抗は、約40Ω/□であった。
[7] 次に、この陽極上に、PEDOT/PSS(正孔輸送材料)を含有する水分散液をスピンコート法(2000rpm)により塗布した後、乾燥した。
これにより、平均厚さ20μmの正孔輸送層の第2の領域を形成した。
また、形成される空間の平均厚さが、40μmとなるようにした。
[9] まず、電解質としてI2とLiIとを、エチレングリコールに溶解して、液状の電解質組成物を調製した。なお、電解質の濃度は、10wt%とした。
次いで、この電解質組成物を、注入口から注入した後、この注入口をエポキシ樹脂接着剤で封止した。
これにより、正孔輸送層の第1の領域を形成して、発光素子を完成させた。
電子輸送層において、チューブ状の酸化チタンと粒状の酸化チタンを、両者の比率が、重量比で80:20となるように添加した以外は、前記実施例1と同様にして、発光素子を製造した。
(実施例3)
電子輸送層において、粒状の酸化チタンの添加を省略した以外は、前記実施例1と同様にして、発光素子を製造した。
(実施例4)
第2の領域において、硫化カドミウムに代えて酸化スズ(SnO2)を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、発光素子を製造した。
なお、酸化スズの伝導帯下端準位は、4.1eVである。
各実施例で製造した発光素子について、それぞれ、発光効率および耐久性(寿命)の評価を行った。
この発光効率の評価は、直流電源により、0Vから6Vに電圧を印加し、電流値を測定し、輝度を輝度計により測定することで行った。また、耐久性(寿命)の評価は、初期輝度400cd/m2の定電流駆動を行うことで行った。
その結果、各実施例の発光素子では、いずれも、高い発光効率および優れた耐久性が確認され、特に、実施例2の発光素子において、より顕著であった。
Claims (19)
- 陰極と陽極との間に、電子輸送層および発光層を介挿してなる発光素子であって、
前記電子輸送層は、前記第1の無機半導体材料を主材料として構成される第1の領域と、第2の無機半導体材料を主材料として構成され、前記第1の領域と特性の異なる第2の領域とを有することを特徴とする発光素子。 - 前記特性の相違は、前記無機半導体材料の組成の相違、前記無機半導体材料の原子配置の相違、前記領域の形状の相違および前記領域のサイズの相違のうちの少なくとも1つにより生じるものである請求項1に記載の発光素子。
- 前記特性の相違は、前記領域の伝導帯下端準位の相違である請求項1または2に記載の発光素子。
- 前記第2の領域の伝導帯下端準位が、前記第1の領域の伝導帯下端準位より高い請求項3に記載の発光素子。
- 前記第1の領域の伝導帯下端準位と、前記第2の領域の伝導帯下端準位との差は、0.1〜0.5eVである請求項4に記載の発光素子。
- 前記第2の領域は、前記発光層側から前記第1の領域側へ電子が移動するのを抑制する機能を有するものである請求項4または5に記載の発光素子。
- 前記第1の無機半導体材料は、金属酸化物を主成分とするものである請求項4ないし6のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1の無機半導体材料は、酸化チタンを主成分とするものである請求項7に記載の発光素子。
- 前記第2の無機半導体材料は、金属硫化物、金属セレン化物および金属リン化物のうちの少なくとも1種を主成分とするものである請求項7または8に記載の発光素子。
- 前記第2の領域は、前記第1の領域に接している請求項1ないし9のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第2の領域は、前記第1の領域の少なくとも一部を膜状に被覆している請求項1ないし10のいずれかに記載の発光素子。
- 前記膜状の第2の領域は、その平均厚さが0.1〜10nmである請求項11に記載の発光素子。
- 前記第1の領域は、チューブ状および/または粒状をなす部分を有する請求項1ないし12のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1の領域のチューブ状をなす部分は、その外径が3〜70nmである請求項13に記載の発光素子。
- 前記第1の領域のチューブ状をなす部分は、その長さが5〜300nmである請求項13または14に記載の発光素子。
- 前記第1の領域のチューブ状をなす部分は、その比表面積が50〜2000m2/gである請求項13ないし15のいずれかに記載の発光素子。
- 前記第1の領域の粒状をなす部分は、その平均粒径が10〜150nmである請求項10ないし16のいずれかに記載の発光素子。
- 請求項1ないし17のいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
- 請求項18に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
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