JP2006265643A - 希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法及び希土類焼結磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた流動性を有する顆粒を得て、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を製造する方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】 希土類焼結磁石の原料粉および液体をチャンバ11内に投入し、チャンバ11とチャンバ11内に設けられた主翼12とを相対的に回転させることによって液体を介して原料粉を凝集させ、得られた凝集物をチャンバ11内に設けられた補助翼13でほぐすことで顆粒を作製する。この顆粒を振動篩にかけて粒度を整えた後に金型キャビティに投入し、顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得て、この成形体を焼結することによって、希土類焼結磁石を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、Nd−Fe−B系に代表される希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に原料粉体を顆粒化した後に粒度を整えることにより、磁場中成形時の金型への充填性を向上させて高い生産性を得るとともに、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得る技術に関するものである。
希土類焼結磁石を製造する際、焼結に供する原料粉を微細化することにより飽和磁束密度及び保磁力等の磁気特性を確保している。ところが、原料粉の微細化は、成形体の寸法精度、生産性を阻害する要因となる。
原料粉は磁場中での加圧成形により成形体を構成する。この磁場中成形において、静磁場又はパルス磁場を印加して原料粉の粒子を配向させる。この磁場中成形時、原料粉が微細であるほどその流動性が悪く、金型への充填性が問題となる。粉末の金型への充填性が劣ると、金型へ粉末を十分に充填することができないために成形体の寸法精度が得られない、あるいは金型への充填自体に時間がかかって生産性を阻害するという問題がある。特に薄肉形状や複雑形状の成形体を精度よくかつ効率的に作製することは困難である。
原料粉の流動性向上の手段の一つとして原料粉の顆粒化が試みられている。
原料粉を顆粒化するには、希土類金属粉末にバインダを添加したスラリをスプレードライすることにより顆粒化する提案が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
また、チャンバ内で流体の流れ(気流)を生じさせ、この流れによってチャンバ内の原料粉に運動エネルギーを与えることで、顆粒化を図る技術も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平8−107034号公報 特開2004−131815号公報
しかしながら、特許文献1の技術のように、スプレードライヤーを用いる手法では、原料粉を含むスラリをノズルから熱風中に吹き込むことで顆粒を形成するわけであるが、形成された顆粒が高速でスプレードライヤーの内壁にぶつかったり、気流中で顆粒同士がぶつかり合いを繰り返しながら落下するので、顆粒径が大きくなり、顆粒の形が一定に揃いづらい。また、特許文献2の技術のように、チャンバ内の流体の流れによって顆粒を形成する手法においても、原料粉(顆粒)は気流によってチャンバ内で上昇や下降を繰り返し、チャンバ内壁への衝突や顆粒同士の衝突を繰り返す。これらの衝撃により顆粒が崩壊してしまい、顆粒の収量が低下してしまうという問題が伴う。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、優れた流動性を有する顆粒を作製し、さらに顆粒の粒度を整えることで、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を製造する方法等を提供することを目的とする。
本発明者等は転動によって顆粒を作製したところ、効率よく高い流動性を有する顆粒の作製を行うことができた。ところが、この顆粒は粒度分布が大きいことが確認された。この顆粒を振動体上に供給したところ、粒度分布を小さく調整できることを知見した。すなわち本発明の希土類焼結磁石の製造方法、希土類焼結磁石の原料粉及び顆粒化助剤を含む原料組成物を転動して顆粒を得る工程と、顆粒を振動体上に供給して、顆粒の粒度分布を調整する工程と、顆粒を金型キャビティに投入する工程と、顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、成形体を焼結する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、振動体としては振動篩を用いることが好ましい。粒度分布を調整できるとともに、所定粒度以下となった顆粒は、篩の目開きを通過するので、効率よく所定粒度及び粒度分布を有する顆粒を得ることができる。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、顆粒を得る工程は、原料組成物をチャンバ内に投入し、チャンバとチャンバ内に設けられた主翼とを相対的に回転させることによって顆粒化助剤を介して原料粉を凝集させ、得られた凝集物をチャンバ内に設けられた補助翼でほぐすことで顆粒を作製することものが好ましい。
このように、チャンバと主翼とを相対的に回転させることによって原料粉と顆粒化助剤を凝集させ、さらに、得られた凝集物を補助翼でほぐすことで顆粒を作製すると、顆粒は高速でチャンバや他の凝集物に衝突することもなく、良好に顆粒が作製される。
本発明に用いる顆粒化助剤としては、原料粉の顆粒化を補助する(促進させる)ものであれば、いかなるものを用いても良い。
ところで、原料粉の顆粒化を行うと、流動性は向上するが、顆粒を構成する原料粉同士の結合力のために、原料粉が磁場配向しにくくなり、磁気特性、特に残留磁束密度が低下するという問題がある。このため、顆粒としては、磁場配向時に磁場を印加することで容易に結合が破壊される程度の弱い結合力で顆粒が構成されるのが望ましい。
特に、特許文献1に示したように、顆粒化助剤としてPVA(ポリビニルアルコール)等のバインダを用い、原料粉を付着する場合、原料粉同士の付着力が比較的強い。このように付着力の強い顆粒を磁場中成形に供しても、各原料粉を配向させることは容易ではない。また、バインダに含まれる炭素が磁気特性低下の要因となることから、このバインダを除去する工程が必要となる。
このような問題に対し、発明者らは、鋭意検討を行った。従来のバインダを用いる顆粒化技術では、バインダを溶解する溶媒として、また、原料粉を分散する分散媒として、所謂有機溶媒を所定量含むスラリを作製していた。本発明者らは、この有機溶媒に着目した。その結果、バインダを用いず、有機溶媒のみで顆粒を作製することができ、この顆粒は金型充填時の流動性に優れること、さらに有機溶媒のみで作製されたこの顆粒は原料粉同士の付着力が比較的弱いため、磁場中成形時に印加される磁場により原料粉に分離して、良好な配向状態を実現できることを確認した。また、有機溶媒に代えて、水を用いることでも、顆粒を同様に作製できることを確認した。
このような知見に基づき、本発明の希土類焼結磁石の製造方法で用いる顆粒化助剤は、有機液体や水等、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下、20℃における表面張力が20dyn/cm以上、20℃における粘度が0.35cp以上の特性を有するものとするのが好ましい。なお、有機溶媒と同様の物質を用いるが、溶剤として機能しないために、有機液体と表現する。
また、有機液体や水等を顆粒化助剤に用いる場合、顆粒を作製するための湿分として必要とされる顆粒化助剤の量と、顆粒がその形態を維持するために必要な顆粒化助剤の量には差異があり、後者の方が少なくて済むことがわかった。顆粒化助剤は、従来のPVA等のバインダに比べて磁気特性に及ぼす影響は極めて小さいといえるが、顆粒を形成している状態の顆粒化助剤の量が希土類焼結磁石の磁気特性に影響を及ぼすことも確認された。このため、顆粒を作製した後、顆粒化助剤の一部を除去するのが好ましい。さらに、原料粉間のファンデルワース力により、顆粒が維持できるのであれば、顆粒化助剤を完全に除去しても良い。1つの基準として、高い磁気特性を得たい場合には顆粒化助剤を完全に除去し、磁気特性よりも顆粒の持つ流動性を優先させたい場合には顆粒化助剤を残存させればよい。
上記のように、顆粒形成後のいずれかの段階で顆粒化助剤の一部または全部を除去する工程を設けることにより、磁気特性の問題を解消することはできるが、製造コストの観点からすると、この顆粒化助剤の除去工程が簡易であることが望まれる。この要求を満足させるべく、顆粒を一旦作製した後に、顆粒の形態維持に必要な量を残してその他の顆粒化助剤を除去することが本発明の目的達成に有効であろうことを知見した。すなわち、顆粒形成後に除去の容易な液成分と、この液成分よりも除去の難しい第1の有機液体を用いて顆粒を作製すれば、その後除去の容易な液成分のみを優先的に顆粒から除去できる一方、除去の難しい第1の有機液体を顆粒に残留させることができるのである。これにはすなわち、顆粒化助剤として、第1の有機液体と第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いる。液成分は、水等でも良いが、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い有機液体(第2の有機液体)を用いることができる。
本発明により、希土類焼結磁石の原料粉を含む顆粒に磁場を印加して加圧成形し、焼結することにより得られる希土類焼結磁石であって、顆粒は、原料粉と顆粒化助剤とをチャンバ内において回転する主翼と、主翼とは異なる方向へ回転する補助翼により転動造粒され、さらに転動造粒後に振動篩にかけられた希土類焼結磁石が提供される。
この原料粉は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmであることが好ましい。
本発明によれば、優れた流動性を有する顆粒を得て、成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図るとともに、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を製造する方法等を提供することが可能となる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本実施の形態では、顆粒化助剤としての有機液体により一次合金粒子(原料粉)同士を付着させることにより粉末を顆粒化する。有機液体が粒子間に存在することにより液体架橋が生じて一次合金粒子同士を付着させて顆粒を形成する。そしてこの顆粒を振動体、好適には振動篩にかけると、互いに付着することで大きな塊となってしまった顆粒を崩して適度な大きさの顆粒とすることができる。一方、適度な大きさの顆粒に成り損ねた微細な粉末又は顆粒を有機液体により顆粒に巻き込んで適度な大きさの顆粒とすることができる。以上の結果、粒度分布の狭い顆粒を得ることができる。しかも、振動篩の目開きを通過することにより、所定の粒度の顆粒を得ることができる。
以上で得られた顆粒の付着力は、従来のPVA等のバインダによる付着力に比べて極めて弱いため、磁場中成形時に印加される磁場によって容易に崩壊して一次合金粒子に分離し、高い配向度を得ることができる。さらにこの顆粒は粒度分布が狭いため、流動性に優れ、成形体の寸法精度を向上させ、生産性を向上させるとともに、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができる。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法について以下説明する。
焼結磁石の原料となる原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R214B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金はまず粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。
粗粉砕工程では、まず原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行なう。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程にて粗粉砕をさらに粉砕して原料粉(微粉砕粉末)を得る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金を混合するタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
以上で得られた原料粉を造粒して顆粒を作製する。
顆粒の作製では、図1、図2に示すような造粒装置10を用いて、転動すなわち個々の原料粉を転がすような動きを微粉砕粉末に与えることにより、顆粒を得ることができる。
図1および図2に示すように、造粒装置10は、チャンバ11内に、主翼12と、補助翼13とを備えた構成を有している。
チャンバ11は、図示しない開閉可能な蓋を備えており、蓋を閉じた状態で気密に密閉されるようになっている。また、チャンバ11には、図示しない流体スプレーノズルや滴下ノズルにより、有機液体が添加できるようになっている。
主翼12は、回転軸12aに、複数の翼部材12bが設けられたもので、図示しない駆動モータによって回転軸12aの軸線回りに回転駆動されるようになっている。補助翼13も、同様に、回転軸13aに、複数の翼部材13bが設けられたもので、図示しない駆動モータ、あるいは主翼12を回転させるための駆動モータからギヤやタイミングベルト等の駆動力伝達機構を介して伝達される駆動力によって、回転軸13aの軸線回りに回転駆動されるようになっている。
このような造粒装置10には、主翼12の設置形態により、図1に示すような縦型と、図2に示すような横型とがある。
図1に示す縦型の造粒装置10Vにおいては、主翼12は、回転軸12aが、チャンバ11内でほぼ鉛直方向に軸線を有するよう設けられている。そして、補助翼13は、主翼12の上方に設けられ、回転軸13aが、チャンバ11内でほぼ水平方向に軸線を有するよう設けられている。
また、図2に示す横型の造粒装置10Hにおいては、主翼12は、回転軸12aが、チャンバ11内でほぼ水平方向に軸線を有するよう設けられている。主翼12の翼部材12bは、チャンバ11の円周方向に連続する周壁11aに沿うように延出しており、補助翼13は、これら翼部材12bの内方に位置するよう設けられている。
このような造粒装置10V、10Hでは、チャンバ11内に、前記したような工程で得られた微粉砕粉末と有機液体をそれぞれ所定量投入し、主翼12、補助翼13を回転駆動させることで、顆粒を造粒する。このとき、主翼12によってチャンバ11内で微粉砕粉末および有機液体を転動させることで、微粉砕粉末を、有機液体を介して凝集させて凝集物を形成し、回転可能な補助翼13によって凝集物をほぐすことで、顆粒は高速でチャンバ11や他の凝集物に衝突することもなく、良好に顆粒を作製するようになっている。
造粒装置10V、10Hにおいて、予め設定された所定時間の間、上記の造粒を行なうことで、チャンバ11内で、微粉砕粉末が有機液体を介して凝集して造粒され、顆粒が作製される。
なお、チャンバ11に微粉砕粉末を投入した後には、微粉砕粉末の酸化を防ぐため、チャンバ11内を窒素等の不活性ガスに置換するのが好ましい。このとき、主翼12を一定時間回転させて微粉砕粉末をほぐすとともに、微粉砕粉末の空隙に存在するエアを追い出しながら、チャンバ11内を不活性ガスに置換するのがさらに好ましい。
また、有機液体の投入タイミングは、微粉砕粉末と同時でも良いが、前記のように微粉砕粉末の投入後に、主翼12を一定時間回転させてから、有機液体を投入するのが好ましい。
さらに、有機液体を所定量投入した後も、主翼12を一定時間回転させて、微粉砕粉末に有機液体をなじませ、顆粒化を促進させるのが良い。
このとき、用いる有機液体としては、炭化水素系化合物、アルコール系化合物、エーテル系(グリコールエーテル系を含む)化合物、エステル系(グリコールエステル系を含む)化合物、ケトン系化合物、脂肪酸系化合物、テルペン系化合物の1種又は2種から選択することができる。このような有機液体の具体例を挙げると、炭化水素系化合物としては、トルエン、キシレン、アルコール系化合物としては、ターピネオール、エタノール、エーテル系化合物としては、ブチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、エステル系化合物としては、酢酸エチル、ケトン系化合物としては、アセトン(ジメチルケトン)、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等がある。
もちろん、ここに挙げた有機液体に限るものではなく、これ以外にも、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等や、グリセリン等、他の有機液体を用いることも可能である。
なお、有機液体は、一般に有機溶媒と呼ばれている物質を包含するが、本発明では溶媒として機能しないことから有機液体と呼んでいる。
有機液体を用いて作製された顆粒は、有機液体が、少なくとも微粉砕粉末同士の接点に存在し、その液体架橋力によって微粉砕粉末同士が付着されている。このとき、微粉砕粉末同士の接点には、液体中に、微粉砕粉末同士を付着させるためのバインダ等の固体成分を実質的に含まない。ただし、粉砕性の向上並びに成形時の配向性を向上させるために潤滑剤を添加した場合、この潤滑剤の固体成分が液体中に存在することを許容するものとする。
有機液体を用いて作製される顆粒は、所定の工程までその形状を維持している必要がある。一旦作製された顆粒がその形状を維持できなくなると、微細な一次合金粒子の脱落が生じたりすることで顆粒の流動性が低下してしまう。そこで本発明では、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下の有機液体を用いることが望ましい。より望ましい20℃における飽和蒸気圧は20mmHg以下、さらに望ましい20℃における飽和蒸気圧は5mmHg以下である。
本発明に用いる有機液体はまた、一次合金粒子間に顆粒を維持するための十分な付着力を付与する必要がある。そのために、有機液体の表面張力、粘度を特定することが本発明では望ましい。望ましい有機液体の表面張力は、20℃において20dyn/cm以上である。より望ましい20℃における表面張力は25dyn/cm以上、さらに望ましい20℃における表面張力は30dyn/cm以上である。また、望ましい有機液体の粘度は、20℃において0.35cp以上である。より望ましい20℃における粘度は1cp以上、さらに望ましい20℃における粘度は2cp以上である。
微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は特に制限されないが、有機液体の添加量が少なすぎると、一次合金粒子同士に液体架橋を生じさせるに足る液量を確保することができないために、顆粒化が困難である。一方、有機液体の添加量が多すぎると、得られた顆粒から有機液体を除去する場合に、有機液体を所定時間内に除去するのが困難になるおそれがある。以上より、微粉砕粉末に対する有機液体の添加量は1.0〜20.0wt%とすることを推奨する。より望ましい有機液体の添加量は2.0〜18.0wt%、さらに望ましい有機液体の添加量は4.0〜15.0wt%である。
また、顆粒を形成するに際して、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製することもできる。この場合、液成分は、有機液体(第2の有機液体)であることが望ましいが、たとえば水等の有機液体以外の液体を用いてもよい。水(20℃における飽和蒸気圧=17.5mmHg)は一次合金粒子を酸化するおそれがあるが、添加する量が少ないこと、さらに、一次合金粒子を酸化するおそれの少ない純水等を用いることができることから、本発明では有機液体以外の液成分を許容している。
表1に各種有機液体の飽和蒸気圧を示しており、この値を基準として第1の有機液体、第2の有機液体を選定すればよい。例えば、第1の有機液体としては、ピネン、メンタン、ターピネオールを含むテルペン系化合物、酢酸ブチルカルビトール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール、カルビトール、セロソルブ、ブチルセロソルブ、無水プロピオン酸を用いることができる。また、第2の有機液体としては、トルエン、キシレン、エタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソブチルアルコール、酢酸n−ブチル、ジブチルエーテルを用いることができる。ただし、これはあくまで例示であって、本発明の範囲を確定するものではない。例えば、第1の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできるし、第2の有機液体として例示されたもののなかで、第1の有機液体、第2の有機液体を構成することもできる。
Figure 2006265643
第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製する場合、微粉砕粉末に対する第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。第1の有機液体がないと液体架橋による顆粒形成が容易でなくなり、一方6.0wt%添加すれば形成された顆粒の形態維持に十分であり、それを超える添加は磁気特性を低下させる要因となる。そこで第1の有機液体の添加量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)とするのが望ましい。また、液成分(第2の有機液体)の添加量は20.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。液成分(第2の有機液体)がないと顆粒作製に必要な湿分を微粉砕粉末に対して与えることが難しく、20.0wt%を超えると湿分が多くなりすぎて、液成分(第2の有機液体)の除去に工数がかかることになる。そこで液成分(第2の有機液体)の添加量は、20.0wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。
以上のようにして得られた顆粒を振動篩にかける。上記転動により得られた顆粒は、互いに付着することで大きな塊となってしまった顆粒や、適度な大きさの顆粒に成り損ねた微細な粉末を含んでいる。そこでこの顆粒を振動篩にかけることで、大きな塊を適度な大きさの顆粒にほぐすことができる。また、微細な粉末をその他の顆粒に巻き込んで適度な大きさの顆粒とすることができる。特に顆粒に有機液体などの液体が含まれていると、その液体が顆粒の表面より滲出し、接触した微細な粉末に粘着して、造粒されるようにして適度な大きさの顆粒となる。このように振動篩にかけることで、顆粒の粒径を小さく整え、粒度分布が狭くなる。
振動篩は、振動を与えながら粉体(顆粒)を篩うことができる一般に使用されている装置を用いることができる。振動篩の装置に設けられたメッシュ状の水平面を持つ所定の容器に顆粒を投入し、容器を、装置に備え付けられた振動機械により自動的に振動させる。すると顆粒は容器内のメッシュ上で自由に回転し、粒度が整えられてメッシュの目から落下する。メッシュの目開きは適宜選択することができ、例えば 50〜800μm、好ましくは100〜500μmである。なお、水平面はメッシュのように目開きがあるものではなく、目開きのない凹凸のある水平面や、平らな水平面であってもよい。顆粒は平らな水平面上を転がるだけであっても、転動による造粒が起こり、粒径が整う。本発明においては、顆粒の粒度分布をより狭くするために、また資源を有効活用するために、振動篩に設けられたメッシュの目開きを全て通過させ、通過した顆粒を全て後の工程に使用することが好ましいが、全てを通過させるには工程上時間がかかる場合などは、メッシュの目開きを通過したものだけ使用する、または、メッシュの目開きを通過したものとメッシュ上に残ったものとを適宜混合して使用してもよい。
以上のようにして振動篩にかけられた顆粒から有機液体を一部、または完全に除去することもできる。また、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製した場合には、液成分(第2の有機液体)を除去する。
有機液体や液成分を除去するための具体的な手段は特に限定されないが、減圧雰囲気に顆粒を晒して揮発させることが簡易かつ効果的である。減圧雰囲気は室温であってもよいが、加熱された減圧雰囲気とすることもできるし、減圧していない加熱雰囲気とすることもできる。減圧雰囲気の圧力が低すぎると有機液体の揮発が十分に進まない。そこで本発明は、減圧雰囲気の圧力を10-1〜10-5Torr(133×10-1Pa〜133×10-5Pa)の範囲とすることが望ましい。ただし、加熱された減圧雰囲気の場合は、100〜10-2Torr(133×100Pa〜133×10-2Pa)の範囲で足りる。このときの加熱温度が低すぎると有機液体の揮発が十分進まず、逆に加熱温度が高すぎると顆粒を構成する一次合金粒子に酸化が生じ磁気特性の劣化を招くおそれがある。したがって本発明では、加熱温度を40〜80℃とすることが望ましい。
なお、液体を除去する工程は、上記では顆粒を振動篩にかけた後実施しているが、本発明はこれに限定されず、顆粒を振動篩にかける前に行なうこともできる。ただし、顆粒はある程度液体を含有している状態で振動篩にかける方がより粒度が整いやすい。したがって、振動篩の前に液体を除去する場合には、全ての液体を除去せずに、例えば第2の有機液体のみ除去して第1の液体はそのまま残して振動篩にかけるなど、有機液体をある程度の液体が顆粒に含まれるように処理することが好ましい。
以上のようにして有機液体や液成分が除去された顆粒は、有機液体が一部除去された場合には、残存する有機液体の液体架橋力とファンデルワース力によって、顆粒の形態を維持している。また、有機液体が完全に除去された場合には乾燥状態となり、ファンデルワース力のみによって顆粒の形態を維持しているので顆粒が崩壊しやすい。また、第1の有機液体と、第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分を用いて顆粒を作製した場合には、液成分(第2の有機液体)が除去された顆粒に第1の有機液体が残留すれば顆粒の形態を維持しやすい。一方、顆粒に残留する第1の有機液体の量が多すぎると磁気特性向上の効果を享受することができない。そこで本実施の形態では、顆粒に残留する第1の有機液体の量は6.0wt%以下(ただし、0を含まず)の範囲とすることが望ましい。より望ましい顆粒に残留する第1の有機液体の量は0.1〜4.0wt%、さらに望ましい顆粒に残留する第1の有機液体の量は0.2〜3.0wt%である。
上記顆粒は磁場中成形に供される。
本発明で得られた顆粒は、磁場中成形の金型への充填性に優れる。したがって、所望する寸法精度の成形体を得ることができるとともに、高い生産性を確保するのに有効である。特に、薄肉形状や複雑形状の成形体を精度よくかつ効率的に作製することができる。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。この程度の磁場を印加することにより、顆粒は崩壊して一次合金粒子に分解される。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
次に本発明が適用される希土類焼結磁石について説明する。
本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが望ましい。このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR214B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
ストリップキャスト法により、26.5wt%Nd−5.9wt%Dy−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1wt%B−Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5.0μmの微粉砕粉末を得た。
以上の微粉砕粉末を造粒装置のチャンバ内に入れ、酸化防止のためチャンバ内部を窒素で満たした。造粒装置は、図2で示したような横型のもの(チャンバ容積は1.5リットル:高速流動型のスパルタンリューザ(ダルトン社製))を用いた。
その後、造粒装置の主翼を所定の速度で回し、微粉砕粉末を攪拌した。さらに、補助翼を回転させた。有機液体として、微粉砕粉末4000gに対してターピネオール(第1の有機液体)80gとエタノール(第2の有機液体)270gを、ノズルを用いてチャンバ内に所定時間をかけて添加した。
すべての有機液体を添加した後にも、有機液体と微粉砕粉末をなじませるため、主翼、補助翼を一定時間だけ回転させ続けた。その後、主翼、補助翼を停止し、造粒物をチャンバから取り出した。
続いて、取り出した顆粒(造粒物)に含まれる第2の有機液体であるエタノールを蒸発により除去した。微粉砕粉末の酸化を防ぐため、蒸発には真空チャンバを用い、減圧雰囲気にて蒸発させた。このようにしてエタノールを除去した顆粒を振動篩にかけた。振動篩として、電動篩い(ニットー製:AFN−300,(2800rpm))を用いた。この振動篩においてメッシュのついていないステンレス製の容器を用いて顆粒を1分間振動させて実施例1の顆粒を得た。また、この振動篩において目開きが500ミクロンであるメッシュを用いて顆粒を1分間振動させて実施例2の顆粒を得た。さらに、上記エタノールの除去前、すなわちエタノール及びターピネオールを含んだ顆粒を振動篩において目開きが500ミクロンであるメッシュを用いて1分間振動させ、その後上記同様の方法にてエタノールを除去して実施例3の顆粒を得た。
また、比較例1として、振動篩にかけず、かつエタノールを除去した顆粒を得た。
得られた実施例1〜3および比較例1の粒度分布を調べるために、なるべく顆粒に振動を与えないよう、メッシュを通過させる最低限の力を加えて少量ずつ篩い分けを行なった。結果を図3のグラフに示す。
図3に示すように、実施例1と比較例1を比較すると、メッシュの目開きがなくても振動を与えただけで顆粒が転動により造粒されて、微粉が減少した。実施例2では、目開きのある振動篩を用いた場合には、さらに粒度分布が狭まり、顆粒が所定の粒度に集中していることがわかる。振動篩による振動により、メッシュ上で顆粒が転動し、その結果造粒が更に進んだため考えられる。また、500ミクロン以下に造粒された顆粒はメッシュを通過しようとするため、転動によって肥大化することもない。乾燥前の顆粒を振動篩にかけ造粒を行った実施例3では、実施例2よりさらに粒度分布が狭まり、顆粒が所定の粒度に集中していることがわかる。このように液体を含有した顆粒を振動篩にかけると、微粉は転動作用により顆粒に付着することで減少した。また、大きすぎる顆粒は振動により破壊され、より小さな適度な大きさの顆粒となった。これらの結果、粒度分布が狭まくなったものと考えられる。
図4に実施例2、実施例3および比較例1の500μm以下の顆粒の外観SEM像を示す。図4からも明らかなように、振動篩を適用した実施例2、3の顆粒は微粉が少ない。乾燥前に振動篩にかけた実施例3は特に液体量が多かったためか、顆粒がより丸みを帯び、粒径が小さく粒度が整っていた。これら試料の安息角を以下の方法に基づいて測定したところ、比較例1が50.7°であったのに対し、実施例2が48.3°、実施例3が44.8°となり、振動篩を用いることで微粉が減り流動性が向上したことが分かった。
安息角測定方法:60mmφの円のテーブルの上に、一定高さからふるいを通して少しずつ顆粒を落下させた。顆粒の山が崩壊する直前で顆粒の供給を停止した。円テーブルの上にできた顆粒の山の底角を測定した。円テーブルを120°ずつ回転し、計3箇所について角度を測定し、その平均を安息角とした。
次に、有機液体として、微粉砕粉末4000gに対してターピネオールを20gとエタノール330gを用いた以外はそれぞれ実施例1〜3および比較例1と同様にして実施例4〜6および比較例2の顆粒を得た。得られた実施例4〜6および比較例2の顆粒における安息角を測定した。
また、以下の要領で金型への充填ばらつきを測定した。磁場中成形機に開口部15mm×4mmの金型を取り付け、フィーダを用いて顆粒を供給し、金型にすり切り充填した。このフィーダは、金型の上で水平方向に往復運動をする箱であり、箱の下部には供給孔が空けられている。箱の中には一定量の顆粒がためられており、この箱が往復運動すると、箱下部の供給孔から金型内部に粉体が落ちる仕組みになっている。流動性の良い顆粒ほど、一定回数の往復運動で多くの顆粒が落下することになる。以上のようにして金型へ顆粒を充填した後に、15kOeの磁場、1.4ton/cm2の圧力で成形を行い、成形体を得た。得られた成形体の重量を測定した。各顆粒について磁場中成形を50回行い、各成形体重量の標準偏差σを平均重量で割ったσ/ave.を100倍した値を充填ばらつき(%)とした。なお、平均重量で割ることにより、嵩密度の異なるそれぞれの顆粒の充填量を標準化している。
また、実施例4〜6および比較例2の顆粒からなる成形体強度の測定も行なった。成形体強度は、各顆粒を10g秤量し、18mm×20mmの開口部を持つ金型に充填し、上記と同条件で磁場中成形し、三点曲げ試験法により抗折強度を測定した。
さらに、以上のようにして得られた成形体を真空中およびAr雰囲気中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
実施例4〜6および比較例2の安息角、充填ばらつき及び焼結磁石の磁気特性を測定した結果を表2に示す。なお表2には、顆粒形成のための造粒を行わず、また篩にかけることなく、実施例4〜6と同じ材料の微粉砕粉を用いて成形し、焼結して得られた焼結磁石についても元材料として示している。
Figure 2006265643
表2に示すように、振動篩にかけた実施例4〜6は、元材料はもとより比較例2より安息角が小さく、流動性が高いことがわかる。特に、液体を含んだ状態で顆粒を振動篩にかけた実施例6は安息角が最も小さい。また、安息角の値が小さく、流動性の良い粉ほど金型に充填しやすく、その結果充填ばらつきが小さいことがわかる。また、実施例6は、磁気特性についても、比較例2、実施例4、5より優れていた。なお、元材料は磁気特性が比較例2や実施例4〜6と比較して高いが、安息角が大きく流動性が悪いため、充填ばらつきが著しく劣る。
なお、上記実施の形態では、顆粒を形成するために有機液体を用いたが、これに限るものではなく、他に、水等を用いることも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
縦型の転動式造粒装置の構成を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は平面図、(c)は(b)の右側面図である。 横型の転動式造粒装置の構成を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は(a)の右側面図である。 実施例および比較例で作製された顆粒の粒度分布を示すグラフである。 実施例および比較例で作製された顆粒外観を示すSEM像である。
符号の説明
10、10H、10V…造粒装置、11…チャンバ、12…主翼、13…補助翼

Claims (9)

  1. 希土類焼結磁石の原料粉及び顆粒化助剤を含む原料組成物を転動して顆粒を得る工程と、
    前記顆粒を振動体上に供給して、前記顆粒の粒度分布を調整する工程と、
    前記顆粒を金型キャビティに投入する工程と、
    前記顆粒に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記振動体が振動篩であることを特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記顆粒を得る工程は、前記原料組成物をチャンバ内に投入し、チャンバとチャンバ内に設けられた主翼とを相対的に回転させることによって前記顆粒化助剤を介して前記原料粉を凝集させ、得られた凝集物をチャンバ内に設けられた補助翼でほぐすことで前記顆粒を作製することを特徴とする請求項1または2記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記顆粒化助剤は、有機液体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記有機液体は、20℃における飽和蒸気圧が75mmHg(10.0kPa)以下、20℃における表面張力が20dyn/cm以上、20℃における粘度が0.35cp以上の特性を有することを特徴とする請求項4記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 前記有機液体は、第1の有機液体と前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い第2の有機液体とを含むことを特徴とする請求項4または5記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 粒度分布が調整された前記顆粒から前記有機液体の除去処理を行う工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  8. 希土類焼結磁石の原料粉を含む顆粒に磁場を印加して加圧成形し、焼結することにより得られる希土類焼結磁石であって、
    前記顆粒は、前記原料粉と顆粒化助剤とをチャンバ内において回転する主翼と、前記主翼とは異なる方向へ回転する補助翼により転動造粒され、さらに前記転動造粒後に振動篩にかけられたものであることを特徴とする希土類焼結磁石。
  9. 前記原料粉は、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む組成を有し、平均粒径が2.5〜6μmであることを特徴とする請求項8記載の希土類焼結磁石。
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