JP2006295142A - 圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱や電界等の負荷下での圧電素子の上部電極層と圧電薄膜層との間で生じる拡散等の反応を抑制し、信頼性に優れた圧電素子を提供することを目的とする。
【解決手段】基板1の一面に下部電極層2、圧電薄膜層3および上部電極層5を順次積層して形成した圧電素子8において、上部電極層5と圧電薄膜層3との間に拡散防止層4を設けることにより、熱や電界等の負荷による圧電薄膜層3と上部電極層5との間で生じる拡散反応を抑制することができることから、リーク電流の発生しない特性の安定した圧電素子8を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は例えばセンサ、アクチュエータなどに用いられる圧電薄膜を用いた圧電素子に関するものである。
ペロブスカイト型構造を有する強誘電体の圧電薄膜は優れた誘電性・圧電性・焦電性を有しており、各種センサ、アクチュエータ、トランスデューサなど幅広い圧電デバイスへの応用が期待されている。
圧電体は内部に自発分極を有しており、これに外圧が加わるとそのひずみによって分極電荷に変化が生じ、電流が発生する。逆に、圧電体に電圧を印加するとそれに応じて圧電体は伸縮する。
このような圧電体を薄膜技術にて形成した圧電素子は基板の上に下部電極層、圧電薄膜層および上部電極層を順次積層形成することにより構成することができ、この下部電極層と上部電極層との間に電圧を印加すると圧電薄膜層は伸縮し、機械的変位が得られるものである。
このような圧電薄膜による圧電素子の構造としては図7に示すようなものがある。図7は従来の圧電素子の構造を示す断面図であり、その構造はシリコン基板の上に、熱酸化もしくはCVD法により形成されたSiO2からなる振動板9を形成した後、スパッタ法もしくは蒸着法で形成された密着層(Ti)10および下部電極層(Pt)11、ゾルゲル法により形成された圧電薄膜層(PZT)12、電子ビーム蒸着法もしくはスパッタ法で形成された上部電極層13とからなっている。
このとき、密着層(Ti)10は振動板9と下部電極層11との密着力を高める観点から設けられているものである。
そして、この密着層10および下部電極層11には、PZTを結晶化するための焼成工程において、印加される熱によって密着層10を構成するTiが圧電薄膜層(PZT)12中に拡散することを防止するためにPbを含有させている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−94681号公報
しかしながら、前記従来の構成では、圧電薄膜層12の焼成工程における圧電薄膜層12と下部電極層11および密着層10との拡散のみしか考慮されておらず、焼成工程の後、特に上部電極層13を形成した後に印加される熱や電界等の負荷に関しては考慮されていない。例えば、圧電素子を自動車のエンジンルーム内の高温下で使用した場合、上部電極層13を構成する原子の圧電薄膜層12への拡散および圧電薄膜層12を構成する原子の上部電極層13への拡散などによって、圧電薄膜層12に電流リークが発生するという問題点を有していた。この理由として、例えば圧電薄膜層12にPb(Zr1-xTix)O3(PZT)を用いたとき、拡散反応によってPZT中の酸素原子が欠損すると、PZT中にPb過剰領域ができることによって電流のリークパスができるものと考えられる。あるいは、PbリッチのPZTはPbが結晶粒界にPbOとして偏析しており、その酸素原子が拡散すると結晶粒界に残ったPbがリークパスになるものとも考えられる。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、熱や電界等の負荷での圧電素子の上部電極層と圧電薄膜層との間で生じる拡散等の反応を抑制し、熱や電界が印加された状態においても信頼性に優れた圧電薄膜からなる圧電素子を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、基板の一面に下部電極層、圧電薄膜層および上部電極層を順次積層して形成した圧電素子において、上部電極層と圧電薄膜層との間に拡散防止層を設けた構成とするものである。
本発明の圧電素子は熱や電界等の負荷による圧電薄膜層と上部電極層との間で生じる拡散反応を抑制することができることから、大きな負荷のかかる環境下においても安定した特性を発揮することができる圧電素子を提供することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における圧電素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における圧電素子の構造を説明するための断面図、図2〜図5は本発明の実施の形態1における圧電素子の製造工程を説明するための断面図である。
図1において、本実施の形態1における圧電素子8は、シリコンなどの基板1の上にTiとPt薄膜を積層することによって下部電極層2を形成し、その上に圧電性に優れたPb(Zr1-xTix)O3薄膜などの圧電薄膜層3を形成している。この下部電極層2を形成する際には、基板1と下部電極層2の密着力を確保することが圧電素子の信頼性の観点から重要であり、そのために基板1と下部電極層2に対して親和性のあるTiなどの材料を用いて形成することが好ましく、さらに前記親和性のある材料とAu、Ptなどの低抵抗の金属材料を積層して形成することで密着力を確保することも効果的である。
また、圧電薄膜層3としてはPZT膜が圧電特性の観点からより好ましく、このPZT膜からなる圧電薄膜層3の結晶を(001)に配向させることによって圧電特性をより高めることが可能である。
次に、前記圧電薄膜層3の上に拡散防止層4を形成している。この拡散防止層4は圧電薄膜層3と結晶粒径あるいは格子定数などが異なるペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体酸化物が好ましい。また、このときの拡散防止層4の厚みとしては300〜2000Åが好ましい。
次に、この拡散防止層4の上にTiとAu薄膜を積層することによって上部電極層5を構成している。この上部電極層5を形成する際、上部電極層5と圧電薄膜層3の密着力を確保することが圧電素子の信頼性の観点から重要であり、そのために上部電極層5と圧電薄膜層3に対して親和性のあるTiなどの材料を用いて形成することが好ましく、さらに前記親和性のある材料とAu、Ptなどの低抵抗率の材料を積層して形成することで密着力を確保することも効果的である。このような上部電極層5と圧電薄膜層3に対して親和性のあるTiと同様の効果を発揮する金属としてはCr、Al、Cuなどの金属がある。
このような構成を有する圧電素子の圧電薄膜層3と拡散防止層4の結晶粒界は、その断面方向において不連続性を実現しておくことが重要であり、さらにこの拡散防止層4には圧電素子の電気特性を阻害するような材料は好ましくない。例えば、SiO2、Al23などの誘電体酸化物は拡散防止には効果があることが分かったが、このような酸化物を拡散防止層4に用いて作製した圧電素子は十分な圧電特性を示さないことが分かった。特に圧電薄膜層3と比べて拡散防止層4の誘電率が低いと、圧電素子を駆動するために印加した電圧は圧電薄膜層3に印加されずに拡散防止層4にその大半が印加されてしまうことになる。このような電気特性への弊害を防止するために拡散防止層4の構成材料について検討した結果、ABO3ペロブスカイト構造を有する誘電体酸化物が好ましいことが分かった。このABO3ペロブスカイト構造は単位格子の8つの頂点位置にAイオンが、体心位置にBイオンが、面心位置にOイオンが位置したものである。このような結晶構造を有する誘電体酸化物のc軸方向に電界を印加すると、BイオンとOイオンが相対的に逆方向に変位し、この電荷の相対的な偏位によって分極を生じる。このABO3型の誘電体酸化物としてはBaTiO3、Pb1-xLaxTiO3などがあり、SiO2、Al23などの誘電体酸化物に対して誘電率が比較的高い材料である。このペロブスカイト型構造を有する誘電体酸化物について、どの程度の誘電率が必要であるかについては圧電薄膜層3の誘電特性と拡散防止層4の誘電特性を加味するとともに圧電素子の等価回路定数に基づいて最適な回路定数になるように設計することが可能である。
圧電薄膜層3と拡散防止層4の結晶の不連続性を実現するためには圧電薄膜層3と格子定数、原子間距離の異なるペロブスカイト構造を有する誘電体酸化物を拡散防止層4に用いることが有効である。
また、スパッタ法で形成した(001)配向したPZTからなる圧電薄膜層3の上にスパッタ法とは異なる、例えばCVD法あるいはゾルゲル法などを用いて誘電体酸化物を形成することによって圧電薄膜層3と拡散防止層4との間に結晶の不連続性を有した薄膜積層構造を実現することができる。このような結晶の不連続性を持たせることによって、圧電薄膜層3の結晶粒界に上部電極層5を構成するTiが拡散したり、圧電薄膜層3の結晶粒界近傍の酸素原子が上部電極層5へ拡散することを防止することができるものである。
さらに、このような圧電薄膜層3にPb(Zr1-xTix)O3を形成したとき、このPb(Zr1-xTix)O3層と拡散防止層4との結晶界面において、結晶の不連続性を実現することができる材料としては、Mg添加のPb1-xLaxTiO3、無配向のPb(Zr1-xTix)O3などの誘電体酸化物が挙げられ、このような材料を拡散防止層4として用いることで、熱や電界等の負荷下における圧電素子の上部電極層5と圧電薄膜層3との間で生じる拡散等の反応をより抑制できるとともに、電気特性の安定した圧電薄膜からなる圧電素子8を実現することができる。
その結果、このような構成を有する圧電素子8を例えば自動車のエンジンルーム内の高温下で使用した場合、上部電極層5を構成する原子の圧電薄膜層3の結晶粒界への拡散および圧電薄膜層3を構成する原子の上部電極層5への拡散移動を抑制することができることから、圧電薄膜層3で発生するリーク電流を抑制できる圧電素子8を実現することができる。
次に、このような構成を有する圧電素子8の製造方法について図面を用いて説明する。
まず、図2に示すように厚みが500μmのシリコンからなる基板1の上に、基板1とその上に形成する圧電薄膜層3と親和性を有する材料としてTiを100〜200Åの厚みで形成し、その上にPtを4000〜5000Åの厚みで積層することによって下部電極層2を形成する。この下部電極層2を形成する方法としてはDCまたはRFマグネトロンスパッタリング等の方法が代表的である。
次に、図3に示すようにPb(Zr1-xTix)O3をスパッタリング等の方法により2〜3μmの厚みで圧電薄膜層3として形成する。(001)に配向したPb(Zr1-xTix)O3は高い圧電性を有することから、電気特性に優れた圧電素子8を実現することができる。
次に、図4に示すように、Mg添加のPb1-xLaxTiO3膜を300〜2000Åの厚みで拡散防止層4として圧電薄膜層3の上に形成する。この拡散防止層4に用いることができる材料としては圧電薄膜層3の結晶粒を核生成サイトとすることなく形成することができるペロブスカイト型構造を有する誘電体酸化物であることが好ましい。さらに、拡散防止層4の誘電体酸化物の結晶は圧電薄膜層3の結晶とは異なる位置もしくは異なる結晶サイズで成長させておくことが重要であり、その断面方向において不連続となるように形成している。
また、この拡散防止層4を無配向のペロブスカイト型の誘電体酸化物とした場合、その結晶は配向した圧電薄膜層3の結晶とは異なることから、拡散防止層4と圧電薄膜層3の結晶粒界はその断面方向において不連続とすることができる。圧電薄膜層3を配向したPb(Zr1-xTix)O3として形成したとき、拡散防止層4を無配向性結晶構造のPb(Zr1-xTix)O3を形成することが圧電特性、親和性の観点からより好ましい。このような構成を有する積層膜は薄膜形成プロセスを異ならせることによって実現することができる。
例えば、配向性を有するPb(Zr1-xTix)O3膜をスパッタ法で形成し、その上にCVD法あるいはゾルゲル法で無配向のPb(Zr1-xTix)O3膜を形成することによって作製することができる。
次に、図5に示すように上部電極層5として、例えば下地にCrやTi等、酸化物と親和性を有する金属を50〜200Åの厚みで薄く形成し、その後Au等をスパッタリング、真空蒸着法の方法により2000〜4000Åの厚みで形成することによって密着強度に優れた上部電極層5を形成することができる。
その後、この積層した薄膜をウェットエッチングまたはドライエッチングで目的の圧電素子の形状に加工することによってそれぞれの圧電素子8を作製することができる。
このような積層構造を有する圧電素子8(実施例)と、圧電薄膜層3と上部電極層5との間に拡散防止層4を形成していない圧電素子(従来例)に熱ストレスおよび電界ストレスを印加し、その時に生じるリーク電流の経時変化をモニタすることで、拡散防止層4の効果を評価した。評価には電極パターンを1cm×1cmの形状に形成した圧電素子を試料として用いた。加速試験として、これらの試料をホットプレート上で170℃まで加熱し、その状態で上部電極層5と下部電極層2に10V/μmの電界を印加し、そのときの圧電素子のリーク電流量を測定した。
その結果、拡散防止層4を形成していない従来の圧電素子(従来例)は10秒以下でリーク電流が発生するのに対して、拡散防止層4を導入した圧電素子8(実施例)は10000秒以上の時間が経過してもリーク電流は発生せず、優れた信頼性を有する圧電素子を実現していることが確認できた。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における圧電素子について、図面を参照しながら説明する。
図6は本発明の実施の形態2における圧電素子の断面図である。
図6において、特に実施の形態1と異なっている点は拡散防止層7として非晶質の誘電体材料を形成していることである。例えば、このような材料としては非晶質のPb(Zr1-xTix)O3を用いることができ、この拡散防止層7の上に上部電極層5を実施の形態1と同じ構成によって順次積層して構成している。この非晶質のPb(Zr1-xTix)O3膜は、例えば基板温度を約300℃前後の温度に設定してスパッタ法にて成膜することによって作製することができる。この非晶質のPb(Zr1-xTix)O3膜からなる拡散防止層7は結晶粒界が存在しないことから、このような構成を有する圧電素子8Aを、例えば自動車のエンジンルーム内の高温下で使用した場合においても、上部電極層5の構成原子の圧電薄膜層3の結晶粒界への拡散および圧電薄膜層3の構成原子が上部電極層5へ拡散移動することを抑制することができ、圧電薄膜層3のリーク電流の発生を抑制することができる圧電素子8Aを実現することができる。
次に、このような圧電素子8Aの作製方法について説明する。
まず、厚み500μmのシリコンからなる基板1の上に、基板1および圧電薄膜層3と親和性を有する材料であるTiを100〜200Åの膜厚で形成し、このTiの上にPtを4000〜5000Åの膜厚で積層形成することにより下部電極層2を形成する。この下部電極層2を形成する方法としては、DCまたはRFのマグネトロンスパッタリング等の方法が代表的である。
次に、圧電薄膜層3として、Pb(Zr1-xTix)O3をスパッタリング等の方法により形成する。
その後、拡散防止層7として非晶質のPb(Zr1-xTix)O3を圧電薄膜層3の上に形成する。この非晶質のPb(Zr1-xTix)O3は、例えば成膜温度を300℃に下げてスパッタリングによって300〜2000Åの膜厚に成膜することによって形成することができる。このような積層構造とすることにより、圧電薄膜層3の粒界と拡散防止層4の結晶粒界は断面方向において不連続となるように形成できる。
次に、上部電極層5として、下地に酸化物と親和性を有するCrやTi等を50〜200Åの膜厚で薄く形成し、さらにその上にAuを真空蒸着法により2000〜4000Åの膜厚で形成した。
その後、この積層体をウェットエッチングまたはドライエッチングで所定の圧電素子8Aの形状に個片化処理することによって所望の圧電素子を作製した。
このような構成を有する圧電素子8Aを実施例1の同様の方法によって信頼性試験を実施した結果、非晶質のPb(Zr1-xTix)O3膜からなる拡散防止層4を導入した圧電素子(実施例2)は10000秒以上の時間が経過してもリーク電流は発生せず、優れた信頼性を有する圧電素子を実現していることが確認できた。
本発明の圧電素子は、基板の一面に下部電極層、圧電薄膜層、拡散防止層および上部電極層からなる圧電素子とすることにより圧電薄膜層と拡散防止層の結晶粒界がその断面方向において不連続となることから、負荷される熱や電界等に対して信頼性に優れた圧電素子に有用である。
本発明の実施の形態1における圧電素子の断面図 同製造方法を説明するための断面図 同断面図 同断面図 同断面図 本発明の実施の形態2における圧電素子の断面図 従来の圧電素子の断面図
符号の説明
1 基板
2 下部電極層
3 圧電薄膜層
4 拡散防止層
5 上部電極層
7 拡散防止層
8 圧電素子
8A 圧電素子

Claims (8)

  1. 少なくとも、基板の一面に下部電極層、圧電薄膜層および上部電極層を順次積層して形成した圧電素子において、上部電極層と圧電薄膜層との間に拡散防止層を設けた圧電素子。
  2. 拡散防止層をペロブスカイト型構造を有する誘電体酸化物とした請求項1に記載の圧電素子。
  3. 圧電薄膜層をPb(Zr1-xTix)O3とした請求項1に記載の圧電素子。
  4. 拡散防止層をMg添加のPb1-xLaxTiO3とした請求項1に記載の圧電素子。
  5. 圧電薄膜層をPb(Zr1-xTix)O3とし、拡散防止層を無配向の多結晶Pb(Zr1-xTix)O3とした請求項1に記載の圧電素子。
  6. 圧電薄膜層をPb(Zr1-xTix)O3とし、拡散防止層を非晶質のPb(Zr1-xTix)O3とした請求項1に記載の圧電素子。
  7. 上部電極層として、Ti、Al、CuおよびCrのいずれか一つを含む請求項1に記載の圧電素子。
  8. 上部電極層として、Ti、Al、CuおよびCrのいずれか一つを含む下地層と貴金属層との積層構造とした請求項1に記載の圧電素子。
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