JP2006351602A - 積層型圧電アクチュエータ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大きな変位が長期間に渡って繰り返される厳しい駆動環境条件においても絶縁性能が低下しない信頼性の高い素子構造を有する積層型圧電アクチュエータ素子を提供すること。
【解決手段】 所定の間隔であらかじめスリット状の空隙2を圧電セラミックス層1aの内部に形成し、所定の間隔で内部電極層1bと外部電極3との接続を同一の極となるように接続し、スリット状の空隙2を有する圧電セラミックス層1aを挟んで、隣接する内部電極1bと外部電極3の電気的な接続が同一の極になるように配置して、積層し、外部電極3およびスリット状の空隙2を柔軟性のある絶縁性の樹脂で覆うこと。
【選択図】 図1
Description
本発明は、圧電アクチュエータに関し、特に、大きな変位量と繰り返し耐久性能が要求される用途に好適な積層型圧電アクチュエータ素子の絶縁構造に関する。
薄板状または膜状の圧電セラミックス層とその圧電セラミックス層とほぼ同じ面積を持つ内部電極層を積層した積層体と、その積層体の側面部分にそれぞれ形成された絶縁物質層および導電物質層とを有する積層型圧電素子は、変位が大きく信頼性の高い素子として知られている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1の積層型圧電素子においては、異極の内部電極相互間を電気的に絶縁することが非常に困難であった。そこで、電気泳動法によって一層おきの内部電極層上とその近傍に絶縁材料を形成したもの(特許文献2参照)や積層体の側端面に感光性樹脂膜を形成し、エッチングにより一層おきに除去したもの(特許文献3)が提案された。
しかしながら、特許文献2の電気泳動法による積層型圧電素子は、絶縁物質が低密度で、焼結工程により更に収縮して必要な絶縁距離を確保できなくなり、絶縁低下をきたすという問題点があった。
また、特許文献3のエッチングによる積層型圧電素子は、感光性樹脂を使うために処理温度を高くできず、ペーストによって塗布した外部電極の層に焼付け温度が800℃以上の材料を使うことができないので、信頼性を向上できないという問題点があった。
このような絶縁性の問題点を解決した技術が、特許文献4に開示されている。特許文献4の積層型圧電素子は、薄板状または膜状の圧電セラミックス層とその圧電セラミックス層とほぼ同じ面積を持つ内部電極層を積層した積層体と、その積層体の側面部分にそれぞれ形成された絶縁物質層および導電物質層を有する積層型圧電素子において、絶縁物質層は、積層体の側面部分に露出していない内部電極の端部が一層おきに露出する切込み加工除去部を持ち、導電物質層は一層おきに露出する切込み加工除去部を銀ペーストなどの導電性物質で埋めて、積層体の側面部分に露出していない内部電極と電気的に接続する連結部分を一体化して形成された積層型圧電素子である。この技術では、大きな変位量を確保できるが、接着層付近の伸縮が大きいので、接着層の直下および直上にある圧電セラミックス層に大きな歪を発生させ、長期間に渡って繰り返される厳しい駆動環境条件での耐久性を十分に確保できないという問題点があった。
大きな変位量と繰り返し耐久性能を向上させる技術が、特許文献5に開示されている。特許文献5の積層型圧電アクチュエータ素子では、電歪効果を示す材料と内部電極層とが交互に積層され、内部電極層が1層おきに一対の外部電極と接続された積層体が接着層を介して複数個直列に結合された連結積層型圧電アクチュエータ素子において、各々の積層体間の外部電極が接着層を除く部分に固定された導線で電気的に結合された積層型圧電アクチュエータ素子である。
また、従来よりも変位量が大きいにもかかわらず、故障が起きにくい積層型アクチュエータの技術が、特許文献6に開示されている。特許文献6の積層型アクチュエータは、比誘電率が3000未満の圧電材料を用いて構成された圧電体層と、内部電極層とが交互に積層された積層体からなる積層型圧電アクチュエータ素子において、積層体の側面部分に、隣り合う圧電体層で挟まれ、圧電体層よりも弾性率が小さい応力緩和層を設け、隣り合う内部電極層の縁辺が重ならないように構成した積層型圧電アクチュエータ素子である。
上述した特許文献4の積層型圧電アクチュエータ素子の内部電極構造では、内部電極を取り出す面の外部電極に相当する面積範囲を除いた3方向の外縁部に電圧を印加しても伸縮しない不活性な部分が存在するので、その境界部に歪が生じ、歪に起因した内部応力により、絶縁部にクラックが発生した。このクラックは、積層型圧電アクチュエータ素子の駆動時に内部電極面にも影響を及ぼした。その結果、電圧印加による放電故障を起こし、大気中の湿度の影響により絶縁低下をもたらすという問題点があった。
上述した特許文献5の積層型圧電アクチュエータ素子では、内部電極を取り出す面の外部電極に相当する面積範囲を除いた3方向の外縁部に電圧を印加しても伸縮しない不活性な部分が存在しないように、積層型圧電アクチュエータ素子の「単位セル」積層数の上限を限定している。また、その「単位セル」を接着剤で接着することで「単位セル」を積層することで、大きな変位量を得ている。接着層付近の伸縮により、外部電極が万が一に破断しても支障がないように、別の外部電極つなぐ導線を備えている。この場合は、接着層の導入により、接着層付近の伸縮が局部的に大きくなり、繰り返しの耐久性能が劣化するという問題点があった。
上述した特許文献6の積層型圧電アクチュエータ素子は、積層体の側面部分に応力緩和層あるいは溝を設けることで、隣り合う内部電極層同士の縁部(正極および負極それぞれの縁部が重ならないようにすることで、内部歪による応力が発生しない構造にして、故障の起きにくい信頼性の高い積層型圧電アクチュエータ素子を実現している。しかしながら、この場合は、圧電材料を限定しないと大きな変位が得られないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたもので、その技術課題は、大きな変位が長期間に渡って繰り返される厳しい駆動環境条件においても故障や絶縁性能の低下がない信頼性の高い素子構造を有する積層型圧電アクチュエータ素子を提供することである。
上記目的を達成するための第1の発明は、圧電セラミックスを用いて構成された圧電セラミックス層と内部電極層とが交互に積層された積層体を備え、前記内部電極層が露出する主面ともう一方の主面に設けた1対の外部電極と前記内部電極層とが各々1層おきに接続された積層型圧電アクチュエータ素子において、前記主面と前記もう一方の主面に垂直な方向にある前記積層体の側面の外周部に、前記圧電セラミックス層の内部に入り込むように所定の間隔でスリット状の空隙を形成した積層型圧電アクチュエータ素子である。
上記目的を達成するための第2の発明は、前記内部電極層と前記外部電極との電気的な接続を所定の間隔だけ連続的に同一極にした積層型圧電アクチュエータ素子である。
上記目的を達成するための第3の発明は、前記スリット状の空隙が形成された前記圧電セラミックス層をはさんで隣接する前記内部電極層の少なくとも2層以上を、前記外部電極との電気的な接続を連続的に同一極にした積層型圧電アクチュエータ素子である。
上記目的を達成するための第4の発明は、前記スリット状の空隙が前記圧電セラミックスの焼結温度以下で燃焼・飛散する材料を前記圧電セラミックスのグリーンシートの表面に印刷し、積層後に焼結して形成した前記スリット状の空隙と前記外部電極が絶縁性の樹脂で覆われた積層型圧電アクチュエータ素子である。
本発明によれば、電圧印加による積層型圧電アクチュエータ素子の伸縮や内部電極層の厚さの差により発生する応力を吸収および緩和するために所定の間隔であらかじめスリット状の空隙をセラミックス層の内部に形成する。また、所定の間隔で内部電極層と外部電極の接続を同一の極となるように接続することで、連続的な歪の蓄積を分断でき、積層型圧電アクチュエータ素子の中央部で最大となる応力を低減でき、圧電セラミックス層にかかる応力を緩和できる。
また、スリット状の空隙を有する圧電セラミックス層を挟んで、隣接する内部電極と外部電極の電気的な接続が同一の極になるように配置して、積層することで、スリット状の空隙の先端部近傍から発生するクラックが積層方向に対し斜め方向に進展し、内部電極層に到達しても、電気的に同一な極に積層した内部電極層間には電界がかからないので、絶縁抵抗(IR)の低下を抑制できる。
更に、外部電極およびスリット状空隙を柔軟性のある絶縁性の樹脂で覆うことで、湿度環境に対する耐久性を向上できる。
以上に示したように、大きな変位が長期間に渡って繰り返される厳しい駆動環境条件においても故障や絶縁性能が低下しない信頼性の高い素子構造を有する積層型圧電アクチュエータ素子の提供が可能になる。
図1に示した本発明の積層型圧電アクチュエータ素子は、板状の複数の圧電セラミックス層1aと板状の複数の内部電極層1bを積層してなる積層体1から構成され、内部電極層1bを積層体1の対向側面で接続した対になる外部電極3を備えている。積層方向に所定の間隔でスリット状の空隙2が形成されており、図1に示した上下の端面を除き、外部電極面および内部電極の露出している面は、全て外装し、絶縁性の樹脂4で覆われている。また、所定の間隔で、内部電極層と外部電極とが同一の極になるように接続している。
本発明を実施するための最良の形態では、電圧印加による積層型圧電アクチュエータ素子の伸縮や内部電極厚さの差により発生する応力を空隙部で吸収および緩和するために所定の間隔であらかじめスリット状の空隙2を圧電セラミックス層1aの内部に形成している。ここで形成されたスリット状の空隙2は、分極工程もしくは駆動時に生じる積層型圧電アクチュエータ素子の伸縮により発生する応力を緩和できるが、形成されたスリット状の空隙2の先端部が内部電極層1bに到達する可能性があるので、積層型圧電アクチュエータ素子に要求される変位量の範囲内で、できるだけスリット状の空隙2を導入する部分の圧電セラミック層1aの厚さを厚くする。
所定の間隔で内部電極層1bと外部電極3の接続が同一の極になるように接続することで、連続的な歪の蓄積を分断でき、積層型圧電アクチュエータ素子の中央部付近で最大となるストレスを低減でき、圧電セラミックス層1aにかかる応力を緩和できる。本発明を実施するための最良の形態では、電気的に同一な極にする位置は、1/2L,1/4L,3/4L(但し、積層型圧電アクチュエータ素子の活性な部分の長さをLとする)になる位置に配置するとその効果がより大きくなる。
また、スリット状の空隙2を有する圧電セラミックス層1aを挟んで隣接する内部電極層1bと外部電極3の電気的な接続が同一の極になるように配置し、積層することで、スリット状の空隙2の先端部近傍から発生するクラックが積層方向に対して斜めの方向に進展し、内部電極層1bに到達する場合においても、電気的に同一の極となるように積層した内部電極層間には電界がかからないので、電極材料のマイグレーション等を起こす可能性がなくなり、絶縁抵抗(IR)の低下を抑制できる。ここで、電気的に同一の極となるように積層した内部電極層1bを2層以上にするのは、万が一のクラックが発生しても、電極材料のマイグレーションがより起こりにくい構造にするためである。
なお、圧電積層セラミックスの焼結温度以下で焼き飛ぶ樹脂又はカーボン粉末等をペースト状にしたものを所定のパターンに印刷したグリーンシートを積層体内に挿入することで、容易にスリット状の空隙を形成できる(図1、図3参照)。
更に、外部電極およびスリット状の空隙を柔軟性のある絶縁性の樹脂で覆うことで、湿度環境に対する耐久性を向上できる。
本発明の製造方法について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の積層型圧電アクチュエータ素子(実施形態1)を示す図で、図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図、図1(c)は電極パターンを示す図である。実施形態1は、スリット導入と同極配置をした例である。図2は、本発明の積層型圧電アクチュエータ素子(実施形態2)を示す図で、図2(a)は斜視図、図2(b)は断面図、図2(c)は電極パターンを示す図である。実施形態2は、同極配置をした例である。また、図3は、本発明のスリット導入のために挿入される3種類のカーボン印刷パターンの例を示す図である。図3(a)は、2辺にスリットを導入した例を示し、図3(b)は、4辺にスリットを導入した例を示し、図3(c)は、四隅にスリットを導入した例を示す図である。図3は、図1のスリット導入の典型例である。
本発明では、ニッケル・ニオブ酸鉛を主成分とする圧電セラミクス粉末を溶媒中に分散した後、バインダーを加えて泥しょうを作製した。この泥しょうをキャリアテープ上に成膜して厚さ90〜130μmのグリーンシートとした。このシートにAg/Pd内部電極ペーストを印刷した後に、乾燥し、所定の形状に打ち抜いて金型内に積層し、充填した後に、熱圧着で一体化した積層体を作製した。この場合、積層方向に所定の間隔で、内部電極パターンの外周部にスリット状の空隙2を配置できるようにペースト状のカーボン粉末を印刷した膜を挿入した。
なお、活性な内部電極層1bを20〜60層積層する毎に1枚のスリット状の空隙2を挿入する間隔とした。また、カーボン印刷膜の上下に隣接する内部電極の印刷膜が電気的に同一の極となるように内部電極層を配列し、積層した。
このように作製したカーボン印刷層を含む圧電セラミックス層1aと内部電極層1bの積層体1を焼結体時の寸法で5×5mmの断面形状となるように切断した。切断した積層型圧電アクチュエータ素子を大気中で450℃まで加熱して、樹脂成分を飛ばした後、1050〜1150℃の温度で2〜6時間、焼結した。
得られた積層体1の焼結体の内部電極層1bが露出している面をラッピング加工した後、加工面に内部電極層1bとの導通のための銀電極を印刷し、塗布して、焼き付けた。
次に、外部電極を形成した積層型圧電アクチュエータ素子をエポキシ粉末で静電塗装し、150℃、30〜60分間の焼き付け処理を行い、積層方向の上下端面を除く外周面に、絶縁性の樹脂層4をコーティングした。樹脂の外装まで施した積層型圧電アクチュエータ素子を大気中で、2kV/mm以上の電界をかけて、分極処理を行い、積層型圧電アクチュエータ素子を作製した。
なお、積層型圧電アクチュエータ素子のペースト状のカーボン印刷膜を挿入した面内には、分極処理後に、積層型圧電アクチュエータ素子の外周部に幅5〜25μmの隙間が形成された。
最後に、作製した積層型圧電アクチュエータ素子(実施形態1および実施形態2)を40℃、90%RHの雰囲気中でDC150Vの耐湿負荷試験を行い、絶縁抵抗の経時変化を従来構造の積層型圧電アクチュエータ素子(図4参照)と比較した。
絶縁抵抗の経時変化の判定は、絶縁抵抗が1MΩ未満に低下した積層型圧電アクチュエータ素子を不良とし、250hr経過後の不良数で判定した。従来構造の積層型圧電アクチュエータ素子(図4参照)では、50個中12個の不良が発生したのに対して、本発明の構造の積層型圧電アクチュエータ素子〔実施形態1および実施形態2〕では50個中、不良の発生はいずれもゼロであった(図1、図2参照)。
以上に示したように、本発明に係る積層型圧電アクチュエータ素子は、大きな変位が長期間に渡って繰り返される厳しい駆動環境条件においても故障や絶縁性能が低下しない信頼性の高い積層型圧電アクチュエータ素子構造を有する。
1 積層体
1a 圧電セラミックス層
1b 内部電極層
2 スリット状の空隙
3 外部電極(焼き付け銀)
4 絶縁性の樹脂
1a 圧電セラミックス層
1b 内部電極層
2 スリット状の空隙
3 外部電極(焼き付け銀)
4 絶縁性の樹脂
Claims (4)
- 圧電セラミックスを用いて構成された圧電セラミックス層と内部電極層とが交互に積層された積層体を備え、前記内部電極層が露出する主面ともう一方の主面に設けた1対の外部電極と前記内部電極層とが各々1層おきに接続された積層型圧電アクチュエータ素子において、前記主面と前記もう一方の主面に垂直な方向にある前記積層体の側面の外周部に、前記圧電セラミックス層の内部に入り込むように所定の間隔でスリット状の空隙を形成したことを特徴とする積層型圧電アクチュエータ素子。
- 前記内部電極層と前記外部電極との電気的な接続を所定の間隔だけ連続的に同一極にしたことを特徴とする請求項1記載の積層型圧電アクチュエータ素子。
- 前記スリット状の空隙が形成された前記圧電セラミックス層をはさんで隣接する前記内部電極層の少なくとも2層以上を、前記外部電極との電気的な接続を連続的に同一極にしたことを特徴とする請求項2記載の積層型圧電アクチュエータ素子。
- 前記スリット状の空隙が前記圧電セラミックスの焼結温度以下で燃焼・飛散する材料を前記圧電セラミックスのグリーンシートの表面に印刷し、積層後に焼結して形成した前記スリット状の空隙と前記外部電極が絶縁性の樹脂で覆われたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の積層型圧電アクチュエータ素子。
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