JP2007125590A - 熱交換器および熱交換器の製造方法 - Google Patents

熱交換器および熱交換器の製造方法 Download PDF

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彰久 出原
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Abstract

【課題】ヘッダタンクからコア部へのろう材流動を抑制して、機能障害が発生することを防止することが可能な熱交換器および熱交換器の製造方法を提供すること。
【解決手段】チューブ11内の各流体通路112a〜112c断面を、内接円112iの半径Riが、予めヘッダタンク3に配置されたろう材が一体ろう付後もヘッダタンク3に全て滞留した場合にヘッダタンク3に形成されるろう材フィレットの曲率半径R以上となるようにしている。
したがって、ヘッダタンク3のろう材がチューブ11内に流動しても、ろう材フィレット92が内接円112iに到達する前に、ろう材の流動が停止して、ろう材の移動を抑制することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、ろう材を用いて複数の部材相互を接合した熱交換器および熱交換器の製造方法に関する。
従来技術として、下記特許文献1に開示された熱交換器がある。この熱交換器は、複数の部材からなる対向する一対のヘッダタンクに、複数多段に配置される扁平チューブの両端開口部を連通接続して構成されている。多段に配置される扁平チューブの間には、コルゲート状のアウターフィンが介在している。
この熱交換器の製造方法は、チューブとアウターフィンとを交互に積層した状態で、このチューブの端部を複数の部材からなるヘッダタンクのチューブ差込口に差し込んで仮組み体とし、この仮組み体を加熱することにより予め表面に配置しておいたろう材を溶融した後、冷却して各部材相互間をろう付接合するようになっている。
特開平7−27496号公報
しかしながら、上記従来技術では、各部材の表面のろう材層を設けるため、ろう付時には溶融状態で繋がったろう材が、熱交換器全体で流動する。このろう材流動により、複数の接合部のうち一部の接合部において、ろう材が不足したりろう材が過多となったりして、不具合を発生する場合があるという問題がある。
例えば、ヘッダタンクを構成する複数の部材間をろう付するために設けたろう材が、チューブとフィンとからなるコア部(熱交換部)の接合部位に流動することがある。このようなろう材流動が発生すると、ヘッダタンクにおいてろう材が不足してろう付不良を発生したり、コア部のろう材が多くなり過ぎて内外部流体の通路の一部を閉塞してしまったりして、熱交換器としての機能に障害を来す場合がある。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、ヘッダタンクからコア部へのろう材流動を抑制して、機能障害が発生することを防止することが可能な熱交換器および熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の熱交換器では、
複数のチューブ(11)からなり、内部流体と外部流体との熱交換を行なうためのコア部(2)と、
複数のチューブ(11)の開口端部が挿入接続されて、各チューブ(11)内と連通するヘッダタンク(3、4)とを備え、
コア部(2)およびヘッダタンク(3、4)が一体ろう付されてなる熱交換器であって、
コア部(2)は、
予めヘッダタンク(3)に配置されたろう材(312、322)が、一体ろう付後もヘッダタンク(3)に全て滞留した場合に、ヘッダタンク(3)に形成されるろう材フィレット(93A)の曲率半径をRとしたときに、
流体の通路(112)断面の内接円(112i)の半径(Ri)がR以上となるように形成されていることを特徴としている。
一体ろう付時に、ヘッダタンクで溶融したろう材とコア部で溶融したろう材とが繋がると、溶融ろう材はフィレット曲率半径が大きい方からフィレット曲率半径が小さいほうに流動する。すなわち、一般的に、比較的大きなフィレットが所望されるヘッダタンク側から、比較的小さなフィレットが所望されるコア側に、ろう材は流動しようとする。
請求項1に記載の発明では、コア部(2)の流体通路(112)断面を、内接円(112i)の半径(Ri)が、予めヘッダタンク(3)に配置されたろう材(312、322)が一体ろう付後もヘッダタンク(3)に全て滞留した場合にヘッダタンク(3)に形成されるろう材フィレット(93A)の曲率半径(R)以上となるようにしている。
したがって、ろう付時に、コア部(2)のろう材とヘッダタンク(3)のろう材とが繋がって流動しても、コア部(2)流体通路(112)におけるろう材フィレット(92)が内接円(112i)に到達する前に、ろう材の流動が停止する。
このようにして、ヘッダタンク(3)からコア部(2)へのろう材の移動を抑制することができる。その結果、ヘッダタンク(3)においてろう材が不足してろう付不良を発生したり、コア部(2)の流体通路(112)をろう材が閉塞したりすることを防止することができ、熱交換器としての機能障害が発生することを防止することができる。
また、請求項2に記載の発明の熱交換器では、
チューブ(11)は、内部にインナーフィン(12)が備えられて内部流体の通路(112)が複数に仕切られており、
コア部(2)は、チューブ(11)の仕切られた複数の内部流体通路(112a〜112e)の全てにおいて、内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように形成されていることを特徴としている。
これによると、チューブ(11)内の全ての流体通路(112a〜112e)において、ろう材フィレット(92)が内接円(112i)に到達する前に、ろう材の流動が停止する。したがって、ヘッダタンク(3)からコア部(2)へのろう材の移動を確実に抑制することができる。
また、請求項3に記載の発明の熱交換器では、
チューブ(11)は、板状部材を曲折して両縁部を相互に係合した係合部(111)を接合してなるとともに、内部にインナーフィン(12)が備えられて内部流体の通路(112)が複数に仕切られており、
コア部(2)は、チューブ(11)の仕切られた複数の内部流体通路(112a〜112e)のうち、少なくとも係合部(111)に隣接する通路(112a、112b)において、内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように形成されていることを特徴としている。
チューブ(11)が板状部材の両縁部を係合してなる場合には、ヘッダタンク(3)からチューブ(11)内へは、この係合部(111)からろう材が流入する。そして、この係合部(111)に隣接した流体通路(112a、112b)に流入してフィレット(92)を増大させた後、他の流体通路(112c)に流入する。
したがって、請求項3に記載の発明のように、少なくとも係合部(111)に隣接する通路(112a、112b)を、内接円(112i)の半径(Ri)を前記R以上としておけば、ヘッダタンク(3)からコア部(2)へのろう材の移動を抑制することが可能である。
また、請求項4に記載の発明の熱交換器では、一体ろう付は、コア部(2)およびヘッダタンク(3、4)に予め配置されたろう材(122、312、322)によりなされており、予めヘッダタンク(3)に配置されたろう材(312、322)は、予めコア部(2)に配置されたろう材(122)より、一体ろう付温度における流動性が低いことを特徴としている。
これによると、ろう付時に、ヘッダタンク(3)のろう材(312、322)がコア部(2)に流動し難くすることができる。したがって、ヘッダタンク(3)からコア部(2)へのろう材の移動を一層抑制することができる。
また、請求項5に記載の発明の熱交換器の製造方法では、
複数のチューブ(11)からなり、内部流体と外部流体との熱交換を行なうためのコア部(2)と、
複数のチューブ(11)の開口端部が挿入接続されて、各チューブ(11)内と連通するヘッダタンク(3、4)とを備える熱交換器の製造方法であって、
ヘッダタンク(3)にろう付接合のためのろう材(312、322)を配置するタンクろう材配置工程(220)と、
コア部(2)とろう材(312、322)を配置したヘッダタンク(3)との仮固定体を形成する仮固定体形成工程(230A)と、
仮固定体を加熱して一体ろう付するろう付工程(240)とを備え、
タンクろう材配置工程(220)で配置されたろう材(312、322)が、ろう付工程(240)においてヘッダタンク(3)に全て滞留した場合に、ヘッダタンク(3)に形成されるろう材フィレット(93A)の曲率半径をRとしたときに、
仮固定体形成工程(230A)では、流体の通路(112)断面の内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるようにコア部(2)を仮固定することを特徴としている。
これによると、請求項1に記載の熱交換器を製造することができる。したがって、ヘッダタンク(3)からコア部(2)へのろう材の移動を抑制することができる。その結果、ヘッダタンク(3)においてろう材が不足してろう付不良を発生したり、コア部(2)の流体通路(112)をろう材が閉塞したりすることを防止することができ、熱交換器としての機能障害が発生することを防止することができる。
また、請求項6に記載の発明の製造方法では、仮固定体形成工程(230A)で、チューブ(11)にインナーフィン(12)を内装して内部流体の通路(112)を複数に仕切り、仕切った複数の内部流体通路(112a〜112e)の全てにおいて、内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるようにコア部(2)を仮固定することを特徴としている。
これによると、請求項2に記載の熱交換器を製造することができる。
また、請求項7に記載の発明の製造方法では、仮固定体形成工程(230A)で、板状部材を曲折して両縁部を相互に係合した係合部(111)を有するチューブ(11)を形成するとともに、チューブ(11)にインナーフィン(12)を内装して内部流体の通路(112)を複数に仕切り、仕切った複数の内部流体通路(112a〜112e)のうち、少なくとも係合部(111)に隣接する通路(112a、112b)において、内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるようにコア部(2)を仮固定することを特徴としている。
これによると、請求項3に記載の熱交換器を製造することができる。
また、請求項8に記載の発明の製造方法では、
コア部(2)にろう付接合のためのろう材(122)を配置するコア部ろう材配置工程(210)を備え、
タンクろう材配置工程(220)では、コア部ろう材配置工程(210)で配置するろう材(122)より、ろう付工程(240)の加熱温度において流動性が低いろう材(312、322)を配置することを特徴としている。
これによると、請求項4に記載の熱交換器を製造することができる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態における熱交換器である蒸発器1の全体構成を示す外観斜視図であり、図2は、図1における上ヘッダタンク3近傍を示す断面図で、(a)はヘッダタンク3延設方向(チューブ10積層方向)に直交する断面を、(b)はヘッダタンク3延設方向に沿った断面を示している。また、図3は、蒸発器1のコア部2に使用されるインナーフィンチューブ10の断面図である。
まず、車両用空調装置に用いられる蒸発器1について説明する。蒸発器1は冷凍サイクル中に配設されるものであって、圧縮機で高温高圧に圧縮され、放熱器で放熱冷却され、減圧装置で低温低圧に減圧された後の冷媒を蒸発させる熱交換器である。
蒸発器1は、図1、図2に示すように、主にコア部2、上ヘッダタンク3、下ヘッダタンク4等よりなり、各構成部材間が相互にろう付接合されている。コア部2は、複数のインナーフィンチューブ10と複数のアウターフィン20とを交互に積層して、その積層方向の両最外方のアウターフィン20の更に外方にサイドプレート25を配設したものである。
図3に示すように、インナーフィンチューブ10は、チューブ11内にインナーフィン12が挿入されて形成されている。
チューブ11は、薄肉(例えば厚さ0.2mm)のアルミニウム製帯状板材を折り曲げ加工することによって、長手方向(内部流体通路方向)に直交する横断面が扁平状(略長円形状)に形成された管部材である。
さらに具体的には、帯状板材の幅方向の略中央部を折り曲げることで屈曲部11aを形成して、この屈曲部11aから対向し合うように延びる2つの平板部11bの反屈曲部側(図3図示下方側、断面略長円形状の長径方向Xの一方の端部側)をかしめることで(かしめ部(係合部)111とすることで)、チューブ11は形成されている。
インナーフィン12は、チューブ11内を流通する内部流体に乱流効果を与えつつ伝熱面積を増大させるとともに、構造強度を向上するためのフィン部材である。インナーフィン12は、チューブ11と同様に薄肉(例えば厚さ0.1mm)のアルミニウム製帯状板材をローラ加工することによって、帯状板材の幅方向の中間部に波状となる波状部12aが形成されたコルゲート型のフィンである。
また、インナーフィン12の幅方向(チューブ11長径方向X)の両端部側は、この幅方向に沿って平板状となる平板部12b、12cとして形成されている。そして、インナーフィン12がチューブ11内に挿入される際に、一方の平板部12bがチューブ11の屈曲部11a内壁に当接して、他方の平板部12cがチューブ11のかしめ部111にかしめられている。
チューブ11をなす板状部材には、ろう材をクラッドしていないベア材の表面に予めフラックス材層を形成したものを採用しており、インナーフィン12をなす板状部材には、両側の表面に予めろう材をクラッドしたクラッド材を採用している。
そして、インナーフィン12は、チューブ11内側面にろう付されインナーフィンチューブ10を構成している。インナーフィン12の波状部12aは、頂部12dがチューブ11平板部11bの内側面11cにろう付されている。
図1に示すアウターフィン20は、両面に予めろう材がクラッドされた薄肉のアルミニウム製帯板材を波状にローラ加工したコルゲート型のフィンであり、表面に熱交換効率を高めるためのルーバ(図示せず)が形成されている。アウターフィン20は、インナーフィンチューブ10(チューブ11平板部11bの外側面11d、図3参照)にろう付けされている。
なお、このインナーフィンチューブ10の構成は本発明を適用した要部であるので、詳細は製造方法とともに後述する。
サイドプレート25は、コア部2における補強部材を成すものであり、ろう材がクラッドされていないベア材からなるアルミニウム製平板材をプレス加工することにより成形されている。
サイドプレート25の長手方向端部側は、平板状に形成され、他の大半の部分はインナーフィンチューブ10、アウターフィン20の積層方向外方に開口するコの字状断面となるように形成されており、アウターフィン20にろう付けされている。
上ヘッダタンク3は、インナーフィンチューブ10の長手方向(延設方向、内部流体通路方向)に2分割された反チューブ側のタンクヘッダ31とチューブ側のプレートヘッダ32とから成り、キャップ33が設けられている。
タンクヘッダ31およびプレートヘッダ32は、図2(a)にも示すように、それぞれ2つの半円形状あるいは2つの半矩形形状が接続される断面形状を有し、アルミニウム製平板材(例えば板厚1.0mmの平板材)をプレス加工して成形されている。タンクヘッダ31には予め両面にろう材がクラッドされ、プレートヘッダ32には予め内側面にろう材がクラッドされている。
そして、両ヘッダ31、32が互いに嵌合、ろう付けされ、送風空気の流れ方向に2つの内部空間が並ぶ筒状体を形成している。
そして、図2(b)にも示すように、上ヘッダタンク3の長手方向端部の開口部には、アルミニウム製平板材をプレス加工により成形したキャップ33がろう付けされ、この開口部を閉塞するようにしている。
さらに、上ヘッダタンク3の略中央部には2つの内部空間を図1図示左右方向に分割する2つのセパレータ34がろう付けされている。また、上ヘッダタンク3の図1図示セパレータ34よりも右側の領域においては、上ヘッダタンク3の2つの内部空間同士が図示しない複数の連通路により互いに連通するようにしている。
なお、図2(b)では、フィン12、20、サイドプレート25の図示を省略している。
下ヘッダタンク4は、上記の上ヘッダタンク3に準ずるものであり、タンクヘッダ41とプレートヘッダ42とにより構成された筒状体の長手方向両端部の開口部にキャップ43が設けられている。ただし、上ヘッダタンク3の構成として説明したセパレータ34と連通路は設けられていない。
そして、上下ヘッダタンク3、4のコア部2側の壁面には、チューブ挿設口32a、図示しないサイドプレート用挿入口が長手方向に同一ピッチで設けられており、各インナーフィンチューブ10の長手方向端部側およびサイドプレート25の長手方向端部側がそれぞれ挿入され、ろう付けされている。これによってインナーフィンチューブ10は上下ヘッダタンク3、4の内部空間に連通し、また、サイドプレート25の長手方向端部側は上下ヘッダタンク3、4に支持されている。
なお、上ヘッダタンク3の図1図示左側近傍には、冷媒が流入する流入口51および冷媒が流出する流出口52が設けられたブロック状のジョイント5がろう付けされている。流入口51は上ヘッダタンク3の内部空間のうち、図1図示a部内と連通しており、流出口52は上ヘッダタンク3の内部空間のうち、図1図示b部内と連通している。
インナーフィンチューブ10は、上下ヘッダタンク3、4の2つの内部空間に対応して、外部流体である送風空気流れの上流側と下流側に2列に並ぶものとしている。
上記のように形成された蒸発器1においては、冷媒が流入口51から上ヘッダタンク3のa部内に流入した後、送風空気流れ下流側のインナーフィンチューブ10群を上下にUターンして流れ、上ヘッダタンク3の図1中、右側において送風空気流れ上流側のインナーフィンチューブ10群に移り同様に上下にUターンして、流出口52から流出する。この間に蒸発器1は、冷媒を蒸発させその蒸発潜熱によって送風空気を冷却する。
次に、本実施形態の熱交換器の製造方法について説明する。
本実施形態における熱交換器の製造装置においては、図4に概略工程順序を示すように、蒸発器1のコア部2を構成する扁平インナーフィンチューブ10の連続体を形成して所定長さに切断する工程(ステップ210チューブ体成形工程)、ヘッダタンク3、4の構成部材をそれぞれ成形する工程(ステップ220タンク構成部材成形工程)、ステップ210で切断したインナーフィンチューブ10をフィン20やステップ220で成形したタンク部3、4を構成する部材等とともに仮組みする工程(ステップ230仮組み工程)、仮組み体(仮固定体)を加熱して構成部材の表面に適宜形成しておいたろう材層により各構成部材間を一体ろう付接合する工程(ステップ240ろう付工程)、およびろう付後の蒸発器1の漏れ検査を行なう工程(ステップ250)を順次実行することにより蒸発器1は製造される。
ここで、予めろう材をクラッドしたインナーフィン12を用いてインナーフィンチューブ10を成形するチューブ体成形工程210が、本発明におけるコア部2にろう付接合のためのろう材を配置するコア部ろう材配置工程に相当し、予めろう材をクラッドしたタンクヘッダ31やプレートヘッダ32等を成形するタンク構成部材成形工程220が、本発明におけるヘッダタンク3にろう付接合のためのろう材を配置するタンクろう材配置工程に相当する。
また、チューブ体成形工程210、タンク構成部材成形工程220および仮組み工程230からなる工程群230Aが、本発明におけるろう材を配置したコア部2とろう材を配置したヘッダタンク3、4との仮固定体を形成する仮固定体形成工程に相当する。
図5〜図8は、工程別の要部断面図である。
図5および図6は、仮組み工程230完了時の状態を示しており、図5(a)は、図2(a)におけるC部拡大図、図5(b)は、図3におけるD部拡大図、図6は、図3におけるE部拡大図である。
また、図8は、ろう付工程240完了時の状態を示しており、図8(a)は、図2(a)におけるC部拡大図、図8(b)は、図3におけるD部拡大図である。図7は、ろう付工程においてヘッダタンク3内のろう材がコア部2側へ流入していない場合の図8(a)に相当する図である。
蒸発器1を構成する各部材を仮組み(仮固定)したとき(ステップ230Aを実行したとき)には、図5(a)に示すように、両面にろう材層312が形成されたタンクヘッダ31と、内側面にろう材層322が形成されたプレートヘッダ32とが、相互に当接して仮固定される。
また、図5(b)に示すように、両面にろう材層122が形成されたインナーフィン12の図示下方端部がかしめ部111に共かしめされるとともに、チューブ11平板部11bの内側面11cにインナーフィン12波状部12aの頂部12dが当接して仮固定される。
図5(b)から明らかなように、インナーフィン12は、チューブ11に形成された内部流体の通路112を複数に仕切っている。インナーフィン12の平板部12cは、かしめ部111から通路112内を図示上方に延設され、曲折部12eから図示上方において波状部12aを形成している。
このインナーフィン12平板部12cの延設長さを比較的大きく確保することにより、平板部12cの図示右方側に形成される通路112aおよび平板部12cの図示左方側に形成される通路112bの断面積を大きくしている。これにより、各通路112a、112b断面の内接円112iの半径Riが、後述するヘッダタンク3で形成される非流入時フィレットR以上となるようにしている。
具体的には、平板部12cのかしめ部111図示上端部から曲折部(曲折点)12eまでの距離および曲折部12eから波状部12a最下方の頂部12dまでの距離をそれぞれ2Rより大きくして、通路112a、112b内接円112iの半径Riを非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。
また、波状部12aによって仕切られ形成された各通路112cにおいても、内接円112iの半径Riは、非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。具体的には、インナーフィン12のピッチおよび高さをそれぞれ2Rより大きくして、通路112c内接円112iの半径Riを非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。
さらに、図6に示すように、インナーフィン12平板部12bの延設長さを比較的大きく確保することにより、平板部12bの図示右方側に形成される通路112dおよび平板部12bの図示左方側に形成される通路112eの断面積を大きくしている。これにより、各通路112d、112e断面の内接円112iの半径Riも、後述するヘッダタンク3で形成される非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。
具体的には、平板部12bのチューブ11屈曲部11aへの当接部(図示上方端部)から曲折部(曲折点)12eまでの距離および曲折部12eから波状部12a最上方の頂部12dまでの距離をそれぞれ2R以上として、通路112d、112e内接円112iの半径Riを非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。
ステップ230Aを実行して、図5、図6に示すように蒸発器1を構成する各部材を仮組み(仮固定)したら、次に、ステップ240を実行して、仮固定体を加熱して(例えば、595〜610℃に到達するように加熱して)、仮固定体の各部材間をろう付接合する。
このとき、予めヘッダタンク3に配置されたろう材、すなわちヘッダタンク3を構成する各部材に予めクラッドされたろう材層312、322等のろう材が、一体ろう付接合後もヘッダタンク3に全て滞留した場合(コア部2内に流入しなかった場合)には、図7に示すように、ヘッダタンク3には、外周面の曲率半径がRであるろう材フィレット93Aが形成される。このフィレット93Aが前述の非流入時フィレットであり、その外周面の曲率半径が非流入時フィレット半径Rである。
ところが、実際には、ヘッダタンク3のろう材とコア部2のろう材とが溶融して繋がると、溶融ろう材は、フィレットの曲率半径が大きいほうから小さい方へ移動する。
コア部2には、タンク部3、4より、フィレット半径が小さいろう付接合点が多数設定されるので、溶融ろう材は、ヘッダタンク3からコア部2へ移動しようとする。
したがって、図8(a)に示すように、ヘッダタンク3のタンクヘッダ31とプレートヘッダ32との接続箇所においてろう材フィレット93の外周面曲率半径Rhは、非流動時フィレット半径Rより小さくなる。
一方、図8(b)に示すように、コア部2側のインナーチューブ10では、インナーフィン12に予め配置したろう材層122のろう材により、チューブ11のかしめ部111のろう付接合およびチューブ11とインナーフィン12とのろう付接合が行なわれる。
このとき、コア部2で溶融したろう材は、かしめ部111に形成される経路を介して、ヘッダタンク3で溶融したろう材と繋がり、タンク3側のろう材をコア部2側に流入させる。
これにより、チューブ11内にかしめ部111を介してヘッダタンク3のろう材が侵入し、内部流体の通路112のうち、かしめ部111に隣接した通路112a、112bから順次内方に流入して、チューブ11内のフィレット92が拡大して外周面の曲率半径Rfが大きくなっていく。
ところが、各通路112a〜112e断面を、内接円112iの半径Riが、非流入時フィレット半径R以上となるようにしている。したがって、チューブ11内のフィレット92が内接円112iに到達する前に、ヘッダタンク3のフィレット93半径Rhとチューブ11内フィレット92半径Rfとが等しくなった時点で、ろう材の流動が停止する。
そして、蒸発器1を冷却してろう材を固化したら、ろう付工程240を終了する。
上述の構成および製造方法によれば、ヘッダタンク3とコア部2とのろう材が溶融して繋がったとしても、ヘッダタンク3からコア部2へのろう材の移動を抑制することができる。したがって、ヘッダタンク3においてろう材が不足してろう付不良を発生したり、コア部2の流体通路112をろう材が閉塞したりすることを防止することができ、熱交換器としての機能障害が発生することを防止することができる。
例えば、図10に示すように、チューブ11内のかしめ部111に隣接する通路112z断面の内接円112sの半径Rsが非流入時フィレットRより小さい場合には、ヘッダタンク3とコア部2とのろう材が溶融して繋がったときに、チューブ内にろう材が侵入してフィレットが内接円112sに到達し、隣接するフィレット同士が一体化してフィレット曲率半径がさらに小さくなり、最終的にはこの通路112zを閉塞してしまう。
通路の閉塞が発生すると、内部流体の流通経路が減少し、蒸発器の熱交換効率が大きく低下する。
本発明を適用した蒸発器1によれば、内部流体通路を1つも閉塞することがなく、良好な熱交換性能を確保することができる。
上述の構成説明では説明を省略したが、本実施形態の蒸発器1では、予めヘッダタンク3に配置されたろう材(ろう材層312、322)には、予めコア部2に配置されたろう材(ろう材層122)より、一体ろう付温度における流動性が低いものを採用している。
具体的には、図9に示すように、ろう材層122にはA4045アルミニウム合金材を採用し、ろう材層312、322にはA4343アルミニウム合金材を採用している。
図9は、両合金材の流動係数の温度特性を示すグラフである。A4343材は、A4045材に対し、ろう付工程240における蒸発器到達温度範囲において、約半分の流動係数を有する。流動係数は周知のように、配置されたろう材中の流動性を呈する部分の割合(例えば層厚さの割合)である。
また、図9中に破線にて液相線を示すように、A4045材は、到達温度範囲において流動性を呈する部分が全て液体となっている。これに対し、A4343材は、到達温度範囲内では、流動性を呈する部分に固相が残留しており、流動性を抑制している。A4343材は、到達温度範囲内では、液相線以下である。
このように、ヘッダタンク3に配置するろう材の流動性をコア部2に配置するろう材の流動性より抑制することにより、ろう付時に、ヘッダタンク3のろう材312、322がコア部2に流動し難くすることができる。したがって、ヘッダタンク3からコア部2へのろう材の移動を一層抑制することができる。
なお、上述の説明ではろう材層312、322を流動性が比較的低いA4343材としたが、インナーフィンチューブ10に接触するプレートヘッダ32のろう材層322のみA4343材として、ろう材層312等はA4045材としてもかまわない。
本実施形態の要部構成および製造方法の説明では、ヘッダタンク3とコア部2との関係について説明したが、ヘッダタンク4とコア部2との関係においても同様に本発明を適用し、同様な効果を得ている。
(他の実施形態)
上記一実施形態では、チューブ11の内部流体通路112をインナーフィン12により分割して、分割された各通路112a〜112eの全てにおいて、内接円112iの半径Riが非流入時フィレット半径R以上となるように形成していたが、少なくともかしめ部(係合部)111に隣接する通路112a、112bにおいて、内接円112iの半径Riが非流入時フィレット半径R以上となるように形成したものであってもよい。
ヘッダタンク3からチューブ11内へは、このかしめ部111を介してろう材が流入する。そして、このかしめ部111に隣接した流体通路112a、112bに流入してフィレット92を増大させた後、他の流体通路112c等に流入する。したがって、少なくともかしめ部111に隣接する通路112a、112bを、内接円112iの半径Riが非流入時フィレット半径R以上であれば、ヘッダタンク3からコア部2へのろう材の移動を抑制することが可能である。
また、上記一実施形態では、タンク側のろう材と繋がる(溶融時に連続する)コア部2側のろう材は、チューブ11とインナーフィン12とを接合するろう材であったが、タンク側のろう材と繋がるのであれば、コア部2側のろう材は、チューブ11とアウターフィン20とを接合するろう材であっても、本発明を適用することができる。
すなわち、ろう付工程において、ヘッダタンク3、4のろう材がコア部2のチューブ11とアウターフィン20との接合箇所に移動することを抑制することができる。この結果、ヘッダタンク3、4においてろう材が不足してろう付不良を発生したり、コア部2の外部流体通路をろう材が閉塞したりすることを防止することができ、熱交換器としての機能障害が発生することを防止することができる。
また、上記一実施形態では、ろう材はいずれも蒸発器の構成部材に予めクラッドされていたが、置きろう材を配置するものであってもよい。
また、上記一実施形態では、ヘッダタンクはタンクヘッダとプレートヘッダ等を組み合わせて構成していたが、タンク構成はこれに限定されるものではない。例えば、一体筒状のタンク本体部にキャップ等を組み合わせるものであってもよい。また、ヘッダタンクの配置は、コア部2の上下に限定されるものではない。
また、上記一実施形態では、チューブ11は1枚の板状部材により形成されていたが、複数の部材により構成するものであってもよい。例えば、2枚の板状部材を組み合わせてチューブとし、断面長径方向の両端部に係合部を形成したものであってもよい
また、上記一実施形態では、熱交換器は蒸発器1であったが、これに限定されるものではない。例えば、車載用の凝縮器、ヒータコア、ラジエータ等の熱交換器であってもよいし、定置式の熱交換器であっても、本発明は広く適用することが可能である。
本発明を適用した一実施形態における熱交換器である蒸発器1の全体構成を示す外観斜視図である。 図1における上ヘッダタンク3近傍を示す断面図であり、(a)はヘッダタンク3延設方向(チューブ10積層方向)に直交する断面を、(b)はヘッダタンク3延設方向に沿った断面を示している。 蒸発器1のコア部2に使用されるインナーフィンチューブ10の断面図である。 蒸発器1の概略製造工程を示す図である。 工程別要部断面図で、仮組み工程の状態を示しており、(a)は、図2(a)におけるC部拡大図、(b)は、図3におけるD部拡大図である。 工程別要部断面図で、仮組み工程の状態を示しており、図3におけるE部拡大図である。 ヘッダタンクに非流入時フィレットが形成された場合を示す要部断面図である。 工程別要部断面図で、ろう付工程の状態を示しており、(a)は、図2(a)におけるC部拡大図、(b)は、図3におけるD部拡大図である。 ろう材の流動係数の温度特性を示すグラフである。 比較例における要部断面図である。
符号の説明
1 蒸発器(熱交換器)
2 コア部(熱交換部)
3、4 ヘッダタンク
10 インナーフィンチューブ
11 チューブ
12 インナーフィン
93A 非流入時フィレット
112、112a〜112e 通路(内部流体通路)
112i 内接円
122 ろう材層(ろう材、コア部に配置されたろう材)
210 チューブ体成形工程(コア部ろう材配置工程)
220 タンク構成部材成形工程(タンクろう材配置工程)
230 仮組み工程
230A 仮固定体形成工程
240 ろう付工程(接合工程)
312、322 ろう材層(ろう材、ヘッダタンクに配置されたろう材)
R 非流入時フィレット半径
Ri 内接円半径

Claims (8)

  1. 複数のチューブ(11)からなり、内部流体と外部流体との熱交換を行なうためのコア部(2)と、
    前記複数のチューブ(11)の開口端部が挿入接続されて、各チューブ(11)内と連通するヘッダタンク(3、4)とを備え、
    前記コア部(2)および前記ヘッダタンク(3、4)が一体ろう付されてなる熱交換器であって、
    前記コア部(2)は、
    前記ヘッダタンク(3)に形成されるろう材フィレット(93A)の曲率半径をRとしたときに、
    流体の通路(112)断面の内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように形成されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記チューブ(11)は、内部にインナーフィン(12)が備えられて内部流体の通路(112)を複数に仕切られており、
    前記コア部(2)は、前記チューブ(11)の仕切られた複数の内部流体通路(112a〜112e)の全てにおいて、前記内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記チューブ(11)は、板状部材を曲折して両縁部を相互に係合した係合部(111)を接合してなるとともに、内部にインナーフィン(12)が備えられて内部流体の通路(112)を複数に仕切られており、
    前記コア部(2)は、前記チューブ(11)の仕切られた複数の内部流体通路(112a〜112e)のうち、少なくとも前記係合部(111)に隣接する通路(112a、112b)において、前記内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  4. 前記一体ろう付は、前記コア部(2)および前記ヘッダタンク(3、4)に予め配置されたろう材(122、312、322)によりなされており、
    予め前記ヘッダタンク(3)に配置されたろう材(312、322)は、予め前記コア部(2)に配置されたろう材(122)より、前記一体ろう付温度における流動性が低いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の熱交換器。
  5. 複数のチューブ(11)からなり、内部流体と外部流体との熱交換を行なうためのコア部(2)と、
    前記複数のチューブ(11)の開口端部が挿入接続されて、各チューブ(11)内と連通するヘッダタンク(3、4)とを備える熱交換器の製造方法であって、
    前記ヘッダタンク(3)にろう付接合のためのろう材(312、322)を配置するタンクろう材配置工程(220)と、
    前記コア部(2)とろう材(312、322)を配置した前記ヘッダタンク(3)との仮固定体を形成する仮固定体形成工程(230A)と、
    前記仮固定体を加熱して一体ろう付するろう付工程(240)とを備え、
    前記タンクろう材配置工程(220)で配置されたろう材(312、322)が、前記ろう付工程(240)において前記ヘッダタンク(3)に全て滞留した場合に、前記ヘッダタンク(3)に形成されるろう材フィレット(93A)の曲率半径をRとしたときに、
    前記仮固定体形成工程(230A)では、流体の通路(112)断面の内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように前記コア部(2)を仮固定することを特徴とする熱交換器の製造方法。
  6. 前記仮固定体形成工程(230A)では、
    前記チューブ(11)にインナーフィン(12)を内装して内部流体の通路(112)を複数に仕切り、
    仕切った複数の内部流体通路(112a〜112e)の全てにおいて、前記内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように前記コア部(2)を仮固定することを特徴とする請求項5に記載の熱交換器の製造方法。
  7. 前記仮固定体形成工程(230A)では、
    板状部材を曲折して両縁部を相互に係合した係合部(111)を有する前記チューブ(11)を形成するとともに、前記チューブ(11)にインナーフィン(12)を内装して内部流体の通路(112)を複数に仕切り、
    仕切った複数の内部流体通路(112a〜112e)のうち、少なくとも前記係合部(111)に隣接する通路(112a、112b)において、前記内接円(112i)の半径(Ri)が前記R以上となるように前記コア部(2)を仮固定することを特徴とする請求項5に記載の熱交換器の製造方法。
  8. 前記コア部(2)にろう付接合のためのろう材(122)を配置するコア部ろう材配置工程(210)を備え、
    前記タンクろう材配置工程(220)では、前記コア部ろう材配置工程(210)で配置するろう材(122)より、前記ろう付工程(240)の加熱温度において流動性が低いろう材(312、322)を配置することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の熱交換器の製造方法。
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