JP2007200568A - 固体電解質型燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体電解質体とろう材との接合強度が大きな固体電解質型燃料電池及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 金属部材151と固体電解質体157とをAg系のろう材153にて接合して固体電解質型燃料電池を製造する場合には、金属部材151にクロマイジング処理を行い、固体電解質体157にメタライズ処理を行う。この様にして製造された固体電解質型燃料電池においては、ろう材153の固体電解質体157側の表面に、Crを主成分とする酸化物の界面層155を備えているので、その界面にて隙間無く密着し、高い接合強度を有する。
【選択図】 図14

Description

本発明は、固体電解質の特性を利用して発電を行う固体電解質型燃料電池及びその製造方法に関するものである。
従来より、燃料電池として、セラミックスである固体電解質(固体酸化物)に空気極や燃料極を備えた固体電解質型燃料電池が知られている。
この種の燃料電池においては、燃料電池の運転温度を低温化し、金属フレームを用いて機械的強度を保持する技術が開発されており、この金属フレームとして、耐熱合金を用いて信頼性を高めようとする動きがある。
前記金属フレームを用いる場合には、金属とセラミックスを気密性を保って接合する技術が必要になる。この金属とセラミックスを接合する技術としては、ガラスシール、コンプレッションシール、ろう付けなどがある。
このうち、コンプレッションシールとは、金属ガスケットを押し潰して気密性を確保する技術であるが、温度サイクルにより気密性が低下するという問題がある。また、ガラスシールには、脆いという問題がある。
これに対して、ろう付けは、強度が高く温度サイクルにも強く、理想的な接合方法であり、このろう付け法として、例えば活性金属法が知られている。前記活性金属法は、酸素に対して活性な高融点金属を用いることで、セラミックスとの界面反応を促進させ接合する手法であり、活性金属として、一般的にTiやZrが用いられている。
また、近年では、Ag−Pd系ろう材を用いて、固体電解質体と耐熱合金とを接合する技術が開示されている(特許文献1参照)。更に、Mo−Mn法によるメタライズ処理を行う方法が開示されており、この方法では、加湿した水素雰囲気で熱処理を行っている(特許文献2参照)。
特開2004−207170号公報 特開2004−146129号公報
しかしながら、Agろう材は、耐熱性、耐酸化性に優れ、高温でも金属として安定であるという利点があるが、金属を酸化させないように、低酸素雰囲気で接合を行う場合、固体電解質体と濡れ性を示す添加物が見いだされておらず、よって、固体電解質体とろう材との濡れ性が低く、信頼性の高い接合面を得ることが難しいという問題があった。
また、前記特許文献2の技術では、水素雰囲気で加熱処理を行うと、空気極が分解し、発電性能が劣化するという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、例えば低酸素雰囲気で接合を行った場合でも、固体電解質体とろう材との接合強度が大きな固体電解質型燃料電池及びその製造方法を提供することにある。
(1)請求項1の発明は、金属部材とセラミックス体とをろう材にて接合した固体電解質型燃料電池において、前記ろう材の前記セラミックス体側の表面に、Crを主成分とする酸化物の界面層を備えたことを特徴とする。
後述する実験例から明らかな様に、ろう材のセラミックス体側の表面、即ちセラミックス体と接触する表面に、Crを主成分とする酸化物の界面層を備えている場合には、ろう材(従って界面層)とのセラミックス体との濡れ性が高く、ろう材とセラミックス体との接合強度が高いという効果がある。
この界面層は、例えば低酸素雰囲気下でろう付けを行う場合に、ろう材表面に形成されるものであり、本発明のように、界面層がCrを主成分とする酸化物から構成されるときに、高い接合強度が得られる。
尚、上述した界面層に含まれるCrは、接合の際の加熱によって、例えば金属部材からろう材に拡散して移動するものであると考えられる。また、この界面層には、接合条件によっては、Cr以外に、NiやFe等の複合酸化物が含まれることもある。
(2)請求項2の発明では、前記ろう材は、Ag系ろう材であることを特徴とする。
本発明は、ろう材を例示したものである。
(3)請求項3の発明では、前記金属部材は、Fe及びCrを主成分とする金属部材、Fe及びNiを主成分とする金属部材、Fr及びCr及びNiを主成分とする金属部材、Ni及びCrを主成分とする金属部材の4種の金属部材から選ばれる1種であることを特徴とする。
本発明は、金属部材を例示したものである。このFe及びCrを主成分とする金属部材としては、後に詳述する様に、例えばSUS430、SUS436を採用できる。Fe及びNiを主成分とする金属部材としては、例えばインバー合金を採用できる。Fr及びCr及びNiを主成分とする金属部材としては、例えばSUS304を採用できる。Ni及びCrを主成分とする金属部材としては、例えばインコネル600、インコネル750を採用できる。
(4)請求項4の発明では、前記金属部材は、クロマイジング処理された金属部材であることを特徴とする。
このクロマイジング処理とは、金属部材の表面にCrを拡散浸透させる処理である。よって、このクロマイジング処理によって、金属部材の表面に多くのCrを含ませることができる。従って、クロマイジング処理された金属部材を用いることにより、ろう付けの際の加熱によって、金属部材からろう材にCrが容易に拡散するので、ろう材の表面にCrを主成分とする酸化物からなる界面層を容易に形成することができる。
(5)請求項5の発明は、 前記Crを主成分とする酸化物の界面層の平均厚みは、0.5μm以上であることを特徴とする。
本発明は、Crを主成分とする酸化物の界面層の好ましい厚みを示したものである。この厚みの範囲であれば、接合強度が高いので好適である。尚、Crを主成分とする酸化物の界面層の厚みは、固体電解質型燃料電池を使用しているうちに増加するが、接合時に上記厚みがあれば高い接合強度が確保できるので好適である。
(6)請求項6の発明は、前記セラミックス体に対して、前記Crを主成分とする酸化物の界面層が、面積で50%以上接触することを特徴とする。
本発明は、Crを主成分とする酸化物の界面層とセラミックス体との好ましい接触状態を示したものである。つまり、この数値以上の面積の割合で両者が接触していれば、接合強度が高いので好適である。
(7)請求項7の発明は、前記Crを主成分とする酸化物の界面層に、Crを50原子%以上含むことを特徴とする。
本発明は、界面層に含まれるCrの好ましい割合を示したものである。つまり、界面層にこの割合でCrが含まれている場合は、接合強度が高いので好適である。
(8)請求項8の発明は、前記セラミックス体は、固体電解質体であることを特徴とする。
本発明は、ろう材によって金属部材に接合されるセラミックス体を例示したものである。尚、このセラミックス体としては、固体電解質体以外に、固体電解質型燃料電池の外周の枠体を構成する構造用のセラミックス体が挙げられる。
(9)請求項9の発明は、 前記請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、前記セラミックス体の表面にメタライズ処理を行った後に、当該セラミックス体のメタライズ面に前記金属部材を前記ろう材により接合することを特徴とする。
本発明では、金属部材とセラミックス体とをろう付けする前に、予めセラミック体にメタライズ処理を行っているので、固体電解質体とろう材との界面が既に濡れている状態となるため、一層接合強度が向上するという利点がある。
尚、メタライズを行う材料としては、Ag系ろう材等のろう材を採用できる。このAgろう材としては、酸素共存雰囲気下で固体電解質体に良好な濡れ性を示すAg+CuO系のろう材が好適である。
(10)請求項10の発明は、前記金属部材と前記セラミックス体とを、1.9Pa以下の低酸素雰囲気下で接合することを特徴とする。
本発明は、ろう付け条件を例示したものであり、この条件でろう付けすることにより、金属部材を酸化させることなく、好適にろう付けを行うことが可能である。
(11)請求項11の発明は、前記セラミックス体は、固体電解質体であることを特徴とする。
本発明は、ろう材によって金属部材に接合されるセラミックス体を例示したものである。
以下、本発明の実施形態の固体電解質型燃料電池を詳細に説明する。
a)まず、固体電解質型燃料電池の基本構成である単セル(即ち固体電解質型燃料電池セル)について説明する。
例えば図1に模式的に示す様に、固体電解質型燃料電池の基本構成である固体電解質型燃料電池セル1では、燃料ガス(例えば水素)に接する燃料極3と、酸素イオン導電性を有する固体電解質体5と、酸化ガス(例えば空気中の酸素)に接触する空気極7とが、この順に積層されている。尚、固体電解質体5と空気極7との間には、反応防止層9が形成されている。
尚、図1では、燃料極3が支持基体となるいわゆる支持膜式の固体電解質型燃料電池セル1を例に挙げているが、それに限定されるものではなく、例えば自立膜式の固体電解質型燃料電池セルなどにも適用することができる。
b)次に、単セルを複数備えた固体電解質型燃料電池のスタック(即ち固体電解質型燃料電池スタック)について説明する。
例えば図2及び図3に示す様に、固体電解質型燃料電池スタック11は、上述した構成を有する固体電解質型燃料電池セル1が、複数個積層されたものである。
詳しくは、図3に示す様に、固体電解質型燃料電池スタック11では、固体電解質型燃料電池セル1を主要部とする発電層13が、金属製のインターコネクタ(セル間セパレータ)15を介して、同図の上下方向に複数積層されている。尚、同図では、反応防止層9の記載は省略されている。
また、固体電解質型燃料電池スタック11の外周側には、空気極7や燃料極3等を気密して囲むように、四角形の筒状の枠部16が設けられており、この枠部16には、燃料極3側の空間(燃料ガスの流路)27に燃料ガスを供給するように、枠部16を同図の上下方向に貫通する燃料ガス供給路20が設けられている。
各固体電解質型燃料電池セル1の燃料極3は、燃料極側集電体17によりセル間セパレータ15に電気的に接続され、各空気極7は、空気極側集電体19によりろう材21を介して他のセル間セパレータ15に電気的に接続されている。尚、最上部の空気極7は蓋体23に、最下部の底部25に、それぞれ電気的に接続されている。
各発電層13は、燃料ガスの流路27と酸化ガスである空気の流路29とを隔離するためのセル内セパレータ31を備えており、このセル内セパレータ31は、ろう材32により、固体電解質体5に接合されている。
また、それぞれの発電層13間を電気的に絶縁するため、絶縁体である四角形の枠状のセラミックフレーム33、45が、積層方向の所定部分に配設されている。
更に、各発電層13には、その強度を高めるために、四角形の枠状の金属フレーム35が、積層方向に配設されて、ろう材37、39、41、43、47によりその上下の部材と一体に接合されている。
つまり、固体電解質型燃料電池スタック11の枠部16においては、図3の上方より、蓋体23、ろう材37、金属フレーム35、ろう材39、セラミックフレーム33、ろう材41、セル内隔離セパレータ31、ろう材43、セラミックフレーム45、ろう材47、セル間中間セパレータ15等の順で積層され、各部材23、35、33、31、45は、その間のろう材37、39、41、43、47により接合一体化されている。
c)以下、固体電解質型燃料電池スタック11の各構成について詳細に説明する。
・セラミックス体である「固体電解質体」は、ZrO2系酸化物、BaCeO3系酸化物、及びLaGaO3系酸化物のうち、少なくとも一つからなることが好ましい。また、これらのうち、ZrO2系酸化物を用いた固体電解質が、機械的強度、化学的安定性、高い酸素イオン伝導性をあわせ持つという点において、特に好ましい。
この固体電解質体は、固体電解質型燃料電池の動作時に燃料極に導入される燃料ガス又は空気極に導入される酸化ガスのうち一方の少なくとも一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。どのようなイオンを伝導することができるかは特に限定されないが、イオンとしては、例えば、酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。
尚、この固体電解質体の厚さは電気抵抗と強度とを勘案し、5〜100μm、特に5〜50μm、更には5〜30μmとすることができる。
・また、セラミックス体である「セラミックフレーム」の材質としては、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック、ケイ化物系セラミックなどが挙げられる。酸化物系セラミックとしては、ジルコニア、マグネシア、スピネル、アルミナ、チタニア等が挙げられる。また、2種以上の元素を含有する複合酸化物からなるセラミックが挙げられる。窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化タングステン等が挙げられる。ケイ化物系セラミックとしては、ケイ化モリブデン等が挙げられる。
・金属部材である「セル内セパレータ」、「セル間中間セパレータ」、「金属フレーム」の材質としては、金属のうち、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が挙げられる。
具体的には、ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430、SUS434、SUS405等が挙げられる。マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403、SUS410、SUS431等が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS201、SUS301、SUS305等が挙げられる。更に、ニッケル基合金としては、インコネル600、インコネル718、インコロイ802等が挙げられる。クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y23)等が挙げられる。
このうち、クロム基合金は、Crを含むので、セラミックフレームや固体電解質体との接合の際に、その接合面に、Crを主成分とする酸化物の界面層を形成し易いので好適である。また、金属部材の表面にクロマイジング処理されたものは、その表面に多くのCrを含み、よって、Crを主成分とする酸化物の界面層を形成し易いので好適である。
・「ろう材」としては、例えばAgとPdとを含有するAg系ろう材を用いることができる。
例えばAg及びPdの各々の含有量は特に限定されないが、AgとPdとの合計を100質量%とした場合に、Agの含有量は90〜98質量%、特に93〜97質量%、Pdの含有量は2〜10質量%、特に3〜7質量%であることが好ましい。Agの含有量が98質量%を越えると、即ち、Pdの含有量が2質量%未満であると、接合材の耐酸化性等が低下し、十分な耐久性を有する接合部を形成することができない場合がある。一方、Agの含有量が90質量%未満であると、即ち、Pdの含有量が10質量%を越えると、接合時に接合材が十分に流動せず、接合部のシール性が低下する傾向にある。
また、ろう材には、更にCuが含有されていてもよい。Cuが含有されている場合のAg、Pd及びCuの各々の含有量は特に限定されないが、Ag、Pd及びCuの合計を100質量%とした場合に、Agの含有量は45〜65質量%、特に50〜60質量%、Pdの含有量は15〜35質量%、特に20〜30質量%、Cuの含有量は10〜30質量%、特に15〜25質量%であることが好ましい。Cuが含有されている場合、含有されていない接合材に比べてより多量のPdを含有していても、十分な流動性を有し、優れたシール性が維持される。一方、AgとCuの合計が65質量%未満、即ち、Pdの含有量が35質量%を越えると、流動性が低下し、シール性が不十分になる傾向にある。
或いは、ろう材には、更にTiが含有されていてもよい。適量のTiを含有することにより、接合温度が比較的低い場合でも、特に大きな接合強度が得られる。このTiの含有量は、Ag、Pd及びTiの合計を100質量%とした場合に、又はCuが含有されているときは、Ag、Pd、Cu及びTiの合計を100質量%とした場合に、0.05〜10質量%であることが好ましく、特に0.05〜8質量%、更には0.05〜6質量%であることがより好ましい。
Tiの含有量が0.05〜10質量%であれば、接合雰囲気が真空ではなく、アルゴン等の不活性雰囲気であっても、実用上、十分な強度を有する接合部を形成することができる。また、接合雰囲気が真空である場合は、Tiの含有量は、0.05〜20質量%、特に0.05〜15質量%とすることもでき、更に、Tiの含有量が0.08〜10質量%であれば、接合強度が大きく向上する。
尚、ろう材には、Ag、Pd、Cu及びTi以外に、接合強度及びガスシール性等が低下しない範囲で他の成分が含有されていてもよい。そのような成分としてはSn、In、Ni、Nb等が挙げられる。これらの他の成分は、AgとPdとの合計、更にCuを含有する場合はAg、Pd及びCuの合計、更にTiを含有する場合はAg、Pd及びTiの合計、又はAg、Pd、Cu及びTiの合計を100質量部とした場合に、10質量部以下、特に0.1〜10質量部、更には0.5〜5質量部含有させることができる。
・「燃料極」は、水素源となる燃料ガスと接触し、単セルにおける負電極として機能する。
前記燃料極の形成に用いる材料としては、Ni及びYSZ(イットリア安定化ジルコニア)等が挙げられるが、それらに限定されず、固体電解質型燃料電池の使用条件等により適宜選択することができる。
この材料としては、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の金属が挙げられる。これらの金属は1種のみでもよいし、2種以上の金属の合金でもよい。また、これらの金属及び/又は合金と、Y及び希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のジルコニア系セラミック、セリア系セラミック等のセラミックとの混合物(サーメットを含む。)が挙げられる。更に、Ni及びCu等の金属の酸化物と、上記セラミックのうちの少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
・「空気極」は、酸素源となる酸化ガスと接触し、単セルにおける正電極として機能する。
この空気極の形成に用いる材料としては、空気極の材料としては、例えば、各種の金属、金属の酸化物、金属の複酸化物等を用いることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRh等の金属又は2種以上の金属を含有する合金が挙げられる。更に、金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn及びFe等の酸化物が挙げられる。また、複酸化物としては、少なくともLa、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe及びMn等を含有する複酸化物が挙げられる。
・「燃料極側集電体」の材質は、金属が好ましく、例えばNi又はNi基合金等により形成することができる。この燃料極側集電体の形態は、弾性があるものが好ましく、多孔体、発泡体及び金属繊維からなるフェルト又はメッシュ等を挙げることができる。
・「空気極側集電体」の材質は、金属及び導電性セラミックを用いることができる。この金属としては、燃料極側集電体と同様のものを用いることができるが、非弾性の緻密な板状体であってもかまわない。
・「燃料ガス」は、水素、水素源となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させ加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。
炭化水素は特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。更に、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタン等の炭素数が1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜4の飽和炭化水素、並びにエチレン及びプロピレン等の不飽和炭化水素を主成分とするものが好ましく、飽和炭化水素を主成分とするものが更に好ましい。これらの燃料ガスは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
・「酸化ガス」は、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。また、この混合ガスには80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの酸化ガスのうちでは安全であって、且つ安価であるため空気(約80体積%の窒素が含まれている。)が好ましい。
次に、本発明の効果を確認するための試験に用いた実施例及び(本発明の範囲外の)比較例について説明する。
a)ここでは、まず、接合強度試験に用いるテストピースの製造方法について説明する。
(比較例1)
比較例1では、図4に示す様にして、強度接合用のテストピースを製造した。
具体的には、燃料電池セルに模擬したNiO−YSZからなる燃料極51とYSZからなる固体電解質体53とを積層し、縦22mm×横22mm×厚み1.5mmの積層体55を形成した。尚、この積層体55は、定法により、各構成部材のシートを圧着し、得られた積層体を脱脂、焼成するという手順により製造した。
そして、前記積層体55と、枠状のAg−Pd(組成:Ag+5重量%Pd)からなる内側のろう材57及び外側のろう材59と、Crを不純物程度にしか含まない純Fe製の枠状の金属部材61と、枠状のSUS430からなる治具63とを積層した。具体的には、積層体55と金属部材61との間に内側のろう材57が接し、治具63と金属部材61との間に外側のろう材59が接するように積層した。
尚、金属部材61の寸法は、縦40mm×横40mm×厚み0.05mmで、その開口部65の寸法は、縦14mm×横14mmであり、内側のろう材57の寸法は、縦22mm×横22mm×厚み0.1mmで、その開口部67の寸法は、縦14mm×横14mmであり、外側のろう材59の寸法は、縦40mm×横40mm×厚み0.1mmで、その開口部69の寸法は、縦24mm×横24mmであり、治具63の寸法は、縦40mm×横40mm×厚み3mmで、その開口部71の寸法は、縦24mm×横24mmである。
次に、これらを前記図4の様にセットし、1.0Pa以下の真空雰囲気下で、1020℃にてろう付け接合した。尚、接合の際には、積層体55や治具63の上に、直方体の重り73と枠状の重り75とを載置した。
尚、図5に、金属部材61と積層体55との接合面77を示すが、接合面77は、内側のろう材57と同様な枠状である。
(比較例2)
比較例2では、図6に示す様に、固体電解質体81の表面(枠状の接合面)にメタライズ処理を行ってメタライズ層83を形成した。このメタライズ処理は、固体電解体81の接合面に、Ag+CuO(重量比Ag:CuO=96:4)を含むろう材ペーストを印刷し、大気雰囲気下で、ろう材の融点(960℃)以下の920℃で、1時間加熱することで行った。
その後、メタライズ層83と金属部材85との間に、前記比較例1と同様なAg−Pdろう材87を配置して、真空雰囲気下でろう付けを行った。
尚、それ以外の条件は、前記比較例1と同様にして、比較例2のテストピースを作成した。
(実施例1)
実施例1では、固体電解質体としてメタライズ処理しないものを用いるとともに、金属部材としてステンレス鋼(例えばSUS430)を用いた。尚、それ以外の条件は、前記比較例1と同様にして、実施例1のテストピースを作成した。
(実施例2)
実施例2では、固体電解質体としてメタライズ処理しないものを用いるとともに、金属部材としてクロマイジング処理(Cr拡散被覆処理)したステンレス鋼(例えばSUS430)を用いた。
ここで、前記クロマイジング処理の方法を説明する。
前記金属部材(例えばステンレス)を、Cr粉、Al23粉及びNH4Cl粉よりなる調合剤と共に、鋼製のケース内に埋め込み、H2ガス雰囲気中にて900℃で処理する。これにより、金属部材の表面にCrリッチな表面層(最表面は殆どが純Cr)が10〜50μmの厚みで形成される。
尚、それ以外の条件は、前記比較例1と同様にして、実施例2のテストピースを作成した。
(実施例3)
実施例3では、固体電解質体として前記比較例2と同様なメタライズ処理したものを用いるとともに、金属部材としてクロマイジング処理しないステンレス鋼(例えばSUS430)を用いた。
尚、それ以外の条件は、前記比較例1と同様にして、実施例3のテストピースを作成した。
(実施例4)
実施例4では、固体電解質体として前記比較例2と同様なメタライズ処理したものを用いるとともに、金属部材として前記実施例2と同様なクロマイジング処理したステンレス鋼(例えばSUS430)を用いた。
尚、それ以外の条件は、前記比較例1と同様にして、実施例4のテストピースを作成した。
b)次に、前記各試料を用いて行った接合強度の試験について説明する。
上述した様にして製造した各テストピースを、図7の様に逆さまに配置して、セル中央に直径10mmの円柱の金属棒91を配置して荷重を加えた。
そして、ろう付けによる接合面で剥離した時の測定値を測定した。その結果を、下記表1に記す。
尚、接合強度は、「剥離したときの荷重÷接合面の面積」と定義した。
Figure 2007200568
この表1から明かな様に、本発明の範囲の実施例1〜4では、金属部材にCrを含有し、よって、後述する組織観察からも明かな様に、ろう材表面にCrを含む酸化物からなる界面層を備えているので、接合面の剥離荷重が42[kPa]以上と大きく、接合強度が高いので好適である。
それに対して、比較例1、2では、金属部材にCrを含有せず、よって、ろう材表面にCrを含む酸化物からなる界面層を備えていないので、接合面の剥離荷重が50[kPa]以下と小さく、接合強度が低いので好ましくない。
c)次に、組織観察について説明する。
各テストピースに対して、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて、組織観察を行った。
具体的には、テストピースを図6の上下方向に切断し、その接合部分における切断面をSEM及びTEMにて観察した。また、EDSにて、その切断面に露出したろう材の表面の界面層の組成の分析を行った。
その結果を、下記に示す。
・比較例1
図8に比較例1のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材101の表面にろう材103が密着し、ろう材103の表面に界面層105が僅かに形成されている(厚みの平均は1μm以下)。
しかし、ろう材103(従って界面層105)と固体電解質体107との間に隙間109が大きく広がっていた(接触部分の面積は固体電解質体107の全表面の20%)。また、EDSの測定から、界面層105には、微量のFe酸化物が検出されたが、Crは検出されなかった。
この比較例1は、前記表1に示す様に、剥離荷重が10[kPa]と小さく、接合強度が低いので好ましくない。
・比較例2
図9に比較例2のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材111の表面にろう材113が密着し、ろう材113の表面に界面層115が僅かに形成されている(厚みの平均は1μm以下)。
この比較例2では、固体電解体117の(ろう材113側の)表面には、図10に拡大して示す様に、メタライズ層119が形成されているので、図9に示す様に、ろう材113(従って界面層115)と固体電解質体117とは、隙間なく密着していた。しかし、EDSの測定から、界面層115には、微量のFe酸化物が検出されたが、Crは検出されなかった。
この比較例2は、前記表1に示す様に、剥離荷重が50[kPa]と小さく、接合強度が低いので好ましくない。
・実施例1
図11に実施例1のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材121の表面にろう材123が密着し、ろう材123の表面に界面層125が所定の厚みで形成されている(厚みの平均は2〜5μm程度)。
また、ろう材123(従って界面層125)と固体電解質体127との間に隙間129が存在していた(接触部分の面積は固体電解質体127の全表面の50%)。更に、EDSの測定から、界面層125には、Crを主成分とする酸化物が検出された。
この実施例1は、前記表1に示す様に、剥離荷重が42[kPa]と大きく、接合強度が高く好適である。
・実施例2
図12に実施例2のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材131の表面にろう材133が密着し、ろう材133の表面に界面層135が前記実施例1より大きな厚みで形成されている(厚みの平均は4〜7μm程度)。
また、ろう材133(従って界面層135)と固体電解質体137との間に隙間139が存在していた(接触部分の面積は固体電解質体137の全表面の50%)。更に、EDSの測定から、界面層135には、Crを主成分とする酸化物が検出された。
尚、本実施例で、界面層135が厚いのは、クロマイジング処理により、十分なCrが供給されたためである。
この実施例2は、クロマイジング処理により、界面層が十分に厚いので、前記表1に示す様に、剥離荷重が102[kPa]と大きく、接合強度が高いので好適である。
・実施例3
図13に実施例3のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材141の表面にろう材143が密着し、ろう材143の表面に界面層145が前記実施例1より大きな均一の厚みで形成されている(厚みの平均は2〜5μm程度)。
また、本実施例では、固体電解質体147の表面にメタライズ処理が施されているため、ろう材143(従って界面層145)は全面にわたって固体電解質体147に隙間無く密着していた。更に、EDSの測定から、界面層145には、Crを主成分とする酸化物が検出された。
本実施例では、前記表1に記載の様に、剥離荷重が198[kPa]と大きく好ましいが、剥離界面が燃料極と固体電解質体との間であったため、固体電解質体と金属部材との接合強度は、測定された値より大きいと予想される。
・実施例4
図14に実施例4のテストピースの切断面を模式的に示す。同図から明かな様に、金属部材151の表面にろう材153が密着し、クロマイジング処理が施された金属部材151が用いられているので、ろう材153の表面に界面層155が前記実施例3より大きな均一の厚みで形成されている(厚みの平均は4〜7μm程度)。
また、本実施例では、固体電解質体157の表面にメタライズ処理が施されているため、ろう材153(従って界面層155)は全面にわたって固体電解質体157に隙間無く密着していた。更に、EDSの測定から、界面層155には、Crを主成分とする酸化物が検出された。
本実施例では、界面層155の厚みが実施例3より大きいため、実施例3より接合強度が大きいと予想されるが、剥離界面が燃料極と固体電解質体との間であったため、実施例3とほぼ同様な接合強度が測定されたと考えられる。
また、前記実施例1〜4とは別に行われた同様な実験では、図示しないが、Crを含む酸化物からなる界面層の厚みが、1μm以下の場合でも(但し0.5μm以上)、十分な強度が得られた試料が得られた。具体的には、この試料では、Crを含む酸化物からなる界面層の平均厚みが0.7μm、強度が180kPa、接触面積の割合が50%以上であった。
尚、本発明は前記実施例等になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
固体電解質型燃料電池セルを破断して示す模式図である。 固体電解質型燃料電池スタックを示す斜視図である。 図2のA−A断面図である。 比較例1のテストピースの製造方法を示す説明図である。 比較例1のテストピースの接合面の形状を示す説明図である。 比較例2のテストピースの製造方法を示す説明図である。 テストピースに対する接合強度試験の実験方法を示す説明図である。 比較例1のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。 比較例2のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。 比較例2のテストピースにおけるメタライズ層の接合状態を模式的に示す説明図である。 実施例1のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。 実施例2のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。 実施例3のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。 実施例4のテストピースの断面を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1…固体電解質型燃料電池セル
3…燃料極
5、107、117、127、137、147、157…固体電解質体
7…空気極
11…固体電解質型燃料電池スタック
101、111、121、131、141、151…金属部材
103、113、123、133、143、153…ろう材
105、115、125、135、145、155…界面層
119…メタライズ層

Claims (11)

  1. 金属部材とセラミックス体とをろう材にて接合した固体電解質型燃料電池において、
    前記ろう材の前記セラミックス体側の表面に、Crを主成分とする酸化物の界面層を備えたことを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 前記ろう材は、Ag系ろう材であることを特徴とする前記請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。
  3. 前記金属部材は、Fe及びCrを主成分とする金属部材、Fe及びNiを主成分とする金属部材、Fr及びCr及びNiを主成分とする金属部材、Ni及びCrを主成分とする金属部材の4種の金属部材から選ばれる1種であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 前記金属部材は、クロマイジング処理された金属部材であることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
  5. 前記Crを主成分とする酸化物の界面層の平均厚みは、0.5μm以上であることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
  6. 前記セラミックス体に対して、前記Crを主成分とする酸化物の界面層が、面積で50%以上接触することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
  7. 前記Crを主成分とする酸化物の界面層に、Crを50原子%以上含むことを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
  8. 前記セラミックス体は、固体電解質体であることを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池。
  9. 前記請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、
    前記セラミックス体の表面にメタライズ処理を行った後に、当該セラミックス体のメタライズ面に前記金属部材を前記ろう材により接合することを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
  10. 前記金属部材と前記セラミックス体とを、1.9Pa以下の低酸素雰囲気下で接合することを特徴とする前記請求項9に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法。
  11. 前記セラミックス体は、固体電解質体であることを特徴とする前記請求項9又は10に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法。
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