JP2007205437A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体封入領域への液体封入工程やブラケット金具への塗装工程等における作業に悪影響を及ぼすことなく、可撓性ゴム膜の背後に密閉空気室が有利に形成され得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】可撓性ゴム膜36の外周に加硫接着した環状の固定金具38を、第二の取付部材16の一端から突出した状態で固定すると共に、この突出先端部分には可撓性ゴム膜36と一体形成されたシールゴム層45を被着形成しておく。さらに、このシールゴム層45を挟んで蓋板部材62を外挿して流体密に固定し、可撓性ゴム膜36と蓋板部材62との間に密閉空気室65を形成した。
【選択図】図1
【解決手段】可撓性ゴム膜36の外周に加硫接着した環状の固定金具38を、第二の取付部材16の一端から突出した状態で固定すると共に、この突出先端部分には可撓性ゴム膜36と一体形成されたシールゴム層45を被着形成しておく。さらに、このシールゴム層45を挟んで蓋板部材62を外挿して流体密に固定し、可撓性ゴム膜36と蓋板部材62との間に密閉空気室65を形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、流体封入式防振装置に係り、特に、受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を通じての封入流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振支持体や防振連結体等の防振装置として、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。この流体封入式防振装置の一種として、特許文献1(特開平06−341483号公報)に示されているように、第一の取付金具を筒状の第二の取付金具の一方の開口部側に配設すると共に、これら第一の取付金具と第二の取付金具を本体ゴム弾性体で弾性連結せしめた構造のものがあり、例えば自動車用のエンジンマウント等として用いられている。
そして、このような流体封入式防振装置では、筒状の第二の取付金具の他方の開口部が可撓性ゴム膜で閉塞されて、本体ゴム弾性体と可撓性ゴム膜の対向面間に液体封入領域が形成されている。また、かかる液体封入領域は、第二の取付金具で支持された仕切部材によって仕切られており、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成された平衡室が形成されていると共に、それら受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路が形成されている。而して、第一の取付金具と第二の取付金具の間への振動入力時には、受圧室と平衡室の間に惹起される相対的な圧力変動に伴い、それら両室間でオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、この流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようになっている。
さらに、近年では、かくの如き流体封入式防振装置における特性向上を目的として、可撓性ゴム膜の外方を覆う蓋金具を設けて、可撓性ゴム膜を挟んで平衡室と反対側に密閉空気室を形成することが検討されている。即ち、この密閉空気室を形成することにより、例えば密閉空気室の空気ばね作用によって防振装置の静的ばね定数と動的ばね定数の比を調節したりすること等が検討されているのである。
具体的には、上記特許文献1に示されているように、可撓性ゴム膜(ダイヤフラム)の外周縁部と共に、蓋金具(気密板)の外周縁部を、第二の取付金具(支持筒)に対してかしめ固定して組み付ける構造が、提案されている。
しかしながら、このような可撓性ゴム膜との同時かしめ固定による蓋金具の組付構造では、可撓性ゴム膜の組付けを液体中で行うことが難しくなり、液体封入領域への液体の充填作業に支障をきたすという問題がある。即ち、液体中で可撓性ゴム膜と蓋金具のかしめ固定を行おうとすると、密閉空気室への液体の侵入を阻止することが難しく、例えば特許文献2(特開2003−206976号公報)に記載されているように、蓋金具に液抜孔を設けて、かしめ固定後に液抜孔から密閉空気室内の液体を抜いてから該液抜孔をリベット等で封止するなどという特別な作業が必要となる。
このような問題に対処するために、本出願人の先の出願に係る特許文献3(特開平08−170683号公報)に示されているように、受圧室や平衡室への液体の封入を完了した流体封入式防振装置に対して、有底のカップ形状を有するブラケット金具を圧入固定することにより、ブラケット金具の底部を可撓性ゴム膜で蓋して密閉空気室を形成することも考えられる。
しかしながら、この構造を採用するには、ブラケット金具を有底構造としなければならず、塗装等の製造作業に悪影響がでるという問題がある。即ち、ブラケット金具には、防錆や耐蝕等の目的で塗装処理を施すことが必要となるが、有底形状の金具を塗装する場合には、どぶ漬けやスプレー等で塗装した場合に底部に塗料が留まって残り易く、その処理が非常に面倒であるという問題が避けられないのである。
また、ブラケット金具は、その形状や強度等の関係で絞り加工が難しく、上述のように圧入による固定構造とされるが、圧入による固定構造では、圧入時におけるシールゴムの損傷等が発生するおそれもある。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、液体封入領域への液体封入工程やブラケット金具への塗装工程等における作業に悪影響を及ぼすことなく、可撓性ゴム膜の背後に密閉空気室を有利に形成することのできる、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、前述の課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置して該第一の取付部材と該第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性ゴム膜で覆蓋する一方、該本体ゴム弾性体と該可撓性ゴム膜の対向面間に仕切部材を配設して該第二の取付部材で支持せしめることにより、該仕切部材を挟んだ一方の側には該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室を形成し且つ他方の側には該可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材の軸方向一方の端部が前記本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着されている一方、前記可撓性ゴム膜の外周縁部に環状の固定部材が加硫接着されており、該固定部材に対して該第二の取付部材の軸方向他方の端部が外挿されて縮径加工により該固定部材に該第二の取付部材が外嵌固定されていると共に、該固定部材の軸方向先端部が該第二の取付部材から軸方向外方に突出せしめられて、この突出した軸方向先端部の外周面には該可撓性ゴム膜と一体成形されたシールゴム層が被着形成されており、該可撓性ゴム膜を外方から覆うように蓋板部材が被せられて、該蓋板部材の外周縁部が該固定部材における該軸方向先端部に外挿されて縮径加工により該シールゴム層を挟んで流体密に嵌着固定されることにより、該可撓性ゴム膜を挟んで前記平衡室と反対側には該蓋板部材で覆われた密閉空気室が形成されている流体封入式防振装置にある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、受圧室や平衡室への非圧縮性流体の封入を完了した流体封入式防振装置の本体に対して、別途に準備した蓋板部材を組み付けることによって密閉空気室を画成することが出来る。即ち、流体封入式防振装置の本体において第二の取付部材から外方に向かって突出せしめられた固定部材の先端開口部に対して蓋板部材を嵌着固定する際には、既に、受圧室や平衡室への非圧縮性流体の封入が完了していることから、この蓋板部材の組付け作業を大気中で行うことが可能となる。
従って、密閉空気室の形成が、受圧室や平衡室への非圧縮性流体の封入に際しての作業に悪影響を及ぼすことがない。また、密閉空気室に対する非圧縮性流体の入り込みが容易に且つ確実に防止され得て、密閉空気室も容易に形成することが可能となる。
加えて、ホルダ部材で密閉空気室を画成するものでないことから、ホルダ部材自体が必ずしも必要でなくなり、たとえホルダ部材を採用する場合でも、底部が開口した筒状のホルダ部材を採用できることから、塗装や前処理に際して塗料や処理液などが底部に残留することもない。
さらに、固定部材において蓋板部材が組み付けられる軸方向端部は、第二の取付部材から軸方向外部に突出して露出せしめられていることから、蓋板部材の固定部材に対する組付けの作業性が良好とされる。しかも、固定部材の突出量を適当に設定することによって、蓋板部材の固定部材に対する嵌着固定面を有利に確保することが出来る。それ故、蓋板部材を良好な作業性をもって組み付けて密閉空気室を形成することができるし、かかる蓋板部材の組付部分におけるシール面積も大きく確保することが可能となって、高い耐久性と信頼性をもって密閉空気室を形成することが可能となる。
また、本発明において好適には、前記固定部材が、軸方向中間部分に段差状部を有しており、該段差状部に対して前記第二の取付部材の前記軸方向他方の端部が係止されることによって、該固定部材に対して該第二の取付部材からの抜け出しを阻止する固定力が及ぼされている構造が、採用される。
このように、固定部材の段差状部に対して第二の取付部材を係止させることにより、固定部材の第二の取付部材に対する固定強度を一層有利に得ることが可能となる。また、固定部材の第二の取付部材に対する固定強度は、その後に固定部材の突出部分に対して蓋板部材を嵌着固定する際の作業によって及ぼされる外力にも耐えて充分に大きく設定することが望ましい。かかる観点からも、本発明において、このような固定部材の段差状部への第二の取付部材の係止構造を採用することは有利である。
なお、固定部材の段差状部は、例えば固定部材の軸方向中間部分に段差状部を設け、該段差状部を挟んで、第二の取付部材への挿入側の軸方向部分を大径部とすると共に、反対の外方に突出せしめられる軸方向部分を小径部とすることにより、かかる段差状部の大径側の角部に対して、第二の取付部材が有利に係止され得るようにすることが可能である。
また、本発明において好適には、前記固定部材における軸方向の突出先端面において、該固定部材の内周面側に形成された前記可撓性ゴム膜と該固定部材の外周面側に形成された前記シールゴム層とを一体的に繋ぐ先端ゴム層が被着形成されていると共に、この先端ゴム層が、該固定部材と前記蓋板部材との間で軸方向に挟圧されている構造が、採用される。
このような軸方向でのゴム層の挟圧構造を採用することにより、密閉空気室の流体密性をより高度に確保することが可能となる。例えば、固定部材に対する蓋板部材の嵌着面積を、固定部材の外周面において充分な軸方向長さで確保し難いような場合にも、先端ゴム層による軸方向挟圧によるシール構造を併せて採用することにより、シール性能の信頼性の向上が図られ得る。
以下、本発明を、更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に係る流体封入式防振装置の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具14と第二の取付部材としての第二の取付金具16が本体ゴム弾性体18で弾性連結されることで構成されたマウント本体12を含んで構成されており、第一の取付金具14がパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具16がホルダ部材としてのブラケット20を介して車両ボデー側に取り付けられることで、防振対象部材であるパワーユニットと車両ボデーの間に介装されてパワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、防振すべき主たる振動の入力方向となる図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具14は、円形外周面で上下方向に延びるブロック形状を有している。また、軸方向上端部には、外周面上にフランジ状に延び出した環状突出部24が一体形成されている。更に、その中心軸上には、軸方向上端面に開口する固定用ねじ穴22が形成されている。この固定用ねじ穴22に螺着される固定ボルト(図示せず)によって、第一の取付金具14がパワーユニットに固定されるようになっている。
一方、第二の取付金具16は、全体として大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具16は、その軸方向上側端部において、外周面上に広がるフランジ状部26を備えている。そして、第二の取付金具16の軸方向上側の開口部側に離隔して、第一の取付金具14が略同一中心軸上に配されている。更に、これら第一の取付金具14と第二の取付金具16の間に本体ゴム弾性体18が配設されており、この本体ゴム弾性体18によって第一の取付金具14と第二の取付金具16が弾性的に連結されている。
図2に示されているように、本体ゴム弾性体18は、全体として円錐台形状を有しており、その小径側端面から軸方向に差し込まれるようにして第一の取付金具14が本体ゴム弾性体18に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体18の大径側端部外周面には、第二の取付金具16の軸方向上側の開口部分が重ね合わされて加硫接着されており、本体ゴム弾性体18の外周縁部は、第二の取付金具16のフランジ状部26の上にまで延び出して固着されている。要するに、本体ゴム弾性体18は、第一の取付金具14と第二の取付金具16を備えた一体加硫成形品とされている。
また、このように第二の取付金具16の開口部が本体ゴム弾性体18の外周面に加硫接着されることにより、第二の取付金具16の軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体18によって流体密に閉塞されている。なお、本体ゴム弾性体18の大径側端面には、すり鉢状の大径凹所28が形成されて、荷重入力時の応力緩和が図られている。
更にまた、第二の取付金具16の内周面には、シールゴム層30が被着形成されている。このシールゴム層30は、本体ゴム弾性体18と一体形成されており、かかるシールゴム層30によって第二の取付金具16の内周面が、本体ゴム弾性体18とシールゴム層30で略全面に亘って覆われている。
なお、シールゴム層30の肉厚寸法は、第二の取付金具16の軸方向下側の開口端部付近において、軸方向の所定長さにわたり、開口端縁部に向かって次第に薄肉とされている。これにより、シールゴム層30の内周面は、軸方向下端部付近において開口端縁部に向かって次第に拡径する傾斜面とされている。また、本体ゴム弾性体18における大径凹所28の開口周縁部とシールゴム層30の間には、第二の取付金具16の軸方向中間部分を全周に亘って延びるようにして、軸直角方向に広がる環状段差面32が形成されている。
さらに、上述の如き一体加硫成形品を構成する第二の取付金具16には、図1に示されているように、その軸方向下方の開口部から仕切部材34と可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム36が順次挿入されて、第二の取付金具16に対して嵌着固定されている。仕切部材34は、厚肉の略円板形状とされており、金属や合成樹脂等の硬質材で形成されている。また、外周部分には、外周面に開口して周方向に延びる凹溝37が、周方向に一周弱の長さで形成されている。
一方、ダイヤフラム36は、図3に示されているように、薄肉のゴム膜によって形成されており、波紋状の弛みをもった略薄肉円板形状とされて容易に撓み変形が許容されるようになっている。また、ダイヤフラム36の外周面には、円筒形状の固定部材としてのゴム膜固定金具38が加硫接着されている。
そして、これら仕切部材34とダイヤフラム36が、第二の取付金具16に対して順次軸方向に挿入されて、その後、第二の取付金具16に八方絞り等の縮径加工が施されることにより、仕切部材34とゴム膜固定金具38の各外周面が第二の取付金具16に対して嵌着固定されている。特に、第二の取付金具16は、ゴム膜固定金具38に外嵌固定された下端開口部付近において、大きな縮径率でかしめ加工されて下端開口部に行くに従って次第に小径化するテーパ形状とされており、第二の取付金具16の下端部がゴム膜固定金具38の下端部に対して係止されて、ゴム膜固定金具38の第二の取付金具16からの抜け出しが防止されている。
ここにおいて、ゴム膜固定金具38は、軸方向の略中央部分に径方向に延びる段差部39が形成された段付円筒形状とされている。即ち、ゴム膜固定金具38は、段差部39を挟んで、上下にそれぞれ一定の径寸法で延び出しており、軸方向上側が大径筒部41とされていると共に、軸方向下側が小径筒部43とされている。そして、大径筒部41が第二の取付金具16の下側開口部から差し入れられて、その外周面に対して第二の取付金具16の下端かしめ部40がかしめ固定されている。これにより、小径筒部43が、第二の取付金具16の下側開口部から外部に突出して露出せしめられている。
特に、本実施形態では、第二の取付金具16の下端かしめ部40の下端部分が、大径筒部41の下端部を僅かに超えて下方に延び出した状態とされている。これにより、第二の取付金具16の下端かしめ部40の下端部分における段差部39との連結部の屈曲状の外周面に対して、係止されている。この係止作用により、ゴム膜固定金具38は、第二の取付金具16の下端かしめ部40に差し入れられた大径筒部41の外径寸法が、該大径筒部41の下端部を超えて下方に僅かに突出した第二の取付金具16の下端かしめ部40の最小開口径よりも大きくされているのであり、以て、ゴム膜固定金具38の第二の取付金具16からの軸方向下方への抜け出しが有効に防止されている。
さらに、ゴム膜固定金具38においては、その軸方向の略中央部分に対して、ダイヤフラム36の外周縁部が固着されていると共に、このダイヤフラム36と一体成形されたシールゴム層としてのシールゴム45が、被着形成されている。このシールゴム45は、ゴム膜固定金具38の内周面を全体に亘って覆っていると共に、小径筒部43の下端面から回り込んで小径筒部43の外周面にまで延び出している。要するに、ゴム膜固定金具38の小径筒部43の軸方向先端面には、全面に亘ってシールゴム47が被着形成されていると共に、かかる小径筒部43の外周面も、軸方向先端部から軸方向上方に所定長さに亘る領域(具体的には、後述する底蓋金具62が嵌着固定される領域)を全体に亘って覆うようにシールゴム45が被着形成されている。
また、上述の如き仕切部材34とダイヤフラム36の第二の取付金具16に対する組付状態下、仕切部材34とゴム膜固定金具38は、相互に軸方向で重ね合わされて、本体ゴム弾性体18の環状段差面32と第二の取付金具16の下端かしめ部40との間で、軸方向に挟持されて位置決めされている。更にまた、これら仕切部材34およびゴム膜固定金具38と第二の取付金具16の嵌着面間には、その全面に亘ってシールゴム層30が挟圧されており、それらの嵌着面間が流体密にシールされている。
これにより、仕切部材34の軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体18で構成された受圧室42が形成されている一方、仕切部材34の軸方向下側には、壁部の一部がダイヤフラム36で構成された平衡室44が形成されている。また、これら受圧室42および平衡室44は、外部空間に対して流体密に仕切られており、それぞれ、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
そして、受圧室42は、第一の取付金具14と第二の取付金具16の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体18の弾性変形に基づいて圧力変化が生ぜしめられるようになっている。一方、平衡室44は、ダイヤフラム36の変形が容易に生ぜしめられることにより、容積変化が容易に許容されるようになっている。なお、受圧室42や平衡室44への非圧縮性流体の封入は、仕切部材34やダイヤフラム36を、非圧縮性流体中で第二の取付金具16に嵌め入れて、第二の取付金具16に絞り加工を施すこと等によって有利に為され得る。
また、仕切部材34は、その凹溝37が第二の取付金具16で外周面の開口を流体密に覆蓋されている。この凹溝37の周方向両端部は、仕切部材34に形成された切欠状の連通路46,48を通じて、それぞれ、受圧室42と平衡室44の各一方に連通されている。これにより、仕切部材34の外周部分を周方向に所定長さで延びて受圧室42と平衡室44を相互に連通するオリフィス通路50が形成されている。
そして、このオリフィス通路50は、例えばエンジンシェイク等の防振を目的とする周波数域にチューニングされており、振動入力時に受圧室42と平衡室44の間に惹起される圧力差に基づいて、オリフィス通路50を通じての両室42,44間での流体流動が生ぜしめられるようになっている。その結果、オリフィス通路50を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、振動に対して有効な防振効果が発揮されるようになっているのである。
さらに、上述の如くして形成されたマウント本体12には、図1に示されているように、受圧室42や平衡室44への非圧縮性流体の封入後に、蓋板部材としての底蓋金具62が組み付けられている。
この底蓋金具62は、図4に示されているように、全体として略円板形状を有しており、特に本実施形態では、底蓋金具62の中央部分が下方に向かって膨らむことで全体として浅底の皿形状とされている。この底蓋金具62は、金属や合成樹脂等の剛性材料で形成されている。
また、底蓋金具62の外周縁部は、上方に向かって円筒状に立ち上がる嵌着筒部63が一体形成されている。この嵌着筒部63は、ゴム膜固定金具38の小径筒部43におけるシールゴム45の外径寸法よりも僅かに大きな内径寸法で形成されている。そして、この底蓋金具62は、ゴム膜固定金具38において第二の取付金具16の下端開口部から外方に突出して露出せしめられた小径筒部43の下端部から、嵌着筒部63が外挿されている。
その後、底蓋金具62の嵌着筒部63には、小径筒部43への外挿状態下で八方絞り等の縮径加工が施されている。これにより、図1に示されているように、嵌着筒部63は、ゴム膜固定金具38の小径筒部43に対して外嵌固定されている。また、嵌着筒部63と小径筒部43の間では、小径筒部43に加硫接着されたシールゴム45が挟圧介在されており、かかる嵌着面間が流体密にシールされている。更にまた、本実施形態では、底蓋金具62の底壁部の外周部分が、小径筒部43の下端面に対して押し付けられた状態でかしめ固定されており、それによって、底蓋金具62の底壁部と小径筒部43の下端面との間でシールゴム47が挟圧介在されている。これにより、ゴム膜固定金具38の小径筒部43に対する底蓋金具62の嵌着面間が、高い信頼性をもってシールされている。
そして、このような底蓋金具62のゴム膜固定金具38に対する組付けにより、マウント本体12のダイヤフラム36と底蓋金具62の間には、ダイヤフラム36を挟んで平衡室44と反対側において、流体密に密閉された密閉空気室65が形成されている。この密閉空気室65が形成されていることにより、ダイヤフラム36の密閉空気室65内への膨出変形に基づいて平衡室44の容積変化が許容されていると共に、ダイヤフラム36の密閉空気室65内への膨出変形に伴ってダイヤフラム36に対して密閉空気室65の空気ばねが作用せしめられるようになっている。この空気ばねの作用に基づいて、例えば静ばねと動ばねの比を調節して、ばね特性をチューニングすることが可能となるのである。
さらに、かくの如くして製造されたエンジンマウント10には、更に、第二の取付金具16に対してブラケット20が外嵌固定されている。そして、このブラケット20を介して、第二の取付金具16が、図示しない車両ボデーに対して固定されるようになっている。なお、本実施形態では、かかるブラケット20が、円筒形状のブラケット本体に対して、その下側開口を覆うように取付脚部が組み付けられて溶着された構造となっており、取付脚部には底壁部に固定用のボルト挿通孔58が形成されている。要するに、ブラケット20は、密閉空気室を形成するものでないことから、その底壁部には貫通孔(ボルト挿通孔58)が形成されていても問題はないのである。
ここにおいて、上述の如き構造とされたエンジンマウント10においては、予め非圧縮性流体を封入して受圧室42や平衡室44を形成したマウント本体12に対して、大気中で底蓋金具62を組み付けることによって密閉空気室65を形成することが出来る。それ故、受圧室42や平衡室44への非圧縮性流体の充填を容易に行うことが出来ると共に、密閉空気室65への非圧縮性流体の入り込みも完全に回避され得ることとなり、目的とするエンジンマウント10を容易に製造することが可能となる。
また、かかるエンジンマウント10においては、ブラケット20の底部を密閉構造とする必要がない。それ故、ブラケット20の塗装や前処理に際して塗料や処理液などが底部に残留することがなく、良好な作業性をもって塗装等の処理を行うことが出来るのである。
しかも、底蓋金具62が外嵌固定されるゴム膜固定金具38の下端部(小径筒部43)が、第二の取付金具16から外部に突出して露出せしめられていることから、マウント本体12に組み付けられた後のゴム膜固定金具38に対しても、底蓋金具62を容易に組み付けることが出来る。それ故、この底蓋金具62の組付けによって画成される密閉空気室65の流体密性を高度に且つ安定して、高い信頼性のもとに確保することが可能となるのである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも一実施形態であって、本発明が係る実施形態における具体的な記載によって、限定的に解釈されるものでないことは、理解されるべきである。
例えば、マウント本体12において非圧縮性流体の封入領域の構造等は限定されるものでない。具体的に例示すると、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材において各種構造をもって適当な長さや断面積を有するオリフィス通路を一つあるいは二つ以上形成することが可能であり、また、そのようなオリフィス通路に加えて、受圧室と平衡室の小さな圧力差を吸収する公知の可動板や可動膜も併せて採用することが可能である。
更にまた、上述の如き密閉空気室に対して、例えば底蓋金具62に貫通ポートを形成することなどによって、外部管路を連通させて接続することも可能である。このような外部管路を設けることにより、密閉空気室の空気圧を後から外部操作で調節したり制御することも可能となる。
10 エンジンマウント,12 マウント本体,14 第一の取付金具,16
第二の取付金具,18 本体ゴム弾性体,34 仕切部材,36 ダイヤフラム,38 ゴム膜固定金具,42 受圧室,44 平衡室,45 シールゴム,50 オリフィス通路,62 底蓋金具,65 密閉空気室
第二の取付金具,18 本体ゴム弾性体,34 仕切部材,36 ダイヤフラム,38 ゴム膜固定金具,42 受圧室,44 平衡室,45 シールゴム,50 オリフィス通路,62 底蓋金具,65 密閉空気室
Claims (3)
- 第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の一方の開口部側に離隔配置して該第一の取付部材と該第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性ゴム膜で覆蓋する一方、該本体ゴム弾性体と該可撓性ゴム膜の対向面間に仕切部材を配設して該第二の取付部材で支持せしめることにより、該仕切部材を挟んだ一方の側には該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室を形成し且つ他方の側には該可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
前記第二の取付部材の軸方向一方の端部が前記本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着されている一方、前記可撓性ゴム膜の外周縁部に環状の固定部材が加硫接着されており、該固定部材に対して該第二の取付部材の軸方向他方の端部が外挿されて縮径加工により該固定部材に該第二の取付部材が外嵌固定されていると共に、該固定部材の軸方向先端部が該第二の取付部材から軸方向外方に突出せしめられて、この突出した軸方向先端部の外周面には該可撓性ゴム膜と一体成形されたシールゴム層が被着形成されており、該可撓性ゴム膜を外方から覆うように蓋板部材が被せられて、該蓋板部材の外周縁部が該固定部材における該軸方向先端部に外挿されて縮径加工により該シールゴム層を挟んで流体密に嵌着固定されることにより、該可撓性ゴム膜を挟んで前記平衡室と反対側には該蓋板部材で覆われた密閉空気室が形成されていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記固定部材は、軸方向中間部分に段差状部を有しており、該段差状部に対して前記第二の取付部材の前記軸方向他方の端部が係止されることによって、該固定部材に対して該第二の取付部材からの抜け出しを阻止する固定力が及ぼされている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記固定部材における軸方向の突出先端面には、該固定部材の内周面側に形成された前記可撓性ゴム膜と該固定部材の外周面側に形成された前記シールゴム層とを一体的に繋ぐ先端ゴム層が被着形成されていると共に、この先端ゴム層が、該固定部材と前記蓋板部材との間で軸方向に挟圧されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006023666A JP2007205437A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 流体封入式防振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006023666A JP2007205437A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 流体封入式防振装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2007205437A true JP2007205437A (ja) | 2007-08-16 |
Family
ID=38485077
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2006023666A Withdrawn JP2007205437A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 流体封入式防振装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2007205437A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007232207A (ja) * | 2006-01-31 | 2007-09-13 | Tokai Rubber Ind Ltd | 流体封入式防振装置およびその製造方法 |
| JP2009293747A (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-17 | Bridgestone Corp | 防振装置 |
| WO2012033052A1 (ja) * | 2010-09-10 | 2012-03-15 | 本田技研工業株式会社 | 防振ゴム装置 |
-
2006
- 2006-01-31 JP JP2006023666A patent/JP2007205437A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007232207A (ja) * | 2006-01-31 | 2007-09-13 | Tokai Rubber Ind Ltd | 流体封入式防振装置およびその製造方法 |
| JP2009293747A (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-17 | Bridgestone Corp | 防振装置 |
| WO2012033052A1 (ja) * | 2010-09-10 | 2012-03-15 | 本田技研工業株式会社 | 防振ゴム装置 |
| JP5670350B2 (ja) * | 2010-09-10 | 2015-02-18 | 本田技研工業株式会社 | 防振ゴム装置 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20080820 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
| A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090428 |