JP2007242514A - 透過型電子顕微鏡及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 試料傾斜機構や人間では制御できない傾斜を電気的に行い、精密な傾斜合わせを実現する透過型電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】 高電圧電源に接続した電子銃1から発生し加速された電子線Eは、コンデンサレンズからなる収束レンズ3で収束されてから、偏向部4の2段の偏向コイルにより傾斜されて試料室5内の試料載置台上の試料5に照射される。対物レンズ6には、試料載置台に載置支持された試料5aを透過した電子線が入射する。収差補正器7は、対物レンズ6で発生した収差を補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】 高電圧電源に接続した電子銃1から発生し加速された電子線Eは、コンデンサレンズからなる収束レンズ3で収束されてから、偏向部4の2段の偏向コイルにより傾斜されて試料室5内の試料載置台上の試料5に照射される。対物レンズ6には、試料載置台に載置支持された試料5aを透過した電子線が入射する。収差補正器7は、対物レンズ6で発生した収差を補正する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子線を試料に照射し、試料を透過した透過電子により試料の像を得る透過型電子顕微鏡及びその制御方法に関する。
透過型顕微鏡(以下、TEMともいう)は、電子線を試料に照射し、試料を透過した透過電子により試料の高分解能の透過電子像を得て試料の観察を行うばかりでなく、結晶性材料の分子や原子の配列を調べることができる電子回折像、走査透過像あるいはエネルギロス像を得て元素分析をも行うものである。また、近年では、この透過型電子顕微鏡を用いて、透過電子による像だけではなく、試料から反射した反射電子、試料から生じた二次電子やオージェ電子あるいはX線等により、試料表面の形状および構造の観察や試料の元素分析等の種々の分析も行われている。
透過型電子顕微鏡により、結晶質の材料の高分解能観察するためには、試料の特定の方位を正確に電子線入射方向に合わせなければならない。例えば、0.1度以下の精度で電子線入射方向をあわせることが要求されるが、従来これは試料の傾斜で行っていた。
図5は従来の電子線に対する結晶方位の合わせ方を示す図である。先ず、回折図形や菊池線を用いて大まかな方位を合わせる。その後、目的の場所に制限視野絞りを入れて、回折図形を観察し、精密に結晶方位を合わせる。具体的には、試料を機械的にx,yの各2軸方向に独立して傾斜する試料傾斜機構(ゴニオメータ)を用いている。
下記特許文献1には、試料傾斜機構を用いた自動傾斜装置の技術が開示されている。試料が傾斜軸上に乗っていないと、試料のこの傾斜軸まわりの傾斜時に、試料の位置ずれが生じるようになる。このため、目的試料が観察視野よりずれてしまい、方位合わせに多大な手間がかかっている。特に、数十nm程度の微小結晶粒子の方位合わせは極めて困難になっている。そこで、このような試料の位置の補正を行う必要があるが、従来、透過型顕微鏡には、この位置ずれを積極的に補正する手段が備えられていなかった。
そこで、下記特許文献1では、結晶方位合わせに必要な試料傾斜角及び試料傾斜によって生じた試料の位置ずれを数学的に計算し、計算した試料傾斜角に基づいて試料を自動的に傾斜するとともに、計算した試料の位置ずれが解消するように試料を自動的に移動させる構成を開示した。
具体的には、試料の電子回折パターンが撮像用TVを介して像認識手段で認識され、かつ解析手段によってこの電子回折パターンから結晶方位およびそこから観察しようとする目的方位への必要な試料傾斜の方位および傾斜角が計算される。位置補正手段により試料傾斜機構が制御され、試料の像が像表示手段の画面から外れない程度に微小傾斜され、かつ生じた試料の位置ずれが解析手段によって計算される。位置補正手段により、この位置ずれが解消するように試料移動機構および偏向コイルが制御されて、位置補正制御が行われる。そして、このような試料の傾斜および位置補正制御が計算された傾斜角になるまで繰り返し行われる。
特開平11−288679号公報
ところで、前述したような従来の技術、つまり電子線の方位に対して試料の方位を傾斜させるという技術では、試料傾斜機構(ゴニオメータ)の精度によっては、目的の傾斜を実現するのに、位置補正制御の計算に時間がかかるという恐れがある。
また、試料は通常局所的に湾曲しているため、制限視野回折図形で方位を合わせても、目的の箇所の方位がずれていることがある。
図6は湾曲により方位があっていながら、観察方向が異なることを示す図である。特に欠陥が導入されている箇所では、歪が大きい。
また、現在目的の傾斜に達成しているかどうかは、回折図形の各種ポットの強度で判断するが人間の目の精度では限界がある。撮影した像を見てから、傾斜が少しずれていたことがわかる。どちらに傾斜を変化させれば良いかを判断するのは観察像からは困難である。また、時間がかかり、照射ダメージが導入される。さらに、試料に斜めに電子線を入射させることにより、コマ収差が導入される。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、試料傾斜機構や人間では制御できない傾斜を電気的に行い、精密な傾斜合わせを実現する透過型電子顕微鏡及びその制御方法の提供を目的とする。
本発明に係る透過型電子顕微鏡は、前記課題を解決するために、透過型電子顕微鏡において、電子銃により発生された電子線を偏向し試料上で当該電子線を傾斜させる。
また、本発明に係る透過型電子顕微鏡は、前記課題を解決するために、電子線を発生する電子銃と、前記電子銃により発生された電子線を収束し、かつ収束された電子線を偏向する偏向部と、前記偏向部によって偏向された電子線が照射される試料を保持する試料保持部と、前記試料保持部によって保持された試料を透過した電子線を結像するための対物レンズと、前記対物レンズで発生した収差を電子線上で補正する収差補正部と、前記収差補正部によって収差補正された電子線からなる試料像が投影される蛍光板と、前記蛍光板に投影された試料像を撮影する撮影部と、前記偏向部における偏向角度を操作者の入力に応じて制御する制御手段とを備える。
この透過型電子顕微鏡は試料として結晶材料を用いることが好ましい。また、前記制御部は、操作者によって入力された傾斜量、撮影枚数に基いて傾斜に必要な変異量を計算し、前記偏向部を制御して自動傾斜を行い、かつ前記撮影部を制御して撮影を行うことが好ましい。また、前記収差補正部は、多極子を2枚用い、コマ収差、球面収差を補正することが好ましい。
本発明に係る電子顕微鏡の制御方法は、電子銃により発生された試料に照射される電子線を偏向する偏向部と、前記偏向部によって偏向された電子線が照射された試料の像を撮影する撮影部と、前記偏向部及び撮影部を制御する制御部とを含む電子顕微鏡の制御方法であって、前記制御部は、試料に入射する電子線を傾斜する量を入力するステップと、前記試料を撮影する枚数を入力するステップと、前記試料に必要な変異量を計算するステップと、前記偏向部で電子線の自動傾斜を行うステップと、前記撮影部で前記試料の像を撮影するステップとによって電子顕微鏡を制御するものである。
本発明に係る透過型電子顕微鏡及びその制御方法は、試料傾斜機構や人間では制御できない傾斜を電気的に行い、精密な傾斜合わせを実現する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態となる透過型電子顕微鏡1の構成図である。この透過型電子顕微鏡1は、結晶質の材料を試料5aとし、この結晶質材料5aの高分解能観察を行うために用いられる。図1にあって、透過型電子顕微鏡1は、電子線を放射する電子銃2と、電子銃2から放射された電子線を収束して後述の試料5aに照射する収束レンズ3と、この収束レンズ3によって収束された電子線を試料5aの上で傾斜させるための偏向部4と、試料5aを載置支持する試料載置台を配置した試料室5と、試料載置台に載置支持された試料5aを透過した電子線が入射する対物レンズ6と、対物レンズ6で発生した収差を補正する収差補正器7と、収差補正器7によって対物レンズ6における収差分が補正された電子線が入射する中間レンズ8と、電子線を蛍光板10に試料像として投影する投影レンズ9と、投影レンズ9によって試料像が投影される蛍光板10と、蛍光板10に投影された試料5aの像を撮影するCCDカメラを収納するカメラ室11とからなる。対物レンズ6、中間レンズ8及び投影レンズ9は、試料像を蛍光板10に結像するための結像レンズ系を構成する。
図2は各レンズの具体例を示す図である。収束レンズ3は、コンデンサレンズからなる。偏向部4は、2段の偏向コイル4a,4bからなり、電子線Eを微妙に傾斜することができる。図1及び図2では収束レンズ3と偏向部4とを分けて示しているが、収束レンズ4内部に偏向部4を設け、電子線Eを傾けるようにしてもよい。
偏向部4の2段の偏向コイル4a,4bは、同期を取りながら、電子線Eを傾け、放射状に試料5aに照射する。偏向部4によって電子線Eの偏向角を変えるが、偏向角を変える毎に、収差補正器7によって必ずしもを補正する必要はなく、収差補正は一定でよい。もちろん、収差補正器7は、偏向された角度に応じて収差を補正するようにしてもよい。また、結像レンズ系の対物レンズ6、中間レンズ8及び投影レンズ9は、磁界レンズである。
この透過型電子顕微鏡1では、結像レンズ系を構成している対物レンズ6と中間レンズ8との間に、収差補正器7を配置している点が、従来の透過型電子顕微鏡に比較して特長的である。
電子銃2、収束レンズ3、偏向部4、試料室5、対物レンズ6、収差補正器7、中間レンズ8、投影レンズ9及びCCDカメラ11aは、電子源制御部12、収束レンズ制御部13、偏向制御部14、載置制御部15、対物レンズ制御部16、収差補正制御部17、中間レンズ制御部18、投影レンズ制御部19、及び撮影制御部20を介して主制御装置21により制御される。
主制御装置21は、入力部22を接続しており、オペレータの操作指示に基いて各制御部を介して電子銃2、収束レンズ3、偏向部4、試料室5、対物レンズ6、収差補正器7、中間レンズ8、投影レンズ9、CCDカメラ11aの駆動を制御する。主制御装置21は、ワークステーション、パーソナルコンピュータなどである。もちろん、表示部23を備え、カメラ11aによって撮影された試料像を映し出す構成になっていてもよい。
高電圧電源に接続した電子銃1から発生し加速された電子線Eは、コンデンサレンズからなる収束レンズ3で収束されてから、偏向部4の2段の偏向コイル4a,4bにより傾斜されて試料室5内の試料載置台上の試料5aに照射される。
試料載置台上の試料5aは、主制御装置21による載置制御部15をとおしての試料載置台のx−y方向、z方向の移動制御により位置移動が可能とされる。
試料5aを透過した電子線Eは、結像レンズ群を構成している対物レンズ6、中間レンズ8及び投影レンズ9を介して蛍光板10上に結像し、この試料像はカメラ室11内のCCDカメラ11aなどにより撮像される。
このとき、対物レンズ6と中間レンズ8からなる、結像系の間に配置された収差補正器7は、磁界レンズである対物レンズ6で発生したコマ収差や球面収差等の収差を補正する。この収差補正器7によって、コマ収差や球面収差等の収差の補正が行えるので、偏向部4にあって電子線Eの傾斜が可能となった。
このように、透過型電子顕微鏡1は、照射系の電子線を傾斜させるために、収束レンズ3に続く、偏向コイル4a、4bにより電子線の傾斜を、また、主制御装置21による載置制御部15をとおしての試料載置台のx−y方向、z方向の位置移動の制御を行う。そして、二段の偏向コイル4a、4bと電子顕微鏡に付随した主制御装置21により、照射系の電子線を試料上で傾斜できる。よって、照射電子線の傾斜が行われても分解能低下の影響が少なくなる。
従来、透過型電子顕微鏡にあっては、電子線の光軸を傾斜することは、分解能が低下する原因となるので行われていなかった。収差補正器により、コマ収差、球面収差などの収差が補正できるようになったので、電子線の光軸を傾けても分解能が落ちることがなくなった。
図3は収差補正器7の具体例の構成図である。試料5aを透過した電子線Eは対物レンズ6を通過したのち、第1の軸対称レンズ31及び第2の軸対称レンズ32を通り、例えば6極子のような第1の多極子33を通る。さらに、電子線Eは第3の軸対称レンズ34及び第4の軸対称レンズ35を通過したのち、例えば6極子のような第2の多極子36を通る。その後、電子線Eはアダプタレンズ37にて収束され、視野制限絞りSAにて視野が制限されてから前記中間レンズ8に入射する。
第1の軸対称レンズ31は対物レンズ6のコマ収差のない面39から、その軸対称レンズ31の焦点距離の間隔をとって配置してある。第2の軸対称レンズ32は、2個の軸対象レンズ31及び32の焦点距離を合わせた間隔としてあり、第2の軸対象レンズ32は第1の多極子33のコマ収差のない面40から第2の軸対称レンズの焦点距離に等しい間隔をとって配してある。
このような図3に示す光学系で、球面収差補正が行える。そして、球面収差が補正されれば、球面収差が起源となるコマ収差も補正されることとなる。このため、電子線傾斜に伴う収差の導入による分解能低減は少ない。
収差補正器7による収差補正の設定は、予め、例えばアモルファス材料を用い、収差がとれるように調整する。
収差補正器7により、球面収差が補正された条件では、数10mRadでの電子線傾斜では、像の分解能低下は少ない。この特長を利用して、本発明はある程度まで人の手で結晶方位を電子線方向に合わせてから、以下に示す手順で自動で傾斜を変化させフィルム或いはCCDカメラに撮影する。
図4は透過型電子顕微鏡1における処理手順を示すフローチャートである。先ず、主制御装置21に接続されている入力部22により、電子線を傾斜する量を入力する(ステップS1)。次に、撮影する枚数を入力部22から入力する。これは、所定の角度において、現在の観察方向からビームを傾斜させる(円錐上に傾斜させる)とき、その円周上に撮影する枚数を入力する(ステップS2)。
次に、傾斜に必要な変異量を計算し(ステップS3)する。ここで、変異量とは、電子線を必要なだけ傾斜させるための電流の変異などをいうものである。そして、コンデンサレンズ3に続く、偏向コイル4a、4bを用いて自動傾斜をはじめる(ステップS4)。そして、写真撮影を行う(ステップS5)。その後,次の傾斜に移り、写真撮影を行うために、ステップS3、4,5を繰り返し、ステップS2で設定した回数だけ写真撮影を行う。そして、これらの写真撮影に基づいて、最適な傾斜角を決定する。
以上に説明した透過型電子顕微鏡1によれば、電子線を段階的に傾斜させながら写真撮影を行うことができる。その際、試料5aの後方に配置された収差補正器7によって、電子線傾斜によって発生した像の歪を取り除く。結晶質の高分解能観察、特に、結晶粒界や面欠陥などの欠陥の観察には、観察像は電子線照射に敏感であるため、この手法が有益である。観察者の技量に問わず短時間で構造解析が可能な高分解能像が撮影できる。
本発明により、自動で電子線の傾斜を行うことができるので、ゴニオメータや人間では制御できない傾斜を電気的に行い精密な傾斜合わせを行える。また、湾曲している試料においては、場所により傾斜が異なるため人間では行えない傾斜を電気的に行える。
1・・・透過型電子顕微鏡
2・・・電子銃
3・・・収束レンズ
4・・・偏向部
5・・・試料室
6・・・対物レンズ
7・・・収差補正器
8・・・中間レンズ
9・・・投影レンズ
10・・・蛍光板
11・・・カメラ室
21・・・主制御装置
2・・・電子銃
3・・・収束レンズ
4・・・偏向部
5・・・試料室
6・・・対物レンズ
7・・・収差補正器
8・・・中間レンズ
9・・・投影レンズ
10・・・蛍光板
11・・・カメラ室
21・・・主制御装置
Claims (6)
- 透過型電子顕微鏡において、
電子銃により発生された電子線を偏向し試料上で当該電子線を傾斜させる
ことを特徴とする透過型電子顕微鏡。 - 電子線を発生する電子銃と、
前記電子銃により発生された電子線を収束し、かつ収束された電子線を偏向する偏向部と、
前記偏向部によって偏向された電子線が照射される試料を保持する試料保持部と、
前記試料保持部によって保持された試料を透過した電子線を結像するための対物レンズと、
前記対物レンズで発生した収差を電子線上で補正する収差補正部と、
前記収差補正部によって収差補正された電子線からなる試料像が投影される蛍光板と、
前記蛍光板に投影された試料像を撮影する撮影部と、
前記偏向部における偏向角度を操作者の入力に応じて制御する制御部と
を備えることを特徴とする透過型電子顕微鏡。 - 試料として結晶材料を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の透過型電子顕微鏡。
- 前記制御部は、操作者によって入力された傾斜量、撮影枚数に基いて傾斜に必要な変異量を計算し、前記偏向部を制御して自動傾斜を行い、かつ前記撮影部を制御して撮影を行うことを特徴とする請求項2記載の透過型電子顕微鏡。
- 前記収差補正部は、多極子を2枚用い、コマ収差、球面収差を補正することを特徴とする請求項2記載の透過型電子顕微鏡。
- 電子銃により発生された試料に照射される電子線を偏向する偏向部と、前記偏向部によって偏向された電子線が照射された試料の像を撮影する撮影部と、前記偏向部及び撮影部を制御する制御部とを含む電子顕微鏡の制御方法であって、前記制御部は、
試料に入射する電子線を傾斜する量を入力するステップと、
前記試料を撮影する枚数を入力するステップと、
前記試料に必要な変異量を計算するステップと、
前記偏向部で電子線の自動傾斜を行うステップと、
前記撮影部で前記試料の像を撮影するステップと
によって電子顕微鏡を制御することを特徴とする制御方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006065806A JP2007242514A (ja) | 2006-03-10 | 2006-03-10 | 透過型電子顕微鏡及びその制御方法 |
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