JP2007255308A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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峰啓 村田
Yoshihisa Takeda
好央 武田
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Abstract

【課題】NOx吸蔵触媒に対するリッチスパイク時において過渡運転時などで後段触媒が活性化していないときでもHCスリップを確実に抑制できると共に、定常運転などではNOx吸蔵触媒に対して適性量のHCを供給して良好なNOx浄化性能を実現できる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】ECU10のHC供給量補正部103では、後段触媒43の入口側の排気温度がライトオフ温度より低下するほど補正係数Kを1.0から減少方向に設定し、基本HC供給量設定部で設定された基本HC供給量に補正係数Kを乗算することで目標HC供給量を減少補正し、この算出値に基づいて軽油添加インジェクタ50が排気中に軽油(HC)を供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、NOx吸蔵触媒と後段触媒とを有する内燃機関の排気浄化装置に関し、特にNOx吸蔵触媒からNOxを放出還元させるリッチスパイク時に後段触媒で生じるHCスリップを抑制するようにした排気浄化装置に関する。
ディーゼルエンジンやリーンバーンエンジンなどの酸素過剰雰囲気で燃焼を行う内燃機関では、その特性上、従来型の三元触媒では排ガス中のNOx(窒素酸化物)を十分に浄化できないことから、酸素過剰雰囲気でもNOxを浄化可能なNOx吸蔵触媒が備えられている。当該NOx吸蔵触媒は、還元成分濃度が低い酸化雰囲気において排ガス中のNOxを硝酸塩X−NO3として吸蔵し、この吸蔵したNOxをHC(炭化水素)やCO(一酸化炭素)が多量に存在する還元雰囲気でN2(窒素)に還元させる特性を有した触媒として構成されている。
この種のNOx吸蔵触媒では、通常の運転時にNOxを吸蔵して大気中への排出を防止すると共に、NOx吸蔵触媒が吸蔵限界に至る以前に排気通路に還元剤としてHCやCO(以下、代表してHCと表現する)を供給するリッチスパイクを定期的に行い、これによりNOx吸蔵触媒上に吸蔵されているNOxを放出還元している(NOxパージ)。なお、リッチスパイクとしては、例えばディーゼルエンジンでは排気通路に設けたインジェクタからの燃料供給、或いは膨張行程や排気行程でのポスト噴射が行われ、リーンバーンエンジンでは空燃比のリッチ化などが行われる。これらのリッチスパイク時において、NOxパージに対して全運転領域で全く過不足なくHCを供給することは困難なため、エンジンの運転状態(例えば、燃料噴射量及び回転速度)に基づきNOxパージの必要量より若干多めにHCを供給し、余剰HCをNOx吸蔵触媒の下流側に設けた後段触媒により処理している。
ところで、上記NOx吸蔵触媒及び後段触媒の車両床下での設置レイアウトはスペース上の点から制約を受け、NOx吸蔵触媒に対して後段触媒を離間せざるを得ない場合が多いが、この設置レイアウトに起因し、HCが後段触媒を素通りして排出される所謂HCスリップが発生するという問題があった。即ち、後段触媒は酸化反応により余剰HCを処理することから、その機能を果たすには後段触媒がライトオフ温度に達して活性化している必要がある。エンジンが定常運転のときにはエンジン側の排ガス温度の制御などにより後段触媒を昇温促進することも可能であり、また、仮に後段触媒の昇温が不足気味であってもHC供給量の減少によりHCスリップを防止できる。しかしながら、例えば図4に示すように加速に伴って低負荷域から高負荷域に移行する過渡運転では、低負荷の継続により後段触媒の温度がライトオフ温度未満に低下しているにも拘わらず、細い実線で示すように高負荷域に対応するHC供給量に制御される。結果として加速開始から後段触媒がライトオフ温度に達するまでの遅れ時間Aの期間中には、太い実線で示すように後段触媒に処理能力を上回る余剰HCが供給されて処理しきれずにHCスリップを発生してしまうという問題があった。
一方、触媒温度に着目して排気通路へのHC供給量を制御する種々の手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1の技術は、エンジンの燃料カット中に触媒が酸素過多になって浄化能力を低下させる不具合に着目し、触媒の酸素吸蔵能力と相関する触媒温度に応じてエンジンの空燃比をリッチ化し、これにより触媒を適正な状態に回復させると共に余剰HCの排出を防止している。
特開2005−140011号公報
しかしながら、上記HCスリップの問題を解消すべく特許文献1の技術を適用し、NOx吸蔵触媒の温度に応じてリッチスパイク時のHC供給量を制御してもHCスリップを抑制することはできなかった。NOx吸蔵触媒の温度はエンジンの排ガス温度や排気流量などに応じた遅れをもって後段触媒の温度に反映されるものの、NOx吸蔵触媒から後段触媒までの排気通路が長いことからNOx触媒の温度に基づいて適切なHC供給量、ひいては確実なHCスリップの抑制は現実的に不可能であった。
従って、特許文献1の技術では、上記過渡運転時などのごく一部の運転領域でのHCスリップを回避するために、リッチスパイク時のHC供給量を全運転領域で制限する必要が生じる。結果として定常運転時などの後段触媒のHC浄化能力に余裕があるときでもHC供給量が制限されてしまい、HCスリップ抑制と引き換えにNOx浄化性能が低下してしまうという問題があった。
本発明の目的は、NOx吸蔵触媒に対するリッチスパイク時において過渡運転時などで後段触媒が活性化していないときでもHCスリップを確実に抑制できると共に、定常運転などではNOx吸蔵触媒に対して適性量のHCを供給して良好なNOx浄化性能を実現することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、内燃機関の排気通路に設けられたNOx吸蔵触媒とNOx吸蔵触媒の下流側に配設された後段触媒とを有する内燃機関の排気浄化装置において、排気通路のNOx吸蔵触媒の上流側に還元剤を供給する還元剤供給手段と、後段触媒の温度を検出する後段触媒温度検出手段と、NOx吸蔵触媒に吸蔵されたNOxの放出還元を要するときに、内燃機関の運転状態に応じて還元剤の目標供給量を設定する目標供給量設定手段と、後段触媒温度検出手段により検出された後段触媒の温度に基づき、目標供給量設定手段により設定された目標供給量を補正する供給量補正手段と、供給量補正手段により補正後の目標供給量に基づき還元剤供給手段を制御して排気通路に還元剤を供給するNOx放出還元制御手段とを備えたものである。
従って、内燃機関の排ガス中に含まれるNOxはNOx吸蔵触媒に吸蔵され、NOx吸蔵触媒が吸蔵限界に達する以前にNOxの放出還元が行われる。NOxの放出還元に際しては、目標供給量設定手段により内燃機関の運転状態に応じて還元剤の目標供給量が設定され、この目標供給量が後段触媒温度検出手段により検出された温度に基づき供給量補正手段により補正され、補正後の目標供給量に基づきNOx放出還元制御手段に制御された還元剤供給手段により内燃機関の排気通路に還元剤が供給される。還元剤供給手段としては、例えば排気通路に設けたインジェクタからの燃料供給、或いは膨張行程や排気行程でのポスト噴射、空燃比のリッチ化などが適用され、還元剤供給手段から供給された還元剤によりNOx吸蔵触媒に吸蔵されているNOxが放出還元され、放出還元に消費されなかった還元剤による余剰HCは後段触媒で酸化反応により処理される。
例えば低負荷域から高負荷域に移行する過渡運転では、低負荷の継続により後段触媒の温度がライトオフ温度未満に低下しているにも拘わらず、目標供給量設定手段で内燃機関の運転状態に応じて高負荷域に対応する目標供給量が設定されるため、この目標供給量に基づいて還元剤の供給量が制御されると、後段触媒に処理能力を上回る余剰HCが供給されて処理し切れずに余剰HCが素通りする所謂HCスリップが発生することになる。
本発明では、後段触媒の温度に基づき目標供給量が補正されるため、後段触媒の温度が低くて余剰HCの処理能力が低下しているときには目標供給量が減少側に補正されることで後段触媒に流入する還元剤が減少し、上記後段触媒でのHCスリップが抑制される。また、後段触媒が温度低下していないときには還元剤の目標供給量は減少補正されず、NOx吸蔵触媒に対して適性量の還元剤が供給されるため良好なNOx浄化性能が実現される。
以上説明したように請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置によれば、NOx吸蔵触媒に対するリッチスパイク時において過渡運転時などで後段触媒が活性化していないときでもHCスリップを確実に抑制できると共に、定常運転などではNOx吸蔵触媒に対して適性量のHCを供給して良好なNOx浄化性能を実現することができる。
以下、本発明をディーゼルエンジン用の排気浄化装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のディーゼルエンジン用の排気浄化装置を示す全体構成図である。この図において、参照符号1は、エンジンたとえばコモンレール式ディーゼルエンジンを示し、参照符号10は、エンジン制御装置および排気浄化装置の制御系の主要部をなす電子制御ユニット(以下、ECUという)を示す。
詳細な図示を省略するが、コモンレール式ディーゼルエンジン1は、ニードル弁ならびにこのニードル弁の先端側および基端側に設けられた燃料室および制御室を有した燃料インジェクタを気筒毎に備え、燃料室および制御室は燃料通路を介して蓄圧室に接続され、制御室は燃料戻し通路を介して燃料タンクに接続されている。そして、ECU10の制御下で、燃料インジェクタに設けられた電磁弁が開くと、蓄圧室内から供給された高圧燃料が燃料インジェクタを通じてエンジン1の燃焼室に噴射され、電磁弁が閉じると燃料噴射が終了するものとなっており、このように電磁弁の開閉弁時期を制御することで燃料噴射開始・終了時期(燃料噴射量)が調節される。
エンジン1は、吸気マニホールド11に接続された吸気管12と、排気マニホールド13に接続された排気管14(排気通路)とを有している。吸気管12の途中には、過給機20のコンプレッサ21とインタークーラ31と吸気スロットル弁32が配されている。吸気スロットル弁32の開度は、吸気スロットル弁駆動部33を介してECU10により可変調整される。吸気スロットル弁32の開度を絞ることにより排気温度を上昇させることができる。一方、排気管14の途中には、過給機20のタービン22、排気ブレーキ15、軽油添加インジェクタ50、後処理装置40および図示しないマフラが設けられている。
過給機20のコンプレッサ21とタービン22は同期回転可能に連結され、エンジン1から排出される排気ガスの流れにより発生したタービン22の回転力によりコンプレッサ21を回転させ、コンプレッサ21により加圧された吸気をエンジン1に供給するようになっている。この際、加圧されて高温になった空気はインタークーラ31で冷却され、これにより吸入空気の密度を高めて充填効率を向上させてエンジン出力を増大するようにしている。
過給機20にはタービン22をバイパスする排気バイパス通路(図示略)が設けられ、このバイパス通路の途中に設けられた過給機20のウエイストゲート23を過度の過給の際に開いて過給圧を調節する動作の他に、ウエイストゲート駆動部24を介してECU10により強制的に開閉制御して、タービン(コンプレッサ)回転を増減させて吸気管12に供給される吸気の圧力を増減するようになっている。過給機ウエイストゲート23を開くことにより排気温度を上昇させることができる。同様に、排気ブレーキ駆動部16を介してECU10により排気ブレーキ15を開閉可能になっており、排気ブレーキ15を閉じることにより排気昇温可能である。
図1中、参照符号36は、排気マニホールド13から吸気管12に延びるEGR通路を示し、このEGR通路36を介して排ガスの一部を再還流ガスとしてエンジン1に供給するようになっている。EGR通路36の途中には、再還流ガスを冷却してエンジン1へのガス充填密度を高めるEGRクーラ37と、再還流ガスのエンジン1への供給および供給遮断のためのEGR弁38が設けられている。EGR弁38は、EGR弁駆動部39を介してECU10により開閉制御または開度調整される。
後処理装置40は、これに流入した排ガスに含まれるNOxおよびPMを低減するものである。本実施形態の後処理装置40は、PMを捕集して燃焼除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)41と、DPF41の前段に配され軽油添加インジェクタ50(還元剤供給手段)から供給された軽油(HC)を還元剤として用いて排ガス中のNOxを浄化するNOx吸蔵触媒(排気浄化触媒)42と、DPF41の後段に配され例えば余剰HCを酸化反応により処理する後段触媒43とを有している。
そして、本実施形態では車両床下のスペース上の点から、NO吸蔵触媒42およびDPF41に対して後段触媒43が後方側に離間配置されている。その結果、およびDPF41と後段触媒43とを接続する排気管14はかなりの長さを有し、NO吸蔵触媒42を通過した排ガスはかなりの時間的な遅れをもって後段触媒43に流入することになる。
軽油添加インジェクタ50は、NOx吸蔵触媒42に軽油(HC)を噴射するものであり、軽油添加インジェクタ駆動部51を介してECU10により開閉制御され、軽油添加インジェクタ50の開弁期間中に軽油が噴射される。
図1中、参照符号61は、NOx吸蔵触媒42の下流側(DPF41との間)に設けられたNOx触媒温度センサであり、NOx吸蔵触媒42の出口側の排気温度T1(NOx吸蔵触媒42の温度と相関する)を検出するようになっている。また、参照符号62は、後段触媒43の上流側に設けられた後段触媒温度センサ(後段触媒温度検出手段)であり、後段触媒43の入口側の排気温度T2(後段触媒43の温度と相関する)を検出するようになっている。これらのセンサ61,62により検出された温度データはNOx吸蔵触媒42のリッチスパイクのためのHC供給制御に供される。
更に、ECU10には負荷センサ71、クランク角センサ72などの各種センサが接続されている。負荷センサ71は、図示しないアクセルペダルの踏込量、即ちアクセル開度をエンジン負荷として検出し、クランク角センサ72は、エンジン1のクランクシャフト(図示略)の回転をエンジン回転速度として検出するものである。
ECU10は、負荷センサ71により検出されたエンジン負荷とクランク角センサ72により検出されたエンジン回転速度とに基づいてエンジン1の運転領域を判別し、エンジン運転域に応じてエンジン1の各インジェクタ(図示略)の電磁弁をオンオフして燃料噴射時期および燃料噴射量を制御するものになっている。
上記構成のディーゼルエンジン1は、公知のようにリーン空燃比で運転され、このリーン空燃比運転中、エンジン1から排出される排ガス中に含まれるNOx(窒素酸化物)がNOx吸蔵触媒42に吸蔵される。そして、NOx吸蔵量が一定以上まで増大すると、エンジン1のリッチスパイク運転が行われ、NOx吸蔵触媒42に吸蔵されていたNOxが放出され、還元除去される。本実施形態では、軽油添加インジェクタ50により排気中に軽油(HC)が噴射されることによりリッチスパイク運転が実行され、ECU10の制御下で軽油添加インジェクタ50が例えば所定のデューティ比で周期的に開弁され、これにより排ガス中に噴射された軽油が上記NOx吸蔵触媒42上でNOxの放出還元作用を奏する(NOx放出還元制御手段)。また、NOx吸蔵触媒42上でNOxの放出還元のために消費されなかった軽油による余剰HCは後段触媒43で酸化反応により処理されて大気中への排出を防止される。
上記リッチスパイク時のHC供給制御の基本的な部分は従来の制御と相違しないが、本発明は、後段触媒43の温度に応じてHC供給量を補正する点に特徴があり、以下、当該HC供給制御について説明する。
HC供給制御に関連して、図1に示すようにECU10は目標HC供給量を設定するHC供給量設定部101を備えている。このHC供給量設定部101は、NOx触媒温度センサ61に接続された基本HC供給量設定部102(目標供給量設定手段)と、後段触媒温度センサ62に接続されたHC供給量補正部103(供給量補正手段)とを有している。
本実施形態において、基本HC供給量設定部102は、例えば、エンジン回転速度、燃料噴射量、および、NOx触媒温度センサ61により検出されたNOx吸蔵触媒42の出口側の排気温度T1に基づいて基本HC供給量を求めるものになっており、また、HC供給量補正部103は、後段触媒温度センサ62により検出された後段触媒43の入口側の排気温度T2に応じた補正係数Kにより基本HC供給量を補正して目標HC供給量(ここでは軽油添加インジェクタ50からの軽油の目標噴射量)を求めるようになっている。
HC供給量補正部103の処理をさらに詳述すると、ECU10は図2に示す補正係数設定用のマップを記憶しており、当該マップは、後段触媒43のライトオフ温度T0を境界として、後段触媒43の入口側の排気温度T2がライトオフ温度T0以上のときには補正係数Kが1.0に設定される一方、排気温度T2がライトオフ温度T0より低下するほど補正係数Kが所定のゲインに従って1.0から減少側に設定される特性となっている。
HC供給量補正部103は、このような特性のマップに基づき後段触媒43の入口側の排気温度T2から補正係数Kを算出し、基本HC供給量設定部102で算出された基本HC供給量に補正係数Kを乗算して目標HC供給量を求める。なお、補正係数Kを設定するためのマップ特性は図2のものに限定されることはなく、例えばライトオフ温度T0未満の温度域で単一のゲインを適用することなく、温度低下に従って次第に大きなゲインを適用して補正係数Kを急減させるようにしてもよい。
そして、目標軽油噴射量(目標HC供給量)に従って軽油添加インジェクタ駆動部51が動作し、これにより、軽油添加インジェクタ50から目標量の軽油(HC)が排気中に噴射される。本実施形態では、軽油添加インジェクタ50の噴射流量(即ち、排気空燃比のリッチ深さ)を略一定として噴射期間(即ち、排気空燃比のリッチ期間)を変更することで目標軽油噴射量を達成しているが、これに限ることはなく、例えば噴射期間に代えて噴射流量を変更したり、或いは噴射期間と噴射流量との双方を変更したりしてもよい。そして、上記のHC供給量補正部103による目標HC供給量の補正に基づき、軽油添加インジェクタ50の噴射期間は後段触媒43がライトオフ温度T0を下回るほど減少側に制御され、それに伴って排気中に噴射される軽油量が減少する。
以上のようにリッチスパイク時にはHC供給制御が行われており、このとき後段触媒43では以下に述べるように酸化反応による余剰HCの処理が行われる。
NOx吸蔵触媒42へのNOx吸蔵量が一定以上まで増大すると、ECU10はリッチスパイクとして軽油添加インジェクタ50による排ガス中への軽油噴射を実行する。図3はリッチスパイク時のHC供給状況を示すタイムチャートであり、軽油添加インジェクタ50の周期的な開弁毎に排気中に軽油が噴射され、図中の細い実線はNOx吸蔵触媒42の出口側のHC量を示し、太い実線は後段触媒43の出口側のHC量、即ちHCスリップ量を示している。
図の加速開始以前では、低負荷運転の継続によりNOx吸蔵触媒42の温度(上記のように排気温度T1と相関する)及び後段触媒43の温度(上記のように排気温度T2と相関する)は低下している。このときには、エンジン回転速度、燃料噴射量、およびNOx吸蔵触媒42の出口側の排気温度T1に基づき、基本HC供給量設定部102では基本HC供給量として比較的小さな値が設定されると共に、後段触媒43の入口側の排気温度T2がライトオフ温度T0未満であることを受けて、HC供給量補正部では基本HC供給量に対する1.0未満の補正係数Kの乗算により目標HC供給量が減少することから、結果として軽油添加インジェクタ50の軽油噴射量は減少側に制御される。低負荷運転ではNOx吸蔵触媒42上でのNOxの放出還元反応がそれほど促進されないが、それに応じて軽油噴射量が減少されるため細い実線で示すNOx吸蔵触媒42の出口側のHC量が抑制され、且つ、後段触媒43はライトオフ温度T0未満でHC処理能力を十分に有しないが、元々後段触媒43への流入HC量が少ないことから、太い実線で示すようにHCスリップ量は低い値に抑制される。
運転者のアクセル操作により加速が開始されると、エンジン負荷の増加に伴ってNOx吸蔵触媒42は比較的速やかに温度上昇するが、NOx吸蔵触媒42に対して後方側に離間配置された後段触媒43の温度上昇には遅れが生じ、後段触媒43がライトオフ温度T0に達するには加速開始から遅れ時間Aを要する。この過渡運転において基本HC供給量設定部102では、加速開始後のエンジン回転速度、燃料噴射量と、後段触媒43に先行して昇温するNOx吸蔵触媒42の出口側の排気温度T1とに基づき基本HC供給量が設定されるため、この基本HC供給量をそのまま軽油添加インジェクタ50の軽油噴射量に適用した場合には、[背景技術]で述べたように後段触媒43が余剰HCを処理しきれずにHCスリップを発生してしまうことになる。
本発明では、このような過渡運転では後段触媒43の入口側の排気温度T2がライトオフ温度T0を下回っていることを受け、HC供給量補正部103で図2のマップから1.0未満の補正係数Kが設定され、この補正係数Kの乗算により結果的に減少補正された目標HC供給量に基づき軽油添加インジェクタ50の軽油噴射量が減少側に制御される。従って、図中の遅れ時間Aの期間中には、細い実線で示すようにNOx吸蔵触媒42の出口側のHC量、即ち後段触媒43に流入する余剰HC量が低下し、後段触媒43のHC処理能力が低くても太い実線で示すようにHCスリップ量は低い値に抑制される。
なお、その後に後段触媒43がライトオフ温度T0に達するとHC供給量補正部103では補正係数Kが1.0に設定され、目標HC供給量の増加に伴って軽油添加インジェクタ50による軽油噴射量が増加し、それに伴って細い実線で示すように後段触媒43に流入するHC量も増加するが、このときには後段触媒43が十分なHC処理能力を発揮するため、太い実線で示すようにHCスリップ量は低い値を保持する。
従って、リッチスパイク時に車両が加速などの過渡運転に移行して後段触媒43が活性化していないときでもHCスリップを確実に抑制することができる。また、過渡運転時に限った補正係数Kの減少設定により目標HC供給量、ひいては軽油添加インジェクタ50の軽油噴射量を抑制しているだけであり、定常運転中には目標HC供給量を何ら制限することなく、基本HC供給量設定部102で設定した基本HC供給量に基づきNOx吸蔵触媒42に対して適性量のHCを供給しているため良好なNOx浄化性能を実現することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではディーゼルエンジン用の排気浄化装置に具体化したが、リーン空燃比で運転を行うリーンバーンエンジンや筒内噴射型エンジンでNOx吸蔵触媒42及び後段触媒43を備えたものであれば適用可能であり、上記実施形態のHC供給制御を実行することで同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、排気中に軽油を噴射する軽油添加インジェクタ50により還元剤供給手段を構成したが、これに代えてエンジン1の排気行程や膨張行程でポスト噴射を実行して未燃燃料をNOx吸蔵触媒42に供給してもよいし、ガソリンエンジンであれば空燃比のリッチ化により排ガスのHC濃度やCO濃度を上昇させるようにしてもよい。
本実施形態のディーゼルエンジン用の排気浄化装置を示す全体構成図である。 HC供給量の補正係数を設定するためのマップを示す図である。 実施形態のリッチスパイク時のHC供給状況を示すタイムチャートである。 先行技術のリッチスパイク時のHC供給状況を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
10 ECU(目標供給量設定手段、供給量補正手段、NOx放出還元制御手段)
14 排気管(排気通路)
42 NOx吸蔵触媒
43 後段触媒
50 軽油添加インジェクタ(還元剤供給手段)
62 後段触媒温度センサ(後段触媒温度検出手段)

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられたNOx吸蔵触媒と該NOx吸蔵触媒の下流側に配設された後段触媒とを有する内燃機関の排気浄化装置において、
    上記排気通路の上記NOx吸蔵触媒の上流側に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    上記後段触媒の温度を検出する後段触媒温度検出手段と、
    上記NOx吸蔵触媒に吸蔵されたNOxの放出還元を要するときに、上記内燃機関の運転状態に応じて上記還元剤の目標供給量を設定する目標供給量設定手段と、
    上記後段触媒温度検出手段により検出された後段触媒の温度に基づき、上記目標供給量設定手段により設定された目標供給量を補正する供給量補正手段と、
    上記供給量補正手段により補正後の目標供給量に基づき上記還元剤供給手段を制御して上記排気通路に還元剤を供給するNOx放出還元制御手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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