JP2007282586A - グルコース転移酵素を含む糖転移作用剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の配列に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、基質となるフコースにグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有するタンパク質および該タンパク質を含む糖転移作用剤。
【選択図】なし
Description
Sia−Gal−GlcNAc−Fuc−Ser (1)
式(1)中、「Sia」はシアル酸残基を示し、「Gal」はガラクトース残基を示し、「GlcNAc」はN−アセチルグルコサミン残基を示し、「Fuc」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖にα結合したフコース残基を示し、「Ser」は前記Fucで示されるフコース残基が側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「−」はグリコシド結合を示す。式(1)の構造中でSerにFucを転移するのは、プロテイン−O−フコース転移酵素1(以下、「POFUT1」とも記載する)であり、FucにGlcNAcを転移するのはマニックフリンジ、ラジカルフリンジ、ルナチックフリンジと呼ばれる3種類のβ1,3N−アセチルグルコサミン転移酵素である(Moloney,D.J.ら、2000)。Notchのシグナリングの場合、これらフリンジによってN−アセチルグルコサミンが転移されるか否かで、結合するリガンドが選択され、それぞれのシグナル伝達が引き起こされる。
Glc−Fuc−Ser (2)
式(2)中、「Glc」はグルコース残基を示し、「Fuc」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖にα結合したフコース残基を示し、「Ser」は前記Fucで示されるフコース残基が側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「−」はグリコシド結合を示す。式(2)の構造中でSerにFucを転移するのは、プロテイン−O−フコース転移酵素2(以下、「POFUT2」とも記載する)であるが(Luo,Y.ら、2003)、FucにGlcを転移する活性を有する酵素は、これまで単離/精製されていない。また、Chinese Hamster Ovary細胞(CHO細胞)には、まだ同定されていないが、内在性のβ3Glc−T活性を有する物質が存在し、CHO細胞抽出物を酵素源とし、Fuc−α−pNpとUDP−Glcと反応させるとGlcβ1,3Fuc−α−pNpが生成することが報告されている(Moloney,D.J.ら、1999)。
従って、本発明の目的は、フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質を同定し、該タンパク質又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤を提供することである。また、遺伝子工学的に発現させた該タンパク質は、抗体作製用に利用することもできる。さらに、本発明のタンパク質や該タンパク質に対する抗体は、免疫組織染色、RIAおよびEIA等の免疫測定法に応用できる。
本発明によれば、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有するタンパク質又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤が提供される。
本発明者らのグループは、前述の通り、N−アセチルグルコサミンにガラクトースを転移する酵素をコードする遺伝子のクローニングに成功し、その塩基配列および推定アミノ酸配列を決定している(特開2004−215619)。その後、本発明者らは、このガラクトース転移酵素(特開2004−215619に開示される「Gal−T7」に対応する)と同一のアミノ酸配列又はその部分配列を有するタンパク質が、前記活性に加えて、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する、より強い活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
作用: 非還元末端のフコースにグルコースをβ1,3結合で転移する。触媒する反応を反応式で記載すると、
フコース−R + UDP−グルコース → グルコース−フコース−R + UDP
(Fuc−R + UDP−Glc → Glc−Fuc−R + UDP)
基質特異性: フコース、例えば、フコース−R(Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、オルトメトキシフェニル基である)。
本発明のタンパク質は、後述の実施例2に記載したように、本発明のタンパク質における受容体基質および供与体基質の探索からGlcをFucに転移する活性を有するものである。より具体的には、本発明のタンパク質は、下記の性質を有する:
受容体基質は、本発明のタンパク質がグルコース供与体基質からグルコース残基を転移し得る基質である限り特に限定されないが、好ましくは、Fucα−R、Fucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ−R(以下、「H抗原タイプ2」と称することがある)、Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ−R(以下、「Lea」)、Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「H抗原タイプ1」)、Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ−R(以下、「Lex」)、Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ−R(以下、「Leb」)、GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「A抗原」)、Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「B抗原」)、より好ましくはFucα−R、H抗原タイプ2、Lea、さらにより好ましくはFucα−Rである。ここで、使用される省略形は、Fuc、フコース; Gal、ガラクトース; GlcNAc、N−アセチルグルコサミンである。また、Rは、限定されないが、典型的には、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル(Bz)基、パラニトロフェニル(pNp)基、オルトニトロフェニル基、オルトメトキシフェニル基である。
供与体基質は、本発明のタンパク質によって前述の受容体基質に転移し得る基質として、好ましくはグルコースである。より好ましくは、グルコースを有する糖ヌクレオチドである。糖ヌクレオチドには、ウリジン二リン酸−グルコース(UDP−Glc)、アデノシン二リン酸−グルコース(ADP−Glc)、グアノシン二リン酸−グルコース(GDP−Glc)、シチジン二リン酸−グルコース(CDP−Glc)等が例示され、UDP−Glcが最も好ましい。
本発明のタンパク質は、哺乳動物の組織、好ましくはヒトの組織で発現される。
(i)好ましくは、精巣、子宮で高い発現を示す。
(ii)好ましくは、脳、脊髄、胎児脳、副腎、甲状腺、脾臓、骨格筋、肺、胃、大腸、膵臓で中程度の発現を示す。
(iii)好ましくは、小脳、骨髄、胸腺、心臓、気管、乳腺、肝臓、胎児肝臓、唾液腺、小腸、腎臓、前立腺、胎盤で低い発現を示す。
配列番号1に示されるアミノ酸配列の全長を有する本発明のタンパク質は、特開2004−215619に開示されたGal−T7タンパク質の調製方法に従って、タンパク質を発現させ、単離/精製することができる。
本発明のタンパク質に免疫反応性である抗体が本明細書に提供される。こうした抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該タンパク質に結合する。したがって、上述のような、配列番号1のタンパク質、断片、変異体、融合タンパク質などを、それと免疫反応性である抗体を産生する際の「免疫原」として使用することが可能である。より具体的には、タンパク質、断片、変異体、融合タンパク質などは、抗体形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含む。これらの抗原決定基またはエピトープは、直鎖でも高次構造的(conformational)(断続的)でもどちらでもよい。なお、該抗原決定基またはエピトープは、当該技術分野に知られるいかなる方法によって同定してもよい。
本発明によれば、Glc−Tタンパク質をコードする核酸を含む、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する糖転移作用剤が提供される。上記核酸は、一本鎖および二本鎖型両方のDNA、およびそのRNA相補体も含む。DNAには、例えば天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成したDNA、PCRによって増幅されたDNA、およびそれらの組合せが含まれる。使用する核酸としては、DNAが好ましい。本明細書において、ある特定の塩基配列について記載する場合、特に言及しない限り、その相補鎖も含む。
本発明によれば、本発明のGlc−Tタンパク質をコードする核酸とハイブリダイズする核酸(以下、「測定用核酸」と称する)が提供される。本発明の測定用核酸は、典型的には、本発明のGlc−Tタンパク質をコードする核酸の天然由来の又は合成されたフラグメントであり、プライマーまたはプローブを含むが、これらに限定されるものではない。なお、本明細書において使用される用語「測定」には、検定、検出、増幅、定量、および半定量のいずれもが包含される。
本発明の測定用核酸を核酸増幅反応用のプライマーとして使用する場合、本発明の測定用核酸は、オリゴヌクレオチドであって、
Glc−Tタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を示す配列番号2に基づいて、以下の条件を満たすように2つの領域を選択し:
1)各領域の長さが15−50塩基であること;
2)各領域中のG+Cの割合が40−70%であること;
上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化させないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNAの混合物を製造し、さらに必要であれば上記タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に対する結合特異性を失わないように修飾した上記一本鎖DNAを製造する
ことを含む方法により製造された当該オリゴヌクレオチドが提供される。
なお、本発明のプライマーの塩基数は15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは21塩基以上であり、50塩基以下である。
本発明測定用核酸をプローブとして使用する場合、本発明測定用核酸は、配列番号2に記載の塩基配列の全体又は部分領域と相同的な配列を有することが好ましい。本発明の測定用核酸が、cDNAプローブの場合、塩基数は、15塩基以上、好ましくは20塩基以上で、最長で、コード領域の全長、即ち、1497塩基である。配列番号2に記載した塩基配列又はその相補的な塩基配列と20%以下、好ましくは10%以下の不一致があっても、プローブとしての機能を果たし得る。また、本発明の測定用核酸が、合成オリゴヌクレオチドの場合、塩基数は15塩基以上、好ましくは20塩基以上、より好ましくは24塩基以上である。合成オリゴヌクレオチドの場合、長さによるが、配列番号2に記載した塩基配列又はその相補的な塩基配列と1または2塩基程度の不一致があってもプローブとしての機能を果たし得る。
本発明によれば、上記に定義されるタンパク質(グルコース転移酵素)、又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤が提供される。本発明の糖転移作用剤は、グルコース転移酵素(Glc−T)を直接使用してもよいし、あるいは、Glc−Tをコードする核酸を例えば適切な発現ベクターに挿入したものを使用してもよい。
本発明によりGlc−Tの発現が癌の発現に関与していることが明らかとなったので、実験動物においてGlc−Tタンパク質をコードする遺伝子の発現を一部または完全に抑制することによって、インビボにおける詳細な癌転移メカニズムの解明に使用されるノックアウト動物を調製することも可能である。ノックアウト動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、サルなどの哺乳動物が好ましく、ノックアウト動物調製の手法がある程度確立していることから、マウス又はラットが最も好ましいが、これに限定はされない。例えば、ノックアウトマウスは、「ジーンターゲティングの最新技術」(八木健編集、羊土社、2000年)、ジーンターゲティング(野田哲生監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル社、1995年)などの記載に従って行うことができる。また、small interfering RNA法(Brummelkamp,T.R.et al.,Science,296,5501−553(2002))などの「遺伝子発現を抑制する方法」でもノックアウトマウスを作製することができる。
1.短鎖型Glc−Tの調製
(1)短鎖型Glc−T遺伝子の発現ベクターへの組み込み
短鎖型Glc−Tの発現系を作成するため、まずGlc−T遺伝子をシグマ社のpFLAG−CMV1ベクターに組込み、pFALG−Glc−Tを作製した。配列番号2に示される塩基配列に従い設計した2種類のプライマーGP−1052(5’−ggaattctgaagatacaaagaaagaggt−3’)(配列番号4)(ヌクレオチド5−28は、配列番号2のヌクレオチド84−107に相当する)とGP−1049(5’−gctctagagtgatttataactcctctcgaaaa−3’)(配列番号5)(ヌクレオチド14−32は、配列番号2のヌクレオチド1497−1479に相当する)を用い、酵素活性に必要なDNA断片を、Marathon−Ready cDNA(Human Brain)を鋳型として増幅した。これらのプライマー中には制限酵素Eco RIあるいはXba I切断部位を含むためpFLAG−CMV1ベクターのEcoRI−Xba I部位にPCR増幅断片を挿入することが可能である。しかし、PCR増幅断片中にEco RIが1ヵ所存在するため、最初に3’側のEco RI−Xba I断片を、続いて5’側のEco RI−Eco RI断片を常法により挿入し、Glc−T発現ベクターを構築した。作製したベクターをpFLAG−Glc−Tと命名した。なお、この操作により、Glc−TはFLAGタグに引きつづき、29番目のセリンからタンパク質が産生されることになる。
2×106のHEK293細胞を予め10% FCS(ウシ胎児血清)を含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)で1晩培養後、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社)を用いて、同社のプロトコールに従って、該細胞に15μgのpFLAG−Glc−Tを導入した。培養48時間から72時間後の培養上清を回収し、上清10mlにNaN3(0.05%)、NaCl(150mM)、CaCl2(2mM)、抗M1レジン(シグマ社)(50μl)を混合し、4℃で一夜攪拌した。反応混合液を遠心分離して(3000rpm、5分、4℃)ペレットを回収し、2mMのCaCl2・TBSを900μl加えて再度遠心分離(2000rpm、5分、4℃)し、ペレットを200μlの1 mM CaCl2 ・TBS に浮遊させ活性測定のサンプル(Glc−T酵素液)とした。
酵素液は常法により、SDS−PAGEとウエスタンブロッテイングを行い、目的とするタンパク質が発現していることを確認した。抗体は抗FLAG
M2−ペルオキシダーゼ(A−8592、SIGMA社)を用いた。
(1)全長Glc−T遺伝子の発現ベクターへの組み込み
全長Glc−Tは2種類のプライマーGP−1053(5’−ggaattcaggatgcggccgcccgcctgct−3’)(配列番号6)(ヌクレオチド11−29は、配列番号2のヌクレオチド1−19に相当する)とGP−1049を用い、全長のDNA断片を、Marathon−Ready cDNA(Human Brain)を鋳型として増幅した。これらのプライマー中には制限酵素Eco RIあるいはXba I切断部位を含み、上記と同じ方法でインビトロジェン社のpcDNA3.1(+)にライゲーションし、pcDNA3.1−Glc−Tを構築した。
2×106のCHO細胞を予め10% FCS(ウシ胎児血清)を含むRPMI1640で1晩培養後、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社)を用いて、同社のプロトコールに従って、該細胞に15μgのpcDNA3.1−Glc−Tを導入した。翌日、0.8mg/mlのG418を培地中に加え、さらに数日培養することによりトランスフェクタントを選別した。1x106のGlc−T導入CHO細胞は、PBSで洗浄後、1%Nonidet P40,Proteinase inhibitor cacktail(シグマ社)を含むTBS Bufferに縣濁、4℃で15分間超音波破砕した。これを4℃、14000×G、10分間遠心分離し、その上清を細胞抽出液とし、細胞内Glc−T活性測定の酵素源として用いた。
1.短鎖型Glc−Tタンパク質の基質特異性
(1)供与体基質の探索
各種単糖受容体基質の混合液に対し、酵素液5μlと様々な供与体基質を用いて、短鎖型Glc−Tタンパク質の供与体基質の探索を行った(表1)。受容体基質は、Gal−α−pNp、Gal−β−oNp、GalNAc−α−Bz、GalNAc−β−pNp、GlcNAc−α−pNp、GlcNAc−β−Bz、Glc−α−pNp、Glc−β−pNp、GlcA−β−pNp、Fuc−α−pNp、Man−α−pNp(以上、CALBIOCHEM社)、Xyl−α−pNp、Xyl−β−pNp(以上、シグマ社)が各2.5nmol/20μl含まれるように調製した。ここで、「Gal」とはD−ガラクトース残基を示し、「Glc」とはD−グルコース残基を示し、「Fuc」とはD−フコース残基を示し、「Man」とはD−マンノース残基を示し、「pNp」はp−ニトロフェニル基を示し、「Bz」はベンジル基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。また、「α」及び「β」は、糖環1位の前記グリコシド結合のアノマーを示し、5位CH2OHまたはCH3との位置関係がトランスのものを「α」、シスのものを「β」で示す。また、各種供与体基質(UDP−Glc、UDP−GalNAc、UDP−GlcNAc、UDP−Gal、GDP−Man、UDP−GlcA、UDP−Xyl及びGDP−Fuc、何れもシグマ社)に対する反応液は表1に示したとおりである。
受容体基質を探索する目的で、それぞれの受容体基質を単独で使用し(10nmol/20μl)、反応を行った。その結果、Glc−TはFuc−α−pNpを用いたときのみ、有意な放射活性が検出された。以上の結果から、Glc−TはFucにGlcを転移する糖転移酵素であることが明らかになった(表3)。
内在性のβ3Glc−T活性を有する物質を含むとされるCHO細胞抽出物を酵素源とした場合、上述したようにFuc−α−pNpとUDP−Glcとを反応させるとGlcβ1,3Fuc−α−pNpが生成することが報告されている(Moloney,D.J.ら、上述)。そこで、本発明のリコンビナントの全長Glc−Tによる反応生成物をクロロホルム:メタノール:CaCl2(65:35:8)を展開溶媒に用いて薄層クロマトグラフィーで展開すると、CHO細胞抽出物による反応生成物と同じ位置に展開された。また、それぞれの反応生成物はTrichoderma sp.由来のexo−1,3−β−グルカナーゼおよびAlmond sp.由来のβ−グルコシダーゼ(データ示さず)により消化された。さらにCHO細胞にpcDNA3.1(+)(Invitrogen)に組み換えた全長Glc−Tをトランスフェクションし、トランスフェクタントの細胞抽出物を酵素源とした時には、CHO細胞抽出物による反応生成物と同じ位置の放射活性が増大していた(図1)。以上より、本発明の全長Glc−Tの反応生成物は、CHO細胞抽出物による反応生成物と同様にGlcβ1,3Fuc−α−pNpであると示唆された。
ヒト正常組織のcDNAを用いて、定量的PCRにより該遺伝子の発現量を定量した。正常組織のcDNAは、クロンテック社の総RNAから逆転写を行ったものを使用し、株化細胞に関しては総RNAを抽出し、常法によりcDNAを作製し使用した。Glc−T遺伝子の定量的発現解析に使用したプライマーはGP−K14−F2(5’−gacacacagccctctcttcca−3’)(配列番号7)(配列番号2のヌクレオチド1305−1325に相当する)、GP−K14−R2(5’−tgggaacttgatgagaaaggtagtc−3’)(配列番号8)(配列番号2のヌクレオチド1378−1354に相当する)、プローブはGP−K14−P2(5’−aggctcggccggtggattacccta−3’)(配列番号9)(配列番号2のヌクレオチド1328−1351相当する)である。酵素及び反応液にはUniversal PCR Master Mixを使用し、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System(ともにアプライドバイオシステムズ社)により反応液量25μlで定量を行った。定量の標準遺伝子としてはグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)遺伝子を使用し、既知濃度の鋳型DNAにより定量の検量線を作成し該遺伝子の発現量の標準化を行った。また、Glc−Tの標準DNAとして、pFLAG−Glc−Tを用いた。反応温度は50℃2分、95℃10分の後、95℃15秒・60℃1分を50サイクル行った。結果を図2に示した。Glc−Tは精巣や子宮での発現が高かったが、調べた全ての組織で発現は確認できた。
ノックアウトマウスの作製のためのターゲットベクターは、酵素活性に必須であると予想されるDDD配列を含む第11エクソンとその隣の第10エクソンを含む2kbの領域をPCRで増幅し、図3のように2つのlox配列の間に組み入れた。creトランスジェニックマウスとの交配により、ノックアウトマウスではこの領域が欠失する事になる。相同組み替えのために、その両側のそれぞれ3.7kbと3kbの領域もPCRで増幅し、図3のようなベクターを構築した。このベクターには、他にトランスフェクタントのセレクションのためのDT3,Neo遺伝子をも含んでいる。このベクターをC57BL/6由来のES細胞にトランスフェクトし、組み換わったES細胞を用いてキメラマウスを作製することができる。cre−loxシステムで全身あるいは組織特異的、細胞特異的にノックアウトすることができる。
Claims (11)
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する糖転移作用剤。
- 前記タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と30%以上の相同性を有する、請求項1に記載の糖転移作用剤。
- 前記タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の糖転移作用剤。
- 前記タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列においてアミノ酸残基1−28の全部又は一部が削除されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の糖転移作用剤。
- 前記タンパク質が、配列番号1におけるアミノ酸残基29−498のアミノ酸配列からなる、請求項4に記載の糖転移作用剤。
- 前記タンパク質が、下記の反応:
フコース−R + グルコース−ヌクレオチド → グルコース−フコース−R + ヌクレオチド
を触媒する活性を有し、ここで、Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、およびオルトメトキシフェニル基からなる群から選択される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の糖転移作用剤。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の糖転移作用剤を使用して、グルコース−フコース−R(ここで、Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、およびオルトメトキシフェニル基からなる群から選択される)で示される構造を有する糖鎖を合成する方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸を含む、フコースにグルコースを転移する糖転移作用剤。
- 前記核酸が、配列番号2の塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項8に記載の糖転移作用剤。
- 前記核酸が、配列番号2の塩基配列のヌクレオチド85−1494を有する、請求項8又は9に記載の糖転移作用剤。
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列、該アミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列において少なくとも30%の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質の遺伝子発現が、一部又は完全に抑制されていることを特徴とするノックアウト動物。
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| JP4911403B2 (ja) | 2012-04-04 |
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