JP2007282586A - グルコース転移酵素を含む糖転移作用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】フコースにグルコースを転移するタンパク質の単離、遺伝子工学的手法による該酵素の生産や該酵素による糖鎖の合成、該遺伝子に基づく癌疾患の診断を可能にする。
【解決手段】特定の配列に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、基質となるフコースにグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有するタンパク質および該タンパク質を含む糖転移作用剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、グルコース転移酵素を含む、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する糖転移作用剤に関する。
O−結合型糖鎖の中で、タンパク質中のセリン残基にフコース(以下、「Fuc」とも記載する)が結合したO−Fuc糖鎖は、Notchのシグナリングなどの様々な生物機能に関与していることが報告されている。O−Fuc糖鎖には2種類あり、上皮増殖因子(以下、「EGF」とも記載する)様リピート配列とトロンボスポンジン様リピート配列上にそれぞれ異なったO−Fuc糖鎖が報告されている。
EGF様リピート配列中のセリン残基には下記式(1)で表される糖鎖構造が存在する(Nishimura,H.ら、1992)。
Sia−Gal−GlcNAc−Fuc−Ser (1)
式(1)中、「Sia」はシアル酸残基を示し、「Gal」はガラクトース残基を示し、「GlcNAc」はN−アセチルグルコサミン残基を示し、「Fuc」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖にα結合したフコース残基を示し、「Ser」は前記Fucで示されるフコース残基が側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「−」はグリコシド結合を示す。式(1)の構造中でSerにFucを転移するのは、プロテイン−O−フコース転移酵素1(以下、「POFUT1」とも記載する)であり、FucにGlcNAcを転移するのはマニックフリンジ、ラジカルフリンジ、ルナチックフリンジと呼ばれる3種類のβ1,3N−アセチルグルコサミン転移酵素である(Moloney,D.J.ら、2000)。Notchのシグナリングの場合、これらフリンジによってN−アセチルグルコサミンが転移されるか否かで、結合するリガンドが選択され、それぞれのシグナル伝達が引き起こされる。
一方、トロンボスポンジン様リピート配列中のセリン残基には、EGF様リピート配列中の糖鎖構造とは異なる下記式(2)で表される糖鎖構造が存在する(Hofsteenge,J.ら、2001)。
Glc−Fuc−Ser (2)
式(2)中、「Glc」はグルコース残基を示し、「Fuc」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖にα結合したフコース残基を示し、「Ser」は前記Fucで示されるフコース残基が側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「−」はグリコシド結合を示す。式(2)の構造中でSerにFucを転移するのは、プロテイン−O−フコース転移酵素2(以下、「POFUT2」とも記載する)であるが(Luo,Y.ら、2003)、FucにGlcを転移する活性を有する酵素は、これまで単離/精製されていない。また、Chinese Hamster Ovary細胞(CHO細胞)には、まだ同定されていないが、内在性のβ3Glc−T活性を有する物質が存在し、CHO細胞抽出物を酵素源とし、Fuc−α−pNpとUDP−Glcと反応させるとGlcβ1,3Fuc−α−pNpが生成することが報告されている(Moloney,D.J.ら、1999)。
特開2004−215619 Nishimura,H.,T.Takao,S.Hase,Y.Shimonishi and S.Iwanaga,Human factor IX has a tetrasaccharide O−glycosidically linked to serine 61 through the fucose residue.J.Biol.Chem.,267,17520−17525(1992) Moloney,D.J.,V.M.Panin,S.H.Johnston,J.Chen,L.Shao,R.Wilson,Y.Wang,P.Stanley,K.D.Irvine,R.S.Haltiwanger and T.F.Vogt,Fringe is a glycosyltransferase that modifies Notch.Nature,406,369−375(2000) Hofsteenge,J.,K.G.Huwiler,B.Macek,D.Hess,J.Lawler,D.F.Mosher and J.P.Katalinic,C−mannosylation and O−fucosylation of the thrombospondin type 1 module.J.Biol.Chem.,276,6485−6498(2001) Luo,Y.,W.Vorndam,V.Panin,S.Shi,P.Stanley and R.S.Haltiwanger,Identification of a novel enzyme responsible for O−fucosylation of thrombospondin type 1 repeats.Glycobiology,13:abstract 180(2003) Moloney,D.J.,and R.S.Haltiwanger,The O−linked fucose glycosylation pathway:identification and characterization of a uridine diphosphoglucose:fucose−β1,3−glucosyltransferase activity from Chinese hamster ovary cells.Glycobiology,9,679−687(1999)
フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質(以下、「グルコース転移酵素」、「Glc−T」とも称する)を単離し、その遺伝子の構造を明らかにすることにより、遺伝子工学的手法による該酵素等の生産や、該遺伝子等に基づく疾患の診断が可能になる。しかしながら、該酵素は未だ知られておらず、該酵素の単離および遺伝子の同定についての手がかりはない。そのために、該酵素に対する抗体も作製されていない。
従って、本発明の目的は、フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質を同定し、該タンパク質又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤を提供することである。また、遺伝子工学的に発現させた該タンパク質は、抗体作製用に利用することもできる。さらに、本発明のタンパク質や該タンパク質に対する抗体は、免疫組織染色、RIAおよびEIA等の免疫測定法に応用できる。
上記の通り、目的とするグルコース転移酵素は未だ知られていない。これまでに、本発明者らのグループは、N−アセチルグルコサミンにガラクトースを転移する活性を有する転移酵素を単離することに成功している(特開2004−215619)。その後、この酵素のcDNAの部分配列を発現させた場合に、該酵素が非還元末端にフコースを有する受容体基質に対してグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、フコース残基にグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有するタンパク質(グルコース転移酵素)、又はそれをコードする核酸が提供される。本発明の糖転移作用剤は、グルコース転移酵素(Glc−T)を直接使用してもよいし、あるいは、Glc−Tをコードする核酸を例えば適切な発現ベクターに挿入したものを使用してもよい。本発明の糖転移作用剤に使用されるGlc−Tタンパク質又はそれをコードする核酸は、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒト、マウス、黄色ショウジョウバエ、線虫、さらにより好ましくはヒト、マウス由来である。なお、本明細書中において「Glc−T」は、特に言及しない限りGlc−Tタンパク質、又は当該タンパク質をコードする核酸、あるいは、タンパク質と核酸の双方を示す。
本発明の一態様において、本発明の糖転移作用剤に使用されるGlc−Tタンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質であるか、あるいは当該配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、または当該配列において1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。また、このようなアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
本発明によれば、配列番号1に示されるアミノ酸配列においてアミノ酸残基1−28の全部又は一部が削除されているアミノ酸配列を有し、フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質が提供される。好ましくは、配列番号1のアミノ酸残基29−489のアミノ酸配列からなるタンパク質である。なお、本明細書において用語「本発明のタンパク質」というときは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の全長を有するタンパク質に限定されず、該アミノ酸配列の部分配列を含むタンパク質が含まれる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の説明のために、好ましい実施形態に関して詳述する。
本発明によれば、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有するタンパク質又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤が提供される。
(1)Glc−Tタンパク質
本発明者らのグループは、前述の通り、N−アセチルグルコサミンにガラクトースを転移する酵素をコードする遺伝子のクローニングに成功し、その塩基配列および推定アミノ酸配列を決定している(特開2004−215619)。その後、本発明者らは、このガラクトース転移酵素(特開2004−215619に開示される「Gal−T7」に対応する)と同一のアミノ酸配列又はその部分配列を有するタンパク質が、前記活性に加えて、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する、より強い活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
本発明の糖転移作用剤に使用されるGlc−Tタンパク質は、典型的には、本明細書中の配列表の配列番号1(特開2004−215619の配列番号1に対応する)に示されるアミノ酸配列を有し、それをコードする核酸の塩基配列は配列番号2(特開2004−215619の配列番号2に対応する)に示す。
本発明の一態様において、本発明の糖転移作用剤に使用されるGlc−Tタンパク質は、配列番号1において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、または当該配列において1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。また、このようなアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
本発明によれば、配列番号1のアミノ酸配列においてアミノ酸残基1−28の全部又は一部が削除されたアミノ酸配列を有するタンパク質が提供される。好ましくは、配列番号1におけるアミノ酸残基29−498のアミノ酸配列からなるタンパク質である。なお、本明細書においては、これらの部分配列を有するタンパク質を「短鎖型Glc−Tタンパク質」と称することがある。これら短鎖型Glc−Tタンパク質は、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する活性を有する限りにおいて、本発明の糖転移作用剤に使用することができる。
本発明のGlc−Tは、そのアミノ酸配列のN−末端側に疎水的なアミノ酸残基のクラスターが存在し、膜貫通領域又はシグナル配列の可能性が考えられる。その領域を除いたアミノ酸残基29−498の領域が糖転移酵素活性の領域と予想される。このアミノ酸残基29−498の領域にはβ3結合で糖を転移する糖転移酵素ファミリーに保存されている3つのアミノ酸モチーフ(beta3GTモチーフ)が存在し、モチーフ間の配列はβ1,3N−アセチルグルコサミン転移酵素であるm−Fringeやβ1,3ガラクトース転移酵素であるcore1 Gal−T1、β1,3グルクロン酸転移酵素であるChSyとそれぞれ27%、26%、23%の相同性がある。beta3GTモチーフの中の2番目のモチーフ中には、2価カチオンとの結合に必要とされるDXD配列に相当すると思われるDDDが存在する。
本発明の一態様において、本発明の糖転移作用剤に使用される短鎖型Glc−Tタンパク質は、配列番号1におけるアミノ酸残基29−498のアミノ酸配列のおいて1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、または当該配列において1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。また、このようなアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
本明細書においては、本発明の理解のために、本発明の糖転移作用剤に使用するGlc−T及び短鎖型Glc−Tの性質を以下に説明する。
作用: 非還元末端のフコースにグルコースをβ1,3結合で転移する。触媒する反応を反応式で記載すると、
フコース−R + UDP−グルコース → グルコース−フコース−R + UDP
(Fuc−R + UDP−Glc → Glc−Fuc−R + UDP)
基質特異性: フコース、例えば、フコース−R(Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、オルトメトキシフェニル基である)。
本発明によれば、フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質が提供される。本発明のタンパク質は、本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源、製法等は限定されない。即ち、本発明のタンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現されたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。
本発明のタンパク質は、典型的には、配列番号1に記載したアミノ酸残基498個からなるアミノ酸配列を有する。しかしながら、天然のタンパク質の中には、それを生産する生物種の品種の違いや、生態型(ecotype)の違いによる遺伝子の変異、あるいはよく似たアイソザイムの存在等に起因して、1から複数個のアミノ酸変異を有する変異タンパク質が存在することは周知である。なお、本明細書で使用する用語「変異タンパク質」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、または該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、フコースにグルコースを転移する活性を有するタンパク質等を意味する。ここで、「複数個」とは、好ましくは1−100個、より好ましくは1−50個、最も好ましくは1−20個である。一般的には、部位特異的な変異によってアミノ酸が置換された場合に、元々のタンパク質が有する活性は保存される程度に置換が可能なアミノ酸の個数は、好ましくは1−10個である。
本発明のタンパク質は、クローニングされた核酸の塩基配列からの推定に基づいて、配列番号1、及び配列番号2(下段)のアミノ酸配列を有するが、その配列を有するタンパク質のみに限定されるわけではなく、本明細書中に記載した特徴を有する限り全ての相同タンパク質を含むことが意図される。同一性は、少なくとも30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
本明細書において、同一性のパーセントは、例えば、Altschulら(Nucl.Acids.Res.25.,p.3389−3402,1997)に記載されているBLASTプログラム、あるいはPearsonら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,p.2444−2448,1988)に記載されているFASTAを用いて配列情報と比較し決定することが可能である。当該プログラムは、インターネット上でNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェブサイトから利用することが可能である。各プログラムによる同一性検索の各種条件(パラメーター)は同サイトに詳しく記載されており、一部の設定を適宜変更することが可能であるが、検索は通常デフォルト値を用いて行う。なお、当業者に用いられる、配列比較の他のプログラムもまた、使用可能である。
一般的に、同様の性質を有するアミノ酸同士の置換(例えば、ある疎水性アミノ酸から別の疎水性アミノ酸への置換、ある親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸への置換、ある酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸への置換、あるいはある塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸への置換)を導入した場合、得られる変異タンパク質はもとのタンパク質と同様の性質を有することが多い。遺伝子組換え技術を使用して、このような所望の変異を有する組換えタンパク質を作製する手法は当業者に周知であり、このような変異タンパク質も本発明の範囲に含まれる。
本発明の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は、特開2004−215619に開示される方法に従って得ることができる。また、配列番号1のアミノ酸残基1−28の全部または一部が削除されているアミノ酸配列を有する本発明のタンパク質は、当業者であれば、常法に従って容易に調製することができる。配列番号1のアミノ酸残基1−28が削除されているアミノ酸配列を有する本発明のタンパク質は、例えば、後述の実施例1に従って、本発明のタンパク質をコードする核酸を示す配列番号2に記載の塩基配列を大腸菌、酵母、昆虫、または動物細胞に、それぞれの宿主で増幅可能な発現ベクターを用いて導入および発現させることにより、当該タンパク質を大量に得ることができる。
本発明によって、これらタンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列又はその一部を利用して、ハイブリダイゼーション、PCR等の核酸増幅反応等の遺伝子工学的手法を用いて、他の生物種から同様の生理活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を容易に単離することができる。このような場合、それらの遺伝子がコードする新規タンパク質も本発明の範囲に含まれる。
なお、本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列が上述した通りのものであり、前記酵素活性を有するものであれば、タンパク質に糖鎖が結合していてもよい。
本発明のタンパク質は、後述の実施例2に記載したように、本発明のタンパク質における受容体基質および供与体基質の探索からGlcをFucに転移する活性を有するものである。より具体的には、本発明のタンパク質は、下記の性質を有する:
(A)受容体基質の特異性
受容体基質は、本発明のタンパク質がグルコース供与体基質からグルコース残基を転移し得る基質である限り特に限定されないが、好ましくは、Fucα−R、Fucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ−R(以下、「H抗原タイプ2」と称することがある)、Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ−R(以下、「Le」)、Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「H抗原タイプ1」)、Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ−R(以下、「Le」)、Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ−R(以下、「Le」)、GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「A抗原」)、Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3GlcNAcβ−R(以下、「B抗原」)、より好ましくはFucα−R、H抗原タイプ2、Le、さらにより好ましくはFucα−Rである。ここで、使用される省略形は、Fuc、フコース; Gal、ガラクトース; GlcNAc、N−アセチルグルコサミンである。また、Rは、限定されないが、典型的には、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル(Bz)基、パラニトロフェニル(pNp)基、オルトニトロフェニル基、オルトメトキシフェニル基である。
(B)供与体基質の特異性
供与体基質は、本発明のタンパク質によって前述の受容体基質に転移し得る基質として、好ましくはグルコースである。より好ましくは、グルコースを有する糖ヌクレオチドである。糖ヌクレオチドには、ウリジン二リン酸−グルコース(UDP−Glc)、アデノシン二リン酸−グルコース(ADP−Glc)、グアノシン二リン酸−グルコース(GDP−Glc)、シチジン二リン酸−グルコース(CDP−Glc)等が例示され、UDP−Glcが最も好ましい。
(C)組織発現
本発明のタンパク質は、哺乳動物の組織、好ましくはヒトの組織で発現される。
(i)好ましくは、精巣、子宮で高い発現を示す。
(ii)好ましくは、脳、脊髄、胎児脳、副腎、甲状腺、脾臓、骨格筋、肺、胃、大腸、膵臓で中程度の発現を示す。
(iii)好ましくは、小脳、骨髄、胸腺、心臓、気管、乳腺、肝臓、胎児肝臓、唾液腺、小腸、腎臓、前立腺、胎盤で低い発現を示す。
(2)Glc−Tタンパク質の単離/精製
配列番号1に示されるアミノ酸配列の全長を有する本発明のタンパク質は、特開2004−215619に開示されたGal−T7タンパク質の調製方法に従って、タンパク質を発現させ、単離/精製することができる。
配列番号1に示されるアミノ酸配列のうちアミノ酸残基1−28の全部又は一部が削除されているアミノ酸配列を有するタンパク質は、後述の実施例1に記載されるように、本明細書及び特開2004−215619において本発明の全長のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列が開示されているため、当業者であれば、該塩基配列の一部を所定の発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを宿主細胞に導入し、宿主細胞を適宜選択した培養条件下で培養することによって、目的とするタンパク質を大量に発現させることができる。
本発明のタンパク質は、上記の宿主細胞の培養によって得られる培養物より以下の方法に基づいて取得することができる。すなわち、本発明のタンパク質が宿主細胞内に蓄積する場合には、遠心分離やろ過などの操作により宿主細胞を集め、これを適当な緩衝液(例えば濃度が10mM〜100mM程度のトリス緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、MES緩衝液などの緩衝液。pHは用いる緩衝液によって異なるが、pH5.0〜9.0の範囲が望ましい)に懸濁した後、用いる宿主細胞に適した方法で細胞を破壊し、遠心分離により宿主細胞の内容物を得る。一方、本発明のタンパク質が宿主細胞外に分泌される場合には、遠心分離やろ過などの操作により宿主細胞と培地を分離し、培養ろ液を得る。宿主細胞破壊液、あるいは培養ろ液はそのまま、または硫安沈殿と透析を行なった後に、本発明のタンパク質の単離・精製に供することができる。単離/精製の方法としては、以下の方法が挙げられる。即ち、当該タンパクに6×ヒスチジンやGST、マルトース結合タンパクといったタグを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれのタグに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げられる。一方、そのようなタグを付けずに本発明のタンパク質を生産した場合には、イオン交換クロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。また、これに加えてゲルろ過や疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどを組み合わせる方法も挙げられる。
本発明のタンパク質はまた、精製および同定を容易にするために添加されるペプチドを含んでもよい。こうしたペプチドには、例えば、ポリ−Hisまたは米国特許第5,011,912号およびHoppら,Bio/Technology,6:1204,1988に記載される抗原性同定ペプチドが含まれる。こうしたペプチドの1つはFLAG(登録商標)ペプチド、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(配列番号3)であり、該ペプチドは非常に抗原性であり、そして特異的なモノクローナル抗体が可逆的に結合するエピトープを提供し、発現された組換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。4E11と称されるネズミハイブリドーマは、本明細書に援用される米国特許第5,011,912号に記載されるように、特定の二価金属陽イオンの存在下で、FLAG(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生する。4E11ハイブリドーマ細胞株は、寄託番号HB 9259下に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託されている。FLAG(登録商標)ペプチドに結合するモノクローナル抗体は、Eastman Kodak Co.,Scientific Imaging Systems Division、コネチカット州ニューヘブンより入手可能である。
具体的には、後述される実施例1に記載されるように、本発明のタンパク質を発現する発現ベクターにFLAGのcDNAを挿入し、FLAG標識したタンパク質を発現させ、抗FLAG抗体によって、該タンパク質の発現を確認することができる。
(3)Glc−Tタンパク質に結合する抗体
本発明のタンパク質に免疫反応性である抗体が本明細書に提供される。こうした抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該タンパク質に結合する。したがって、上述のような、配列番号1のタンパク質、断片、変異体、融合タンパク質などを、それと免疫反応性である抗体を産生する際の「免疫原」として使用することが可能である。より具体的には、タンパク質、断片、変異体、融合タンパク質などは、抗体形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含む。これらの抗原決定基またはエピトープは、直鎖でも高次構造的(conformational)(断続的)でもどちらでもよい。なお、該抗原決定基またはエピトープは、当該技術分野に知られるいかなる方法によって同定してもよい。
したがって、本発明の1つの側面は、本発明のタンパク質の抗原性エピトープに関する。こうしたエピトープは、以下により詳細に記載されるように、抗体、特にモノクローナル抗体を作成するのに有用である。さらに、本発明のタンパク質由来のエピトープは、アッセイにおいて、そしてポリクローナル抗体(抗血清)または培養ハイブリドーマ由来の上清などの物質から特異的に結合する抗体を精製する研究試薬として使用可能である。こうしたエピトープまたはその変異体は、固相合成、タンパク質の化学的または酵素的切断などの、当該技術分野に公知の技術を用いて、あるいは組換えDNA技術を用いて、産生することが可能である。
本発明のタンパク質によって誘導される可能性がある抗体に関しては、該タンパク質の全部若しくは一部が単離されていても、またはエピトープが単離されていても、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体はどちらも、慣用的技術によって調製することが可能である。例えば、Kennetら(監修),Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,ニューヨーク,1980を参照されたい。
本発明のタンパク質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株もまた、本明細書に意図される。こうしたハイブリドーマは、慣用的技術によって産生しそして同定することが可能である。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を該タンパク質で免疫し;免疫された動物から脾臓細胞を採取し;前記脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し;そして該タンパク質に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。モノクローナル抗体は、慣用的技術によって回収可能である。
本発明のモノクローナル抗体には、キメラ抗体、例えば、ネズミモノクローナル抗体のヒト化型が含まれる。こうしたヒト化抗体を既知の技術によって調製し、そして抗体がヒトに投与されるとき、免疫原性の減少という利点を提供してもよい。1つの態様において、ヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ抗体の可変領域(またはその抗原結合部位のみ)およびヒト抗体由来の定常領域を含む。あるいは、ヒト化抗体断片は、ネズミモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体由来の可変領域断片(抗原結合部位を欠く)を含んでもよい。
慣用的技術によって産生可能な、抗体の抗原結合断片もまた、本発明に含まれる。こうした断片の例には、限定されるわけではないが、FabおよびF(ab’)断片が含まれる。遺伝子工学技術によって産生される抗体断片および誘導体もまた提供される。
1つの態様において、抗体は本発明のタンパク質に特異的であり、そして他のタンパク質と交差反応しない。こうした抗体を同定することが可能なスクリーニング法が公知であり、そして例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーを伴ってもよい。
本発明の抗体は、in vitroまたはin vivoいずれかで、本発明のタンパク質または断片の存在を検出するアッセイで用いることが可能である。抗体はまた、免疫アフィニティークロマトグラフィーによって、本発明のポリペプチドまたは断片を精製する際にも使用可能である。
さらに、結合パートナー、例えば受容体基質への本発明のタンパク質の結合を遮断することが可能な抗体を用いて、こうした結合から生じる生物学的活性を阻害することが可能である。こうした遮断抗体は、受容体基質を発現している特定の細胞への該タンパク質の結合を阻害する能力に関して、抗体を試験することによるなど、いかなる適切なアッセイ法を用いて、同定してもよい。あるいは、遮断抗体は、標的細胞の結合パートナーに結合している本発明のタンパク質から生じる生物学的影響を阻害する能力に関するアッセイにおいて、同定することが可能である。
こうした抗体を、in vitro法で使用するか、またはin vivoで投与して、抗体を生成した実体によって仲介される生物学的活性を阻害することが可能である。したがって、本発明のタンパク質と結合パートナーとの相互作用によって、(直接または間接的に)引き起こされるかまたは悪化される障害を治療することが可能である。療法は、結合パートナー仲介生物学的活性を阻害するのに有効な量の遮断抗体を、哺乳動物にin vivo投与することを伴う。一般的に、こうした療法の使用には、モノクローナル抗体が好ましい。1つの態様において、抗原結合抗体断片が使用される。
(4)Glc−Tタンパク質をコードする核酸
本発明によれば、Glc−Tタンパク質をコードする核酸を含む、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する糖転移作用剤が提供される。上記核酸は、一本鎖および二本鎖型両方のDNA、およびそのRNA相補体も含む。DNAには、例えば天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成したDNA、PCRによって増幅されたDNA、およびそれらの組合せが含まれる。使用する核酸としては、DNAが好ましい。本明細書において、ある特定の塩基配列について記載する場合、特に言及しない限り、その相補鎖も含む。
本発明の糖転移作用剤に使用する核酸は、好ましくは配列番号1に示されるヒトのアミノ酸配列をコードする核酸(その相補体を含む)である。典型的には、配列番号2の塩基配列(その相補体を含む)を有する。天然の核酸の中には、それを生産する生物種の品種の違いや、生態型の違いに起因する少数の変異やよく似たアイソザイムの存在に起因する少数の変異が存在することは当業者に周知である。使用可能な核酸は、配列番号2に記載の塩基配列を有する核酸に限定されるわけではなく、Glc−Tタンパク質をコードする全ての核酸を包含する。本発明の糖転移作用剤に使用する核酸は、好ましくは、配列番号2の塩基配列におけるヌクレオチド1−1494、より好ましくはヌクレオチド85−1494を有する。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、中程度または高程度にストリンジェントな条件においてハイブリダイズすることを意味する。具体的には、中程度にストリンジェントな条件は、例えば、DNAの長さに基づき、一般の技術を有する当業者によって、容易に決定することが可能である。基本的な条件は、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,第6−7章,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001に示され、そしてニトロセルロースフィルターに関し、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液、約40−50℃での、約50%ホルムアミド、2×SSC−6×SSC(または約42℃での約50%ホルムアミド中の、スターク溶液(Stark’s solution)などの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件、および約60℃、0.5×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の使用が含まれる。好ましくは中程度にストリンジェントな条件は、約50℃、2×SSCのハイブリダイゼーション条件を含む。高ストリンジェントな条件もまた、例えばDNAの長さに基づき、当業者によって、容易に決定することが可能である。一般に、こうした条件は、中程度にストリンジェントな条件よりも高い温度および/または低い塩濃度でのハイブリダイゼーション(例えば、約65℃、6×SSCないし0.2×SSC、好ましくは6×SSC、より好ましくは2×SSC、最も好ましくは0.2×SSCのハイブリダイゼーション)および/または洗浄を含み、例えば上記のようなハイブリダイゼーション条件、およびおよそ68℃、0.2×SSC、0.1% SDSの洗浄を伴うと定義される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の緩衝液では、SSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mM クエン酸ナトリウムである)にSSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaHPO、および1.25mM EDTA、pH7.4である)を代用することが可能であり、洗浄はハイブリダイゼーションが完了した後で15分間行う。当業者に知られていて、以下にさらに記載したように、ハイブリダイゼーション反応と二本鎖の安定性を支配する基本原理を適用することによって望ましい度合いのストリンジェンシーを達成するためには、洗浄温度と洗浄塩濃度を必要に応じて調整することが可能であると理解すべきである(例えば、Sambrookら、2001を参照されたい)。核酸を未知配列の標的核酸へハイブリダイズさせる場合、ハイブリッドの長さはハイブリダイズする核酸のそれであると仮定される。既知配列の核酸をハイブリダイズさせる場合、ハイブリッドの長さは核酸の配列を並列し、最適な配列相補性をもつ単数または複数の領域を同定することによって決定可能である。50塩基対未満の長さであることが予測されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(T)より5−25℃低くなければならず、Tは、以下の等式により決定される。長さ18塩基対未満のハイブリッドに関して、T(℃)=2(A+T塩基数)+4(G+C塩基数)。18塩基対を超える長さのハイブリッドに関しては、T=81.5℃+16.6(log10[Na])+41(モル分率[G+C])−0.63(%ホルムアミド)−500/nであり、ここで、Nはハイブリッド中の塩基数であり、そして[Na]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオン濃度である(1×SSCの[Na]=0.165M)。好ましくは、こうしたハイブリダイズする核酸は各々、少なくとも8ヌクレオチド(または、より好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、または少なくとも20ヌクレオチド、または少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも30ヌクレオチド、または少なくとも40ヌクレオチド、または最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチド)、またはそれがハイブリダイズする核酸の長さの少なくとも1%(より好ましくは少なくとも25%、または少なくとも50%、または少なくとも70%、そして最も好ましくは少なくとも80)である長さを有し、それがハイブリダイズする核酸と少なくとも50%(より好ましくは少なくとも70%、少なくとも 75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、または少なくとも99%、そして最も好ましくは少なくとも99.5%)の配列同一性を有する。ここで配列同一性は、上記により詳しく記載されるように、重複部分と同一性を最大化する一方、配列ギャップを最小化するように並列された、ハイブリダイズする核酸の配列を比較することによって決定される。
核酸増幅反応は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki R.K.,et al.,Science,230,1350−1354(1985))、ライゲース連鎖反応(LCR)(Wu D.Y.,et al.,Genomics,4,560−569(1989); Barringer K.J.,et al.,Gene,89,117−122(1990); Barany F.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,189−193(1991))および転写に基づく増幅(Kwoh D.Y.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,1173−1177(1989))等の温度循環を必要とする反応、並びに鎖置換反応(SDA)(Walker G.T.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,392−396(1992); Walker G.T.,et al.,Nuc.Acids.Res.,20,1691−1696(1992))、自己保持配列複製(3SR)(Guatelli J.C.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,1874−1878(1990))およびQβレプリカーゼシステム(Lizardiら、BioTechnology 6,p.1197−1202(1988))等の恒温反応を含む。また、欧州特許第0525882号に記載されている標的核酸と変異配列の競合増幅による核酸配列に基づく増幅(Nucleic Acid Sequence Based Amplification:NASBA)反応等も利用可能である。好ましくはPCR法である。
上記のようなハイブリダイゼーション、核酸増幅反応等を使用してクローニングされる相同な核酸は、配列表の配列番号2に示される塩基配列又は配列番号2におけるヌクレオチド85−1494の塩基配列に対して少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の同一性を有する。
核酸の同一性パーセントは、視覚的検査および数学的計算によって決定することが可能である。あるいは、2つの核酸配列のパーセント同一性は、目視検査と数学的計算により決定可能であるか、またはより好ましくは、この比較はコンピュータ・プログラムを使用して配列情報を比較することによってなされる。代表的な、好ましいコンピュータ・プログラムは、遺伝学コンピュータ・グループ(GCG;ウィスコンシン州マジソン)のウィスコンシン・パッケージ、バージョン10.0プログラム「GAP」である(Devereuxら、1984、Nucl.Acids Res.12:387)。この「GAP」プログラムの使用により、2つの核酸配列の比較の他に、2つのアミノ酸配列の比較、核酸配列とアミノ酸配列との比較を行うことができる。ここで、「GAP」プログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオチドについての(同一物について1、および非同一物について0の値を含む)一元(unary)比較マトリックスのGCG実行と、SchwartzおよびDayhoff監修「ポリペプチドの配列および構造のアトラス(Atlas of Polypeptide SequenceおよびStructure)」国立バイオ医学研究財団、353−358頁、1979により記載されるような、GribskovおよびBurgess,Nucl.Acids Res.14:6745,1986の加重アミノ酸比較マトリックス;または他の比較可能な比較マトリックス;(2)アミノ酸の各ギャップについて30のペナルティと各ギャップ中の各記号について追加の1のペナルティ;またはヌクレオチド配列の各ギャップについて50のペナルティと各ギャップ中の各記号について追加の3のペナルティ;(3)エンドギャップへのノーペナルティ:および(4)長いギャップへは最大ペナルティなし、が含まれる。当業者により使用される他の配列比較プログラムでは、例えば、国立医学ライブラリーのウェブサイト:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bls.htmlにより使用が利用可能なBLASTNプログラム、バージョン2.2.7、またはUW−BLAST2.0アルゴリズムが使用可能である。UW−BLAST2.0についての標準的なデフォルトパラメーターの設定は、以下のインターネットサイト:http://blast.wustl.eduに記載されている。さらに、BLASTアルゴリズムは、BLOSUM62アミノ酸スコア付けマトリックスを使用し、使用可能である選択パラメーターは以下の通りである:(A)低い組成複雑性を有するクエリー配列のセグメント(WoottonおよびFederhenのSEGプログラム(Computers and Chemistry,1993)により決定され;WoottonおよびFederhen,1996「配列データベースにおける組成編重領域の解析(Analysis of compositionally biased regions in sequence databases)」Methods Enzymol.266:544−71も参照されたい)、または、短周期性の内部リピートからなるセグメント(ClaverieおよびStates(Computers and Chemistry,1993)のXNUプログラムにより決定される)をマスクするためのフィルターを含むこと、および(B)データベース配列に対する適合を報告するための統計学的有意性の閾値、またはE−スコア(KarlinおよびAltschul,1990)の統計学的モデルにしたがって、単に偶然により見出される適合の期待確率;ある適合に起因する統計学的有意差がE−スコア閾値より大きい場合、この適合は報告されない);好ましいE−スコア閾値の数値は0.5であるか、または好ましさが増える順に、0.25、0.1、0.05、0.01、0.001、0.0001、1e−5、1e−10、1e−15、1e−20、1e−25、1e−30、1e−40、1e−50、1e−75、または1e−100である。
(5)Glc−Tタンパク質をコードする核酸を測定するための核酸
本発明によれば、本発明のGlc−Tタンパク質をコードする核酸とハイブリダイズする核酸(以下、「測定用核酸」と称する)が提供される。本発明の測定用核酸は、典型的には、本発明のGlc−Tタンパク質をコードする核酸の天然由来の又は合成されたフラグメントであり、プライマーまたはプローブを含むが、これらに限定されるものではない。なお、本明細書において使用される用語「測定」には、検定、検出、増幅、定量、および半定量のいずれもが包含される。
(a)プライマー
本発明の測定用核酸を核酸増幅反応用のプライマーとして使用する場合、本発明の測定用核酸は、オリゴヌクレオチドであって、
Glc−Tタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を示す配列番号2に基づいて、以下の条件を満たすように2つの領域を選択し:
1)各領域の長さが15−50塩基であること;
2)各領域中のG+Cの割合が40−70%であること;
上記領域と同じ塩基配列若しくは上記領域に相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを製造し、または、上記一本鎖DNAによってコードされるアミノ酸残基を変化させないように遺伝子暗号の縮重を考慮した一本鎖DNAの混合物を製造し、さらに必要であれば上記タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列に対する結合特異性を失わないように修飾した上記一本鎖DNAを製造する
ことを含む方法により製造された当該オリゴヌクレオチドが提供される。
本発明のプライマーは、本発明の核酸の部分領域と相同的な配列を有することが好ましいが、1または2塩基の不一致があっても差し支えない。
なお、本発明のプライマーの塩基数は15塩基以上、好ましくは18塩基以上、より好ましくは21塩基以上であり、50塩基以下である。
本発明のプライマーは、典型的には、配列番号4−6の塩基配列を有し、単独、または適当な2種を組み合せたプライマー対として用いることができる。このヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸配列に基づいて、各々のタンパク質をコードする遺伝子断片のクローニングのためのPCR用プライマーとして設計したものであり、当該アミノ酸をコードすることが可能な全ての塩基をミックスしたプライマーである。
(b)プローブ
本発明測定用核酸をプローブとして使用する場合、本発明測定用核酸は、配列番号2に記載の塩基配列の全体又は部分領域と相同的な配列を有することが好ましい。本発明の測定用核酸が、cDNAプローブの場合、塩基数は、15塩基以上、好ましくは20塩基以上で、最長で、コード領域の全長、即ち、1497塩基である。配列番号2に記載した塩基配列又はその相補的な塩基配列と20%以下、好ましくは10%以下の不一致があっても、プローブとしての機能を果たし得る。また、本発明の測定用核酸が、合成オリゴヌクレオチドの場合、塩基数は15塩基以上、好ましくは20塩基以上、より好ましくは24塩基以上である。合成オリゴヌクレオチドの場合、長さによるが、配列番号2に記載した塩基配列又はその相補的な塩基配列と1または2塩基程度の不一致があってもプローブとしての機能を果たし得る。
本発明のプローブは、例えば、配列番号7に記載された塩基配列を有する。これは、配列番号2の塩基番号1328−1351に相当する。プローブは天然由来の核酸より、制限酵素処理によって得てもよいし、合成したオリゴヌクレオチドであってもよい。
本発明のプローブには、該プローブが標的配列とハイブリダイズしたことを検出または確認するために、蛍光標識、放射標識、ビオチン標識等の標識を付した標識プローブが含まれる。被検核酸またはその増幅物を固相化し、標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、固相に結合された標識を測定することにより、検体中に被検核酸が存在するかを決定することができる。あるいは、測定用核酸を固相化し、被検核酸をハイブリダイズさせ、固相に結合した被検核酸を標識プローブ等で検出することも可能である。このような場合、固相に結合した測定用核酸もプローブと呼ぶ。
一般的に、PCRのような核酸増幅法自体は、この分野において周知であり、そのための試薬キットおよび装置も市販されているので容易に行うことができる。上記した本発明の測定用核酸の一対をプライマーとして用い、被検核酸を鋳型として用いて核酸増幅法を行うと、被検核酸が増幅されるのに対し、検体中に被検核酸が含まれない場合には増幅が起きないので、増幅産物を検出することにより検体中に被検核酸が存在するか否かを知ることができる。増幅産物の検出は、増幅後の反応溶液を電気泳動し、バンドをエチジウムブロミド等で染色する方法や、電気泳動後の増幅産物をナイロン膜等の固相に不動化し、被検核酸と特異的にハイブリダイズする標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、該標識を検出することにより行うことができる。また、クエンチャー蛍光色素とレポーター蛍光色素を用いたいわゆるリアルタイム検出PCRを行うことにより、検体中の被検核酸の量を定量することも可能である。なお、リアルタイム検出PCR用のキットも市販されているので、容易に行うことができる。さらに、電気泳動バンドの強度に基づいて被検核酸を半定量することも可能である。なお、被検核酸は、mRNAでも、mRNAから逆転写したcDNAであってもよい。被検核酸としてmRNAを増幅する場合には、上記一対のプライマーを用いたNASBA法(3SR法、TMA法)を採用することもできる。NASBA法自体は周知であり、そのためのキットも市販されているので、上記一対のプライマーを用いて容易に実施することができる。
(6)糖転移作用剤
本発明によれば、上記に定義されるタンパク質(グルコース転移酵素)、又はそれをコードする核酸を含む糖転移作用剤が提供される。本発明の糖転移作用剤は、グルコース転移酵素(Glc−T)を直接使用してもよいし、あるいは、Glc−Tをコードする核酸を例えば適切な発現ベクターに挿入したものを使用してもよい。
(7)ノックアウト動物
本発明によりGlc−Tの発現が癌の発現に関与していることが明らかとなったので、実験動物においてGlc−Tタンパク質をコードする遺伝子の発現を一部または完全に抑制することによって、インビボにおける詳細な癌転移メカニズムの解明に使用されるノックアウト動物を調製することも可能である。ノックアウト動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、サルなどの哺乳動物が好ましく、ノックアウト動物調製の手法がある程度確立していることから、マウス又はラットが最も好ましいが、これに限定はされない。例えば、ノックアウトマウスは、「ジーンターゲティングの最新技術」(八木健編集、羊土社、2000年)、ジーンターゲティング(野田哲生監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル社、1995年)などの記載に従って行うことができる。また、small interfering RNA法(Brummelkamp,T.R.et al.,Science,296,5501−553(2002))などの「遺伝子発現を抑制する方法」でもノックアウトマウスを作製することができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 Glc−Tの調製
1.短鎖型Glc−Tの調製
(1)短鎖型Glc−T遺伝子の発現ベクターへの組み込み
短鎖型Glc−Tの発現系を作成するため、まずGlc−T遺伝子をシグマ社のpFLAG−CMV1ベクターに組込み、pFALG−Glc−Tを作製した。配列番号2に示される塩基配列に従い設計した2種類のプライマーGP−1052(5’−ggaattctgaagatacaaagaaagaggt−3’)(配列番号4)(ヌクレオチド5−28は、配列番号2のヌクレオチド84−107に相当する)とGP−1049(5’−gctctagagtgatttataactcctctcgaaaa−3’)(配列番号5)(ヌクレオチド14−32は、配列番号2のヌクレオチド1497−1479に相当する)を用い、酵素活性に必要なDNA断片を、Marathon−Ready cDNA(Human Brain)を鋳型として増幅した。これらのプライマー中には制限酵素Eco RIあるいはXba I切断部位を含むためpFLAG−CMV1ベクターのEcoRI−Xba I部位にPCR増幅断片を挿入することが可能である。しかし、PCR増幅断片中にEco RIが1ヵ所存在するため、最初に3’側のEco RI−Xba I断片を、続いて5’側のEco RI−Eco RI断片を常法により挿入し、Glc−T発現ベクターを構築した。作製したベクターをpFLAG−Glc−Tと命名した。なお、この操作により、Glc−TはFLAGタグに引きつづき、29番目のセリンからタンパク質が産生されることになる。
(2)トランスフェクションとリコンビナント酵素の発現
2×10のHEK293細胞を予め10% FCS(ウシ胎児血清)を含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)で1晩培養後、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社)を用いて、同社のプロトコールに従って、該細胞に15μgのpFLAG−Glc−Tを導入した。培養48時間から72時間後の培養上清を回収し、上清10mlにNaN(0.05%)、NaCl(150mM)、CaCl(2mM)、抗M1レジン(シグマ社)(50μl)を混合し、4℃で一夜攪拌した。反応混合液を遠心分離して(3000rpm、5分、4℃)ペレットを回収し、2mMのCaCl・TBSを900μl加えて再度遠心分離(2000rpm、5分、4℃)し、ペレットを200μlの1 mM CaCl ・TBS に浮遊させ活性測定のサンプル(Glc−T酵素液)とした。
酵素液は常法により、SDS−PAGEとウエスタンブロッテイングを行い、目的とするタンパク質が発現していることを確認した。抗体は抗FLAG
M2−ペルオキシダーゼ(A−8592、SIGMA社)を用いた。
2.全長Glc−Tの調製
(1)全長Glc−T遺伝子の発現ベクターへの組み込み
全長Glc−Tは2種類のプライマーGP−1053(5’−ggaattcaggatgcggccgcccgcctgct−3’)(配列番号6)(ヌクレオチド11−29は、配列番号2のヌクレオチド1−19に相当する)とGP−1049を用い、全長のDNA断片を、Marathon−Ready cDNA(Human Brain)を鋳型として増幅した。これらのプライマー中には制限酵素Eco RIあるいはXba I切断部位を含み、上記と同じ方法でインビトロジェン社のpcDNA3.1(+)にライゲーションし、pcDNA3.1−Glc−Tを構築した。
(2)トランスフェクションとリコンビナント酵素の発現
2×10のCHO細胞を予め10% FCS(ウシ胎児血清)を含むRPMI1640で1晩培養後、リポフェクタミン2000(インビトロジェン社)を用いて、同社のプロトコールに従って、該細胞に15μgのpcDNA3.1−Glc−Tを導入した。翌日、0.8mg/mlのG418を培地中に加え、さらに数日培養することによりトランスフェクタントを選別した。1x10のGlc−T導入CHO細胞は、PBSで洗浄後、1%Nonidet P40,Proteinase inhibitor cacktail(シグマ社)を含むTBS Bufferに縣濁、4℃で15分間超音波破砕した。これを4℃、14000×G、10分間遠心分離し、その上清を細胞抽出液とし、細胞内Glc−T活性測定の酵素源として用いた。
実施例2 Glc−Tタンパク質の基質特異性
1.短鎖型Glc−Tタンパク質の基質特異性
(1)供与体基質の探索
各種単糖受容体基質の混合液に対し、酵素液5μlと様々な供与体基質を用いて、短鎖型Glc−Tタンパク質の供与体基質の探索を行った(表1)。受容体基質は、Gal−α−pNp、Gal−β−oNp、GalNAc−α−Bz、GalNAc−β−pNp、GlcNAc−α−pNp、GlcNAc−β−Bz、Glc−α−pNp、Glc−β−pNp、GlcA−β−pNp、Fuc−α−pNp、Man−α−pNp(以上、CALBIOCHEM社)、Xyl−α−pNp、Xyl−β−pNp(以上、シグマ社)が各2.5nmol/20μl含まれるように調製した。ここで、「Gal」とはD−ガラクトース残基を示し、「Glc」とはD−グルコース残基を示し、「Fuc」とはD−フコース残基を示し、「Man」とはD−マンノース残基を示し、「pNp」はp−ニトロフェニル基を示し、「Bz」はベンジル基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。また、「α」及び「β」は、糖環1位の前記グリコシド結合のアノマーを示し、5位CHOHまたはCHとの位置関係がトランスのものを「α」、シスのものを「β」で示す。また、各種供与体基質(UDP−Glc、UDP−GalNAc、UDP−GlcNAc、UDP−Gal、GDP−Man、UDP−GlcA、UDP−Xyl及びGDP−Fuc、何れもシグマ社)に対する反応液は表1に示したとおりである。
反応液中には適量の14C標識供与体基質も混在させた。また、反応時間はすべて16時間とした。反応後、SepPack C18カラム(ウォーターズ社)で未反応の放射活性を有する供与体基質を除去し、受容体に取り込まれた供与体由来の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。その結果、Glc−TはUDP−Glcを供与体基質に用いたときのみ有意な活性が検出できた(表2)。
(2)受容体基質の探索
受容体基質を探索する目的で、それぞれの受容体基質を単独で使用し(10nmol/20μl)、反応を行った。その結果、Glc−TはFuc−α−pNpを用いたときのみ、有意な放射活性が検出された。以上の結果から、Glc−TはFucにGlcを転移する糖転移酵素であることが明らかになった(表3)。
さらに、Fucを含む受容体基質の特異性を検討するために、表4に記載する受容体基質を用いて、Glc−Tの活性を測定した。Glc−Tによる各基質に対するグルコースを転移する活性は、Fucα−pNpを用いた場合を100%として、相対的に評価した。表4の結果から、Glc−Tは、Fucα−pNpの他に、少なくともFucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ−pNp(H抗原タイプ2)(活性61%)、Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ−pNp(Le)(活性52%)に対して基質特異性を示すことが明らかとなった。
2.全長Glc−Tタンパク質の基質特異性
内在性のβ3Glc−T活性を有する物質を含むとされるCHO細胞抽出物を酵素源とした場合、上述したようにFuc−α−pNpとUDP−Glcとを反応させるとGlcβ1,3Fuc−α−pNpが生成することが報告されている(Moloney,D.J.ら、上述)。そこで、本発明のリコンビナントの全長Glc−Tによる反応生成物をクロロホルム:メタノール:CaCl(65:35:8)を展開溶媒に用いて薄層クロマトグラフィーで展開すると、CHO細胞抽出物による反応生成物と同じ位置に展開された。また、それぞれの反応生成物はTrichoderma sp.由来のexo−1,3−β−グルカナーゼおよびAlmond sp.由来のβ−グルコシダーゼ(データ示さず)により消化された。さらにCHO細胞にpcDNA3.1(+)(Invitrogen)に組み換えた全長Glc−Tをトランスフェクションし、トランスフェクタントの細胞抽出物を酵素源とした時には、CHO細胞抽出物による反応生成物と同じ位置の放射活性が増大していた(図1)。以上より、本発明の全長Glc−Tの反応生成物は、CHO細胞抽出物による反応生成物と同様にGlcβ1,3Fuc−α−pNpであると示唆された。
実施例3 ヒト組織でのGlc−Tの発現解析
ヒト正常組織のcDNAを用いて、定量的PCRにより該遺伝子の発現量を定量した。正常組織のcDNAは、クロンテック社の総RNAから逆転写を行ったものを使用し、株化細胞に関しては総RNAを抽出し、常法によりcDNAを作製し使用した。Glc−T遺伝子の定量的発現解析に使用したプライマーはGP−K14−F2(5’−gacacacagccctctcttcca−3’)(配列番号7)(配列番号2のヌクレオチド1305−1325に相当する)、GP−K14−R2(5’−tgggaacttgatgagaaaggtagtc−3’)(配列番号8)(配列番号2のヌクレオチド1378−1354に相当する)、プローブはGP−K14−P2(5’−aggctcggccggtggattacccta−3’)(配列番号9)(配列番号2のヌクレオチド1328−1351相当する)である。酵素及び反応液にはUniversal PCR Master Mixを使用し、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System(ともにアプライドバイオシステムズ社)により反応液量25μlで定量を行った。定量の標準遺伝子としてはグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)遺伝子を使用し、既知濃度の鋳型DNAにより定量の検量線を作成し該遺伝子の発現量の標準化を行った。また、Glc−Tの標準DNAとして、pFLAG−Glc−Tを用いた。反応温度は50℃2分、95℃10分の後、95℃15秒・60℃1分を50サイクル行った。結果を図2に示した。Glc−Tは精巣や子宮での発現が高かったが、調べた全ての組織で発現は確認できた。
実施例4 ノックアウトマウスの作製
ノックアウトマウスの作製のためのターゲットベクターは、酵素活性に必須であると予想されるDDD配列を含む第11エクソンとその隣の第10エクソンを含む2kbの領域をPCRで増幅し、図3のように2つのlox配列の間に組み入れた。creトランスジェニックマウスとの交配により、ノックアウトマウスではこの領域が欠失する事になる。相同組み替えのために、その両側のそれぞれ3.7kbと3kbの領域もPCRで増幅し、図3のようなベクターを構築した。このベクターには、他にトランスフェクタントのセレクションのためのDT3,Neo遺伝子をも含んでいる。このベクターをC57BL/6由来のES細胞にトランスフェクトし、組み換わったES細胞を用いてキメラマウスを作製することができる。cre−loxシステムで全身あるいは組織特異的、細胞特異的にノックアウトすることができる。
非還元末端にフコースを有する基質に対してグルコース残基を転移する十分な作用を有するGlc−Tを含む糖転移作用剤が提供され、これにより糖鎖、糖ペプチド、糖タンパク質等に効率よくグルコースを付加することが可能になる。
図1は、Glc−Tによる反応生成物の解析を示す。バンドはFuc−α−pNpに取り込まれた[14C]Glcの放射能活性を示す。各レーンの酵素源にはレーン1:mock(ネガティブコントロール、レーン2,3:リコンビナントGlc−T、レーン4,5:CHO細胞破砕抽出物、レーン6,7:Glc−TをトランスフェクトしたCHO細胞破砕抽出物を用いた。さらにレーン3,5,7は反応生成物をexo−β1,3glucanase処理を行った。 図2は、各種組織におけるGlc−T遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法により定量した結果を示すグラフである。縦軸はコントロールのグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)遺伝子の発現量に対するGlc−T遺伝子の相対比をあらわす。 図3は、ノックアウトマウスを作製するためのベクターの概略図を示す。酵素活性に必須であると予想されるDDD配列を含む第11エクソンとその隣の第10エクソンを含む2kbの領域をlox配列で挟んだ。組織特異的あるいは細胞特異的にcreが発現するcreトランスジェニックマウスとの交配により、この領域がノックアウトされる。

Claims (11)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、フコースにグルコースをβ1,3結合で転移する糖転移作用剤。
  2. 前記タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列と30%以上の相同性を有する、請求項1に記載の糖転移作用剤。
  3. 前記タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の糖転移作用剤。
  4. 前記タンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列においてアミノ酸残基1−28の全部又は一部が削除されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の糖転移作用剤。
  5. 前記タンパク質が、配列番号1におけるアミノ酸残基29−498のアミノ酸配列からなる、請求項4に記載の糖転移作用剤。
  6. 前記タンパク質が、下記の反応:
    フコース−R + グルコース−ヌクレオチド → グルコース−フコース−R + ヌクレオチド
    を触媒する活性を有し、ここで、Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、およびオルトメトキシフェニル基からなる群から選択される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の糖転移作用剤。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の糖転移作用剤を使用して、グルコース−フコース−R(ここで、Rは、セリン、スレオニン、糖鎖、ペプチド、タンパク質、ベンジル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基、およびオルトメトキシフェニル基からなる群から選択される)で示される構造を有する糖鎖を合成する方法。
  8. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸を含む、フコースにグルコースを転移する糖転移作用剤。
  9. 前記核酸が、配列番号2の塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項8に記載の糖転移作用剤。
  10. 前記核酸が、配列番号2の塩基配列のヌクレオチド85−1494を有する、請求項8又は9に記載の糖転移作用剤。
  11. 配列番号1に示されるアミノ酸配列、該アミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ酸配列に1若しくは複数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列において少なくとも30%の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質の遺伝子発現が、一部又は完全に抑制されていることを特徴とするノックアウト動物。
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