JP2007287623A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、電荷注入輸送層に対して、所定の間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明の有機EL素子の製造方法は、2つの実施態様に分けることができる。第1実施態様は、電荷注入輸送層に含まれる材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。第2実施態様は、電荷注入輸送層に撥液処理を施して撥液性を付与し、さらにエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性を変化させるものである。
以下、各実施態様について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法の第1実施態様は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
図1は、本実施態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図1(a)、電荷注入輸送層形成工程)。
本実施態様における電荷注入輸送層形成工程は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する工程である。
以下、電荷注入輸送層、電極層および基板について説明する。
本実施態様における電荷注入輸送層は、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。
以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層に分けて説明する。
本実施態様における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ注入する正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
第1の態様の正孔注入輸送層には、正孔注入輸送性を有する正孔注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とが用いられる。
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示されるケイ素化合物の1種もしくは2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましい。また、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。上記式で示されるケイ素化合物としては、具体的には、特開2000−249821公報に記載されているもの等を用いることができる。
第2の態様の正孔注入輸送層には、正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料が用いられる。
本実施態様における電子注入輸送層は、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ注入する電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
第1の態様の電子注入輸送層には、電子注入輸送性を有する電子注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とが用いられる。
上記の中でも、アルカリ土類金属のフッ化物が好ましい。アルカリ土類金属のフッ化物は、融点が高く耐熱性を向上させることができるからである。
第2の態様の電子注入輸送層には、電子注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料が用いられる。
本実施態様における電極層は、陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、電極層が陽極であることが好ましい。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、後述する濡れ性変化パターン形成工程にてエネルギーを基板側から照射する場合には、電極層は透明性を有することが好ましい。導電性および透明性を有する材料としては、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を好ましいものとして例示することができる。
また例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合には、電極層に透明性は要求されない。この場合、導電性を有する材料として、金属を用いることができ、具体的にはAu、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
本実施態様における基板は、電極層および電荷注入輸送層等を支持するものである。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、後述する濡れ性変化パターン形成工程にてエネルギーを基板側から照射する場合には、基板は透明であることが好ましい。透明な基板としては、例えば、石英、ガラス等を挙げることができる。
また例えば、図1(e)に示すEL素子においてトップエミッション型とする場合には、基板に透明性は要求されない。この場合、基板には、上記材料の他にも、アルミニウムおよびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を用いることができる。
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
以下、光触媒処理層基板、光触媒処理層基板および電荷注入輸送層の配置、エネルギー照射、ならびに濡れ性変化パターンについて説明する。
本発明においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成する際、電荷注入輸送層に光触媒の作用を及ぼすために、光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を用いる。この光触媒処理層基板を電荷注入輸送層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーをパターン状に照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成することができる。
本発明に用いられる光触媒処理層は、光触媒を含有するものである。光触媒処理層としては、光触媒処理層中の光触媒が電荷注入輸送層表面の濡れ性を変化させるような構成であれば特に限定されるものではない。光触媒処理層は、例えば、光触媒とバインダとから構成されるものであってもよく、光触媒単体で構成されるものであってもよい。光触媒のみからなる光触媒処理層の場合は、電荷注入輸送層表面の濡れ性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。また、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。
無定形チタニアは、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩を加水分解および脱水縮合する、あるいは、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解および脱水縮合することによって得ることができる。次いで、無定形チタニアを、400℃〜500℃で焼成することによってアナターゼ型チタニアに変性させ、600℃〜700℃で焼成することによってルチル型チタニアに変性させることができる。
光触媒処理層基板に用いられる基体は、後述するエネルギーの照射方向や、得られる有機EL素子の光の取り出し方向により透明性が適宜選択される。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子がトップエミッション型であり、かつ有機EL素子における基板または電極層が不透明である場合は、エネルギー照射方向は必然的に光触媒処理層基板側からとなる。また例えば、図1(b)に示すように光触媒処理層基板11に遮光部13がパターン状に形成されており、この遮光部13を用いてパターン状にエネルギー照射する場合も、光触媒処理層基板側からエネルギーを照射する必要がある。そのため、これらの場合には、基体は透明性を有する必要がある。
一方、例えば図1(e)に示す有機EL素子がボトムエミッション型である場合には、有機EL素子における基板側からエネルギーを照射することが可能である。そのため、この場合には、基体に透明性は要求されない。
本発明に用いられる光触媒処理層基板には、遮光部がパターン状に形成されていてもよい。パターン状の遮光部を有する光触媒処理層基板を用いた場合には、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。したがって、この場合には、威光触媒処理層基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることができ、また描画照射に必要な高価な装置も不要であることから、コスト的に有利となる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより、遮光部を形成することができる。このパターニング方法としては、一般的なパターニング方法を用いることができる。
また例えば、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターニングすることにより、遮光部を形成することもできる。樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、樹脂バインダとしては、感光性樹脂、あるいは、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。パターニング方法としては、フォトリソ法、印刷法等、一般的なパターニング方法を用いることができる。
樹脂バインダを用いた遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。
本発明において、上述したように基体上に遮光部がパターン状に形成され、その遮光部上に光触媒処理層が形成されている場合には、例えば図4に示すように、遮光部13と光触媒処理層14との間にプライマー層15が形成されていることが好ましい。
本実施態様においては、光触媒処理層基板を、電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。通常は、光触媒処理層基板の光触媒処理層と、電荷注入輸送層とを、電荷注入輸送層にエネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。
なお、間隙とは、光触媒処理層および電荷注入輸送層が接触している状態も含むものとする。
本実施態様においては、光触媒処理層と電荷注入輸送層とを所定の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成する。
また、パターン状にエネルギーを照射する方法としては、これらの光源を用い、フォトマスクを介してパターン照射する方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることもできる。
この際、光触媒処理層を加熱しながらエネルギー照射することが好ましい。感度を上昇させことができ、効率的に濡れ性を変化させることができるからである。具体的には、30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
例えば、光触媒処理層基板に遮光部が形成されており、光触媒処理層基板の基体が透明である場合は、光触媒処理層基板側からエネルギー照射が行なわれる。また、この場合、光触媒処理層上に遮光部が形成されており、この遮光部がスペーサとして機能する場合には、エネルギー照射方向は光触媒処理層基板側からであってもよく基板側からであってもよい。
また例えば、光触媒処理層がパターン状に形成されている場合には、エネルギー照射方向は、上述したように、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であってもよい。
同様に、上述したスペーサを用いる場合も、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、エネルギー照射方向はいかなる方向であっってもよい。
さらに例えば、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合、フォトマスクが配置された側が透明である必要がある。
本実施態様における濡れ性変化パターンは、電荷注入輸送層表面に形成されるものであり、エネルギー照射部分である親液性領域と、エネルギー未照射部分である撥液性領域とからなるものである。
本発明において、親液性領域とは、エネルギー照射部分であり、エネルギー照射により液体との接触角が低下する方向に変化した領域である。また、撥液性領域とは、エネルギー未照射部分であり、親液性領域よりも、液体に対する接触角が大きい領域をいう。
なお、液体との接触角の測定方法については、上記電荷注入輸送層の項に記載したものと同様である。
本実施態様における有機EL層形成工程は、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する工程である。
本実施態様においては、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターン上に発光層形成用塗工液を塗布することにより、親液性領域上にのみ発光層を形成することができる。この発光層形成用塗工液は、発光材料を溶剤に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。赤色、緑色および青色の三原色の発光層を形成する場合は、赤色、緑色および青色の各色発光層形成用塗工液が用いられる。
本実施態様においては、電荷注入輸送層上に均一な発光層を形成するために、上記発光層を形成する前に、電荷注入輸送層上に中間層を形成してもよい。
本実施態様においては、上記電荷注入輸送層形成工程前に、上記電極層がパターン状に形成された基板上の上記電極層のパターン間に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。
本実施態様においては、通常、上記有機EL層形成工程後、有機EL層上に対向電極層を形成する対向電極層形成工程が行われる。
本実施態様においては、発光層等の有機EL層を酸素および水蒸気の影響から保護するバリア層や、光取り出し効率を向上させる低屈折率層を、対向電極層上に形成する工程を行ってもよい。
本発明の有機EL素子の製造方法の第2実施態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子の製造方法の第1態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
図5は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図5(a)、電荷注入輸送層形成工程)。
次いで、電極層3、絶縁層4および電荷注入輸送層5が形成された基板2を反応室内に配置し、導入ガスとしてフッ素化合物31を反応室に流し、一方の電極32を基板2と接続し、他方の電極33を基板2と対向させ、電源34から電界を印加する(図5(b)、撥液処理工程)。このようにして、電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとしてプラズマを照射する。これにより、電荷注入輸送層中の有機物にフッ素が導入され、電荷注入輸送層の表面が撥液性となる。
本態様における電荷注入輸送層形成工程は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する工程である。
なお、電極層および基板については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、電荷注入輸送層について説明する。
本態様における電荷注入輸送層としては、正孔を発光層内へ安定に注入し輸送する正孔注入輸送層と、電子を発光層内へ安定に注入し輸送する電子注入輸送層とがある。一般的に、電極層が陽極となる場合が多く、この場合には電荷注入輸送層は正孔注入輸送層となる。
以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層に分けて説明する。
本態様における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ注入する正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
本態様における電子注入輸送層は、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ注入する電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
本態様における撥液処理工程は、電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、電荷注入輸送層表面を撥液性とする工程である。
また、プラズマの照射条件としては、照射装置等により適宜選択される。
本態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
本実施態様の有機EL素子の製造方法の第2態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成し、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
図6は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図6(a)、電荷注入輸送層形成工程)。次いで、電荷注入輸送層5上に濡れ性変化層8を形成する(図6(b)、撥液処理工程)。これにより、電荷注入輸送層5表面が撥液性となる。
本態様における撥液処理工程は、電荷注入輸送層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成し、電荷注入輸送層表面を撥液性とする工程である。
本態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
また、光触媒処理層基板、エネルギー照射、および濡れ性変化パターンについては、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
[実施例1]
(電極層および絶縁層の形成)
まず、ガラス基板上に、電極層として、ITO膜が、線幅80μm、スペース幅20μm、ピッチ100μmでパターン状に形成された基板を準備した。
次いで、上記基板上の全面に、ポジ型感光性材料(OFPR−800、東京応化社製)をスピンコーティング法により膜厚が1.5μmとなるように塗布し、絶縁膜を成膜した。次に、横幅70μm、縦幅70μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いて、露光を行い、アルカリ現像液(NMD−3、東京応化社製)により現像を行った。次に、250℃で30分間の加熱硬化処理を行い、電極層の開口部に絶縁層を形成した。
次に、ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水溶液(Baytron P CH-8000、スタルク社製)に、撥液性材料として、末端にフッ素を有するトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(TSL8257、GE東芝シリコーン社製)をイソプロピルアルコールで希釈したものを混合して、正孔注入層形成用塗工液を調製した。この正孔注入層形成用塗工液をスピンコート法により上記基板上に乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、正孔注入層を形成した。
次に、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを準備した。このフォトマスク上に、下記組成の光触媒処理層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃で10分間の加熱乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST-K01) 2質量部
・オルガノアルコキシシラン(東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(トーケムプロダクツ(株)製、MF-160E) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 3質量部
次に、高圧水銀灯と、光触媒処理層基板および基板の位置調整機構とを備える紫外線露光装置を用い、光触媒処理層基板の開口部と上記基板の電極層のパターンとの位置を調整した。そして、光触媒処理層基板の光触媒処理層と正孔注入層との間の距離が20μmとなるように調整した後、光触媒処理層基板の裏面側から、253nmの光の露光量が200mJ/cm2となるように露光した。
正孔注入層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
次に、下記組成の各色発光層形成用塗工液を調製した。
<赤色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・ナイルレッド 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<緑色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・クマリン6 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<青色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・ペリレン 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
発光層が形成された基板上に、対向電極層として、真空蒸着装置により、Caを1000Å、Alを2000Å成膜した。
電極層側を正極、対向電極層側を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査した。
実施例1において、光触媒処理層基板の調製および濡れ性変化パターンの形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
石英基板上に、実施例1と同様の光触媒層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃で10分間の加熱乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
次に、光触媒処理層基板の光触媒処理層と正孔注入層との間の距離が20μmとなるように調整した後、基板の裏面側から高圧水銀灯を用いて、253nmの光の露光量が300mJ/cm2となるように露光した。
正孔注入層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
実施例1において、正孔注入層の形成、濡れ性変化層の形成および濡れ性変化パターンの形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水溶液(Baytron P CH-8000、スタルク社製)に、グリシド基(−CHOCH2)を有するγ−グリシドキシトリメトキシシラン(TSL8350、東芝シリコーン社製)を混合し、正孔注入層形成用塗工液を調製した。この際、γ−グリシドキシトリメトキシシランを、PEDOT/PSSの水溶液の固形分に対して、10%の割合で添加した。
次に、絶縁層が形成された基板上に正孔注入層形成用塗工液をスピンコート法により乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、150℃で15分間の加熱乾燥処理を行い、正孔注入層を形成した。
末端にフッ素を有するトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(TSL8257、GE東芝シリコーン社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により上記正孔注入層上に乾燥後の膜厚が10nmとなるように塗布し、乾燥させ、濡れ性変化層を形成した。
光触媒処理層基板の光触媒処理層と濡れ性変化層との間の距離が20μmとなるように調整した後、基板の裏面側から高圧水銀灯を用いて、253nmの光の露光量が300mJ/cm2となるように露光した。
濡れ性変化層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例3と同様にして、有機EL素子を作製した。
実施例1において、濡れ性変化パターン形成の前に、下記のようにして正孔注入層の撥液処理を行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
正孔注入層表面を、フッ化炭素(CF4)を導入ガスとしてプラズマ処理をすることで撥液性とした。この際、CF4を用いて、ガス流量:90〜900SCCM、パワー:0.1W/cm2〜1.0W/cm2、圧力:1Torr以下の条件で、60秒〜3600秒、プラズマ処理を行った。これにより、正孔注入層の表面エネルギーを低下させた。
実施例1〜4および比較例1〜3における濡れ性の評価、発光層の観察結果、発光状態を下記表1に示す。
3 … 電極層
4 … 絶縁層
5 … 電荷注入輸送層
6 … 有機EL層
7 … 対向電極層
8 … 濡れ性変化層
11 … 光触媒処理層基板
12 … 基体
13 … 遮光部
14 … 光触媒処理層
21 … 親液性領域
22 … 撥液性領域
Claims (8)
- 電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、
基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、前記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、前記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
前記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 前記撥液性官能基を有する材料が撥液性材料であり、前記電荷注入輸送層が、さらに電荷注入輸送性を有する電荷注入輸送性材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記撥液性官能基を有する材料が、電荷注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記撥液性官能基がフッ素を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、
前記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、
基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、前記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、前記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
前記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 前記撥液処理工程が、前記電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射する工程であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記電荷注入輸送層形成工程前に、前記電極層がパターン状に形成された基板上の前記電極層のパターン間に、前記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギー線を反射または吸収する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行うことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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