JP2007305496A - Rf線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造 - Google Patents

Rf線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造 Download PDF

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孝道 青木
Shuichi Uegakito
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Abstract

【課題】空洞共振器内における加速ギャップであるドリフトチューブ間に発生する電圧のばらつきを抑制して当該電圧をほぼ一定にし、荷電粒子ビームの加速効率を向上する。
【解決手段】複数のドリフトチューブのうちの第1のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して上記空洞共振器の内周壁に配設された第1の支持体により、上記空洞共振器の内壁に片持ち支持され、上記第1のドリフトチューブと隣り合う第2のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交するとともに上記第1の支持体に対して垂直な方向に延長し上記第2のドリフトチューブを間に挟んで同一直線上に延長して位置する第2の支持体により、上記空洞共振器の内周壁に両側から支持されるようにした。
【選択図】 図5

Description

本発明は、RF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造に関し、さらに詳細には、空洞共振器内に高周波電力を導入し、空洞共振器内の中心軸上に間隔をおいて配設された複数の筒状電極であるドリフトチューブ間に形成される高周波の定在波または進行波が作る電場を利用して荷電粒子ビームを加速する方式のRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造に関する。
従来より、イオンや陽子を加速するための装置として、一般にRF線形加速器が知られている。
こうしたRF線形加速器は、加速管として内部が空洞の円筒形状体を備えた空洞共振器を用いており、この空洞共振器の中心軸上に円筒形状の筒状電極であるドリフトチューブを複数個並べて配置した構成を備えている。
上記したRF線形加速器において、空洞共振器を共振させると、中心軸方向に高周波電場が生じることになり、この中心軸に沿って、例えば、イオンビームを通過させると、イオンは高周波電場により加速されることになる。

ここで、図1(a)(b)には、従来より知られたRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の一例が示されており、図1(a)は図1(b)のIA−IA線による断面図であり、一方、図1(b)は図1(a)のIB−IB線による断面図である。
なお、本明細書においては、各図において同一あるいは相当する構成についてはそれぞれ共通の符号を付して示すものとし、重複する構成ならびに作用の説明については適宜に省略する。また。各図における各構成の寸法については、各図に図示した縮尺に従うものとする。
図1(a)(b)に示す空洞共振器10は、その中心軸O−O方向に沿って位置する両方の端面12a、12cの一部に孔12b、12dをそれぞれ設けて開口させた銅製の略円筒形状体(この空洞共振器10においては、円筒形状体の内部の半径を40cmとし、長さを100cmとした。)よりなり、後述するドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5、高周波電力源(図示せず。)および荷電粒子ビーム源(図示せず。)とともにRF線形加速器を構成する。
こうした空洞共振器10は、高周波電力源により供給される電力を導入可能であるように配置されており、また、荷電粒子ビーム源により供給される荷電粒子ビームが空洞共振器10の中心軸O−O上に入射されるように配置されている。即ち、空洞共振器10と荷電粒子ビーム源とは、空洞共振器10の中心軸O−Oと荷電粒子ビーム源の中心軸とが同一直線上に並ぶように配置されている。
なお、図1においては空洞共振器10の中心軸O−Oと荷電粒子ビーム源の中心軸とが同一直線上に並ぶ例を示しているが、一般的に空洞共振器と荷電粒子ビーム源との間に偏向磁石が配設されることがしばしばあり、空洞共振器中心軸と荷電粒子ビーム源の中心軸とが同一直線上に配置されない場合もある。

空洞共振器10の端面12aには、その中心に孔12bが穿設されており、孔12bの中心と中心軸O−Oとが一致するように配置されている。
そして、端面12aにおける空洞共振器10内部側には、円筒形状の筒状電極であるドリフトチューブ14−1が、その開口部位と孔12bとが連通するようにして配設されている。より詳細には、孔12bの中心とドリフトチューブ14−1の中心軸とが一致するように配置されており、従って、ドリフトチューブ14−1の中心軸は中心軸O−Oに一致する。
さらに、空洞共振器10内部側には、ドリフトチューブ14−1と同様にその中心軸を中心軸O−Oに一致させて、ドリフトチューブ14−1より所定の距離(この空洞共振器10においては、約12.5cmとした。)だけ離れた位置にドリフトチューブ14−2が配設されている。このドリフトチューブ14−2は、図1(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体16aによって支持されている。
さらにまた、空洞共振器10内部側には、ドリフトチューブ14−1、14−2と同様にその中心軸を中心軸O−Oに一致させて、ドリフトチューブ14−2より所定の距離(この空洞共振器10においては、約12.5cmとした。)だけ離れた位置にドリフトチューブ14−3が配設されている。このドリフトチューブ14−3は、図1(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の下部に配設されたY軸方向に平行な支持体16bによって支持されている。
また、空洞共振器10内部側には、ドリフトチューブ14−1、14−2、14−3と同様にその中心軸を中心軸O−Oに一致させて、ドリフトチューブ14−3より所定の距離(この空洞共振器10においては、約12.5cmとした。)だけ離れたところにドリフトチューブ14−4が配設されている。このドリフトチューブ14−4は、ドリフトチューブ14−2と同様に、図1(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体16cによって支持されている。
そして、端面12cにおける空洞共振器10内部側には、ドリフトチューブ14−4より所定の距離(この空洞共振器10においては、約12.5cmとした。)だけ離れた位置に、ドリフトチューブ14−5がその開口部位と孔12dとが連通するようにして配設されている。より詳細には、孔12dの中心とドリフトチューブ14−5の中心軸とが一致するように配置されており、従って、ドリフトチューブ14−5の中心軸は中心軸O−Oに一致する。
即ち、この空洞共振器10内において、ドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5は、その中心軸を中心軸O−Oに一致させて同一直線上に所定の間隔を開けて配置されており、また、ドリフトチューブ14−2、14−3、14−4は、交互に180度位相を異にした位置関係にある支持体16a、16b、16cによって、空洞共振器10の内周壁にそれぞれ支持されている。つまり、A矢視においては、図1(b)に示すように、空洞共振器10の中心軸O−O上に配置されたドリフトチューブ14−2、14−3、14−4を支持する支持体16a、16b、16cが、ドリフトチューブ14−2、14−3、14−4を間に挟んで同一直線上に位置することになる。
以上の構成において、上記した支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作について説明すると、まず、高周波電力源によって所定の周波数(例えば、110MHzである。)の電力を空洞共振器10へ供給して、ドリフトチューブ間14a、14b、14c、14d(ドリフトチューブ間14a、14b、14c、14dの距離は、それぞれ約12.5cmである。)のそれぞれに電場を発生させ、その状態を維持する。
次に、荷電粒子ビーム源より荷電粒子ビームを発生させ、その荷電粒子ビームを空洞共振器10へ供給する。即ち、荷電粒子ビーム源より出射された荷電粒子ビームを、空洞共振器10の端面12aに形成された孔12bから空洞共振器10内へ入射し、ドリフトチューブ14−1を通過させる。ドリフトチューブ14−1を通過してドリフトチューブ14−1から飛び出した荷電粒子ビームは、ドリフトチューブ間14aを通過する間に空洞共振器10にかけられた電圧を受けて加速され、ドリフトチューブ14−2に入射する。
同様に、ドリフトチューブ14−2を通過してドリフトチューブ14−2から飛び出した荷電粒子ビームは、ドリフトチューブ間14bを通過する間に空洞共振器10にかけられた電圧を受けてさらに加速され、ドリフトチューブ14−3に入射する。
そして、ドリフトチューブ14−3を通過してドリフトチューブ14−3から飛び出した荷電粒子ビームは、ドリフトチューブ間14cを通過する間に空洞共振器10にかけられた電圧を受けてさらに加速され、ドリフトチューブ14−4に入射する。
次に、ドリフトチューブ14−4を通過してドリフトチューブ14−4から飛び出した荷電粒子ビームは、ドリフトチューブ間14dを通過する間に空洞共振器10にかけられた電圧を受けてさらに加速され、ドリフトチューブ14−5に入射して、空洞共振器10の端面12cに形成された孔12dから空洞共振器10の外部へ出射することになる。
このようにして、空洞共振器10内に荷電粒子ビームを通過させることにより、空洞共振器10に入射したときの荷電粒子ビームよりも加速された荷電粒子ビームが得られる。

次に、図2(a)(b)には、従来より知られたRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の他の例が示されており、図2(a)は図2(b)のIIA−IIA線による断面図であり、一方、図2(b)は図2(a)のIIB−IIB線による断面図である。
なお、この図2(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造と図1(a)(b)に示した空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造とは、空洞共振器10の内周壁へドリフトチューブ14−2、14−3、14−4を支持する支持体の取り付け位置のみが異なる。
即ち、ドリフトチューブ14−2は、図2(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体26aと図2(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の下部に配設されたY軸方向に平行な支持体26aとによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−2は、図2(a)(b)において、その上下方向から空洞共振器10の内周壁に支持体26aにより支持されている。
従って、B矢視においては、図2(b)に示すように、空洞共振器10の中心軸O−O上に配置されたドリフトチューブ14−2を支持する支持体26aが、ドリフトチューブ14−2を間に挟んで同一直線上に位置することになる。
次に、ドリフトチューブ14−3は、図2(b)において空洞共振器10の内周壁の左部に配設されたZ軸方向に平行、即ち、支持体26aに対して垂直な支持体26bと図2(b)において空洞共振器10の内周壁の右部に配設されたZ軸方向に平行、即ち、支持体26aに対して垂直な支持体26bとによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−3は、図2(b)において、その左右方向から空洞共振器10の内周壁に支持体26bにより支持されている。
従って、B矢視においては、図2(b)に示すように、空洞共振器10の中心軸O−O上に配置されたドリフトチューブ14−3を支持する支持体26bが、ドリフトチューブ14−3を間に挟んで同一直線上に位置することになる。
次に、ドリフトチューブ14−4は、ドリフトチューブ14−2と同様な構造により空洞共振器10の内周壁に支持されている。より詳細には、ドリフトチューブ14−4は、図2(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体26cと図2(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の下部に配設されたY軸方向に平行な支持体26cとによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−4は、図2(a)(b)において、その上下方向から空洞共振器10の内周壁に支持体26cにより支持されている。
従って、B矢視においては、図2(b)に示すように、空洞共振器10の中心軸O−O上に配置されたドリフトチューブ14−4を支持する支持体26cが、ドリフトチューブ14−4を間に挟んで同一直線上に位置することになる。
なお、図2(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作については、上記した図1(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作と同様であるため、その説明については省略することとする。

また、図3には図1(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10内部に誘起される高周波電場(周波数は、110MHzとした。)の様子が示されており、また、図4には図2(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10内部に誘起される高周波電場の様子が示されている。なお、これら図3および図4に示した高周波電場は、電磁場シミュレーションのソフトウェア「MAFIA」で算出したシミュレーション結果を示すものである。

ところで、上記した図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10においては、ドリフトチューブ間14a、14b、14c、14dでそれぞれ発生する電圧が等しくないという問題点があった。
具体的には、空洞共振器10の中央に配置されるドリフトチューブ14−3の両端に発生するRF電圧が、ドリフトチューブ14−2と空洞共振器10の内周壁との間に発生するRF電圧やドリフトチューブ14−4と空洞共振器10の内周壁との間に発生するRF電圧に比べ、2倍程度あるいはそれ以上に高くなるという問題点があった。
従って、従来の上記した図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10を備えたRF線形加速器においては、要求される加速電圧が高い場合には、ドリフトチューブ14−3両端の電場の放電限界で加速電圧が決まってしまっていた。
このため、ドリフトチューブ14−3両端の加速電圧を1とすれば、加速ギャップたるドリフトチューブ間が14a、14b、14c、14dの4箇所あるにもかかわらず、全体の加速電圧は3程度あるいはそれ以下にならざるを得ず、荷電粒子ビームの加速効率に劣るものであった。

また、こうしたドリフトチューブ間に発生する電圧が一定ではないという問題点は、多数のドリフトチューブを並べたような長い構造を有する空洞共振器においても見られ、空洞共振器内における端面に近いドリフトチューブ間に発生する電圧は、空洞共振器内における中心部に近いドリフトチューブ間に発生する電圧よりも低いという傾向が指摘されていた。
このような空洞共振器内における電圧の分布は、空洞共振器内に発生する高周波電磁場の大域的な特徴によって決定され、図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示す従来のドリフトチューブの支持構造によってでは、空洞共振器内における電圧の分布を自由に変えるのが困難であるという問題点があった。

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空洞共振器内における加速ギャップであるドリフトチューブ間に発生する電圧のばらつきを抑制して当該電圧をほぼ一定にし、荷電粒子ビームの加速効率を向上したRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造を提供しようとするものである。
また、本発明の目的とするところは、空洞共振器内における加速ギャップであるドリフトチューブ間に発生する電圧を自由に変化することを可能にして、空洞共振器内において複雑な電圧分布を実現することができるようにしたRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、RF線形加速器の空洞共振器内部に配設する複数のドリフトチューブを支持する支持体の配置を改良したものである。
こうした本発明によれば、ドリフトチューブ間に発生する電圧のばらつきを抑制して当該電圧をほぼ一定にすることができ、荷電粒子ビームの加速効率を向上することができる。
また、こうした本発明によれば、ドリフトチューブ間に発生する電圧を比較的自由に変えることが可能となるので、空洞共振器内において複雑な電圧分布を実現することができるようになる。

即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、空洞共振器内に高周波電力を導入し、上記空洞共振器内で中心軸上に沿って直線状に間隔をおいて支持された複数のドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、複数のドリフトチューブのうちの第1のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して上記空洞共振器の内周壁に配設された第1の支持体により、上記空洞共振器の内壁に片持ち支持され、上記第1のドリフトチューブと隣り合う第2のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交するとともに上記第1の支持体に対して垂直な方向に延長し上記第2のドリフトチューブを間に挟んで同一直線上に延長して位置する第2の支持体により、上記空洞共振器の内周壁に両側から支持されるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、空洞共振器内に高周波電力を導入し、上記空洞共振器内で中心軸上に沿って直線状に間隔をおいて支持された複数のドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、複数のドリフトチューブのうちの第1のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して上記空洞共振器の内周壁に配設された第1の支持体により、上記空洞共振器の内壁に片持ち支持され、上記第1のドリフトチューブと隣り合う第2のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交するとともに上記第1の支持体に対して所定の角度で傾斜し上記第2のドリフトチューブを間に挟んで延長して位置する第2の支持体により、上記空洞共振器の内周壁に両側から支持されるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記所定の角度は任意に設定可能であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項3に記載の発明において、上記所定の角度は0度乃至80度であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の発明において、上記第1の支持体は、複数の第1のドリフトチューブを支持し、上記複数の第1のドリフトチューブで共用化されるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、所定のドリフトチューブ配置を繰り返すように構成した空洞共振器内に高周波電力を導入し、上記ドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、ドリフトチューブ配置における所定数毎のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して上記所定数毎のドリフトチューブを間に挟んで同一直線上に延長して位置する支持体により、上記空洞共振器の内周壁に両側から支持されるようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、空洞共振器内における加速ギャップであるドリフトチューブ間に発生する電圧のばらつきを抑制して当該電圧をほぼ一定にすることができ、そのため荷電粒子ビームの加速効率を向上することができるようになり、結果として荷電粒子ビームを加速するために必要とされる空洞共振器の数を著しく低減することが可能となるという優れた効果を奏する。
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、空洞共振器内における加速ギャップであるドリフトチューブ間に発生する電圧を自由に変化することが可能になり、空洞共振器内において複雑な電圧分布を実現することができるようになるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。

まず、図5(a)(b)には、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第1の実施の形態が示されており、図5(a)は図5(b)のVA−VA線による断面図であり、一方、図5(b)は図5(a)のVB−VB線による断面図である。
なお、この図5(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造と図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示した空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造とは、空洞共振器10の内周壁へドリフトチューブ14−2、14−3、14−4を支持する支持体の取り付け位置のみが異なる。
即ち、ドリフトチューブ14−2は、図5(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行に延長する支持体160aによって片持ち支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−2は、図5(a)(b)において、その上方向から空洞共振器10の内周壁に支持体160aにより支持されている。
次に、ドリフトチューブ14−3は、図5(b)において空洞共振器10の内周壁の左部に配設されたZ軸方向に平行、即ち、支持体160aに対して垂直な方向に延長する支持体160bと図5(b)において空洞共振器10の内周壁の右部に配設されたZ軸方向に平行、即ち、支持体160aに対して垂直な方向に延長する支持体160bとによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−3は、図5(b)において、その左右方向の両側から空洞共振器10の内周壁に支持体160bにより支持されている。
従って、C矢視においては、図5(b)に示すように、空洞共振器10の中心軸O−O上に配置されたドリフトチューブ14−3を支持する支持体160bが、ドリフトチューブ14−3を間に挟んで同一直線上に延長して位置することになる。
次に、ドリフトチューブ14−4は、ドリフトチューブ14−2と同様な構造により空洞共振器10の内周壁に支持されている。より詳細には、ドリフトチューブ14−4は、図5(a)(b)において空洞共振器10の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行に延長する支持体160cによって片持ち支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−4は、図5(a)(b)において、その上方向から空洞共振器10の内周壁に支持体160cにより支持されている。
なお、図5(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作については、上記した図1(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作と同様であるため、その説明については省略することとする。

次に、図6には図5(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10内部に誘起される高周波電場(周波数は、110MHzとした。)の様子が示されている。なお、この図6に示した高周波電場は、電磁場シミュレーションのソフトウェア「MAFIA」で算出したシミュレーション結果を示すものである。
この図6と図3あるいは図4とを比較すると、図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示した従来のドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10においては、高周波電場が空洞共振器10の中心部に存在するドリフトチューブ間14b、14cに多く存在しているのに対して、図5(a)(b)に示した本発明によるドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10においては、空洞共振器10内に高周波電場が均一に存在し、各ドリフトチューブ14a、14b、14c、14d間に存在している電場に偏りが少ない。

次に、図7(a)(b)には、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第2の実施の形態が示されており、図7(a)は図7(b)のVIIIA−VIIIA線による断面図であり、一方、図7(b)は図7(a)のVIIIB−VIIIB線による断面図である。
なお、この図7(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造と図5(a)(b)に示した空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造とは、空洞共振器10の内周壁へドリフトチューブ14−2、14−4を支持する支持体の取り付け構造のみが異なる。
この図7(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造においては、空洞共振器10の上部内周壁の中央に支持体260aが配設されており、ドリフトチューブ14−2、14−4は共通の支持体260aにより支持されている。
より詳細には、この支持体260aは、D矢視において略Λ字形状を備えていて、上部分が空洞共振器10の内周壁に取り付けられている。
一方、上部260aaから2又に分岐された一方の分岐部260ab−1はドリフトチューブ14−2に取り付けられて、中心軸O−O上にドリフトチューブ14−2を支持している。同様に、上部260aaから2又に分岐された他方の分岐部260ab−2はドリフトチューブ14−4に取り付けられて、中心軸O−O上にドリフトチューブ14−4を支持している。
上記のようにして、空洞共振器10内部に配設された2つのドリフトチューブ14−2および14−4は、同一の支持体260aを共用化して空洞共振器10内の中心軸O−O上に支持されている。
なお、図7(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作については、上記した図1(a)(b)に示す支持構造によりドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を内部に支持した空洞共振器10を備えたRF線形加速器を用いて荷電粒子を加速する際の動作と同様であるため、その説明については省略することとする。

次に、図8には図7(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10内部に誘起される高周波電場(周波数は、110MHzとした。)の様子が示されている。なお、この図8に示した高周波電場は、電磁場シミュレーションのソフトウェア「MAFIA」で算出したシミュレーション結果を示すものである。
この図8と図3あるいは図4とを比較すると、図5(a)(b)に示すドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10内部に誘起される高周波電場の様子を示す図6の場合と同様に、図1(a)(b)あるいは図2(a)(b)に示した従来のドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10においては、高周波電場が空洞共振器10の中心部に存在するドリフトチューブ間14b、14cに多く存在しているのに対して、図7(a)(b)に示した本発明によるドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器10においては、空洞共振器10内に高周波電場が均一に存在し、各ドリフトチューブ14a、14b、14c、14d間に存在している電場に偏りが少ない。
従って、図7(a)(b)に示すドリフトチューブの支持構造は、図5(a)(b)に示すドリフトチューブの支持構造と同様に、ドリフトチューブ間における電圧の比を均一にして電圧分布をほぼ一定にすることが可能である。従って、全てのドリフトチューブ間に放電限界の電圧を発生させることができ、加速効率を上げることができる。

ここで、図9には、図7(a)(b)に示した本発明によるドリフトチューブの支持構造(本発明技術)のシミュレーション結果である図8に示した電場の状態の時の条件で得られた数値を示した。その数値としては、RF線形加速器の性能を示すシャントインピーダンスと、エネルギー損失の大小を示すパラメータであるQ値と、空洞共振器内部の電圧の比とを示している。なお、ここでシャントインピーダンスは、ドリフトチューブ間に発生する電圧の和の2乗を、消費電力の2倍で割ったものとして定義している。

また、図9においては、図7(a)(b)に示す本発明によるドリフトチューブの支持構造と図1(a)(b)ならびに図2(a)(b)に示す従来のドリフトチューブの支持構造とを比較するために、図8に示した電場の状態の時の条件で得られた数値ととともに、図1(a)(b)に示す従来のドリフトチューブの支持構造(第1の従来技術)のシミュレーション結果である図3に示した電場の状態の時の条件で得られた数値と、図2(a)(b)に示す従来のドリフトチューブの支持構造(第2の従来技術)のシミュレーション結果である図4に示した電場の状態の時の条件で得られた数値とを示した。
この図9の図表を参照すると、第1の従来技術と第2の従来技術とにおいては、両者の電圧の比は同じ値であるが、RF線形加速器としての効率は第1の従来技術の方が上回っている。また、第1の従来技術は、本発明技術よりもRF線形加速器として効率がよい値を示しているが、電圧の比は2.43と幅があるため放電限界にしたとき加速電圧が低くなってしまう。
一方、本発明技術は、電圧の比が1.24と低いため、ドリフトチューブ間14a、14b、14c、14dの電圧の分布のばらつきを抑えて一定に保つことが可能となり、放電限界にしたとき加速電圧の低下を防止することができるようになる。
従って、本発明技術は、第1の従来技術ならびに第2の従来技術と比較すると、空洞共振器10内の電圧の分布をより平準化することが可能であり、その様子は図8に示された高周波電場の状態図にも示されている。
こうした図5(a)(b)に示す本発明によるドリフトチューブの支持構造によれば、ドリフトチューブ間に発生する電圧を比較的自由に変えることができ、例えば、電圧分布をほぼ一定にすることが可能である。従って、全てのドリフトチューブ間に放電限界の電圧を発生させることができ、加速効率を上げることができる。

次に、図10(a)(b)には、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第3の実施の形態が示されており、図10(a)は図10(b)のXA−XA線による断面図であり、一方、図10(b)は図10(a)のXB−XB線による断面図である。
なお、この図10(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造と図7(a)(b)に示した空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造とは、空洞共振器10の内周壁へドリフトチューブ14−3を支持する支持体の取り付け構造のみが異なる。
この図10(a)(b)に示す空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造においては、空洞共振器10の内周壁と係合するとともにドリフトチューブ14−3と係合して、空洞共振器10内の中心軸O−O上にドリフトチューブ14−3を支持する支持体360bを備えている。この支持体360bは、空洞共振器10の内周壁への設置角度(設置角度とは、本明細書においては支持体360bのZ軸からの回転角αを意味するものとする。)を任意に設定することができるようになされている。
より詳細には、ドリフトチューブ14−3は、図10(b)において空洞共振器10の内周壁の左部に配設された支持体360bと図10(b)において空洞共振器10の内周壁の右部に配設された支持体360bとによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ14−3は、図10(b)において、その左右方向から空洞共振器10の内周壁に支持体360bにより支持されている。
そして、これら一対の支持体360bは、空洞共振器10の内周壁への設置角度を任意に設定することができるように構成されている。換言すれば、一対の支持体360bは、支持体260aに対して所定の角度をもって傾斜して配置可能となされている。
ここで、支持体360bの空洞共振器10の内周壁への設置角度は、Z軸方向に沿った状態(図10(a)(b)における水平方向に平行な状態)である「α=0(度)」から「α=80(度)」まで変化することができる。
この支持体360bの設置角度、即ち、回転角αを変化させることにより、空洞共振器10内部の電圧の分布を変化することができる。
ここで、図11には、支持体360bの設置角度、即ち、回転角αを変化させた場合におけるシミュレーション結果が示されている。なお、このシミュレーション結果は、電磁場シミュレーションのソフトウェア「MAFIA」で算出したものであり、図11においては、支持体360bの設置角度、即ち、回転角αの変化毎に、空洞共振器内部の電圧の比、周波数、Q値およびシャントインピーダンスの値が示されている。
図11を参照すると、支持体360bの設置角度(回転角α)を変化させると、その変化に伴って電圧の比と周波数とQ値とシャントインピーダンスとがそれぞれ変化する。
従って、この図11に示すような数値を計算した図表を作成し、所望の周波数および所望の電圧の比から支持体360bの設置角度(回転角α)を選択することにより、所望の条件で加速するRF線形加速器を得ることが可能になる。即ち、支持体360bの設置角度(回転角α)を変化させることにより、ドリフトチューブ間に発生する電圧を自由に変化することが可能になる。
上記において説明したように、本発明の第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造を用いると、ドリフトチューブ間における電圧の比を空洞共振器内で一定に近い値にすることが可能である。

ところで、所定のドリフトチューブ配置を繰り返すように構成した空洞共振器が知られている。このような空洞共振器においても、本発明によれば以下に説明するように、ドリフトチューブ間における電圧の比のばらつきを抑えて平準化することが可能になる。
即ち、図12(a)には、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第4の実施の形態が示されており、この第4の実施の形態においては、空洞共振器400内に、図8(a)(b)に示す本発明の第2の実施の形態によるドリフトチューブ配置が2組設けられている。
空洞共振器400においては、図12(a)において左方に位置する一方の組のドリフトチューブ配置におけるドリフトチューブ14−5と図12(a)において右方に位置する他方の組のドリフトチューブ配置におけるドリフトチューブ14−1とを構成するドリフトチューブ402が、支持体404により支持されている。
より詳細には、ドリフトチューブ402は、図12(a)において空洞共振器400の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体404と図12(a)において空洞共振器400の内周壁の下部に配設されたY軸方向に平行な支持体404とによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ402は、図12(a)において、その上下方向から空洞共振器400の内周壁に支持体404により支持されている。
上記のようにしてドリフトチューブ402を支持した空洞共振器400を用いて、周波数106.69MHzの高周波電力により荷電粒子ビームを加速する場合に空洞共振器400内部に形成される高周波電場の様子が、図12(b)に示されている。
図12(b)に示されているように、空洞共振器400内における各ドリフトチューブ間における電場はほぼ均一になっている。
また、図14(a)には、計算で得られた空洞共振器400の各ドリフトチューブ間における電圧の値が示されている。この図14(a)からも、空洞共振器400内におけるドリフトチューブ間における電圧の値はほぼ一定であることがわかる。
このように、本発明の第4の実施の形態によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造を用いると、所定のドリフトチューブ配置を繰り返すように構成した空洞共振器内部のドリフトチューブ間の電圧をほぼ一定にすることができ、荷電粒子ビームの加速効率を高めることが可能になり、結果として使用する空洞共振器の数を減らすことができる。

なお、図9の図表に示す値に基づいて、ドリフトチューブ間に最大500kVの電圧を発生させたときに空洞共振器1台で発生する加速電圧の計算を行うと、図5および図6に示す本発明の第1の実施の形態によるドリフトチューブの支持構造においては、ドリフトチューブ間14b、14cに発生する電圧を500kVとすることができた。この場合に、ドリフトチューブ14−2あるいはドリフトチューブ14−4と空洞共振器10の内周壁との間に発生する電圧は、500/1.24=400kVとなる。
従って、空洞共振器1台あたり「(500+400)×2=1800(kV)」の加速電圧が得られることになる。
一方、図3ならびに図4にシミュレーション結果を示す従来の技術によるドリフトチューブの支持構造を用いて上記と同じ計算を行うと、空洞共振器1台あたりの加速電圧はいずれも1400kVと算出される。
このように、本発明によるドリフトチューブの支持構造を用いると、従来の技術によるドリフトチューブの支持構造を用いる場合よりも高い加速電圧を得ることができ、空洞共振器の数を減らすことが可能になる。
なお、本発明によるドリフトチューブの支持構造は、例えば、超伝導体で構成されたRF線形加速器に適用すると極めて有効である。
即ち、超伝導を利用したRF線形加速器は、放電限界まで電圧を上げて使用されることが多いが、本発明によるドリフトチューブの支持構造を用いると、上記したようにドリフトチューブ間の全ての加速ギャップに放電限界の電圧を発生させることができるため、加速効率を上がることができるようになる。
また、近年のRF線形加速器では、ドリフトチューブ間の電圧分布を変えて設計されるものも多いが、このような場合にも本発明によるドリフトチューブの支持構造を利用することにより設計の裕度を広げることができる。

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(6)に示すように変形することができるものである。
(1)上記した実施の形態においては、5つのドリフトチューブ14−1、14−2、14−3、14−4、14−5を用いたが、ドリフトチューブの数は5つに限られるものではなく、設計に応じて適宜の数を選択することができる。ドリフトチューブの数を適宜に設定した場合には、隣り合うドリフトチューブを支持する支持構造が、それぞれ上記した実施の形態において示した支持構造となるようにすればよい。
(2)上記した実施の形態においては、支持体260aの形状を略Λ字形状としたが、これに限られるものではないことは勿論であり、略コ字形状のものを用いるようにしてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、空洞共振器400内におけるドリフトチューブ配置として、5つのドリフトチューブよりなる図7(a)(b)に示す本発明の第2の実施の形態によるドリフトチューブ配置をその単位構造として用いたが、これに限られるものではないことは勿論であり、設計に応じて適宜の数のドリフトチューブよりなるドリフトチューブ配置をその単位構造として選択することができる。例えば、ドリフトチューブ配置の単位構造は、図13(a)に示すように3つのドリフトチューブよりなるものでもよい。
即ち、図13(a)には、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第5の実施の形態が示されており、この図13(a)に示した空洞共振器500は、ドリフトチューブ配置の単位構造として、ドリフトチューブ502−1、502−2、502−3の3つのドリフトチューブを備えており、これらドリフトチューブ502−1、502−2、502−3よりなる単位構造を4つ備えている。
空洞共振器500においては、図13(a)において単位構造の右方に位置するドリフトチューブ502−3と図13(a)において単位構造の左方に位置するドリフトチューブ502−1とを構成するドリフトチューブ504が、支持体506により支持されている。
より詳細には、ドリフトチューブ504は、図13(a)において空洞共振器500の内周壁の上部に配設されたY軸方向に平行な支持体506と図13(a)において空洞共振器500の内周壁の下部に配設されたY軸方向に平行な支持体506とによって支持されている。即ち、ドリフトチューブ504は、図13(a)において、その上下方向から空洞共振器500の内周壁に支持体506により支持されている。
上記のようにしてドリフトチューブ504を支持した空洞共振器500を用いて、周波数122.47MHzの高周波電力により荷電粒子ビームを加速する場合に空洞共振器500内部に形成される高周波電場の様子が、図13(b)に示されている。
図13(b)に示されているように、空洞共振器500内における各ドリフトチューブ間における電場はほぼ均一になっている。
また、図14(b)には、計算で得られた空洞共振器500の各ドリフトチューブ間における電圧の値が示されている。この図14(b)からも、空洞共振器500内におけるドリフトチューブ間における電圧の値はほぼ一定であることがわかる。
このように、本発明の第5の実施の形態によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造を用いると、所定のドリフトチューブ配置を繰り返すように構成した空洞共振器内部のドリフトチューブ間の電圧をほぼ一定にすることができ、荷電粒子ビームの加速効率を高めることが可能になり、結果として使用する空洞共振器の数を減らすことができる。
(4)上記した実施の形態においては、空洞共振器は銅製であったが、これに限られるものではないことは勿論であり、空洞共振器は金属材料であれば適宜の材料を設計に応じて選択することができる。
(5)上記した実施の形態においては、ドリフトチューブ間の距離は均一であったが、これに限られるものではないことは勿論であり、設計に応じてドリフトチューブ間の距離を均一でないようにしてもよい。
(6)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(5)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、放射線治療や標識化合物の製造または原子力工学などの分野において用いるRF線形加速器に利用することができる。
図1(a)(b)は、従来より知られたRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の一例を示し、図1(a)は図1(b)のIA−IA線による断面図であり、一方、図1(b)は図1(a)のIB−IB線による断面図である。 図2(a)(b)は、従来より知られたRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の他の例を示し、図2(a)は図2(b)のIIA−IIA線による断面図であり、一方、図2(b)は図2(a)のIIB−IIB線による断面図である。 図3は、図1(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器内部に誘起される高周波電場の態様を示す説明図である。 図4は、図2(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器内部に誘起される高周波電場の態様を示す説明図である。 図5(a)(b)は、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第1の実施の形態を示し、図5(a)は図5(b)のVA−VA線による断面図であり、一方、図5(b)は図5(a)のVB−VB線による断面図である。 図6は、図5(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器内部に誘起される高周波電場の態様を示す説明図である。 図7(a)(b)は、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第2の実施の形態を示し、図7(a)は図7(b)のVIIIA−VIIIA線による断面図であり、一方、図7(b)は図7(a)のVIIIB−VIIIB線による断面図である。 図8は、図7(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器内部に誘起される高周波電場の態様を示す説明図である。 図9は、図3、図4および図8に示す高周波電場におけるシャントインピーダンス、Q値および電圧の比の値を示した図表である。 図10(a)(b)は、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第3の実施の形態を示し、図10(a)は図10(b)のXA−XA線による断面図であり、一方、図10(b)は図10(a)のXB−XB線による断面図である。 図11は、図10(a)(b)に示したドリフトチューブの支持構造を備えた空洞共振器内部に誘起される空洞共振器内部における電圧の比、周波数、Q値およびシャントインピーダンスの値を示した図表である。 図12(a)は、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第4の実施の形態を示し、図8(a)に相当する断面図である。図12(b)は、図12(a)に示したXIIB−XIIB線による断面から観察した場合における空洞共振器内に形成される高周波電場の態様を示す説明図である。 図13(a)は、本発明によるRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造の第5の実施の形態を示し、図12(a)に相当する断面図である。図13(b)は、図13(a)に示したXIIIB−XIIIB線による断面から観察した場合における空洞共振器内に形成される高周波電場の態様を示す説明図である。 図14(a)は、図12(a)に示した空洞共振器の周波数106.69MHzのときの各ドリフトチューブ間における電圧の値、Q値およびシャントインピーダンス(Rs)を示したものである。図14(b)は、図13(a)に示した空洞共振器の周波数122.47MHzのときの各ドリフトチューブ間における電圧の値、Q値およびシャントインピーダンス(Rs)を示したものである。
符号の説明
10、400、500 空洞共振器
12a、12c 面
12b、12d 孔
14−1、14−2、14−3、14−4、14−5、402、502−1、502−2、502−3、504 ドリフトチューブ
14a、14b、14c、14d ドリフトチューブ間
16a、16b、16c、26a、26b、26c、160a、160b、160c、260a、360b、404、506 支持体
260aa 上部
260ab−1、260ab−2 分岐部

Claims (6)

  1. 空洞共振器内に高周波電力を導入し、前記空洞共振器内で中心軸上に沿って直線状に間隔をおいて支持された複数のドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    複数のドリフトチューブのうちの第1のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して前記空洞共振器の内周壁に配設された第1の支持体により、前記空洞共振器の内壁に片持ち支持され、
    前記第1のドリフトチューブと隣り合う第2のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交するとともに前記第1の支持体に対して垂直な方向に延長し前記第2のドリフトチューブを間に挟んで同一直線上に延長して位置する第2の支持体により、前記空洞共振器の内周壁に両側から支持された
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
  2. 空洞共振器内に高周波電力を導入し、前記空洞共振器内で中心軸上に沿って直線状に間隔をおいて支持された複数のドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    複数のドリフトチューブのうちの第1のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して前記空洞共振器の内周壁に配設された第1の支持体により、前記空洞共振器の内壁に片持ち支持され、
    前記第1のドリフトチューブと隣り合う第2のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交するとともに前記第1の支持体に対して所定の角度で傾斜し前記第2のドリフトチューブを間に挟んで延長して位置する第2の支持体により、前記空洞共振器の内周壁に両側から支持された
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
  3. 請求項2に記載のRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    前記所定の角度は、任意に設定可能である
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
  4. 請求項3に記載のRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    前記所定の角度は、0度乃至80度である
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
  5. 請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載のRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    前記第1の支持体は、複数の第1のドリフトチューブを支持し、前記複数の第1のドリフトチューブで共用化されるようにした
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
  6. 所定のドリフトチューブ配置を繰り返すように構成した空洞共振器内に高周波電力を導入し、前記ドリフトチューブ間に電場を発生させることにより、荷電粒子ビームを加速するRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造において、
    ドリフトチューブ配置における所定数毎のドリフトチューブは、空洞共振器の中心軸と直交する方向に延長して前記所定数毎のドリフトチューブを間に挟んで同一直線上に延長して位置する支持体により、前記空洞共振器の内周壁に両側から支持された
    ことを特徴とするRF線形加速器における空洞共振器へのドリフトチューブの支持構造。
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