JP2008018603A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高デューティ画像の高速印刷時の吐出量変動を防止する。
【解決手段】 記録ヘッドへ供給されるインクを貯留するインクタンクを備え、上記記録ヘッドに駆動パルスを印加することによりノズルからインクを吐出するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、印刷前に対する印刷中の温度変化によって生じるインクの液適増加量と、印刷前に対する印刷中の上記記録ヘッドのインク液室内の圧力変化によって生じるインクの液適減少量がほぼ等しくなるように、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの流路抵抗を設定した。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インクジェット記録装置及び該装置の制御方法に関し、特に、吐出するインク滴の液滴量を制御するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
複数の記録素子を備えた各記録素子基板を複数並列固定して、記録媒体を走査し記録する方式のインクジェット記録装置が市販されている。この種の構成を有するインクジェット記録装置は、記録ヘッドを走査して記録するいわゆるシリアルスキャン方式よりも記録速度が速いのが特徴である。
このような高速化を達成する上で総じて問題になるのは吐出量変動に起因する画質劣化である。そこで、良好な画像を得るために、記録される画像等における濃度変動や濃度むらの発生を極力抑える目的で、記録ヘッドから吐出される吐出量に関してその安定化のための制御が種々行なわれていた。
特にヘッドの温度変化によって生じる吐出量変動に対しては、様々な制御が提案されてきた。インクの吐出量とヘッドの温度には相関がある。具体的には一般に15℃〜60℃の範囲でヘッド温度に対してインク吐出量はほぼ一定の割合で増加していく。
熱エネルギー変換体(以下、発熱素子、吐出ヒータ、または単にヒータともいう)に電気パルスを印加し、インクを急速に加熱してインクの液相を気相に状態変化させることで発泡力を生起させるインクジェット記録方式では、上記液相が気相に状態変化するまでのエネルギーの伝達の仕方によって吐出量はほぼ決定されるため、気相に状態変化した後でどのようなエネルギー投入を行ってもほとんど吐出量には影響がない。
インクジェット記録装置において従来から知られる昇温に起因した吐出量変動の対策の一つは、気相に状態変化するまでのエネルギーの伝達方法を制御するものである。例えば図6に示すような分割パルスを用い、パルスである予備パルスの幅P1や、この第1パルスと第2パルスであるメインパルスとの間の休止時間P2を制御することにより吐出量変調を行う。
図6は記録ヘッドに印加するヒートパルスのタイムチャートである。この実施形態で用いるヒートパルスは、図6に示されているように分割パルス幅変調によるヒートパルスである。
さて、記録ヘッドを駆動するためのヒートパルス幅と駆動電圧Vopは、ヒータボードの面積、抵抗値、膜構造や記録ヘッドのノズル構造によって決まる。
図6において、P1はプレヒートパルス、P2はインターバルタイム、P3はメインヒートパルスを示している。記録ヘッドの設けられた温度センサ(ダイオードセンサ等)の温度情報に基づいて、P1、P2、P3の内少なくとも1つ以上のパルス波形は変調される。また、時刻0、T2は印加パルスの立ち上がり時刻、時刻T1、T3は立ちさがり時刻であり、夫々、P1、P2、P3を決めるための時刻を示している。
プレヒートパルスP1は主にノズル内のインク温度を制御するためのパルス幅であり、記録ヘッドの温度センサを利用して検知された温度に従って、そのパルス幅が制御される。この時、ヒータボード上に熱エネルギーを加えすぎてプレヒートで発泡現象が発生しないようにしている。
インターバルタイムP2は、プレヒートパルスP1とメインヒートパルスP3が相互干渉しないように一定時間の間隔を設けるためと、プレヒートパルスP1で与えた熱エネルギーをヒータ上部のインク中へ拡散させ、ノズル内インクの温度分布を均一化する働きがある。
メインヒートパルスP3は、ヒータボード上に発泡現象を発生させ吐出口よりインク滴を吐出させるエネルギーを与える。
ヘッド温度に応じてヒータに印加するヒートパルスの形状を変化させることは、吐出量を一定に保ための有効な手段である。全面にドット密度の高い画像を形成した場合に、同一のヒートパルス幅で吐出を繰り返していくと、徐々にヘッド温度が上昇し各々の吐出量が増え結果的に画像の濃度が高くなる。そこで、ヘッド温度の上昇を検出して、あるところでヒートパルス幅を切り替えれば、吐出量の増加を補正することができる。
一方、インクジェット記録装置における吐出量変動の要因は、上述したヘッド温度上昇だけではなく、ヘッドのインク液室内の負圧変動も吐出量変動の要因となる。高速で印刷すればするほど、印刷時の負圧は印刷直前に比べて徐々に大きくなり、その結果ノズルにおけるメニスカスが徐々に後退して、吐出量が少しずつ減少してしまう。
そこで、ノズルのインク背圧を上げ下げすることができるインク背圧可変装置と、前記インク背圧可変装置を操作することより画像形成中のインク背圧を所望の負圧範囲内(ゼロを含む)に維持するように制御する制御部とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタが提案されている。
特開平5−31905号公報 特開平9−183222号公報 特開2003−341028号公報
前述した分割パルスは、温度による吐出量変動を防止するためには有効な手段であるが、単一パルスに比べパルスを印加するために必要な時間が長くなってしまう。したがって印刷速度を高めるために吐出周波数を高くしたくても高くできないので高速化に限界があるという問題がある。
一方、特開2003−341028号公報のようにインク背圧可変装置としてインクタンクを上下させる機構を設け、例えば60ppm以上の高速印刷を行うと、1秒に1回以上のサイクルでインクタンクを上下させなければならない。検知したノズルのインク背圧に応じて、この速度でインクタンクを上下させるためには、複雑で高価な装置にならざるを得ない。
また、このような速度でインクタンクを上下させると、インクタンクの中のインクが激しく揺すられ泡立ってしまう。その結果、ヘッドに気泡の混入したインクが供給され吐出不良や不吐出が発生しやくすくなるという問題があった。
そこで、本発明においては、記録ヘッドへ供給されるインクを貯留するインクタンクを備え、上記記録ヘッドに駆動パルスを印加することによりノズルからインクを吐出するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、
印刷前に対する印刷中の温度変化によって生じるインクの液適増加量と、印刷前に対する印刷中の上記記録ヘッドのインク液室内の圧力変化によって生じるインクの液適減少量がほぼ等しくなるように、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの流路抵抗を設定した。
さらに、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの間に上記流路抵抗を調整できる手段を設けた。
本発明によれば、記録ヘッドへ供給されるインクを貯留するインクタンクを備え、上記記録ヘッドに駆動パルスを印加することによりノズルからインクを吐出するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、印刷前に対する印刷中の温度変化によって生じるインクの液適増加量と、印刷前に対する印刷中の上記記録ヘッドのインク液室内の圧力変化によって生じるインクの液適減少量がほぼ等しくなるように、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの流路抵抗を設定したので、記録ヘッドに温度測定手段を設けることなく、高速、高デューティ画像印刷時の吐出量変動を防止することができる。
また、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの間に上記流路抵抗を調整できる手段を設けたので、記録ヘッドの温度特性に個体差があっても、高速、高デューティ画像印刷時の吐出量変動を防止することができる。
(実施例1)
以下に、本発明の第1の実施例を記載する。
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が感覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表す物とする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスティック、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものを表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えは記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
図7に示すように記録ヘッドH1000は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギーを生じせしめるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いて記録を行うインクジェット方式のサイドシュータ型とされる記録ヘッドである。
そして、記録ヘッドH1000は、図8の分解斜視図に示すように、記録素子ユニットH1001とインク供給ユニットH1002のインク供給部材H1500から構成される。さらに、図9の分解斜視図に示すように、記録素子ユニットH1001は、記録素子基板H1100、支持板H1200、電気配線基板H1300、プレートH1400、フィルタ部材H1600で構成されている。
図4(a)は、記録素子基板H1100の構成を説明する図であり、図4(b)は図4(a)に示すA−A断面図である。記録素子基板H1100は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSi基板H1108で薄膜が形成されている。また、インク流路として長溝状の貫通口からなるインク供給口H1101が形成され、インク供給口H1101の両側に電気熱変換素子H1102がそれぞれ1列ずつ千鳥状に配列されており、前記電気熱変換素子H1102、及び、Al等の電気配線が成膜技術により形成されている。また、該電気配線に電力を供給するために電極H1103が設けられている。前記インク供給口H1101は、前記Si基板H1108の結晶方位を利用して、異方性エッチングを行う。ウエハー面に<100>、厚さ方向に<111>の結晶方位を持つ場合、アルカリ系(KOH、TMAH、ヒトラジン等)の異方性エッチングにより、約54.7度の角度でエッチングが進行する。この方法を用いて、所望の深さにエッチングする。また、前記Si基板H1108上には、ノズルプレートH1110が具備され、電気熱変換素子H1102に対応したインク流路H1104、ノズルH1105、発泡室H1107がフォトリソ技術により形成されている。また、前記ノズルH1105は前記電気熱変換素子H1102に対向するように設けられており、インク供給口H1101から供給されたインクを電気熱変換素子H1102により気泡を発生させてインクを吐出させるものである。
支持板H1200は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al2O3)材料で形成されている。支持板H1200には、記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されており、記録素子基板H1100のインク供給口H1101が支持板H1200のインク供給口H1201に対応し、かつ、記録素子基板H1100は支持板H1200に対して位置精度良く接着固定される。その接着剤は、例えば、粘度が低く、接触面に形成される接着層が薄く、かつ、硬化後、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤、もしくは紫外線硬化併用型の熱硬化接着剤であり、接着層の厚みは50μm以下が望ましい。
記録素子基板H1100は、図7に示すように支持板上H1200に千鳥状に配置され、同一色による幅広の記録を可能としている。例えば、ノズル群の長さが1インチ+αの4つの記録素子基板H1100a、H1100b、H1100c、H1100dを千鳥状に配置し、4インチ幅の記録を可能にしている。
また、図7に示すように各記録素子基板の吐出口群の端部は、千鳥状に隣接する記録素子基板のノズル群の端部と、記録方向に対して、重複する領域(L)を設け、各記録素子基板による印刷に隙間が生じることを防止している。例えば、ノズル群H1106aとノズル群H1106bに重複領域H1109a、H1109bを設けている。
電気配線基板H1300は、記録素子基板H1100に対してインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、記録素子基板H1100を組み込むための開口部を有しており、裏面にはプレートH1400が接着固定される。電気配線基板H1300と記録素子基板H1100は、電気的に接続されており、接続方法は、例えば、記録素子基板H1100の電極H1103と電気配線基板H1300の電極端子H1302を金ワイヤーH1303(不図示)を用いたワイヤーボンディング技術によりにより電気的に接続される。電気配線基板H1300の素材としては、例えば、配線が二層構造のフレキシブル配線基板が使用され、表層はポリイミドフィルムで覆われている。
プレートH1400は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSUS板で形成されている。
また、支持板H1200の裏面側インク供給口H1201には、インク中に混入された異物を取り除くためのフィルター部材H1600が接着固定される。
インク供給部材H1500は、例えば、樹脂成形により形成され、共通液室H1501と、Z方向基準面H1502を具備している。そして、Z基準面H1502は、記録素子ユニットを位置決め固定するとともに、記録ヘッドH1000のZ基準となっている。
インク供給部材H1500の開口部と記録素子ユニットH1001を第3の封止剤H1503により封止し、共通液室H1501を密閉する。そして、インク供給部材のZ基準H1502に記録素子ユニットH1001のZ基準H1502を、例えば、ビスH1900等により位置決め固定する。第3の封止剤H1503は、耐インク性があり、かつ、常温で硬化し、かつ、異種材料間の線膨張差に耐えられる柔軟性のある封止剤が望ましい。
また、記録素子ユニットH1001の外部信号入力端子H1301部分は、例えば、インク供給部材H1501の裏面に、位置決め固定される。
図3はインクジェット記録装置1の概略構成を示す断面図であり、3は記録ヘッドであり、本形態ではブラック(K)、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)各色のインクを吐出する4つの記録ヘッド31〜34を有している。これらの記録ヘッドは後述する制御部により駆動され対応するインクのインク滴を吐出しカラー記録を行う。
シート状の記録媒体(以下、単にシートと称する)STは、図示しない給送部から給送され、搬送ベルト2に静電吸着されて移動しつつ記録ヘッド3の下を通過する際に記録が行われる。搬送装置である搬送ベルト2は円環状の帯部材であって駆動ローラ5、支持ローラ6、7によって張架され、回転駆動することによりシートSTを搬送するものである。
8はベルトのクリーニング機構であり、ベルト上に付着したインクを除去する。
図1は、インクジェット記録装置のインク供給システムを示す模式図である。
インクジェット記録装置の供給システムは、図1に示すように、インク15を収容したインクタンク8を備えており、インクタンク8内には、2本のチューブ216,217が配設されている。このうち一方のチューブ217は、記録ヘッドH1000の一端部に接続されて、記録ヘッドH1000の共通液室内に通じている。また、他方のチューブ216は、ポンプ9を介して記録ヘッドH1000の他端部に接続されて記録ヘッドH1000の共通液室へ通じている。
記録ヘッドH1000は複数個のインク吐出口列を有しており、記録時には記録ヘッド駆動回路(図示せず)によりインク液滴を吐出する。
もしインク流路内に気泡が存在しても、ポンプ9を駆動させてインクを循環させることによって、気泡はインクタンク8から排出することができる。
記録時など記録ヘッドH1000からのインク吐出時には、インクタンク8からチューブ217、あるいはチューブ216を介して記録ヘッドH1000に毛管力によってインクが供給される。
インクタンク8の上部には、大気連通孔10が設けられている。したがって、インクタンク8内のインク水面と記録ヘッドH1000の記録素子基板H1100のノズル面11との高さ方向距離Sの水頭差分の負圧がノズル部のインクに働くため、この距離Sを適当に設定することで、ノズルからのインク漏れを防止できる。
しかしながら、距離Sが一定であっても、記録ヘッドH1000内の負圧は常に一定であるとは限らない。前述したように記録時には、インクタンク8からチューブ217、あるいはチューブ216を介して記録ヘッドH1000にインクが流れる。この流れるインクの流量に比例して記録ヘッド内負圧は増加する。これは、インクタンク8から記録ヘッドのノズル部までのインク流路中の流路抵抗が存在するためである。
インクタンク8から記録ヘッドのノズル部までのインク流路中の流路抵抗は、インクが流れる経路の長さ、断面積、形状や、フィルタの目の粗さ、面積などによって決まる。本実施例の流路抵抗に影響を及ぼす主な要素を列挙すると、以下のようになる。
チューブ216、217、ポンプ9、インク供給部材H1500の共通液室H1501、フィルタ部材H1600、支持板H1200のインク供給口H1201、記録素子基板H1100のインク供給口H1101、ノズルプレートH1110のインク流路H1104、発泡室H1107、ノズルH1105、などである。
全体的に濃度の低い低デューティの画像であれば、記録ヘッドH1000へ流れるインク量は少ないので負圧増加も少ないが、全体的に濃度の高い高デューティ画像を高速で印刷する場合、特に実施例で説明したような各記録素子基板を複数並列固定して、記録媒体を走査し記録する方式の場合は、記録時に流れるインク量が多量になるため、負圧の増加も大きい。
記録ヘッド内の負圧が増加すると、ノズル部のインクのメニスカスが後退する。この状態で記録素子に駆動パルスを与えてインク滴を吐出させると、通常より吐出量が少なくなる。
図2のグラフに記録ヘッド内圧力と吐出量の関係を示す。横軸はノズル内部の圧力で、左端が大気圧で-5kPaより右側にいけばいくほど低圧力、すなわち負圧が大きくなる。縦軸は吐出量を表す。
この図よりあきらかなように、-5kPa以下では負圧が大きくなると吐出量は少なくなっていく。
例えば、用紙全面に均一な高デューティ画像を連続で印刷したときのチューブ217とチューブ216を流れる合計のインク流量、記録ヘッド内圧力、吐出量の関係を図10に示す。横軸は経過時刻で、時刻Aは印刷開始時刻、時刻Bは印刷終了時刻を示す。このときノズル近傍の温度は変化せずほぼ一定であると仮定する。
時刻Aにて印刷が開始されると、ノズルから吐出されるインクはほぼ瞬時に最大流量に達するが、インク流路中の流路抵抗のためチューブを流れるインクの量は図10aに示すように徐々に増加し、時刻Bを境に減少に転じる。このノズルから吐出されるインク量とチューブを流れるインク量の差のため、記録ヘッド内圧力は図10bのグラフのように時刻Aから低下して時刻Bを境に元に戻ろうとする。
したがって、吐出量は図10cのグラフに示すように時刻Aのときが最大で時刻Bにかけて徐々に減少していく。
一方、同様に用紙全面に均一な高デューティ画像を連続で印刷したときのノズル近傍の温度変化を、図11aに示す。横軸は同様に経過時刻で、時刻Aは1枚目の印刷開始時刻、時刻Bは1枚目の印刷終了時刻を示す。このとき記録ヘッドの液室内の圧力は変化せずほぼ一定であると仮定する。
時刻Aにて印刷が開始されると、最初は急に温度が上がるが、記録素子基板H1100にこもった熱が隣接した支持板H1200などに少し遅れて放熱されるため、徐々に昇温カーブの傾きは小さくなる。印刷が終了する時刻B以降は急速に温度は低下する。
したがって、吐出量は図11bのグラフに示すように時刻Aのときが最小で時刻Bにかけて増加していく。
このように記録ヘッド内の圧力変動による吐出量の変化とノズル近傍の温度変動による吐出量の変化は、符号は逆であるが、前半に急激に変化し後半は変化が小さくなるという点では傾向が似ている。したがってそれぞれの増減がちょうどキャンセルするように設定できれば、印刷中の吐出量をほぼ一定に維持することが可能となる。
図2のグラフで示すように-5kPa以下の圧力では、圧力に対して吐出量は一次関数的に変化する。ここで-5kPa以下の範囲における1kPa当たりの吐出量変化量を−Kp(pl/kPa)、圧力変化をΔP(kPa)とすると、圧力変動によって発生する吐出量変化ΔVpは以下の式で表すことができる。
ΔVp=Kp×ΔP (1)
さらに、記録ヘッド内の圧力変化ΔP(kPa)は、図1の2本のチューブ216,217を流れるインクの単位時間あたりの流量をQ(ml/min)とし、インクタンク8からチューブ216および217を介して記録ヘッドH1000のノズルまでの流路抵抗がそれぞれRとすると、インクが流れたときの圧力変化すなわち圧力損失ΔPは、
ΔP=Kq×R×Q (2)
となるので(1)式は次のように変形できる。
ΔVp=Kp×Kq×R×Q (3)
一方、前述したように15℃〜60℃の範囲ではヘッド温度に対してインク吐出量はほぼ一定の割合で増加していく。ここで1℃当たりの吐出量変化量をKt(pl/℃)、温度変化をΔT(℃)とすると、温度変動によって発生する吐出量変化ΔVtは以下の式で表すことができる。
ΔVt=Kt×ΔT (4)
それぞれの吐出量の増減がちょうどキャンセルできるためには
ΔVp=ΔVt (5)
すなわち
Kp×Kq×R×Q=Kt×ΔT (6)
が成り立てばよい。
ここで、K=Kp×Kq/Ktとおくと(6)式は以下のように表せる。
K×R×Q=ΔT (7)
単位時間あたりのインク流量Qに対して温度変化ΔTはほぼ一意的に決まるので、(7)式を満たすような流路抵抗Rになるようなインク流路を設定すれば、記録ヘッド内の圧力変動による吐出量の変化とノズル近傍の温度変動による吐出量の変化がほぼキャンセルされ、吐出量を一定に保つことができる。
例えばチューブの長さ、内径、フィルタの有効面積などをうまく選択すれば、インクタンク8から記録ヘッドのノズル部までのインク流路中の流路抵抗Rを(7)式を満足させることができる。
この方法によれば、従来例のように記録ヘッドの温度を測定する必要がないので温度センサをなくすことができる。
(実施例2)
前記実施例では、単位時間あたりのインク流量Qに対して温度変化ΔTを予め予測しておき、その値に合わせた流路抵抗になるようにインク流路を設定した。
しかしながら、単位時間あたりのインク流量Qに対する温度変化ΔTは、記録ヘッドの個体差によって違いが生じる。
例えば、記録素子基板H1100を支持板H1200に接着する接着剤の厚みが違うと、同じ印刷を行っても記録ヘッドにおけるノズル近傍の昇温の程度が異なることが分かっている。
また、電気熱変換素子H1102の抵抗値、電気熱変換素子H1102とインクの接触を防止する保護膜の厚みなどが異なっても、ノズル近傍の昇温の程度は違ってくる。
このような場合は、単位時間あたりのインク流量Qに対して予め予測した温度変化ΔTが実際の温度変化に対して誤差を持つので、その予測温度変化に合わせたインク流路の流路抵抗値も誤差を持ってしまう。
そこで、本実施例では、インク流路中に流路抵抗を調整できる手段を設ける。具体的には図5に示すようにチューブ216,217の途中に流路抵抗を調整できる流路抵抗調整手段218、219を設ける。
流路抵抗調整手段218、219は、装置に固定された固定部材220,221とチューブ216,217を固定部材に対して押圧する押圧部材222,223とを含み、押圧部材222,223を固定部材220,221の方に移動させることによってチューブ216,217の一部を変形させ断面積を小さくすることによりインク流路中の流路抵抗を調整する。
予め予測した温度変化ΔTに合わせた流路抵抗Rになるようにインク流路を設定した後、実際に記録ヘッドで印刷し、その時のノズル近傍における温度変化ΔT'を測定する。
(一度だけ測定できればよいので記録ヘッドに温度センサを設ける必要はない。)
次に温度変化ΔT'に対応する流路抵抗R'を求め、この流路抵抗R'になるように流路抵抗調整手段218、219によって流路抵抗の微調整を行う。
このような過程を経ることにより、記録ヘッドの温度特性に個体差があっても記録ヘッド内の圧力変動による吐出量の変化とノズル近傍の温度変動による吐出量の変化がキャンセルされ、吐出量を一定に保つことができる。
なお、この実施例では流路抵抗調整手段としてインク流路の断面積を変更する手段を用いたが、インク流路の長さを変更するような方法を用いてもよい。
インクジェット記録装置のインク供給システムを示す模式図 記録ヘッド内圧力と吐出量の関係を示すグラフ インクジェット記録装置の概略構成を示す断面図 記録素子基板の構成を説明する図 インクジェット記録装置のインク供給システムを示す模式図 記録ヘッドに印加するヒートパルスのタイムチャート 記録ヘッドの斜視図 記録ヘッドの分解斜視図 記録ヘッドの分解斜視図 ノズル近傍温度とインク流量、記録ヘッド内圧力、吐出量の関係を示すグラフ ヘッド液室内圧力と記録ヘッド温度、吐出量の関係を示すグラフ

Claims (2)

  1. 記録ヘッドへ供給されるインクを貯留するインクタンクを備え、上記記録ヘッドに駆動パルスを印加することによりノズルからインクを吐出するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法において、
    印刷前に対する印刷中の温度変化によって生じるインクの液適増加量と、印刷前に対する印刷中の上記記録ヘッドのインク液室内の圧力変化によって生じるインクの液適減少量がほぼ等しくなるように、上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの流路抵抗を設定したことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 上記インクタンクから上記記録ヘッドのノズルまでの間に上記流路抵抗を調整できる手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
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