JP2008024142A - 制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動時のピッチングを制動力制御によって効果的に抑制する制動力制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】運転者による制動操作に基づいて車両に作用する制動力を制御する制動力制御装置1であって、制動力の増加速度を求める制動力増加速度手段3,5を備え、制動力増加速度手段3,5で求めた制動力増加速度が車両のピッチング方向の共振周波数に基づいて設定される所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が所定増加速度範囲外になるように制動力を制御することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転者による制動操作に基づいて車両に作用する制動力を制御する制動力制御装置に関する。
運転者によるブレーキ操作により車両を急制動したときには、車両ではフロント側に荷重移動が起こり、フロント側が沈むとともにリヤ側が上がる大きなピッチングが発生する場合がある。このような場合、車両の乗員は、不快感を受け、乗心地が低下する。そこで、このようなピッチングを抑制するための様々な方法が提案されている。特許文献1に記載の制動力制御装置では、車両の減速度に基づいて推定されたピッチ角速度(ピッチング状態量)に応じて前輪の制動力を低下させることにより、ピッチングを抑制している。特に、この制動力制御装置では、ピッチング状態量が大きい場合には小さい場合に比べて前輪の制動力の低下量を多くしている。
特開2002−29397号公報
タイヤと路面間の摩擦係数は、車速が低くなるほど高くなり、車両が止まる寸前が最も高くなる。そのため、ウォーキング速度(極低速)で走行中に急制動したときには、車両に非常に大きな制動加速度が発生し、車両の減速度が大きくなる。この大きな減速度により、車両のピッチ角が非常に大きくなり、過大なピッチングとなる。このような過大なピッチングが発生した場合には、上記した制動力制御装置のように前輪の制動力を低下させるだけではその過大なピッチングを抑制する効果が十分に得られない。
そこで、本発明は、制動時のピッチングを制動力制御によって効果的に抑制する制動力制御装置を提供することを課題とする。
本発明に係る制動力制御装置は、運転者による制動操作に基づいて車両に作用する制動力を制御する制動力制御装置であって、制動力の増加速度を求める制動力増加速度手段を備え、制動力増加速度手段で求めた制動力増加速度が車両のピッチング方向の共振周波数に基づいて設定される所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が所定増加速度範囲外になるように制動力を制御することを特徴とする。
この制動力制御装置では、制動力増加速度手段により、制動力の増加速度を求める。車両の前後軸方向の制動力によって発生する減速度(制動力増加速度)が車両のピッチング方向の共振周波数と一致すると、車両の前後軸方向の荷重が変動し、さらに、車両のピッチングがオーバシュートし、車両に過大なピッチングが発生する。ピッチング方向の共振周波数は車両によって決まっているので、過大なピッチングが発生する可能性のある制動力増加速度(減速度)の範囲を車両ピッチング共振周波数に基づいて設定することができる。そこで、制動力制御装置では、制動力増加速度が過大なピッチングを発生する可能性のある所定の増加速度範囲内になった場合(つまり、ピッチング共振周波数になった場合)、制動力増加速度が所定の増加速度範囲外になるように制動力を制御する。制動力増加速度がその所定の増加速度範囲外になると、車両のピッチング方向の共振が抑制あるいは発生しなくなり、制動時のピッチングを効果的に抑制することができる。これによって、車両の乗員は過大なピッチングによる不快感を受けなくなり、乗心地が向上する。
なお、制動力増加速度は、運転者による操作が入力されるブレーキペダルから制動力を出力する車輪までの制動系における様々なパラメータの増加速度であり、制動力によって車両に発生する車両の減速度も含むものとする。制動力増加速度手段は、センサによって制動力増加速度(減速度)を直接検出する手段でもよいし、あるいは、センサによって制動力に関する値(例えば、マスタシリンダの油圧、ブレーキペダルの踏力、ブレーキペダルのストローク)を検出し、その検出値から演算によって制動力増加速度を求める手段でもよい。
本発明の上記制動力制御装置では、制動力増加速度が所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が大きくなるように制動力を制御する構成としてもよい。
この制動力制御装置では、制動力増加速度が所定の増加速度範囲内になった場合、制動力増加速度を大きくして所定の増加速度範囲外になるように制動力を制御する。このように、制動力増加速度を大きくするために制動力を増加した場合、運転者のブレーキ操作に対して大きな制動力(ひいては、減速度)を確保しつつ、ピッチングを効果的に抑制することができる。
本発明の上記制動力制御装置では、制動力増加速度が所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が小さくなるように制動力を制御する構成としてもよい。
この制動力制御装置では、制動力増加速度が所定の増加速度範囲内になった場合、制動力増加速度を小さくして所定の増加速度範囲外になるように制動力を制御する。このように、制動力増加速度を小さくするために制動力を減少した場合でも、ピッチングを効果的に抑制することができる。
本発明の上記制動力制御装置では、車速を検出する車速検出手段を備え、車速検出手段で検出した車速が所定車速以下の場合に制動力増加速度が所定増加速度範囲外になるように制動力を制御する構成としてもよい。
この制動力制御装置では、車速検出手段により、車速を検出する。そして、制動力制御装置では、車速が所定車速以下かつ制動力増加速度が所定の増加速度範囲内になった場合、制動力増加速度が所定の増加速度範囲外になるように制動力を制御する。タイヤと路面間の摩擦係数は車速が低くなるほど高くなるので、低速走行中に制動したときには車両に非常に大きな減速度が発生し、過大なピッチングとなる。つまり、低速ほど、大きなピッチングが発生する可能性がある。所定車速は、タイヤと路面との摩擦係数と車速との関係などを考慮して設定され、制動中に大きなピッチングが発生する可能性がある低速域を判定するための車速閾値である。したがって、この制動力制御装置では、大きなピッチングが発生する可能性がある低速のみで制動力制御を行うので、不要な場面でピッチングを抑制するための制動力制御を行わない。
本発明は、制動力増加速度が車両のピッチング方向の共振周波数と一致しないように制動力制御を行うことにより、制動時のピッチングを効果的に抑制することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る制動力制御装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る制動力制御装置を、運転者のブレーキ操作に対して制動力(ブレーキ油圧)を任意に制御することができる制動力制御装置に適用する。本発明に係る制動力制御装置は、ブレーキアクチュエータによって各輪のホイールシリンダの油圧を制御することによって制動力を変化させる。本実施の形態には、ピッチングを抑制するための油圧制御(制動力制御)の違いにより2つの実施の形態があり、第1の実施の形態が加圧制御によってピッチングを抑制する形態であり、第2の実施の形態が減圧制御によってピッチングを抑制する形態である。なお、制動力制御装置は、車両挙動安定化などのシステムの一部として組み込まれる装置でもよいし、あるいは、装置単体でもよい。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係る制動力制御装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る制動力制御装置の構成図である。図2は、マスタシリンダ圧、ホイールシリンダ圧の時間変化を示すグラフであり、(a)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲より低い場合(通常制動の場合)であり、(b)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内の場合(急制動の場合)であり、(c)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内のときに加圧制御を行った場合であり、(d)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内のときに減圧制御を行った場合である。図3は、マスタシリンダの昇圧速度の時間変化を示すグラフであり、(a)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲より低い場合(通常制動の場合)であり、(b)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内の場合(急制動の場合)である。
制動力制御装置1は、通常、運転者のブレーキ操作に応じて制動力を制御する。さらに、制動力制御装置1は、過大なピッチングが生じていると予測した場合、ピッチングを抑制するために制動力増加速度が大きくなるように制動力を制御する。そのために、制動力制御装置1は、車輪速センサ2A,2B,2C,2D、マスタシリンダ圧センサ3、ブレーキアクチュエータ4及びECU[Electronic Control Unit]5を備えている。なお、本実施の形態では、車輪速センサ2A,2B,2C,2D及びECU5における処理が特許請求の範囲に記載する車速検出手段に相当し、マスタシリンダ圧センサ3及びECU5における処理が特許請求の範囲に記載する制動力増加速度手段に相当する。
車輪速センサ2A,2B,2C,2Dは、各輪に設けられ、車輪の回転速度を検出するセンサである。車輪速センサ2A,2B,2C,2Dでは、車輪の回転速度を検出し、その検出値を車輪速信号としてECU5に送信する。
マスタシリンダ圧センサ3は、マスタシリンダMCに設けられ、マスタシリンダMCの油圧を検出するセンサである。マスタシリンダ圧センサ3は、マスタシリンダ圧を検出し、その検出値を油圧信号としてECU5に送信する。マスタシリンダ圧は、ブレーキペダルBPの踏力がブレーキブースタBBで増幅され、その増幅された踏力がマスタシリンダMCで変換された油圧であるので、運転者によるブレーキ操作量を示す。通常制御の場合、運転者のブレーキ操作に応じた制動力が発生するので、マスタシリンダ圧に応じた制動力が発生する。
ブレーキアクチュエータ4は、マスタシリンダMCと各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDとを連結する油圧配管上に設けられ、マスタシリンダMCからの油圧が入力され、ホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDへ出力する油圧を調整するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ4では、ECU5からの制御電流に応じてアクチュエータを作動させ、ホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDに所定の油圧をそれぞれ発生させる。
ECU5は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、制動力制御装置1を統括制御する電子制御ユニットである。ECU5では、一定時間毎に、各センサ2A,2B,2C,2D,3から検出信号を受信し、各検出信号に基づいてブレーキアクチュエータ4を制御する。
ECU5では、各輪の車輪速信号に示される検出値から各輪の車輪速をそれぞれ演算する。さらに、ECU5では、各輪の車輪速から車体速を演算する。また、ECU5では、油圧信号に示されるマスタシリンダ圧の一定時間毎の変化からマスタシリンダの昇圧速度を演算する。この昇圧速度は、運転者によるブレーキ操作量の増加速度に相当する。通常制御の場合、運転者のブレーキ操作に応じた制動力が発生するので、この昇圧速度は制動力の増加速度にも相当する。
ECU5では、一定時間毎に、車体速が低速判定車体速より低いか否かを判定する。低速判定車体速は、制動中に大きなピッチングが発生する可能性がある低速域を判定するための車速閾値であり、例えば、ウォーキング速度程度の数km/hである。低速判定車体速は、タイヤと路面との摩擦係数と車速との関係などを考慮し、実験やシミュレーションによって予め設定される。なお、この低速か否かの判定では、車速が0km/hの場合は除き、車両が走行している状態で低速判定車体速より低い車速を低速と判定する。
ECU5では、車体速が低速判定車体速より低い場合、マスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲内になったか否かを判定する(図3参照)。下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲は、過大なピッチングが発生する可能性のあるマスタシリンダの昇圧速度(ひいては、制動力増加速度)の範囲である。制動力によって発生する減速度(制動力増加速度)が車両ピッチング共振周波数と一致すると、車両に過大なピッチングが発生する。車両ピッチング共振周波数は車両によって決まっているので、過大なピッチングが発生する可能性のある制動力増加速度は車両ピッチング共振周波数から設定することができる。そこで、下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVは、車両によって決まっている車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度を中心として、判定範囲をある程度確保するために下限側と上限側にそれぞれ設定される。
通常の制動の場合、図2(a)に示すようにマスタシリンダ圧MP1は比較的緩やかな勾配で増加し、図3(a)に示すようにマスタシリンダの昇圧速度MV1は下限昇圧速度LVより小さくなる。この場合、制動力によって発生する減速度が車両ピッチング共振周波数と一致しないので、乗員が不快を感じるような大きなピッチングは発生しない。しかし、急な制動の場合、図2(b)に示すようにマスタシリンダ圧MP2は急な勾配で増加し、図3(b)に示すようにマスタシリンダの昇圧速度MV2は下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲内に入る。この場合、制動力によって発生する減速度が車両ピッチング共振周波数と一致し、乗員が不快を感じるような過大なピッチングが発生する。
車体速が低速判定車体速より低い場合又はマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲外の場合、ECU5では、目標油圧として基準油圧を設定する。基準油圧は、運転者のブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧である。
車体速が低速判定車体速より低くかつマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲内の場合、ECU5では、目標油圧として基準油圧に加圧分油圧を加算した油圧を設定する。加圧分油圧は、ホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧から嵩上げしてホイールシリンダ圧の昇圧速度(ひいては、制動力増加速度)を大きくし、制動力増加速度を車両ピッチング共振周波数と一致しないようにするための油圧である。加圧分油圧は、下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの速度範囲幅を考慮して一定量として予め設定されてもよいし、あるいは、マスタシリンダ圧と上限昇圧速度HVとの差から可変量として設定されてもよい。
目標油圧が基準油圧の場合、図2(a)に示すように、ホイールシリンダ圧WP1は、マスタシリンダ圧MP1と同圧であり、マスタシリンダ圧MP1と同じ勾配で増加する。目標油圧が(基準油圧+加圧分油圧)の場合、図2(c)に示すように、ホイールシリンダ圧WP2は、マスタシリンダ圧MP2から加圧され、マスタシリンダ圧MP2より急な勾配で増加する。これによって、制動力増加速度は、マスタシリンダ圧の昇圧速度より大きくなり、車両ピッチング共振周波数を超える。
目標油圧を設定すると、ECU5では、目標油圧になるように、ブレーキアクチュエータ4を作動させる目標電流を設定する。そして、ECU5では、目標電流になるように、ブレーキアクチュエータ4に制御電流を供給する。
図1を参照して、制動力制御装置1の動作について説明する。特に、ECU5における処理について図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、第1の実施の形態に係るECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
各車輪速センサ2A,2B,2C,2Dでは、各輪の回転速度を検出し、各車輪速信号をECU5に送信している。マスタシリンダ圧センサ3では、マスタシリンダMCの油圧を検出し、油圧信号をECU5に送信している。
一定時間毎に、ECU5では、各車輪速センサ2A,2B,2C,2Dからの車輪速信号を受信し、各輪の車輪速を演算し、さらに、車体速を演算する(S1)。また、ECU5では、マスタシリンダ圧センサ3からの油圧信号を受信し、マスタシリンダの昇圧速度を演算する(S2)。
ECU5では、車体速が低速判定車体速より低いか否かを判定する(S3)。S3にて車体が低速判定車体速より低いと判定した場合、ECU5では、マスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度より高くかつ上限昇圧速度より低いか否かを判定する(S4)。
S4にてマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度より高くかつ上限昇圧速度より低いと判定した場合(つまり、車両に過大なピッチングが発生すると予測した場合)、ECU5では、目標油圧に(マスタシリンダ圧+加圧分油圧)を設定し、目標油圧になるようにブレーキアクチュエータ4に制御電流を供給する(S5)。すると、ブレーキアクチュエータ4では、その制御電流に応じて作動し、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDで目標油圧に相当する油圧を発生させる。これによって、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDでは、油圧がマスタシリンダ圧より加圧され、昇圧速度がマスタシリンダMCの昇圧速度より大きくなる。そのため、制動力増加速度(車両の減速度)も大きくなり、車両ピッチング共振周波数を超え、車両に過大なピッチングが発生しない。この場合、図6(a)に示すように車両が過大なピッチング状態になることなく、図6(b)に示すように車両のピッチングが極力抑制された状態となる。
S3にて車体速が低速判定車体速以上と判定した場合あるいはS4にてマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度以下又は上限昇圧速度以上と判定した場合(つまり、車両に過大なピッチングが発生しないと予測した場合)、ECU5では、目標油圧にマスタシリンダ圧を設定し、目標油圧になるようにブレーキアクチュエータ4に制御電流を供給する(S6)。すると、ブレーキアクチュエータ4では、その制御電流に応じて作動し、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDで目標油圧に相当する油圧を発生させる。これによって、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDでは、油圧がマスタシリンダ圧となり、昇圧速度がマスタシリンダMCの昇圧速度と同等となる。
この制動力制御装置1によれば、車両に過大なピッチングが発生すると予測した場合にはマスタシリンダ圧に対して加圧してホイールシリンダの昇圧速度を更に上げ、制動力増加速度が車両ピッチング共振周波数から外れるようにすることにより、車両のピッチング方向の共振が抑制あるいは発生しなくなり、ピッチングを効果的に抑制することができる。これによって、車両の乗員は過大なピッチングによる不快感を受けなくなり、乗心地が向上する。
また、制動力制御装置1では、ピッチングを抑制するためにブレーキ油圧を加圧するので、通常より大きな制動力を確保でき、運転者のブレーキ操作に対して十分な減速度を発生させることができる。また、制動力制御装置1では、低速走行時にのみピッチングを抑制するための制動力制御を行うので、過大ピッチングが発生しない車速域において不要な制動力制御を行わない。
図1〜図3を参照して、第2の実施の形態に係る制動力制御装置11について説明する。なお、制動力制御装置11は、第1の実施の形態に係る制動力制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
制動力制御装置11は、制動力制御装置1と比較すると、ピッチングを抑制するために制動力増加速度が小さくなるように制動力を制御する。したがって、制動力制御装置11では、ECUにおける一部の処理とその一部の処理に応じたブレーキアクチュエータの動作が制動力制御装置1と異なる。制動力制御装置11は、車輪速センサ2A,2B,2C,2D、マスタシリンダ圧センサ3、ブレーキアクチュエータ4及びECU15を備えている。
ECU15は、第1の実施の形態に係るECU5と比較すると、ピッチングを抑制する際の目標油圧の設定処理だけが異なる。具体的には、車体速が低速判定車体速より低くかつマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの範囲内の場合、ECU15では、目標油圧として基準油圧から減圧分油圧を減算した油圧を設定する。減圧分油圧は、ホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧から嵩下げしてホイールシリンダ圧の昇圧速度(ひいては、制動力増加速度)を小さくし、制動力増加速度を車両ピッチング共振周波数と一致しないようにするための油圧である。減圧分油圧は、下限昇圧速度LVと上限昇圧速度HVとの速度範囲を考慮して一定量として予め設定されてもよいし、あるいは、マスタシリンダ圧と下限昇圧速度LVとの差から可変量として設定されてもよい。
目標油圧が(基準油圧−減圧分油圧)の場合、図2(d)に示すように、ホイールシリンダ圧WP3は、マスタシリンダ圧MP2より減圧され、マスタシリンダ圧MP2より緩やか勾配で増加する。これによって、制動力増加速度は、マスタシリンダ圧の昇圧速度より小さくなり、車両ピッチング共振周波数を下回る。
図1を参照して、制動力制御装置11の動作について説明する。特に、ECU15における処理について図5のフローチャートに沿って説明する。図5は、第2の実施の形態に係るECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
各車輪速センサ2A,2B,2C,2D及びマスタシリンダ圧センサ3では、第1の実施の形態と同様の動作を行う。また、ECU15では、S11〜S14までの処理については第1の実施の形態のS1〜S4までと同様の処理を行う。
S14にてマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度より高くかつ上限昇圧速度より低いと判定した場合、ECU15では、目標油圧に(マスタシリンダ圧−減圧分油圧)を設定し、目標油圧になるようにブレーキアクチュエータ4に制御電流を供給する(S15)。すると、ブレーキアクチュエータ4では、その制御電流に応じて作動し、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDで目標油圧に相当する油圧を発生させる。これによって、各輪のホイールシリンダWCA,WCB,WCC,WCDでは、油圧がマスタシリンダ圧より減圧され、昇圧速度がマスタシリンダMCの昇圧速度より小さくなる。そのため、制動力増加速度(車両の減速度)も小さくなり、車両ピッチング共振周波数を下回り、車両に過大なピッチングが発生しない。この場合も、第1の実施の形態と同様に、図6(a)に示すように車両が過大なピッチング状態になることなく、図6(b)に示すように車両のピッチングが極力抑制された状態となる。
S13にて車体速が低速判定車体速以上と判定した場合あるいはS14にてマスタシリンダの昇圧速度が下限昇圧速度以下又は上限昇圧速度以上と判定した場合、ECU15では第1の実施の形態のS16と同様の処理を行い、ブレーキアクチュエータ4でも第1の実施の形態と同様の動作を行う。
この制動力制御装置11によれば、車両に過大なピッチングが発生すると予測した場合にはマスタシリンダ圧に対して減圧してホイールシリンダの昇圧速度を下げ、制動力増加速度が車両ピッチング共振周波数から外れるようにすることにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。また、制動力制御装置11でも、低速走行時にのみピッチングを抑制するための制動力制御を行うので、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態ではブレーキアクチュエータによってブレーキ油圧を任意に制御することにより制動力を変化させる構成としたが、ブレーキアシストのようにブレーキ油圧を加圧するなどの他の手段でもよい。また、本実施の形態では制動力を変化させるためにブレーキアクチュエータによってホイールシリンダの油圧を制御する構成としたが、ブレーキブースタによってマスタシリンダの油圧を変化させるなどの他の構成としてもよい。
また、本実施の形態では制動力の増加速度としてマスタシリンダの油圧を検出し、マスタシリンダの昇圧速度を演算する構成としたが、センサによってブレーキペダルのストロークや踏力などの制動力に関する他の量を検出し、その変化速度を演算する構成としてもよいし、あるいは、センサによって制動力に関する量の増加速度を直接検出する構成としてもよい。
また、本実施の形態では低速走行中かつブレーキ昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する範囲内であった場合にピッチングを抑制するための制動力制御を行う構成としたが、他の車速領域でもピッチングが発生する場合には他の車速領域でもピッチングを抑制するための制動力制御を行ってもよい。
本実施の形態に係る制動力制御装置の構成図である。 マスタシリンダ圧、ホイールシリンダ圧の時間変化を示すグラフであり、(a)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲より低い場合(通常制動の場合)であり、(b)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内の場合(急制動の場合)であり、(c)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内のときに加圧制御を行った場合であり、(d)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内のときに減圧制御を行った場合である。 マスタシリンダの昇圧速度の時間変化を示すグラフであり、(a)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲より低い場合(通常制動の場合)であり、(b)が昇圧速度が車両ピッチング共振周波数に相当する昇圧速度範囲内の場合(急制動の場合)である。 第1の実施の形態に係るECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係るECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。 車両のピッチング方向の状態を示す模式図であり、(a)が過大なピッチングが発生した場合であり、(b)が本実施の形態に係る制動力制御装置によってピッチングが抑制された場合である。
符号の説明
1,11…制動力制御装置、2A,2B,2C,2D…車輪速センサ、3…マスタシリンダ圧センサ、4…ブレーキアクチュエータ、5,15…ECU

Claims (4)

  1. 運転者による制動操作に基づいて車両に作用する制動力を制御する制動力制御装置であって、
    制動力の増加速度を求める制動力増加速度手段を備え、
    前記制動力増加速度手段で求めた制動力増加速度が車両のピッチング方向の共振周波数に基づいて設定される所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が所定増加速度範囲外になるように制動力を制御することを特徴とする制動力制御装置。
  2. 制動力増加速度が所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が大きくなるように制動力を制御することを特徴とする請求項1に記載する制動力制御装置。
  3. 制動力増加速度が所定増加速度範囲内になった場合に制動力増加速度が小さくなるように制動力を制御することを特徴とする請求項1に記載する制動力制御装置。
  4. 車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記車速検出手段で検出した車速が所定車速以下の場合に制動力増加速度が所定増加速度範囲外になるように制動力を制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載する制動力制御装置。
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