JP2008024243A - 電動テレスコ調整式ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成でステアリング装置全体を車体側部材から離脱させることなく衝撃荷重のエネルギ吸収を行うことができる電動テレスコ調整式ステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリングシャフト9を回転自在に支持するインナコラム1aとアウタコラム1bとを伸縮自在に嵌合したコラム部材1と、電動機63の駆動によって軸方向に移動自在な出力部57を有する電動アクチュエータ51と、インナコラム1a及びアウタコラム1bの何れか一方に電動アクチュエータ51が固定され、他方に電動アクチュエータ51の出力部57が連結されて、電動機63の駆動によってインナコラム1a及びアウタコラム1bの軸方向位置を調整可能とされ、ステアリングシャフト9に衝撃荷重が入力された際に、電動アクチュエータ51の出力部57とインナコラム1a及びアウタコラム1bの他方との結合部が軸方向に相対移動可能に構成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、ステアリングシャフトを回転自在に支持したインナコラムとアウタコラムとを伸縮自在に嵌合したコラム部材を有し、インナコラムとアウタコラムとを電動アクチュエータで相対移動させるようにした電動テレスコ調整式ステアリング装置に関する。
この種の電動テレスコ調整式ステアリング装置としては、例えば、ステアリングホイールを連結したステアリングシャフトをインナコラムに回転自在に支持し、このインナコラムをアウタコラムに伸縮自在に嵌合してコラム部材を構成し、アウタコラムをコラムブラケットを介して車体側部材に取付け、インナコラム及びアウタコラムにこれらを伸縮させる電動アクチュエータを設けた構成の電動式ステアリングコラム装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開WO 03/078234号パンフレット(第1頁、図5、図11)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、インナコラム及びアウタコラム間に電動アクチュエータが取付けられているので、ステアリングシャフトに衝撃荷重が伝達された場合に、電動アクチュエータの存在によってインナコラムがアウタコラムに対して収縮することができず、車体からステアリング装置全体を離脱させる必要があり、ステアリング装置のレイアウトに制約を受けているという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な構成でステアリング装置全体を車体側部材から離脱させることなく衝撃荷重のエネルギ吸収を行うことができる電動テレスコ調整式ステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動テレスコ調整式ステアリング装置は、ステアリングシャフトを回転自在に支持するインナコラムとアウタコラムとを伸縮自在に嵌合したコラム部材と、電動機の駆動によって軸方向に移動自在な出力部を有する電動アクチュエータと、前記インナコラム及び前記アウタコラムの何れか一方に前記電動アクチュエータが固定され、他方に前記電動アクチュエータの出力部が結合されて、前記電動機の駆動によって前記インナコラム及び前記アウタコラムの軸方向位置を調整可能な電動テレスコ調整式ステアリング装置において、前記ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力された際に、前記電動アクチュエータの出力部と前記インナコラム及び前記アウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動可能に構成されていることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動テレスコ調整式ステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記インナコラム及び前記アウタコラムの他方における前記電動アクチュエータの出力部との結合部に当該出力部が係合する長孔を形成し、前記ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力されたときに、前記出力部が長孔内を摺動するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動テレスコ調整式ステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記長孔は、通常時に前記電動アクチュエータの出力部が係合する通常係合部と、衝撃荷重が入力されたときに前記出力部が係合する衝撃荷重入力時係合部とを有し、前記通常係合部と衝撃荷重入力時係合部との間に内方に突出し、且つ前記衝撃荷重の入力時に前記出力部が乗り越え可能な突出部が形成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動テレスコ調整式ステアリング装置は、請求項2又は3に係る発明において、前記衝撃荷重入力時係合部は前記出力部に対して所定の摩擦抵抗を与える抵抗付与部が形成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電動テレスコ調整式ステアリング装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記電動アクチュエータの出力部と前記インナコラム及び前記アウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動する際に、エネルギ吸収するワイヤ部材を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、コラム部材のインナコラム及びアウタコラムを相対移動させる電動アクチュエータの出力部とインナコラム及びアウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動可能に構成されているので、簡単な構成で、ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力されたときに、電動アクチュエータの出力部とこれが連結されているインナコラム及びアウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動して衝撃荷重を吸収することができ、衝撃荷重の入力時にステアリング装置全体を車体側部材から離脱させる必要がないので、ステアリング装置のレイアウト自由度を向上させることができるという効果が得られる。
しかも、ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力されたときに、電動アクチュエータの出力部とインナコラム及びアウタコラムの他方との結合部が軸方向に移動する際に摩擦抵抗を与えることにより、衝撃荷重のエネルギ吸収を安定して行うことができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す電動テレスコ調整式ステアリング装置の全体構成図、図2は電動チルト調整機構の具体的構成を示す構成図、図3は図2のA−A線断面図、図4は電動チルト調整機構のボールスタッドとスリーブとの連結構造を示す断面図、図5は電動テレスコ調整機構の具体的構成を示す構成図、図6は図5の電動アクチュエータを示す底面図、図7は図6の電動アクチュエータを取り除いた状態の底面図、図8は図6のB−B線断面図、図9は図8のC−C線断面図である。
図1において、電動テレスコ調整式ステアリング装置16は、車両の前後方向に延長し、車両後方側にステアリングホイール8を固定したステアリングシャフト9を、車体に支持したコラム部材1の内側に回転自在に支持している。このステアリングシャフト9の車両前方側端部は、両端に自在継手17a、17bを有する中間シャフト18を介してステアリングギヤ19の入力軸に、操舵トルクを伝達可能に連結されている。
このステアリングギヤ19は図示しないが入力軸に連結されたピニオンとこのピニオンと噛合するラックを有するラック軸とを有するラックピニオン機構で構成され、ラック軸がタイロッド20を介して図示しない転舵輪に連結されている。
そして、ステアリングホイール8を操舵することにより、操舵トルクがステアリングギヤ19に伝達され、その出力軸となるラック軸からタイロッド20を介して図示しない転舵輪に伝達されることにより、ステアリングホイール8の回転方向に応じて転舵輪が転舵される。
コラム部材1は、図2に示すように、ステアリングシャフト9を回転自在に支持したインナコラム1aとこのインナコラム1aが伸縮自在に内嵌されたアウタコラム1bとで構成されている。アウタコラム1bは、車体側部材21に固定した鋼板プレス成形品のコラムブラケット22に支持されている。このコラムブラケット22は、車体側部材21に固着される取付部23と、この取付部23の前端から下方に延設されたピボット部24と、取付部23の後端から下方に延設されたコラム支持用板部25とから構成されている。
ここで、ピボット部24では、下端部にコラム部材1にその軸方向に直交する方向に突設されたピボットピン26を回転自在に支持しており、このピボットピン26を中心にしてコラム部材1が上下方向に揺動自在に支持されている。
一方、コラム支持用板部25は、図3に示すように、矩形板状に形成され、その左右方向の中央部に、コラム部材1を構成するアウタコラム1bの車両後端側端部(図2の右端部)を上下動可能に案内する上下方向に延長する長孔25aが形成されている。
そして、コラム部材1のチルト調整を行うために電動チルト調整機構27が設けられている。この電動チルト調整機構27は、図2に示すように、コラム部材1に取付けられたボールねじ軸支持用ブラケット28と、このブラケット28に回転自在に支持されたボールねじ軸31と、このボールねじ軸31にボールを介して螺合するボールナット32と、ボールねじ軸31を回転駆動する電動モータ38とを備えている。
ボールねじ軸支持用ブラケット28は、コラム部材1の外周面の幅方向片側(図2の表側、図3の左側)に、コラムブラケット22のコラム支持用板部25と略平行に一体に形成されている。このブラケット28には、その上下のアッパ支持部29とロア支持部30との間にボールねじ軸31が配置され、その上下両端部が図示しない転がり軸受により回転自在に支持されている。
ボールねじ軸31には、図2及び図3に示すように、ボールナット32がボールを介在して螺合され、このボールナット32の車両後方側端面にボール部33と軸部34とからなるボールスタッド35の軸部34が固定されている。ボールスタッド35のボール部33はコラムブラケット22のコラム支持用板部25の車両後方側端面における例えばピボット軸26と同一高さ位置に突出形成された円筒状のスリーブ36内に係合されている。なお、回転運動を直線運動に変換する機構としては上述したボールねじを適用する場合に限らず、ねじ軸に直接ナットを螺合させるようにしてもよい。
また、ボールねじ軸支持用ブラケット28には、図2に示すように、電動モータ38の例えば断面矩形のケース体39がその回転軸をコラム部材1の軸方向と平行となるように固定されている。
この電動モータ38は、例えばブラシ付き直流モータ、ブラシレスモータ等で構成され、図2に示すように、回転軸40にウォーム41が連結され、このウォーム41が前述したボールねじ軸31の下端側に取付けられたウォームホイール42に噛合されている。
したがって、電動モータ38を正逆転駆動することにより、ウォーム41及びウォームホイール42を介してボールねじ軸31が正逆転されることにより、ボールナット32に取付けたボールスタッド35がコラムブラケット22のコラム支持用板部25に固定されたスリーブ36に係合されているので、コラム部材1がピボット軸26を中心として上下に回動してチルト調整を行うことができる。
このコラム部材1のチルト調整時に、コラム部材1がピボット軸26を中心として回動するため、ボールナット32のボールスタッド35を取付けた面が、図4で拡大図示したように、ピポット軸26を中心とする円弧上の各点の接線方向に延長することになるので、ボールナット32が実線図示の中立位置に対して上下方向に移動することにより、上下端位置で二点鎖線図示のように傾斜すると共にスリーブ36に対する距離が変化することになるが、ボールスタッド35のボール部33が円筒状のスリーブ36に係合しているので、ボールナット32の傾斜及び距離変化を許容することができ、チルト調整を阻害したり、各構成部材に不要な応力や摩擦を生じさせたりすることを防止することができる。
また、コラム部材1には、図5に示すように、電動テレスコ調整機構50が設けられている。この電動テレスコ調整機構50は、インナコラム1aをアウタコラム1bに対して伸縮させる電動アクチュエータ51を備えている。
この電動アクチュエータ51を装着するアウタコラム1bの下端には、図5及び図6に示すように、軸方向に延長してインナコラム1aを露出させる開口部52が形成され、また、インナコラム1aの開口部52に対向する下端外周面が、図9に示すように、平坦面53とされている。
そして、電動アクチュエータ51は、アウタコラム1bの開口部52の軸方向両端位置に一体に突出形成されたボールねじ軸保持板部54a及び54bを有し、これらボールねじ軸保持板部54a及び54b間に図示しない転がり軸受で回転自在に保持されたボールねじ軸55が回転自在に配設されている。このボールねじ軸55には前述した電動チルト調整機構27と同様に車両前方側(図8で左端側)にウォームホイール56が一体に取付けられている。
また、ボールねじ軸55にボールを介して出力部としてのボールナット57が螺合され、このボールナット57にボール部58と軸部59とを有するボールスタッド60が固定され、そのボール部58がインナコラム1aの開口部52から露出する外周面に軸方向に延長して形成された長孔61内に係合された円筒状のスリーブ62に係合されている。この場合も、前述した電動チルト調整機構27と同様にボールねじに変えてねじ軸とこれに螺合するナットを適用することができる。
一方、車両前方側のボールねじ軸保持板部54aには電動モータ63が取付けられ、その回転軸に形成されたウォーム64(回転軸と一体であっても別体であってもよい)がボールねじ軸55に取付けられたウォームホイール56に噛合されている。
ここで、インナコラム1aに形成された長孔61は、図6〜図9に示すように、通常時にスリーブ62が係合する円形の通常時係合部61aと、この通常時係合部61aからステアリングホイール8側に延長し、インナコラム1aに衝撃荷重が入力されたときにスリーブ62が係合する長円形の衝撃荷重入力時係合部61bとを有し、通常時係合部61aと衝撃荷重入力時係合部61bとの間に対向側壁から夫々内方に突出し、且つ設定されたコラプス荷重以上の衝撃荷重の入力時にスリーブ62によって潰されるか又はスリーブ62が後述する円筒状スペーサ62dが収縮して乗り越えことが可能な突出部61cが形成されている。そして、通常時係合部61aの直径φに対して衝撃荷重入力時係合部61bの幅Wが狭く(φ>W)設定されて抵抗付与部とされ、スリーブ62が衝撃荷重入力時係合部61bを摺動する際に摩擦抵抗を発生させて衝撃エネルギを安定して吸収できるように設定されている。
一方、スリーブ62は、図8及び図9に示すように、ボールスタッド60のボール部58が係合する下面を開放した有底円筒部62aと、この有底円筒部62aの上端面中央部から上方に突出し上端側に雄ねじを形成した支持軸62bと、この支持軸62bに外嵌されたアウタコラム1bの長孔61の幅より広い直径の間座62cと、この間座62c上に同様に支持軸62bに外嵌され且つインナコラム1aの厚みより僅かに厚い厚みで長孔61に係合する合成樹脂製の円筒状スペーサ62dと、支持軸62bの雄ねじに螺合するインナコラム1aの長孔61の通常時係合部61aより大きな直径のナット62eとで構成されている。ここで、間座62c及びナット62eの少なくともインナコラム1aの外周面及び内周面に接触する角部にはR面取りが施されている。
そして、スリーブ62の支持軸62bに、先ず、間座62cを外嵌させ、その上から円筒状スペーサ62dを外嵌させた状態で、インナコラム1aの長孔61の通常時係合部61aに下側から挿通し、例えばインナコラム1a及びアウタコラム1bの通常時係合部61aに上方から対向する位置に穿設されたナット挿通孔65を通じてナット62eを挿入して支持軸62bの雄ねじに螺合させることにより、スリーブ62を通常時係合部61aに装着する。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
例えば運転者が運転席に着座して、コラム部材1のチルト角を調整したい場合には、例えばコラム部材1の脇に配置したコラム部材1のアップ/ダウンを指示するチルト調整用スイッチ(図示せず)を操作することにより、電動チルト調整機構27の電動モータ38を正逆転駆動してチルト角を調整することができる。
すなわち、チルト調整用スイッチでチルトアップを選択すると、図示しないモータ制御装置によって電動チルト調整機構27の電動モータ38が例えば逆転駆動され、これによってウォーム41及びウォームホイール42を介してボールねじ軸31が逆転されることにより、ボールナット32がボールねじ軸支持用ブラケット28のロア支持部30側に向かって移動することになる。
しかしながら、ボールナット32はこれに固定されたボールスタッド35のボール部33が車体側部材21に固定されたコラムブラケット22のコラム支持用板部25に固定された円筒状のスリーブ36内に係合しているので、ボールナット32は上下方向に移動することはなく、逆にボールねじ軸31が上方に移動することになり、ボールねじ軸支持用ブラケット28を介してコラム部材1がピボット部24のピボットピン26を支点としてコラム支持用板部25の長孔25aに案内されてチルトアップすることになる。
そして、コラム部材1が所望のチルトアップ位置となったときにチルト調整用スイッチをオフ状態に復帰させることにより、電動モータ38の逆転駆動が停止されてコラム部材1が所望のチルトアップ位置を保持する。
同様に、コラム部材1をチルトダウンさせる場合には、チルト調整用スイッチ(図示せず)でチルトダウンを選択して、図示しないモータ制御装置で電動モータ38を正転駆動することにより、ウォーム41及びウォームホイール42を介してボールねじ軸31が正転駆動される。このため、コラム部材1がコラムブラケット22のコラム支持用板部25の長孔25aによって案内されてピボット部24のピボットピン26を支点としてチルトダウンする。そして、コラム部材1が所望のチルトダウン位置に達したときにチルト調整用スイッチをオフ状態とすることにより、電動モータ38の駆動が停止されて所望のチルトダウン位置を保持する。
このように、電動モータ38を正逆転駆動することにより、コラム部材1がピボットピン26を中心として上下方向に揺動してチルト位置を調整することができるものであるが、このコラム部材1の上下方向の揺動に応じてボールナット32に固定されているボールスタッド35のスリーブ36に対する軸方向位置及び角度が変化することになる。
しかしながら、ボールスタッド35のボール部33がスリーブ36に係合しているので、ボールスタッド35の軸方向位置や角度が変化してもボール部33が軸方向に摺動したり摺接点が円周方向に移動したりすることにより、ボール部33とスリーブ36との係合関係が崩れることはなく、チルト動作を円滑に行うことができる。
また、コラム部材1のアウタコラム1bに対してインナコラム1aを伸縮させるテレスコ位置調整を行いたい場合には、例えばコラム部材1の脇に配置したテレスコ位置の伸張/収縮を指示するテレスコ調整用スイッチ(図示せず)を操作することにより、電動テレスコ調整機構50の電動モータ63を正逆転駆動してテレスコ位置を調整することができる。
すなわち、テレスコ位置調整スイッチで伸張を選択すると、図示しないモータ制御装置によって電動テレスコ調整機構50の電動モータ63が例えば逆転駆動され、これによってウォーム64及びウォームホイール56を介してボールねじ軸55が逆転されることにより、ボールナット57がボールねじ軸保持板部54b側に向かって移動することになる。
このとき、ボールナット57に取付けたボールスタッド60のボール部58がスリーブ62の有底円筒部62a内に係合し、このスリーブ62がインナコラム1aに形成した長孔61の通常時係合部61aに係合しており、通常時係合部61aと衝撃荷重入力時係合部61bとの間に通常時には通過できない突出部61cが形成されているので、通常時にスリーブ62が突出部61cを越えて衝撃荷重入力時係合部61bに係合することが阻止されている。このボールナット57のステアリングホイール8側への移動に伴って、インナコラム1aがアウタコラム1bに対して伸張する。そして、インナコラム1aが所望のテレスコ伸張位置となったときにテレスコ調整用スイッチをオフ状態に復帰させることにより、電動モータ63の逆転駆動が停止されてインナコラム1aが所望のテレスコ伸張位置を保持する。
同様に、コラム部材1のインナコラム1aをアウタコラム1bに対して収縮させるには、テレスコ調整用スイッチ(図示せず)でテレスコ収縮を選択して、図示しないモータ制御装置で電動モータ63を正転駆動することにより、ウォーム64及びウォームホイール56を介してボールねじ軸55が正転駆動される。このため、ボールナット57がボールねじ軸保持板部54a側に移動され、これに応じてインナコラム1aがアウタコラム1bに対して収縮する。そして、インナコラム1aが所望のテレスコ収縮位置となったときにテレスコ調整用スイッチをオフ状態に復帰させることにより、電動モータ63の正転駆動が停止されてインナコラム1aが所望のテレスコ収縮位置を保持する。
このように、電動テレスコ調整機構50でテレスコ位置調整を行う場合には、ボールナット57に取付けられたボールスタッド60のボール部58が係合しているスリーブ62が、インナコラム1aに形成された長孔61の通常時係合部61aに係合しており、衝撃荷重入力時係合部61bとの間に突出部61cが形成されているので、通常のテレスコ位置調整ではスリーブ62の円筒状スペーサ62dが突出部61cを通過することはなく、ボールナット57の移動に伴ってインナコラム1aが伸縮される。
ところが、二次衝突時に、ステアリングホイール8に車両前方への設定されたコラプス荷重以上の衝撃荷重が作用すると、この衝撃荷重がステアリングホイール8からステアリングシャフト9を介してこのステアリングシャフト9を回転自在に支持するインナコラム1aに伝達される。
このときのインナコラム1aに伝達される衝撃荷重がコラプス荷重以上であり、スリーブ62がその有底円筒部62aにボールナット57に形成されたボールスタッド60のボール部58が係合して、軸方向の移動が規制されているので、インナコラム1aに伝達される衝撃荷重によってインナコラム1aに形成された長孔61における通常時係合部61a及び衝撃荷重入力時係合部61b間の突出部61cがスリーブ62の円筒状スペーサ62dによって潰されるか又は円筒状スペーサ62dが変形することにより、長孔61の通常時係合部61aが円筒状スペーサ62dに係合している状態から突出部61cを通過して衝撃荷重入力時係合部61bが円筒状スペーサ62dに係合する状態に移行する。
このため、インナコラム1aがアウタコラム1b内に収縮し、このインナコラム1aの収縮時に、衝撃荷重入力時係合部61bの幅Wが通常時係合部61aの直径より狭められていることから、スリーブ62の円筒状スペーサ62dとの間に適度な摩擦抵抗が生じ、これによりステアリングホイール8に伝達された衝撃荷重の衝撃エネルギを安定して吸収することができる。
このように、上記実施形態によると、テレスコ位置の位置決めを行うボールナット57に取付けられたボールスタッド60のボール部58がスリーブ62の有底円筒部62aに係合し、このスリーブ62の円筒状スペーサ62dが通常時はインナコラム1aに形成された長孔61の通常時係合部61aに係合しているが、インナコラム1aにコラプス荷重以上の衝撃荷重が伝達されたときに、長孔61の突出部61cがスリーブ62の円筒状スペーサ62dを通過して衝撃荷重入力時係合部61bがスリーブ62の円筒状スペーサ62dに係合する状態となり、この状態で円筒状スペーサ62dと衝撃荷重入力時係合部61bとの間に摩擦抵抗が発生して、衝撃荷重の衝撃エネルギを確実に吸収することができる。
しかも、インナコラム1aに形成した長孔61とこれに係合するボールナット57に結合されたスリーブ62とを設けるだけの簡単な構成で、衝撃エネルギを吸収することができ、ステアリング装置全体を離脱させる必要がないので、ステアリング装置のレイアウトの自由度を向上させることができる。
なお、上記実施形態においては、インナコラム1aに形成した長孔61の衝撃荷重入力時係合部61bがその幅Wが通常時係合部61aの直径φより小さく設定されてスリーブ62の円筒状スペーサ62dとの間に摩擦抵抗を与えるように構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、長孔の変形例を表す図10に示すように、衝撃荷重入力時係合部61bのスリーブ62の円筒状スペーサ62dが摺接する摺接面に抵抗付与部としての合成樹脂材70を配設してスリーブ62の円筒状スペーサ62dとの間に摩擦抵抗を発生させるように構成してもよい。
また、長孔の変形例を表す図11に示すように、インナコラム1aに形成した長孔61の衝撃荷重入力時係合部61bを、突出部61cと同様の突出部71を軸方向に所定間隔を保って複数配列して抵抗付与部を形成し、衝撃荷重が入力されたときに突出部71とスリーブ62の円筒状スペーサ62dとの間で摩擦抵抗を発生させるようにしてもよい。
さらに、長孔の変形例を表す図12〜図14に示すように、衝撃荷重入力時係合部61bの幅Wを通常時係合部61aの直径以上の幅に形成し、これに応じて、インナコラム1aの長孔61の延長線上におけるステアリングホイール8とは反対側の端部にローラ72をその軸方向をインナコラム1aの軸方向と直交する方向として回転自在に支持すると共に、スリーブ62の有底円筒部62aにおけるステアリングホイール8側の外周面を半周するU字状部73aと、このU字状部73aの両端からローラ72に達する平行直線部73bと、この平行直線部73bの端部でローラ72に沿って180°折り曲げられた折り曲げ部73cと、この折り曲げ部73cからインナコラム1aの内周面に沿って延長する延長部73dとで構成されるワイヤ73を配設するようにしてもよい。この場合には、インナコラム1aにコラプス荷重以上の衝撃荷重が入力されたときに、インナコラム1aの長孔61における突出部61cがスリーブ62の円筒状スペーサ62dを通過して衝撃荷重入力時係合部61bがスリーブ62の円筒状スペーサ62dと係合する状態となってインナコラム1aがアウタコラム1b内に収縮する際に、インナコラム1aの収縮に伴ってワイヤ73の折り曲げ部73cがローラ72位置でしごかれることにより摩擦抵抗を発生させて、衝撃荷重の衝撃エネルギを吸収するように構成してもよい。なお、ワイヤ73に代えてワイヤ73と同一形状に形成した薄板状のプレートを適用するようにしてもよい。また、ワイヤ73の断面形状は丸型の針金状のものに限られず、断面が長円形や多角形のものでもよく、また断面が長方形のプレートを適用するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、電動アクチュエータ51を構成するボールねじ軸55、電動モータ63等をアウタコラム1bに固定し、電動アクチュエータ51の出力部となるボールナット57に取付けたボールスタッド60のボール部58が係合するスリーブ62をインナコラム1aとの結合部に設けた長孔61に係合させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、インナコラム1aに電動アクチュエータ51を構成するボールねじ55及び電動モータ63を固定し、ボールナット57に取付けられたボールスタッド60のボール部58が係合するスリーブ62をアウタコラム1bに形成した通常時係合部61a、衝撃荷重入力時係合部61b及び突出部61cを有する長孔61に係合させるようにしてもよい。
なおさらに、上記実施形態においては、スリーブ62をインナコラム1aに形成した長孔61に係合させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、スリーブ62をインナコラム1aに固定し、ボールナット57に通常時係合部61a、衝撃荷重入力時係合部61b及び突出部61cを有する長孔61に対応する長孔を設け、この長孔にボールスタッド60の軸部59を前述したスリーブ62と同様の構成で係合させるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ボールナット57をボールスタッド60及びスリーブ62を介してインナコラム1aの長孔61に係合させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、スタッド60及びスリーブ62を省略し、これらに代えてボールナット57に直接インナコラム1aの長孔61に係合する係合片を形成するようにしてもよい。この場合も、インナコラム1aに係合片を固定し、ボールナット57に長孔61を形成するようにしてもよい。さらには、インナコラム1aの長孔61を省略して、スリーブ62を直接インナコラム1aに取付け、二次衝突時の衝撃荷重が作用したときに、ボールスタッド60のボール部58とボールナット57との間が破断するように構成してもよい。
さらに、上記実施形態においては、インナコラム1aに形成した長孔61の突出部61cを対向側壁の夫々から内方に突出させた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、対向側壁の何れか一方のみから突出させるようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、電動テレスコ調整式ステアリング装置16が電動チルト調整機構27を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動チルト調整機構27を省略することもできる。
なおさらに、上記実施形態においては、電動テレスコ機構50について二次衝突時の衝撃荷重が入力されたときに電動アクチュエータの出力部とインナコラム及びアウタコラムの他方との結合部を相対移動可能に構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動チルト機構30についてもコラムブラケット22に通常時係合部61a及びその上側に連接する衝撃荷重入力時係合部61bを有する長孔61を形成して、その通常時係合部61aにスリーブ36を係合させることにより、ステアリングホイール8に二次衝突時の衝撃荷重が作用したときにその垂直分力によってステアリングコラム1が上方に移動されるときに、スリーブ36が通常時係合部61aから脱して衝撃荷重入力時係合部61bを摺動することにより、摩擦抵抗を発生させて衝撃エネルギを安定して吸収することができる。この場合も電動テレスコ機構50と同様に図10〜図14に示す変形例も適用することができる。さらには長孔を省略して、衝撃荷重の作用時にボールスタッド35のボール部33とボールナット32との間が破断するように構成してもよい。
本発明による電動テレスコ調整式ステアリング装置を示す全体構成図である。 電動チルト調整機構の一例を示す側面図である。 図2のA−A線断面図である。 電動チルト調整機構のボールスタッドとスリーブとの連結構造を示す断面図である。 電動テレスコ調整機構の具体的構成を示す構成図である。 図5の電動アクチュエータを示す底面図である。 図6の電動アクチュエータを取り除いた状態の底面図である。 図6のB−B線断面図である。 図8のC−C線断面図である。 インナコラムに形成した長孔の変形例を示す底面図である。 インナコラムに形成した長孔のさらに他の変形例を示す底面図である。 インナコラムに形成した長孔のなおさらに他の変形例を示す底面図である。 図12のD−D線断面図である。 図12のE−E線断面図である。
符号の説明
1…コラム部材、1a…インナコラム、1b…アウタコラム、8…ステアリングホイール、9…ステアリングシャフト、16…電動テレスコ調整式ステアリング装置、22…コラムブラケット、24…ピボット部、25…コラム支持部、28…ボールねじ軸支持用ブラケット、31…ボールねじ軸、32…ボールナット、33…ボール部、34…軸部、35…ボールスタッド、36…スリーブ、38…電動モータ、41…ウォーム、42…ウォームホイール、50…電動テレスコ調整機構、51…電動アクチュエータ、52…開口部、55…ボールねじ軸、56…ウォームホイール、57…ボールナット、58…ボール部、59…軸部、60…ボールスタッド、61…長孔、61a…通常係合部、61b…衝撃荷重入力時係合部、61c…突出部、62…スリーブ、62a…有底円筒部、62b…支持軸、62c…間座、62d…円筒状スペーサ、62e…ナット、63…電動モータ、64…ウォーム、70…合成樹脂材、71…突出部、73…ワイヤ、73a…U字状部、73b…平行直線部、73c…折り曲げ部、73d…延長部

Claims (5)

  1. ステアリングシャフトを回転自在に支持するインナコラムとアウタコラムとを伸縮自在に嵌合したコラム部材と、電動機の駆動によって軸方向に移動自在な出力部を有する電動アクチュエータと、前記インナコラム及び前記アウタコラムの何れか一方に前記電動アクチュエータが固定され、他方に前記電動アクチュエータの出力部が結合されて、前記電動機の駆動によって前記インナコラム及び前記アウタコラムの軸方向位置を調整可能な電動テレスコ調整式ステアリング装置において、
    前記ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力された際に、前記電動アクチュエータの出力部と前記インナコラム及びアウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とする電動テレスコ調整式ステアリング装置。
  2. 前記インナコラム及び前記アウタコラムの他方における前記電動アクチュエータの出力部との結合部に当該出力部が係合する長孔を形成し、前記ステアリングシャフトに衝撃荷重が入力されたときに、前記出力部が長孔内を摺動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動テレスコ調整式ステアリング装置。
  3. 前記長孔は、通常時に前記電動アクチュエータの出力部が係合する通常係合部と、衝撃荷重が入力されたときに前記出力部が係合する衝撃荷重入力時係合部とを有し、前記通常係合部と衝撃荷重入力時係合部との間に内方に突出し、且つ前記衝撃荷重の入力時に前記出力部が乗り越え可能な突出部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動テレスコ調整式ステアリング装置。
  4. 前記衝撃荷重入力時係合部は前記出力部に対して所定の摩擦抵抗を与える抵抗付与部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電動テレスコ調整式ステアリング装置。
  5. 前記電動アクチュエータの出力部と前記インナコラム及び前記アウタコラムの他方との結合部が軸方向に相対移動する際に、エネルギ吸収するワイヤ部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動テレスコ調整式ステアリング装置。
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