JP2009004518A - 薄膜トランジスタ基板、および表示デバイス - Google Patents

薄膜トランジスタ基板、および表示デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】バリアメタル層を省略しても優れたTFT特性を発揮し得、ソース−ドレイン電極をTFTの半導体層に直接かつ確実に接続することができる技術を提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタの半導体層33と、ソース−ドレイン電極28,29とを有する薄膜トランジスタ基板において、ソース−ドレイン電極28,29は、酸素を含有する酸素含有層28a、29aと、純CuまたはCu合金の薄膜28b、29bとからなっている。酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、薄膜トランジスタの半導体層33のSiと結合している。また、純CuまたはCu合金の薄膜28b、29bは、酸素含有層28a、29aを介して薄膜トランジスタの半導体層33と接続している。
【選択図】図7

Description

本発明は、液晶ディスプレイ、半導体、光学部品などに使用される薄膜トランジスタ基板、および表示デバイスに関し、特に、ソース−ドレイン電極を薄膜トランジスタの半導体層と直接接続することが可能な新規な薄膜トランジスタ基板に関するものである。
小型の携帯電話から、30インチを超す大型テレビに至るまで様々な分野に用いられている液晶ディスプレイは、画素の駆動方法によって、単純マトリックス型液晶ディスプレイとアクティブマトリックス型液晶ディスプレイに分けられる。このうちスイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと呼ぶ。)を有するアクティブマトリックス型液晶ディスプレイは、高精度の画質を実現でき、高速の動画にも対応できるため、汎用されている。
図1を参照しながら、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイに適用される代表的な液晶ディスプレイの構成および動作原理を説明する。ここでは、活性半導体層として水素アモルファスシリコンを用いたTFT基板(以下、アモルファスシリコンTFT基板と呼ぶ場合がある。)の例を説明する。
図1に示すように、液晶ディスプレイ100は、TFT基板1と、TFT基板1に対向して配置された対向基板2と、TFT基板1と対向基板2との間に配置され、光変調層として機能する液晶層3とを備えている。TFT基板1は、絶縁性のガラス基板1a上に配置されたTFT4、透明画素電極5、走査線や信号線を含む配線部6を有している。透明画素電極5は酸化インジウム(In)中に酸化錫(SnO)を10質量%程度含む酸化インジウム錫(ITO)膜などから形成されている。TFT基板1は、TABテープ12を介して連結されたドライバ回路13および制御回路14によって駆動される。
対向基板2は、TFT基板1側に絶縁性のガラス基板1bの全面に形成された共通電極7と、透明画素電極5に対向する位置に配置されたカラーフィルタ8と、TFT基板1上のTFT4および配線部6に対向する位置に配置された遮光膜9とを有している。対向基板2は、液晶層3に含まれる液晶分子(不図示)を所定の向きに配向させるための配向膜11を更に有している。
TFT基板1および対向基板2の外側(液晶層3側とは反対側)には、それぞれ、偏光板10a、10bが配置されている。
液晶パネル100では、対向基板2と透明画素電極5との間に形成される電界によって液晶層3における液晶分子の配向が制御され、液晶層3を通過する光が変調される。これにより、対向基板2を透過する光の透過量が制御され、画像として表示される。
次に、図2を参照しながら液晶パネルに好適に用いられる従来のアモルファスシリコンTFT基板の構成および動作原理を詳しく説明する。図2は図1中、Aの要部拡大図である。
図2では、ガラス基板(不図示)上に走査線(ゲート配線)25が形成されており、走査線25の一部はTFTのオン・オフを制御するゲート電極26として機能する。ゲート電極26を覆うようにしてゲート絶縁膜(Si窒化膜)27が形成されている。ゲート絶縁膜27を介して走査線25と交差するように信号線(ソース−ドレイン配線)34が形成され、信号線34の一部は、TFTのソース電極28として機能する。ゲート絶縁膜27上に、アモルファスシリコンチャネル層(活性半導体層)33、信号線(ソース−ドレイン配線)34、層間絶縁Si窒化膜(保護膜)30が順次形成されている。このタイプは一般にボトムゲート型とも呼ばれる。
アモルファスシリコンチャネル層33は、P(リン)がドープされたドープト層(n層)と、Pがドープされていないイントリンシック層(i層、ノンドーピング層とも呼ばれる)とからなる。ゲート絶縁膜27上の画素領域には、例えばIn中にSnOを含むITO膜によって形成された透明画素電極5が配置されている。TFTのドレイン電極29は、透明画素電極5に直接コンタクトして電気的に接続される。
走査線25を介してゲート電極26にゲート電圧が供給されると、TFT4はオン状態となり、予め信号線34に供給された駆動電圧により、ソース電極28から、ドレイン電極29を介して透明画素電極5へ電流が流れる。そして、透明画素電極5に所定レベルの駆動電圧が供給されると、図1で説明したように、透明画素電極5と対向電極2との間に電位差が生じる結果、液晶層3に含まれる液晶分子が配向して光変調が行われる。
TFT基板1において、ソース−ドレイン電極に電気的に接続されるソース−ドレイン配線34、ゲート電極26に電気的に接続される走査線25は、従来、加工が容易であるなどの理由により、Al−NdなどのAl合金(以下、これらをAl系合金と呼ぶ。)の薄膜から形成されている。ところが、液晶ディスプレイの大型化に伴い、配線のRC遅延(配線を伝わる電気信号が遅れる現象)などの問題が顕在化しており、より低い電気抵抗率を有する配線材料へのニーズが高まっている。そこで、Al−2.0at%NdなどのAl系合金に比べて電気抵抗率が低いCuが注目されている。
純Cuなどを配線に使用するときには、ソース−ドレイン配線34、ゲート電極26、および走査線25の下部には、それぞれ、図2に示すように、Mo、Cr、Ti、Wなどの高融点金属からなるバリアメタル層51、52、53が形成されている。特許文献1〜6には、このようなバリアメタル層を有するソース−ドレイン電極などの技術が記載されており、代表的には例えば、厚さ約50nmのMo層(下部バリアメタル層)、厚さ約250nmの純CuやCu合金が順次形成された二層構造の積層配線が挙げられる。
ここで、図2に示すように、アモルファスシリコンチャネル層33と純CuやCu合金からなるソース−ドレイン配線34との間に下部バリアメタル層53を介在させる主な理由は、純Cuなどの薄膜とアモルファスシリコンチャネル層との界面(以下、単に界面と呼ぶ場合がある。)において、SiとCuとが相互に拡散するのを防止するためである。
つまり、純Cu薄膜やCu合金薄膜をアモルファスシリコンチャネル層と直接接合した状態で、TFTの後工程において、シンタリングやアニールなどの熱処理を行うと、純CuやCu合金のCuがアモルファスシリコン中に拡散したり、アモルファスシリコンのSiがCu中に拡散したり、界面にて、CuとSiの反応層を形成したりする。その結果、アモルファスシリコンの半導体性能が著しく劣化し、オン電流が低下したり、TFTのスイッチングのオフ時に流れるリーク電流(オフ電流)が上昇したり、TFTのスイッチング速度が低下したり、エッチング不良を生じたりするといった不良を招く。そのため所望のTFT特性を得ることができないばかりか、TFTを作製することが困難であるといった問題を生じる。下部バリアメタル層53は、このようなCuとSiとの相互拡散を抑制するのに有効である。
また、配線材料として純CuやCu合金を使用する場合、アモルファスシリコンチャネル層33から配線が浮き上がり、断線するなどの不良が生じる。これは、Cuとアモルファスシリコンチャネル層との密着性が悪いためである。そのため、アモルファスシリコンチャネル層33と純CuやCu合金との間に下部バリアメタル層53を介在させて密着性を高めている。
しかし、上記のように下部のバリアメタル層53を形成するためには、純CuやCu合金の配線形成用の成膜装置に加え、バリアメタル層形成用の成膜装置が別途必要になる。具体的には、バリアメタル層形成用の成膜チャンバーをそれぞれ余分に装備した成膜装置(代表的には、複数の成膜チャンバーがトランスファーチャンバーに接続されたクラスタツール)を用いなければならない。液晶ディスプレイの大量生産に伴なって低コスト化が進むにつれて、バリアメタル層の形成にともなう製造コストの上昇や生産性の低下は軽視できなくなっている。
このように、下部バリアメタル層を形成するためには、ゲート電極やソース電極−ドレイン電極の形成に必要な成膜チャンバーに加えて、バリアメタル層形成用の成膜チャンバーを余分に装備しなければならず、製造コストの上昇や生産性の低下を招く。
そのため、バリアメタル層の形成を省略でき、ソース−ドレイン電極をアモルファスシリコンチャネル層などの半導体層と直接接合し得る配線材料が切望されている。例えば、特許文献7〜特許文献11には、純CuやCu合金ではないが、純AlまたはAl合金を配線材料として用いた場合におけるバリアメタル層の省略技術が開示されている。
上記では、液晶ディスプレイを代表的に取り上げて説明したが、前述した課題は液晶ディスプレイに限定されず、アモルファスシリコンTFT基板に共通して見られる。また、上記課題は、TFTの半導体層として、アモルファスシリコンのほか、多結晶シリコンを用いたTFT基板においても見られる。
特開平7−66423号公報 特開2001−196371号公報 特開2002−353222号公報 特開2004−133422号公報 特開2004−212940号公報 特開2005−166757号公報 特開平11−337976号公報 特開平11−283934号公報 特開平11−284195号公報 特開2004−214606号公報 特開2003−273109号公報
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、ソース−ドレイン電極とTFTの半導体層との間に通常設けられるバリアメタル層を省略しても優れたTFT特性を発揮し得、ソース−ドレイン配線をTFTの半導体層に直接かつ確実に接続することができる技術を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の薄膜トランジスタ基板は、薄膜トランジスタの半導体層と、ソース−ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ基板において、前記ソース−ドレイン電極は、酸素を含有する酸素含有層と、純CuまたはCu合金の薄膜とからなり、前記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層のSiと結合しており、前記純CuまたはCu合金の薄膜は、前記酸素含有層を介して前記薄膜トランジスタの半導体層と接続していることに要旨を有している。
好ましい実施形態において、前記酸素含有層を構成する酸素原子数([O])とSi原子数([Si])との比([O]/[Si])の最大値は、0.3以上2.0以下の範囲内である。
好ましい実施形態において、前記[O]/[Si]の最大値が0.3以上2.0以下の範囲である酸素含有層の厚さは、0.17nm以上3nm以下の範囲内である。
好ましい実施形態において、前記薄膜トランジスタの前記半導体層は、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンからなる。
本発明の表示デバイスは、上記の薄膜トランジスタ基板を備えている。
本発明の薄膜トランジスタ基板は、上記の構成を有しているため、従来のようにソース−ドレイン電極とTFTの半導体層との間にバリアメタル層を形成しなくても、優れたTFT特性が得られる。
本発明に用いられるソース−ドレイン電極用配線材料としては、純Cuや、合金成分として、Ni,Zn,Mg,Mn,Pt,Pd,Ir,Ge,Nb,Cr,および希土類元素からなる群(グループX)から選択される少なくとも一種の元素を含有するCu−X合金を用いることができる。
本発明の薄膜トランジスタ基板を用いれば、生産性に優れ、安価で且つ高性能の表示デバイスが得られる。
本発明者は、TFTの半導体層に直接接続可能なソース−ドレイン電極を備えた新規な薄膜トランジスタ基板提供するため、検討してきた。詳細には、従来のように、ソース−ドレイン電極と半導体層との間にバリアメタル層を介在させなくても優れたTFT特性を発揮し得る薄膜トランジスタ基板を提供するため、検討を行った。
その結果、ソース−ドレイン電極用の配線材料として、酸素を含有する酸素含有層と、純CuまたはCu合金の薄膜(以下、Cu系薄膜と呼ぶ場合がある。)とからなる材料を用い、上記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部が、薄膜トランジスタの半導体層のSiと結合するような構成(半導体層側からみれば、Si半導体層の表層の少なくとも一部が酸化されている)とすれば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。これにより、Cu系薄膜は、酸素含有層を介してTFTの半導体層と直接接続されるようになる。
本明細書において、「ソース−ドレイン電極」は、ソース−ドレイン電極自体と、ソース−ドレイン配線の両方を含んでいる。すなわち、本発明のソース−ドレイン電極は、ソース−ドレイン電極とソース−ドレイン配線とが一体に形成されたものであり、ソース−ドレイン配線はソース−ドレイン電極領域に接している。
(本発明に用いられるソース−ドレイン電極)
本発明に用いられるソース−ドレイン電極28、29は、図7に示すように、酸素含有層28a、29aと、Cu系薄膜28b、29bとからなる。酸素含有層28a、29aは、TFTの半導体層33を覆うように形成されており、例えば、酸素含有層の酸素原子(O)の一部または全部は、半導体層のSiと結合した状態で存在している。酸素含有層を構成するOは、半導体層を構成するSiよりもCuとの密着性に優れており、パターニング後の電極の剥離が生じない。更に、酸素含有層28a、29aは、Cu系薄膜28b、29bとTFTの半導体層33との界面におけるCuとSiとの相互拡散を防止するためのバリア(拡散バリア)として作用する。
本発明によれば、後記する実施例で実証するように、従来のようにMoなどのバリアメタル層を形成しなくても、優れたTFT特性が得られる。また、酸素含有層は、後で詳しく説明するように、半導体層を形成した後であって、Cu系薄膜を形成する前に、例えば、プラズマ法などによって簡便に作製できるため、従来のように、バリアメタル層形成用の特別な成膜装置は不要である。
本発明を特徴付ける酸素含有層の詳細は、以下のとおりである。
酸素含有層の酸素原子(O)の一部または全部は、半導体層のSiと結合し、主に、Si酸化物(SiOx)となっている。Si酸化物は、例えば、Si半導体層の表面を酸化することによって得られる。
上記の酸素含有層(Si酸化物)はCu系薄膜との密着性に優れており、アモルファスシリコン(a−Si)よりもCu系薄膜との密着性が強い。Si酸化膜は、バリアメタル層に用いられている代表的な高融点金属(Moなど)に比べて密着性の程度は若干劣るものの、液晶ディスプレイなどの製造においては、以下に記載のように、実用上何ら問題のないレベルにあることを確認した。
密着性の程度の確認は、従来例である純Cuと純Moの積層膜(酸素含有層を有しないアモルファスシリコン層の上部に純Mo膜を例えば50nm形成した後に、同一チャンバー内にて、純Mo膜の上部に純Cu膜を例えば250nm形成した積層膜)、純Cu膜(酸素含有層なし、後記する比較例1)、および酸素含有層(Si酸化物)を有する純Cu膜(後記する実施例2)を用い、フォトリソグラフィー法にて純Cuと純Moの積層膜、および純Cu膜をパターニングし、膜の状態を確認した。
その結果、従来例では、基板表面に残渣は発生しなかったものの、純Mo膜と純Cu膜のエッチングレートの差により、純Mo線幅と純Cu線幅が異なり、配線の断面形状に段差が生じた。比較例1では、配線断面形状に段差は生じなかったものの、基板全面にエッチング残渣が生じていることが確認された。これに対し、実施例2では、配線形状が良好で、かつエッチング残渣も発生していないことが確認された。
更に、上記の各パターンを室温にて保管し、パターン状態の観察を行った。その結果、比較例1では数日間の放置後に基板全面にてパターンが剥がれ落ちたのに対し、従来例および実施例2では、数ヶ月間保管してもパターン剥がれが全く生じなかった。
その結果、酸素含有層を有する純Cu膜を用いれば、酸素含有層を有しない従来の純Cu膜に比べ、アモルファスシリコン層との密着性に優れていることが確認された。
上記の酸素含有層は、以下の要件を更に満足していることが好ましい。
酸素含有層を構成する酸素原子数([O])とSi原子数([Si])との比([O]/[Si]、以下、便宜上、P値と呼ぶ場合がある。)の最大値は、0.3以上2.0以下の範囲内であることが好ましい。これにより、TFT特性を劣化させることなく、酸素含有層によるバリア作用を有効に発揮させることができる。P値の最大値は、0.4以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、0.7以上が更により好ましい。
P値の好ましい下限(0.3)は、アモルファスシリコン層の表面酸化による拡散抑制が可能な「O/Si」から設定したものである。一方、P値の好ましい上限(2.0)は、SiO形成時における「O/Si」の最大値がほぼ2.0であると考え、設定したものである。
P値の最大値は、酸素含有層(後述する。)の形成工程において、例えば、プラズマ照射時間を概ね1秒間から10分間の範囲内に制御することによって調節することができる。
P値は、酸素含有層の深さ方向の元素(OおよびSi)をRBS法(Rutherford Backscattering Spectrometry,ラザフォード後方散乱分光法)によって分析することによって算出される。
酸素含有層の厚さは、0.17nm以上3nm以下の範囲内であることが好ましい。上記厚さの下限(0.17nm)は、おおむね、SiOのSi−O結合の原子間距離に相当する。上記の厚さは、P値が0.3以上を満足する層の厚さを意味し、P値が0.3未満の層の厚さは除外している。
前述したように、酸素含有層は、Cu系薄膜とTFTの半導体層との界面におけるCuとSiとの相互拡散を防止するためのバリア層として有用であり、TFTの半導体層表面に、ほぼ、SiOxの1原子層程度形成されていれば優れたバリア性を発揮するが、酸素含有層が厚くなりすぎるとCu系薄膜と半導体層界面での電圧降下が生じ、オン電流が低下するなど、TFT特性が劣化する。酸素含有層の厚さを上記範囲内に制御することにより、酸素含有層の形成によるCu系薄膜と半導体界面での電気抵抗の上昇を、TFT特性に悪影響を及ぼさない範囲内に抑えられる。酸素含有層の厚さは3nm以下であることがより好ましく、2.7nm以下が更に好ましい。
酸素含有層の厚さは、種々の物理分析手法によって求めることができる。例えば、前述したRBS法のほか、XPS(X線光電子分光分析)法、SIMS(二次イオン質量分析)法、GD−OES(高周波グロー放電発光分光分析)法などを利用することができる。
酸素含有層は、例えば、半導体層の上部に酸化処理を行うことによって形成される。これらの処理方法は特に限定されず、例えば、(i)プラズマを用いる方法、(ii)加熱による方法などの方法を採用することができる。
上記(i)のようにプラズマを用いる場合、例えば、酸素ガスを用いて酸素含有層を形成すればよい。プラズマ処理に用いられる酸素ガスは、Arなどの不活性ガスで希釈してもよい。酸素含有プラズマ源から酸素を供給する場合、酸素イオンを用いたイオン注入法を利用することもできる。
また、上記(ii)のように加熱を行う場合、酸素ガス雰囲気中でSi半導体層を加熱すればよく、これにより、酸素含有層が得られる。加熱処理に用いられる酸素ガスは、Arなどの不活性ガスで希釈してもよい。
上記方法のほか、例えば、ソース−ドレイン電極の形成過程で、Si半導体層の表面に存在する酸素原子がCu系薄膜などに拡散し、酸素含有層を形成することもあり得るが、このような自然拡散法を利用することもできる。
以下、上記(i)〜(ii)について、詳細に説明する。
(i)プラズマ酸化法
プラズマ酸化法は、プラズマを利用するものであり、後述する実施形態および実施例1に示すように、酸素含有ガスを用いることが好ましい。酸素含有ガスとしては、O、HO、NOなどのガスが挙げられる。これらは、単独で、もしくは二種以上の混合ガスとして使用される。具体的には、酸素を含有するプラズマ源の近傍にTFTの半導体層を設置することが好ましい。ここで、プラズマ源と半導体層との距離は、プラズマの種類や、プラズマ発生条件[パワー(投入電力)、圧力、温度、照射時間、ガス組成など]などに応じて適宜適切な範囲に設定すればよいが、おおむね、数十cmの範囲であることが好ましい。このようなプラズマ近傍には、高エネルギーの酸素原子が存在しており、これにより、半導体層表面に所望の酸素含有層を容易に形成することができる。
酸素含有プラズマ源などから酸素を供給する場合、イオン注入法を利用することもできる。イオン注入法によれば、電界によって加速されたイオンは、長距離を移動できるため、プラズマ源と半導体層との距離を任意に設定することが可能である。イオン注入法は、プラズマ近傍に設置された半導体層に負の高電圧パルスを印加することにより、半導体層の表面全体にイオンを注入することが好ましい。あるいは、専用のイオン注入装置を用いてイオン注入を行ってもよい。
また、処理温度は300℃以上であることが好ましい。処理温度が300℃未満の場合、酸化反応の進行が遅く、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要し、より良好なTFT特性を得ることが難しくなる。ただし、温度が高くなり過ぎると、処理対象である半導体層の変質や半導体層への損傷を招くため、おおむね、360℃以下であることが好ましい。
また、圧力に関しては、55Pa以上の圧力で行うことが好ましい。圧力が55Pa未満の場合、酸化反応の進行が遅く、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要する。圧力を高くすれば酸化反応の進行が短時間で進み、半導体層へのダメージが少なく、良好なバリア性を示す酸素含有層を形成することができ、TFT特性が向上する。上記の観点からすれば、圧力は高いほど良く、例えば、60Pa以上であることがより好ましく、66Pa以上であることが更に好ましい。なお、圧力の上限は、使用する装置の性能などに依存するために一義的に決定し難いが、プラズマを安定して供給するという観点からすれば、おおむね、400Pa以下であることが好ましく、266Pa以下であることがより好ましい。
プラズマ照射時間は、5分以下とすることが好ましい。プラズマ照射時間が5分超の場合、アモルファスシリコン層の表面に形成された酸素含有層による電圧降下が無視できなくなり、TFT特性が低下する。プラズマ照射時間は、3分以下であることがより好ましく、1分以下であることが一層好ましい。プラズマ照射時間の下限に関しては、アモルファスシリコン層の表面に一層程度の酸素含有層が形成されていれば本発明の効果は充分発揮されると考えられることを勘案すれば、少なくとも、アモルファスシリコン層の表面に酸素含有層が一層程度形成される時間以上とすれば良い。プラズマ照射時間は、1秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがより好ましい。後記する実施例では、プラズマ照射時間が5秒程度で充分な拡散バリア特性が得られることを確認している。
また、投入電力は、50W以上とすることが好ましい。投入電力が50W未満の場合、酸化反応の進行が遅く、適切な[O]/[Si]比の酸素含有層を形成しにくく、拡散バリアとして有効に作用し得る酸素含有層の形成に長時間を要するなど、TFT特性が低下する。上記の観点からすれば、投入電力は高いほど良く、例えば、60W以上であることがより好ましく、75W以上であることが更に好ましい。
ガス組成は、前述した酸素含有ガス(O、HO、NOなど)のみであっても良いが、酸素含有ガスをArなどの不活性ガスで希釈してもよい。
(ii)熱酸化法
熱酸化法は、酸化皮膜のつきまわりが良いなどの理由によって汎用されている。具体的には、例えば、酸素ガス雰囲気下で、400℃以下の温度で加熱することが好ましい。加熱温度が高いと、半導体層への損傷が大きくなり、一方、加熱温度が低い場合、所望の酸素含有層を十分形成できない恐れがある。加熱温度は、200℃以上380℃以下に制御することがより好ましく、250℃以上350℃以下に制御することがさらに好ましい。上記の加熱処理は、前述したプラズマ酸化法と併用してもよく、これにより、酸素含有層の形成を更に促進することができる。
このように、酸素含有層は、好ましくは、前述した(i)〜(ii)の方法によって形成されるが、更に、製造工程の簡略化や処理時間の短縮などの観点から、酸素含有層の形成に用いる装置やチャンバー、温度やガス組成を、以下のように制御して行うことが好ましい。
まず、装置は、製造工程の簡略化のため、半導体層形成装置と同じ装置で行うことが好ましい。これにより、装置間もしくは装置内で、処理対象のワークが余分に移動する必要がなくなる。
また、温度に関しては、半導体層の成膜温度と実質的に同じ温度で行うことが好ましく、これにより、温度変動に必要な調節時間を省略することができる。
あるいは、ガス組成は、前述した酸素含有ガスを、Arなどの不活性ガスで希釈して用いてもよい。
以上、酸素含有層を形成する方法について、詳述した。
このようにしてTFTの半導体層上に酸素含有層を形成した後、例えば、スパッタリング法によってCu系薄膜を形成すると、所望のソース−ドレイン電極が得られる。本発明に用いられるソース−ドレイン電極は、単一のスパッタリングターゲット及び単一のスパッタリングガスを用いて形成できるため、前述した特許文献11のように、スパッタリングガスの組成を変化させる必要はない。そのため、本発明によれば従来よりも工程の簡略化を更に図ることができる。
本発明に用いられるソース−ドレイン電極は、TFTの半導体層とCu系薄膜との間に、TFTの半導体層を覆うように上記の酸素含有層を設けたところに特徴がある。従って、例えば、半導体層の種類は特に限定されず、TFT特性に悪影響を及ぼさない限り、ソース−ドレイン電極に通常使用されるものを用いることができる。
半導体層は、代表的には、アモルファスシリコン(好ましくは水素化アモルファスシリコン)または多結晶シリコンなどが挙げられる。
また、ソース−ドレイン電極用の配線材料としては、従来汎用されている純Cuをそのまま用いることもできる。
あるいは、ソース−ドレイン電極用の配線材料として、Ni,Zn,Mg,Mn,Pt,Pd,Ir,Ge,Nb,Cr,および希土類元素からなる群(グループX)から選択される少なくとも一種の元素を含有するCu−X合金を用いても良い。
このようなソース−ドレイン電極を備えた薄膜トランジスタ基板を用いれば、従来のように、Cu系薄膜とTFTの半導体層との間に下部バリアメタル層を介在させることが不要になり、当該Cu系薄膜を酸素含有層を介して半導体層と接合することができる。後記する実施例に示すように、純CuやCu合金の薄膜を用いて試作されたTFTは、Crなどのバリアメタル層を介在させた従来例の場合と同レベル以上のTFT特性を実現できることが確認された。従って、本発明によれば、バリアメタル層の省略によって製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減できる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るTFTモジュールの好ましい実施形態を説明する。以下では、アモルファスシリコンTFT基板を備えた液晶ディスプレイを代表的に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。本発明に用いられるソース−ドレイン電極は、例えば、外部への信号入出力のために使用されるTAB(タブ)接続電極にも同様に適用できることを実験により確認している。
(実施形態1)
図3は、本発明に係るアモルファスシリコンTFT基板の実施形態を説明する概略断面図である。図3では、従来のTFT基板を示す前述した図2と同じ番号を付している。本実施形態によれば、以下に詳述するように、酸素を含有する層(酸素含有層)の形成が確認されている。
図3において、ソース電極28およびドレイン電極29に電気的に接続されるソース−ドレイン配線34は、酸素含有層と純CuまたはCu合金薄膜(例えば、Cu−0.5原子%Mn合金、Cu−0.34原子%Ni合金、Cu−1.3原子%Zn合金、Cu−1.0原子%Mg合金)とからなり、酸素含有層は、アモルファスシリコンチャネル層33を覆うように形成されている。ソース−ドレイン配線34の構成は、後述する図4(e)および図4(f)に示している。
図2と図3とを対比すると明らかなように、従来のTFT基板では、図2に示すように、ソース−ドレイン電極の下に、Moなどの下部バリアメタル層53が形成されているのに対し、図3に示す本発明のTFTモジュールでは、下部バリアメタル層53を省略することができる。
本実施形態によれば、従来のように下部バリアメタル層を介在させることなく、酸素含有層を介してCu系薄膜をアモルファスシリコンチャネル層と直接接続することができ、従来のTFT基板と同程度以上の良好なTFT特性を実現できる(後記する実施例を参照)。
次に、図4を参照しながら、図3に示す、本実施形態に係るTFT基板の製造方法を説明する。図4には図3と同じ参照符号を付している。
まず、図4(a)に示すように、ガラス基板1a上に、スパッタリングなどの方法を用いて、厚さ50nm程度の純Mo薄膜52および厚さ200nm程度のCu合金薄膜61(例えば、Cu−0.5原子%Mn合金、Cu−0.34原子%Ni合金、Cu−1.3原子%Zn合金、Cu−1.0原子%Mg合金)を順次積層する。スパッタリングの成膜温度は室温とした。この積層薄膜上に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィによってレジスト62をパターニングした後、レジスト62をマスクとして純Mo薄膜52およびCu合金薄膜61の積層膜をエッチングすることにより、ゲート電極26を形成する(図4(c))。このとき、後に成膜されるゲート絶縁膜27のカバレッジ性が良くなるように、上記積層薄膜の周縁を約30°〜60°のテーパー状にエッチングしておくのがよい。
次いで、図4(d)に示すように、例えばプラズマCVD法などの方法を用いて、厚さ約300nm程度のSi窒化膜(ゲート絶縁膜)27を形成する。プラズマCVD法の成膜温度は、約350℃とした。続いて、例えば、プラズマCVD法などの方法を用いて、Si窒化膜(ゲート絶縁膜)27の上に、厚さ200nm程度のアンドープト水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)55および厚さ約80nmのリンをドーピングしたn型水素化アモルファスシリコン膜(na−Si−H)56を順次積層する。n型水素化アモルファスシリコン膜は、SiH、PHを原料としたプラズマCVDを行うことによって形成される。
次に、Si窒化膜の形成に用いたのと同じプラズマCVD装置内にて、図4(e)に示すように、上記のようにして得られたn型水素化アモルファスシリコン膜(na−Si−H)56の上に酸素含有層60を形成する。具体的には、チャンバー内に基板を保持したまま、アモルファスシリコン膜の成膜に用いた原料ガスを排除した。次いで、チャンバー内に、キャリアガスとして酸素のみを供給してプラズマを発生させ、n型水素化アモルファスシリコン膜56の表面を30秒間処理し、酸素含有層を形成した。高周波(RF)パワー密度は0.14W/cm、成膜温度は320℃、ガス圧力は133Paとした。
後記する実施例1は、上記の条件で実験を行なったときのTFT特性などを調べたものである。上記のようにして形成された酸素含有層表面をRBS法及びXPS法で分析した結果、上記層には酸素原子が含まれており、RBS法による分析結果から、酸素原子とSi原子との比(P値)は0.3を超える酸素含有層が約2.5nm形成されていることが確認された。
なお、本実施形態では、プラズマ酸化法によって酸素含有層60を形成したが、これに限定されず、前述した(ii)の熱酸化法を採用しても、所望の酸素含有層が得られることを実験によって確認している。
次いで、図4(f)に示すように、酸素含有層60の上に、スパッタリングなどの方法を用いて、厚さ300nm程度のCu合金薄膜63(例えば、Cu−0.5原子%Mn合金、Cu−0.34原子%Ni合金、Cu−1.3原子%Zn合金、Cu−1.0原子%Mg合金膜)を形成する。スパッタリングの成膜温度は室温とした。次に、フォトリソグラフィによってレジストをパターニングした後、レジストをマスクとしてCu合金薄膜63(例えば、Cu−0.5原子%Mn合金、Cu−0.34原子%Ni合金、Cu−1.3原子%Zn合金、Cu−1.0原子%Mg合金膜)をエッチングすることにより、ソース電極28と、ドレイン電極29とが形成される(図4(f))。更に、ソース電極28及びドレイン電極29をマスクとして、n型水素化アモルファスシリコン膜56をドライエッチングして除去する(図4(g))。
次に、例えばプラズマ窒化装置などを用いて厚さ300nm程度のSi窒化膜(保護膜)を形成する(不図示)。このときの成膜は、約250℃で行った。次に、Si窒化膜30上にレジストをパターニングし、ドライエッチングなどを行うことによってコンタクトホール57を形成する。
次に、例えばアミン系などの剥離液を用いてレジスト(不図示)を剥離する。最後に、厚さ50nm程度のITO(酸化インジウムに10質量%の酸化スズを添加)膜を成膜する。次いで、ウェットエッチングによるパターニングを行って透明画素電極5を形成すると、TFTが完成する。
本実施形態によれば、アモルファスシリコンチャネル層が酸素含有層を介してCu系薄膜(例えば純CuやCu−0.5原子%Mn合金、Cu−0.34原子%Ni合金、Cu−1.3原子%Zn合金、Cu−1.0原子%Mg合金薄膜)と接続されたTFT基板が得られる。
上記では、透明画素電極5として、ITO膜を用いたが、IZO膜を用いてもよい。また、活性半導体層としてアモルファスシリコンの代わりに多結晶シリコンを用いてもよい。
このようにして得られるTFT基板を使用し、例えば、以下に記載の方法によって、前述した図1に示す液晶ディスプレイを作成する。
まず、上記のようにして作成したTFT基板1の表面に、例えばポリイミドを塗布し、乾燥してからラビング処理を行って配向膜を形成する。
一方、対向基板2は、ガラス基板上に、例えばCrをマトリックス状にパターニングすることによって遮光膜9を形成する。次に、遮光膜9の間隙に、樹脂製の赤、緑、青のカラーフィルタ8を形成する。遮光膜9とカラーフィルタ8上に、ITO膜のような透明導電性膜を共通電極7として配置することによって対向電極を形成する。そして、対向電極の最上層に例えばポリイミドを塗布し、乾燥した後、ラビング処理を行って配向膜11を形成する。
次いで、TFT基板1と対向基板2の配向膜11が形成されている面と夫々対向するように配置し、樹脂製などのシール材16により、液晶の封入口を除いてTFT基板1と対向基板2とを貼り合わせる。このとき、TFT基板1と対向基板2との間には、スペーサー15を介在させるなどして2枚の基板間のギャップを略一定に保つ。
このようにして得られる空セルを真空中に起き、封入口を液晶に浸した状態で徐々に大気圧に戻していくことにより、空セルに液晶分子を含む液晶材料を注入して液晶層を形成し、封入口を封止する。最後に、空セルの外側の両面に偏光板10を貼り付けて液晶パネルを完成させる。
次に、図1に示したように、液晶ディスプレイを駆動するドライバ回路13を液晶パネルに電気的に接続し、液晶ディスプレイの側部あるいは裏面部に配置する。そして、液晶ディスプレイの表示面となる開口を含む保持フレーム23と、面光源をなすバックライト22と導光板20と保持フレーム23によって液晶ディスプレイを保持し、液晶ディスプレイを完成させる。
本発明の表示デバイスは、前述したソース−ドレイン電極を備えているため、格段に優れた性能と信頼性を実現することが可能である。なお、本発明の表示デバイスは、上記のソース−ドレイン電極を備えていれば良く、その他の表示デバイスの構成は特に限定されず、表示デバイスの分野において公知のあらゆる構成を採用することができる。
(実施例1〜2、比較例1)
以下の実施例1〜2では、酸素含有層を有するCu合金薄膜のソース−ドレイン電極を用いれば、バリアメタル層を省略しても、半導体層へのCuの拡散が抑制され、良好なTFT特性が得られることを調べる目的で、種々の実験を行った。実施例1および実施例2では、前述した実施形態1と同様のプラズマ酸化法を用いて酸素含有層を形成した。具体的な実験条件および評価方法は以下の通りである。
(ソース−ドレイン電極)
実施例1では、ソース−ドレイン電極用の配線材料として、前述した実施形態1に記載のCu−0.5原子%Mnを用いた。
実施例2では、前述した実施形態1において、Cu−0.5原子%Mnの代わりに純Cuを用いた。
比較例1では純Cuを用いたが、酸素プラズマ処理は行わなかった。
その結果、実施例1および実施例2では、いずれも、酸素を含む酸素含有層が約2.7nm形成されており、且つ、当該酸素含有層をRBS分析した結果、酸素原子とSi原子との比(P値)は0.3を超えることが確認された。
これに対し、比較例1では、酸素含有層の形成は見られなかった。
(実験に供したTFT)
ここでは、TFT特性を簡易的に調べるため、実施形態1の図4(g)に示すTFTに対し、種々の熱処理(150℃で30分間、200℃で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間)を行ったものを実験に供した。この熱処理条件は、TFT基板の製造工程で、熱履歴が最も高温となるSi窒化膜(保護膜)の成膜工程の熱履歴を想定して設定されたものである。本実施例に供したTFTは、現実のTFT基板のように種々の成膜工程が施されて完成されたものではないが、上記のアニールを行ったTFTは、実際のTFT基板のTFT特性をほぼ反映していると考えられる。
(SiとCuとの相互拡散の評価)
実施例1、実施例2、比較例1のそれぞれについて、実施形態1の図4(g)に示すTFTを作製し、アモルファスシリコンチャネル層との界面を観察し、アモルファスシリコン中のSiとCuとの相互拡散の有無を調べた。
詳細には、TFT作製直後の各試料、及びTFTに対して酸素雰囲気中にて350℃で30分間熱処理した各試料のそれぞれについてGD−OES法による分析を行い、深さ方向の元素濃度を調査した。GD−OES分析は、成膜完了後の試料の膜表面(上層)から、高周波スパッタによって膜を削りながら膜を分析する手法である。GD−OESの分析条件は以下の通りである。
ガス圧力300Pa、電力20W、周波数500Hz、
デューティー比0.125
(SiとCuとの相互拡散の評価結果)
成膜後の各試料におけるGD−OES分析の結果を図5と図6に示す。詳細には、図5に比較例1(純Cuのみ)の結果を、図6に実施例1の結果を、それぞれ示す。
まず、図5(比較例)を参照する。
図5(a)は、TFT作製直後の試料の結果を、図5(b)は350℃で30分間熱処理した試料の結果を示している。横軸はスパッタリング時間(秒)であり、表面から深さ方向の距離を間接的に意味しており、縦軸はCu原子、O原子、Si原子、N原子の相対強度である。
図5(a)と図5(b)とを対比すると明らかなように、酸素含有層を有していない比較例1では、熱処理により、試料中のCu原子がアモルファスシリコン(a−Si)側に拡散することが分かる。
次に、図6(本発明例)を参照する。
図6(a)と図6(b)とを対比すると明らかなように、酸素含有層を含有する実施例1(Cu−0.5原子%Mn合金)では、熱処理を行っても、試料中のCu原子はアモルファスシリコン(a−Si)側に拡散しておらず、a−Si内部へのCu原子の拡散が抑制されていることが分かる。
上記と同様の傾向は、酸素含有層を含有する実施例2(純Cu)を用いた場合にもみられた(図には示さず)。
上記は、Cu−Mn合金を用いたときの結果であるが、Mn以外のCu−X合金(X=Ni,Zn,Mg,Pt,Pd,Ir,Ge,Nb,Cr,および希土類元素の少なくとも一種)を用いたときも、図6と同様の結果が得られることを、実験により確認している。
(実施例3)
本実施例では、前述した実施例2(純Cuを使用)において、プラズマ酸化法を、表1に示す種々の条件(条件1〜条件7)下で行なって酸素含有層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてTFTを作製し、このTFTに対し、実施例1と同様にして種々の熱処理を行なった。比較のため、熱処理を行なわなかったものも用意した。いずれの条件下でも、キャリアガスとして酸素を用いた。
表1に示すプラズマ酸化処理条件1〜7のうち、条件1、2、4、5、7は本発明で規定する範囲に設定された例であり、特に、条件2は圧力がより高く、条件5はパワーがより高く、いずれも本発明で規定する好ましい範囲に設定された例である。これに対し、条件3は圧力が38Paと低く、条件6は時間が600秒と長く、いずれも、本発明で規定する範囲を外れる例である。
次に、上記のTFTを用い、TFTのドレイン電流−ゲート電圧のスイッチング特性を調べた。スイッチング特性を調べることにより、SiとCuの相互拡散を間接的に評価することができる。ここでは、TFTのスイッチングのオフ時に流れるリーク電流(ゲート電圧に負電圧を印加したときのドレイン電流値、オフ電流)と、TFTのスイッチングのオン時に流れるオン電流とを、以下のようにして測定した。
ゲート長(L)300μm、ゲート幅(W)20μmのTFTを用い、ドレイン電流およびゲート電圧を測定した。測定時のドレイン電圧は10Vとした。オフ電流はゲート電圧(−3V)を印加したときのドレイン電流と定義し、オン電流はゲート電圧が20Vとなるときのドレイン電流と定義した。
このようにして測定される各TFT特性は、従来例のTFT特性を基準値として以下のように評価した。従来例として、純Cuの薄膜と純Moのバリアメタル層とからなるソース−ドレイン電極を用いて上記と同様にしてTFTを作製し、TFT特性を測定した。従来例のオン電流は約1×10-6A(μAオーダー)であり、従来例のオフ電流は1×10-11A以下(pAオーダー)であった。この値を基準値とし、オフ電流が上記基準値の1桁の増加の範囲内(1×10−11A以下)に含まれるものを良好(○)、上記範囲を超えるものを不良(×)とした。また、オン電流が熱処理条件により上記基準値(1×10−6A)以上となるものを良好(○)、上記範囲よりもオン電流が小さくなるものを不良(×)とした。更に、総合評価として、オン電流、オフ電流とも良好なものを(○)、どちらか一方が良好で他方が不良なものを(△)、いずれも不良なものを(×)とした。本実施例では、総合評価が○または△のものを合格としている。
これらの結果を表2にまとめて示す。
更に、表1に示す条件2、条件3、および条件4の方法でTFTを作製したときにおける、酸素含有層のP値および厚さを測定した。これらは、神戸製鋼所製高分解能RBS分析装置「HRBS500」を用いて測定した(表2には示さず)。なお、酸素含有層の厚さは、P値が0.3以上を満足する層の厚さである。
表2より、以下のように考察することができる。
まず、表2のNo.6〜10(条件2)およびNo.16〜20(条件5)は、本発明の好ましい条件2および条件5でプラズマ酸化を行った例であり、熱処理を行なった場合でも、従来例とほぼ同程度の良好なTFT特性が得られた。なお、条件2でプラズマ酸化を行ったときのP値は2.0、酸素含有層の厚さは2.7nmであり、所望の拡散抑制効果を有する酸素含有層が得られている。
これに対し、条件1、4、7は、それぞれ、パワーが若干低め、プラズマ照射時間が若干長め、加熱温度が若干高めに設定されているため、前述した条件2、5に比較すると、以下に示すように、TFT特性が若干劣っている。
詳細には、表2のNo.1〜5(条件1)は、パワーが若干低めの条件1でプラズマ酸化を行ったため、酸化反応の進行が遅かったことが影響し、TFT特性(オフ電流)は、条件2および5を用いた場合に比べて、やや劣っている。
表2のNo.11〜15(条件4)は、プラズマ照射時間が若干長めの条件4でプラズマ酸化を行なった例であり、P値は2.0であったが、酸素含有層の厚さは5.0nmと、条件2でプラズマ酸化を行なった場合に比べてやや厚くなった。そのため、拡散抑制効果は見られるが、酸素含有層が厚くなりすぎたため、界面の電気的な抵抗が大きく、オン電流が若干低下した。
表2のNo.26〜30(条件7)は、加熱温度が若干高めの条件7でプラズマ酸化を行なった例であり、TFT特性(オン電流)が条件2、5に比較するとやや劣っている。
これに対し、圧力が本発明の好ましい範囲を下回る条件3でプラズマ酸化を行った場合、圧力が低すぎて十分な酸化反応が進まず、パターンニング中に剥離が生じたため、TFT特性を測定できなかった。なお、パターンニング前に測定したP値は0.25であり、本発明の好ましい範囲を満たさなかった。
表2のNo.21〜25(条件6)は、プラズマ照射時間が600秒と長すぎる条件でプラズマ酸化を行なったため、TFT特性が劣っている。
これらの結果より、本発明の好ましい範囲を満足するプラズマ酸化条件下で作製したソース−ドレイン電極を用いれば、バリアメタル層を省略しても、アモルファスシリコンチャネル層とCu系薄膜との界面におけるSiとCuとの相互拡散を有効に防止できる結果、良好なTFT特性を実現できることが確認された。
(実施例4)
本実施例では、前述した実施例2において、純Cuの代わりに、表3に記載のCu−X合金(X=Ni、Zn、Mn、Mg)を使用したソース−ドレイン電極を用いたこと、および以下に示す条件で酸素プラズマ処理を行なったこと以外は、実施例1と同様にしてTFTを作製し、このTFTに対し、実施例1と同様にして種々の熱処理を行なった。比較のため、熱処理を行なわなかったものも用意した。更に、参考のため、純Cuを使用したソース−ドレイン電極についても、上記と同様の実験を行なった。
プラズマ条件
温度:320℃、圧力:133Pa、投入電力:100W、照射時間:60秒、
キャリアガス:酸素
次に、上記のTFTを用い、実施例3と同様にして、TFTのドレイン電流−ゲート電圧のスイッチング特性を調べ、TFT特性を評価した。
これらの結果を表3にまとめて示す。
表3より、Cu系合金として、Cu−Zn合金、Cu−Mn合金、Cu−Mg合金を用いても、純Cu合金およびCu−Ni合金と用いたときと同様、優れたTFT特性が得られることが確認された。
図1は、アモルファスシリコンTFT基板が適用される代表的な液晶ディスプレイの構成を示す概略断面拡大説明図である。 図2は、従来の代表的なアモルファスシリコンTFT基板の構成を示す概略断面説明図である。 図3は、本発明の実施形態に係るTFT基板の構成を示す概略断面説明図である。 図4は、図3に示すTFT基板の製造工程の一部を示す工程図である。 図5は、比較例1について、GD−OES分析を行った結果を示す図である。 図6は、実施例1について、GD−OES分析を行った結果を示す図である。 図7は、本発明に用いられるソース−ドレイン電極の構成を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1 TFT基板
1a、1b ガラス基板
2 対向基板
3 液晶層
4 薄膜トランジスタ(TFT)
5 透明画素電極
6 配線部
7 共通電極
8 カラーフィルタ
9 遮光膜
10a、10b 偏光板
11 配向膜
12 TABテープ
13 ドライバ回路
14 制御回路
15 スペーサー
16 シール材
17 保護膜
18 拡散板
19 プリズムシート
20 導光板
21 反射板
22 バックライト
23 保持フレーム
24 プリント基板
25 走査線
26 ゲート電極
27 ゲート絶縁膜(Si窒化膜)
28 ソース電極
29 ドレイン電極
28a、29a 酸素含有層
28b、29b Cu系薄膜
30 層間絶縁Si窒化膜(保護膜)
31 フォトレジスト
32 コンタクトホール
33 アモルファスシリコンチャネル層(活性半導体層)
34 信号線(ソース−ドレイン配線)
51、52、53 バリアメタル層
55 アンドープト水素化アモルファスシリコン膜(a−Si−H)
56 n型水素化アモルファスシリコン膜(na−Si−H)
60 酸素含有層
61 Cu合金薄膜
62 レジスト
63 Cu合金薄膜
100 液晶ディスプレイ

Claims (5)

  1. 薄膜トランジスタの半導体層と、ソース−ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ基板において、
    前記ソース−ドレイン電極は、酸素を含有する酸素含有層と、純CuまたはCu合金の薄膜とからなり、
    前記酸素含有層を構成する酸素の一部若しくは全部は、前記薄膜トランジスタの前記半導体層のSiと結合しており、
    前記純CuまたはCu合金の薄膜は、前記酸素含有層を介して前記薄膜トランジスタの前記半導体層と接続していることを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 前記酸素含有層を構成する酸素原子数([O])とSi原子数([Si])との比([O]/[Si])の最大値は、0.3以上2.0以下の範囲内である請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記酸素含有層の厚さは、0.17nm以上3nm以下の範囲内である請求項2に記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記薄膜トランジスタの前記半導体層は、アモルファスシリコンまたは多結晶シリコンからなる請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 請求項4に記載の薄膜トランジスタ基板を備えた表示デバイス。
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