JP2009005677A - リンゴ酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリセロール、特にバイオディーゼル廃液から有用物質を生成すること。
【解決手段】本発明は、グリセロールからリンゴ酸を生成する方法を提供し、この方法では、特定のリンゴ酸産生細菌をグリセロール含有培地中で培養するか、あるいは該細菌の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を、グリセロールに接触させる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、グリセロールからリンゴ酸を生成する方法を提供し、この方法では、特定のリンゴ酸産生細菌をグリセロール含有培地中で培養するか、あるいは該細菌の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を、グリセロールに接触させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、微生物を用いてグリセロールからリンゴ酸を製造する方法に関する。
バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel (BDF))は、カーボンニュートラルな軽油代替燃料であり、エネルギー資源枯渇、地球温暖化、大気汚染などの環境問題の解決に貢献する燃料として近年注目を集めている。
バイオディーゼル燃料は、植物性油、動物性油、廃油などから製造されるが、その際、グリセロールを含有する廃液が副生成物として生じる。この廃液には特に有効な活用法がなく、廃棄されているのが現状である。
バイオディーゼル廃液を有効利用する方法として、特許文献1には、エンテロバクタ(Enterobactor)属に属する細菌を用いて、廃液中のグリセロールから水素及びエタノールを生成する方法が記載されている。
有機酸の生成について、特許文献2には、好気性細菌(特にコリネ型細菌)を用いてグルコースを炭素源として使用したリンゴ酸の生成が開示されている。また、特許文献3には、ブドウ糖から各種有機酸を生成する細菌株(マンヘイミア・スピーシス(Mannheimia sp.) 55E)が記載されている。
特許文献4には、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni)FERM P-15714株の菌体をマレイン酸と懸濁し、リンゴ酸を生成する方法が記載されている。また特許文献5には、好気性細菌をフマル酸含有培地で培養し、リンゴ酸を生成する方法が記載されている。さらには非特許文献1には、細菌の菌体をD,L-リンゴ酸と懸濁し、D−リンゴ酸を生成する方法が記載されている。しかし、アクロモバクタ・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)、マイクロバクテリウム・サペルダエ(Microbacterium saperdae)、ストレプトマイセス・モデラタス(Streptomyces moderatus)およびシュードモナス・フラジ(Pseudomonas fragi)からなる細菌種群から選ばれる細菌種に属する細菌、またはコマモナス・テストステロニ ATCC 27911株がグリセロールからリンゴ酸を生成し得ることは、これまで知られていない。
特開2006−180782号公報
特開2003−235592号公報
特表2004−501634号公報
特開平10−75772号公報
特許昭44−14786公報
K. Nakayama et al., Biotechnology Letters (1993) 15(3): 272-276
資源の有効活用のため、バイオディーゼル廃液から有用物質を生成することが求められている。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アクロモバクタ・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)、マイクロバクテリウム・サペルダエ(Microbacterium saperdae)、ストレプトマイセス・モデラタス(Streptomyces moderatus)およびシュードモナス・フラジ(Pseudomonas fragi)からなる細菌種群から選ばれる細菌種に属する細菌、またはコマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni) ATCC 27911株(以下、本発明で用いるリンゴ酸産生細菌、または単にリンゴ酸産生細菌と記す)を、グリセロール含有培地で培養、特に好気的条件下で培養するか、またはグリセロールに当該菌株の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を接触させることにより、グリセロールからリンゴ酸を製造し得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を提供し得る:
[1] アクロモバクタ・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)、マイクロバクテリウム・サペルダエ(Microbacterium saperdae)、ストレプトマイセス・モデラタス(Streptomyces moderatus)およびシュードモナス・フラジ(Pseudomonas fragi)からなる細菌種群から選ばれる細菌種に属し、グリセロールからリンゴ酸を生産する能力を有する細菌を、グリセロール含有培地中で培養するか、またはグリセロールに当該細菌の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法;
[2] アクロモバクタ・キシロソキシダンス、マイクロバクテリウム・サペルダエ、ストレプトマイセス・モデラタスおよびシュードモナス・フラジからなる細菌種群から選ばれる細菌種に属する細菌が、アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株またはシュードモナス・フラジ JCM 20552株である、上記[1]記載の方法;
[3] コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni) ATCC 27911株を、グリセロール含有培地中で培養するか、またはグリセロールに当該菌株の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法;
[4] 培養が好気的条件下で行われる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法;
[5] 培養物からリンゴ酸を回収する工程を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法;
[6] グリセロールがバイオディーゼル廃液由来である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[1] アクロモバクタ・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)、マイクロバクテリウム・サペルダエ(Microbacterium saperdae)、ストレプトマイセス・モデラタス(Streptomyces moderatus)およびシュードモナス・フラジ(Pseudomonas fragi)からなる細菌種群から選ばれる細菌種に属し、グリセロールからリンゴ酸を生産する能力を有する細菌を、グリセロール含有培地中で培養するか、またはグリセロールに当該細菌の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法;
[2] アクロモバクタ・キシロソキシダンス、マイクロバクテリウム・サペルダエ、ストレプトマイセス・モデラタスおよびシュードモナス・フラジからなる細菌種群から選ばれる細菌種に属する細菌が、アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株またはシュードモナス・フラジ JCM 20552株である、上記[1]記載の方法;
[3] コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni) ATCC 27911株を、グリセロール含有培地中で培養するか、またはグリセロールに当該菌株の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法;
[4] 培養が好気的条件下で行われる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法;
[5] 培養物からリンゴ酸を回収する工程を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法;
[6] グリセロールがバイオディーゼル廃液由来である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
本発明の方法によれば、微生物を用いてグリセロール(バイオディーゼル廃液)からリンゴ酸を簡便に製造することができる。リンゴ酸は、食品添加物、消臭剤、洗浄助剤、pH調整剤、入浴剤等として使用される。このように、本発明は、これまで廃棄されていたバイオディーゼル廃液中のグリセロールから、有用物質を生成する方法を提供する。
本発明で用いるリンゴ酸産生細菌としては、前記[1]〜[3]項に記載の細菌属、細菌種および細菌株が挙げられる。これらの細菌の中でもグリセロールからリンゴ酸を良好な収量で生成し得る細菌が好ましい。このような細菌としては、例えば、マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株、アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株、シュードモナス・フラジ JCM 20552株が挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株、シュードモナス・フラジ JCM 20552株がより好ましく、コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株、シュードモナス・フラジ JCM 20552株がより一層好ましい。
ここで、「良好な収量」でリンゴ酸が生成されるとは、グリセロールからリンゴ酸が培養液中約0.1g/L以上の収量で蓄積されることを意味するが、通常収量は高いほど好ましい。例えば、リンゴ酸は、約0.2g/L以上、好ましくは約0.5g/L以上の収量で培養液中に蓄積される。
アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株は独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門から、コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから、マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株、シュードモナス・フラジ JCM 20552株は独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室から入手可能である。
また、本発明で用いるリンゴ酸産生細菌は、それらの野生株だけでなく、任意の自然または人工の突然変異体、例えば、X線照射、紫外線照射、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジンなどの化学的変異誘発剤等の処理により得られる変異体、細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え体であってよい。尚、上記遺伝子組換え体の宿主としては、形質転換可能な微生物であれば、いずれの細菌属に属するものであっても良いが、対象となる遺伝子が由来する親株と同じ細菌属とするのが好ましい。その場合、リンゴ酸産生細菌として、グリセロールからリンゴ酸への変換能が向上されているものを選択することが望ましい。
グリセロール含有培地は、培養培地中に純粋なグリセロールを添加したものであってもよく、グリセロール含有混合物を添加したものであってもよい。グリセロール含有混合物中の他の成分及びそれらの量は、本発明で用いるリンゴ酸産生細菌に対して悪影響を及ぼさないものであることが好ましい。グリセロール含有混合物の由来は特に限定されないが、資源の有効利用の観点から、バイオディーゼル廃液等を使用することが好ましい。
バイオディーゼル燃料の製造法の1つは、アルカリ触媒を用いたトリグリセリドのアルコリシスにより、脂肪酸メチルエステル(Fatty Acid Methyl Ester : FAME)を生成させることである。この方法では、副生成物としてグリセロールを含有する廃液(バイオディーゼル廃液と呼ぶ)が発生する。この廃液には、触媒や未変換の脂肪酸(使用する油によって異なる)などが通常混入している。例えば、後述の実施例で用いたバイオディーゼル廃液の組成は、グリセロール:51%、メタノール:11%、水酸化カリウム:8%、水:4%、グリセリド等その他:26%である。これ以外で、S. Papanikolaou et al., Bioresource Technology (2002) 82: 43-49に記載されるグリセロール:65%、カリウム・ナトリウム塩:4−5%、メタノール:1%、水:28%や、M. Gonzalez-Pajuelo et al., J Ind Microbiol Biotechnol (2004) 31: 442-446に記載されるグリセロール:65%、ナトリウム塩:5%以下等の、任意の組成を有するバイオディーゼル廃液も使用することができる。
本発明の方法でバイオディーゼル廃液を培地に添加した場合、純粋なグリセロールを添加した場合と同等またはそれ以上の収量及び変換効率で、リンゴ酸を生成することが可能である。
本発明の方法で使用する培地は、細菌類の培養に通常用いられる成分を含有する培地であればよく、特定の培地に限定されない。本発明の方法では、炭素源、窒素源及び無機塩を含有する、ごく単純な組成の培地を用いても、リンゴ酸を得ることができる。
本発明の方法で用いる培地は、炭素源としてグリセロールを含む。培地中に含まれるグリセロールの濃度は、細菌の生育やリンゴ酸産生に悪影響を与えない範囲で適宜選択され得るが、通常、約0.1〜約500g/L、好ましくは約1〜約300g/Lである。上記バイオディーゼル廃液をグリセロール源として用いる場合、当該廃液が含有するグリセロールの濃度に応じて、培地中のグリセロールの量が上記範囲になるように、希釈またはグリセロール添加してもよい。
培地は、グリセロール以外の物質を炭素源としてさらに含んでもよいが、他の炭素源は、グリセロールからのリンゴ酸の生成を妨げない量で添加されるべきである。本発明で用いられる他の炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、デンプン、ラクトース、アラビノース、キシロース、デキストリン、糖蜜などが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、他の炭素源は、グリセロールに対して約10重量%以下、より好ましくは約1重量%以下である。培地は、グリセロールを単一の炭素源として含むことが最も好ましい。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化合物ならびに尿素等を用いることができる。もしくは、グルテン粉、綿実粉、大豆粉、コーンスティープリカー、乾燥酵母、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、カザミノ酸などの有機窒素源を用いてもよい。
炭素源および窒素源は組み合わせて使用すると有利であるが、痕跡量の生育因子や相当量の無機栄養素を含む低純度の物質もまた、使用に適しているので、それらを純粋な形で使用する必要はない。
所望により、第一リン酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化コバルトなどの無機塩を使用することができる。また、必要な場合、特に培地が著しく発泡する場合には、液状パラフィン、高級アルコール、植物油、鉱物油、シリコーンなどの消泡剤を添加してもよい。
必要に応じて、各種ビタミン類などのさらなる成分を培地に添加してもよい。
上記窒素源、無機塩及びさらなる成分は、当業者に公知である。
本発明の方法における各種リンゴ酸産生細菌の培養は、嫌気的条件下に行ってもよいが、好ましくは好気的条件下で行われる。好気的条件とは、分子状酸素の存在下での培養をいう。酸素供給などのために、通気、攪拌、振盪などを行なってもよい。培養に使用する装置としては、微生物の培養に通常使用される各種装置を使用できる。本発明の方法で好気的条件下で培養を実施する場合、嫌気的条件をもたらすのに必要な装置等を使用することなく、簡便に細菌の培養およびリンゴ酸生成を行なうことができる。
一方、嫌気的条件下で培養する場合は、例えば、炭酸ガス、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を通気するか、あるいは無通気により行うことができる。
リンゴ酸の大量生産の条件としては液体培養が好ましい。大型タンク内で増殖させる場合は、リンゴ酸生成工程における増殖遅延を回避する目的で、増殖期にある菌を使用して生産タンク中に接種することが好ましい。即ち、まず比較的少量の培地に菌を接種して培養することにより増殖期の種菌を製造し、次いで該種菌を無菌的に大型タンクに移すのが望ましい。
培養液の攪拌及び通気は種々の方法で行なうことができる。攪拌は、プロペラまたはこれに類似する機械的攪拌装置の使用、ファーメンタの回転または振盪、種々のポンプ装置の使用等により行なうことができる。また、通気は、例えば、滅菌エアーを培養液中を通過させることによって行なうことができ、この場合、通気操作により攪拌の効果も得ることが可能である。
液体培地で培養する場合、回分培養(batch culture)、流加培養(fed batch culture)、連続培養(continuous culture)などの培養方法を適宜選択して用いることができる。
培養条件は本発明で用いるリンゴ酸産生細菌の培養に適したものであればよい。例えば、培養温度は、約4℃〜約40℃、好ましくは約20℃〜約37℃である。培地のpHは、約5〜約9、好ましくは約6〜約8である。リンゴ酸の生成に伴い、培地のpHが低下する場合があるので、必要に応じて、培養中にアンモニア水、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを添加して、培地のpHをこれらの範囲内に調整する。
上記培地の組成、上記および他の培養条件等は、当業者によって適宜調節可能である。リンゴ酸の収量および/または収率などをさらに向上させるために、これらを調節することも考えられよう。
本発明の方法で用いる細菌は、それぞれ菌体、菌体処理物、またはそれらの固定化物という形で使用しても良い。ここで、菌体処理物とは、菌体破砕物、または培養物(菌体、培養上清を含む)から抽出した酵素などをいう。菌体処理物としては、例えば、培養して得られた菌体を有機溶媒(アセトン、エタノール等)処理したもの、凍結乾燥処理したものもしくはアルカリ処理したもの、または、菌体を物理的もしくは酵素的に破砕したもの、または、これらのものから分離・抽出された粗酵素等を挙げることができる。具体的には、培養物から遠心分離等により細胞を集めた後、これを超音波処理、ダイノミル処理、フレンチプレス処理等の物理的破砕法又は界面活性剤若しくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いる化学的破砕法等によって破砕する。得られた破砕液から遠心分離、メンブレンフィルター濾過等により不純物を除去することにより無細胞抽出液を調製し、これを陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー等の分離精製方法を適宜用いて分画することによって、酵素などを精製することができる。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもできる。菌体の破砕および酵素の抽出は、前記の方法の他に、当業者に公知の方法で行うこともできる。
クロマトグラフィーに使用する担体としては、例えば、カルボキシメチル(CM)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、フェニル基若しくはブチル基を導入したセルロース、デキストリン又はアガロース等の不溶性高分子担体が挙げられる。市販の担体充填済カラムを用いることもできる。菌体の破砕および酵素の抽出は、前記の方法の他に、当業者に公知の方法で行うこともできる。
菌体、菌体処理物、またはそれらの固定化物をグリセロールに接触させる方法の例としては以下が挙げられる。
菌体や菌体処理物を用いてグリセロールからリンゴ酸を製造する方法としては、細菌の菌体をグリセロールを含む基質液に懸濁し、反応させる方法を例示することができる。細菌の菌体は、リンゴ酸産生細菌を培養した後、遠心分離等を行なうことにより得ることができる。基質液中のグリセロール濃度は0.01〜50重量%程度が好ましい。反応温度は、通常、約4℃〜約40℃、好ましくは約20℃〜約37℃である。反応液のpHは、通常、約5〜約9、好ましくは約6〜約8である。リンゴ酸の生成に伴い、培地のpHが低下する場合があるので、必要に応じて、培養中にアンモニア水、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを添加して、培地のpHをこれらの範囲内に調整する。
菌体等の固定化物を用いてグリセロールからリンゴ酸を製造する方法としては、細菌の菌体等の固定化物をカラムに充填し、グリセロールを含む基質液を流通させる方法を例示することができる。細菌の菌体や菌体処理物は、リンゴ酸産生細菌を培養した後、遠心分離等を行なうことにより得ることができる。菌体等を固定化する方法としては、ゲルにより包括固定化する手段、イオン交換体を担持させて固定化する手段などを例示することができる。使用するゲルとしては、例えば、カラギーナンゲル、寒天ゲル、マンナンゲル、PVAゲル、ポリアクリルアミドゲル等を挙げることができる。ゲル球の大きさは、ゲルの種類により異なるが、直径1〜10mm程度が適当である。また、イオン交換体としては、例えば、セルロース系、スチレンジビニルベンゼン系、フェノールホルマリン系などのイオン交換体を挙げることができる。基質液中のグリセロール濃度は0.01〜50重量%程度が好ましい。また、当該溶液中には、メルカプトエタノール、システイン、グルタチオンなどのSH化合物、亜硫酸塩などの還元剤、マグネシウムイオン、マンガンイオンなどの酵素活性化剤を添加することもできる。流通させる溶液の速度は、カラムの大きさ、固定化物の量により異なるが、溶液を処理する速度の指標である空間速度(ml/ml樹脂・hr)は、0.05〜10が適当である。
リンゴ酸の分離および精製は、従来公知の方法に準じて実施され得る。リンゴ酸の分離、精製方法としては、例えば、溶媒抽出法、イオン交換クロマトグラフィー法、不溶化処理による分別沈殿法、結晶化による分別結晶法、逆浸透膜による膜分離法及び濃縮晶析法等などが挙げられる。具体的には、例えば、培養終了後の培養液をろ過または遠心分離により培養上清を得、当該培養上清を濃縮晶析するか、あるいは当該培養上清を必要により、酸処理した後、活性炭等を用いて精製してもよい。リンゴ酸の分離および精製方法はそれらに限定されない。具体的には、例えば、特開2001−197897記載の方法に準じてリンゴ酸の分離および精製を行なってもよい。
本発明を以下の実施例によって例示するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であることを理解すべきである。
(実施例1)
アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるB培地(組成:塩化カルシウム、酵母エキス及び寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、24時間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるC培地(組成:グリセロール10gの代わりにバイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセロール画分(グリセロール:51%、メタノール:11%、水酸化カリウム:8%、水:4%、グリセリド等その他:26%)19.6gを含むことを除けば、上記B試験管培養用培地と同一成分組成である)3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、4日後に1リットル当りグリセロールが0.4g消費され、リンゴ酸が0.1g蓄積した。
アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるB培地(組成:塩化カルシウム、酵母エキス及び寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、24時間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるC培地(組成:グリセロール10gの代わりにバイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセロール画分(グリセロール:51%、メタノール:11%、水酸化カリウム:8%、水:4%、グリセリド等その他:26%)19.6gを含むことを除けば、上記B試験管培養用培地と同一成分組成である)3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、4日後に1リットル当りグリセロールが0.4g消費され、リンゴ酸が0.1g蓄積した。
(実施例2)
アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるD培地(組成:寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、6日間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるE培地(組成:グリセロール10gの代わりにバイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセロール画分(グリセロール:51%、メタノール:11%、水酸化カリウム:8%、水:4%、グリセリド等その他:26%)19.6gを含むことを除けば、上記E試験管培養用培地と同一成分組成である)3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、6日後に1リットル当りグリセロールが1.3g消費され、リンゴ酸が0.4g蓄積した。
アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるD培地(組成:寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、6日間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるE培地(組成:グリセロール10gの代わりにバイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセロール画分(グリセロール:51%、メタノール:11%、水酸化カリウム:8%、水:4%、グリセリド等その他:26%)19.6gを含むことを除けば、上記E試験管培養用培地と同一成分組成である)3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、6日後に1リットル当りグリセロールが1.3g消費され、リンゴ酸が0.4g蓄積した。
(実施例3)
コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株を、実施例1と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが2.6g消費され、リンゴ酸が0.5g蓄積した。
コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株を、実施例1と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが2.6g消費され、リンゴ酸が0.5g蓄積した。
(実施例4)
マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるD培地(組成:寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、2日間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるD培地3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、4日後に1リットル当りグリセロールが0.4g消費され、リンゴ酸が0.1g蓄積した。
マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株を、プレート培養用培地であるA寒天培地(組成:第一リン酸カリウム3g、第二リン酸ナトリウム6g、塩化ナトリウム0.5g、塩化アンモニウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物492mg、塩化カルシウム・2水和物147mg、酵母エキス100mg、グリセロール10g、寒天20g及び蒸留水1L(最終pH7.4))に塗布し、30℃、4日間静置した。上記のプレート上で生育した同菌株を、試験管培養用培地であるD培地(組成:寒天を含まないことを除けば、上記A寒天培地と同一成分組成)3mlに白金耳でもって植菌し、30℃、2日間、200rpmで振盪培養(前培養)した。このように生育した同菌株培養液30μlを、試験管培養用培地であるD培地3mlへ移し、30℃、200rpmで振盪培養(本培養)した。反応開始後、4日後に1リットル当りグリセロールが0.4g消費され、リンゴ酸が0.1g蓄積した。
(実施例5)
コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株を、前培養の培養時間2日間の代わりに6日間及び本培養の培養時間4日間の代わりに6日間であることを除き、実施例3と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが2.3g消費され、リンゴ酸が0.2g蓄積した。
コマモナス・テストステロニ ATCC 27911株を、前培養の培養時間2日間の代わりに6日間及び本培養の培養時間4日間の代わりに6日間であることを除き、実施例3と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが2.3g消費され、リンゴ酸が0.2g蓄積した。
(実施例6)
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例1と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが4.4g消費され、リンゴ酸が0.3g蓄積した。
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例1と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが4.4g消費され、リンゴ酸が0.3g蓄積した。
(実施例7)
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例2と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが4.5g消費され、リンゴ酸が0.8g蓄積した。
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例2と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが4.5g消費され、リンゴ酸が0.8g蓄積した。
(実施例8)
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例4と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが8.8g消費され、リンゴ酸が0.4g蓄積した。
シュードモナス・フラジJCM 20552株を、実施例4と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが8.8g消費され、リンゴ酸が0.4g蓄積した。
(実施例9)
ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株を、実施例2と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが6.3g消費され、リンゴ酸が0.5g蓄積した。
ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株を、実施例2と同様に反応したところ、1リットル当りグリセロールが6.3g消費され、リンゴ酸が0.5g蓄積した。
本発明の方法によれば、微生物を用いてグリセロール(バイオディーゼル廃液)からリンゴ酸を簡便に生成することができる。リンゴ酸は、食品添加物、消臭剤、洗浄助剤、pH調整剤、入浴剤等として使用される。このように、本発明は、廃棄物から有用物質を生成するのに役立つ。
Claims (6)
- アクロモバクタ・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxydans)、マイクロバクテリウム・サペルダエ(Microbacterium saperdae)、ストレプトマイセス・モデラタス(Streptomyces moderatus)およびシュードモナス・フラジ(Pseudomonas fragi)からなる細菌種群から選ばれる細菌種に属し、グリセロールからリンゴ酸を生産する能力を有する細菌を、グリセロール含有培地中で培養するか、または当該細菌の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物を、グリセロールに接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法。
- アクロモバクタ・キシロソキシダンス、マイクロバクテリウム・サペルダエ、ストレプトマイセス・モデラタスおよびシュードモナス・フラジからなる細菌種群から選ばれる細菌種に属する細菌が、アクロモバクタ・キシロソキシダンス NBRC 15126株、マイクロバクテリウム・サペルダエ JCM 1352株、ストレプトマイセス・モデラタス NBRC 13432株またはシュードモナス・フラジ JCM 20552株である、請求項1記載の方法。
- コマモナス・テストステロニ(Comamonas testosteroni) ATCC 27911株を、グリセロール含有培地中で培養するか、または当該菌株の菌体、菌体処理物、若しくはそれらの固定化物をグリセロールに接触させることを特徴とする、グリセロールからリンゴ酸を製造する方法。
- 培養が好気的条件下で行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 培養物からリンゴ酸を回収する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- グリセロールがバイオディーゼル廃液由来である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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Cited By (2)
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|---|---|---|---|---|
| CN115141769A (zh) * | 2022-06-21 | 2022-10-04 | 湖南省蔬菜研究所 | 提高无色杆菌或肠杆菌的菌体丰度的培养基及其发酵方法 |
| CN115304474A (zh) * | 2021-05-06 | 2022-11-08 | 常茂生物化学工程股份有限公司 | 一种苹果酸浓缩淡酸的处理方法 |
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- 2007-10-23 JP JP2007275747A patent/JP2009005677A/ja active Pending
-
2008
- 2008-05-09 TW TW97117357A patent/TW200914620A/zh unknown
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