JP2009021235A - 膜−電極−ガス拡散層接合体及びこれを備える燃料電池 - Google Patents

膜−電極−ガス拡散層接合体及びこれを備える燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 電解質膜及び触媒層に炭化水素系高分子電解質が用いられ、低加湿状態であっても十分な発電性能が得られる燃料電池を形成可能な膜−電極−ガス拡散層接合体を提供すること。
【解決手段】 好適な実施形態の膜−電極−ガス拡散層接合体は、炭化水素系高分子電解質から構成される電解質膜と、この電解質膜の少なくとも一側に配置され、触媒物質及び炭化水素系高分子電解質を含む触媒層と、触媒層の電解質膜に対して反対側に配置されたガス拡散層とを備えており、触媒層とガス拡散層との間に、多孔質構造を有する多孔質層を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、膜−電極−ガス拡散層接合体及びこれを備える燃料電池に関する。
燃料電池、特に、電解質に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、排出する物質が水のみであることから、環境負荷の少ないエネルギー源として自動車等への応用が期待されている。固体高分子型燃料電池は、一般に、イオン伝導性を有する高分子電解質からなる電解質膜の両側に、電極として機能する触媒層及びガス拡散層が順に配置された膜−電極−ガス拡散層接合体(以下、「MEGA」と略す)を備えた構成を有している。
高分子電解質膜としては、従来、フッ素系高分子電解質からなるもの(例えば、ナフィオン(デュポン社製、登録商標))が多く用いられている。また、通常高分子電解質膜に隣接して設けられる触媒層にも、プロトン伝導性を付与するために高分子電解質を含有させることが一般的である。この触媒層に含有させる高分子電解質としても、上記のようなフッ素系高分子電解質が主流であった。
これに対し、近年では、フッ素系高分子電解質に代え、より安価な炭化水素系高分子電解質を適用することが試みられている。炭化水素系高分子電解質からなる電解質膜は、フッ素系のものに比して安価であり、耐熱性にも優れるという特徴を有している。また、従来、触媒層にフッ素系高分子電解質を含有させた場合には、燃料電池の長時間駆動により触媒層中のフッ素系高分子電解質の分解が生じ、これによってフッ素イオンが発生するおそれがあったが、このような問題を回避するため、触媒層にも炭化水素系高分子電解質を適用することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3689322号公報
ところで、上述したような燃料電池は、高分子電解質によるイオン伝導度を十分に得るために、加湿しながら動作させることが一般的である。しかしながら、近年では、発電システムを簡略化する目的で、燃料電池に対して低加湿状態でも十分に動作可能であることが望まれている。そして、低加湿状態で燃料電池を動作させると、普通は高分子電解質のイオン伝導度が低下するが、上述した炭化水素系高分子電解質の場合、このようなイオン伝導度の低下が特に顕著な傾向にあった。そのため、炭化水素系高分子電解質を電解質膜や触媒層に用いたMEGAを備える燃料電池は、低加湿状態で十分な発電性能を発揮することができず、簡略化された発電システムに適用する燃料電池としてはあまり好適ではなかった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電解質膜及び触媒層に炭化水素系高分子電解質を用い、しかも低加湿状態とした場合であっても十分な発電性能が得られる燃料電池を形成可能な膜−電極−ガス拡散層接合体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)は、炭化水素系高分子電解質から構成される電解質膜と、この電解質膜の少なくとも一側に配置され、触媒物質及び炭化水素系高分子電解質を含む触媒層と、触媒層の電解質膜に対して反対側に配置されたガス拡散層と、触媒層とガス拡散層との間に配置され、多孔質構造を有する多孔質層とを備えることを特徴とする。
上記構成を有する本発明のMEGAによれば、炭化水素系高分子を含む電解質膜及び触媒層を有するにもかかわらず、低加湿状態であっても高い発電性能を有する燃料電池を得ることができる。その要因については明らかではないものの、触媒層とガス拡散層との間に多孔質層が配置されることで、電解質膜や触媒層への吸水量が十分に確保されるようになり、その結果、低加湿状態であってもMEGAにおける電解質膜と触媒層との両方が優れたプロトン伝導性を有するようになったためであると考えられる。
本発明のMEGAにおいて、多孔質層の有する孔の平均孔径は、10nm〜10μmであると好ましい。このような平均孔径を有する多孔質層は、電解質膜や触媒層への水の供給を更に有利にできると考えられる。したがって、かかる多孔質層を有することにより、低加湿状態でのプロトン伝導性を一層良好に得ることができるようになる。このような効果を更に良好に得る観点からは、多孔質層の有する孔の平均孔径は、20nm〜300nmであるとより好ましい。
また、少なくとも電解質膜を構成している炭化水素系高分子電解質は、ブロック共重合体からなるものであると好ましい。ブロック共重合体からなる炭化水素系高分子電解質は、それ自体が良好なプロトン伝導性を発現することができ、低加湿状態で用いられるMEGAの電解質材料として有効である。
さらに、触媒層は、水及び親水性溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒と、触媒物質と、炭化水素系高分子電解質とを含み、且つ、この炭化水素系高分子電解質の少なくとも一部が溶媒に分散した状態で含まれる触媒インクから形成された層であると好ましい。このような触媒層は、触媒物質と炭化水素系高分子電解質が層中に均一に分散された構成を有するほか、製造過程において高分子電解質による触媒物質の劣化が少ないものとなり、燃料電池の電極として高い導電性及びプロトン伝導性を発揮することができる。
本発明はまた、上記本発明のMEGAを備える燃料電池を提供する。このような燃料電池は、本発明のMEGAを備えるため、電解質膜及び触媒層に炭化水素系高分子電解質を含むにもかかわらず、低加湿状態であっても優れた発電特性を発揮し得る。したがって、本発明の燃料電池は、製造コストが低く、優れた耐熱性を有しており、しかも低加湿状態でも良好に動作することができるものとなる。
本発明によれば、電解質膜及び触媒層に炭化水素系高分子電解質が用いられ、低加湿状態であっても十分な発電性能が得られる燃料電池を形成可能な膜−電極−ガス拡散層接合体を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
[燃料電池]
図1は、好適な実施形態の燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。図示されるように、燃料電池10は、高分子電解質からなる電解質膜12の両側に、これを挟むように触媒層14a,14b、多孔質層15a,15b、ガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bが順に形成されている。燃料電池10においては、電解質膜12と、これを挟む一対の触媒層14a,14bとから、膜−電極接合体(以下、「MEA」と略す)20が構成されている。
(電解質膜)
電解質膜12は、炭化水素系高分子電解質が膜状に形成されたものである。炭化水素系高分子電解質は、主として炭化水素によって構成される主鎖と、主鎖や主鎖に結合した側鎖に置換したイオン交換基とを含む構造を有する。この炭化水素系高分子電解質には、例えば、その構造中の、フッ素原子等のハロゲン原子の含有割合が15重量%以下であるものが該当する。
炭化水素系高分子電解質が有するイオン交換基としては、酸性基、塩基性基等特に制限されないが、良好なプロトン伝導性を得る観点から、酸性基が好ましい。酸性基としては、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO)、リン酸基(−OPO)、スルホニルアミド基(−SONHSO−)、フェノール性水酸基等が例示できる。なかでも、スルホン酸基又はホスホン酸基が好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。
上述したような構成を有する炭化水素系高分子電解質としては、以下のような構造を有するものが例示できる。すなわち、まず、(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化水素系高分子に、スルホン酸基及び/又はホスホン酸基を導入した高分子電解質や、(B)主鎖が芳香環を有する高分子に、スルホン酸基及び/又はホスホン酸基を導入した高分子電解質が挙げられる。
また、(C)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を含む重合体にスルホン酸基及び/又はホスホン酸基を導入した高分子電解質や、(D)(A)〜(C)の高分子電解質の主鎖を構成する繰り返し単位の2種以上を組み合わせた共重合体に、スルホン酸基及び/又はホスホン酸基を導入した高分子電解質が挙げられる。さらに、(E)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質等も例示できる。
より具体的には、上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。また、上記(B)の高分子電解質としては、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたものが挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(例えば、J.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974)参照)等が挙げられる。
上記(C)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホン酸基が導入されたものや、ホスホン酸基を有するポリシロキサン等が挙げられる。これらは、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に準じて容易に製造することができる。
上記(D)の高分子電解質は、ランダム共重合体にスルホン酸基及び/又はホスホン酸基が導入されたもの、交互共重合体にスルホン酸基及び/又はホスホン酸基が導入されたもの、ブロック共重合体にスルホン酸基及び/又はホスホン酸基が導入されたもののいずれであってもよい。例えば、ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、特開平11−116679号公報に記載されたようなスルホン化ポリエーテルスルホン重合体が挙げられる。また、ブロック共重合体にスルホン酸基及び/又はホスホン酸基が導入されたものとしては、特開2001−250567号公報に記載されたようなスルホン酸基を含むブロックを有するものが挙げられる。
上記(E)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を含有させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
これらの高分子電解質は、主鎖や側鎖にフッ素等のハロゲン原子を有していてもよいが、炭化水素系高分子電解質であるため、全体としては上述したようなハロゲン原子の含有量を満たしている。
また、耐熱性やリサイクルの容易さの観点からは、炭化水素系高分子電解質としては、芳香族系高分子電解質が好ましい。芳香族系高分子電解質とは、主鎖に芳香環を有し、分子内に酸性基を含む構造を有する高分子化合物である。この芳香族系高分子電解質としては、溶媒に可溶なものが好適である。これらは公知の溶液キャスト法によって、容易に所望の膜厚の高分子電解質膜を形成することができる。芳香族系高分子電解質の酸性基は、その主鎖を構成している芳香環に直接置換していてもよく、主鎖を構成している芳香環に所定の連結基を介して結合していてもよく、それらを組み合わせて有していてもよい。
ここで、「主鎖に芳香環を有する高分子」とは、例えば、ポリアリーレンのように2価の芳香族基同士が連結して主鎖を構成しているものや、2価の芳香族基が他の2価の基を介して連結して主鎖を構成しているものである。後者の場合、芳香族基を結合する2価の基としては、オキシ基(−O−)、チオキシ基(−S−)、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、アミド基(−NH−CO−又は−CO−NH−)、エステル基(−O−CO−又は−CO−O−)、炭酸エステル基(−O−CO−O−)、炭素数1〜4程度のアルキレン基、炭素数1〜4程度のフッ素置換アルキレン基、炭素数2〜4程度のアルケニレン基、炭素数2〜4程度のアルキニレン基が挙げられる。中でも、芳香族基を連結する2価の基としては、オキシ基(−O−)、スルホニル基が好ましい。
主鎖に含まれる2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフタレン基、アトラセニレン基、フルオレンジイル基等の炭化水素芳香族基や、ピリジンジイル基、フランジイル基、チオフェンジイル基、イミダゾリル基、インドールジイル基、キノキサリンジイル基等の芳香族複素環基が挙げられる。また、2価の芳香族基は、上記の酸性基以外の置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。なお、芳香環やそれを連結する2価の基等は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよいが、その場合、ハロゲン原子の含有量はやはり15重量%以下である必要がある。
電解質膜12を構成する炭化水素系高分子電解質としては、上述したなかでも、高い発電性能を得るとともに、優れた耐久性を得る観点からは、上記(B)や(D)の高分子電解質が好ましく、(D)の高分子電解質であって、ブロック共重合体からなるものがより好ましい。
このようなブロック共重合体からなる炭化水素系高分子電解質は、高分子電解質膜として、酸性基を有するドメインと、イオン交換基を実質的に有しないドメインとを併せ持つ相分離した構造、より好適にはミクロ相分離した構造が得られ易いものである。このミクロ相分離した構造において、前者のドメインはプロトン伝導性に寄与する一方、後者のドメインは機械的強度に寄与する。ここでいうミクロ相分離構造とは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、酸性基を有するブロックの密度がイオン交換基を実質的に有さないブロックの密度より高い微細な相(ミクロドメイン)と、イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度が酸性基を有するブロックの密度より高い微細な相(ミクロドメイン)とが混在しており、各ミクロドメイン構造のドメイン幅(恒等周期)が数nm〜数100nmであるような構造をいう。炭化水素系高分子電解質としては、5nm〜100nmのドメイン幅を有するミクロドメイン構造を有する膜を形成し得るものが好ましい。特に、芳香族系高分子電解質からなる電解質膜の場合も、このようなミクロドメイン構造を有する膜を形成し得るものが好ましい。
ブロック共重合体は、異種のポリマーブロック同士が化学結合で結合されていることによって、分子鎖サイズのオーダーでの微視的相分離が生じ易いことから、ミクロ相分離構造の膜を良好に形成することができる。なお、ここでいうブロック共重合体には、複数のブロックから構成される線状高分子や、一部のブロックを分岐鎖として有するグラフト共重合体も含まれる。ブロック共重合体としては、上述した線状高分子の形態を有するブロック共重合体が好適である。
ここで、ブロック共重合体において、「酸性基を有するブロック」とは、かかるブロックを構成している繰り返し単位1個あたりに、酸性基が平均0.5個以上含まれているブロックであることを意味し、繰り返し単位1個あたりで平均1.0個以上含まれているブロックであるとより好ましい。一方、「イオン交換基を実質的に有しないブロック」とは、かかるブロックを構成している繰り返し単位1個あたり、イオン交換基が平均0.5個未満であるブロックであり、繰り返し単位1個あたり平均0.1個以下であるとより好ましく、平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
電解質膜12に好適なブロック共重合体の例としては、例えば、特開2005−126684号公報や特開2005−139432号公報に記載された芳香族ポリエーテル構造を有し、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有しないブロックとからなるブロック共重合体が挙げられる。特に、酸性基を有するポリアリーレンブロックを有するブロック共重合体(本出願人による国際公開2006/95919号パンフレット参照)は、イオン伝導性と耐水性を高水準で達成する電解質膜を形成できるため、好ましい。
電解質膜12を構成する炭化水素系高分子電解質の分子量は、その構造に応じて最適範囲を適宜設定することが好ましいが、例えば、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算の数平均分子量で、1000〜1000000であると好ましい。この数平均分子量の下限は、より好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上である。一方、上限は、より好ましくは500000以下、更に好ましくは300000以下である。
さらに、電解質膜12は、上記の炭化水素系高分子電解質に加え、所望の特性に応じて、プロトン伝導性を著しく低下させない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、通常の高分子に添加される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤が挙げられる。
特に、電解質膜12は、耐ラジカル性を付与できる安定剤を含むと好ましい。燃料電池10の動作中には、触媒層14a,14bにおいて生成した過酸化物が、電解質膜12に拡散しながらラジカル種に変化して、これが電解質膜12を構成している炭化水素系高分子電解質を劣化させることがある。電解質膜12がこのような劣化を抑制し得る安定剤を含むことによって、このような不都合を回避することができる。好適な安定化剤としては、例えば、本出願人による特開2003−282096号公報に開示されたような、下記一般式(2)で表される芳香族ホスホン酸類が好適である。
Figure 2009021235
式(1a)中、ZはSO又はCOを示し、x及びyは、括弧内の構造単位の重合比を示し、x+y=1であってそれぞれ0.01〜0.99の範囲である。Ar11は、ヘテロ元素を含んでいてもよい炭素数4〜18の2価の芳香族基を示し、この芳香族基は置換基を有していてもよい。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示す。zは、Ar11で表される芳香族基に対する括弧内の置換基の平均置換数を示し、8以下の正の整数である。
上記一般式(1a)で表される芳香族ホスホン酸類の共重合様式は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合のいずれであってもよいが、製造の容易さの観点からは、ランダム共重合又は交互共重合であると好ましい。式(1a)中のP(O)(OR11)(OR12)で表される基は、R11及びR12がともに水素原子であるホスホン酸基であると好ましい。また、式(1a)におけるxの比率は、0.60〜0.90であると好ましく、0.70〜0.90であるとより好ましい。なお、芳香族ホスホン酸類は、上記一般式(1a)の構造単位に加えて、下記一般式(1b)で表される構造単位を更に含んでいてもよい。
Figure 2009021235

[式中、X11はハロゲン原子を示し、Ar12は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜18の2価の芳香族基を示す。yはAr12を含む高分子部分の繰り返し単位当たりのX11の置換数を示し、8以下の正の数である。]
なお、電解質膜12は、必ずしも上述したような単層の構造を有している必要はなく、その機械的強度を向上させる目的で、炭化水素系高分子電解質と所定の支持体とを複合化した複合膜を用いることもできる。この支持体としては、フィブリル形状や多孔膜形状等の基材が挙げられる。
(触媒層)
電解質膜12に隣接する触媒層14a,14bは、実質的に燃料電池における電極層として機能する層である。これらのいずれか一方がアノード電極層となり、他方がカソード電極層となる。触媒層14a,14bは、実質的に触媒として機能する触媒物質と、高分子電解質、好ましくは炭化水素系高分子電解質とを含有しており、より詳しくは、触媒物質が炭化水素系高分子電解質によって結着された構成を有する。
触媒物質としては、燃料電池の触媒層において触媒として用いられる成分を適用することができる。例えば、白金、白金−ルテニウム合金、白金−コバルト合金、錯体系電極触媒(例えば、高分子学会燃料電池材料研究会編、「燃料電池と高分子」、103〜112頁、共立出版、2005年11月10日発行に記載のもの)等が挙げられる。また、触媒物質としては、触媒層における電子の輸送を容易にするため、上記の物質等の触媒物質を、所定の導電性材料の表面に担持させた触媒担持体も好適である。この触媒担持体における導電性材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブ等の導電性カーボン材料、酸化チタン等のセラミック材料等が挙げられる。
触媒層14a,14bに含まれる炭化水素系高分子電解質は、電解質膜12と触媒物質とのイオンのやり取りを容易にし、しかも触媒物質同士を決着させるバインダーとしても機能する。触媒層14a,14bの炭化水素系高分子電解質としては、上述した電解質膜12を構成する炭化水素系高分子電解質と同様のものを適用できる。電解質膜12における炭化水素系高分子電解質と、触媒層14a,14bにおける炭化水素系高分子電解質とは、同一であっても異なっていてもよい。また、触媒層14aと触媒層14bとが異なる炭化水素系高分子電解質を含有していてもよい。
触媒層14a,14b中の炭化水素系高分子電解質の含有量は、上述した機能が良好に発揮される範囲で適宜選択することが好ましい。例えば、触媒物質が上述した担持体を形成している場合、炭化水素系高分子電解質の含有量は、担持体に対する質量比で0.05〜1.4であると好ましく、0.10〜1.2であるとより好ましく、0.15〜1.0であると更に好ましい。
なお、触媒層14a,14bには、触媒物質及び炭化水素系高分子電解質に加え、当該層の機能を高める目的でその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、撥水性を高める観点から、PTFEなどの撥水剤が挙げられ、ガス拡散性を高める観点から、炭酸カルシウム等の造孔材が挙げられ、MEA20の耐久性を高める観点から金属酸化物等の安定剤が挙げられる。
(多孔質層)
多孔質層15a,15bは、触媒層14a,14bとガス拡散層16a,16bとの間に配置され、多数の微小な孔が形成された多孔質構造を有する層である。多孔質層15a,15bが有する孔の平均孔径は、10nm〜10μmであると好ましく、15nm〜1μmであるとより好ましく、20nm〜300nmであると更に好ましい。ここで、平均孔径とは、水銀圧入法を用いて、細孔分布を測定することにより得られた値である。
また、多孔質層15a,15bの空隙率は、10%〜90%であると好ましい。なお、空隙率とは、多孔質層15a,15bの所定の単位体積に占める空孔の合計体積の割合であり、上述した水銀圧入法によって求められる累積細孔容積から求めることができる。
多孔質層15a,15bの平均孔径が10nm未満、又は、空隙率が10%未満であると、当該層における反応ガスの拡散性が悪化し、燃料電池10において十分な発電を生じさせることが困難となるおそれがある。一方、平均孔径が10μmを超えるか、空隙率が90%を超えると、低加湿状態で電解質膜12や触媒層14a,14bに十分に水が供給されなくなって、燃料電池10の発電特性が低下する場合がある。
多孔質層15a,15bは、触媒層14a,14bとガス拡散層16a,16bとの間の導電性を十分に保つため、導電性を有する材料から形成されることが好ましい。また、多孔質層15a,15bは、上述したような電解質膜12や触媒層14a,14bへの水の供給効果を高める観点から、それ自体が水を保持し過ぎないように、撥水性を有していることが好ましい。具体的には、層を形成したときの表面の水との接触角が90度以上であることが好ましく、100度以上であるとより好ましく、110度以上であると更に好ましく、120度以上であると特に好ましい。この接触角は、例えば、後述する製造工程において、多孔質層15a,15bをガス拡散層16a、16b等の上に形成させた後に、23℃、相対湿度50%の条件下、液適法で測定することによって求めることができる。
上述した導電性及び撥水性を良好に得る観点から、多孔質層15a,15bは、導電性の材料(以下、「導電性材料」という)と撥水性の材料(以下、「撥水性材料」という)とを組み合わせて含む層であると好ましい。導電性材料としては、バルカン(米国キャボット社、登録商標)、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粒子、カーボン繊維、又は、酸化チタン等の無機材料が挙げられる。なかでも、加工性が良好であることから、カーボン粒子やカーボン繊維が好適である。また、撥水性材料としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂や、シリコーン系撥水材料等が挙げられる。なお、多孔質層15a,15bは、本発明の効果を妨げない範囲で、導電性材料や撥水性材料以外の材料を含有していてもよい。
多孔質層15a,15bの厚さは、1〜200μmであると好ましく、10〜180μmであるとより好ましい。このような厚さを有することで、電解質膜12や触媒層14a,14bへの水の供給効果が特に良好に得られる傾向にある。
(ガス拡散層)
ガス拡散層16a,16bは、MEA20を挟むように設けられており、触媒層14a,14b等への原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。また、ガス拡散層16a,16bは、この上に上記多孔質層15a,15bが形成されることが多いことから、自己支持性を有しているとより好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。燃料電池10においては、電解質膜12、触媒層14a,14b、多孔質層15a,15b及びガス拡散層16a,16bによって、膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)が構成される。
(セパレータ)
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス等が挙げられる。このセパレータ18a,18bは、図示しないが、触媒層14a,14b側に、燃料ガス等の流路となる溝が形成されていると好ましい。
以上、燃料電池1の好適な構成について説明したが、燃料電池10は、例えば上述した構成がガスシール体等で封止されたものであってもよい(図示せず)。さらに、上記構造の燃料電池10は、直列に複数個接続して、燃料電池スタックとして実用に供することもできる。これらの構成を有する燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
[燃料電池の製造方法]
次に、上述した構成を有する燃料電池10を製造する方法の好適な例について説明する。
燃料電池10の製造方法としては、電解質膜12を準備し、その表面上に各層を順次形成する方法が挙げられる。すなわち、まず、電解質層12の両面に、触媒層14a,14bを形成する。これにより、電解質膜12の両側に触媒層14a,14bが形成されたMEA20が得られる。
触媒層14a,14bは、触媒インクを準備し、これを電解質膜12に直接塗布した後、乾燥させることによって形成することができる。触媒インクを塗布する方法としては、ダイコーター、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット等の公知の塗布方法が挙げられる。
触媒インクとしては、水及び親水性溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒と、触媒物質と、炭化水素系高分子電解質とを含み、且つ、この炭化水素系高分子電解質の少なくとも一部が上記溶媒に分散した状態で含まれるものが好ましい。
このような触媒インクは、例えば、炭化水素系高分子電解質が有機溶媒に溶解した溶液を準備する工程(溶液調製工程)、この溶液に用いた有機溶媒を、水及び親水性溶媒から選択される溶媒であって炭化水素系高分子電解質に対して難溶又は不溶なものと置換して、炭化水素系高分子電解質の少なくとも一部が水及び親水性溶媒から選択される溶媒に分散したエマルション(分散液)を得る工程(溶媒置換工程)、このエマルションに触媒物質を加える工程(触媒添加工程)、及び、必要に応じて上記調製工程で用いた有機溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)を行うことによって好適に製造することができる。
触媒インクの製造方法において、炭化水素系高分子電解質を含むエマルションは、炭化水素系高分子電解質を、これを溶解しない溶媒(水及び親水性溶媒から選択される溶媒)に分散させることによって得ることもできる。ここで、親水性溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。なかでも、触媒インクに用いる溶媒としては、環境への負荷を軽減する観点から水、又は、水とアルコール系溶媒との混合溶媒が好適である。
また、上記の触媒添加工程は、例えば、触媒物質を溶媒に分散させた分散液中に、炭化水素系高分子電解質を含むエマルションを添加した後、これを超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル等により混合することによって行うことができる。
さらに、触媒添加工程後に得られた触媒インクは、必要に応じて、水及び親水性溶媒から選択される溶媒で更に希釈してもよく、エバポレーターを用いた濃縮を行うことにより溶液調製工程で用いた有機溶媒を除去してもよく、透析膜を用いた膜処理を行ってもよい。上述した触媒インクの調製方法によれば、炭化水素系高分子電解質の分散性が良好な触媒インクを調製することが可能となる。
触媒層14a,14bの形成後には、続いて、これらの触媒層14a,14bの外側に多孔質層15a,15bを形成する。多孔質層15a,15bは、例えば、上述したような多孔質層の構成材料(導電性材料や撥水性材料)を水や親水性溶媒等の溶媒に溶解又は分散させた分散液(以下、「多孔質層用インク」という)を準備し、これを触媒層14a,14bの表面に塗布した後、乾燥させ溶媒を除去することによって形成することができる。多孔質層用インクに用いる溶媒としては、アルコール、特に低級アルコールが好ましい。多孔質層用インクの塗布方法としては、上述した触媒インクの場合と同様、ダイコーター、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット等の公知の塗布方法を適用できる。
多孔質層15a,15bを形成する際には、多孔質層用インクに用いる溶媒の種類、溶媒を蒸発させる速度、分散液中の多孔質層の構成材料の濃度等を適宜変化させることが好ましい。これらの条件を調整することによって、上述したような好適な平均孔径や空隙率を有する多孔質層15a,15bを形成することができる。
燃料電池10の製造においては、その後、多孔質層15a,15bの外側に、カーボン不織布やカーボンペーパー等を配置してガス拡散層16a,16bを形成する。これにより、電解質膜12の両側に、触媒層14a,14b、多孔質層15a,15b及びガス拡散層16a,16bが順に配置されたMEGAが得られる。
その後、MEGAに対し、両側から挟みこむようにセパレータ18a,18bを配置する。そして、このようにして得られた積層体全体を、その積層方向にプレス等して各層を密着させることにより、上述した構成を有する燃料電池10を得ることができる。
なお、燃料電池10の製造においては、触媒層14a,14bや多孔質層15a,15bは、上述したような触媒インクや多孔質層用インクを直接塗布して形成する方法以外に、所定の支持基材上にこれらの層を形成させたフィルムを別途形成し、このフィルムを用いて各層を転写することによって形成することもできる。
例えば、触媒層14a,14bは、所定の支持基材上に触媒インクを塗布した後、乾燥させることで触媒層を形成したフィルムを準備し、このフィルムにおける触媒層を電解質膜12に転写した後、支持基材を剥離することによって形成することができる。ここで、支持基材としては、触媒層の転写後、容易に剥離し得るものが好ましく、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン)フィルムやポリイミドフィルム等が挙げられる。触媒層の転写は、電解質膜12に触媒層が接するように上記フィルムを重ねた後、これらをプレスすることによって行うことができる。
多孔質層15a,15bも同様に、所定の支持基材上に多孔質層を形成したフィルムを用い、このフィルムにおける多孔質層を触媒層14a,14bに転写することによって形成することができる。この場合、フィルムにおける多孔質層は、上述したような多孔質層用インクを支持基材上に塗布した後、乾燥させることによって形成することができる。
さらに、フィルムとしては、支持基材上に多孔質層と触媒層との両方が形成されたものを用いてもよい。このようなフィルムを用いれば、電解質膜12に対して触媒層14a,14bと多孔質層15a,15bの両方を一度に転写することができる。
この場合、支持基材に代えて、ガス拡散層16a,16bを形成するためのカーボン不織布やカーボンペーパー等を用いてもよい。このようなフィルムを用いれば、触媒層、多孔質層及びガス拡散層をまとめて電解質膜12上に形成することができ、上述したMEGAが容易に得られる。
そして、触媒層14a,14b、多孔質層15a,15b及びガス拡散層16a,16bは、以上のような方法を適宜組み合わせて形成することができる。すなわち、例えば、触媒層14a,14bを、電解質膜12への触媒インクの直接塗布によって形成した後、多孔質層15a,15bを、上記のフィルムを用いた方法によって形成するようにしてもよい。また、触媒層14a,14bを触媒インクの電解質膜12への直接塗布により形成した後に、ガス拡散層上に多孔質層が形成されたフィルムを用い、多孔質層15a,15b及びガス拡散層16a,16bをまとめて形成するようにしてもよい。これらは、各層の材料や所望とする特性に応じて適宜選択することが好ましい。
以上、本発明のMEGA及び燃料電池の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には必ずしも限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。すなわち、本発明の燃料電池は、上述した燃料電池10における各層を有するものに限られず、これら以外の層を備えていてもよく、また必須の構成を具備する限り一部の層を有していなくてもよい。例えば、燃料電池10において、多孔質層15a,15bは、電解質膜12の両側に形成されていたが、いずれか一方の側にのみ形成されていてもよい。多孔質層が少なくとも一方に形成されていれば、低加湿状態でのイオン伝導性の向上効果が十分に得られるようになる。この場合、多孔質層は、アノード側よりもカソード側に設置されるほうが、本発明の効果を良好に得られる傾向にあるため、より好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下の実施例及び比較例で製造したポリマーの分子量(重量平均分子量、数平均分子量)の測定方法、及び、高分子電解質のイオン交換容量(IEC)の測定方法について説明する。
(分子量の測定)
測定対象のポリマーの重量平均分子量は、下記の条件でゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、その結果をポリスチレン換算することによって算出した。なお、GPC条件は以下に示す通りとした。
・カラム :TOSOH社製 TSK gel GMHHHR−M1本
・カラム温度 :40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dmになるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
(イオン交換容量)
まず、測定対象の高分子電解質を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に約10〜30重量%の濃度となるように溶解して高分子電解質溶液を調製した。この高分子電解質溶液を、ガラス板上に塗り広げた後、80℃で常圧乾燥することにより高分子電解質膜を得た。次に、得られた膜を2N塩酸に2時間浸漬した後、イオン交換水で洗浄して、高分子電解質膜のイオン交換基をプロトン型に変換した。
それから、ハロゲン水分率計を用い、105℃で乾燥させて、プロトン型に変換された高分子電解質膜の絶乾重量を求めた。この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加えて2時間放置した。その後、この高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えて滴定を行い、その中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の絶乾重量と上記の中和に要した塩酸の量とから、高分子電解質膜のIECを算出し、これを高分子電解質のイオン交換容量とした。
[高分子電解質膜の作製]
(高分子電解質1の合成)
国際公開2006/095919号パンフレット記載の方法に準拠し、下記化学式(2)で表される高分子電解質を得た(なお、化学式(2)の「block」の記載は、括弧内の繰返し単位からなるブロックを有するブロック共重合体であることを示す)。得られた高分子電解質1の重量平均分子量は2.3×10であり、数平均分子量は1.1×10であり、イオン交換容量(IEC)は2.2meq/gであった。
Figure 2009021235
(安定剤ポリマーの合成)
(a)ポリマーaの合成
まず、減圧共沸蒸留装置を備えた2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、これに4,4’−ジクロロジフェニルスルホン63.40g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル70.81g、N−メチル2−ピロリドン(NMP)955gを加えて均一な溶液とした。その後、炭酸カリウム92.80gを添加し、NMPを留去しながら135℃〜150℃で4.5時間減圧脱水した。その後、ジクロロジフェニルスルホン200.10gを添加し、180℃で21時間反応を行った。
反応終了後、反応溶液をメタノールに滴下し、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体は、更にメタノール洗浄及び水洗浄を行った後、熱メタノール洗浄を経て乾燥させ、これにより275.55gのポリマーaを得た。ポリマーaは、下記化学式(3)で表される構造を有する。
このポリマーaは、GPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量が18000であり、NMR測定の積分値から求めたqとpの比がq:p=7:3であった。なお、下記式(3)中の「random」の表記は、ポリマーaを形成する構成単位が、ランダムに共重合されていることを示す。
Figure 2009021235
(b)ポリマーbの合成
2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、上記のポリマーaの80.00g及びニトロベンゼンの1014.12gを加え、均一な溶液とした。その後、N−ブロモスクシンイミドを50.25g添加し、15℃まで冷却した。続いて、95%濃硫酸106.42gを40分かけて滴下し、15℃で6時間反応させた。6時間後、15℃に冷却しながら10重量%水酸化ナトリウム水溶液450.63g及びチオ硫酸ナトリウム18.36gを添加した。その後、この溶液をメタノールに滴下し、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体はメタノール洗浄及び水洗浄を行った後、再度メタノール洗浄を経て乾燥させて、86.38gのポリマーbを得た。得られたポリマーbの臭素含有率及び分子量を分析した結果は以下のとおりであった。
臭素含有率 19.5質量%
数平均分子量 7.7×10
重量平均分子量 1.1×10
(c)ポリマーcの合成
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、ポリマーbの80.07g、及び、ジメチルホルムアミド116.99gを加えて均一な溶液とした。その後、ジメチルホルムアミドを留去しながら5時間減圧脱水をおこなった。5時間後、50℃まで冷却し、塩化ニッケルを41.87g添加して130℃まで昇温し、更に亜リン酸トリエチルを69.67g滴下して、140℃〜145℃で2時間反応をおこなった。2時間後、亜リン酸トリエチルを更に17.30g添加し、145℃〜150℃で3時間反応をおこなった。3時間後、室温まで冷却し、水1161gとエタノール929gの混合溶液を滴下して、これにより析出した固体をろ過、回収した。回収した固体に水を添加して十分に粉砕し、これを5重量%塩酸水溶液による洗浄及び水洗浄を経て、86.83gのポリマーcを得た。
(d)ポリマーd(安定剤ポリマー)の合成
5Lのセパラブルフラスコを窒素置換し、ポリマーcの75.00g、35重量%塩酸1200g、及び、水550gを加え、105℃〜110℃で15時間攪拌した。15時間後、室温まで冷却した反応液を、水1500gに滴下した。その後、系中の固体をろ過、回収し、得られた固体を水洗浄及び熱水洗浄した。乾燥後、目的とする安定剤である下記式(4)で表されるポリマーdを72.51g得た。得られたポリマーdの元素分析から求めたリンの含有率は5.1%であり、元素分析値から計算した下記式(4)中のx(ビフェニリレンオキシ基1個あたりのホスホン酸基の数)の値は1.6であった。このポリマーdを、高分子電解質膜形成の際に安定剤として用いた。得られたポリマーdの臭素含有率及び分子量を分析した結果は以下のとおりであった。
臭素含有率 0.1質量%
数平均分子量 1.4×10
重量平均分子量 2.2×10
Figure 2009021235
(高分子電解質膜の製造)
上記の製造方法により得られた高分子電解質1と、添加剤であるポリマーdの混合物(高分子電解質:添加剤=90:10、重量比)を、DMSOに約10重量%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下した。それから、ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、0.5mmクリアランスのワイヤーコーターを用いることにより塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。これにより得られた膜を、1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥することによって厚さ30μmの高分子電解質膜を得た。
[触媒インク1の作製]
(高分子電解質エマルションAの調製)
(a)スルホン酸基を有する高分子化合物の合成
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムを9.32重量部、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウムを4.20重量部、DMSOを59.6重量部、トルエンを9.00重量部それぞれ加え、これらを室温で撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを2.67重量部加え、140℃で加熱撹拌して共沸脱水した。その後、トルエンを留去しながら加熱を続け、スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液を得た。総加熱時間は14時間とした。得られた溶液は室温で放冷した。
(b)イオン交換基を実質的に有しない高分子化合物の合成
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンを8.32重量部、2,6−ジヒドロキシナフタレンを5.36重量部、DMSOを30.2重量部、NMPを30.2重量部、及び、トルエンを9.81重量部それぞれ加え、室温で撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを5.09重量部加え、140℃で加熱撹拌して共沸脱水した。その後、トルエンを留去しながら加熱を続けた。総加熱時間は5時間とした。得られた溶液を室温で放冷し、イオン交換基を実質的に有しない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を得た。
(c)ブロック共重合体の合成
上記で得られたイオン交換基を実質的に有しない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を攪拌しながら、これに、上記スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液の全量と、NMP80.4重量部及びDMSO45.3重量部を加え、150℃にて40時間反応させてブロック共重合体を得た。
得られた反応液を大量の2N塩酸に滴下し、1時間浸漬させた。その後、生成した沈殿物を濾別した後、これを再度2N塩酸に1時間浸漬した。得られた沈殿物を濾別、水洗した後、95℃の大量の熱水に1時間浸漬した。そして、この溶液を80℃で12時間乾燥させることにより、下記式(5)で表されるブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を、高分子電解質2とする。このブロック共重合体(高分子電解質2)のイオン交換容量は、1.9meq/g、重量平均分子量は4.2×10、数平均分子量は6.0×10であった。
Figure 2009021235
(d)高分子電解質エマルションの調製
上記のようにして得られた式(5)で表される高分子電解質2を、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)に1.0重量%となるように溶解させて、高分子電解質溶液100gを作製した。次いで、この溶液100gを、ビュレットを用いて、蒸留水900gに、滴下速度3〜5g/分で滴下することにより、この溶液を希釈した。希釈された高分子電解質溶液を、透析膜透析用セルロースチューブ(三光純薬(株)製UC36−32−100:分画分子量14,000)を用い、72時間流水で処理して、溶媒の置換を行った。この溶媒置換を行った溶液を、エバポレーターを用いて、2.2重量%の濃度となるまで濃縮し、これにより高分子電解質エマルションAを作製した。
(触媒インク1の調製)
上記の高分子電解質エマルションAの3.35gに、70重量%白金が担持された白金担持カーボンを0.50g加え、さらにエタノール21.83g及び水3.23gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで6時間攪拌して触媒インク1を得た。
[触媒インク2の作製]
(高分子電解質エマルションBの調製)
ディーンスターク管を取り付けた200mLフラスコに、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム4.00g(16.06mmol)、2,2’−ビピリジル7.24g(46.38mmol)、クロロ基を両末端に有するポリエーテルスルホン(住友化学社製、商品名「スミカエクセルPES 5200P」)1.51g、1−(4−ブロモベンジルオキシ)−2,5−ジクロロベンゼン553mg(1.61mmol)、ジメチルスルホキシド100mL及びトルエン35mLを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で9時間減圧共沸脱水を行った後、トルエンを系外に留去し、70℃まで放冷した。次に、70℃でNi(cod)11.60g(42.16mmol)を一気に添加した。Ni(cod)添加直後85℃まで温度上昇したが、バス温はそのままで攪拌した。Ni(cod)添加後、約5分程度で重合溶液がゲル化したが、そのまま30分間攪拌を続けた。
その後、得られたゲル状の重合溶液をメタノールに投入し、生成した架橋芳香族ポリマーをメタノール洗浄/濾過操作を3回繰り返し、6mol/L塩酸水溶液による洗浄・濾過操作を3回繰り返し、脱イオン水で濾液が中性になるまで洗浄/濾過操作を繰り返した。その後、80℃で乾燥して、3.86gの固体状の架橋芳香族高分子を得た。これを高分子電解質3とする。次に、サンプルミルで上記固体状の架橋芳香族高分子1.40gをサンプルミルで5分間粉砕した後、脱イオン水149gと混合し、ホモジナイザー(日本精機製作所製、商品名「超音波ホモジナイザー US−150T」)により、目視で沈殿物が認められなくなるまで20分間粉砕する工程を3回行い、0.9質量%の高分子電解質エマルションBを得た。
(触媒インク2の調製)
得られた高分子電解質エマルションB2.67gに、70重量%白金が担持された白金担持カーボンを0.50g加え、さらにエタノール28.19g及び水4.17gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで6時間攪拌して触媒インク2を得た。
[触媒インク3の作製]
(高分子電解質エマルションCの調製)
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO(ジメチルスルホキシド)600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型であるポリエーテルスルホン(住友化学株式会社製、商品名:スミカエクセルPES5200P、数平均分子量=5.4×10、重量平均分子量=1.2×10)10.0g、及び2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後、オイルバスの温度を150℃に昇温して、トルエンを留去しながら系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却し、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加えてオイルバスの温度を80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌して反応液を得た。
放冷後、この反応液を大量の6mol/Lの塩酸中に注ぐことによってポリマーを析出させて、このポリマーを濾別した。その後、6mol/L塩酸で濾別したポリマーの洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまでポリマーの水洗を行い、さらに90℃以上の熱水で2時間攪拌して熱水洗浄を行い、濾別した。次いで、減圧乾燥することにより、ポリアリーレン系ブロック共重合体(高分子電解質4)16.3gを得た。高分子電解質4の数平均分子量は100000、重量平均分子量は260000であった。
なお、これらの数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求められたものである。
1.0gの高分子電解質4を、N−メチルピロリドン(NMP)99gに溶解させて溶液100gを作製した。次に、900gの水を攪拌しながら、この溶液を徐々に滴下して高分子電解質4とNMPと水との混合物を得た。この混合物を浸透膜(三光純薬(株)製、商品名:UC36−32−100:分画分子量14,000)に封入し、72時間流水で洗浄した。その後、この混合物を浸透膜から取り出し、エバポレーターを用いて温度60℃、圧力50mTorrの条件で、50gに濃縮して高分子電解質エマルションCを得た。この時の濃度は、0.70重量%であった。
(触媒インク3の調製)
高分子電解質エマルションCの7.11gに、70.0質量%の白金が担持された白金担持カーボンブラックを0.50g投入し、さらにエタノール21.83g及び水3.23gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで6時間攪拌して、触媒インク3を得た。
[触媒インク4の作製]
上記で得た高分子電解質エマルションCの10.43gに、70.0質量%の白金が担持された白金担持カーボンブラックを0.50g投入し、さらにエタノール21.83g及び水3.23gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで6時間攪拌して、触媒インク4を得た。
[多孔質層形成用フィルム1の製造]
まず、ポリテトラフルオロエチレンの分散液(ポリテトラフルオロエチレン40%、溶媒:水)である、ルブロンLDW−40E(ダイキン工業製)5gに、カーボンブラックであるVulcan XC−72Rの0.5g、及び、エタノール102.5gを加え、得られた混合液に1時間の超音波処理を行った後、スターラーにより6時間攪拌した。これにより多孔質層用インク1を得た。
続いて、この多孔質層用インク1を、ガス拡散層を形成するためのカーボンペーパー(東レ製、厚み200μm)の片面の中央部付近の5.2cm角の領域に、固形分の塗布量が40mgとなるように塗布した。この際、多孔質層用インク1の吐出口からカーボンペーパーまでの距離は6cmとし、カーボンペーパーを配置したステージの温度は75℃に設定した。塗布された多孔質層用インク1の層を80℃で乾燥して溶媒を除去することで、カーボンペーパー上に多孔質層が形成された多孔質層形成用フィルム1を得た。
得られた多孔質層形成用フィルムにおける細孔分布を水銀圧入法により測定した。また、多孔質層を形成しなかったカーボンペーパーの細孔分布も同様に測定した。そして、これらの値の差から、多孔質層における最も頻度の高い細孔半径(平均孔径)を求めた。その結果、多孔質層の平均孔径は35nmであることが判明した。なお、水銀圧入法の条件は以下に示す通りとした。
・前処理 : 80℃で4時間乾燥
・測定 : 細孔半径が0.0018〜100μmの範囲の細孔分布を測定
・測定装置: オートポアIII9420(MICROMERITICS社製)
[多孔質層形成用フィルム2の製造]
まず、ポリテトラフルオロエチレンの分散液(ポリテトラフルオロエチレン40%、溶媒:水)である、ルブロンLDW−40E(ダイキン工業社製)12.5gに、炭素繊維であるVGCF(昭和電工製、登録商標)の5g、及び、エチレングリコール82.5gを加え、得られた混合液に5分間の超音波ホモジナイザー処理を行い、多孔質層用インク2を得た。
続いて、この多孔質層用インク2をバーコーターを用いて、300μmのウェット厚みになるように、カーボンペーパー上に塗布し、80℃のオーブンで乾燥させた。その後、380℃で30分間の加熱処理を行い、カーボンペーパー上に多孔質層が形成された多孔質層形成用フィルム2を得た。得られた多孔質層形成用フィルム2の多孔質層の平均孔径を上記と同様にして求めた結果、324nmであった。
[多孔質層形成用フィルム3の製造]
まず、ポリテトラフルオロエチレンの分散液(ポリテトラフルオロエチレン40%、溶媒:水)である、ルブロンLDW−40E(ダイキン工業社製)10gに、炭素繊維であるVGCF(昭和電工社製、登録商標)の5g、及び、エチレングリコール128gを加え、得られた混合液に5分間の超音波ホモジナイザー処理を行い、多孔質層用インク3を得た。
続いて、この多孔質層用インク3をバーコーターを用いて、300μmのウェット厚みになるよう、カーボンペーパー上に塗布し、80℃のオーブンで乾燥させた。その後、380℃で30分間の加熱処理を行い、カーボンペーパー上に多孔質層が形成された多孔質層形成用フィルム3を得た。得られた多孔質層形成用フィルム3の多孔質層の平均孔径を上記と同様にして求めた結果、255nmであった。
[多孔質層形成用フィルム4の製造]
まず、ポリテトラフルオロエチレンの分散液(ポリテトラフルオロエチレン40%、溶媒:水)である、ルブロンLDW−40E(ダイキン工業社製)2gに、炭素繊維であるVGCF(昭和電工社製、登録商標)の5g、及び、エチレングリコール56gを加え、得られた混合液に5分間の超音波ホモジナイザー処理を行い、多孔質層用インク4を得た。
続いて、この多孔質層用インク4をバーコーターを用いて、300μmのウェット厚みになるよう、カーボンペーパー上に塗布し、80℃のオーブンで乾燥させた。その後、380℃で30分間の加熱処理を行い、カーボンペーパー上に多孔質層が形成された多孔質層形成用フィルム4を得た。得られた多孔質層形成用フィルム4の多孔質層の平均孔径を上記と同様にして求めた結果、394nmであった。
[実施例1:燃料電池セルの製造]
(膜−電極接合体(MEA)の作製)
まず、上述した製造方法によって得られた高分子電解質膜の片面の中央部における5.2cm角の領域に、スプレー法により上記触媒インク1を塗布した。この際、吐出口から高分子電解質膜までの距離は6cmとし、高分子電解質膜を配置したステージの温度は75℃に設定した。この触媒インク1の塗布を繰り返し行った後、得られた塗布物をステージ上に15分間放置し、これにより溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。このアノード触媒層は、その組成と塗布重量から算出して、0.16mg/cmの白金を含有していた。続いて、高分子電解質膜のもう一方の面にも、触媒インク2を用いて同様の方法によりカソード触媒層を形成した。このカソード触媒層は、0.60mg/cmの白金を含有していた。こうして、高分子電解質膜の一方の面側にアノード触媒層が、他方の面側にカソード触媒層が配置されたMEAを得た。
(燃料電池セルの組み立て)
市販のJARI標準セルを用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、上記のMEAに対し、アノード触媒層側にガス拡散層であるカーボンペーパーを配置した。また、カソード触媒層側に、上記の多孔質層形成用フィルム1を、その多孔質層がカソード触媒層と接するように配置した。これにより、膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)を作製した。
次いで、このMEGAの両外側に、周縁部を覆う厚さ230μmのガスケット、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータ、集電体、及び、エンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積が25cmである燃料電池セルを組み立てた。
[実施例2:燃料電池セルの製造]
(MEAの作製)
触媒インク1に代えて触媒インク3を、触媒インク2に代えて触媒インク4をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
(燃料電池セルの組み立て)
このMEAを用いたこと、及び、多孔質層形成用フィルム1に代えて多孔質層形成用フィルム3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立てた。また、このMEAと多孔質層形成フィルム3とを接合したものを、上述の条件で水銀圧入法を行い、得られた累積細孔容積を、多孔質層のかさ密度の逆数で除することにより空隙率を求めたところ、16%であった。さらに、厚みゲージにより多孔質層の厚みを測定したところ、150μmであった。
[実施例3:燃料電池セルの製造]
(MEAの作製)
実施例2と同様にしてMEAを作製した。
(燃料電池セルの組み立て)
このMEAを用いたこと、及び、多孔質層形成用フィルム1に代えて多孔質層形成用フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立てた。また、このMEAと多孔質層形成フィルム2とを接合したものを、上述の条件で水銀圧入法を行い、得られた累積細孔容積を、多孔質層のかさ密度の逆数で除することにより空隙率を求めたところ、15%であった。さらに、厚みゲージにより多孔質層の厚みを測定したところ、140μmであった。
[実施例4:燃料電池セルの製造]
(MEAの作製)
実施例2と同様にしてMEAを作製した。
(燃料電池セルの組み立て)
このMEAを用いたこと、及び、多孔質層形成用フィルム1に代えて多孔質層形成用フィルム4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立てた。また、このMEAと多孔質層形成フィルム4とを接合したものを、上述の条件で水銀圧入法を行い、得られた累積細孔容積を、多孔質層のかさ密度の逆数で除することにより空隙率を求めたところ、8%であった。さらに、厚みゲージにより多孔質層の厚みを測定したところ、110μmであった。
[比較例1:燃料電池セルの製造]
(MEAの作製)
実施例1と同様にしてMEAを作製した。
(燃料電池セルの組み立て)
カソード触媒層側に、多孔質層形成用フィルムに代えてカーボンペーパーのみを配置したこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立てた。
[燃料電池セルの特性評価]
実施例1〜4及び比較例1で得られた燃料電池セルに対し、80℃に保ちながら、アノード側に加湿水素を、カソード側に加湿空気をそれぞれ供給した。この際、各ガスの供給は、燃料電池セルのガス出口における背圧が0.1MPaGとなるように調整した。各ガスの加湿は、バブラーにガスを通すことで行った。この際、水素用バブラーの水温は45℃、空気用バブラーの水温は55℃とした。
そして、水素のガス流量を529mL/分、空気のガス流量を1665mL/分とした条件で燃料電池セルを動作させて、電圧が0.3Vとなるときの電流密度の値を測定した。各実施例又は比較例の燃料電池セルを用いて得られた結果を表1に示す。
Figure 2009021235
表1に示すように、多孔質層を設けた実施例1〜4の燃料電池セルによれば、多孔質層を設けなかった比較例1に比して、同じ加湿条件で高い電流密度が得られることが確認された。
好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10…燃料電池、12…高分子電解質膜、14a,14b…触媒層、15a,15b…多孔質層、16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…MEA。

Claims (6)

  1. 炭化水素系高分子電解質から構成される電解質膜と、
    前記電解質膜の少なくとも一側に配置され、触媒物質及び炭化水素系高分子電解質を含む触媒層と、
    前記触媒層の前記電解質膜に対して反対側に配置されたガス拡散層と、
    前記触媒層と前記ガス拡散層との間に配置され、多孔質構造を有する多孔質層と、
    を備えることを特徴とする膜−電極−ガス拡散層接合体。
  2. 前記多孔質層の有する孔の平均孔径が、10nm〜10μmである、ことを特徴とする請求項1記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
  3. 前記多孔質層の有する孔の平均孔径が、20nm〜300nmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
  4. 前記電解質膜を構成する前記炭化水素系高分子電解質が、ブロック共重合体からなる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
  5. 前記触媒層は、水及び親水性溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒と、前記触媒物質と、前記炭化水素系高分子電解質を含み、且つ、該炭化水素系高分子電解質の少なくとも一部が前記溶媒に分散した状態で含まれる触媒インクから形成された層である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体を備える、ことを特徴とする燃料電池。
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