JP2009081105A - リチウム二次電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池およびその製造方法 Download PDF

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靖男 高野
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泰三 砂野
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Abstract

【課題】ポリマー電解質を用いることなく、電極体の撓みや内部短絡による歩留りの低下を十分に抑制することが可能なリチウム二次電池およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】正極、負極およびセパレータを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体が電池容器14内に収容されたリチウム二次電池において、正極と負極との間に、スペース部材6を配置することにより、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層を形成し、この状態で正極または負極の位置を支持板10により固定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電極体の撓みや内部短絡による歩留りの低下を十分に抑制することが可能なリチウム二次電池およびその製造方法に関するものである。
リチウム二次電池は、高エネルギー密度であることから、携帯電話やノート型パソコンなどの情報技術関連のエレクトロニクス携帯機器の電源として実用化され、広く普及している。今後、これらの携帯機器の更なる小型化、高機能化により、電源であるリチウム二次電池への負荷が大きくなっていくことが予想され、リチウム二次電池の高エネルギー密度化への要求は非常に高いものとなっている。
電池を高エネルギー密度化するには、活物質として、より大きなエネルギー密度を有する材料を用いることが有効な手段である。最近、リチウム二次電池においては、より高いエネルギー密度を有する負極活物質として、実用化されている黒鉛に代わり、リチウムとの合金化反応によってリチウムを吸蔵するアルミニウム、スズ、シリコンなどの元素の合金材料を用いることが提案され、多く検討されている。
しかしながら、リチウムと合金化する材料を活物質として用いた電極においては、リチウムの吸蔵、放出の際に活物質が膨張、収縮するため、従来の円筒型リチウム二次電池では、体積膨張に起因した内部応力が構成部材内で最も強度の弱いセパレータに集中し、電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下が生じ易いという課題を有していた。
上記電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下の問題を解決する手段として、例えば下記の特許文献1および2には、負極表面とセパレータとの間に電解液に溶解するスペース部材を設け、電池の組み立て時の注液後に負極表面とセパレータとの間に空間が出来るようにすることによって、活物質の膨張を緩和する技術が開示されている。
また、例えば特許文献3には、負極活物質層に隣接する位置に負極集電体の主面を露出させる空隙部を設けることで、充放電に伴い膨張/収縮する負極活物質が膨張した際の負極活物質同士の干渉で生じる応力を緩和する方法が提案されている。
また、例えば特許文献4には、正負極間に空間を設け、充電時の負極の膨張を電解質層により吸収する方法が提案されている。
特開平11−185818号公報 特開2007−35297号公報 特開2004−103474号公報 特開2006−156311号公報
しかしながら、上記特許文献1ないし2に記載の技術によれば、スペース部材が溶解した後は極板が固定されていないため、正負極間において均一なスペースを維持することが困難である。特に、正極、負極およびセパレータを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を用いた円筒型リチウム二次電池においては、前記のような活物質の膨張によって生じる応力により負極集電体に皺が発生しやすいため、これに対する対策として集電体に高強度のものを用いるほど、電極体の弾性係数が大となってゼンマイ駆動的にスプリングバック(電極体の弾性変形分が形状回復(弾性回復)する現象)しやすくなり、スペース部材が溶解した後はこのスプリングバックが生じて正負極間のスペースが損なわれやすい。このため、電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下を改善する効果を十分に得ることはできない。
また、上記特許文献3に記載の技術によれば、充放電に伴い負極集電体に対して平行な方向へ膨張/収縮した負極活物質同士の干渉による応力は緩和できるが、負極集電体に対して垂直な方向への膨張/収縮による応力は緩和できない為、円筒型リチウム二次電池においては電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下を抑制することはできない。
また、上記特許文献4に記載の技術によれば、正負極間に空間を設ける方法としてポリマー電解質を用いる必要があり、液系電池では実施することが出来ない。
従って、本発明は、ポリマー電解質を用いることなく、電極体の撓みや内部短絡による歩留りの低下を十分に抑制することが可能なリチウム二次電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、ポリマー電解質を用いることなく、電極体の撓みや内部短絡による歩留りの低下を十分に抑制することが可能なリチウム二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
このような課題に対し、本発明者等は、電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下を抑制する観点から、正負極間に空隙層すなわちスペースを設け、かつ、その状態で位置を固定することが有効であるという知見を得るに至り、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るリチウム二次電池は、正極、負極およびセパレータを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体が電池容器内に収容されたリチウム二次電池であって、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層が正極と負極との間に形成され、この空隙層が形成された状態で正極または負極の位置が固定されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、充電にともなう電極の厚さの増大量(=充電状態の電極厚さ−放電状態の電極厚さ)以上の厚さを有する空隙層が正極と負極との間に形成された状態で正極または負極の位置が固定されているので、例えばスペース部材等が介在していない状態にあって、正極および負極のうちいずれか一方の電極にスプリングバックが生じたとしても、他方の電極が固定されているため両電極間の空隙層すなわちスペースは確保される。したがって、充電に伴い活物質が膨張・収縮しても、この膨張による厚さの増大分が空隙層のスペース内に収容されるので、電極体に撓みが生じることもなく、セパレータが押圧されることもないため内部短絡も抑制される。
また、空隙層を正極と負極との間に形成した状態で正極または負極の位置を固定するようにしたことにより、ポリマー電解質を用いることなく正負極間に空間を設けてこの空間を損なわれない状態に維持することができ、液系電池でも実施することが可能な構成となっている。
前記電極体の巻取り軸方向における少なくとも一方の端部に支持板が配置され、正極または負極が該支持板に固着されることによりその位置が固定されていることが望ましい。
正極または負極の位置を固定する方法としては、例えば、電極体の巻取り軸方向における端部に突出させた正極集電体または負極集電体の未対向部に、その径方向に沿って適宜な金具を架設するように配置して溶接するといった方法も可能であるが、正極集電体または負極集電体の未対向部の端部に支持板を固着する方法によれば、固定の必要な箇所の全体をカバーするようにして単一の支持板で固定することができるので、前記のような金具を用いる方法よりも作業を簡略かつ確実に行うことができ、したがって正極または負極の位置をより容易かつ確実に固定することができる。
また、支持板を集電板として機能させるようにしてもよく、これによれば単一の部材で複数の機能を得る構成とすることができ、部材構成を簡略とする上でも望ましい。
前記負極における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電状態での負極活物質層の厚さの1.1倍より大きいことが望ましい。
負極活物質に黒鉛を用いた従来の円筒型リチウム二次電池では、充電時の負極活物質層の厚さが放電時の負極活物質層の厚さの約1.1倍となっているが、負極活物質層の厚さの増大がこの程度以下であれば、通常の充放電においては内部短絡は発生しにくい。これに対し、充電に伴う負極の体積膨張がより大きい活物質を用いると、その応力が電池構成部材において最も強度の弱いセパレータヘ集中するため、内部短絡の可能性が増加する。特に負極における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電時の負極活物質層の厚さの1.1倍よりも大きくなる場合においてその傾向が顕著になる。したがって、負極における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電時の負極活物質層の厚さの1.1倍よりも大きい負極を用いる場合には、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
前記負極における活物質がリチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物の少なくとも一方を含むことが望ましい。
リチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物を用いた負極活物質は、リチウムの吸蔵、放出の際に膨張、収縮するため、電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下が生じ易く、したがって正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
前記負極における負極活物質が、Al、Si、GeおよびSnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む金属あるいは金属間化合物を含有することが望ましい。
黒鉛の理論容量(372mAh/g)以上の理論容量を示す負極活物質としては、例えばアルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)および錫(Sn)よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む金属あるいは金属間化合物が挙げられる。これらの元素のリチウム吸蔵時の体積膨張率は、アルミニウムで1.9倍、シリコンで4.1倍、ゲルマニウムで3.7倍、錫で3.6倍であり、これらの元素のうち少なくとも1つを含む負極活物質を用いた場合には、内部短絡の可能性が特に大きくなるため、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
前記負極における集電体が、金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなることが望ましい。
金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなる集電体は、特に強度が大であり、前記したように活物質の膨張によって生じる応力により皺が発生するのを防止する上で有効である一方、これを用いた電極体では弾性係数が大となるためスプリングバックが生じて正負極間のスペースが損なわれ、該スペースの分布が不均一となりやすい。したがって、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む材料としては、例えば、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Cr−Zr系合金等の銅合金が挙げられる。Cu−Ni−Si系合金としては、例えばコルソン合金が挙げられる。コルソン合金は、Ni2Si相を析出相とする時効硬化型合金で、Cu−Ni2Si擬二元系とみなされる合金である。このようなコルソン合金は引っ張り強さ、比例限界および弾性係数が高いという特徴を示す。コルソン合金としては、例えば、Ni含有量1.0〜4.0質量%、Si含有量0.1〜1.0質量%のCu−Ni−Si系合金が挙げられる。必要に応じて、Mg0.05〜0.3質量%、Zn0.05〜5.0質量%、Sn5.0質量%以下、P0.1質量%未満が含まれていてもよい。
Cu−Cr−Zr系合金としては、例えば、Cr含有量0.05〜0.5質量%、Zr含有量0.01〜0.3質量%のものが挙げられる。また、この合金には必要に応じて、Mg0.01〜0.3質量%、Zn0.05〜5.0質量%、Sn5.0質量%以下、P0.1質量%未満が含まれていてもよい。
また、本発明に係るリチウム二次電池の製造方法は、
充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有するスペース部材およびセパレータを正極と負極との間に配置して積層体を構成する第1ステップと、
前記積層体を渦巻状に捲回させて電極体を得る第2ステップと、
前記電極体における正極または負極の位置を固定する第3ステップと、
前記スペース部材を除去する第4ステップと、
を含むことを特徴とするものである。
本発明のリチウム二次電池の製造方法によれば、第1ステップにおいて充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有するスペース部材を正極と負極との間に配置し、この状態で第3ステップにおいて正極または負極の位置を固定し、この後第4ステップにおいてスペース部材を除去するようにするので、スペース部材を除去した後に、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層が正極と負極との間に形成され、この状態で正極または負極の位置が固定されたリチウム二次電池を得ることができる。したがって、前述の通り、正極および負極のうちいずれか一方の電極にスプリングバックが生じたとしても、他方の電極が固定されているため両電極間の空隙層すなわちスペースが確保され、充電に伴い活物質が膨張・収縮しても、この膨張による厚さの増大分が空隙層のスペース内に収容されるので、電極体に撓みが生じることもなく、セパレータが押圧されることもないため内部短絡も抑制される。
また、スペース部材を正極と負極との間に配置した状態で正極または負極の位置を固定し、この後スペース部材を除去するようにすることにより、ポリマー電解質を用いることなく正負極間に空間を設けてこの空間を損なわれない状態に維持することができ、液系電池でも実施することが可能となっている。
前記第3ステップにおいて、電極体の巻取り軸方向における少なくとも一方の端部に支持板を配置し、正極または負極を該支持板に固着することによりその位置を固定することが望ましい。
上記構成によれば、固定の必要な箇所の全体をカバーするようにして単一の支持板で固定することができるので、作業を簡略かつ確実に行うことができ、したがって正極または負極の位置を容易かつ確実に固定することができる。
本発明のリチウム二次電池の製造方法において、前記負極における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電状態での負極活物質層の厚さの1.1倍より大きいことが望ましい。
上記構成のように、負極における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電状態での負極活物質層の厚さの1.1倍より大きい負極を用いる場合には、前述の通り、充電に伴う負極の体積膨張による応力がセパレータヘ集中して内部短絡を生じる傾向が顕著であるため、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
本発明のリチウム二次電池の製造方法において、前記負極における活物質がリチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物の少なくとも一方を含むことが望ましい。
前述の通り、リチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物を用いた負極活物質は、リチウムの吸蔵、放出の際に膨張、収縮するため、電極体の撓みや内部短絡による歩留まり低下が生じ易く、したがって正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
本発明のリチウム二次電池の製造方法において、前記負極における負極活物質が、Al、Si、GeおよびSnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む金属あるいは金属間化合物を含有することが望ましい。
前述の通り、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)および錫(Sn)の各元素の体積膨張率は、アルミニウムで1.9倍、シリコンで4.1倍、ゲルマニウムで3.7倍、錫で3.6倍であり、これらの元素のうち少なくとも1つを含む負極活物質を用いた場合には、内部短絡の可能性が特に大きくなるため、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
本発明のリチウム二次電池の製造方法において、前記負極における集電体が、金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなることが望ましい。
前述の通り、金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなる集電体は、特に強度が大であり、これを用いた電極体では弾性係数が大となるためスプリングバックが生じて正負極間のスペースが損なわれ、該スペースの分布が不均一となりやすい。したがって、正負極間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにした本発明の効果が特に発揮される。
本発明によれば、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層が正極と負極との間に形成された状態で正極または負極の位置が固定されているので、正極および負極のうちいずれか一方の電極にスプリングバックが生じたとしても、他方の電極が固定されているため両電極間の空隙層すなわちスペースは確保される。したがって、充電に伴い活物質が膨張・収縮しても、この膨張による厚さの増大分が空隙層のスペース内に収容されるので、電極体に撓みが生じることもなく、セパレータが押圧されることもないため内部短絡も抑制される。
また、空隙層を正極と負極との間に形成した状態で正極または負極の位置を固定するようにしたことにより、ポリマー電解質を用いることなく正負極間に空間を設けてこの空間を損なわれない状態に維持することができ、液系電池でも実施することが可能な構成となっている。
したがって、本発明によって、ポリマー電解質を用いることなく、電極体の撓みや内部短絡による歩留りの低下を十分に抑制することが可能なリチウム二次電池が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔正極の作製〕
正極活物質としてのコバルト酸リチウム、炭素導電剤としてのSP300および炭素導電剤としてのアセチレンブラックを、92:3:2の質量比で混合して正極合剤粉末とし、混合装置(ホソカワミクロン製メカノフュージョン装置(AM−15F))内に200g充填し、これを回転数1500rpmで10分作動させて、圧縮、衝撃、せん断応力を起こさせて混合し、正極合剤とした。次いで、この正極合剤にフッ素系樹脂結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を97:3の質量比になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶剤中で混合して正極スラリーとした。これを、アルミ箔の両面に塗着し、乾燥後圧延して正極板とした。得られた正極における正極活物質層の塗布重量は片面で500mg/10cm2であった。
〔負極の作製〕
分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、負極活物質としての平均粒子径10.0μmのシリコン粉末(純度99.9%)と、負極バインダーとしてのガラス転移温度190℃、密度1.1g/cm3の熱可塑性ポリイミドとを、活物質とバインダーとの質量比が90:10となるように混合し、負極合剤スラリーとした。この負極合剤スラリーを、負極集電体である表面粗さRaが1.0μmである電解銅箔(厚み20μm)の両面(粗面)に塗布し、乾燥した。圧延後、アルゴン雰囲気下にて400℃で1時間熱処理し、焼結して負極とした。得られた負極における負極活物質層の塗布重量は片面で25mg/10cm2であり、厚さは16μmであった。
〔電池の作製〕
まず、図1の電池の巻取電極体展開図に示すように、上記のようにして作製した正極1と負極2とを、それぞれ必要な長さに切断した後、アルミニウムからなる正極集電リード4を超音波溶接により正極1に取り付けた。このとき、巻取電極体の構成部材のうち、負極集電体5の幅が他の部材よりも大となるようにした。ついで、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを容積比1:1の割合で混合して負極2の一方面に塗布し、この後、常温で乾燥することによりDECを揮発させるとともにECを固体として残留させ、これにより負極2の一方面にECよりなる1μmの層状に形成し、スペース部材6の厚さが14μmになるまでこの操作を繰り返した。負極2の他方面においても同様の工程を繰り返してスペース部材6を層状に形成した。
なお、上記作製の正負極を用いた電池において、後述するように充電終止電圧を4.2Vとして充電を行った時の負極活物質利用率は約43%であり、負極活物質層の厚さは片面で30μm(負極活物質層厚さ増加率は1.9倍)であり、充電時の負極活物質層の厚さ増加は14μmであった。
ついで、図2に示すように、正極1と、スペース部材6を両面に配置した負極2との間に、セパレータ3として厚み16μmの多孔質ポリエチレンフィルムを介在させるように配置して積層体を構成した。このとき、負極集電体5は上記したように他の部材より幅広となっているため、上下に突出している。
ついで、上記積層体を渦巻状に捲回して、図3に示す円筒状の巻取電極体を構成した。
ついで、Niよりなる厚さ0.5mmの板を、渦巻状に捲回させてなる巻取電極体の径に等しい直径を有する円板状に打ち抜き、電解液の注入や溶接手段の挿通等のための貫通孔15、16を所定箇所に穿設し、径方向に沿って十字状に延びる溝17を一方面に形成して、支持板10を2枚作製した。図4に示すように、2枚の支持板10のうちの一方に、ニッケルからなる負極集電リード11を超音波溶接により取り付け、この支持板10を巻取電極体の下端に配置し、溝17でレーザー溶接により接合するとともに、これと同様にして他方の支持板10を巻取電極体の上端に接合した。このとき、正極集電リード4を、絶縁テープ(図示せず)で被覆した状態で上側の支持板10の中央の貫通孔15を通して上方に延出させるようにした。
ついで、巻取電極体を電池外装缶14に挿入し、電池外装缶14の上部に絞りを形成した後、正極集電リード4を封口板13に溶接し、負極集電リード11を電池外装缶14の底部に溶接した。
105℃−真空下で乾燥させた後、不活性ガス雰囲気下で電池外装缶14内に電解液を所定量注入し、封口板13およびガスケット12を用いて電池外装缶14の開口部を密閉して、図3に示す電池とした。電解液としては、溶媒としてのエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比で3:7とした混合溶媒にLiPF6を1.0mol/lの割合で溶解したものを用いた。
(実施例1)
実施例1の電池としては、上記発明を実施するための最良の形態で説明した電池と同様に作製したものを用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称する。
(比較例1)
スペース部材6の厚さを0μmとした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称する。
(比較例2)
スペース部材6の厚さを5μmとした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称する。
(比較例3)
スペース部材6の厚さを10μmとした以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z3と称する。
〔電池の評価試験〕
上記本発明電池A1および比較電池Z1〜Z3について、各10個ずつ電池を作製し、充電終止電圧を4.2Vとして定電流定電圧充電を行い、4.2V充電時での電圧不良率を測定した。結果を表1に示す。
電圧不良の判定基準は、充電終了後に24時間放置し、電池電圧の低下が0.2V以上の場合を電圧不良とした。
Figure 2009081105
(考察)
上記の結果より、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層を正極と負極との間に形成することにより、歩留りの低下を十分に抑制することが可能であることがわかった。
この効果は、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層を正極と負極との間に形成することにより、セパレータへの押圧が弱まり、内部短絡が抑制された結果であると考えられる。
したがって、充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層を正極と負極との間に形成していればよく、活物質塗布重量や、充電終止電圧などは何ら限定する必要はなく、適宜実施することができる。また、スペース部材の厚さは、過剰に設けても上記の効果が得られるが、体積エネルギー密度が低下する為に望ましくなく、充電にともなう電極の厚さ増加分であることが望ましい。
〔電池の作用〕
上記本発明電池A1の内部では、巻取電極体のスペース部材6が電解液に溶出し、電解液の注入から一定時間(0.5〜1時間程度)経過後にはスペース部材6がほぼ除去されて空隙層が形成される(即ち、電解液を注入する注液工程が同時にスペース部材6の除去工程ともなっている)。このとき、負極集電体5の上下両端が支持板10に接合されてその位置が固定されているので、正極1の位置がスプリングバック等の何らかの原因により変動したとしても、それによって空隙層が縮小することはなく、その容量が維持される。したがって、充電に伴い活物質が膨張・収縮しても、この膨張による厚さの増大分が空隙層のスペース内に収容される。ここでは、負極活物質としてシリコンが用いられており、充電にともなってその厚さは組み立て時の16μmから30μm程度にまで増大しているが、空隙層の厚さが14μmとなっているため、負極活物質の増大分がこの空隙層に収容される。よって、電極体に撓みが生じることもなく、セパレータ3が押圧されることもないため内部短絡も抑制される。
また、空隙層を正極1と負極2との間に形成した状態で負極2の位置を固定するようにしたことにより、ポリマー電解質を用いることなく正負極1、2間に空間を設けてこの空間を損なわれない状態に維持することが可能な構成となっている。
また、巻取電極体の巻取り軸方向における両端部に支持板10が配置され、負極2(負極集電体5の未対向部)が該支持板10に固着されることによりその位置が固定されているので、固定の必要な箇所すなわち負極2の上下各端部の全体をカバーするようにしてそれぞれ単一の支持板10で固定される構成となっており、これにより負極2の位置が容易かつ確実に固定されている。
また、下方の支持板10が集電板としても機能する構成となっており、単一の支持板10で負極2の固定と集電との2つの機能が得られ、部材構成がそのぶん簡略となっている。
また、負極2における充電時の負極活物質層の厚さが、未充電状態での負極活物質層の厚さの1.9倍程度となっている。この場合、従来の構成によれば内部短絡の可能性が特に大きいため、本実施形態において正負極1、2間に空隙層を設けた状態でその極板位置を固定するようにしたことによる効果が特に発揮される。
〔その他の事項〕
(1)本実施形態では、負極集電体5の未対向部の端部に円板状の支持板10を固着するようにしているが、支持板としては、例えば図5(a)に示すような十字形状としたもの、図5(b)に示すような三叉形状としたもの等も可能である。
また、正極または負極の位置を固定する方法としては、上記のように支持板を用いる以外にも、例えば図6に模式的に示すように、電極体の巻取り軸方向における端部に突出させた正極集電体または負極集電体21の未対向部に、その径方向に沿ってコの字状の金具22を架設するように配置し、超音波溶接、スポット溶接等により溶接するようにしてもよい。
(2)また、本実施形態では、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを混合して負極2に塗布し、DECを揮発させることによりECよりなるスペース部材6を形成し、電池の組立工程における電解液の注入によりスペース部材6を溶解させて除去し、これにより空隙層を形成するようにしているが、この空隙層の形成方法は特開平11−185818号公報に開示されているものと基本的に同様のものである。ECよりなるスペース部材は、例えば特開2007−35297号公報に開示されているように、溶融したECを滴下するようにして形成してもよい。さらに、空隙層の形成方法としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のように摩擦係数が小さく滑り性の良好な材料よりなるフィルムを正極と負極との間に配置して巻取電極体を構成し、正極または負極の位置を固定した後、このフィルムを巻取電極体から抜き取るようにして除去するようにしてもよい。
(3)また、正極または負極の上端および下端のうちいずれか一方を固定するようにしてもよく、これによっても正極または負極の位置をある程度は固定することができるが、他方の端部が円錐状に緩んでしまいやすいため、上端および下端の両端を固定することが望ましい。
(4)また、正極合剤の調製の際、メカノフュージョンでの混合は行わなくてもよく、そのまま材料をスラリー状態で混ぜてもよく、また他の方法で混合してもよい。
(5)また、本実施形態では正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いたが、これに限定されるものではなく、スピネル型マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムに代表されるリチウムニッケル複合酸化物やオリビン型燐酸化合物でも構わない。
(6)また、本実施形態では負極活物質としてシリコン粉末を用いたが、真空蒸着法やスパッタリング法により作製したシリコン薄膜を用いても構わない。
(7)また、本実施形態におけるようにECよりなるスペース部材を設ける場合、電解液としては、ECを溶解させ得るものであればいずれも用いることができ、例えばエチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)等を使用することができる。
本発明は、携帯用途の小型機器等に搭載される円筒型リチウム二次電池に好適に適用することが可能である。
本発明の最良の形態で用いた巻取電極体の展開図である。 図1のA−A線部概略断面図である。 本発明の最良の形態で作製したリチウム二次電池の概略断面図である。 (a)本発明の最良の形態で用いた巻取電極体の下端に支持板を配置した状態を示す斜視図、(b)支持板の平面図、(c)図(b)のB−B線部概略断面図である。 支持板の他の例を示す平面図である。 電極の位置を固定する方法の他の例を示す斜視図である。
符号の説明
6:スペース部材
10:支持板
14:電池容器

Claims (10)

  1. 正極、負極およびセパレータを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体が電池容器内に収容されたリチウム二次電池であって、
    充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有する空隙層が正極と負極との間に形成され、この空隙層が形成された状態で正極または負極の位置が固定されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記電極体の巻取り軸方向における少なくとも一方の端部に支持板が配置され、正極または負極が該支持板に固着されることによりその位置が固定されている、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記負極における活物質がリチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記負極における負極活物質が、Al、Si、GeおよびSnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む金属あるいは金属間化合物を含有する、請求項3に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記負極における集電体が、金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなる、請求項1から4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  6. 充電にともなう電極の厚さの増大量以上の厚さを有するスペース部材およびセパレータを正極と負極との間に配置して積層体を構成する第1ステップと、
    前記積層体を渦巻状に捲回させて電極体を得る第2ステップと、
    前記電極体における正極または負極の位置を固定する第3ステップと、
    前記スペース部材を除去する第4ステップと、
    を含むことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  7. 前記第3ステップにおいて、電極体の巻取り軸方向における少なくとも一方の端部に支持板を配置し、正極または負極を該支持板に固着することによりその位置を固定する、請求項6に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  8. 前記負極における活物質がリチウムを吸蔵可能な金属あるいは金属間化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  9. 前記負極における負極活物質が、Al、Si、GeおよびSnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む金属あるいは金属間化合物を含有する、請求項8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  10. 前記負極における集電体が、金属銅または、Cuを主成分とし、Cr、P、Ni、Si、Mg、Zr、SnおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む銅合金よりなる、請求項6から9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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