JP2009087614A - 燃料電池用拡散層、燃料電池用拡散層の製造方法、燃料電池 - Google Patents

燃料電池用拡散層、燃料電池用拡散層の製造方法、燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池用拡散層の弾力性を高めることができ、燃料電池の内部における熱、水分、荷重の変化等に対する追従性を高めることができる燃料電池用拡散層、燃料電池用拡散層の製造方法、燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池用拡散層は、第1導電繊維および第2導電繊維を基材とする導電繊維集積体100を備えている。第1導電繊維は第2導電繊維よりも直線性が高い。第2導電繊維は第1導電繊維よりもカール性が高い。
【選択図】図1

Description


本発明は、弾力性に着目した燃料電池用拡散層、燃料電池用拡散層の製造方法、燃料電池に関する。
燃料電池の膜電極接合体は、燃料用拡散層、燃料用触媒層、電解質膜、酸化剤用触媒層、酸化剤用拡散層が順に積層されて構成されている。
上記した燃料電池の発電運転に伴い、電解質膜には膨張および収縮が発生する。膨張および収縮の要因としては、熱、水分、荷重の変化等が考えられる。
例えば、発電反応に伴い膜電極接合体において水が生成される。電解質膜は水を吸収して膨張することがある。また燃料電池の発電運転時には、燃料電池に供給される反応流体が加湿されていることがある。加湿された反応流体により水分が膜電極接合体に待ち込まれるため、加湿用水分を電解質膜は水を吸収して膨張することがある。また発電運転が停止されると、生成水および加湿水分による膨張は無くなるため、電解質膜が乾燥して収縮することがある。このように燃料電池の発電運転および運転停止は、熱、水分、荷重の変化等を発生させ、電解質膜等といった燃料電池構成要素の膨張および収縮を引き起こすおそれがある。
そこで、燃料極、電解質膜、酸化剤極を積層した膜電極接合体にエンボス形状を形成した高分子電解質型の燃料電池が知られている(特許文献1)。更に、スタックの温度変化により発生するスタックの積層方向の寸法変化量と、セパレータのヘタリによる寸法変化量とを、拡散層の弾性変形によって吸収するように拡散層の弾性係数に設定する燃料電池スタックが知られている(特許文献2)。
また、燃料電池とは異なる分野であるが、密閉形蓄電池において、直線状の繊維と、カール状の繊維とが構成されているシート状のセパレータを搭載する技術が開発されている(特許文献3)。この場合、密閉形蓄電池のセパレータは正極と負極とを接近させつつ電気絶縁させるものである。従って、セパレータを構成している直線状の繊維およびカール状の繊維は、導電性を有する繊維ではなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などからなる有機繊維、または、ガラス繊維であり、電気絶縁性をもつ繊維である。
特開2003−157858号公報 特開2004−139783号公報 特開昭64−35856号公報
上記した技術によれば、燃料電池用拡散層の導電性を確保しつつ、燃料電池における熱、水分、荷重等の変化に対する追従性を高めるには限界がある。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、燃料電池用拡散層の弾力性を高めることができ、燃料電池における熱、水分、荷重等の変化に対する追従性を高めることができる燃料電池用拡散層、燃料電池用拡散層の製造方法、燃料電池を提供することを課題とする。
(1)様相1に係る燃料電池用拡散層は、燃料電池の発電反応に用いられる反応流体を拡散させる燃料電池用拡散層であって、第1導電繊維および第2導電繊維を基材とする導電繊維集積体を具備しており、第1導電繊維は第2導電繊維よりも直線性が高く、第2導電繊維は第1導電繊維よりもカール性が高いことを特徴とする(請求項1)。
上記した様相1によれば、直線性が高くて折れ難い(強度をもつ)第1導電繊維に、カール性が高い第2導電繊維が混在している。このため拡散層の導電性を確保しつつ、拡散層の弾力性、柔軟性等の性質を確保することができる。更に、カール性が高い第2導電繊維を第1導電繊維に混在させているため、第1導電繊維および第2導電繊維同士同士の導電接点が増加し、導電性を高めるのに有利である。
ここで、第1導電繊維の比率が増加すれば、拡散層の弾力性および剛直性が高まる。カールしている第2導電繊維の比率が増加すれば、導電繊維同士の絡み性が高くなる。この場合、質量比で、第1導電繊維>第2導電繊維でも良い。質量比で、第1導電繊維と第2導電繊維との比率としては、1.2〜3.0の範囲内、1.4〜2.8の範囲内、更には、1.8〜2.6の範囲内が例示される。必要に応じて、第1導電繊維≒第2導電繊維でも良いし、第1導電繊維<第2導電繊維でも良い。
第1導電繊維はPAN系炭素繊維であり、第2導電繊維はピッチ系炭素繊維とすることができる(請求項2)。従って、導電繊維集積体は、PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維とが混在して形成できる。PAN系炭素繊維は、一般的には、PANプリカーサ(ポリアクリロニトリル繊維)を炭素化して得られるものであり、高い直線性をもつ。ピッチ系炭素繊維は、一般的には、ピッチプリカーサ(コールタールまたは石油重質分を原料とするピッチ繊維)を炭素化して得られるものである。ピッチ系炭素繊維は一般的にはカール性をもつカール状導電繊維である。PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維との比率を調整すれば、拡散層の弾力性等の性質を調整することができる。ここで、PAN系炭素繊維の比率が増加すれば、拡散層の弾力性が高まる。ピッチ系炭素繊維の比率が増加すれば、ピッチ系炭素繊維はカールしているため、炭素繊維同士の絡み性が高くなる。
本様相によれば、直線性が高くて折れ難い(強度をもつ)第1導電繊維と、カール性が高い第2導電繊維とが混在しているため、拡散層の導電性を確保しつつ、拡散層の弾力性、剛直性、柔軟性等の性質を確保することができ、更に第1導電繊維による弾力性を良好に引き出すことができる。このため、燃料電池における熱、水分、荷重等の変化によって電解質等の燃料電池構成要素が膨張および収縮するときであっても、それに対する高い追従性を発揮する拡散層を形成することができる。
(2)様相2に係る燃料電池用拡散層は、上記した様相において、第1導電繊維および第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維が導電繊維集積体の内部に存在していることを特徴とする(請求項3)。この場合、第1導電繊維、第2導電繊維といった繊維長が長い繊維間に導電短繊維が配合されることにより、導電繊維集積体を潰れ難い構造とするのに有利となる。更に、導電短繊維の配合により、第1導電繊維および第2導電繊維同士の導電接点が増加させることが期待され、導電性を更に高めるのに有利である。本様相における第1導電繊維の繊維長をL1とし、導電短繊維の繊維長をL3とすると、L1/L3=(5〜1000)/3000、または、(10〜300)/3000が例示される。但しこれに限定されるものではない。
(3)様相3に係る燃料電池用拡散層は、上記した様相において、第1導電繊維および第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維を含む塗布層が、導電繊維集積体のうち電解質側の表面および/または反応流体供給側の表面に、積層されていることを特徴とする(請求項3)。塗布層に含まれている導電短繊維により塗布層の剛性が向上するため、拡散層の弾力性が一層向上する。塗布層における第1導電繊維の繊維長をL1とし、導電短繊維の繊維長をL4とすると、L1/L4=(5〜1000)/3000、または、(10〜300)/3000が例示される。但しこれに限定されるものではない。
(4)様相4に係る燃料電池用拡散層の製造方法は、燃料電池の発電反応に用いられる反応流体を拡散させる燃料電池用拡散層の製造方法であって、第1導電繊維および第2導電繊維を準備する準備工程と、第1導電繊維および第2導電繊維を集積させた導電繊維集積体を有する拡散層を形成する導電繊維集積体形成工程とを含み、第1導電繊維は前記第2導電繊維よりも直線性が高く、第2導電繊維は第1導電繊維よりもカール性が高いことを特徴とする(請求項5)。様相1と同様の作用効果が得られる。
(5)様相5に係る燃料電池用拡散層の製造方法は、前記様相において、第1導電繊維および第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維を含む流動物を塗布することにより、拡散層のうち電解質層側の表面および/または反応流体供給側の表面に積層する塗布工程とを含むことを特徴とする(請求項6)。様相3と同様の作用効果が得られる。
(6)様相6に係る燃料電池は、燃料用拡散層、燃料用触媒層、電解質膜、酸化剤用触媒層、酸化剤用拡散層が順に積層されている膜電極接合体と、
膜電極接合体のうち燃料用拡散層に対面すると共に燃料用拡散層に燃料を供給する燃料用配流部材と、膜電極接合体のうち酸化剤用拡散層に対面すると共に酸化剤用拡散層に酸化剤を供給する酸化剤用配流部材とを具備する燃料電池において、燃料用拡散層および酸化剤用拡散層のうちの少なくとも一方は、上記した様相に係る燃料電池用拡散層で構成されていることを特徴とする。様相1と同様の作用効果が得られる。
(7)様相7に係る燃料電池は、上記した様相において、燃料用配流部材と燃料用拡散層との間、および/または、酸化剤用配流部材と酸化剤用拡散層との間には、多数の細孔をもつ多孔質体が配置されていることを特徴とする。この場合、燃料活物質または酸化剤活物質を含む反応流体は、多孔質体の細孔を透過し、膜電極接合体に供給される。
本発明によれば、直線性が相対的に高い第1導電繊維に、第1導電繊維よりもカール性が相対的に高い第2導電繊維が混在されている。このため第1導電繊維および第2導電繊維の絡み性が向上し、熱も水分、荷重等の変化に対する弾力性、追従性を高めることができる。故に、燃料電池の内部における熱、水分、荷重の変化等によって、電解質等の燃料電池構成要素の膨張および収縮が発生するときであっても、拡散層の追従性(寸法追従性)を向上させることができる。このため、燃料電池の内部における熱、水分、荷重等の変化に起因する燃料電池の発電性能の低下が抑制される。
燃料電池用拡散層は、燃料電池の発電反応に用いられる反応流体を拡散させる燃料電池用拡散層である。好ましくは、拡散層は、多数の導電繊維が互いに接触する導電繊維集積体と、導電繊維間に存在する高分子材料で形成された撥水材(結合材)とを備えている。導電繊維集積体の製法として抄紙法が例示される。抄紙法としては、導電繊維および捕獲材(例えばパルプ)を主成分として含む液状物と網状部材とを接触させることにより、導電繊維および捕獲材を含むシート状の集積体を網状部材に集積させる工程と、シート状の集積体と網状部材とを分離させてシート状の集積体を取り出す分離工程とを含む工程が例示される。抄紙法において導電繊維は捕獲材(例えばパルプ)により捕獲され易くなる。
導電繊維の長さとしては特に限定されないものの、30ミリメートル以下、20ミリメートル以下が例示される。抄紙法の場合には、15ミリメートル以下、10ミリメートル以下が例示される。導電繊維の径としては特に限定されないものの、50マイクロメートル以下、30マイクロメートル以下、15マイクロメートル以下が例示される。
第1導電繊維と第2導電繊維とが混在しているときには、導電繊維集積体の弾力性を確保しつつ、柔軟性を確保できる。この場合、質量比で、第1導電繊維>第2導電繊維とすることができるが、場合によっては、第1導電繊維=第2導電繊維、第1導電繊維<第2導電繊維とすることもできる。質量比で、第1導電繊維/第2導電繊維の比率α1としては1.5〜3.5の範囲、1.8〜2.8の範囲において適宜設定できる。第1導電繊維はPAN系炭素繊維が例示され、第2導電繊維はピッチ系炭素繊維が例示される
第2導電繊維の径>第1導電繊維の径、第2導電繊維の径≒第1導電繊維の径、第2導電繊維の径<第1導電繊維の径のうちのいずれの関係でも良い。第2導電繊維の長さ>第1炭素繊維の長さ、第2炭素繊維の長さ≒第1導電繊維の長さ、第2導電繊維の長さ<第1導電繊維の長さのうちのいずれの関係でも良い。
導電繊維集積体の内部には、導電繊維同士を結合させる結合力を発揮させる撥水材(結合材)が存在することが好ましい。撥水材は、導電繊維同士の接点に存在し易く、導電繊維同士の接点を結合させるバインダとして機能することができる。このため、導電繊維集積体を構成する導電繊維同士の接点が撥水材により良好に繋がれる。従って、導電繊維同士の接点の結合性が向上する。
上記した撥水剤としては、フッ素系重合体が例示される。フッ素系重合体としては、テトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオロライド、トリフルオロエチレンクロライド、ビニルフロライド、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル等の単独または共重合物が例示される。また、これらとエチレンに代表されるオレフィン類との共重合物が例示される。従って、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のうちの少なくとも1種が挙げられる。
導電繊維集積体には粉末状導電物質が保持されていることが好ましい。従って流動物には粉末状導電物質が保持されていることが好ましい。粉末状導電物質としては、導電性、比表面積および耐食性を考慮すると、炭素系が好ましい。殊にカーボンブラックを採用できる。カーボンブラックとしては、フォーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラックが例示される。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図1を参照して説明する。本実施例は拡散層を形成する場合である。
(炭素繊維集積体の形成)
PAN系炭素繊維(第1導電繊維)およびピッチ系炭素繊維(第2導電繊維)が互いに絡みあった炭素繊維集積体(導電繊維集積体)で形成されている集積シート100を準備する。この炭素繊維集積体は抄紙法により形成されている。まず、PAN系炭素繊維(東レ株式会社,チョップドファイバーT010,引張弾性率:200〜260GPa,230GPa)と、ピッチ系炭素繊維(クレハ株式会社,クレカチョップKGF200,引張弾性率:30〜40GPa,30GPa)と、加熱により焼失する焼失繊維(消失繊維)であるパルプと、分散媒としての水とを含有する抄紙用の液を用意した。
ここで、PAN系炭素繊維は強度をもち、直線性が高い。ピッチ系炭素繊維はカール性をもち、絡み性が高い。PAN系炭素繊維については、繊維長が3ミリメートル、平均繊維径が7μmとする。ピッチ系炭素繊維については、平均繊維長が3ミリメートル、平均繊維径が14.5mとした。PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維が混在されているため、炭素繊維集積体は、高い弾力性を確保しつつも、柔軟性を有することができる。この場合、質量比で、PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも多く配合されている。直線性が高いPAN系炭素繊維の比率を増加することにより拡散層の弾力性および剛性を高めるためである。但し、集積シート100の製造過程において、抄紙処理で形成した集積シート100をロール搬送するため、集積シート100の柔軟性を確保すべく、ピッチ系炭素繊維も配合されている。
この場合、質量比で、導電繊維(PAN系炭素繊維+ピッチ系炭素繊維)/パルプ=6/4である。その抄紙用の液に対して抄紙処理(紙すき処理)することにより、図1(A)に示すように、集積シート100(坪量:60g/m,平均厚み:250〜300μm)を作製した。集積シート100において、質量比で、炭素繊維(PAN系炭素繊維+ピッチ系炭素繊維)の配合量は、パルプの配合量よりも多くされている。具体的には、質量比で、炭素繊維(PAN系炭素繊維+ピッチ系炭素繊維)/パルプの比率は6/4相当である。パルプはセルロースを主要成分としており、焼失可能な軟質繊維であり、抄紙時に炭素繊維の捕獲性を高める。
上記した集積シート100は炭素繊維集積体に相当するものであり、炭素繊維とパルプとが互いに絡み合った集積体で形成されており、互いに背向する表面101,102を有する。集積シート100によれば、直線性が高いPAN系炭素繊維とカールされているピッチ系炭素繊維とが絡み合っている。なお、ピッチ系炭素繊維はカールされているが、その平均繊維長は繊維を延ばしたときにおける長さに相当する。ここで、表面101は電解質膜側である。表面102は反応流体供給側である。
(第1流動物)
まず、カーボンブラック(微粉末状導電物質)の分散性を高めるため、カーボンブラックと水(分散媒)とを界面活性剤とを混合して攪拌した第1混合液を形成する。そして、撥水材としてテトラフルオロエチレン(PTFE,フッ素系重合体)を60質量%含有するディスパージョン溶液をその第1混合液に混合して攪拌する。これにより流動性をもつ第1流動物(粘度:10mPa・s、せん断速度100s−1のとき)を形成する。第1流動物はカーボンブラックおよびPTFEを主要成分として含有しており、流動性を有している。この場合、質量比で、カーボンブラック/PTFE(固形分)の比率としては、10/4とする。
(第2流動物)
カーボンブラック(微粉末状導電物質)と水(分散媒)とを混合して攪拌した第2混合液を形成する。撥水材としてテトラフルオロエチレン(PTFE)を60質量%含有するディスパージョン溶液をその第2混合液に混合して攪拌機により攪拌する。これによりインク状の流動性をもつ第2流動物(粘度:100mPa・s、せん断速度100s−1のとき)を形成する。第2流動物の粘度は第1流動物の粘度よりも高く設定されている。その理由としては、第2流動物を集積シート100の表面101に残留させる確率を高めるためである。第2流動物はカーボンブラックと撥水剤(PTFE)とを主要成分として含有しており、粘性を有する。第2流動物においては、質量比で、カーボンブラック/PTFE(固形分)の比率としては、6/4とする。
(拡散層の形成)
図1(B)に示すように、先ず、第1流動物を集積シート100の一方の表面101から含浸させた(第1流動物の目付け量:8mg/cm)。第1流動物の粘度が低いため、第1流動物は集積シート100の内部にまで含浸され易い。
その後、所定の焼成温度(380°)で集積シート100を大気雰囲気において所定時間(1時間)加熱する。これにより集積シート100の内部に含浸されている撥水材を焼成する。焼成に伴い、集積シート100に含まれているパルプは焼失除去され、燃料電池の発電運転時において反応ガスを通過させる空孔となる。更に、焼成に伴い、第1流動物に含まれているPTFEは、集積シート100の内部に含浸されているため、焼成により、集積シート100を構成する複数の炭素繊維同士を結着させて炭素繊維同士の保持性を高めるバインダとして機能することができる。
次に、図1(D)に示すように、集積シート100のうち第1流動物を含浸させた側の表面101に、第2流動物をアプリケータ塗布機またはダイコートの塗布要素200により塗布する。この場合、塗布要素200の掻取要素201により、表面101上の第2流動物の厚みtaは、一定に規制される。上記した厚みtaは燃料電池の用途、運転条件等に応じて適宜選択される。この場合、集積シート100の単位面積あたり、第2流動物の目付け量を4mg/cmとする。従って第1流動物の目付け量は第2流動物の目付け量よりも多く設定されている。その理由としては、集積シート100を構成する炭素繊維同士を結合させるバインダ機能を第1流動物のPTFEにより集積シート100に付与させ、第2流動物の目付前における集積シート100の形状保持性を高めるためである。
その後、第1流動物および第2流動物を塗布した集積シート100を、大気雰囲気において、所定の焼成温度(320℃)で所定時間(1時間)加熱して焼成する。これにより塗布層120が積層されている酸化剤用の拡散層31を形成する(図1(E)参照)。
同様の手順により塗布層130が積層されている燃料用の拡散層41を形成する。
上記したように塗布層120,130を形成するにあたり、粘性が低い第1流動物、粘性が高い第2流動物の順に集積シート100に含浸させる。このため、第2流動物が集積シート100に塗布されるときには、集積シート100の表面101には既に第1流動物の表面101の固形分が含浸されているため、集積シート100の表面101付近の空孔体積が減少している。よって第2流動物を集積シート100の内部深くまで含浸させることが抑制される。
(実施例2)
図2は実施例2の拡散層31,41を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1(A)〜図1(E)を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。抄紙用の液には、PAN系炭素繊維と、ピッチ系炭素繊維と、導電性短繊維(以下、単に短繊維という)と、加熱により焼失する焼失繊維(消失繊維)であるパルプと、分散媒としての水とが含有されている。配合比としては、PAN系炭素繊維が30〜50質量部、ピッチ系炭素繊維が10〜30質量部、短繊維が5〜25質量部、パルプ等の消失繊維が20〜40質量部が含有されている。
ここで、短繊維は、集積シート100を構成するPAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維の繊維長よりも短い繊維長をもつものであり、10〜150μmである。この短繊維は、具体的には、PAN系炭素繊維を切断して形成されているため、高い直線性および補強性をもつ。
従って抄紙法で形成された集積シート100(導電繊維集積体)は、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維を有すると共に、導電性を有する短繊維(以下、短繊維という)を有する。このような集積シート100によれば、長繊維(PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維線)間に短繊維が配合されて補強されている。このため、集積シート100(導電繊維集積体)が潰れ難い構造となり、集積シート100の弾力性の向上に貢献できる。塗布層120,130には短繊維が配合されていない。
(実施例3)
図3は実施例3の拡散層31,41を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1(A)〜図1(E)を準用できる。本実施例によれば、集積シート100(繊維集積体)において、長繊維(PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維線)間に短繊維(10〜150マイクロメートル)が配合されて補強されている。このため集積シート100(繊維集積体)が潰れ難い構造となり、集積シート100の弾力性の向上に貢献できる。
更に、前記した第2流動物は、カーボンブラック(微粒子状導電物質)と、テトラフルオロエチレン(PTFE,撥水材)と、短繊維を含む。短繊維は、繊維長がPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維の繊維長よりも短いものであり、10〜150μmである。短繊維は、PAN系炭素繊維を切断して形成されているため、高い直線性をもつ。
本実施例においても、図1(D)に示すように、集積シート100のうち第1流動物を含浸させた側の表面101に、第2流動物をアプリケータ塗布機またはダイコートの塗布要素200により塗布する。この場合、塗布要素200の掻取要素201により、表面101上の第2流動物の厚みtaは、一定に規制される。
第2流動物に含まれている短繊維は、表面101に沿って寝るように配向し易くなる。なお、厚みtaは100〜400マイクロメートルの範囲内であり、第2流動物に含まれている短繊維の繊維長をL4とすると、L4/ta=0.4〜1.5程度、0.5〜1.2程度にできる。但しこれに限定されるものではない。
本実施例に係る拡散層31,41(図3参照)によれば、塗布層120,130に補強用の短繊維が配合されているため、塗布層120,130を強化することができ、ひいては拡散層31,41の弾力性を更に向上させることができる。この場合、塗布層120.130を形成する第2流動物において、質量比で、カーボンブラック/短繊維の比率としては、例えば、(10/0.2)〜(10/5)の範囲内、(10/0.5)〜(10/2.0)の範囲内において設定できる。ここで、なお、塗布層120,130に含まれている短繊維としては、カール性をもつピッチ系炭素繊維を切断したものでもよいが、直線性が高いPAN系炭素繊維を切断したものがより好ましい。
(実施例4)
図4は実施例4の拡散層31,41を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図4に示すように、酸化剤用の拡散層31のうち電解質膜側の表面101には、塗布層120が積層されていない。しかし酸化剤用の拡散層31のうち酸化剤供給側(反応流体供給側)の表面102には、塗布層120Xが積層されている。また、図4に示すように、燃料用の拡散層41のうち電解質膜側の表面101には、塗布層130が積層されていない。しかし燃料用の拡散層41のうち燃料供給側(反応流体供給側)の表面102には、塗布層130Xが積層されている。本実施例に係る拡散層31,41(図4参照)によれば、塗布層120X,130Xに補強用の短繊維が配合されているため、塗布層120X,130Xを強化することができ、ひいては拡散層31,41の弾力性を更に向上させることができる。塗布層120X,130Xは撥水材を含むため、拡散層31,41のうち酸化剤供給側,燃料供給側(反応流体供給側)の表面102付近における排水性を高めるのに有利である。更に塗布層120X,130Xが積載されている表面102は、電解質膜に対面しない。このため塗布層120X,130Xに含まれる短繊維の繊維長を事情により長く設定するときであっても、電解質膜の損傷が抑制される。
(実施例5)
図5は実施例5の拡散層31,41を示す。本実施例は実施例3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図5に示すように、酸化剤用の拡散層31のうち電解質膜側の表面101には、塗布層120が積層されている。酸化剤用の拡散層31のうち酸化剤供給側(反応流体供給側)の表面102にも、塗布層120Xが積層されている。また、図5に示すように、燃料用の拡散層41のうち電解質膜側の表面101には、塗布層130が積層されている。更に、燃料用の拡散層41のうち燃料供給側(反応流体供給側)の表面102にも、塗布層130Xが積層されている。
本実施例に係る拡散層31,41(図5参照)によれば、塗布層120X,130Xに補強用の短繊維(繊維長:10〜150マイクロメートル)が配合されている。このため塗布層120X,130Xを強化することができ、ひいては拡散層31,41の弾力性を更に向上させることができる。塗布層120X,130Xは短繊維と共に撥水材を含むため、拡散層31,41のうちの表面101,102付近における排水性を高めるのに有利である。
(実施例6)
図6は、本実施例に係る膜電極接合体50を示す。図6は、膜電極接合体50の断面の概念を模式的に示す。図6に示すように、膜電極接合体50は、燃料用の拡散層41、燃料用の触媒層18、プロトン伝導性(イオン伝導性)を有する固体高分子型のフッ素系の電解質膜20(パーフルオロスルホン酸系の電解質,イオン伝導膜)、酸化剤用の触媒層14、酸化剤用の拡散層31を厚み方向に積層して形成されている。この場合、図6に示すように、固体高分子型の電解質膜20の一方の片面20aに燃料用の触媒層18が位置し、電解質膜20の他方の片面20cに酸化剤用の触媒層14が位置する。その後、電解質膜20、燃料用の拡散層41、酸化剤用の拡散層31を厚み方向に積層し、膜電極接合体50を形成する。
図6に示すように、酸化剤用の拡散層31は、上記した製造過程を経て形成されており、集積シート100と、カーボンブラックおよび撥水材を含有する塗布層120とで形成されている。塗布層120は酸化剤用の触媒層14を介して電解質膜20に対面している。主として酸化剤用触媒層14において発電反応により水が生成する。塗布層120は、集積シート100と電解質膜20との間に介在するため、集積シート100に含まれている炭素繊維が電解質膜20を損傷させることを抑制できる。
更に図6に示すように、燃料用の拡散層41は、上記した製造過程を経て形成されており、集積シート100と、カーボンブラックおよび撥水材を含有する塗布層130とで形成されている。塗布層130は燃料用の触媒層18を介して電解質膜20に対面している。塗布層130は、集積シート100と電解質膜20との間に介在するため、集積シート100に含まれている炭素繊維が電解質膜20を損傷させることを抑制できる。
本実施例によれば、直線性が高いPAN系炭素繊維に、カール性が高いピッチ系炭素繊維が混在されているため、拡散層31,41の弾力性、追従性を高めることができる。故に、電解質20の膨張および収縮が発生するときであっても、拡散層31,41の追従性を向上させることができる。このため、燃料電池における熱、水分、荷重等の変化に起因して電解質膜20が膨張および収縮するようなときであっても、高い追従性を発揮する拡散層31,41を提供することができる。これにより熱、水分、荷重等の変化に起因する燃料電池の発電性能の低下が抑制される。
(実施例7)
本実施例は図6を準用する。拡散層31に積層されている塗布層120には短繊維(10〜150μm)が配合されている。拡散層41に積層されている塗布層130には短繊維(10〜150μm)が配合されている。短繊維は、PAN系炭素繊維を切断して形成されているため、高い直線性をもつ。短繊維が配合されている塗布層120,130は、拡散層31,41の弾力性を更に高めることができる。ひいては膜電極接合体50の弾力性を更に高めることができる。
(実施例8)
図7は、固体高分子型の燃料電池に適用した実施例を示す。図7に示すように、上記した膜電極接合体50を炭素系の酸化剤用のセパレータ4(酸化剤用の配流部材),燃料用のセパレータ5(燃料用の配流部材)で厚み方向に挟んで、固体高分子型の単セルの燃料電池を作製する。セパレータ4には、酸化剤用のガス供給口4a、酸化剤用のガス通流のための凹状の流路溝4b、酸化剤用のガス排出口4cが設けられている。セパレータ5には、燃料用のガス供給口5a、燃料用のガス通流のための凹状の流路溝5b、燃料用のガス排出口5cが設けられている。
発電運転時には、酸化剤用のガス供給口4aより酸化剤用の流路溝4bを介して酸化剤用の拡散層31に酸化剤用ガス(空気)を供給し、且つ、燃料用のガス供給口5aより燃料用の流路溝5bを介して燃料用の拡散層41に燃料用ガス(水素ガス)を供給する。
本実施例においても、拡散層31,41(炭素繊維集積体)の弾力性を良好に引き出すことができる。このため燃料電池の発電運転および運転停止等に起因する電解質膜20の膨張および収縮が発生するときであっても、電解質膜20の膨張および収縮に対する高い追従性を発揮する拡散層31,41を形成することができる。
(実施例9)
本実施例は実施例8と基本的には同様の構成、作用効果を有するため、図7を準用する。本実施例によれば、拡散層31,41を構成する炭素繊維の配合比については、質量比で、PAN系炭素繊維/ピッチ系炭素繊維=3.0とする。直線性が高いPAN系炭素繊維の比率を増加することにより、拡散層の弾力性を高めるためである。本実施例においても前記実施例と同様の作用効果が得られる。
(実施例10)
本実施例は実施例8と基本的には同様の構成、作用効果を有するため、図7を準用する。本実施例によれば、拡散層31,41を構成する炭素繊維の配合比については、質量比で、PAN系炭素繊維/ピッチ系炭素繊維=1.7とする。カール性が高いピッチ系炭素繊維の比率を増加することにより拡散層31,41の柔軟性を高めるためである。本実施例においても前記実施例と同様の作用効果が得られる。
(実施例11)
図8は、固体高分子型の燃料電池に適用した実施例を示す。図8に示すように、上記した膜電極接合体50を炭素系の酸化剤用のセパレータ4W(酸化剤用の配流部材),燃料用のセパレータ5W(燃料用の配流部材)で厚み方向に挟んで、固体高分子型の単セルの燃料電池を作製する。セパレータ4Wは酸化剤ガスを流す流路溝の群を有せず、平坦状の表面401を有するフラットタイプである。セパレータ5Wは燃料ガスをを流す流路溝の群を有せず、平坦状の表面501を有するフラットタイプである。セパレータ4Wと拡散層31との間には、酸化剤用の多孔質体310が介在している。セパレータ5Wと拡散層41との間には、燃料用の多孔質体410が介在している。多孔質体310,410はシート状をなしており、多数の連続細孔を三次元的に有する反応流体透過性に富むものであり、例えば発泡金属(発泡ニッケル)等の発泡体で形成できる。
ところで、上記したように拡散層31,41が高い弾力性を有するときには、流路溝の群を有するセパレータと共に組み込まれていると、セパレータ、膜電極接合体等を厚み方向に圧着させる圧着力が強くなると、図9に示すように、炭素繊維集積体で形成されている拡散層31,41の一部31m,41mがセパレータの流路溝内に膨出する度合が高くなる。この場合、流路溝の流路面積を小さくするおそれがあり、燃料電池の本来の発電性能が得られないおそれがある。この点本実施例よれば、拡散層31,41が高い弾力性を有するときであっても、流路溝なしのフラットタイプのセパレータ4W,5Wであれば、拡散層31,41の構成部分がセパレータの流路溝内に膨出する度合が高くなるおそれが軽減または回避され、流路溝の流路面積を小さくするおそれが軽減または回避される。
(試験例)
以下、試験例を述べる。この場合、試験例1,2は、上記した実施例1に基づいて形成した拡散層31(集積シート100に塗装層120を積層したもの)から試験片を切り出す。試験例3,4,5は、上記した実施例2に基づいて形成した拡散層31(集積シート100に塗装層120を積層したもの)から試験片を切り出す。各試験片について弾力性試験を実施する。弾力性試験においては、試験片のサイズは、36ミリメートル×36ミリメートル×厚み0.45ミリメートルとする。そして試験片を厚み方向に所定の荷重(3MPa)を240秒間加える。これは、膜電極接合体を作製する場合におけるプレス圧を想定したものである。その後、試験片を所定時間(10分間)放置する。その後、0.2MPaの荷重を拡散層に加えた後、2.0MPaの荷重を試験片に加える操作を1往復とすると、往復30回、繰り返して荷重を試験片に加える。これは、燃料電池の発電運転に基づく電解質膜の膨張および収縮を模擬したものである。なお、30回以降繰り返し荷重を加えたしたとしても、試験片の厚みの変化はあまり認められなかった。
次に、試験片について弾力性を測定する。この場合、前述したように往復30回の荷重加えた後、0.2MPaの荷重を拡散層にこれの厚み方向に加える。次に、0.6MPaの荷重を試験片にこれの厚み方向に加える。そして、0.2MPaの荷重を加えた場合における拡散層の厚みt0.2と、0.6MPaの荷重を加えた場合における拡散層の厚みt0.6とを求める。厚みt0.2と厚みt0.6との差を求めた。更に、次式に基づいてヤング率(MPa)を求めた。ヤング率(MPa)=A/W
A=abs(0.2Mpa−0.6Mpa)
(ここでabsは絶対値を意味する。)
W=(t0.2−t0.6)/t0.2
Figure 2009087614
表1は、試験片の作製条件および測定結果を示す。表1に示すように、試験例1によれば、PAN系炭素繊維は42質量部、ピッチ系炭素繊維は18質量部含まれている。試験例2によれば、PAN系炭素繊維は55質量部、ピッチ系炭素繊維は25質量部含まれている。試験例3によれば、PAN系炭素繊維は42質量部、ピッチ系炭素繊維は18質量部、短繊維は15質量部含まれている。試験例4によれば、PAN系炭素繊維は37質量部、ピッチ系炭素繊維は15.9質量部、短繊維は22.1質量部は含まれている。試験例5によれば、PAN系炭素繊維は33.2量部、ピッチ系炭素繊維は14.2質量部、短繊維は27.6質量部は含まれている。質量比で、PAN系炭素繊維/ピッチ系炭素繊維の配合割合としては、2.2〜2.3の範囲内であり、PAN系炭素繊維はピッチ系炭素繊維よりも多い。
同様に、比較例1および比較例2についても試験した。表1に示すように、比較例1は、高い直線性をもつPAN系炭素繊維のみを基材として形成されている。比較例2は、カール性をもつピッチ系炭素繊維のみを基材として形成されている。
ここで、弾力性(μm)の値は高いほうが好ましい。ヤング率(MPa)の値は低いほうが、弾力性有りとされる。ヤング率(MPa)は6.1以下が好ましい。表1から理解できるように、比較例1によれば、弾力性(μm)の値は14であり、充分ではなかった。比較例2によれば、弾力性(μm)の値は12であり、充分ではなく、更に、ヤング率が悪化していた。
これに対して、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維が混在している試験例1〜5によれば、弾力性(μm)の値は16.5〜19の範囲内であり、良好であった。このことから、PAN系炭素繊維にピッチ系炭素繊維を混在させることが有意義であるといえる。
殊に、試験例3〜試験例5によれば、炭素繊維集積体を強化する短繊維(長さ:150μm)が配合されているため、弾力性(μm)の値が17〜19であり、評価はかなり良好であった。
次に、塗布層120の効果を調べる試験を実施する。この場合、上記した試験例1に基づいて試験片の表面に、第2流動物が塗布され、塗布層120が積層されている。試験例1A〜試験例1Eは、PAN系炭素繊維にピッチ系炭素繊維を配合することにより形成されているため、発明品に相当する。
塗布層120に含まれている短繊維については、試験例1Aの配合量は0であり、試験例1Bの配合量は0.7質量部であり、試験例1Cの配合量は1.4質量部であり、試験例1Dの配合量は0.7質量部であり、試験例1Eの配合量は1.4質量部とする。但し、試験例1B,1Cで用いる短繊維の長さは150μmとする。試験例1D,1Eで用いる短繊維の長さは30μmとする。試験条件を共通化するため、PTFEは4質量部に共通化し、目付け量も60mg/cmとする。
Figure 2009087614
試験条件および試験結果を表2に示す。表2から理解できるように、試験片の弾力性の値としては、試験例1Aは16であり、試験例1Bは20であり、試験例1Cは21であり、試験例1Dは17であり、試験例1Eは17.5であった。発明品に相当する試験例1A〜試験例1Eによれば、弾力性およびヤング率の評価は◎◎または○であった。ここで、短繊維の長さを除いて同一条件で形成されている試験例1B,1Dを比較すれば、短繊維の長さが30μmの試験例1Dよりも、150μmの試験例1Bは、弾力性およびヤング率が良好であった。
また、短繊維の長さを除いて同一条件で形成されている試験例1C,1Eを比較すれば、短繊維の長さが30μmの試験例1Eよりも、150μmの試験例1Cは、弾力性およびヤング率が良好であった。上記した事項を考慮すると、塗布層120,130に含まれている短繊維の長さとしては、PAN系炭素繊維および/またはピッチ系炭素繊維未満であり、30μmを越えていることが好ましい。従って50〜250μm、70〜200μm程度が好ましいといえる。
(その他)
上記した実施形態1によれば、PAN系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維の平均繊維長および平均繊維径については、上記した値に限定されるものではなく、拡散層に要請される性質に応じて、適宜変更できることは勿論である。例えば、PAN系炭素繊維については、平均繊維長が1〜12ミリメートル、平均繊維径が7〜15μmを例示することができる。ピッチ系炭素繊維については、平均繊維長が1〜12ミリメートル、平均繊維径が7〜15μmを例示することができる。上記した実施形態1によれば、抄紙の際に、質量比で、導電繊維/パルプの比率は6/4相当とされているが、条件によって適宜設定されるものであり、これに限らず、7/3相当、8/2相当、5/5相当、4/6相当としても良い。
実施形態1によれば、第1流動物の目付け量を第2流動物の目付け量よりも大きく設定している。但しこれに限らず、第1流動物の目付け量を第2流動物の目付け量よりも小さく設定しても良い場合もある。この場合、集積シート100を構成する導電繊維を保持するバインダ機能を第1,第2流動物にもたせつつ、反応ガス透過性、排水性を調整するためである。このように要請に応じて、第1流動物の目付け量と第2流動物の目付け量と比率を調整できる。
本発明は固体高分子型等の燃料電池に利用できる。
実施例1に係り、製造過程を示す模式図である。 実施例2に係り、拡散層を模式的に示す断面図である。 実施例3に係り、拡散層を模式的に示す断面図である。 実施例4に係り、拡散層を模式的に示す断面図である。 実施例5に係り、拡散層を模式的に示す断面図である。 実施例6に係り、膜電極接合体を模式的に示す断面図である。 実施例8に係り、膜電極接合体を搭載する燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例11に係り、膜電極接合体を搭載する燃料電池を模式的に示す断面図である。 セパレータの流路溝に拡散層の一部が膨出している状態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
100は集積シート(導電繊維集積体)、50は膜電極接合体、18は燃料用の触媒層、20は電解質膜、14は酸化剤用の触媒層、31は酸化剤用の拡散層、41は燃料用の拡散層、4は酸化剤用のセパレータ(酸化剤用の配流部材),5は燃料用のセパレータ5(燃料用の配流部材)を示す。

Claims (8)

  1. 燃料電池の発電反応に用いられる反応流体を拡散させる燃料電池用拡散層であって、第1導電繊維および第2導電繊維を基材とする導電繊維集積体を具備しており、前記第1導電繊維は前記第2導電繊維よりも直線性が高く、前記第2導電繊維は前記第1導電繊維よりもカール性が高いことを特徴とする燃料電池用拡散層。
  2. 請求項1において、前記第1導電繊維はPAN系炭素繊維であり、前記第2導電繊維はピッチ系炭素繊維であることを特徴とする燃料電池用拡散層。
  3. 請求項1または2において、前記第1導電繊維および前記第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維が前記導電繊維集積体の内部に存在していることを特徴とする燃料電池用拡散層。
  4. 請求項1〜3のうちの一項において、前記導電繊維集積体は、電解質側の表面および反応流体供給側の表面を備えており、
    前記第1導電繊維および前記第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維を含む塗布層が、前記導電繊維集積体のうち前記電解質側の表面および/または反応流体供給側の表面に、積層されていることを特徴とする燃料電池用拡散層。
  5. 燃料電池の発電反応に用いられる反応流体を拡散させる燃料電池用拡散層の製造方法であって、第1導電繊維および第2導電繊維を準備する準備工程と、前記第1導電繊維および前記第2導電繊維を集積させた導電繊維集積体を有する拡散層を形成する導電繊維集積体形成工程とを含み、
    前記第1導電繊維は前記第2導電繊維よりも直線性が高く、前記第2導電繊維は前記第1導電繊維よりもカール性が高いことを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
  6. 請求項5において、前記第1導電繊維および前記第2導電繊維よりも繊維長が短かく導電性をもつ導電短繊維を含む流動物を塗布することにより、前記拡散層のうち前記電解質層側の表面および/または反応流体供給側の表面に積層する塗布工程を、更に含むことを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
  7. 燃料用拡散層、燃料用触媒層、電解質膜、酸化剤用触媒層、酸化剤用拡散層が順に積層されている膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体のうち前記燃料用拡散層に対面すると共に前記燃料用拡散層に燃料を供給する燃料用配流部材と、前記膜電極接合体のうち前記酸化剤用拡散層に対面すると共に前記酸化剤用拡散層に酸化剤を供給する酸化剤用配流部材とを具備する燃料電池において、
    前記燃料用拡散層および前記酸化剤用拡散層のうちの少なくとも一方は、請求項1〜4のうちの一項に係る燃料電池用拡散層で構成されていることを特徴とする燃料電池。
  8. 請求項7において、前記燃料用配流部材と前記燃料用拡散層との間、および/または、前記酸化剤用配流部材と前記酸化剤用拡散層との間には、多数の細孔をもつ多孔質体が配置されていることを特徴とする燃料電池。
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