JP2009102477A - 高純度石油コークスの製造方法 - Google Patents

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貴之 二宮
Kenichi Hamano
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Abstract

【課題】自家燃料油程度の用途に限られていたエチレンボトム油などの重質油を熱分解して、高品質なコークス燃料や加炭材、アルミニウム精錬用電極、二次電池電極などの特殊炭素製品等の炭素材といった、より付加価値の高い高純度石油コークスを製造することを課題とする。
【解決手段】石油精製における中間留分を熱分解することによりオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油を、好ましくは硫黄分が0.5重量%以下、窒素分が0.05重量%以下、及び灰分が0.05重量%以下である重質油を温度400〜600℃、圧力0.01〜1.00MPaで熱分解して、硫黄分が0.1重量%以下、窒素分が0.1重量%以下、及び灰分が0.05重量%以下である石油コークスを製造する高純度石油コークスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレンクラッカーなどのオレフィン製造装置から副生される重質油を熱分解して高純度の石油コークスを製造する方法に関する。
石油コークスの用途としては、燃料用のコークス以外にも、製鋼用の炭素含有量調整のための加炭材や、アルミニウム精錬用電極等の特殊炭素製品としての用途が知られている(非特許文献1)。
近年、電子機器等の小型軽量化や高機能化の点から、繰り返し使用可能な二次電池の需要の高まりに対する要求に合致する電池として、省電力化及び環境保全の立場から、鉛蓄電池やニッカド電池に替わるニッケル−水素系やリチウム系のクリーンな非水系電池、特に軽量化、高電圧の点からリチウムイオン二次電池が注目され、実用化されている。その電極材料としてコークス等や天然黒鉛等の炭素質あるいは黒鉛質の材料が低コスト、高容量という点で有望視されている。
コールタールやコールタールピッチ等の石炭系重質油や、常圧蒸留残渣油等の石油系重質油の処理方法として、これらを熱分解してコークスに転化する方法が知られている。熱分解によるコークスの製造方法としては、ナフサの熱分解時に副生する残渣油とフルフラールをルイス酸触媒存在下で重合させる方法(特許文献1)や、常圧蒸留残渣油や流動接触分解残渣油等を熱分解する方法等が知られている(特許文献2〜3)。しかし、これらの文献は、高純度の石油コークスを如何に製造するかについては全く言及していない。
特開平11−214006号公報 国際公開2005/027242 特開平08−102324号公報 特開2000−223123号公報 新炭素工業(改訂版) 株式会社近代編集社、1980年
本発明は、自家燃料油としての利用用途しかなかったエチレンボトム油などの重質油から高純度の石油コークスを製造する方法を提供することを課題とし、特には、重質油を熱分解して高品質なコークス燃料や加炭材、アルミニウム精錬用電極、二次電池電極などの特殊炭素製品等の炭素材といった、より付加価値の高い高純度石油コークスを製造することを課題とする。
本発明者等は、オレフィン類を製造するプロセスにおいて副生する重質油に着目し、これを熱分解処理することにより、不純物含有量の低い高純度な石油系コークスを得ることができることを見出し、本発明に想到した。
すなわち本発明は、石油精製における中間留分を熱分解することによりオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油を、温度400〜600℃、圧力0.01〜1.00MPaで熱分解して、硫黄分が0.1重量%以下、窒素分が0.1重量%以下、灰分が0.05重量%以下である石油コークスを製造することを特徴とする高純度石油コークスの製造方法である。
また、前記の熱分解に供される重質油は、硫黄分が0.5重量%以下、窒素分が0.05重量%以下、灰分が0.05重量%以下であることが好ましい。
オレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油は、従来、燃料油として、特には自家用燃料油として消費するばかりであったが、本発明により、付加価値の高い高純度な石油コークスを製造することが可能となり、コークス燃料や加炭材、アルミニウム精錬用電極、二次電池電極等の炭素材として好適に用いることができる。
本発明は、石油精製における中間留分を熱分解することによりオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油を、温度400〜600℃、0.01〜1.00MPaで熱分解して、高純度の石油コークスを製造する方法である。
〔原料油〕
本発明において使用する熱分解の原料油は、エチレン等のオレフィンを製造する際に副生する重質油を使用する。この重質油は、例えばアスファルト等の重質分に比べると硫黄分、窒素分及び金属分の総計である灰分等の含有量が非常に低い。
本発明において、熱分解に供する原料油としては、エチレン等のオレフィンを製造する際に副生する重質油を使用する。石油精製における中間留分を熱分解してオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油であれば、特に限定するものではなく、公知の任意のオレフィン製造プロセスを適宜の運転条件下で稼動して得られた重質油を用いることができる。オレフィン製造プロセスでは、炭化水素の熱分解により目的とするオレフィン分(エチレン、プロピレン)や副製品のLPG、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン)などのガソリン留分、水素、メタンなどのガス分とともに、バイプロダクトとして重質油が生成される。重質油の物性は、オレフィン製造プロセスで処理される原料炭化水素によって異なる。本発明に用いる重質油は、エタン、プロパンやブタン等のLPG、ナフサ、灯軽油、あるいは減圧軽油などの炭化水素を処理するオレフィン製造プロセスから副生する重質油を用いることができる。石油精製において、通常、灯油、軽油、A重油の3種を中間留分と称し、中間三品ともいうが、ここで中間留分とは、これら中間三品に加えて、エタン、プロパンやブタン等のLPG、ナフサ、及びA重油の基材である脱硫減圧軽油なども含めて総称する。原油や残渣油を原料とするオレフィン製造プロセスもあるが、これから副生する重質油は、原油の種類にもよるが、硫黄分や窒素分が比較的多く含まれるため、本発明に用いる原料油としては好ましくない。
エチレンクラッカーに代表されるオレフィン製造プロセスとしては、Lummus法オレフィンプロセスやStone & Webster Eng.社、Kinetics Technology International社、M. W. Kellogg社のプロセスなどが知られている(例えば、石油学会編「石油化学プロセス」、講談社サイエンティフィク、25〜27頁、2001年出版)。
熱分解に供する原料油(重質油)の蒸留性状として、5%留出温度は120〜230℃が好ましく、より好ましくは140〜210℃であり、95%留出温度は550〜700℃が好ましく、より好ましくは570〜680℃である。5%留出温度が120℃より低いと熱分解処理した際に低級炭化水素留分(ガス分)が多くなるため好ましくなく、また、230℃より大きいと原料油の動粘度が高くなるため、流動性を持たせるために加熱する必要が生じ、消費熱量が大きくなるため好ましくない。また、95%留出温度が550℃より低いと熱分解処理した際に得られる360℃以下の中間留分の生成量が低くなるため好ましくなく、また、700℃より大きいと残留炭素分が増加し、コークドラム前段の加熱炉でコーキングをおこし易くなるため好ましくない。
原料油の芳香族分は、コークスへの転化のしやすさから85〜99重量%、特には87〜99重量%が好ましい。
動粘度はハンドリング性及び流動性を持たせるために要する熱量等から50℃における動粘度が10mm/s以上が好ましく、より好ましくは30mm/s以上であり、また上限は1000mm/s以下が好ましく、より好ましくは200mm/s以下である。
硫黄分、窒素分は低いほど望ましいが、オレフィン製造プロセスではこれらを完全に取り除くことができないので、原料油中の硫黄分は好ましくは0.50重量%以下、より好ましくは0.20重量%以下であり、また窒素分については好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下、特には0.01重量%以下である。
また、灰分は不燃焼性物質の総量であるが、原料油中の灰分は好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下、特には0.01重量%以下である。
〔熱分解条件〕
本発明において、エチレンクラッカーなどから副生する重質油を熱分解して高純度石油コークスと熱分解処理油を得るための熱分解プロセスは、流通式(連続式)、バッチ式(回分式)、半回分式など各種の装置を用いることができる。例えば、フルードコーキングプロセス、フレキシコーキングプロセス、ディレードコーキングプロセス、ユリカプロセス、HSCプロセスなどが挙げられる(例えば、石油学会編「石油精製プロセス」、講談社サイエンティフィク、197〜205頁、1998年出版)。なかでもディレードコーキングプロセスを好ましく用いることができる。
ディレードコーキングプロセスの装置構成、運転条件は特に限定されるものではなく、公知の任意の製造装置、運転条件を採用できる。ディレードコーキングプロセスは加熱炉で原料油を加熱してコークドラムに張り込み、そこで蒸し焼き状態で熱分解縮重合反応が行われ、より付加価値の高いガス、分解ガソリン、灯油軽油などの石油留分(熱分解処理油)を生成すると同時に、コークスを製造する装置である。コークスはコークドラム中に堆積していくので、いっぱいになったコークドラムは系から切り離して堆積したコークスを切り出す。空になったコークドラムは、再び加熱された原料油を受け入れて熱分解縮重合反応を行う。ディレードコーキングプロセスは、通常、複数基のコークドラムを備えて、上記の操作を順繰りに繰り返す。
中間留分の熱分解によりオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油は、反応温度400〜600℃、反応圧力0.01〜1.00MPaで熱分解される。より好ましい反応温度及び反応圧力は、それぞれ450〜550℃及び0.05〜0.50MPaである。熱分解反応温度が400℃より低いと石油コークスの収率が低くなるため好ましくなく、また、600℃を超えると分解ガスの発生が多くなるため好ましくない。
なお、ここで石油コークス収率(重量%)は、次式で求めた値である。
石油コークス収率=得られたコークス(重量)/原料供給量(重量)×100
液空間速度は装置の大きさやコークスの生成量を考慮して設定して構わないが、好ましくは0.01〜0.50h−1であり、より好ましくは0.10〜0.30h−1である。
〔石油コークス〕
上記のような条件下に重質油を熱分解すると、いわゆる石油コークスが得られる。例えば、ディレードコーキングの場合、加熱炉で加熱されコークドラムに張り込まれた原料油は、そこで蒸し焼き状態で熱分解縮重合反応が行われ、より付加価値の高いガス、分解ガソリン、灯油軽油などの石油留分(熱分解処理油)が生成されると同時に、コークスが生成される。コークスはコークドラム中に堆積していくので、いっぱいになったコークドラムを系から切り離して堆積したコークスを切り出す。このようにして得られたコークスは、コークス燃料や加炭材、特殊炭素製品等の炭素材として使用することができる。
コークス燃料として使用する際は、切り出されたコークスをそのまま(生コークス)で使用しても構わない。一方、加炭材や特殊炭素製品として使用する際は、1000〜1500℃の高温仮焼処理を行なって生コークス中の揮発分を除去することが好ましい。
また、コークス転化率は、前記運転条件等により影響を受けるが、40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上である。尚、ここで、コークス転化率とは、原料重質油の360℃以上の留分の含有量(重量%)に対する石油コークス収率(重量%)の比率(%)とし、次式で求めた値である。
コークス転化率=石油コークス収率(重量%)/360℃以上の留分の含有量(重量%)×100
前記原料油を処理して得られる石油コークスの硫黄分は0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.02重量%以下であり、窒素分は0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.02重量%以下であり、また灰分は0.05重量%以下、好ましくは0.02重量%以下である。含有する不純物量は少ないほど好ましく、高純度石油コークスとして各種の用途に好適に用いることができる。
熱分解装置において得られる石油コークス中の硫黄分、窒素分、灰分が低いと、この石油コークスを燃料として使用した場合には、排ガスの後処理等の対応やそれにかかる費用を軽減することが可能である。また、加炭材や特殊炭素製品として使用する際も、不純物の混入によるさまざまな弊害や品質低下を回避できる。灰分が多ければ、ボイラーの加熱面に沈積して熱効率を低下させる原因となったり、金属腐食の原因となるため、灰分は低いほど好ましい。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこの実施例によってなんら制限されるものではない。
(実施例1)
オレフィン製造装置から得られるエチレンボトム油を、熱分解実験装置により反応圧0.25MPa、反応温度500℃の条件下で熱分解し、石油コークスを得た。コークス転化率は62%であった。その後、得られた石油コークスを1500℃で1時間高温仮焼処理を実施した。原料として用いたエチレンボトム油の物性及び組成成分を表1に示し、石油コークスの転化率、収率及び仮焼コークスに含まれる不純物含有量を表2に示す。
(比較例1)
熱分解の原料を表1に示す減圧蒸留装置から得られたアスファルトを用いた以外、実施例1と同様にして熱分解し、その後の高温仮焼処理も同様に実施して石油コークスを得た。コークス転化率は37%であった。実施例1と同様にコークス転化率、収率及び仮焼コークスに含まれる不純物含有量を表2に示す。
尚、実施例及び比較例において、原料油の物性、組成及びコークスの不純物は次の方法により測定した。原料油の性状に関して、蒸留性状はJIS K2254(ガスクロ法)、硫黄分はJIS K2541(放射線式励起法、紫外蛍光法)、窒素分はJIS K2609(化学発光法)、炭化水素油の密度はJIS K2249、アスファルトの密度はJIS K2207、炭化水素油の動粘度はJIS K2283、アスファルトの動粘度はJIS K2207に準拠して測定した。炭化水素成分組成はTLC(Thin Layer Chromatography)により測定した。TLC法はクロマトロッド(株式会社三菱化学ヤトロン社製、クロマロッド−SIII)に、試料をチャージし、まずノルマルヘキサンで展開させ、サチュレート分を分離した。次いでトルエンで展開してアロマ分を分離し、さらにジクロロメタン/メタノール(95:5)でレジン分を展開し、3つのブロックに分離した。その後、薄層自動検出装置(株式会社三菱化学ヤトロン社製、new MK−5)により3つのそれぞれのブロックを水素炎イオン化検出器で定量してサチュレート分、アロマ分、レジン分とした。
また、コークス中の不純物に関しては、硫黄分はJIS K2541(放射線式励起法)、窒素分はJIS M8813(セミミクロガス化法)、灰分はJIS M8812に準拠して行なった。

Claims (2)

  1. 石油精製における中間留分を熱分解することによりオレフィン類を製造するプロセスから副生する重質油を、温度400〜600℃、圧力0.01〜1.00MPaで熱分解して、硫黄分が0.1重量%以下、窒素分が0.1重量%以下、及び灰分が0.05重量%以下である石油コークスを製造することを特徴とする高純度石油コークスの製造方法。
  2. 重質油は、硫黄分が0.5重量%以下、窒素分が0.05重量%以下、及び灰分が0.05重量%以下である請求項1に記載の高純度石油コークスの製造方法。
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