JP2009144792A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】外方部材3のアウター側の端部にバックアップシール16が装着され、このバックアップシール13が、外方部材3の端部外周に圧入される円筒状の芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材15とからなると共に、シール部材15が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに摺接されたサイドリップ15bを有し、このサイドリップ15bの基部15aが芯金14のインナー側の端部を覆うように固着されているので、車輪取付フランジ6と外方部材3が近接した構造であっても、シール部材15のスペースを充分に確保することができ、サイドリップ15bの適切な接触圧を有する最適設計ができる。
【選択図】図3
【解決手段】外方部材3のアウター側の端部にバックアップシール16が装着され、このバックアップシール13が、外方部材3の端部外周に圧入される円筒状の芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材15とからなると共に、シール部材15が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに摺接されたサイドリップ15bを有し、このサイドリップ15bの基部15aが芯金14のインナー側の端部を覆うように固着されているので、車輪取付フランジ6と外方部材3が近接した構造であっても、シール部材15のスペースを充分に確保することができ、サイドリップ15bの適切な接触圧を有する最適設計ができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、密封性能の向上を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。この車輪用軸受装置には、所望の軸受剛性を有し、ミスアライメントに対しても耐久性を発揮すると共に、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。一方、オフロードカーやトラック等、車体重量が嵩む車両には複列円錐ころ軸受が使用されている。
これらの車輪用軸受装置は、泥水等がかかり易い部位に配置されるため、シール装置が装着され、外方部材と内方部材との間を密封するように構成されている。一般的に、シール装置は、シールリップを備えたシール部材が固定側部材となる外方部材に装着され、シールリップが内方部材の外周面に摺接されている。特に、オフロードカーやピックアップトラック等のように、劣悪な環境で運転される車両においては、密封性をさらに向上させるための手段が種々講じられている。
こうした密封性を向上させた車輪用軸受装置を本出願人は提案している。この車輪用軸受装置は、図8に示すように、ハブ輪51と車輪用軸受52とからなり、車輪用軸受52は、外方部材53と、複列の円錐ころ54、54を介して内嵌された一対の内輪55、55とを備えている。
ハブ輪51は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ56を一体に有し、この車輪取付フランジ56から軸方向に延びる小径段部51aが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)51bが形成されている。車輪取付フランジ56にはハブボルト56aが周方向等配に植設されている。
車輪用軸受52は、ハブ輪51の小径段部51aに所定のシメシロを介して圧入され、小径段部51aの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cによってハブ輪51に対して軸方向に固定されている。
車輪用軸受52の外方部材53は、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ53bを一体に有し、内周にそれぞれ外向きに開いたテーパ状の複列の外側転走面53a、53aが一体に形成されている。
一方、内輪55の外周には、前記複列の外側転走面53a、53aに対向するテーパ状の内側転走面55aと、この内側転走面55aの大径側に円錐ころ54を案内する大鍔55b、および小径側に円錐ころ54の脱落を防止するための小鍔55cがそれぞれ形成されている。そして、外方部材53と一対の内輪55、55の両転走面間に複列の円錐ころ54、54が収容され、保持器57、57によって転動自在に保持されている。また、外方部材53と内輪55との間に形成される環状空間の開口部にはシール58、58が装着されている。これらのシール58、58によって、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
シール58は、図9に拡大して示すように、断面が略L字状をなして互いに対向配置された環状のシール板59とスリンガ60とからなる、所謂パックシールを構成している。シール板59は、断面が略L字状に形成され、外方部材53の端部内周に圧入された芯金61と、この芯金61に一体に加硫接着されたシール部材62とからなる。
一方、スリンガ60は断面が略L字状に形成され、内輪55の大鍔55bに圧入される円筒部60aと、この円筒部60aから径方向外方に延びる立板部60bとからなる。そして、シール部材62に一体に形成された一対のサイドリップ62a、62bがこのスリンガ60の立板部60bに摺接すると共に、円筒部60aにはラジアルリップ62cが摺接している。
さらに、外方部材53の端部外周にバックアップシール63が圧入されている。このバックアップシール63は、断面が略L字状に形成された芯金64と、この芯金64に一体に加硫接着されたシール部材65とからなる。一方、シール部材65は、芯金64の外縁に固着された基部65aと、この基部65aから径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップ65bとからなる。
このサイドリップ65bは、車輪取付フランジ56のインナー側の側面56cに固定ボルト67によって固定された金属環66に摺接され、雨水やダスト等が前記シール58に直接侵入するのを防止している。したがって、ハブ輪51と車輪用軸受52との間の狭い環状空間に泥水等が滞留し、車輪取付フランジ56の基部56bが発錆して耐久強度が低下するのを抑制することができる。
特開2007−132454号公報
然しながら、こうした従来の車輪用軸受装置では、車輪取付フランジ56と外方部材53の端部とが近接した構造の場合、バックアップシール63のスペースを充分に確保することが難しくなり、サイドリップ65bの長さを短くせざるを得ない。これでは、適切な接触圧を有する最適設計は難しく、また、リップ摩耗によってシメシロが変動して密封性が低下する恐れがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材のアウター側の端部にバックアップシールが装着され、このバックアップシールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部を有する芯金と、この芯金に一体に加硫接着されたシール部材とからなると共に、当該シール部材が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて前記車輪取付フランジのインナー側の側面に摺接されたサイドリップを有し、このサイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部に固着されている。
このように、外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールを備えた車輪用軸受装置において、外方部材のアウター側の端部にバックアップシールが装着され、このバックアップシールが、外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部を有する芯金と、この芯金に一体に加硫接着されたシール部材とからなると共に、当該シール部材が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて車輪取付フランジのインナー側の側面に摺接されたサイドリップを有し、このサイドリップの基部が芯金のインナー側の端部に固着されているので、車輪取付フランジと外方部材の端部とが近接した構造であっても、シール部材のスペースを充分に確保することができ、サイドリップの適切な接触圧を有する最適設計ができる。すなわち、サイドリップに適切な剛性を持たせ、リップ摩耗によってシメシロが変動して密封性が低下するのを防止することができると共に、密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記芯金が、前記嵌合部のインナー側の端部から径方向外方に折曲された凸部を有していれば、芯金の剛性が高くなり、バックアップシールの抜け耐力が増大して信頼性が向上すると共に、サイドリップの接触圧を維持することができ、長期間に亘って所望の密封性を確保することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記芯金が、前記嵌合部のアウター側の端部から径方向内方に延び、前記外方部材の端面に密着する鍔部を有していれば、芯金の剛性が一層高くなり、バックアップシールの抜け耐力が一層増大して信頼性が向上すると共に、シール圧入治具の当接面積が増大し、圧入性と位置決め精度が向上する。
好ましくは、請求項4に記載の発明のように、前記シールのうちアウター側のシールが、断面が略L字状をなして互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなると共に、前記芯金の鍔部の内径が前記スリンガの外径よりも小径に設定され、前記シールとの間にラビリンスシールが構成されていれば、バックアップシールから泥水等が浸入してもシールの密封性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記サイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部を覆うように固着されていれば、芯金の表面が外部に露出することがなく、高価なオーステナイト系ステンレス鋼鈑等から比較的廉価な冷間圧延鋼鈑に変更することができるため低コスト化を図ることができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記車輪取付フランジのインナー側の側面に密着して防錆能を有する金属環が装着され、この金属環に前記バックアップシールのサイドリップが摺接されていれば、ハブ輪と車輪用軸受との間の狭い環状空間に泥水等が滞留して車輪取付フランジの側面が発錆しても、リップ摺接面の発錆を防止することができ、長期間に亘ってリップ摩耗を防止して密封性を向上させることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材のアウター側の端部にバックアップシールが装着され、このバックアップシールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部を有する芯金と、この芯金に一体に加硫接着されたシール部材とからなると共に、当該シール部材が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて前記車輪取付フランジのインナー側の側面に摺接されたサイドリップを有し、このサイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部に固着されているので、車輪取付フランジと外方部材の端部とが近接した構造であっても、シール部材のスペースを充分に確保することができ、サイドリップの適切な接触圧を有する最適設計ができる。すなわち、サイドリップに適切な剛性を持たせ、リップ摩耗によってシメシロが変動して密封性が低下するのを防止することができると共に、密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することができる。
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪と、このハブ輪の小径段部に圧入された車輪用軸受とからなり、この車輪用軸受が、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内輪とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって軸方向に固定されている車輪用軸受装置において、前記外方部材のアウター側の端部にバックアップシールが装着され、このバックアップシールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部を有する芯金と、この芯金に一体に加硫接着されたシール部材とからなると共に、当該シール部材が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて前記車輪取付フランジのインナー側の側面に摺接されたサイドリップを有し、このサイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部を覆うように固着されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図、図3は、図2の変形例を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図、図3は、図2の変形例を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は第2世代と呼称される駆動輪用であって、ハブ輪1と車輪用軸受2とからなり、車輪用軸受2は、外方部材3と、複列の転動体(円錐ころ)4、4を介して内嵌された一対の内輪5、5とを備えている。
ハブ輪1は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6から軸方向に延びる小径段部1aが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1bが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト6aが周方向等配に植設されている。車輪用軸受2は、ハブ輪1の小径段部1aに所定のシメシロを介して圧入され、小径段部1aの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cによってハブ輪1に対して軸方向に固定されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ6のインナー側に円弧状に形成された基部6bから肩部1dを介して小径段部1aに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5、5の嵌合部となる小径段部1aの耐フレッティング性が向上する。
車輪用軸受2の外方部材3は、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ3bを一体に有し、内周にそれぞれ外向きに開いたテーパ状の複列の外側転走面3a、3aが一体に形成されている。この外方部材3はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、複列の外側転走面3a、3aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
一方、内輪5の外周には、前記複列の外側転走面3a、3aに対向するテーパ状の内側転走面5aと、この内側転走面5aの大径側に転動体4を案内する大鍔5b、および小径側に転動体4の脱落を防止するための小鍔5cがそれぞれ形成されている。内輪5および転動体4はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、外方部材3と一対の内輪5、5の両転走面間に複列の転動体4、4が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。この車輪用軸受2は、ハブ輪1の肩部1dに当接され、内輪5の小鍔5cがそれぞれ突合せ状態で衝合する、所謂背面合せタイプの複列円錐ころ軸受からなる。
また、外方部材3と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、8が装着されている。これらのシール8、8によって、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。このシール8は、図2に拡大して示すように、断面が略L字状をなして互いに対向配置された環状のシール板9とスリンガ10とからなるパックシールを構成している。シール板9は、外方部材3の端部内周に圧入される芯金11と、この芯金11に一体に加硫接着されたシール部材12とからなる。芯金11は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。
一方、スリンガ10は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪5の外径に圧入される円筒部10aと、この円筒部10aから径方向外方に延びる立板部10bとからなる。そして、シール部材12に一体に形成された一対のサイドリップ12a、12bがこのスリンガ10の立板部10bに摺接すると共に、円筒部10aにはラジアルリップ12cが摺接している。
さらに、本実施形態では、外方部材3の端部外周にバックアップシール13が圧入されている。このバックアップシール13は、円筒状の芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材15とからなる。芯金14は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて円筒状に形成されている。一方、シール部材15は、芯金14のインナー側の端部に固着された基部15aと、この基部15aから径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップ15bとからなる。このサイドリップ15bは、車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに摺接され、雨水やダスト等が前記シール8に直接侵入するのを防止している。
本実施形態では、こうした構成のバックアップシール13を採用することにより、車輪取付フランジ6と外方部材3の端部とが近接した構造であっても、シール部材15のスペースを充分に確保することができ、サイドリップ15bの適切な接触圧を有する最適設計ができる。すなわち、サイドリップ15bに適切な剛性を持たせ、リップ摩耗によってシメシロが変動して密封性が低下するのを防止することができると共に、密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することができる。
なお、ここでは、駆動輪側の第2世代構造を例示したが、本発明に係る車輪用軸受装置はこれに限らず、外方部材3の外周に車体取付フランジ3bを有していれば良く、第3または第4世代構造であっても良い。また、従動輪側であっても良い。さらに、本実施形態では、転動体4に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受を例示したが、これに限らず、転動体4にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受であっても良い。
図3に、図2のバックアップシール13の変形例を示す。このバックアップシール16は、芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材17とからなる。このシール部材17の基部17aは、芯金14のインナー側の端部を覆うように固着されている。これにより、芯金14の表面が外部に露出することがなく、高価なオーステナイト系ステンレス鋼鈑等から比較的廉価な冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)に変更することができるため低コスト化を図ることができる。
図4は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す要部拡大図である。この実施形態は、基本的には前述した実施形態とバックアップシールの芯金の構成が一部異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、外方部材3の端部外周に圧入されたバックアップシール18は、芯金19と、この芯金19に一体に加硫接着されたシール部材20とからなる。芯金19は、冷間圧延鋼鈑からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材3の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部19aと、この嵌合部19aのインナー側の端部から径方向外方に折曲された凸部19bとを有している。
一方、シール部材20は、芯金19の凸部19bを覆うように固着された基部20aと、この基部20aから径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップ15bとからなる。こうした構成により芯金19の剛性が高くなり、バックアップシール18の抜け耐力が増大して信頼性が向上すると共に、サイドリップ15bの接触圧を維持することができ、長期間に亘って所望の密封性を確保することができる。
図5は、本発明に係る車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す要部拡大図である。この実施形態は、基本的には前述した第2の実施形態とバックアップシールの芯金の構成が一部異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、外方部材3の端部外周に圧入されたバックアップシール21は、芯金22と、この芯金22に一体に加硫接着されたシール部材20とからなる。芯金22は、冷間圧延鋼鈑からプレス加工にて断面が略Z字状に形成され、外方部材3の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部19aと、この嵌合部19aのインナー側の端部から径方向外方に折曲された凸部19b、および嵌合部19aのアウター側の端部から径方向内方に延び、外方部材3の端面3cに密着する鍔部22aを有している。こうした構成により芯金19の剛性が一層高くなり、バックアップシール21の抜け耐力が一層増大して信頼性が向上すると共に、シール圧入治具の当接面積が増大し、圧入性と位置決め精度が向上する。
図6に、図5のバックアップシール21の変形例を示す。このバックアップシール23は、芯金24と、この芯金24に一体に加硫接着されたシール部材20とからなる。芯金24は、冷間圧延鋼鈑からプレス加工にて断面が略Z字状に形成され、外方部材3の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部19aと、この嵌合部19aのインナー側の端部から径方向外方に折曲された凸部19b、および嵌合部19aのアウター側の端部から径方向内方に延び、外方部材3の端面3cに密着する鍔部24aを有している。この鍔部24aの内径は、前述したスリンガ10の外径よりも小径に設定され、シール8との間にラビリンスシールを構成している。これにより、バックアップシール23から泥水等が浸入してもシール8の密封性を向上させることができる。
図7は、本発明に係る車輪用軸受装置の第4の実施形態を示す要部拡大図である。この実施形態は、基本的には前述した第3の実施形態(図5)とリップ摺接部の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに密着して金属環25が装着されている。そして、バックアップシール21のサイドリップ15bがこの金属環25に所定の接触圧で摺接されている。この金属環25は、防錆能を有する鋼板、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成され、固定ボルト(図示せず)によって車輪取付フランジ6に締結されている。なお、金属環25は、車輪取付フランジ6の側面6cとの密着性を高めるために、図示しないパッキンを介して締結されるのが好ましい。
こうした構成により、ハブ輪1と車輪用軸受2との間の狭い環状空間に泥水等が滞留して車輪取付フランジ6の側面6cが発錆しても、リップ摺接面の発錆を防止することができ、長期間に亘ってリップ摩耗を防止して密封性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、駆動輪用、従動輪用に拘わらず、第2乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1b・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
1c・・・・・・・・・・・・・・・加締部
1d・・・・・・・・・・・・・・・肩部
2・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
3a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
3b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
3c・・・・・・・・・・・・・・・外方部材の端面
4・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
5a・・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
5b・・・・・・・・・・・・・・・大鍔
5c・・・・・・・・・・・・・・・小鍔
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
6b、15a、20a・・・・・・・基部
6c・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジのインナー側の側面
7・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・シール
9・・・・・・・・・・・・・・・・シール板
10・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
10a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
10b・・・・・・・・・・・・・・立板部
11、14、19、22、24・・・芯金
12、15、17、20・・・・・・シール部材
12a、12b、15b・・・・・・サイドリップ
12c、20b・・・・・・・・・・ラジアルリップ
13、16、18、21、23・・・バックアップシール
19a・・・・・・・・・・・・・・嵌合部
19b・・・・・・・・・・・・・・凸部
22a、24a・・・・・・・・・・鍔部
25・・・・・・・・・・・・・・・金属環
51・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51a・・・・・・・・・・・・・・小径段部
51b・・・・・・・・・・・・・・セレーション
51c・・・・・・・・・・・・・・加締部
52・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
53・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
53b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・・円錐ころ
55・・・・・・・・・・・・・・・内輪
55a・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・大鍔
55c・・・・・・・・・・・・・・小鍔
56・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
56a・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
56b、65a・・・・・・・・・・基部
56c・・・・・・・・・・・・・・インナー側の側面
57・・・・・・・・・・・・・・・保持器
58・・・・・・・・・・・・・・・シール
59・・・・・・・・・・・・・・・シール板
60・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
60a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
60b・・・・・・・・・・・・・・立板部
61、64・・・・・・・・・・・・芯金
62、65・・・・・・・・・・・・シール部材
62a、62b、65b・・・・・・サイドリップ
62c・・・・・・・・・・・・・・ラジアルリップ
63・・・・・・・・・・・・・・・バックアップシール
66・・・・・・・・・・・・・・・金属環
67・・・・・・・・・・・・・・・固定ボルト
1a・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1b・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
1c・・・・・・・・・・・・・・・加締部
1d・・・・・・・・・・・・・・・肩部
2・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
3a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
3b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
3c・・・・・・・・・・・・・・・外方部材の端面
4・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
5a・・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
5b・・・・・・・・・・・・・・・大鍔
5c・・・・・・・・・・・・・・・小鍔
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
6b、15a、20a・・・・・・・基部
6c・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジのインナー側の側面
7・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・シール
9・・・・・・・・・・・・・・・・シール板
10・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
10a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
10b・・・・・・・・・・・・・・立板部
11、14、19、22、24・・・芯金
12、15、17、20・・・・・・シール部材
12a、12b、15b・・・・・・サイドリップ
12c、20b・・・・・・・・・・ラジアルリップ
13、16、18、21、23・・・バックアップシール
19a・・・・・・・・・・・・・・嵌合部
19b・・・・・・・・・・・・・・凸部
22a、24a・・・・・・・・・・鍔部
25・・・・・・・・・・・・・・・金属環
51・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51a・・・・・・・・・・・・・・小径段部
51b・・・・・・・・・・・・・・セレーション
51c・・・・・・・・・・・・・・加締部
52・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
53・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
53b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・・円錐ころ
55・・・・・・・・・・・・・・・内輪
55a・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・大鍔
55c・・・・・・・・・・・・・・小鍔
56・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
56a・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
56b、65a・・・・・・・・・・基部
56c・・・・・・・・・・・・・・インナー側の側面
57・・・・・・・・・・・・・・・保持器
58・・・・・・・・・・・・・・・シール
59・・・・・・・・・・・・・・・シール板
60・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
60a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
60b・・・・・・・・・・・・・・立板部
61、64・・・・・・・・・・・・芯金
62、65・・・・・・・・・・・・シール部材
62a、62b、65b・・・・・・サイドリップ
62c・・・・・・・・・・・・・・ラジアルリップ
63・・・・・・・・・・・・・・・バックアップシール
66・・・・・・・・・・・・・・・金属環
67・・・・・・・・・・・・・・・固定ボルト
Claims (6)
- 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
前記外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
前記外方部材のアウター側の端部にバックアップシールが装着され、このバックアップシールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部を有する芯金と、この芯金に一体に加硫接着されたシール部材とからなると共に、当該シール部材が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されて前記車輪取付フランジのインナー側の側面に摺接されたサイドリップを有し、このサイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部に固着されていることを特徴とする車輪用軸受装置。 - 前記芯金が、前記嵌合部のインナー側の端部から径方向外方に折曲された凸部を有している請求項1に記載の車輪用軸受装置。
- 前記芯金が、前記嵌合部のアウター側の端部から径方向内方に延び、前記外方部材の端面に密着する鍔部を有している請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
- 前記シールのうちアウター側のシールが、断面が略L字状をなして互いに対向配置された環状のシール板とスリンガとからなると共に、前記芯金の鍔部の内径が前記スリンガの外径よりも小径に設定され、前記シールとの間にラビリンスシールが構成されている請求項3に記載の車輪用軸受装置。
- 前記サイドリップの基部が前記芯金のインナー側の端部を覆うように固着されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
- 前記車輪取付フランジのインナー側の側面に密着して防錆能を有する金属環が装着され、この金属環に前記バックアップシールのサイドリップが摺接されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
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- 2007-12-13 JP JP2007321545A patent/JP2009144792A/ja active Pending
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