JP2009170509A - ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマ処理中のウエハ面内に直流的な電位差が発生することを防止し、半導体デバイスにダメージを発生させることなくウエハ温度を応答性よく制御しながらプラズマ処理することができるヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置において、ヒータ内蔵静電チャックの構造を、バイアス電圧を印加する導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、2系統のヒータの面積を略同一とし、それぞれのヒータを2個の静電チャック電極の下側にそれぞれ配置させ、ヒータへの給電はローパスフィルタを介して同軸ケーブルにて行う。
【選択図】図1
【解決手段】ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置において、ヒータ内蔵静電チャックの構造を、バイアス電圧を印加する導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、2系統のヒータの面積を略同一とし、それぞれのヒータを2個の静電チャック電極の下側にそれぞれ配置させ、ヒータへの給電はローパスフィルタを介して同軸ケーブルにて行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体ウエハのプラズマ処理装置に係り、特に、ヒータを内蔵した静電チャックで半導体ウエハを保持して処理する方式のプラズマ処理装置に関する。
半導体ウエハに加工される回路パターンは、半導体素子の高集積化にともない微細化の一途を辿り、要求される加工寸法精度はますます厳しくなってきている。このような状況では、加工処理中のウエハ(半導体ウエハ)の温度管理が極めて重要である。
例えば、プラズマを用いてウエハをエッチングする場合には、通常、ウエハに高周波電圧を印加し、ウエハにバイアス電圧を発生させ、これにより生じた電界でイオンを加速してウエハに引き込むことにより所望の異方性形状を実現している。このときウエハには入熱を伴うため、温度が上昇する。
このウエハ温度の上昇は、エッチング結果に影響する。例えば、半導体デバイスの電極となるポリシリコンのエッチングでは、最終的に得られる線幅はエッチング中の側壁に付着する反応性生物の再付着が大きく影響するが、この反応性生物の付着率はウエハ温度により変化する。したがって、処理中のウエハの温度管理ができていないと、再現性のわるいエッチング結果となってしまう。しかも、反応生成物の分布は、ウエハの中心付近にくらべて外周付近で密度が低い傾向がある。そのために、ウエハ面内で均一な線幅(CD)を得るためには、積極的にウエハの温度分布を管理する必要がある。
また、ウエハ上の反応性生物の密度分布や付着率は、加工すべき膜の膜質やエッチング条件によっても変化する。したがって、反射防止膜とポリシリコンを連続処理するときのように、一つの処理中にエッチング条件が変化する場合には、膜質やエッチング条件に応じて最適な温度分布は変化する。
そこで、プラズマ処理中のウエハの温度分布を積極的に管理するために、ヒータを内蔵し、このヒータに投入する電力を調節することによりウエハ温度を応答性よく加熱、冷却可能な静電チャックが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、非特許文献1には、トランジスタのゲート酸化膜にかかる電圧とリーク電流の関係が示されている。すなわち、非特許文献1にゲート酸化膜に8MV/cm以上の強度の電界が作用すると急激にリーク電流が増加すること、すなわちゲート酸化膜が絶縁破壊することが開示されている。
上記特許文献1の従来技術は、ヒータ内蔵の静電チャックの構造については開示があるものの、実際のプラズマエッチング装置に適用する場合に注意しなければならない点である給電方法等については十分考慮されていない。例えば、ヒータ内蔵静電チャックをプラズマ処理装置に適用した場合に、新たに発生しうる課題、すなわちダメージ対策についてはなんら配慮がされていない。
例えば、双極型静電チャックにおいて、静電チャック電極の下に複数のヒータが配置される場合において、所望の温度分布となるようにヒータのパターンを調節するために各ヒータは必ずしも同一面積とはならない。同一面積でない場合はヒータと静電チャック電極静電容量は同一ではない。我々の研究によれば、このような条件で、基材に高周波電圧を印加すると、ヒータに印加された高周波電圧がヒータ電源に接続された同軸ケーブルの静電容量を介してアースに漏洩し、しかも、ヒータと静電チャック電極静電容量が異なり漏洩の程度も内、外で異なる。その結果、静電チャックの表面に発生する電圧に差が発生する。この電極表面で発生した電圧差はシリコンウエハで緩和されつつも、ウエハ表面でも電位差が発生する。このとき、ウエハ上に作りこまれたトランジスタのゲート電極に電圧がかかり、耐圧以上の電圧が作用するとウエハ上の半導体デバイスがダメージを受けることになる。
本発明の目的は、半導体デバイスにダメージを発生させることなくウエハ温度を応答性よく制御しながらプラズマ処理することができるヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置を提供することである。
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。即ち、本発明のプラズマ処理装置は、処理室内に設置され試料を保持し得る試料台と、前記処理室内にプラズマを発生させるプラズマ生成手段と、前記試料台に配設された静電チャック電極及びヒータと、前記試料台に接続されたイオンエネルギー制御用のバイアス電源と、前記処理室を減圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装置において、前記ヒータは通電経路を介してヒータ用の電源に接続されており、前記高周波の電力が、前記ヒータの通電経路に流れ込むことを抑止する抑止手段を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、半導体デバイスにダメージを発生させることなくウエハ温度を応答性よく制御しながらプラズマ処理することができるので、半導体デバイスの製造コストが低く生産性の高いプラズマ処理装置を提供することができる。
我々は、静電チャックにバイアス電圧を印加しながら処理する場合に、ヒータに電力を供給する給電ケーブルを介して高周波電圧が漏洩するためにウエハ上に直流的な電圧差が生じ、デバイス中に作りこまれたゲート絶縁膜に電流が流れ、ダメージが発生する場合があることを新たに見出した。
このダメージの発生メカニズムについて、図17(図17A,図17B)を用いて詳しく説明する。図17Aは、メカニズムをわかりやすく説明するために、以下に述べる本発明の実施例の構造である、ヒータの上に静電チャック電極を配置した構造とは異なり、ヒータと静電チャック電極を同一高さに配置した場合を用いて説明する。しかし、基本的なメカニズムには変わりはない。なお、図17Aには直流電源、高周波電源、ヒータ電源からウエハまでに存在する静電容量、コイル成分、抵抗の等価回路モデルを重ねて表示している。図17A中の素子Aは静電チャック内部電極上に位置するウエハ上に作りこまれた素子であり、素子Bはヒータ上に位置するウエハ上に作りこまれた素子である。図17Bは、図17Aの等価回路モデルにおける、エッチング処理時に素子Aと素子Bにかかる高周波電圧の状況を示している図である。
バイアス電圧印加用に基材に印加された高周波電力は、素子Aに関しては、基材−静電チャック用内部電極、静電チャック用内部電極−ウエハ間の静電容量C31,C34でカップリングされてウエハ上に印加される。また、素子Bに関しては、基材−ヒータ、ヒータ−ウエハ間の静電容量C32,C35でカップリングされてウエハ上に印加される。この際、静電チャック内部電極に印加された高周波電力の一部は、直流電源に接続されたケーブルの浮遊容量C36を介して漏洩する。また、ヒータに印加された高周波電力の一部は、ヒータ電源に接続されたケーブルの浮遊容量C37を介して漏洩する。また、プラズマ発生のために真空処理室内に供給、印加される電磁波、すなわち、マイクロ波、UHF、RF等のプラズマ発生手段の高周波電力に関しても、同様に、その一部が、ヒータ電源に接続されたケーブルの浮遊容量C37を介して漏洩する。
したがって、基材に印加される高周波電力がウエハに印加される場合には、もともと基材に印加した電圧から降下することになるが、基材からウエハまでの静電容量によるカップリングの状況と、静電チャック内部電極とヒータから各電源までのケーブルからの漏洩の状況が異なると、素子Aと素子Bにかかる高周波電圧に差が生じる。その結果、素子Aに発生する直流バイアス電圧と素子Bに発生する直流バイアス電圧に差が生じる。
その結果、例えば図17の場合には、素子Bから素子Aに向かってリーク電流が発生し、素子に作りこまれているゲート酸化膜に耐圧劣化、すなわちダメージが生じる。この、発明者らにより新たに見出されたヒータ内蔵静電チャックに起因して発生しうるダメージは、従来指摘されていたウエハ上のプラズマ分布の不均一に起因してウエハ上に発生する直流的な電位差に起因するダメージとはメカニズムが異なるため、このダメージを防止するための新たな構成を検討する必要があった。
ダメージの発生メカニズムが明らかになったとことで、このダメージを防止するためには基材から素子Aと素子Bまでの等価的な電気回路を同一にするか、もしくはダメージが発生しない程度までに同一に近づければよいことが判明した。
本発明は、プラズマ処理中のウエハ面内に直流的な電位差が発生することを防止し、半導体デバイスにダメージを発生させることなくウエハ温度を応答性よく制御しながらプラズマ処理することができるヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置を提供するものである。
半導体デバイスへのダメージを防止するための手段は、ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置において、ヒータ内蔵静電チャックの構造を、バイアスやプラズマ発生のために高周波電力が印加される導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、少なくとも2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、ウエハに対し2系統のヒータがそれぞれのチャック用電極に完全に隠れるように配置することにより実現される。
このダメージを防止するための手段は、ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置において、ヒータ内蔵静電チャックの構造を、高周波電力が印加される導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、2系統のヒータの面積を略同一とし、それぞれのヒータを2個の静電チャック電極の下側にそれぞれ配置させ、ヒータへの給電はローパスフィルタを介して同軸ケーブルにて行うことによっても実現される。
また、このダメージを防止するための手段は、すくなくとも2系統以上のヒータを内蔵した静電チャックの場合には、高周波電力が印加される導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、少なくとも2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、各ヒータへの給電はローパスフィルタを介して同軸ケーブルに行い、複数個のヒータの少なくとも1系統は可変コンデンサを介してアースに接続することによっても実現される。
また上記ダメージを防止するための手段は、ヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置において、ヒータ内蔵静電チャックの構造を、高周波電力が印加される導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、少なくとも2系統のヒータ、絶縁材、単極の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、ウエハに対しヒータが静電チャック電極の下側に隠れるように配置させることによっても実現される。
また上記ダメージを防止するための手段は、すくなくとも2系統以上のヒータを内蔵した静電チャックの場合には、高周波電力が印加される導電性の基材の上に、下から順に絶縁材、少なくとも2系統のヒータ、絶縁材、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極、誘電体膜、の積層構造とし、各ヒータへの給電はローパスフィルタを介して静電容量が略100pF/m以下の同軸ケーブルで行い、ヒータとローパスフィルタの距離をバイアス周波数に応じて適正化することによっても実現される。
以下、図を参照しつつ、本発明の実施例を詳細に説明する。
以下、図を参照しつつ、本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明の第一の実施例として、有磁場マイクロ波プラズマ処理装置に本発明を適用した例を、図1〜図5で説明する。図1は、本発明の実施例のいわゆる双極型静電チャックの模式的な断面図と模式的な電気回路の図である。図2Aは、本実施例のヒータパターンの一例を示す図である。図2Bは、本実施例の静電チャックのパターンの一例を示す図である。図3は、本実施例の有磁場マイクロ波プラズマ処理装置の模式的な断面図である。
本実施例の双極型静電チャックを備えたプラズマ処理装置では、略同一の面積を有する2個のチャック用電極の下に、略同一の面積を有する2系統のヒータをそれぞれ一系統ずつチャック用電極に完全に隠れるように設け、それぞれの静電チャック用電極上に載置されるウエハ上の素子Aと素子Bに電位差が発生しないようにしている。
本実施例のプラズマ処理装置の試料台は、図1に示すように、ヒータを内蔵した双極型の静電チャック8を備えている。すなわち、導電性の基材2の上に、下から順に絶縁材(誘電体膜)28、2系統のヒータ20,22、絶縁材(誘電体膜)28、略同一の面積を有する2個の静電チャック電極(内側静電チャック電極24、外側静電チャック電極25)、誘電体膜(誘電体膜)28の積層構造が形成されている。そして、図2(図2A,図2B)に示すように、内側静電チャック電極24、外側静電チャック電極25は実質的に同一の面積を有し、それらの下に、実質的に同一の面積を有する内ヒータ20及び外ヒータ22の2系統のヒータがそれぞれ配置されている。なお、図1において、10は導電性の基材2に接続された高周波電源、11は2個の静電チャック電極24、25にフィルタ27及び同軸ケーブル36及37を介して接続された直流電源である。38はヒータ電源であり、フィルタ17及び40を介して内ヒータ20及び外ヒータ22に接続されている。なお、フィルタ17及びフィルタ27は真空処理室1の外に配置される。30は給電貫通穴、31は冷媒溝、33はヒータの給電端子の接続部である。
次に、図3を用い本実施例の有磁場マイクロ波プラズマ処理装置の構成及び作用を説明する。被処理ウエハ9は真空処理室1内の試料台80に設けられた静電チャック8を用いて固定される。真空チャンバ3上部に石英窓14が設置されており、マイクロ波発振器19で発生したマイクロ波5が導波管4を通って真空処理室1内に導入される。真空処理室1内に導入された処理ガス13は、このマイクロ波5と真空チャンバ3の周りに取り付けられたコイル6で生成される磁場との相互作用によりプラズマ7状態となっている。このプラズマにウエハがさらされることにより処理(ここではエッチング処理)が行われる。コンデンサ18を介して導電性の基材2に接続されたイオンエネルギー制御用の高周波電源10が、基材2へのイオンの入射を制御してエッチング状態を制御する。高周波電源10の周波数は例えば400KHzである。
12は真空ポンプであり、バルブ15の開度調節により処理室1内の圧力を一定に保っている。本実施例では、静電チャック内にヒータ(内ヒータ20及び外ヒータ22)を内蔵しており、このヒータへの電力供給はヒータ電源38にて行う。
このヒータ電源38は、フィルタ17を介して同軸ケーブル29と同軸ケーブル40により真空チャンバに取り付けられたBNCタイプの電流導入端子54に接続されている。フィルタ17は、マイクロ波とバイアス電源により静電チャックに印加された400KHzの高周波電圧がヒータ電源に印加されることを防止するためのものである。静電チャック8の裏面と電流端子の真空チャンバ内側の端子54は、同軸ケーブル53で接続してある。
次に、本発明の実施例になる静電チャックの構造と製造方法について説明する。まず、内部に冷媒を循環させるための冷媒溝31が形成されたチタン製の基材2を準備する。この基材の中心には最終的にウエハ裏面に冷却ガスとなるヘリウムガスを導入するためのヘリウム貫通穴16と、ヒータ電極と静電チャック電極に給電するための給電貫通穴30が設けてある。これらの貫通穴には電気絶縁のためにセラミックスパイプ23が挿入されており、基材とはエポキシ系またはシリコン系の接着剤で固定されている。また、図2に示すようにウエハを静電チャックから着脱するための搬送用プッシャピン用の貫通穴32も3個設けてある。
次に、基材2の上にヒータを基材から電気絶縁するために、高抵抗アルミナ39を均一に溶射し、表面を研磨して厚みを整える。この絶縁層の厚みは、高抵抗アルミナの耐電圧と溶射での製作安定性により決定される。すなわち、基材とヒータ間にかかりうる電圧以上の耐圧を確保しつつ、熱特性が悪化しないように極力薄くするのがよい。ヒータにかかる電圧は直流・交流いずれの場合であっても高々100V程度であるが、本発明により実現できる実質的な最高温度の200℃であっても100μmの厚みで1KV以上の耐電圧が確保可能である。ところが、溶射膜を形成しその後研磨する場合に、安定して製作可能な膜厚は100μm−150μmである。そこで、本実施例では膜厚を150μmとした。
次に、タングステンの内ヒータ20、外ヒータ22を溶射で2系統形成する。ヒータの厚みにムラがあると発熱量にムラが発生してしまうので、研磨して厚みを整える。ヒータの厚みも絶縁層と同様に溶射膜の製作安定性の観点から100μmから200μm程度であることが望ましく、本実施例では150μmとした。この2系統のヒータのパターンの一例は図2Aに示した通りである。それぞれの系統の内側のヒータは3ターン、外側のヒータは2ターンである。33はヒータの給電端子の接続部であり、セラミックスパイプに埋設された電気プラグ34と接続している。
次に、ヒータと静電チャック電極を絶縁するための高抵抗アルミナ35を溶射し、表面を研磨して厚みを整える。この絶縁層の厚みは高抵抗アルミナの耐電圧により決定される。すなわち、基材とヒータ間にかかりうる電圧以上の耐圧を確保しつつ、熱特性が悪化しないものである必要がある。ヒータにかかる電圧は直流・交流いずれのばあいであっても高々100V程度であるが、もし後述する静電チャック電極が絶縁破壊した場合には静電チャックの電圧がかかる可能性があり、この電圧に耐えるものでなくてはならない。静電チャック電極に印加する電圧としては、吸着力を発生する後述の誘電体膜の抵抗に依存するが、比較的高いいわゆるクーロン方式の場合で最大3KVと考えてよい。アルミナの耐電圧は温度にも依存するが、本発明により実現できる実質的な最高温度の200℃での耐電圧を実際に調べたところ100μmあたり最低750Vであり、室温では100μmあたり2KVであった。したがって、後述する誘電体膜の抵抗率が比較的低いいわゆるジョンソンラーベック方式で使用される±1.5KVの電圧では200μmの絶縁層厚みが必要で、抵抗率が高いクーロン方式で使用される±3KVの電圧では500μmの厚みが必要である。したがって、通常この絶縁層の厚みは200μmから500μmであり、本実施例では絶縁層の厚みを350μmとした。
次に、タングステン製の同心円リング状の2個の静電チャック電極、すなわち内側静電チャック電極24、外側静電チャック電極25を溶射で形成し、表面を研磨して厚みを整える。この静電チャック電極の厚みは薄いほど熱特性が悪化させることがないので有利である。内側静電チャック電極と外側静電チャック電極間の距離は、例えば2mmである。この距離は、小さいほど吸着力が有効に作用する面積を大きく確保することができるので有利であるが、2個の電極間の耐電圧を考慮すると通常は2から3mmとするのが一般的である。
一方、製作の安定性という観点でも、電圧が印加されさえすればよく、溶射膜の粒界径が20μmから50μmであることから判断すると40μmから100μmあればよく、本実施例では溶射膜の膜厚を50μmとした。
それぞれの静電チャック電極は独立に電圧を印加することができ、いわゆる双極型静電チャックとして動作する。本実施例では内側電極にプラス電圧、外側電極にマイナス電圧を印加するものとする。ただし、極性は逆であっても問題はない。貫通穴に埋設された電気プラグと電気的に接続されている。
最後に、静電チャックの吸着膜として動作する高抵抗アルミナの誘電体膜28を溶射により形成し、表面を研磨して厚みを整える。この吸着膜の厚みは、確保しなければならない吸着力の大きさと、この吸着力を発生させるために印加する必要のある電圧での耐電圧により決定される。また、ウエハに成膜するなどして反りのあるウエハであっても安定して吸着できる吸着力を発生しうる厚みでなくてはならない。
発明者らの実験によれば、静電チャックには最低10KPa以上の吸着力が必要である。前述した印加電圧で安定して吸着力を発生させるためには、クーロン方式では通常150μmから250μm、ジョンソンラーベック方式では250μmから500μmである。本実施例では吸着膜の厚みを200μmとした。
続いて、図1を用いて本実施例の特徴である、ヒータへの給電方法について説明する。高周波電源10はウエハにバイアス電圧を印加するためのもののであり、ケーブル21で静電チャックの基材2に接続されている。高周波電源10のバイアス周波数は、例えば400KHz〜13.56MHzの範囲で適宜選択される。11は静電チャック電極に直流電圧を印加する直流電源であり、フィルタ27を介して同軸ケーブル36、37で接続されている。図1では内側の電極のみに電源を接続して表記しているが、本実施例のような双極型では当然外側の電極にも同様な構成で直流電源を接続している。
次に、38が外ヒータ22に電力を供給するヒータ電源である。ヒータ電源としては、直流電源、あるいは50〜60Hz程度の低周波数の交流電源いずれであってもよい。また、図1では外ヒータの1つの給電部との接続しか記述していないが、当然、外側ヒータにはもう1つ給電部があり、ヒータ電源と接続している。また、内側ヒータにも同様の構成でヒータ電源が接続されている。ここで、ヒータ電源は両端をBNCメスコネクタ処理された同軸ケーブル29でフィルタ17と接続している。つまり、ヒータ電源の出力端子とフィルタ17の接続端子はBNCオスコネクタとなっている。また、フィルタ17と静電チャックのヒータ給電部間は、両端がBNCメスコネクタ処理された同軸ケーブル40で接続している。つまり、フィルタの接続端子とヒータ給電部の接続端子はBNCオスコネクタとなっている。
フィルタの主要な構成部品はコイルとコンデンサとなる。コイルは基材に印加されたバイアス電圧、およびプラズマ発生用の高周波電圧がヒータ電源に印加されることを防止する。また、コンデンサは前述の高周波成分のうち除去し切れなかった成分をアースする役割を果たす。したがって、本発明のフィルタはローパスフィルタとして動作する。このローパスフィルタは、例えば、400KHz未満の低周波数の電力成分及び直流電力をヒータに供給する機能を有している。
このような構成でプラズマ処理中にヒータに電力を供給すれば、ヒータ電源に高周波電圧が流れ込むことがないので、ノイズにより誤動作したり、あるいは破壊されることなくヒータを動作することが可能となる。これにより、プラズマ処理中のウエハ温度を再現性よく、高い信頼性をもって制御することが可能となる。
次に、本発明のもう一つの特徴である、ヒータ起因のダメージを抑制する構成とその効果について説明する。なお、プラズマ発生のために真空処理室内に供給、印加される電磁波、すなわち、マイクロ波、UHF、RF等のプラズマ発生用の高周波電力に関しても、同様に、ダメージの発生の要因となる。従って、フィルタ17としてローパスフィルタを用いることにより、プラズマ生成用のマイクロ波や高周波、及びバイアス電源により静電チャックに印加される高周波電圧以上の高い周波数の電力がヒータ電源に印加されることを防止する必要がある。フィルタ17はローパスフィルタに限定されるものではないが、プラズマ生成用のマイクロ波や高周波、及びバイアス電源により静電チャックに印加された高周波電圧を含む所定の周波数範囲の高周波数の電力がヒータ電源に印加されることを防止するようにフィルタリングする機能を有する構成とする必要がある。
本発明の特徴を理解しやすいように、本発明の基本概念、すなわち、我々が新たに見出したヒータ内蔵静電チャックで生じうるダメージの発生メカニズムを簡略化した図4の等価回路モデルを用いて説明する。実際にはもっと複雑な回路モデルとなるが、理解しやすいように主要な素子のみを記載している。
以下では、説明を簡単にするために、バイアス用の高周波電源10のみを図に表示して説明するが、ヒータ内蔵静電チャックが積層された基材2に印加される高周波電力であれば、プラズマ発生用の高周波電力についても、バイアス用の高周波電源と区別する必要のないことは言うまでもない。
また、図5Aは、エッチング処理における本実施例のヒータ内蔵静電チャック機構などの等価回路モデルを示し、図5Bは、エッチング処理時における素子Aと素子Bにかかる高周波電圧の状況を示している。
図4、図5Aにおいて、C41、C42はそれぞれ内ヒータ、外ヒータと基材間の静電容量である。C43、C44はそれぞれ内ヒータと内側静電チャック電極間、外ヒータと外側静電チャック電極間の静電容量である。C45、C46はそれぞれ内側静電チャック上の静電容量と外側静電チャック上の静電容量である。C47−C50はそれぞれ、内側静電チャック電極、外側静電チャック電極、内ヒータ、外ヒータと電源までの等価回路であり、同軸ケーブルとフィルタを含む回路である。これらの回路は、主に同軸ケーブルの静電容量とフィルタ回路のコイルで表すことができる。なお、静電チャック電極に電圧を印加する回路同士、ヒータに電圧を印加する回路同士は実質的に同一の構成である。
これらの内、双極型静電チャックでは残留吸着力防止などの観点から2個の静電チャック上の静電容量は実質的に同一とするのがよく、本実施例では面積を略同一としている。したがって静電容量C45とC46は略同一である。
すなわち、第一の実施例では、フィルタにより高周波電圧がヒータ電源を介して漏洩するのを防止するとともに、内ヒータと外ヒータの給電ケーブルからアースへの高周波電圧の漏洩を略同一とすることにより、ウエハ表面での電位差を略0にするために、図4の静電容量C41とC42が略同一となるよう内ヒータと外ヒータの面積を略同一とし、かつ同軸ケーブルの静電容量も略同一となるよう単位長さあたりの静電容量が同じ同軸ケーブルで略同一の長さとした。
図5Bに示すように、エッチング処理時における素子Aと素子Bにかかる高周波電圧の直流的な電位差は、0である。すなわち、本実施例では、各ヒータと基材間の静電容量と、各ヒータと各ヒータ上に配置された静電チャック内部電極間の静電容量はそれぞれ同一であるため、結果として素子Aと素子Bにかかる高周波電圧に差が発生しない。したがって、ゲート酸化膜にリーク電流が流れないので素子にダメージが発生しない。
このような構成で構成されたヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置によれば、プラズマ処理中のウエハ面内に電位差を発生させることなくヒータに電力を投入することが可能となるので、ヒータに起因するダメージを発生させることなく、応答性よく温度分布を調節しながらプラズマ処理することができるので、半導体デバイスの製造コストが低く生産性の高いプラズマ処理装置を提供することができる。
なお、本実施例では、同心円リング状の2個の静電チャック電極を例にして説明したが、双極型の静電チャックとして、対をなす略半円状の静電チャック電極の組み合わせ、あるいは、対をなすくし歯状の静電チャック電極の組み合わせなど、他の平面形状の双極型の静電チャックの下に各々ヒータが配置される双極型のヒータ内蔵静電チャックについても、本発明を適用できることは言うまでもない(以下の双極型の静電チャック実施例でも同じ)。
実施例1では、略同一の面積を有する2個のチャック用電極の下に、略同一の面積を有する2系統のヒータをそれぞれ一系統ずつチャック用電極に完全に隠れるように設けている。
しかし、ウエハ温度を制御するヒータは2系統に限定されるものではない。すなわち本発明の技術思想によれば、例えばウエハ温度を外周付近だけ微調整するために、外周(あるいは内周)に1系統のヒータを埋め込むだけでよい場合にもダメージを発生させないことが可能となる。この場合には、外周付近に配置した外ヒータの面積と略同一の面積を持ちヒータ電源には接続されていない擬似的なヒータを内側静電チャック電極の下層に配置し、この擬似ヒータに対しても外ヒータに接続したのと略同一な長さLの同軸ケーブルとフィルタを接続すればよい。このような構成とすれば、1系統ヒータを組み込んだ双極型静電チャックにより、前述の2系統ヒータの場合と同様に、ダメージを発生させることなく、ウエハの温度制御が可能となる。
図6に本発明の第三の実施例を示す。本実施例では、第一の実施例の内ヒータに対し、ヒータ電源と接続する同軸ケーブルとフィルタを含む回路の他に、内ヒータを介して可変コンデンサ51をアースに接続するアース回路が設けられている。この可変コンデンサ51の静電容量を調節することにより、内ヒータからアースまでの静電容量を、外ヒータからアースまでの静電容量を略同一とすることが可能となる。その結果、内側静電チャック電極と外側静電チャック電極上の高周波電圧を略同一とすることによりウエハ上の電位差をほぼ0にできる。これは、内ヒータと外ヒータの面積が異なり静電容量C41とC42が異なる場合に有効な解決策となる。
また、本実施例であれば、プラズマ分布が中央付近と外周付近で発生しているような場合に生じるウエハの電位差も可変コンデンサを調節することにより補償することが可能である。
したがって、本実施例の方式のヒータ内蔵静電チャックを備えたプラズマ処理装置であれば、ヒータに起因するダメージを発生させることがないだけでなく、プラズマ分布に起因するダメージも防止しつつ、ウエハ温度を制御しながらプラズマ処理することが可能となる。
なお、本実施例では内ヒータにのみ可変コンデンサを接続したが、2個のヒータにそれぞれ接続してもよい。また、本実施例では独立したヒータは2系統としたが、必ずしも2系統である必要はなく、3系統あるいはそれ以上であっても同様に電位差を調節することが可能である。
次に、図7,図8(図8A、図8B)を用いて本発明を単極型静電チャック方式に適用し第四の実施例を説明する。前に述べたとおり、ダメージを防止するためには基材から素子Aと素子Bまでの等価的な電気回路を同一にするか、もしくはダメージが発生しない程度までに同一に近づければよい。
これを実現するために、本実施例では、図7に示すように、単極型静電チャックの内部電極60の下にウエハに対して完全に隠れるようにヒータを配置すれば良い。すなわち、導電性の内部電極60により電位が均一化されるのでウエハ上の素子Aと素子Bで電位差が発生せずにダメージが抑制される。
単極の静電チャック内部電極60の下に完全に隠れるようにして、ヒータ1とヒータ2の2系統のヒータ(20,22)が配置された場合、仮にヒータと基材2、ヒータと静電チャック内部電極間の静電容量がヒータ20とヒータ22で異なったとしても、図8Aに示すように、静電チャック内部電極は導電性材料であるために面内で同電位となる。すなわち、本実施例では、静電チャック上の静電容量C60は面内で同一であるため、結果として素子Aと素子Bにかかる高周波電圧に差が発生しない。そのため、図8Bに示すように、エッチング処理時における素子Aと素子Bにかかる高周波電圧の直流的な電位差は、0である。
結果として素子Aと素子Bにかかる高周波電圧に差が発生しない。したがって、ゲート酸化膜にリーク電流が流れないので素子にダメージが発生しない。
図9−16を用いて本発明の第五の実施例を説明する。本実施例では、第一の実施例とは異なり、図9に示すように、ヒータの一部が静電チャック電極の隙間から覗くように配置された場合を対象とする。また、内ヒータと外ヒータの面積が異なる場合や、およびヒータ系統数が異なる場合も対象とする。
図10Aは、第五の実施例のヒータパターンを示している。いわゆる双極型静電チャックにおいて、内ヒータ20の一部が静電チャック電極24、25間の環状の隙間から覗くように配置されている。なお、内側静電チャック電極と外側静電チャック電極間の距離は、例えば2mmとする。
図10Bは、本実施例の有磁場マイクロ波プラズマ処理装置の模式的な断面図である。
本実施例でも、静電チャック内にヒータ(内ヒータ20及び外ヒータ22)を内蔵しており、このヒータへの電力供給はヒータ電源38にて行う。このヒータ電源38は、マイクロ波とバイアス電源により静電チャックに印加された400KHzの高周波電圧がヒータ電源に印加されることを防止するためのフィルタ17を介して、同軸ケーブル29と同軸ケーブル(長さ=L2)40により真空チャンバに取り付けられたBNCタイプの電流導入端子54に接続されている。そして静電チャック8の裏面と電流端子の真空チャンバ内側の端子54は同軸ケーブル(長さ=L1)53で接続してあり、同軸ケーブル53と同軸ケーブル40の合計の長さ(L=L1+L2)を5mとしている。この同軸ケーブル長L、換言すると、真空処理室外のローパスフィルタ17から真空処理室内の静電チャック8の裏面までのケーブル長Lは、以下に述べるように、素子ダメージに影響するのできちんと管理する必要がある。
すなわち、本実施例では、図11に示すように、ローパスフィルタから静電チャックまでのヒータの給電ケーブル長Lを、バイアス周波数に応じて規定することにより、第三の実施例の可変コンデンサを用いることなく実効的にダメージが生じないレベルに押さえ込むものである。
図17に関して述べた通り、2個の内部電極の下層に埋設された複数系統のヒータの構成に差があると、素子Aと素子Bにかかる高周波電圧の直流的な電位差を生じ、素子にダメージが発生する場合がある。すなわち、(1)いわゆる双極型静電チャックにおいて、2個の内部電極の下層に埋設された2系統のヒータの内一方が分離されたチャック用電極の隙間から覗く場合、(2)覗かずとも2個のチャック用電極の下にそれぞれ配置された1系統のヒータの面積が異なる場合、(3)あるいは双極型静電チャックにおいて3系統のヒータ、すなわち各静電チャックに対して異なる数のヒータが配置された場合には、ダメージが発生する場合がある。
本実施例は、このような場合にもダメージを防止する構成を提供するものである。
まず、先に述べたとおり非特許文献1によると、ゲート酸化膜に8MV/cm以上の強度の電界が作用すると急激にリーク電流が増加すること、すなわち絶縁破壊することが開示されている。最近の高集積化したデバイスでは、ゲート酸化膜の厚みが10nm以下まで薄くなってきており、前述したようなウエハ面内の直流的な電位差が発生するとゲート酸化膜が絶縁破壊を起こし、素子ダメージとなり歩留まりの低下を引き起こす。例えばゲート絶縁膜が4nmの厚みとした場合、耐電界強度を8MV/cmと仮定すると、ウエハ上に発生する電位差として許容される値は3.2V程度と考えられる。したがって、プラズマ処理後の素子にダメージを発生させないためにはウエハ上の直流的な電位差は3.2V以下にするように管理する必要がある。この値はゲート酸化膜の厚みが薄くなるとさらに厳しくなるかというと、必ずしもそうではない。ゲート絶縁膜が例えば4nm以下にさらに薄くなっていくと、ゲート絶縁膜に電圧が作用するとトンネル電流が流れるようになるために、ゲート酸化膜に作用する電気的なストレスが緩和されると言われている。したがって、処理中のウエハ上の許容される電位差としては3.2V程度と考えられている。
なお、図11から明らかなように、静電チャック電極上に配置された素子A、B位置での電位だけでなく、回路上は静電チャック電極ともう一方の静電チャック電極の間の隙間上の素子での電位も問題になるように思われるが、本実施例のように内側静電チャック電極と外側静電チャック電極間の距離が2mm程度の距離であれば、吸着電極上の面積に比べれば十分に小さくほとんど影響ないと考えてよい。
ヒータの給電ケーブルに利用すべき同軸ケーブルとしては、ヒータから漏洩する電気を極力抑えるという観点に鑑みれば静電容量が小さいほうが有利であることは明らかであるが、製造コストを勘案すると市販の規格品を利用するのが妥当である。ヒータに投入する電力を考えると単位長さあたり略100pF/m程度の同軸ケーブルを利用するのが最もよい。フィルタのインダクタンスについては、大きいほどインピーダンスが大きく取れるので有利であるが後述する計算の結果、1mH以上であればフィルタの効果が十分得られることがわかっており、本実施例ではインダクタンスを5mHとした。なお、このコイルは極力寸法を小さくするために、フェライトのコアに銅線を巻いており、典型的な寸法は100mm□のフェライト基板のまわりにコイルを巻き、厚みが約40mmに抑えられている。
図4に示した静電容量C41、C42の差が大きいほど、結果的にウエハ表面で生じる電位差は大きいことになる。静電容量は基材とヒータ、ヒータと静電チャック電極の距離と、ヒータの面積によって変動する。しかし、図10に示すようなヒータを同心円状に配置する場合、仮にヒータ幅を2mmから3mm、ヒータとヒータの間隔を2mmから3mmとした場合には、静電チャック電極の下に配置されたヒータの面積は、例えばφ300mm静電チャックの場合電極面積の略30%から略70%となる。そこで、前述した第一の実施例で説明した各膜の厚みの組み合わせで、最もウエハ表面電位の悪化する組み合わせにおいてであっても、ウエハ表面の電位差が3.2V以下となるような静電容量を決定すればダメージを防止できることがわかる。
そこで、この組み合わせでプラズマエッチング装置に利用されるバイアス周波数、400KHz、800KHz、2MHz、13.56MHzでウエハ上に発生する電位差を計算で見積もった。ウエハ上に生じる電位差を求める場合、ウエハ上に発生する直流成分がVppの何%に相当するかが重要であるが、通常最大で1/2と考えてよい。また、最大のVppの値に関してはプラズマ条件によって変動するものの、誘電体膜の耐電圧を考慮すればおのずと決定されるものであり、2KVが一般的である。したがって、ウエハに発生する最大の直流成分は−1KVである。この条件で内静電チャック電極上と外静電チャック電極上で発生する直流電位差を計算により見積もった。
図12には、バイアス周波数が400KHzの場合のフィルタからヒータまでの同軸ケーブル長Lとウエハ上の直流電位差の関係を示す。図には、フィルタのインダクタンスが、1mH、3mH、5mH、および10mHの各状態が示されている(以下の例も同じ)。この図から、バイアス周波数が400KHzの場合には、同軸ケーブル長Lが90m以下であれば、フィルタのインダクタンスの大小に拘わらず、電位差を3.2V以下に抑えることが可能であることがわかる。
一方、先に述べたとおり、同軸ケーブル長Lは、静電チャックの裏面と電流端子の真空チャンバ内側の端子間の同軸ケーブル(長さ=L1)を含んでいる。この真空チャンバ内側の同軸ケーブル長さL1は、通常、1m以内、例えば50cm〜80cm程度である。また、フィルタは真空チャンバの外側に設置される。換言すると、同軸ケーブル長Lの下限値は、真空チャンバ内側の同軸ケーブル長さL1に真空チャンバ外のフィルタまでのケーブル長を加えたものであり、1m程度である。
図13には、バイアス周波数が800KHzの場合のフィルタからヒータまでのケーブル長Lとウエハ上の直流電位差の関係を示す。この図から、バイアス周波数が800KHzの場合には、ケーブル長Lが20m以下であれば、電位差を3.2V以下に抑えることが可能であることがわかる。同軸ケーブル長Lの下限値は、真空チャンバ内側の同軸ケーブル長さL1に真空チャンバ外のフィルタまでのケーブル長を加えたものであり、1m程度である。
図14には、バイアス周波数が2MHzの場合のフィルタからヒータまでのケーブル長Lとウエハ上の直流電位差の関係を示す。この図から、バイアス周波数が2MHzの場合には、ケーブル長Lが3m以下であれば、電位差を3.2V以下に抑えることが可能であることがわかる。同軸ケーブル長Lの下限値は、真空チャンバ内側の同軸ケーブル長さL1に真空チャンバ外のフィルタまでのケーブル長を加えたものであり、1m程度である。
図15には、バイアス周波数が13.56MHzの場合のフィルタからヒータまでのケーブル長Lとウエハ上の直流電位差の関係を示す。この図から、バイアス周波数が13.56MHzの場合には、ケーブル長Lが逆に10m以上であれば、電位差を3.2V以下に抑えることが可能であることがわかる。ただ、ケーブル長Lを余り長くしてもその効果に大きな差はない。従って、同軸ケーブル長Lの上限値は、10mを超えた長さでかつフィルタのインダクタンスとの関係で最適な範囲、換言すると10数mである。
以上の見積もりは、本実施例で開示した範囲の構成のヒータ内蔵静電チャックにおいて、最もウエハ上で電位差を生じさせやすい条件での見積もりであるので、逆に言えば各バイアス周波数に応じて同軸ケーブルの長さLを規定してやることにより、いかなる場合にもダメージを引き起こすような電位差が発生することがないといえる。また、静電チャックの給電ケーブルもウエハ上の電位には影響をするが、同一の面積をもつ静電チャック電極に接続された場合には、ヒータのケーブルの長さLの違いはウエハ電位に影響を及ぼさない。
実際に、400KHzの周波数でウエハ面内の電位差が3.2V以上となる条件でウエハを処理したときのダメージの発生マップ(a)と、本実施例のケーブル長でウエハ面内の電位差を3.2V以下に押さえて処理したときのダメージの発生マップ(b)を比較したのが図16である。
この結果からわかるように、本実施例の条件を満たすケーブルでウエハをエッチング処理した場合にはダメージが発生していないことがわかる。
以上のように、バイアス周波数毎に適正な長さLに規定された同軸ケーブルでヒータとフィルタ間を接続したプラズマ処理装置においては、仮に双極型静電チャックにおいて内ヒータの一部が一対の静電チャック電極間の環状の隙間から覗くように配置されていたとしても、プラズマ処理中のウエハ面内に電位差を発生させることなくヒータに電力を投入することが可能となる。
そのため、ヒータ内蔵静電チャックのヒータに起因するダメージを発生させることなく、応答性よく温度分布を調節しながらプラズマ処理することができるので、半導体デバイスの製造コストが低く生産性の高いプラズマ処理装置を提供することができる。
本実施例では、誘電体膜の抵抗率を1×1015Ωcm以上の高抵抗膜とし、吸着力はいわゆるクーロン力を発生するタイプを採用した。しかし、必ずしもこれに限定されるわけではなく、抵抗率が1×109から1×1012Ωcm程度で吸着力を発生させる、いわゆるジョンソン・ラーベック型の静電チャックであってもよい。また、絶縁層や誘電体膜の材質はアルミナを主原料としたが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、例えばイットリアや炭化ケイ素、窒化アルミなどの材料であってもよい。
また、本実施例では基材の材質としてはチタンを利用しているが、これに限定されるわけではなく他の金属、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス合金などの金属を利用することも可能である。また、本実施例では静電チャックを溶射法で形成したが必ずしもこの方法に限定される必要はない。ほぼ同様の構成を、内部にヒータ、静電チャック電極を入れ込み焼結法で形成した板状の部材を接着材により本実施例の基材に接着したものであってもよい。この場合、本実施例の積層膜ほどに薄い焼結体セラミックスを形成することは困難であり、多少全体の厚みは増すことになるが、ヒータの熱の伝導の仕方、静電チャックの吸着力の発生の仕方を考慮すれば、本実施例の最下層の絶縁層に相当する部分が厚くなる程度の差で実現可能で、本実施例の技術思想を同様に適用することができる。
また、本実施例では内蔵したヒータの系統数は2系統としたが必ずしもこれに限定されるわけではなく、1系統であってもよいし、3系統以上であってもよい。必要な温度分布や実現しなければならない温度の応答性により適宜選択すればよい。また、本実施例の各ヒータのターン数やパターンは必ずしもこれに限定されるべきものではなく、実現したい温度分布や温度の応答性を勘案して適宜決定すべきものである。
1:真空処理室
2: 基材
3:真空チャンバ
4:導波管
5:マイクロ波
6:コイル
7:プラズマ
8:静電チャック
9:ウエハ
10:高周波電源
11:直流電源
12:真空ポンプ
13:処理ガス
14:石英窓
15:バルブ
16:ヘリウム貫通穴
17:フィルタ
18:コンデンサ
19:マイクロ波発振器
20:内ヒータ
21:ケーブル
22:外ヒータ
23:セラミックスパイプ
24:内側静電チャック電極
25:外側静電チャック電極
27:フィルタ
28:誘電体膜
29:同軸ケーブル
30:給電貫通穴
31:冷媒溝
32:プッシャピン用貫通穴
33:ヒータ給電端子接続部
34:電気プラグ
35:高抵抗アルミナ
36:同軸ケーブル
37:同軸ケーブル
38:ヒータ電源
39:高抵抗アルミナ
40:同軸ケーブル
51:可変コンデンサ
52:抵抗
53:同軸ケーブル
54:電流導入端子
80:試料台
C41:内ヒータと基材間の静電容量
C42:外ヒータと基材間の静電容量
C43:内ヒータと内側静電チャック電極間の静電容量
C44:外ヒータと外側静電チャック電極間の静電容量
C45:内側静電チャック電極上の静電容量
C46:外側静電チャック電極上の静電容量
C47:内側静電チャック電極給電ケーブルの静電容量
C48:外側静電チャック電極給電ケーブルの静電容量
C49:内ヒータ給電ケーブルの静電容量
C50:外ヒータ給電ケーブルの静電容量。
2: 基材
3:真空チャンバ
4:導波管
5:マイクロ波
6:コイル
7:プラズマ
8:静電チャック
9:ウエハ
10:高周波電源
11:直流電源
12:真空ポンプ
13:処理ガス
14:石英窓
15:バルブ
16:ヘリウム貫通穴
17:フィルタ
18:コンデンサ
19:マイクロ波発振器
20:内ヒータ
21:ケーブル
22:外ヒータ
23:セラミックスパイプ
24:内側静電チャック電極
25:外側静電チャック電極
27:フィルタ
28:誘電体膜
29:同軸ケーブル
30:給電貫通穴
31:冷媒溝
32:プッシャピン用貫通穴
33:ヒータ給電端子接続部
34:電気プラグ
35:高抵抗アルミナ
36:同軸ケーブル
37:同軸ケーブル
38:ヒータ電源
39:高抵抗アルミナ
40:同軸ケーブル
51:可変コンデンサ
52:抵抗
53:同軸ケーブル
54:電流導入端子
80:試料台
C41:内ヒータと基材間の静電容量
C42:外ヒータと基材間の静電容量
C43:内ヒータと内側静電チャック電極間の静電容量
C44:外ヒータと外側静電チャック電極間の静電容量
C45:内側静電チャック電極上の静電容量
C46:外側静電チャック電極上の静電容量
C47:内側静電チャック電極給電ケーブルの静電容量
C48:外側静電チャック電極給電ケーブルの静電容量
C49:内ヒータ給電ケーブルの静電容量
C50:外ヒータ給電ケーブルの静電容量。
Claims (10)
- 処理室内に設置され試料を保持し得る試料台と、前記処理室内にプラズマを発生させるプラズマ生成手段と、前記試料台に配設された静電チャック電極及びヒータと、前記試料台に接続されたイオンエネルギー制御用のバイアス電源と、前記処理室を減圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装置において、
前記ヒータは通電経路を介してヒータ用の電源に接続されており、
高周波の電力が、前記ヒータの通電経路に流れ込むことを抑止する抑止手段を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1において、前記抑止手段は、前記バイアス電源もしくは前記プラズマ生成手段の高周波電力の周波数以上の周波数を有する電力が前記通電経路に流れ込むのを抑制するローパスフィルタであることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項1において、前記抑止手段は、前記バイアス電源もしくは前記プラズマ生成手段の高周波電力の周波数を含む所定範囲の周波数の電流をフィルタリングするフィルタを有するものであることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 処理室内に設置され試料を保持し得る試料台と、前記処理室内にプラズマを発生させるプラズマ生成手段と、前記試料台に配設されたヒータ内蔵型静電チャックと、前記試料台に接続されたイオンエネルギー制御用のバイアス電源と、前記処理室を減圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装置において、
前記ヒータ内蔵型静電チャックは、基材の上に積層されたヒータと静電チャック電極及び誘電体膜を有しており、
前記ヒータは前記静電チャック用電極の下側に、該静電チャック用電極に完全に隠れるようにして設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項4において、
前記ヒータ内蔵型静電チャックは、高周波のバイアス電圧が印加される導電性の基材の上に積層された少なくとも2系統のヒータ、実質的に同一の面積を有する一対の静電チャック電極、及び誘電体膜を有しており、
前記少なくとも2系統のヒータは前記各チャック用電極の下側に、該静電チャック用電極に完全に隠れるようにして設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項5において、前記複数個のヒータの少なくとも1系統は可変コンデンサを介してアースに接続されることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 処理室内に設置され試料を保持し得る試料台と、前記処理室内にプラズマを発生させるプラズマ生成手段と、前記試料台に配設されたヒータ内蔵型静電チャックと、前記処理室を減圧する減圧手段とを有するプラズマ処理装置において、
前記ヒータ内蔵型静電チャックは、高周波のバイアス電圧が印加される導電性の基材の上に積層された少なくとも2系統のヒータと一対の静電チャック電極を有しており、
前記ヒータは、高周波の電力が前記ヒータの通電経路に流れ込むことを抑止するローパスフィルタ及び同軸ケーブルを介してヒータ用の電源に接続されており、
前記試料台の静電チャック裏面と前記フィルタ間を接続する前記同軸ケーブルの長さが、所定の範囲に設定されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項7において、前記バイアス電圧の周波数が略400KHzないし800KHzの場合には、前記所定値以下の長さとして15m以内の静電容量が略100pF/m以下の前記同軸ケーブルで、前記ローパスフィルタと前記ヒータとが接続されることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項7において、前記バイアス電圧の周波数が略2MHzの場合には、前記所定値以下の長さとして3m以内の静電容量が略100pF/m以下の前記同軸ケーブルで、前記ローパスフィルタと前記ヒータとが接続されることを特徴とするプラズマ処理装置。
- 請求項7において、前記バイアス電圧の周波数が略13.56MHzの場合には、前記所定値以下の長さとして10m以上の静電容量が略100pF/m以下の前記同軸ケーブルで、前記ローパスフィルタと前記ヒータとが接続されることを特徴とするプラズマ処理装置。
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