JP2009244653A - 正帯電トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した帯電性を発揮できる正帯電トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂を主体とする正帯電トナーを、前記ポリエステル樹脂を含有する母粒子を含有し導電率が70μS/cm以下である母粒子懸濁液を準備し、母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、母粒子の表面に前記帯電制御樹脂微粒子を付着させてトナー母粒子を作製し、トナー母粒子を洗浄することにより製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、正帯電トナーの製造方法に関する。
電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置においては、所定の極性及び大きさに帯電した前記トナーを画像形成部に供給し、当該トナーを電界の作用で用紙上にて画像として配列し、この用紙上に配列された前記トナーを定着させることで当該用紙上に画像を形成することができる。
こうしたトナーには、磁性キャリアによる摩擦帯電によりトナーを帯電させる磁性2成分方式のトナーと、磁性キャリアを用いずに画像形成装置における接触部分との摩擦帯電を利用して帯電させる非磁性1成分方式のトナーとがある。画像形成装置の小型化には、非磁性1成分方式のトナーが有利である。
上記の記録方式によって良好な画像を安定的に得るためには、トナーの帯電性を安定化させること、すなわち、帯電量を充分確保しつつ、帯電分布をできるだけ均一化することが重要である。非磁性1成分方式トナーにおいては、トナーの帯電性を安定化させるために、帯電制御剤によるトナーの帯電性の制御が特に重要となる。
従来、この種のトナーの製造方法として、液体中で結着樹脂の乳化を経て母粒子を合成する方法がある。このような母粒子合成方法において、負帯電性のポリエステルなどの結着樹脂を含む母粒子の懸濁液に、極性基を備える静電制御微粒子の懸濁液を供給して、母粒子表面に静電制御微粒子を安定して固着することが開示されている(特許文献1)。また、トナー母粒子の帯電量のバラツキを抑制するために、静電制御剤を含むトナー母粒子を洗浄して所定導電率以下とする方法も開示されている(特許文献2)。
特開2007−94041号公報 特開2000−292976号公報
上記特許文献1に記載の方法にあっては、静電制御微粒子が極性基を備えるために、静電制御微粒子が負帯電性の結着樹脂を含む母粒子に安定して固着されるが、十分な帯電量が確保されるものの、記録媒体上における画像にカブリが生じて鮮鋭な画像が得られない場合もあることがわかった。また、このようなバラツキをなくすために上記特許文献2に記載の洗浄を行っても必ずしも常に改善されるわけではなかった。すなわち、上記のようなトナー母粒子の合成方法を採用した場合において、安定した帯電性を発揮する正帯電トナーを得るための技術は未だ確立されていなかった。
そこで、本発明は、安定した帯電性を発揮できる正帯電トナーの製造方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、良好な画像を安定して形成できる正帯電トナーの製造方法を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために帯電特性を不安定化する種々の要因を探索したところ、帯電制御樹脂微粒子を付与する前の母粒子懸濁液の導電率と画像不良とが大きく関連するという知見を得た。本発明者らはこうした知見に基づき発明を完成した。本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明によれば、ポリエステル樹脂を主体とする正帯電トナーの製造方法であって、前記ポリエステル樹脂を含有する樹脂溶液と水系媒体との混合乳化を経て得られる母粒子を含有し導電率が70μS/cm以下である母粒子懸濁液を準備する母粒子懸濁液準備工程と、前記母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子を含有する帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、前記母粒子の表面に前記帯電制御樹脂微粒子を付着させてトナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程と、前記トナー母粒子を洗浄する洗浄工程と、を備える、正帯電トナーの製造方法が提供される。
本発明の正帯電トナーの製造方法において、前記母粒子懸濁液準備工程は、前記混合乳化により得られる樹脂粒子を凝集することにより前記母粒子を作製することを含むことができる。また、前記母粒子懸濁液準備工程は、前記樹脂微粒子を凝集して前記母粒子を作製した後に、前記水系媒体の少なくとも一部を入れ替えて前記導電率を下げることを含むことができる。さらに、前記母粒子懸濁液準備工程は、前記母粒子懸濁液中の界面活性剤が300ppm以下の前記母粒子懸濁液を準備する工程とすることもできる。さらにまた、前記母粒子懸濁液準備工程は、無機金属塩、アルカリ及び非イオン界面活性剤からなる群から選択されるいずれかを使用することを含むこともできる。
本発明の正帯電トナーの製造方法において、前記トナー母粒子作製工程における下記式(1)で表される帯電制御樹脂微粒子係数が0.014以上とすることもできる。
帯電制御樹脂微粒子係数=[(帯電制御樹脂微粒子量(mg)/母粒子量(mg)×100]/母粒子懸濁液の導電率(μS/cm)・・・・・・(1)
(ただし、帯電制御樹脂微粒子量は使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の全量に含まれる帯電制御樹脂微粒子の量であり、母粒子量は使用する母粒子懸濁液の全量に含まれる母粒子量である。)
また、前記帯電制御樹脂微粒子は、スチレンアクリル共重合体を主体とする粒子を含んでいてもよいし、第4級アンモニウム基を含むこともできる。
前記洗浄工程は、洗浄後の前記トナー母粒子を導電率が1μS/cm以下の水性媒体に再懸濁して得られ前記トナー母粒子を10質量%固形分として含有する再懸濁液の導電率が5μS/cm以下となるまで洗浄する工程とすることができる。
本発明は、正帯電トナーの製造方法に関する。本発明の正帯電トナーの製造方法は、母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子とを混合するのに先立って、母粒子懸濁液の導電率を所定値以下とすることを特徴としている。本発明は、従来全く着目されていなかった帯電制御樹脂微粒子を付与する前の母粒子懸濁液の導電率と画像不良との関係を本発明者らが初めて見出し、外添前の母粒子懸濁液の導電率を所定値以下とすることで画像不良を回避又は低減できることを見出したことに基づいている。
本発明者らは、母粒子懸濁液中にはトナーサイズに形成された母粒子と母体微粒子の凝集に使用した各種添加剤が水系溶媒中に分散または溶解した状態で存在するが、これらの添加剤が全く知られていなかった機構によりトナーの帯電特性に悪影響を及ぼすという知見を得た。すなわち、本発明者らは、電解質性の不純物が存在する状態の母粒子懸濁液に正帯電制御樹脂微粒子を供給すると、pHの変化や正極性の帯電制御微粒子の影響によって、母粒子懸濁液中に溶解している電解質が析出して母粒子表面に付着してしまい、このような意図しない付着物によってトナーの印字耐久性が低下し、ひどい場合には初期からかぶりが発生することを見出したのである。このため、本発明によれば、母粒子懸濁液に正帯電制御樹脂微粒子を供給する前に母粒子懸濁液中から電解質性の不純物を除去しておくこと、すなわち、母粒子懸濁液の導電率を制御しておくことで、従来から予測される程度を超えて良好な正帯電性のトナーが得られることができる。
また、上記母粒子懸濁液の導電率制御によって帯電制御樹脂微粒子が母粒子の表面へ固着しやすい状態を得ることができる。このため、帯電制御樹脂微粒子を母粒子の表面に対してより均一に、しかも、母粒子間における帯電制御樹脂微粒子固着量のバラツキを低減して固着させることができる。この結果、電子写真方式や静電記録方式等によって当該正帯電トナーを用いて画像を形成するとき、初期の画像不良を効果的に回避又は抑制できる。
また、母粒子懸濁液の導電率を所定値以下とすることで、母粒子作製時における界面活性剤や分散剤などの電解質性の不純物も低減されている。このため、長期間の画像形成サイクルへの供給の間において、不純物の影響等により帯電量が低下することも抑制される。したがって、長期にわたって初期の帯電量を維持できるとともに、帯電量のバラツキも抑制され、画像不良も長期にわって回避又は抑制できる。
さらに、母粒子懸濁液の導電率に対する静電制御微粒子量の割合を所定値以上とすることで、母粒子に対して容易に十分量の帯電制御樹脂微粒子を固着させることができる。このため意図した帯電性の正帯電トナーを容易に得ることができる。
以下、本発明の正帯電トナーの製造方法の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明の正帯電トナーの製造に用いる各材料について説明し、その後、製造方法について説明する。図1は、本発明の正帯電トナーの製造工程のフローの一例を示す図である。
なお、本明細書において、「樹脂溶液」とは、結着樹脂と着色剤と必要に応じて離型剤を有機溶剤に溶解または分散したものをいうものとする。また、「水系媒体」とは、樹脂溶液と混合して乳化する際に使用する水を主とする溶媒をいう。なお、水系媒体は、中和剤を含有していてもよい。「母体微粒子」とは、樹脂溶液を水中に微細乳化させた後、有機溶剤成分を除去した懸濁液中の固体微粒子を意味する。「母粒子」は、母体微粒子を凝集・融合させたトナー径レベルの大きさの粒子をいう。「トナー母粒子」とは、母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を固着処理したものをいう。「トナー」とは、乾燥したトナー母粒子であって、必要に応じてその表面に疎水性無機分散剤を外添付着させたものをいう。「帯電制御樹脂微粒子」とは、帯電制御樹脂を主成分とする微粒子をいう。
(トナー構成材料)
本発明の製造方法によって得られる正帯電トナーは、ポリエステル樹脂を主体とする母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を有するトナー母粒子を備えている。母粒子は、結着樹脂のほか、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を含んでいる。トナー母粒子その表面に疎水性無機分散剤を有することもできる。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナー用の結着樹脂として従来用いられているポリエステル樹脂を、特に限定なく用いられ得る。ポリエステル樹脂は、市販されており、例えば、酸価0.5〜40mgKOH/g、好ましくは、1.0〜20mgKOH/gで、重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による)9,000〜200,000、好ましくは、20,000〜150,000で、架橋分(THF不溶分)10重量%以下、好ましくは、0.5〜10重量%のポリエステル樹脂が用いられる。酸価がこれより低い場合には、後に添加する水酸化ナトリウムなどの塩基と反応する量が少ないために、乳化が不安定となって安定したスラリーが得られない場合がある。一方、酸価がこれよりも高い場合には、トナーが負に帯電しやすくなり、画像濃度の低下などを生じる場合がある。また、重量平均分子量がこれよりも低い場合には、トナーの機械的強度が不足してトナーの耐久性が低くなる場合がある。一方、重量平均分子量がこれよりも高い場合には、トナーの溶融粘度が過度に高くなり、乳化液滴が大きくなってしまい粗大粒子が発生しやすくなる場合がある。
架橋分は、全くなくてもよいが、トナーの強度や定着性(特に高温側のオフセット)に対しては、ある程度存在していることが好適である。ただし、多すぎると、乳化液滴が大きくなってしまい粗大粒子が発生する場合がある。
ポリエステル樹脂は、透明性を有すること、トナー像に色調障害を生じない程度にほぼ無色であること、前記帯電制御樹脂との相溶性が良好であること、適当な熱または圧力下で流動性を有すること、微粒化が可能であるほか、帯電の安定性や画質の点において優れている。
なお、樹脂の分子量は、樹脂成分をTHFに溶解させ、不溶解分をDISMIC(直径0.2μm、PTFE製:ADVANTEC)でろ別して、THF溶解分だけを採取し、これをGPC測定器で測定し、標準ポリスチレン換算による分子量分布を算出する。
(着色剤)
着色剤は、トナーに所望の色を付与するものであって、結着樹脂内に分散または浸透される。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、例えば、キノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、ペリノンオレジン、ペリノンレッド、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロール系顔料などの有機顔料、例えば、チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがら、アルミニウム粉、ブロンズなどの無機顔料または金属粉、例えば、アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、インドフェノール系染料、インドアニリン系染料などの油溶性染料または分散染料、例えば、ロジン、ロジン変性フェノール、ロジン変性マレイン酸樹脂などのロジン系染料が挙げられる。さらには、高級脂肪酸や樹脂などよって加工された染料や顔料なども挙げられる。これらは、所望する色に応じて、単独使用または併用することができる。例えば、有彩単一色のトナーには、同色系の顔料と染料、例えば、ローダミン系の顔料と染料、キノフタロン系の顔料と染料、フタロシアニン系の顔料と染料を、それぞれ配合することができる。着色剤は、結着樹脂100質量部に対して、例えば、2〜20質量部、好ましくは、4〜10質量部の割合で配合される。
(離型剤)
離型剤は、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるために添加される。加熱圧力定着方式の場合、加熱媒体からトナーが剥離しやすいように、トナー内部にワックスを内包させておくことが一般的である。離型剤としては、例えば、エステル系ワックス、炭化水素系ワックスなどが挙げられる。エステル系ワックスとしては、例えば、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステルなどの脂肪族エステル化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの多官能エステル化合物などが挙げられる。炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類、例えば、キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス、例えば、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス、例えば、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。これらワックスは、単独使用または併用することができる。好ましくは、上記したワックスのうち、融点が、50〜100℃のワックスが挙げられる。融点が低く溶融粘度の低いワックスは、定着器の加熱温度が低い場合でも、結着樹脂よりも先に溶融してトナー表面に染み出すことで、オフセットを防止することができる。より具体的には、エステル系ワックス、パラフィン系ワックスが挙げられる。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、例えば、1〜30質量部、好ましくは、3〜15質量部の割合で配合される。
(帯電制御樹脂微粒子)
本発明の製造方法によって得られる正帯電トナーは、母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を有している。帯電制御樹脂微粒子は、帯電制御樹脂を主成分とする微粒子である。帯電制御樹脂としては、極性基を有するものが好適に用いられ得る。極性基を含有することで良好な分散にされた帯電制御樹脂微粒子懸濁液を得ることができ、母粒子に対して均一に帯電制御樹脂微粒子を固着させることができる。極性基としては、第4級アンモニウム基、第4級アンモニウム塩構造を有する基、アミノ基、ホスホニウム塩構造を有する基が好適に適用され得る。特に、塩構造を有する基が好適に適用され得る。当該帯電制御樹脂としては、第4級アンモニウム(塩)基を含有するものが、最も好適に用いられ得る。塩構造を有することで中和剤や界面活性剤の使用を省略又は抑制しても安定な懸濁液を得ることができる。
第4級アンモニウム基を有する帯電制御樹脂としては、メタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムサルフェイトなどの第4級アンモニウム基を有する重合性成分と他のビニル系モノマーなどの共重合性成分との共重合体が挙げられる(特開平8−220809号公報)。共重合性成分としては、特に制限するものではなく、重合性の不飽和結合を持つものであればいずれも使用可能である。具体例としては、スチレン、o,m,p−クロルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、アクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらビニル系モノマー類の中でも、スチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種を用いるのが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素原子数1〜18個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いるのが好ましい。
第4級アンモニウム(塩)基を含有する前記帯電制御樹脂としては、上記のほか、特開昭63−60458号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報、特開平11−15192号公報等の記載に準じて製造される4級アンモニウム(塩)基含有共重合体が用いられ得る。市販されているものとしては、例えば、藤倉化成株式会社製 商品名「FCA−207P」(スチレン83%、アクリル酸ブチル15%、及びN,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム=P−トルエンスルホン酸2%からなる、重量平均分子量(Mw)=12,000、ガラス転移温度(Tg)=67℃の合成樹脂)や、同社製 商品名「FCA−201PS」等が挙げられる。
帯電制御樹脂は、重量平均分子量(Mw)で3000〜10万の範囲で設定されるのが好ましい。分子量が3000より小さいと、加熱固着時にトナー同士が凝集・融着しやすくなり、粒子径制御が困難となる。また、強度が弱くなり、印字耐久性が低下してしまう傾向があるからである。一方、分子量が10万を超えると、微粒子化する際に粒子径が大きくなりやすく、十分な帯電性付与を行うことが困難となる。また低温定着性に悪影響を及ぼす可能性が高くなるからである。
帯電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は、前記トナー母粒子と同等かそれより少し高いことが好ましい。例えば、前記トナー母粒子のTgが60℃である場合、当該帯電制御樹脂のTgは60〜70℃に設定されるのが好ましい。
帯電制御樹脂の有する極性基の量は、共重合条件によって適宜調整され得る。例えば、スチレン−アクリル共重合体系の帯電制御樹脂を用いる場合、極性基の量は、共重合させるアクリル量によって調整され得る。
帯電制御樹脂の微粒子の粒径が小さいほど、母粒子の表面に当該微粒子がより均一に被覆されるため、好適である。したがって、母粒子の平均粒径に対して十分に小さく、帯電制御樹脂微粒子の固着により得られるトナー母粒子の平均粒径に実質的に影響を与えない程度の平均粒径とすることが好ましい。帯電制御樹脂微粒子の平均粒径は、得ようとするトナーの平均粒径にもよるが、平均粒径は、約50〜250nm程度とすることが好ましい。なお、帯電制御樹脂微粒子の平均粒径は、動的光散乱法(レーザードップラー法)を利用した粒度分布計 ナノトラック UPA150(日機装社製)を用いることにより求めることができる。具体的には、実施例に記載の方法を採用することができる。
(外添剤)
外添剤としては、無機粒子や合成樹脂粒子が用いられ得る。無機粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが用いられ得る。シリカ微粉体の疎水化処理としては、シリコーンオイルやジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等が挙げられる。合成樹脂粒子としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子、等が用いられ得る。外添剤の添加量は、特に限定されないが、前記トナー母粒子と前記帯電制御樹脂とからなるトナー本体100質量部に対して、通常、0.1〜6質量部である。
(正帯電トナーの製造方法)
以下、本発明の正帯電トナーの製造方法について説明する。本発明の正帯電トナーの製造方法は、ポリエステル樹脂を主体とし母粒子の表面に正帯電性の帯電制御樹脂微粒子を有するトナー母粒子を含む正帯電トナーの製造方法であり、母粒子懸濁液準備工程と、トナー母粒子作製工程と、洗浄工程と、を備えることができる。本発明の製造方法は、いわゆる溶解懸濁法及び乳化凝集法に包含されるものであるが、なかでも、結着樹脂を乳化剤により乳化して得られる樹脂微粒子(母体微粒子)を凝集することにより所望の大きさの母粒子を製造する乳化凝集法に適している。以下、図1を参照しながら、ポリエステル樹脂溶液から母体微粒子懸濁液を調製し、その後母体微粒子を凝集して所定の母粒子懸濁液を得て、当該母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を固着してトナー母粒子を作製し、洗浄を経て最終的にトナーを製造する一例について説明する。
(母粒子懸濁液準備工程)
母粒子懸濁液準備工程は、ポリエステル樹脂を含有する樹脂溶液の調製ステップS10と、この樹脂溶液と水系媒体との混合乳化を経て母体微粒子を作製する母体微粒子作製ステップS20と、母粒子作製ステップS30、母粒子を洗浄しその後懸濁する母粒子懸濁液調製ステップS40とを備えている。
(樹脂溶液の調製)(ステップS10)
図1に示すように、まず、結着樹脂と着色剤と必要に応じて離型剤を有機溶剤に溶解または分散させる。結着樹脂は溶剤中に溶解することが好ましい。着色剤として顔料を使用する場合には、顔料は溶解しないため微分散させる。離型剤も溶解することが好ましいが微分散していれば必ずしも溶解していなくてもよい。樹脂溶液の調製にあたっては、有機溶剤の沸点以下の温度に適宜加熱してもよい。特に、離型剤を溶解又は分散させる場合には、加熱することが好ましい。
有機溶媒は、沸点未満の温度でワックスを溶解することが好ましいが、結着樹脂の乳化を促進すべく、ある程度の水溶性を示すことが好適である。特に、本発明の製造方法では、好適には、樹脂溶液の乳化安定化に対して界面活性剤などの分散剤の使用を低減することが好ましい。この結果、結着樹脂の親水性基を中和する必要があるため、完全に疎水性の溶媒を使用すると中和反応が進行しないため乳化安定化が困難となる。そのため、ある程度の水溶性を有する溶剤が好適である。そのような有機溶媒として、25℃の水に対して1〜100%相溶可能である有機溶媒が好ましく、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独使用または併用することができる。好ましくは、沸点50〜100℃、好ましくは、60〜90℃の有機溶媒、具体的には、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃、常圧時(1気圧))、テトラヒドロフラン(沸点:65℃、常圧時)が挙げられる。有機溶媒は、結着樹脂100質量部に対して、例えば、100〜2000質量部、好ましくは、200〜1000質量部の割合で配合される。
樹脂溶液の調製にあたっては、着色剤をあらかじめ溶剤に微分散させた着色剤分散液を調製しておくことが好ましい。着色剤分散液の調製方法としては、着色剤と溶剤と分散剤を混合し、ディスパーやホモジナイザーなどでプレ分散させた後、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどの分散機で微分散させる方法等が挙げられる。あらかじめ着色剤分散液を調製した場合には、着色剤の凝集を防ぐため、樹脂溶液を調製する際に、まず着色剤分散液を溶剤でゆっくりと希釈したのち、樹脂や離型剤を混合して溶解・分散させる方法が好ましい。
なお、溶剤に溶解する染料などを使用する場合にはとくに分散させる必要はない。また顔料を微分散させるために顔料分散用の分散剤を使用することが好ましい。分散剤としては界面活性剤や高分子分散剤などが用いられる。また結着樹脂を分散剤として機能させることも可能であるため、分散剤として結着樹脂を用いても良い。
(母体微粒子懸濁液の調製)(ステップS20)
次に、図1に示すように、樹脂溶液と水系媒体とを混合乳化させた乳化液を調製後、有機溶剤成分を揮発除去することにより水系媒体に母体微粒子が分散した懸濁液を調製する。
水系媒体としては、水又は水と相溶する有機溶剤との混液が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アルコール類が挙げられる。また、水系媒体に含まれていてもよい添加剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤が挙げられる。水系媒体は、本発明の製造方法においては、アルカリ性水溶液として調製されることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、例えば、アミン類などの塩基性有機化合物を水に溶解した有機塩基水溶液や、例えば、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウムなどのアルカリ金属を水に溶解した無機塩基水溶液が挙げられる。例えば、無機塩基水溶液は、例えば、0.1〜5N(規定)、好ましくは、0.2〜2N(規定)の、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液として、調製される。なお、水の混入により樹脂溶液に溶解しにくいワックスが配合される場合には、ワックスの析出防止の観点から、好ましくは、有機塩基水溶液が用いられる。
乳化には、ホモジナイザー等でせん断を加えることでトナー粒子径よりもずいぶん小さい100〜500nmレベルの大きさに乳化することができる。この状態で乳化安定化させて溶剤を除去することでnmレベルの母体微粒子が分散した懸濁液を得ることができる。乳化には分散剤を使用することが好ましい。しかし分散剤はトナーの帯電性能に大きな影響を及ぼすため、できるだけ少量の添加で乳化安定化できるものを選択することができる。
本発明の製造方法では、分散剤を使用せず、中和剤(水酸化ナトリウムなどのアルカリの水溶液)を使用することで結着樹脂に含まれる酸基(カルボキシル基など)を中和することにより結着樹脂自身に親水性を付与することで乳化安定化を図ることが好ましい。中和剤は具体的には水酸化ナトリウムを使用しており、水系媒体に混合しておくか、樹脂溶液に混合しておく、あるいは樹脂溶液と水系媒体を混合してから添加することにより乳化安定化を行う。
乳化が安定化していれば溶剤除去操作を行うことができる。乳化液から有機溶媒を除去するには、送風、加熱、減圧またはこれらの併用など、公知の方法が用いられる。例えば、不活性ガス雰囲気下、例えば、常温〜90℃、好ましくは、65〜80℃で、初期の有機溶媒量の80〜95重量%程度が除去されるまで加熱する。この結果、水性媒体から有機溶媒が除去されて、着色剤およびワックスが均一に分散した結着樹脂の樹脂微粒子が水性媒体中に分散する懸濁液(スラリー)が調製される。母体微粒子の樹脂微粒子の体積平均粒子径は、例えば、約50nm以上1000nm以下程度とすることが好ましい。体積平均粒子径が50nm未満であると凝集時に多量の凝集剤を要する傾向が大きくなり、1000nmを超えると凝集させた際シャープな粒度分布のトナー母粒子を得られにくくなる傾向があるからである。
なお、母体微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法(レーザードップラー法)を利用した粒度分布計 ナノトラック UPA150(日機装社製)を用いることにより求めることができる。具体的には、実施例に記載の方法を採用することができる。
なお、乳化は、樹脂溶液を水系媒体に配合してもよいし、水系媒体を樹脂溶液に配合してもよい。また、本発明ではポリエステル樹脂を用いるため、樹脂溶液に予めアルカリ性水溶液やアミン系溶剤を配合して中和しておき、それに水を配合してもよく、さらには、予め中和した樹脂溶液に水を配合することもできる。
(母粒子の作製)(ステップS30)
本ステップS30では、上記ステップS20で得た母体微粒子を凝集させて母粒子を得る。まず、母体微粒子懸濁液を必要に応じて水で希釈して懸濁液中の固形分濃度を調整する。この液には、乳化凝集のための無機金属塩(凝集剤)、アルカリ(分散助剤)及び非イオン界面活性剤(分散助剤)のいずれかが使用されていてもよい。凝集剤としては、例えば、カチオン性界面剤、硝酸カルシウムなどの無機金属塩、例えば、ポリ塩化アルミニウムなどの無機金属塩の重合体などが挙げられる。本発明においては、好ましくは無機金属塩又はその重合体である。分散助剤としては、水酸化ナトリウムなどアルカリ水溶液等公知の分散助剤等が挙げられる。また、分散助剤としての非イオン性界面活性剤としては、、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられます。好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
凝集では、例えば、0.01〜1.0N(規定)、好ましくは、0.05〜0.5N(規定)に調製された凝集剤水溶液を、懸濁液100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部となる割合で添加し、攪拌する。攪拌は、特に制限されないが、例えば、まず、ホモジナイザーなどの高速分散機により懸濁液を分散後、次いで、攪拌翼付攪拌機により懸濁液が全体的に流動する程度に混合する。攪拌翼は、公知のものが用いられ、平板タービン翼、プロペラ翼、アンカー翼などが用いられる。さらに、超音波分散機により攪拌することもできる。なお、攪拌時の液温は、例えば、10〜50℃、好ましくは、20〜30℃であり、攪拌時間は、例えば、5〜60分、好ましくは、10〜30分である。その後、加熱することで凝集状態を均一化するのが好適である。加熱温度は、例えば、粒子が融合しない程度の温度まで加熱する。液温は母体微粒子のTgよりも低い温度で行うことが粗大粒子発生防止の点で好ましい。例えば、例えば、35〜60℃であり、より好ましくは40℃以上45℃以下程度に加熱する。
母体微粒子が所望の大きさの凝集体を形成したら、凝集停止剤を添加する。母粒子の体積平均粒子径は例えば、6μm以上10μm以下程度である。凝集停止剤としては凝集剤とは逆極性のイオン性界面活性剤やアルカリ水溶液を用いる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液を添加する。なお、母粒子の粒子径は、コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター製)などのコールター法を用いることができる。具体的な測定方法としては、実施例に記載の方法を採用できる。
凝集停止剤を添加した後、凝集体を加熱により融合させる。すなわち、攪拌を継続しつつ、樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度で加熱する。例えば、55〜100℃、好ましくは、65〜95℃で加熱する。例えば、液温90℃まで加熱する。凝集体が融合して形状変化が起きるので、所望の形状になったところで加熱攪拌を停止して懸濁液を回収する。
凝集停止剤としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属が挙げられる。また、イオン性界面活性剤を使用してもよい。凝集停止剤の添加では、例えば、0.01〜5.0N(規定)、好ましくは、0.1〜2.0N(規定)に調製されたアルカリ金属水溶液を、懸濁液100質量部に対して、例えば、0.5〜20質量部、好ましくは、1.0〜10質量部となる割合で添加し、攪拌を継続する。
母粒子懸濁液の作製工程にあたって、アルカリ、無機金属塩及び非イオン性界面活性剤が添加されている場合に本発明の製造方法は特に有用である。本発明によれば、母粒子懸濁液の導電率の制御によりこれらの添加物が母粒子懸濁液から低減され、結果として正帯電トナーの帯電特性に対する悪影響が低減されるからである。
(母粒子懸濁液の調製)(ステップS40)
本ステップS40では、導電率が70μS/cm以下である母粒子懸濁液を準備する。通常、上記ステップS30で得られた凝集停止後の母粒子懸濁液中にはトナーサイズに形成された母粒子と母体微粒子の凝集に使用した各種添加剤が水系溶媒中に分散または溶解した状態で存在する。しかしながら、母粒子懸濁液につき上記のような導電率の制御により、母粒子懸濁液に正帯電制御樹脂微粒子が供給されたときに生じることのある各種添加剤の析出及び母粒子表面への付着が効果的に抑制されてトナーの正帯電特性の低下が抑制される。
母粒子懸濁液の導電率は70μS/cm以下であると、良好な帯電特性の正帯電トナーを得ることができる。当該導電率を超えると、帯電制御樹脂微粒子を外添後に洗浄しても良好な帯電特性の正帯電トナーを得ることができない。より好ましくは40μS/cm以下である。また、母粒子懸濁液の導電率は、通常、0.5μS/cm以上である。
ステップS30で得られた母粒子懸濁液の導電率を上記所定導電率以下とするには、母粒子を懸濁する水系媒体の少なくとも一部を置換することが好ましい。具体的には、母粒子懸濁液の水系媒体のみを少なくとも一部除去して導電率の低い水系媒体(以下、低導電率媒体ともいう。)で置換する。より具体的には、母粒子と懸濁液とを固液分離し、固液分離後に固形分である母粒子を低導電率媒体で洗浄し、洗浄液や次工程で使用する低導電率媒体等に再懸濁する。必要に応じてこれらの工程を繰り返すことにより、所望の導電率の母粒子懸濁液を得ることができる。この種の固液分離には、公知の手法を適宜採用することができる。固液分離法としては、好ましくは、減圧ろ過、加圧ろ過などのろ過法及び遠心分離法である。例えば、ろ過法としては、連続式ベルトフィルターによる減圧ろ過、フィルタープレスによる加圧ろ過が挙げられる。遠心分離法としては、ろ材を用いた遠心分離法も採用できる。
母粒子懸濁液の水系媒体の低導電率媒体による置換は、上記のほか、母粒子懸濁液の低導電率媒体による希釈であってもよい。置換形態は、固液分離手法に応じて種々の態様で実施できる。なお、低導電率媒体としては、純水や蒸留水など、一般に純度が高く、導電率が70μS/cmより十分小さい水性媒体を用いることが好ましい。より好ましくは、導電率10μS/cm以下、さらに好ましくは導電率5μS/cm以下、一層好ましくは1μS/sm以下の水などの水性媒体を用いる。また、再生懸濁するときの分散媒体としても、こうした導電率のものを用いることが好ましい。
洗浄後の母粒子を水などの分散液(導電率が10μS/cm以下)に再懸濁することで、意図した導電率の母粒子懸濁液を得ることができる。なお、ステップS30で得られる母粒子懸濁液の導電率が70μS/cm以下であるときには、必ずしも洗浄による導電率の調整は必要ではない。しかしながら、よりよい帯電特性の正帯電トナーを得るためには、洗浄によってさらに導電率を低くすることが好ましい。
母粒子懸濁液の導電率は、例えば、市販の導電率計により導電率を測定することができる。測定条件としては、例えば、母粒子懸濁液が30℃になるまで冷却し、25℃〜30℃の範囲で測定することができる。
また、母粒子懸濁液中の界面活性剤の含有量を300ppm以下とすることが好ましい。イオン性であっても非イオン性であっても界面活性剤は正帯電トナーの帯電特性に大きく影響し、その濃度が300ppm以下であると正帯電制御樹脂微粒子の均一な固着が可能となる一方、300ppmを超えると正帯電制御樹脂微粒子の母粒子への固着を阻害して正帯電制御樹脂微粒子の均一な固着が困難となり、特に印字耐久においてかぶりが発生しやすくなるからである。
母粒子懸濁液中の界面活性剤濃度の測定は、以下のようにして行った。すなわち、母粒子懸濁液から母粒子成分のみをろ別し、得られるろ液総量を計量し、そのうち200gをビーカーに入れてこれを蒸発乾燥させる。不揮発成分が残るため、この不揮発成分量を計量してろ液中の不揮発成分量を算出する。次に、この不揮発成分を回収して、そのうち約10mgにつき熱重量分析を行う。熱重量分析装置としては、例えば、TG/DTA6220(SIIナノテクノロジー製)又はこれと同程度の精度の熱重量分析が可能な装置を使用する。測定は、専用アルミパンにサンプルを約10mg秤量し、不活性雰囲気(窒素)下、10℃/分の速度で使用する界面活性剤の分解温度まで昇温する。使用する界面活性剤の分解温度範囲(分解開始温度から分解終了温度)の間で分解により重量減少した成分量を界面活性剤成分による重量減少分として、減少割合を読み取る。全不揮発成分量から重量減少分の割合を算出し、ろ液中の界面活性剤量を算出する。ろ液中の界面活性剤量を母粒子懸濁液の濃度とする。なお、予め使用する全ての界面活性剤の分解温度を把握しておくことで、熱重量分析を的確に行うことができる。
(トナー母粒子作製工程)
本工程は、母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、母粒子の表面に帯電制御樹脂微粒子を付着させてトナー母粒子を作製する工程である。母粒子懸濁液では予め導電率の制御により帯電制御樹脂微粒子の固着やその後の帯電特性を不安定化させる不純物が除去されたものとなっている。このため、本トナー母粒子作製工程によれば、母粒子表面に均一に帯電制御樹脂微粒子が固着されているとともに、不純物の付着も抑制されたトナー母粒子を得ることができる。以下、本工程で使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の調製について説明し、その後、トナー母粒子の作製について説明する。
(帯電制御樹脂微粒子懸濁液の調製)
本発明の製造方法では、母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を付与する方法を採用する。母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子を付与し固着させることで少量の帯電制御剤で効果的に帯電付与することができる。さらに液中で母粒子表面に付着・固着処理を行うことで、乾式に比べてより均一な処理を行うことができる。以下の説明においては、帯電制御樹脂微粒子として第4級アンモニウム塩基を含有するスチレンアクリル共重合体の微粒子を例として挙げて説明する。
まず、帯電制御樹脂とこれを溶解あるいは膨潤させることができる有機溶剤と水を混合して、ホモジナイザーなどの高速攪拌機で乳化させる。帯電制御樹脂の極性基構造に依存するが、この極性基を有することで、分散剤を添加することなく安定な乳化状態を形成することが可能である。この乳化液から有機溶剤成分を加熱減圧など公知の方法で除去することにより帯電制御樹脂微粒子が水系媒体に分散した懸濁液を得ることができる。帯電制御樹脂微粒子の大きさは、樹脂と溶剤と水の比率と攪拌機のせん断力を調整することで制御することが可能である。また樹脂のもつ極性基量や分子量などによっても大きさは制御される。帯電制御樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、50nm以上250nm以下とすることができる。なお、帯電制御樹脂微粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布計ナノトラック NPA150(UPA150)(日機装社製)を用いるレーザー散乱法により求めることができる。具体的には、実施例に記載の方法を採用することができる。
以上説明した帯電制御樹脂微粒子懸濁液の製造方法によれば、溶液重合で製造した帯電制御樹脂について残存モノマーを低減することが可能である。すなわち、上記方法によれば、溶液重合による樹脂であっても、モノマー成分のほとんどない帯電制御樹脂微粒子懸濁液を調製することが可能であり、本発明の正帯電トナーの製造方法に好適な帯電制御樹脂微粒子を得ることができる。なお、帯電制御樹脂微粒子の樹脂としては乳化重合法やソープフリー乳化重合法で製造したものも用いることも可能である。
(母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液との混合)
この母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子懸濁液とをそれぞれ所定量混合し、母粒子と帯電制御樹脂微粒子とがよく接触するよう攪拌するなどした後、所定の条件で加熱処理することで母粒子表面に帯電制御樹脂微粒子が固着したトナー母粒子を作製できる。帯電制御樹脂微粒子はトナー表面にある程度埋没していることが好ましく、そのためには母粒子のTg前後の液温で帯電制御樹脂微粒子を固着させることが好ましい。例えば、母粒子Tgが55℃である場合、帯電制御樹脂微粒子を混合して55℃で15〜60分加熱攪拌を行うことが好ましい。
トナー母粒子作製工程における以下の式(1)で表される帯電制御樹脂微粒子係数が0.014以上であることが好ましい。
帯電制御樹脂微粒子係数=[(帯電制御樹脂微粒子量(mg)/母粒子量(mg)×100]/母粒子懸濁液の導電率(μS/cm)・・・・・・(1)
(ただし、帯電制御樹脂微粒子量は使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の全量に含まれる帯電制御樹脂微粒子の量であり、母粒子量は使用する母粒子懸濁液の全量に含まれる母粒子量である。)
上記式(1)における帯電制御樹脂微粒子係数が0.014以上となるように帯電制御樹脂微粒子を含有する懸濁液を用いることで、安定した帯電特性を発揮可能な程度の帯電制御樹脂微粒子を固着させることができ、良好な帯電特性の正帯電トナーをルことができる。すなわち、本製造方法によれば、母粒子懸濁液のコントロールされた導電率を指標として用いる帯電制御樹脂微粒子量を決定することで帯電制御樹脂微粒子使用量を最適化あるいは低減することができる。
なお、上記式(1)における母粒子量及び帯電制御樹脂微粒子量は、それぞれ母粒子作製工程で使用した母粒子懸濁液及び帯電制御樹脂微粒子懸濁液の不揮発成分量として測定できる。懸濁液中の不揮発成分量の測定は、液全量を計量しておき、そのうち2〜20gをアルミ容器に採取して、これを50℃の乾燥機中で蒸発乾燥させて、不揮発成分量を算出することができる。なお、アルミ容器への採取量は、不揮発成分量をおおよそ予測して決定することができる。不揮発成分量が多く予想される場合(母粒子懸濁液や帯電制御樹脂微粒子懸濁液)は、2g程度を採取することができる。
以上説明した母粒子作製工程では、母粒子の表面に帯電制御樹脂微粒子を備えるトナー母粒子を、当該粒子を含有する懸濁液の状態で得ることになる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、得られたトナー母粒子懸濁液をろ過などによりトナー母粒子を回収し、洗浄することができる。洗浄は、既に説明した母粒子懸濁液における導電率の調整の場合と同様に、トナー母粒子懸濁液の少なくとも一部を低導電率媒体に置換することによる行う。具体的には、トナー母粒子懸濁液の固液分離と低導電率媒体による再懸濁を適数回行うことにより実施できる。洗浄工程は、最終的に得られるトナー母粒子を10質量%の固形分として含有する懸濁液としたとき、この懸濁液の導電率が5μS/cm以下となるように実施することが好ましい。より好ましくは、3μS/cm以下である。上記工程を経て得られた母粒子懸濁液において、こうした導電率であると、十分量の帯電制御樹脂微粒子を備えるとともに、界面活性剤などの不純物の影響が回避又は抑制されたものとなっている。なお、上記懸濁液の調製にあたっては、導電率1μS/cm以下の水を分散液として使用してトナー母粒子の懸濁液を調製する。
導電率の測定対象であるトナー母粒子懸濁液は、好ましくは、トナー作製に先立つ乾燥工程に供給される直前の段階のトナー母粒子の懸濁液である。すなわち、適数回の固液分離及び再懸濁を経てウェットケーキとして得られるトナー母粒子を水などの低導電率媒体に再懸濁したときの懸濁液である。
こうして最終的に得られるトナー母粒子を回収し、乾燥して、帯電制御樹脂微粒子を表面に固着したトナー母粒子を得る。乾燥は、例えば、水分量1質量%以下まで乾燥させるのが好ましい。乾燥法は、特に限定されず、一般的な乾燥法が使用される。例えば、流動層乾燥や気流式乾燥(フラッシュジェットドライ:セイシン企業製)などが使用できる。
(トナーの作製工程)
以上の工程によって得られたトナー母粒子は、それ自体十分に帯電するが、トナーとして、流動性や保存安定性を向上させるため、トナー母粒子表面に外添剤を付着させることが好ましい。特にシランカップリング剤などで疎水化処理された無機酸化物を外添することが好ましい。外添剤の添加後のトナー母粒子は、篩等で粒子制御して最終的にトナーとすることができる。
以上説明した本発明の正帯電トナーの製造方法によれば、帯電特性の良好な正帯電トナーを得ることができる。すなわち、十分量の正帯電トナーを均一にトナーに保持しているため、初期の帯電立ち上がりも良好でかぶりなどの画像不良も生じにくいものとなっている。また、同時に界面活性剤などの不純物も低減されているため、帯電特性は安定して保持され、長期にわたり安定して良好な画像を形成することができる。
なお、本発明の正帯電トナーの製造方法によって得られる正帯電トナーは非磁性一成分系トナーとして好ましく用いることができるほか、例えば適当なキャリアと配合して二成分系トナーとしても用いることが可能である。キャリアとしては、カスケード現像方式を実施する場合には樹脂コートしたガラスビーズやスチール球等が、磁気ブラシ現像方式を実施する場合にはフェライトや微粉鉄、あるいはいわゆるバインダー型キャリア等が用いられる。
また、本発明の正帯電トナーの製造方法によって得られる正帯電トナーは、電子写真方式及び静電記録方式の各種のモノクロ/カラーレーザープリンタ、ファクシミリ、コピー機及び複合機などの画像形成装置のトナーとして用いることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定するものではない。また、以下の実施例において「部」は質量部を表すものとし、「%」は質量%を表すものとする。
本実施例では、計8種類のトナー(トナー1〜5は本発明の実施例であり、トナー6〜8は比較例である。)を作製した。各トナーの作製工程における各種項目を表1に示す。なお、トナー作製工程における各種項目についての測定方法は以下のとおりとした。
(1)ガラス転移温度(DSC)
示差走査熱分析装置(DSC6220、SIIナノテクノロジー製)を使用して測定した。試料約5mgを専用アルミパンに入れ、−10℃から170℃まで10℃/minで昇温し(1strun)、次いで、10℃/minで−10℃まで降温した後、再び170℃まで10℃/minで昇温した(2nd run)。リファレンスにはアルミ板9.7mgを同じアルミパンに入れたものを使用した。本発明で示すガラス転移温度Tgは2nd runにおける中点ガラス転移温度を意味する。
(2)分子量
樹脂成分をTHFに溶解させて、不溶解分はDISMIC(直径0.2μm、PTFE製:ADVANTEC)でろ別して、THF溶解分だけを採取する。これをGPC測定器で測定し、標準ポリスチレン換算による分子量分布を算出した。
(3)導電率
導電率計(COND METER ES−51:堀場製作所製)使用して、被験液の液温が30℃以下になるまで冷却し、25℃〜30℃の範囲で測定を行った。
(4)粒子径測定方法
(母体微粒子の粒子径および帯電制御樹脂微粒子)
測定装置としては日機装製ナノトラックUPA150を使用した。カーボンを含有している母体微粒子は、溶媒屈折率1.33(水)、粒子屈折率1.91の条件で測定した。またカーボンを含有していない帯電制御樹脂微粒子は粒子屈折率を1.51の条件で測定した。サンプルは微粒子が分散している懸濁液を測定部に装置の測定条件の適正濃度範囲に入るように適宜濃度を調整して、スポイトで数滴投入して、測定時間120秒という条件で3回測定を行い、50%粒子径を平均径として採用した。
(母粒子の粒子径)
測定装置はコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター製)を用い、アパーチャ径100μmとした。具体的には、母粒子0.2gを50ccの蒸留水と分散剤(ペレックスOT−P:花王)を0.1%の水溶液にしたものを数滴混合して、必要に応じて超音波分散などをして懸濁液を調製したものを準備し、上記測定器に2mlスポイトで3〜5滴投入して、約50000個の粒子を計測した。得られた体積基準の粒度分布の50%粒子径を平均径として採用した。
(5)懸濁液中の不揮発分(固形分)
懸濁液中の不揮発成分量の測定は、液全量を計量しておき、そのうち2〜20gをアルミ容器に採取して、これを50℃の乾燥機中で蒸発乾燥させて、不揮発成分量を算出した。
母粒子懸濁液、帯電制御樹脂微粒子懸濁液)については、2gを採取。不揮発成分濃度はあらかじめ予想ができるため、不揮発成分が多いもの(例えば母体微粒子懸濁液や少ないもの(ろ液中の不揮発成分)については約20gを採取して蒸発させた。
(6)母粒子懸濁液中の界面活性剤量
母粒子懸濁液から母粒子成分のみをろ別し、得られるろ液総量を計量し、そのうち200gをビーカーに入れてこれを蒸発乾燥させた。不揮発成分が残るため、この不揮発成分量を計量し、ろ液中不揮発成分を算出した。この不揮発成分を回収して、そのうち約10mgにつき熱重量分析を行う。熱重量分析装置としてはTG/DTA6220(SIIナノテクノロジー製)を使用した。専用アルミパンにサンプルを約10mg秤量し、不活性雰囲気下(窒素)で10℃/minの速度で300℃まで昇温し、300℃で15分温度維持した。本件で使用する界面活性剤がこの温度においてすべて分解することから、この条件において重量減少した成分を界面活性剤成分として、減少割合を読み取った。全不揮発成分量から重量減少分の割合を算出し、ろ液中の界面活性剤量を算出した。
Figure 2009244653
(母粒子懸濁液Aの調製)
ポリエステル樹脂FC1565(Tg64℃、Mn5000、Mw98000、ゲル分1.5wt%、酸価6.1KOHmg/g:三菱レイヨン製)15部とカーボンブラック#260(三菱化学製)15部とMEK70部を混合し、ホモジナイザー(サイレントクラッシャーM、シャフト18F:ハイドルフ製)10000rpmで10分間プレ分散した後、この着色剤分散液100部と直径1mmのジルコニアビーズ450部をビーズミル装置(RMB−04:アイメックス製)に投入し、攪拌速度2000rpmで60分間分散処理した。この着色剤分散液を回収し、着色剤分散液60部にMEK690部をゆっくりと混合した後、さらにFC1565153部とユニスターH476(日本油脂製)9部を混合して攪拌し、これを液温50℃に加熱攪拌して樹脂溶液を調製した。
この樹脂溶液900部と50℃に加熱した蒸留水900部と1規定の水酸化ナトリウム水溶液9部とを混合し、ホモジナイザー(シャフト22F)にて回転数15000rpmで20分間攪拌して乳化させた。これを2Lセパラブルフラスコに移し、窒素を気相中へ送気しながら75℃で140分間加熱攪拌してMEKを除去し、母体微粒子懸濁液を得た。母体微粒子の体積平均径はメジアン径として290nmであった。
この母体微粒子懸濁液を蒸留水で希釈して固形分濃度10%に調整した後、この懸濁液1600部に対して、ノニオン界面活性剤(ノイゲンXL50:第一工業製薬製)2.6部を混合した後、凝集剤として0.2規定の塩化アルミニウム水溶液35部を投入してホモジナイザー8000rpmで混合攪拌した。この液を、6枚平板タービン翼(直径75mm)で300rpmで攪拌しながら液温44℃に加熱して母体微粒子を凝集させた。その後、凝集停止剤として0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液46部を投入したのち、液温90℃まで昇温し、約6時間攪拌した。 得られた母粒子の体積平均粒子径Dvは8.1μmでありDv/Dnは1.17であった(Dnは個数平均粒子径)。
(帯電制御樹脂Aの製造方法)
1Lセパラブルフラスコにスチレンモノマー225部とアクリルモノマー(ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド4級塩(アクリエステルDMC:三菱レイヨン)15部とアクリル酸ブチル30部とアゾ系重合開始剤(V65:和光純薬)5部とMEK250部を仕込んだ。窒素ガス流速50ml/minで吹き込み30分間バブリングした後、30ml/minで気相部分に送気しながら液温70℃に加熱した。6枚平板タービン翼で150rpmで攪拌しながら約10時間重合した。重合反応後に減圧加熱炉に移してMEKを脱溶剤して帯電制御樹脂を得た。この樹脂のTgは66℃で、Mwは13000であった。
(帯電制御樹脂微粒子懸濁液Aの調製)
得られた帯電制御樹脂160部とMEK740部と蒸留水900部とを混合して、ホモジナイザー16000rpmで20分間攪拌して乳化した。その後、液温60℃に加熱減圧することでMEKを揮発除去した。得られた帯電制御樹脂微粒子懸濁液の微粒子の体積平均径は110nmであった。この懸濁液中の不揮発成分は19.9wt%であった。
(実施例1)
(トナー1の製造)
(母粒子懸濁液Aの導電率の調整)
母粒子懸濁液Aを減圧濾過して脱水し、さらに導電率0.8μS/cm(液温20℃)の蒸留水500部でリンス洗浄した後、母粒子ケーキを同様の蒸留水で再懸濁して、1600部の母粒子懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は3.3μS/cm(液温23℃)であった。またこの懸濁液中の界面活性剤濃度は7ppmであった。
(帯電制御剤の固着処理)
この懸濁液1600部に帯電制御樹脂微粒子懸濁液Aを2.0部混合し、液温55℃で30分間混合攪拌した。攪拌は6枚平板タービン翼170rpmで行った。その後、この懸濁液を減圧濾過して、蒸留水1000部でリンス洗浄し、含水率43wt%のトナー母粒子ケーキを得た。このトナー母粒子ケーキ約23gと蒸留水77g(導電率0.8μS/cm、液温23℃)を混合して固形分約10%のトナー母粒子懸濁液を調製し、この液の導電率を測定したところ、2.4μS/cmであった。さきのトナー母粒子ケーキを乾燥機内(機内温度50℃)で24時間以上乾燥させて、含水率1%未満のトナー母粒子を得た。
このトナー100部に対して疎水性シリカHVK2150(クラリアント製)1部とNA50H(アエロジル製)1.5部を配合して、メカノミル(岡田精工製)にて回転数2500rpmで3分間攪拌することにより外添した。外添後のトナーから篩によってシリカの粗大凝集物を除去し、非磁性1成分の正帯電性トナーを得た。
(実施例2)
(トナー2の製造)
(母粒子懸濁液Bの調製)
ポリエステル樹脂FC1494(Tg63℃、Mn5100、Mw150000、ゲル分1.2wt%、酸価6.5KOHmg/g:三菱レイヨン製)15部とカーボンブラック#260(三菱化学製)15部とMEK70部を混合し、ホモジナイザー(サイレントクラッシャーM、シャフト18F:ハイドルフ製)10000rpmで10分間プレ分散した後、この着色剤分散液100部とΦ1mmのジルコニアビーズ450部をビーズミル装置(RMB−04:アイメックス製)に投入し、攪拌速度2000rpmで60分間分散処理した。この着色剤分散液を回収し、着色剤分散液60部にMEK690部をゆっくりと混合した後、さらにFC1494153部とユニスターH476(日油製)9部を混合して攪拌し、これを液温50℃に加熱攪拌して樹脂溶液を調製した。
この樹脂溶液900部と50℃に加熱した蒸留水900部と1規定の水酸化ナトリウム水溶液9部とを混合し、ホモジナイザー(シャフト22F)にて回転数13000rpmで20分間攪拌して乳化させた。これを2Lセパラブルフラスコに移し、窒素を気相中へ送気しながら75℃で140分間加熱攪拌してMEKを除去し、母体微粒子懸濁液を得た。母体微粒子の体積平均径はメジアン径として320nmであった。
この母体微粒子懸濁液を蒸留水で希釈して固形分濃度10%に調整した後、この懸濁液1600部に対して、ノニオン界面活性剤(ノイゲンXL50:第一工業製薬製)5.2部を混合した後、凝集剤として0.2規定の塩化アルミニウム水溶液38部を投入してホモジナイザー8000rpmで混合攪拌した。この液を、6枚平板タービン翼(直径75mm)で300rpmで攪拌しながら液温44℃に加熱して母体微粒子を凝集させた。その後、凝集停止剤として0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液48部を投入したのち、液温90℃まで昇温し、約6時間攪拌した。得られた母粒子の体積平均径Dvは7.8μmであった。またDv/Dnは1.18であった。
この母粒子懸濁液Bを減圧濾過して脱水し、蒸留水250部でリンス洗浄した後、母粒子ケーキを蒸留水で再懸濁して、1600部の母粒子懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は13μS/cmであった。また界面活性剤濃度は21ppmであった。この懸濁液1600部に対して帯電制御樹脂微粒子懸濁液A9.6部を添加したこと以外はトナー1と同様にしてトナー2を得た。
(実施例3)
(トナー3の製造)
(帯電制御樹脂微粒子懸濁液Bの調製)
帯電制御樹脂Aを帯電制御樹脂微粒子懸濁液Aと同様の組成比で混合し、ホモジナイザー13000rpmで攪拌した点以外は、懸濁液Aと同様にして帯電制御樹脂微粒子懸濁液Bを調製した。この懸濁液中の微粒子の体積平均径は210nmであった。また不揮発成分は20.1wt%であった。
母粒子懸濁液Bを減圧濾過して脱水し、蒸留水200部でリンス洗浄した後、母粒子ケーキを蒸留水で再懸濁して、1600部の母粒子懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は15μS/cmであった。また、界面活性剤濃度は50ppmであった。この懸濁液1600部に対して帯電制御樹脂微粒子懸濁液B9.6部を添加したこと以外はトナー1と同様にしてトナー3を得た。
(実施例4)
(トナー4の製造)
母粒子懸濁液Aを減圧濾過して脱水し、導電率0.8μs/cmの蒸留水100部でリンス洗浄した後、母粒子ケーキを同様の蒸留水で再懸濁して、1600部の母粒子懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は20μS/cmであった。また、この懸濁液中の界面活性剤濃度は31ppmであった。この懸濁液1600部に対して帯電制御樹脂微粒子懸濁液A8部を添加したこと以外はトナー1と同様にしてトナー4を得た。
(実施例5)
(トナー5の製造)
母粒子懸濁液Bを減圧濾過で懸濁液中の溶媒をある程度除去して、含水率が58wt%の濃厚な母粒子懸濁液を調製した。これに蒸留水を追加して1600部の懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は70μS/cmであった。また、界面活性剤濃度は220ppmであった。この懸濁液をトナー4と同様の方法でトナー5を得た。
(比較例1)
(トナー6の製造)
母粒子懸濁液Bを減圧濾過して懸濁液中の溶媒をある程度除去して、含水率が65wt%の母粒子懸濁液とし、これに蒸留水を追加して1600部の懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は100μS/cmであった。この懸濁液中の界面活性剤濃度は320ppmであった。この懸濁液をトナー5と同様の方法で操作してトナー6を得た。
(比較例2)
(トナー7の製造)
母粒子懸濁液A の導電率を測定したところ400μS/cmであった。また、界面活性剤濃度は590ppmであった。この懸濁液1600部に帯電制御樹脂微粒子懸濁液A12.1部を添加してトナー6と同様にしてトナー7を得た。
(比較例3)
(トナー8の製造)
母粒子懸濁液Aを減圧濾過して250部の蒸留水でリンス洗浄した後、再懸濁して1600部の懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は10μS/cmであった。界面活性剤濃度は17ppmであった。
この懸濁液1600部に帯電制御樹脂微粒子懸濁液Aを9.6部添加して、トナー1と同様にして帯電制御樹脂微粒子を母粒子表面に固着処理した。その後、この懸濁液を減圧濾過した。トナー母粒子ケーキの含水率は45wt%であった。このトナーケーキはリンス洗浄なしで回収した。なお、このトナーケーキを約20gと蒸留水80gを混合した懸濁液の導電率は10μS/cmであった。このトナー母粒子を乾燥し、外添はトナー1と同様にしてトナー8を得た。
以下、作製した各トナー1〜8について印字画質評価を行った。評価方法は以下のように行った。得られたトナーをHL−2040(ブラザー工業株式会社製レーザープリンター、現像機TN−350、ドラムユニットDR−350)の現像機に予め定められた方法で充填し、現像ローラ上の帯電量(μS/g)を測定した。
また、上記レーザープリンターを用いて初期印字パターン中のかぶりを目視判断するとともに、高温高湿環境(32.5℃、湿度80%)にて印字耐久性能の評価を行った。すなわち、印字面積率4%の印字パターンを17秒間隔で1枚ずつ印字し、2500枚印字した場合の印字画質を目視評価した。以上の評価において、かぶりが全くないものを◎、凝視しないとかぶり有無が判断できないものを○、A4紙の一部にわずかにかぶりがあるものを△、あきらかにかぶりのあるものを×とした。なお、評価用紙にはXX4200ペーパーを使用した。また、白ベタ印字(無印字だがレーザープリンターで現像工程を経て排出された印字物)を行い、用紙の白色度(Y1)を白色度計で測定し、新品の用紙の白色度(Y0)との差(ΔY=Y1−Y0)を紙上のかぶり値として採用した。なお、測定はA4用紙の四隅と中心の計5箇所を測定して平均化した。これらの結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、実施例のトナー1〜5については、母粒子懸濁液の導電率が3.3〜70μS/cmであり、トナー母粒子の懸濁液(再懸濁液)の導電率は2.4〜4.5μS/cmであった。こうした実施例1〜5のトナーによれば、安定した正極性の帯電量が得られるとともに、初期かぶりもなくまた高温高湿環境でのかぶりも観察されなかった。このことは、初期紙上かぶり値(0.2〜0.7、平均0.34)と高温高湿紙上かぶり値(0.5〜0.9、平均0.60、増加量0.26)とがほとんど変化しないことからも明らかである。すなわち、初期のほか高温高湿環境などの耐久試験においても安定した帯電特性を発揮できることがわかった。
これに対して、比較例1、2であるトナー6、7は、母粒子懸濁液の導電率は100〜400μS/cmを超えていたがトナー母粒子懸濁液(再)は2.4〜3.6μS/cmであった。これらのトナーは、初期かぶり及び高温高湿環境でわずかにかぶりが観察されただけであったが、高温高湿耐久性かぶりが顕著に観察され、トナーの帯電特性が良好でないことがわかった。初期紙上かぶり値(1.1、1.9、平均1.45)に対し高温高湿紙上かぶり値は顕著に増加(2.5,3.4、平均3.0、増加量1.55)していることからも明らかである。比較例6,7の高温高湿紙上かぶり値は実施例1〜5の約5倍であり、同増加量は、実施例1〜5の約6倍であった。
さらに、比較例3であるトナー8は、トナー母粒子の洗浄工程を行っていないトナーであるが、母粒子懸濁液の導電率が10μS/cmであり、トナー母粒子懸濁液が10μS/cmであった。このトナー8では、初期かぶりは観察されなかったが、初期紙上かぶり値は0.9であり、高温高湿環境下で顕著なかぶり(同紙上かぶり値は2.8)が観察され、トナーの帯電特性が良好でないことがわかった。
以上の結果から、母粒子懸濁液の導電率を70μs/cm以下に制御することで、初期かぶり及び高温高湿かぶりを抑制して良好な帯電特性の正帯電トナーが得られることがわかった。特に、高温高湿かぶりの顕著な改善が可能であった。また、高温高湿かぶりの顕著な改善から明らかなように、母粒子懸濁液の導電率制御により、長期間安定的に良好な正帯電特性を発揮するトナーを提供できることがわかった。このことは、従来、母粒子懸濁液中に存在していた各種添加剤の析出物の付着が、高温高湿環境において予想以上に正帯電特性に悪影響を与えていたことを支持している。
また、トナー1〜5においては、母粒子懸濁液の界面活性剤濃度は7〜220ppmであったが、界面活性剤濃度が低いほど初期かぶり(同紙上かぶり値)及び高温高湿かぶり(同紙上かぶり値)が増大する傾向があることがわかった。一方、トナー6及び7については、母粒子懸濁液の界面活性剤量も多く300ppmを超えていた。以上のことから、母粒子懸液の界面活性剤濃度は、導電率の制御により導電率とともに低減されるが、導電率制御により300ppm以下程度には低減されることがわかった。
以上の結果から、トナー母粒子、すなわち、帯電制御樹脂微粒子を母粒子に固着後の洗浄では、帯電特性の改善は困難であるが、帯電制御樹脂微粒子の付与前に母粒子懸濁液の導電率をコントロールすることで正帯電トナーの帯電特性を効果的に改善できることがわかった。特に、高温高湿環境下での帯電特性を効果的に改善できることがわかった。
また、表1に示すように、母粒子懸濁液の導電率が3.3〜70μS/cm以下の範囲で相違しているものの、導電率の大小を考慮して、表1に示すように、母粒子に対する帯電制御樹脂微粒子添加量を調整する(0.25〜1.2)ことで、効率的に正帯電トナーを得ることができる。すなわち、実施例の正帯電トナーの製造においては、母粒子懸濁液においてコントロールした導電率を利用して外添する帯電制御樹脂微粒子の量を調節することが可能であることがわかった。したがって、母粒子懸濁液のコントロールされた導電率を利用して効果的な量の帯電制御樹脂微粒子量を容易に決定でき、帯電制御樹脂微粒子量の使用量を低減できる場合もあることがわかった。
これらの関係を、表1に示す帯電制御樹脂微粒子係数(母粒子懸濁液の導電率(μS/cm)に対する帯電制御樹脂微粒子の対母粒子固形分比率(%))で表すことができる。当該係数は、母粒子懸濁液の導電率に当該係数がもっとも小さいのは、実施例5のトナー5(0.014)であることから、当該係数を0.014以上となるように必要な帯電制御樹脂微粒子添加量を決定することで、正帯電トナーの製造工程において帯電制御樹脂微粒子の使用量を容易に最適化することができる。
本発明の正帯電トナーの製造工程のフローの一例を示す図である。

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂を主体とする正帯電トナーの製造方法であって、
    前記ポリエステル樹脂を含有する樹脂溶液と水系媒体との混合乳化を経て得られる母粒子を含有し導電率が70μS/cm以下である母粒子懸濁液を準備する母粒子懸濁液準備工程と、
    前記母粒子懸濁液と帯電制御樹脂微粒子を含有する帯電制御樹脂微粒子懸濁液とを混合して、前記母粒子の表面に前記帯電制御樹脂微粒子を付着させてトナー母粒子を作製するトナー母粒子作製工程と、
    前記トナー母粒子を洗浄する洗浄工程と、
    を備える、正帯電トナーの製造方法。
  2. 前記母粒子懸濁液準備工程は、前記混合乳化により得られる樹脂微粒子を凝集することにより前記母粒子を作製することを含む、請求項1に記載の正帯電トナーの製造方法。
  3. 前記母粒子懸濁液準備工程は、前記樹脂微粒子を凝集して前記母粒子を作製した後に、前記水系媒体の少なくとも一部を入れ替えて前記導電率を下げることを含む、請求項2に記載の正帯電トナーの製造方法。
  4. 前記母粒子懸濁液準備工程は、前記母粒子懸濁液中の界面活性剤が300ppm以下の前記母粒子懸濁液を準備する工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の正帯電トナーの製造方法。
  5. 前記母粒子懸濁液準備工程は、無機金属塩、アルカリ及び非イオン界面活性剤からなる群から選択されるいずれかを使用することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の正帯電トナーの製造方法。
  6. 前記トナー母粒子作製工程における下記式(1)で表される帯電制御樹脂微粒子係数が0.014以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の正帯電トナーの製造方法。
    帯電制御樹脂微粒子係数=[(帯電制御樹脂微粒子量(mg)/母粒子量(mg)×100]/母粒子懸濁液の導電率(μS/cm)・・・・・・(1)
    (ただし、帯電制御樹脂微粒子量は使用する帯電制御樹脂微粒子懸濁液の全量に含まれる帯電制御樹脂微粒子の量であり、母粒子量は使用する母粒子懸濁液の全量に含まれる母粒子量である。)
  7. 前記帯電制御樹脂微粒子は、スチレンアクリル共重合体を主体とする粒子を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の正帯電トナーの製造方法。
  8. 前記帯電制御樹脂微粒子は、第4級アンモニウム基を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の正帯電トナーの製造方法。
  9. 前記洗浄工程は、洗浄後の前記トナー母粒子を導電率が1μS/cm以下の水性媒体に再懸濁して得られ前記トナー母粒子を10質量%固形分として含有する再懸濁液の導電率が5μS/cm以下となるまで洗浄する工程である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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