JP2009247191A - 円筒状コイル、円筒型マイクロモータ及び円筒状コイルの製造方法 - Google Patents

円筒状コイル、円筒型マイクロモータ及び円筒状コイルの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】
外径φ1mm以下のトルク特性に優れた円筒型マイクロモータを、経済的に実現するために、アルミニウムを基材とした高精微且つ高アスペクト比断面積の導電体パターンを有する極小径円筒コイルを提供すること。
【解決手段】
導電体であるアルミニウムの中空円筒基材の外周面上に、レジスト材を所望のコイル形状でパターンニングした状態で、アルミニウムの中空円筒基材を陽極として、電流分布を制御して陽極酸化処理を施すことによって、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分10iと、アルミニウムからなる導電体部分10cとによりコイルパターンを有する円筒状コイル10を形成する。

【選択図】 図1

Description

本発明は、微細なコイルパターンを有する極小径の円筒状コイルとその円筒状コイルの製造方法及び、その円筒状コイルを有する円筒型マイクロモータに関する。
近年、φ2mm程度の極小径のマイクロモータが開発されているが、医療機器、分析機器等の分野において使用する各種デバイスでは、極めて狭小なスペースにアクチュエータを搭載して高機能化をはかる目的から、マイクロモータの更なる小型化が望まれている。
このマイクロモータの小型化、小径化に伴い、同マイクロモータに内蔵されるコイルの小型・微細化が必要不可欠となる。
一般に円筒型マイクロモータに使用するコイルは、絶縁被覆銅線の最表層に融着層を設けた自己融着銅線を中空円筒状又はカップ状に巻回して形成したものが用いられている。図9は、この方法で自己融着銅線を中空円筒状に形成したコイルの斜視図である。
また銅箔等の金属箔をエッチングする方法や、導電体ペーストによりコイルパターンを印刷する方法等で形成された、平面状のいわゆるシートコイルを円筒状に巻き回したものも、マイクロモータの小型化に対応するために使われている。
これらの方法で形成された円筒状コイルを、円筒型マイクロモータで特に、ロータ磁石を備えるDCブラシレスモータのステータコイルとして使用する場合、該円筒状コイルをモータのハウジング内部に挿入し、ハウジングの内壁面に固定する。
例えば特許文献1には、可撓性の基材上に銅箔コイル部を印刷し、その上にカバーフィルムを被覆した構造のシートコイルを円筒状に巻いて、ブラシレスモータのステータコイルとして使用する実施形態について記載されている。
一方、扁平型モータに適用可能な平面状コイルについて、アルミニウムからなる箔または膜に、電導体部分とアルマイト層からなる不電導体部分とで、コイルパターンを形成した小型モータ用の薄膜コイルが、特許文献2に開示されている。
実公平7−41129号公報 特開平5−292692号公報
しかしながら、円筒型マイクロモータの外径がφ1.5mm以下、特にφ1.0mm以下にまでになると、従来技術による円筒状コイルの成形方法では、以下のような理由により、該マイクロモータのステータコイルとして使用することが技術的に困難となる。
まず自己融着銅線で形成する円筒状コイルの場合には、概して、コイル形成時に形が崩れる傾向にあり、真円度やフレ等の機械的精度が低下する。
このとき、真円度やフレ等の機械的精度が低いコイルでは、円筒型マイクロモータのステータコイルとして使用する際に、ステータコイルとステータコイルの内部に配置するロータ磁石とが干渉してしまう恐れがあるために、ロータ磁石とステータコイルの間隙であるエアギャップを大きく確保しなくてはならない。
その結果、円筒型マイクロモータのハウジングの内径から、ロータ磁石の外径までの磁気ギャップも大きく確保しなくてはならない為、トルク発生効率が低下し、小径化には不向きである。
又、外径φ1.5mm以下の極小径のマイクロモータのハウジング内でのステータコイルから給電部までの配線作業は、極めて狭小なスペース内での作業となる為、非常に困難である。
次に、シートコイルを用いた円筒状コイルの場合であるが、自己融着銅線で形成した円筒状コイルと同様に、真円度を精度良く形成してモータのハウジング内壁面に固定することは極めて困難である。
本来、柔軟性の高い基材からなるシートコイルは、円筒の内周面に合わせて配置することが可能であるが、外径φ1.5mm以下の円筒内周面ともなると、その曲率が大きすぎる為に、シートコイルの基材の曲げに対する許容範囲の限界を超える為である。
又、円筒型マイクロモータ用の円筒状コイルにおいて、トルクを向上させる手段として、導電体断面積を増大させることが効果的である。一方トルク定数を向上させるためにはターン数を多くすることが効果的である。
しかし、シートコイルのコイルパターンを形成するためのエッチングや導電体パターンの印刷技術によれば、数μmの間隔でコイルパターンを形成することが可能であるが、導電体パターンの厚さと幅のアスペクト比は低くならざるを得ない。
その理由は、エッチングによる方法では、腐食剤によって素材の不要部分を除去する際に、腐食が等方的に進行する為、アスペクト比を高くしようとするとき、素材の厚み方向にエッチングする間に、レジスト膜の下側で、素材の厚さ方向に対して垂直な方向へもエッチングされる為である。
又、導電体パターンの印刷技術による方法では、一般にナノメートルサイズの導電性粒子を、パターンを形成する基材表面に、印刷して焼結するものである為、導体断面積を、
高アスペクト比とする為に、導電体部分の厚みを増すのには限界がある。
したがって、必要な導電体断面積を得るためには、導電体パターンの幅を大きくせざるを得ず、必要なターン数を確保する為には、層数を多くする必要が有り、より多くの縦配線が必要となる。
その結果、モータとして、十分なトルク特性を得る為に、製造上、複雑な工程を要することとなる。
同様に、特許文献2に開示されているアルミニウムからなる箔または膜に形成した薄膜状のコイルについても、薄膜状であるため当然に、導電体部分の厚さと幅とのアスペクト比を大きくすることは困難であり、モータのトルク特性を向上させる為には、該薄膜状コイルを多数積層させる必要があり、同様の課題を有していた。
これらの課題を解決する為、請求項1記載の発明の円筒状コイルでは、中空円筒状のアルミニウム基材の一部を陽極酸化することによって形成した、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分と、アルミニウム基材の陽極酸化されていない部分であるアルミニウムからなる導電体部分とにより、コイルパターンを形成した構造としている。
又、請求項2記載の発明の円筒状コイルでは、請求項1に記載の円筒状コイルにおいて、コイルパターンにおける絶縁体部分の最小幅部分において、絶縁体部分のラジアル方向の厚さと、前記円筒状コイルの外周部における前記絶縁体部分の最小幅とのアスペクト比(=ラジアル方向の厚さ/幅)が2以上である構造としている。
又、請求項3記載の発明による円筒状コイルでは、請求項1又は2のいずれかに記載の円筒状コイルにおいて、複数の導電体部分を有している。
更に、円筒状コイルの外周側面部の少なくとも一部が、絶縁体からなる絶縁層により被覆されており、複数の導電体部分同士は、絶縁層に穴加工によって形成したスルーホールに充填した導電体を介して、絶縁層上の少なくとも一部に形成した導電体層とによって、電気的に接続した構造としている。
又、請求項4記載の発明による円筒型マイクロモータは、請求項1〜3のいずれかに記載の円筒状コイルを有する構造としている。
又、請求項5記載の発明による円筒型マイクロモータは、請求項4に記載の円筒型マイクロモータにおいて、円筒状コイルの一部が、給電部として露出する構造としている。
又、請求項6記載の発明による円筒状コイルの製造方法では、アルミニウムからなる円筒基材に対して、レジストを配置して、コイルパターンのパターン形状を決めるレジストパターンニング工程と、陽極酸化により、円筒基材の一部を絶縁化する絶縁化処理工程を施す。
更に、レジストを除去するレジスト除去工程と、円筒基材の内周面全体に残るアルミニウムを除去する、内径Al除去工程とを施すことによって、請求項1又は2に記載の円筒状コイルを形成する製造方法を用いている。
請求項7記載の発明による円筒状コイルの製造方法では、請求項6に記載の円筒状コイルの製造方法において、レジストパターンニング工程が、疎水性の自己組織化単分子膜と親水性の自己組織化単分子膜を用いて、金属からなるコイルパターンを透明で柔軟性のあるポリマー基板上に転写する。
更に、ポリマー基板をフォトマスクとして、フォトレジストをコーティングした前記アルミニウムからなる円筒基材に、フォトリソグラフィーで、コイルパターンをパターンニングする製造方法を用いている。
請求項1記載の発明によれば、予め中空円筒形状をなすアルミニウム基材にコイルパターンを形成することで、シート状のコイルを円筒状に形成する際のようなシート剛性による阻害を解消できる為、真円度やフレ等の機械的精度の高い、外径φ1.5mm以下のマイクロモータのステータコイルとして適用可能な円筒状コイルを得ることができる。
請求項2記載の発明によれば、導電体パターンを多層構造にすることなく、ターン数を増加し、必要なトルク定数を実現可能な円筒状コイルを得ることができる。
請求項3記載の発明によれば、円筒形状維持したまま、コイルパターンをなす複数の導電体部分が確実に接続された円筒状コイルを得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、同じく本発明の真円度に優れた円筒状コイルをステータコイルとして搭載することにより、ロータ磁石とステータコイルの間隙であるエアギャップを小さくできる為、トルク発生効率の高い円筒型マイクロモータを得ることができる。
請求項5記載の発明によれば、円筒状コイルのリード部の一部を給電部とすることで、特に極小径の円筒型マイクロモータハウジングの内部スペースにおいて、極めて困難となる配線作業を不要とした構造を有する円筒型マイクロモータを得ることができる。
請求項6記載の発明による円筒状コイルの製造方法によれば、電流分布を制御して、選択的に集中してアルミニウム円筒基材の陽極酸化を行うことができる為、高アスペクト比断面積の導体部分と、絶縁体部分からなる円筒状コイルを製造することができる。
その結果、印刷技術による方法等でモータのステータコイルを形成する場合のように、十分なトルク特性を得るために層数を多くして、各層を縦配線するという、製造上、複雑な工程を要さない為、経済的且つ高品質な円筒状コイルを製造することができる。
請求項7記載の発明の方法によれば、アルミニウムからなる極小径サイズの円筒基材に高精微なコイルパターンをなすレジストを配置することができる。
以下、本発明の最良の形態に係る円筒状コイル及び円筒型マイクロモータについての実施例を、添付図面を参照して説明する。尚、各実施形態における同一の構成部分については同一の符号を付している。
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1による円筒状コイル10の形成されるプロセスの概略を示した斜視図である。
円筒状コイル10は、図1(a)に示す、導電体部である10cのみからなるアルミニウム円筒基材10’に対して、図1(b)に示すように、レジストRをコイル形状にパターンニングした状態で、陽極酸化処理を行うことにより得られる。
図1(c)は、陽極酸化処理により得られた円筒状コイル10である。この図1(c)に示す円筒状コイル10は、図1(b)で配置したレジストRを除去しており、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分10iと、アルミニウムからなる導電体部分10cとによりコイルパターンを形成している。
更に、図1(d)は、該円筒状コイル10に形成されている複数のコイルの中性点を、中性点接続層10sによって、接続した状態を示している。これにより円筒型マイクロモータのステータコイルとして搭載可能となる。
以上、本発明の実施の形態1による円筒状コイル10を形成するプロセスの概略であるが、該プロセスの詳細について、以下に記載する。
円筒状コイル10は、アルミニウムの円筒基材に対して、〔1〕レジストパターンニング工程、〔2〕絶縁化処理(陽極酸化)工程、〔3〕レジスト除去工程、〔4〕内径Al除去工程、〔5〕中性点接続工程からなる主要工程を施すことにより製作される。
図2は、これらの工程により、導電体であるアルミニウム円筒基材10’の予め定めた部分に、絶縁体である酸化アルミニウムを形成するプロセスにおいて、各工程におけるアルミニウムの円筒基材10’或いは円筒状コイル10の断面の状態を示した円筒展開図である。
図2(a)は、〔1〕レジストパターンニング工程を示しており、アルミニウム円筒基材10’の外周面において、絶縁体である酸化アルミニウムを形成させない部分にレジスト材Rを配置した状態を表している。
このとき、レジストパターンニングの手法は、SAM(自己組織化単分子膜)を塗布したPDMS(ポリジメチルシロキサン)製のスタンプで、SAMを転写するマイクロコンタクトプリンティング法の他、様々な手法を適用できるが、円筒状のアルミニウム基材に精密なパターンを形成する上で、オプティカルソフトリソグラフィー法が好適である。
ここで、オプティカルソフトリソグラフィー法とは、疎水性、親水性の特徴を持つ、異なるSAMを用いて、金属のマイクロパターンを透明で柔軟性のあるポリマー基板上に転写し、そのポリマー基板をフォトマスクとして、フォトレジストをコーティングした3次元的な基材に、フォトリソグラフィーでパターンニングする方法である。
図3はオプティカルソフトリソグラフィー法によって、アルミニウム円筒基材10’の円筒側面に対してレジストパターンニングする工程を図示したものであり、以下のようにレジスト材のパターンニングを行う。
シリコン製の基板2の表面に疎水性の自己組織化単分子膜Soを塗布する。〔図3(a)参照〕
自己組織化単分子膜Soの上に金属製のマイクロパターン3を配置する。〔図3(b)参照〕
金属製のマイクロパターン3の表面に親水性の自己組織化単分子膜Smを塗布する。〔図3(c)参照〕
透明で柔軟性のあるPDMS(ポリジメチルシロキサン)製のポリマー基板4に金属製マイクロパターン3を転写する。〔図3(d)参照〕
アルミニウム円筒基材10’の外周部円筒側面上にポジ型のフォトレジストRpをコーティングする。〔図3(e)参照〕
予め自己組織化単分子膜を用いて金属製マイクロパターン3を転写した、ポリマー基板4を、フォトレジストRpをコーティングしたアルミニウム円筒基材10’の外周部円筒側面上の少なくとも一部に密着させる。〔図3(f)、(g)参照〕
UV光を照射して、金属のマイクロパターン3以外の部分のポジ型フォトレジスト材Rpを露光させる。〔図3(g)参照〕
アルミニウム円筒基材10’からポリマー基板4を取り外し、アルミニウム円筒基材10’を現像液に浸して、露光した部分のフォトレジストRpを溶解する。
露光されなかった部分のフォトレジストRpがパターンニングされた状態でアルミニウム円筒基材10’の外周部円筒側面上にレジストRとして残る。〔図3(h)参照〕
図2(b)−1及び(b)−2は、〔2〕絶縁化処理(陽極酸化)工程を示している。ここでアルミニウムの陽極酸化とは、シュウ酸等の電解液中でアルミニウム基材を陽極として電流を流すことにより、アルミニウム基材に電気絶縁性の酸化物を形成する方法である。
図2(b)−1において、電源1に対して、円筒状アルミニウム基材10’を陽極、対向電極mを陰極として、電解液中で電流を流すことで、陽極酸化によりアルミニウム基材10’に電気絶縁性の酸化アルミニウム(Al)が形成される。
アルミニウム基材10’から対向電極mに伸びる矢印は、このときの電流の流れを示すベクトルを表している。
このベクトルが示すように、アルミニウム基材10’の内周部から外周部を抜けて、対向電極mに流れる電流は、アルミニウム基材10’の外周部で絶縁体であるレジストがパターニングされていない部分に集中する。
又、アルミニウム基材10’と対向電極mの実際の配置について、円筒形状のアルミニウム基材10’の外径よりも、内径寸法が大きな対向電極mの内側にアルミニウム基材10’が配置されている状態である。
この配置により、円筒状のアルミニウム基材10’の外周部のみが、電極mに対向して電流が流れることによって、アルミニウム基材10’の外周部でレジストされていない部分と電解液との間で固液界面反応が起こり、絶縁体で多孔質の酸化アルミニウムが形成される。
図2(b)−2は、陽極酸化により、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分10iが、アルミニウム基材10’の外周面のレジストがパターンニングされていない部分から、アルミニウム基材10’の内周部に向かって末広がりに形成された状態を表している。
陽極酸化の際に流れる電流は、アルミニウム基材10’の内周部から外周部のレジストがパターニングされていない部分に集中する為、陽極酸化は、レジストが無い部分から内周部に向かって、末広がりに進行していき、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分10iを形成される。
図2(c)は〔3〕レジスト除去工程を示しており、レジストRを剥離液によって溶解除去した状態を表している。
レジストRの除去に使用する剥離液は、レジスト材の種類に応じて、適当なものを使用するが、レジストRがポジ型のフォトレジストRpである場合、エタノールアミン類を代表とした有機アミンと極性溶剤の混合物等を使用する。
図2(d)は、〔4〕内径Al除去工程を示しており、円筒状アルミニウム基材10’の内周面全体に残る部分のアルミニウムを除去し、アルミニウムによる導電体部分10cのコイルパターンが形成された状態を表している。
本工程により、アルミニウムからなる導電体部分10cからなる電路の少なくとも一部が略渦巻状に形成されたコイル部をなし、該コイル部が少なくとも複数形成されている図1(c)に示す円筒状コイル10となる。
図2(e)は、〔5〕中性点接続工程を示しており、円筒状コイル10の外周面に、絶縁体層10siと導電体層10scからなる中性点接続層10sを配した状態を表している。
ここで、円筒状コイル10の中性点Nは、略渦巻状のコイル部を形成する電路若しくは略渦巻状のコイル部とコイル部以外の部分からなるリード部を形成する電路において、渦巻の中心方向側の端部付近を指す。(図4参照)
本工程においては、以下の手順により中性点接続層10sを形成することにより、円筒状コイル10に複数形成されている各コイル部の各中性点を接続する。
まず円筒状コイル10において、リード部の開放側付近の部分を除いた外周表面上に、絶縁体の合成樹脂をコーティングして絶縁体層10siを形成する。
次に、レーザ等を用いた穴加工で、絶縁体層10siを形成した円筒状コイル10の中性点Nの部分に径方向へ中性点Nに到達するまで穴あけ加工を行いスルーホールを形成する。
次に、絶縁体層10siを形成した部分の少なくとも一部と、スルーホールを形成した部分に銅等の無電解めっきを施し、導電体層10scを形成する。この導電体層10scにより、スルーホールを介して、各中性点が接続される。
更に、導電体層10scの上に、絶縁体の合成樹脂をコーティングして絶縁体層10siを形成することにより、中性点接続層10sを構成する。
以上、〔1〕レジストパターンニング工程〜〔5〕中性点接続工程のプロセスによって、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分10iと、アルミニウムからなる導電体部分10cとによるコイルパターンを有する円筒状コイル10を得ることができる。
この円筒状コイル10は、中性点が接続された複数のコイル部を備え、外周部の一部を絶縁体でコーティングしている為、円筒型マイクロモータのハウジング内周部にステータコイルとして固定した場合、絶縁を確保することができる。
又、従来技術による自己融着銅線やシートコイル等による形成方法が有していた、極小径サイズのモータのステータコイルを、機械的精度良く形成することが困難であるという課題を解決し、外径φ1.5mm以下の円筒型マイクロモータに使用される極小径サイズの円筒状コイルを機械的精度良く形成することができる。
<実施の形態2>
図5は本発明の実施の形態2による、円筒状コイル形成のためのプロセスのひとつである、アルミニウム円筒基材10’の絶縁化処理(陽極酸化)工程における陽極酸化の方法を図示したものである。
本発明の実施の形態2では、絶縁体ベース5に配置した電極pを電極mの対向電極として、アルミニウム円筒基材10’の外周面のレジストRがパターニングされていない部分に対応するように、アルミニウム円筒基材10’の内周側に配置する。
この図5に示す構成で、アルミニウム円筒基材10’を電解液中で陽極酸化することにより、図5中の矢印で示すように電流分布を制御して、選択的に集中して陽極酸化を行うことができる。
この構成により、アルミニウム円筒基材10’において、アスペクト比が2以上の絶縁体部分を形成し、絶縁体部分のアスペクト比に比例したアスペクト比を有する導電体部分を得ることができる。
ここで絶縁体部分のアスペクト比は、略渦巻き状のコイルパターンにおいて、両側を導電体部分に挟まれる絶縁体部分の幅が最小となる部分において、絶縁体部分のラジアル方向の厚さと、円筒状コイルの外周部における絶縁体部分の最小幅との比(ラジアル方向の厚さ/幅)を示す。
又、導電体部分のアスペクト比は、略渦巻き状のコイルパターンにおいて、両側を絶縁体部分に挟まれる導電体部分のラジアル方向の厚さと、円筒状コイルの外周部における導電体部分が形成する電路の幅との比(ラジアル方向の厚さ/幅)を示す。
通常の陽極酸化処理は等方性プロセスである為、電流分布を制御しない場合、陽極酸化により形成される酸化アルミニウムからなる絶縁体部分のアスペクト比は1程度となるが、電流分布を制御して、選択的に集中して陽極酸化することにより、アルミニウム円筒基材10’においてアスペクト比が2以上の絶縁体部分を形成することができる。
絶縁体部分に挟まれ、絶縁体部分と同一の厚みを有する導電体部分のアスペクト比は、絶縁体部分のアスペクト比に比例するので、高アスペクト比断面積のコイルパターンを形成し、必要なトルク特性を得るための導体断面積とターン数を確保することが可能となる。
<実施の形態3>
図6は本発明の実施の形態3による、円筒状コイル形成のためのプロセスのひとつである、アルミニウム円筒基材10’の絶縁化処理(陽極酸化)工程における陽極酸化の方法を図示したものである。
本発明の実施の形態3では、アルミニウム円筒基材10’の外周面にパターンニングするレジストRcは導電体であり、この導電体レジストRcを電源6に対して陰極とする。一方、アルミニウム円筒基材10’を電源6に対して陽極とする。
更に、円筒状アルミニウム基材10’を陽極、対向電極mを電源1の陰極とすることで、電解液中で陽極酸化処理を行うとき、導電体レジストRcと陽極間に生じる強電界により、陽極酸化部分の電流分布をガイドすることができる。
この図6に示す構成で、アルミニウム円筒基材10’を電解液中で陽極酸化することにより、図6中の矢印で示すように、導電体レジストRcと陽極間に生じる強電界によって電流分布をガイドして、アルミニウム円筒基材10’の肉厚方向へ選択的に集中して陽極酸化を行うことができる。
その結果として、アルミニウム円筒基材10’においてアスペクト比の高い酸化アルミニウムからなる絶縁体部分を、簡単な構成で容易に形成することができる。
具体的には、例えば外径φ0.7mm、内径φ0.5mmの中空アルミニウム円筒基材に、幅10μm、アスペクト比10の酸化アルミニウムからなる絶縁体部分を形成することが可能である。
<実施の形態4>
図7(c)は本発明の実施の形態4による、円筒状コイル10をステータコイルとしてモータハウジングの内壁面に固定した外径φ1.0mmの円筒型ブラシレスモータ20の斜視図である。
該円筒型ブラシレスモータ20には、図7(a)の円筒状コイル10において、中性点接続層10sがない部分を、リード部を残して図7(b)の形状に加工したものが搭載されている。
図8は、該円筒型ブラシレスモータ20の構造図であり、円筒状コイル10は、ステータコイルとしてハウジング7の内壁面に固着されている。更に、フランジ11、12に備わる軸受9が、ロータ磁石8と出力軸15からなるロータを支持する構造である。
円筒状コイル10の一部である、給電部10eは切り欠きの入った、ハウジング7及びフランジ11の形状により露出している。この給電部10eから給電制御して、円筒状コイル10に形成されているコイル部を励磁させてモータとして駆動する。
これに対して、図10は従来技術による一般的な円筒型ブラシレスモータの構造図である。この従来型の構造によれば、給電部14は、円筒コイル40’に固定された保持板13を介して接続された、電線又はFPC基板により構成されている。
本実施の形態4によれば、従来の構成と比較して、保持板等を用いずに、円筒コイル体のリード部の一部を給電部としているので、部品点数を削減できるのはもちろんのこと、モータハウジングの内部スペースにおける配線作業が不要となる。
また、比較的単純な構造とできるため、外径φ1.0mm以下の極小径モータを製作する上で有効である。
以上、本発明に従う円筒状コイル、円筒状コイルの製造方法及び、円筒型マイクロモータに関する実施形態について説明したが、当然ながら本発明の範囲を逸脱することなく種々の形態での適用が可能である。
例えば、円筒状コイルの使用はブラシレスモータ用のステータコイルに限定されるものではなく、コイルを使用するあらゆる機器に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る、円筒状コイルの斜視図である。 本発明の実施の形態に係る、コイル形成のプロセス図である。 本発明の実施の形態に係る、レジストのパターンニング方法を示したプロセス図である。 本発明の実施の形態に係る、円筒コイルの基本構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態に係る、アルミニウム基材の陽極酸化を示す図である 本発明の実施の形態に係る、アルミニウム基材の陽極酸化を示す図である。 本発明の実施の形態に係る、円筒コイル及びマイクロモータの斜視図である。 本発明の実施の形態に係る、円筒型ブラシレスモータの断面図である。 従来技術による円筒コイルの斜視図である。 従来技術による円筒型ブラシレスモータの断面図である。
符号の説明
1、6 電源
2 シリコン製の基板
3 金属製マイクロパターン
4 ポリマー基板
5 絶縁体ベース
7 ハウジング
8 ロータ磁石
9 軸受
10 円筒コイル
10’ アルミニウム製円筒基材
10c 導電体部分
10i 絶縁体部分
10s 中性点接続層
10sc 導電体層
10si 絶縁体層
10e 給電部
11、12 フランジ
13 保持板
14 給電部
15 出力軸
20、30 円筒型ブラシレスモータ
40、40’ 円筒コイル
N 中性点
R レジスト
Rp フォトレジスト
Rc 導電体レジスト
So 疎水性自己組織化単分子膜
Sm 親水性自己組織化単分子膜
m、p 電極

Claims (7)

  1. 中空円筒状のアルミニウム基材の一部を陽極酸化することによって形成した、酸化アルミニウムからなる絶縁体部分と、
    前記アルミニウム基材の陽極酸化されていない部分であるアルミニウムからなる導電体部分とにより、
    コイルパターンを形成してなることを特徴とする円筒状コイル。
  2. 請求項1に記載の円筒状コイルにおいて、
    前記コイルパターンにおける前記絶縁体部分の最小幅部分において、
    前記絶縁体部分のラジアル方向の厚さと、
    前記円筒状コイルの外周部における前記絶縁体部分の最小幅とのアスペクト比(=ラジアル方向の厚さ/幅)が2以上であることを特徴とする円筒状コイル。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の円筒状コイルにおいて、
    複数の前記導電体部分を有しており、
    前記円筒状コイルの外周側面部の少なくとも一部が、絶縁体からなる絶縁層により被覆されており、
    前記複数の導電体部分同士は、前記絶縁層に穴加工によって形成したスルーホールに充填した導電体を介して、前記絶縁層上の少なくとも一部に形成した導電体層とによって、
    電気的に接続されていることを特徴とする円筒状コイル。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の円筒状コイルを内部に有することを特徴とする円筒型マイクロモータ。
  5. 請求項4に記載の円筒型マイクロモータにおいて、
    前記円筒状コイルの一部が、給電部として露出することを特徴とする円筒型マイクロモータ。
  6. アルミニウムからなる円筒基材に対して、
    レジストを配置して、コイルパターンのパターン形状を決めるレジストパターンニング工程と、
    陽極酸化により、前記円筒基材の一部を絶縁化する絶縁化処理工程と、
    前記レジストを除去するレジスト除去工程と、
    前記円筒基材の内周面全体に残るアルミニウムを除去する、内径Al除去工程とを施すことによって、形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒状コイルの製造方法。
  7. 請求項6に記載の円筒状コイルの製造方法において、
    前記レジストパターンニング工程が、疎水性の自己組織化単分子膜と親水性の自己組織化単分子膜を用いて、金属からなるコイルパターンを透明で柔軟性のあるポリマー基板上に転写し、
    前記ポリマー基板をフォトマスクとして、フォトレジストをコーティングした前記アルミニウムからなる円筒基材に、
    フォトリソグラフィーで、前記コイルパターンをパターンニングすることを特徴とする円筒状コイルの製造方法。
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