JP2009248552A - 繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肉厚の成形品を得る場合や、強度の高い成形品を得る場合においても、マトリックス樹脂の含浸不良や含浸時間の長期化を防止することができ、生産性の高い繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】強化繊維層を厚み方向に分かれた複数の分割層に分割し、分割層と分割層の間にも樹脂拡散媒体を挟み込み、気密空間内に供給されたマトリックス樹脂を強化繊維層表面の樹脂拡散媒体と分割層間の樹脂拡散媒体とによって拡散させながら強化繊維層に含浸させることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
繊維強化樹脂成形品の製造方法は、軽量でありながら強度が高いことから、さまざまな産業分野で使用されている、この繊維強化樹脂成形品の製造方法として、最近、特許文献1に示すような環境への配慮に優れるインフュージョン成形方法などの真空注入成形方法が注目されている。
インフュージョン成形方法は、成形型上に被含浸物である強化繊維層の積層物と、積層物の最上面に含浸させるマトリックス樹脂の拡散を促進する樹脂拡散媒体とを敷設し、強化繊維層と樹脂拡散媒体とを気密性フィルムで覆い、この気密性フィルムと成形型との間に形成される気密空間内に積層体を収容し、気密空間内を大気圧より減圧したのち、この減圧状態を保ちながら気密空間外からマトリックス樹脂を気密空間内に供給して樹脂拡散媒体を介してマトリックス樹脂を拡散させつつ強化繊維層に含浸させる繊維強化樹脂成形品の製造方法である。
本成形方法によると成形が気密空間内という密閉された中で行われることから、製造中に原料であるスチレンの揮発を防止でき、環境への配慮を行うことができる。
しかしながら、本成形方法では、肉厚の成形品を得る場合や、強度の高い成形品を得る場合、強化繊維層の厚さを厚くする、あるいは、強化繊維層の強化繊維密度を高くしなければならず、マトリックス樹脂の含浸完了までに時間がかかり過ぎて生産性が非常に悪くなってしまったり、マトリックス樹脂が含浸しにくくなり、未含浸部が残ってしまったり、するという課題があった。
特開2005−1306号公報
本発明は、上記事情に鑑みて、肉厚の成形品を得る場合や、強度の高い成形品を得る場合においても、マトリックス樹脂の含浸不良や含浸時間の長期化を防止することができ、生産性の高い繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法は、成形型の型面に沿う強化繊維からなる強化繊維層と、この強化繊維層の表面に沿って敷設された樹脂拡散媒体とを備える積層体を、気密性フィルムで覆い、この気密性フィルムと成形型との間に形成される気密空間内に積層体を収容し、気密空間内を大気圧より減圧したのち、この減圧状態を保ちながら気密空間外からマトリックス樹脂を気密空間内に供給して樹脂拡散媒体を介してマトリックス樹脂を拡散させつつ強化繊維層に含浸させる工程を備える繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、強化繊維層を厚み方向に分かれた複数の分割層に分割し、分割層と分割層の間にも樹脂拡散媒体を挟み込み、気密空間内に供給されたマトリックス樹脂を強化繊維層表面の樹脂拡散媒体と分割層間の樹脂拡散媒体とによって拡散させながら強化繊維層に含浸させることを特徴としている。
本発明の製造方法において、強化繊維層の表面に配置される樹脂拡散媒体(以下、「表面拡散媒体」と記す)及び、分割層間に配置される樹脂拡散媒体(以下、「層間拡散媒体」と記す)は、マトリックス樹脂の流動拡散を促進し、強化繊維層内にマトリックス樹脂を均一かつ迅速に含浸させるためのもので、マトリックス樹脂が毛管現象等を利用して拡散しながら流動するような拡散流路を備えていれば特に限定されず、従来からインフュージョン成形に用いられている樹脂拡散媒体(例えば、AIRTECH社製GreenFlow75)を用いることができる。
このような構造の樹脂拡散媒体としては、例えば図6、図7のように下材となるガラス繊維糸(モノフィラメントを含む)などを並列に配置した後、その上に交差するように上材となるガラス繊維糸などを配置し、繊維同士の接触部分を上記熱硬化性樹脂や上記熱可塑性樹脂などで結合したり、繊維同士を融着させて形成したシート状のものや、あるいは、図8のような形状にした上記熱可塑性樹脂のシート状の射出成形品などが挙げられる。さらに、ガラス繊維糸などを織物にしたものも用いることができる。
また、ガラス繊維糸などは、マトリックス樹脂が糸を構成する繊維間に含浸せず、マトリックス樹脂の拡散流動がスムースに行えるように、また、樹脂拡散媒体の強度を確保するために、集束剤や上記熱硬化性樹脂や上記熱可塑性樹脂などによって繊維同士が結束状態となったものを用いることが好ましい。
また、層間拡散媒体は、成形品の一部を構成することから、成形品内における強度不良箇所とならないようにするため、かかる層間拡散媒体に用いる材料は、強化繊維層を構成する強化繊維あるいはマトリックス樹脂と同じ材料を用いることが好ましい。
なお、層間拡散媒体は、分割層と分割層との間に挟まれるため、上下の分割層を構成する強化繊維が拡散流路内に入り込んでマトリックス樹脂の流動が妨げられないような構造とする必要がある。
因みに、図6〜図8に示すような構造の樹脂拡散媒体を用いる場合、並列に並ぶガラス繊維糸の間隔が大きくなりすぎるとガラス繊維糸間をマトリックス樹脂がスムースに流動しないし、逆にガラス繊維糸の間隔が小さくなりすぎるとマトリックス樹脂が流動するスペースが存在しなくなることから、ガラス繊維糸の間隔を2〜5mm程度にすることが好ましい。
また、樹脂拡散媒体が織物の場合、織り方については特に限定させず、平織、綾織、朱子織など、どのような織り方でもよいが、織目が大きくなりすぎると織目の間をマトリックス樹脂がスムースに流動しないし、また、織目が小さくなりすぎるとマトリックス樹脂が含浸するスペースが存在しなくなることから、織目は、2〜5mm程度にすることが好ましい。
層間拡散媒体の強度については、マトリックス樹脂を含浸する際の減圧雰囲気下において、拡散流路が減圧によって大気圧を受けた場合にも、層間拡散媒体の厚みが1mm以上の厚みを保ち、拡散流路となる空間を十分に確保できる強度にしておくことが好ましい。
また、層間拡散媒体は、その大きさや分割層間に配置される位置等は所定の流動拡散を行うことができれば特に限定されないが、少なくとも一部を強化繊維層の端縁から強化繊維層の外側にはみ出すように設けられ、このはみ出し部分にマトリックス樹脂が供給されるようにすることが好ましい。
本発明における繊維強化樹脂成形品の製造方法は、気密空間内が減圧状態になっていれば構わないことから、減圧状態を確認して吸引排気作業を停止した後に樹脂を供給することもできるが、吸気口から気密空間内の空気を気密空間外に吸引排気して気密空間内を減圧しながらマトリックス樹脂を供給することが好ましい。
なお、本発明において用いられる樹脂供給口と空気吸気口の配置は成形品の形状に応じて適宜決定され、特に限定されないが、樹脂供給口と空気吸気口との距離が近すぎると、強化繊維層全体にマトリックス樹脂が含浸しないうちに空気吸気口からマトリックス樹脂が吸引、排出されてしまう状況が発生してしまうことから、樹脂供給口と吸気口との間に強化繊維層を配置し、吸気口から気密空間内の空気を吸引排気して気密空間内を減圧状態にしながら、マトリックス樹脂を樹脂供給口から供給することが好ましく、対角状など最も遠い距離になるよう配置されていることが好ましい。
マトリックス樹脂の供給方法としては、気密空間内にマトリックス樹脂を供給できる方法であれば特に限定されず、成形型内に設けられた樹脂流路を介して型面に設けられた樹脂供給口にマトリックス樹脂を供給しても構わないし、複数の樹脂供給口を備えた管を、樹脂供給口が強化繊維層の端部に臨むように配置するとともに、気密性フィルムと成形型との隙間から気密空間外部に出し、管と気密性フィルム及び成形型との隙間にシール材を充填するようにしてもよい。また、複数の樹脂供給口を備えた管については、マトリックス樹脂をまんべんなく供給できるように、例えば、電気コードなどを束ねるために巻き付けて使用するスパイラルホースなどと言われる螺旋状のプラスチック樹脂のような、管の円周全体から樹脂がしみ出す構造をもつ管を用いるようにしてもよい。
空気の吸引排気方法としては、気密空間内の空気を吸引できる方法であれば特に限定されず、成形型内に設けられた吸気路を介して型面に設けられた吸気口から吸引排気するようにしてもよいし、吸気口を備えた管を、樹脂供給口が強化繊維層の端部に臨むように配置するとともに、気密性フィルムと成形型との隙間から気密空間外部に出し、管と気密性フィルム及び成形型との隙間にシール材を充填するようにしてもよい。また、必要に応じて気密空間内の圧力が把握できるように圧力計を接続してもよい。
本発明において用いられる樹脂供給口と空気吸気口の数は特に限定されず、2つ以上設けるようにしても構わない。樹脂供給口と空気吸気口を複数個設けることによって、マトリックス樹脂の含浸を促進させることができる。
マトリックス樹脂の含浸状態は、強化繊維層の色がマトリックス樹脂の色に変化することから容易に把握することができる。また、含浸の終了は、強化繊維層全体の色がマトリックス樹脂の色に変化した時や強化繊維層の端面からマトリックス樹脂が染み出してきた時や空気吸気口がマトリックス樹脂を吸引し始めた時などを目安とすることができる。
本発明において用いられる強化繊維はガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維が好ましいが、必要に応じて、ポリビニルアルコール繊維、塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、アセテート繊維等の他の有機合成繊維や、金属繊維等の他の無機繊維や、麻や竹などの天然繊維やレーヨン等の再生繊維等を用いることもできる。
また、これらの繊維は混合して使用してもよいし、より強度を発現させるためにかかる繊維をマット状やクロス状にするなど、シート状態に加工をしてもよい。
本発明において用いられるマトリックス樹脂は、所望する成形品に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオキシベンゾイル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、用いられるマトリックス樹脂は強化繊維層への含浸を促進させるため、粘度が0.2Pa・s以下であることが好ましい。粘度が0.2Pa・sを超えるとマトリックス樹脂が強化繊維層に含浸しにくくなり、含浸不良を起こす可能性が高くなる。従って、用いられるマトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、供給する樹脂はあらかじめ加温して溶融状態にするとともに、粘度を低下させておくことが必要になる場合がある。
なお、マトリックス樹脂には着色用の顔料や、成形後の耐久性などを考慮し、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを適宜配合してもよい。
本発明において用いられる気密性フィルムは、バッグフィルムとも言われる物であり、フィルムで覆われた空間内を減圧時に気密状態に保持することができれば材質は特に問わないが、例えば、ポリアミド、ナイロン樹脂などをフィルム状にしたものを用いることが好ましい。
また、本発明においては必要に応じて、気密性フィルムの剥離を促すための離型布を用いることもできる。ここで離型布としては、樹脂を容易に通す細かい穴を有し、かつマトリックス樹脂との離型性の良いシリコンコーティングされたナイロン布を用いることが好ましい。なお、離型布は必要に応じて、後記する樹脂拡散媒体の上層または下層に敷設される。
本発明においては、気密性フィルムで覆われた空間内を気密状態にするためにシール材を用いる。ここで用いられるシール材は、減圧時に気密空間内に空気が入らないように気密状態に保持することができれば、材質は特に問わないが、ブチルゴムテープなどを用いることが好ましい。
なお、本発明における製造方法は、平板状の成形品の製造だけでなく、湾曲状、筒状、柱状その他いずれの形状の成形品の製造にも使用できる。
本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法は、強化繊維層を厚み方向に分かれた複数の分割層に分割し、分割層と分割層の間にも樹脂拡散媒体を挟み込み、気密空間内に供給されたマトリックス樹脂を強化繊維層表面の樹脂拡散媒体と分割層間の樹脂拡散媒体とによって拡散させながら強化繊維層に含浸させるように構成されている。
従って、積層した強化繊維層の最上面に敷設された樹脂拡散媒体と接する強化繊維層の最上面からしかマトリックス樹脂が含浸しなかったのに対し、本発明においては、強化繊維層の内部からも、すなわち挟み込まれた樹脂拡散媒体によって、樹脂拡散媒体に接する上下の強化繊維層からもマトリックス樹脂が含浸していくことになる。
この結果、肉厚の成形品を得る場合や、強度の高い成形品を得る場合においても、マトリックス樹脂の含浸不良や含浸時間の長期化を防止することができる。
また、分割層間に配置される樹脂拡散媒体の少なくとも一部を強化繊維層の端縁から強化繊維層の外側にはみ出させ、このはみ出し部分にマトリックス樹脂を供給することによって、マトリックス樹脂をより早く樹脂拡散媒体に供給することができることから、さらに効率的なマトリックス樹脂の含浸を行うことができる。
更に、吸気口から気密空間内の空気を気密空間外に排気するとともに気密空間内を減圧状態に吸引しながらマトリックス樹脂を供給すれば、毛管現象によってマトリックス樹脂が強化繊維層に含浸されるだけでなく、強制的に引き込む作用を加えることができることから、さらに強化繊維層に効率よくマトリックス樹脂を含浸させ、含浸不良のない繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第1の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を示す模式図である。
図1において、1は層間拡散媒体、2は表面拡散媒体、3は離型布、4は気密性フィルム、5は樹脂供給管、6は空気吸気管、7はシール材、8は強化繊維層、9は成形型である。
この繊維強化樹脂成形品の製造方法は、まず、成形型9上に強化繊維を載せて最下層の分割層81を形成する。
次に、この分割層81の上面全面を覆うとともに、一部が分割層81の側面からはみ出るように層間拡散媒体1を分割層81上に載せる。
そして、所望する成形品の肉厚になるまで分割層81と層間拡散媒体1との積層を繰り返して強化繊維層8を得た後(この実施の形態では分割層81が3層)、最上面の分割層81の上に、マトリックス樹脂の硬化後に気密性フィルム4との離型を容易にするための離型布3を被せる。離型布3の上に、従来から用いられている表面拡散媒体2を層間拡散媒体1と同じように強化繊維層8の側面からはみ出すように載せる。なお、離型布3と表面拡散媒体2の順序については、必要に応じて逆になってもよい。
次に、樹脂供給管5をその樹脂供給口(図示せず)が層間拡散媒体1と表面拡散媒体2の強化繊維層8からのはみ出し部分に臨むように配置するとともに、空気吸気管6を樹脂供給管5との間に強化繊維層8を挟むように配置する。なお、空気吸気管6は、強化繊維層8内の空気をより吸引しやすくするために、離型布3の下に配置するのが好ましい。
その後、層間拡散媒体1、表面拡散媒体2、離型布3、強化繊維層8、樹脂供給管5の樹脂供給口部分、空気吸気管6の吸気口部分を上方から覆うように気密性フィルム4を配置し、成形型9と気密性フィルム4との間、及び、図示していないが、成形型9と樹脂供給管5、空気吸気管6との間、気密性フィルム4と樹脂供給管5、空気吸気管6との間を、シール材7を用いて気密にシールして気密空間Sを形成する。
次に、空気吸気管6を図示していない真空ポンプに接続し、樹脂供給管5を図示していないマトリックス樹脂を入れた容器と接続する。その後、上記真空ポンプを稼動させて、空気吸気管6の吸引口から気密空間S内の空気を吸引排気して、気密空間S内の気圧がー0.08MPa以下になるまで減圧する。そして、減圧が完了したのち、真空ポンプの稼動を続けて減圧を続けながら上記容器内のマトリックス樹脂を樹脂供給管5の樹脂供給口から層間拡散媒体1と表面拡散媒体2の強化繊維層8からのはみ出し部分に供給し、層間拡散媒体1と表面拡散媒体2とによってマトリックス樹脂を拡散させながら強化繊維層8に含浸させる。ここでマトリックス樹脂はまず層間拡散媒体1と表面拡散媒体2に流動拡散した後、図2に示すように、層間拡散媒体1と表面拡散媒体2に接触している強化繊維層8の最上面と内層に面方向に拡散して行き、その後強化繊維層8の厚み方向へと含浸していく。
そして、図3に示すように、強化繊維層2全体にマトリックス樹脂が含浸すると吸引排気及びマトリックス樹脂の供給を停止する。なお、マトリックス樹脂の含浸が完了したか否かは、強化繊維層2の色の変化を観察することによって容易かつ正確に判断できる。すなわち、樹脂含浸途中の状態を模式的に示す図2を用いて説明すると、マトリックス樹脂が含浸されると、強化繊維層2の色が強化繊維自体の色からマトリックス樹脂11の色に変化する。従って、強化繊維層2の色の変化を観察し、強化繊維層2の最上面の色がマトリックス樹脂11の色に完全に変化したことを確認すれば、強化繊維層2へのマトリックス樹脂含浸完了を容易に把握することができる。
続いて、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合にはマトリックス樹脂を加熱硬化させる、あるいは予め硬化剤を混合しておくことによってマトリックス樹脂の硬化を行う。また、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂の場合には、供給時に溶融状態になるまで加温した樹脂を冷却させることによってマトリックス樹脂の固化を行う。
最後に、マトリックス樹脂が硬化あるいは固化後、気密性フィルム4、表面拡散媒体2、離型布3を取り除くとともに、層間拡散媒体1のはみ出し部分を切除することによって成形品を得る。
図4は、本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第2の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を示す模式図である。
図4に示すように、この繊維強化樹脂成形品の製造方法では、層間拡散媒体1を分割層81と縦横寸法が略同じにして、強化繊維層8からはみ出ないようにするとともに、はみだし部分の代わりに含浸補助のため、ガーゼ10を設けた以外は、図1と同様となっている。なお、ガーゼ10は、その一部が層間拡散媒体1の端部と重なった状態で分割層81と分割層81との間に挟まれたようになっている。そして、マトリックス樹脂含浸後、硬化あるいは固化前にガーゼ10を引っ張れば容易に取り除ける。
図5は本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第3の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を示す模式図である。
図5に示すように、この繊維強化樹脂成形品の製造方法では、上側の層間拡散媒体1の空気吸気管6側の端縁を分割層81の端縁より樹脂供給管5側に入った位置になるようにするとともに、表面拡散媒体2の空気吸気管6側の端縁をさらに樹脂供給管5側に入った位置になるようにした以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
このようにすれば、分割層81の下層から順番にマトリックス樹脂の含浸が終了していくことになり、強化繊維層8内の空気が下層から上層に押し上げられながら排出されることから、より含浸不良を防止することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記第3の実施の形態では、層間拡散媒体1のサイズを変更することによって、上層と下層とのマトリック樹脂の含浸速度を調整していたが、上層に配置される層間拡散媒体1と下層に配置される層間拡散媒体1とのサイズは同じで、上層に配置される層間拡散媒体1と下層に配置される層間拡散媒体1との拡散性能を変えるようにして含浸速度を調整するようにしても構わない。
また、層間拡散媒体1の端面を強化繊維層8の端面からはみ出させる際には、マトリックス樹脂の含浸を開始する端部のみをはみ出させても、強化繊維層8の全ての端面からはみ出させてもよい。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と対比させて説明する。
(実施例)
以下に示す条件で、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同様にして成形品を得た。
層間拡散媒体1:AIRTECH社製GreenFlow75(ポリプロピレン製)
表面拡散媒体2:AIRTECH社製GreenFlow75(ポリプロピレン製)
離型布3:AIRTECH社製BleederLeaseB(シリコンコーティングナ
イロン)
気密性フィルム4:AIRTECH社製WRIGHTLON5400(ナイロン製)
シール材7:AIRTECH社製GS−AT−200Y
強化繊維:ユニチカ社製タテスダレR450N(目付450g/m2
マトリックス樹脂12:ビニルエステル樹脂(日本ユピカ社製ネオポール8250)
分割層81の厚み:10mm
分割層81の数:3
減圧時の気密空間S内の圧力:−0.08MPa以下
含浸時間:30分
熱硬化温度:70℃
熱硬化時間:4時間
上記条件で得られた成形品は、マトリックス樹脂の未含浸部分がなく、強度的に優れたものであった。
(比較例)
図9〜図11に示すように、層間拡散媒体1を使用しなかった以外は実施例と同様にして、成形品を製造したところ、含浸開始から30分経過時においても強化繊維層8の厚み10mm程度しか含浸せず、未含浸部分12が認められた。
上記実施例及び比較例から、強化繊維層8を厚み方向に複数の分割層81に分割するとともに、分割層81の間に層間拡散媒体1を挟むように配置させれば、強化繊維層8の厚みが増えても迅速にマトリックス樹脂の含浸をすることができる。
本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法は、例えば、繊維強化樹脂製パイプやボート等の製造に用いることができる。
本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第1の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を説明する模式図である。 図1の繊維強化樹脂成形品の製造方法の樹脂含浸途中の状態を説明する模式図である。 図1の繊維強化樹脂成形品の製造方法の樹脂含浸終了時の状態を説明する模式図である。 本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第2の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を説明する模式図である。 本発明にかかる繊維強化樹脂成形品の製造方法の第3の実施の形態におけるマトリックス樹脂含浸前の状態を説明する模式図である。 樹脂拡散媒体の1例を示す斜視図である。 図6の樹脂拡散媒体のA−A線断面図である。 樹脂拡散媒体の他の例を示す斜視図である。 比較例の製造方法の樹脂含浸前の状態を説明する模式図である。 図9の製造方法の樹脂含浸途中の状態を説明する模式図である。 図9の製造方法の樹脂含浸終了時の状態を説明する模式図である。
符号の説明
1 層間拡散媒体
2 表面拡散媒体
3 離型布
4 気密性フィルム
5 樹脂供給管
6 空気吸気管
7 シール材
8 強化繊維層
81 分割層
9 成形型
10 ガーゼ
11 マトリックス樹脂
12 未含浸部分
S 気密空間

Claims (3)

  1. 成形型の型面に沿う強化繊維からなる強化繊維層と、この強化繊維層の表面に沿って敷設された樹脂拡散媒体とを備える積層体を、気密性フィルムで覆い、この気密性フィルムと成形型との間に形成される気密空間内に前記積層体を収容し、前記気密空間内を大気圧より減圧したのち、この減圧状態を保ちながら気密空間外からマトリックス樹脂を前記気密空間内に供給して前記樹脂拡散媒体を介して前記マトリックス樹脂を拡散させつつ前記強化繊維層に含浸させる工程を備える繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
    前記強化繊維層を厚み方向に分かれた複数の分割層に分割し、分割層と分割層の間にも樹脂拡散媒体を挟み込み、前記気密空間内に供給された前記マトリックス樹脂を前記強化繊維層表面の樹脂拡散媒体と前記分割層間の樹脂拡散媒体とによって拡散させながら前記強化繊維層に含浸させることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  2. 分割層間に配置される前記樹脂拡散媒体の少なくとも一部を前記強化繊維層の端縁から前記強化繊維層の外側にはみ出させ、このはみ出し部分から前記マトリックス樹脂を供給する請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記気密空間内に設けられたマトリックス樹脂の供給口と前記気密空間内の空気を前記気密空間外に吸引排気する吸気口との間に前記強化繊維層を配置し、前記吸気口から前記気密空間内の空気を排気するとともに前記気密空間内を減圧状態に吸引しながら、前記マトリックス樹脂を前記供給口から供給する請求項1または請求項2に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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