JP2009252731A - リチウム一次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重負荷放電特性の良好なリチウム一次電池を提供する。
【解決手段】 二酸化マンガンを含有する正極と、金属リチウムまたはリチウム合金を含有する負極と、セパレータとで構成される電極体、および非水電解液を外装体内に有するリチウム一次電池であって、前記外装体は、金属ラミネートフィルム外装体であり、前記電極体の反応面積が、電池の平面視での面積よりも大きく、前記非水電解液は、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとを体積比で30:70〜70:30で含む混合溶媒を主溶媒とし、かつ環状スルトン誘導体を含有していることを特徴とするリチウム一次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、金属ラミネートフィルム外装体内に発電要素を有しており、重負荷放電特性が良好なリチウム一次電池に関するものである。
現在、コイン(ボタン)形電池(以下、「コイン形電池」で統一する)などの扁平形リチウム一次電池が、小型、軽量であるといった特徴を生かして、様々な用途に用いられている。例えば、特許文献1には、タイヤ内部の圧力センサーなどの高温環境下での使用を想定して、電池を封止するためのパッキングを耐熱性の高い材料で構成し、更に非水電解液に環状スルトン誘導体や酸無水物を添加して、高温での耐性を高め、電池膨れの発生を抑制した扁平形電池が提案されている。
特開2004−47413号公報
ところで、前記のような扁平形リチウム一次電池は、例えば、プライスタグ(スーパーマーケットなどで商品の値段表示に使用されている液晶表示素子)などの液晶表示素子用の電源に使用されることがある。現在のプライスタグは2色表示のものが主流であり、現行の扁平形リチウム一次電池で対応可能である。
ところが、今後、カラー表示のプライスタグなどの使用も想定されるが、このような用途では、電源となるリチウム一次電池に従来よりも大電流での放電が求められることになる。また、プライスタグのみならず、扁平形リチウム一次電池の適用されている多くの機器で多機能化が進む傾向にあることから、こうした変化に対応できるように、扁平形リチウム一次電池には、従来よりも大電流での放電を可能とする特性、すなわち、重負荷放電特性の向上の要請がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重負荷放電特性の良好なリチウム一次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウム一次電池は、二酸化マンガンを含有する正極と、金属リチウムまたはリチウム合金を含有する負極と、セパレータとで構成される電極体、および非水電解液を外装体内に有するリチウム一次電池であって、前記外装体は金属ラミネートフィルム外装体であり、前記電極体の反応面積が電池の平面視での面積よりも大きく、前記非水電解液が、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとを体積比で30:70〜70:30で含む混合溶媒を主溶媒とし、かつ環状スルトン誘導体を含有していることを特徴とするものである。
リチウム一次電池の重負荷放電特性を高めるには、正負極の対向面積、すなわち、電極の反応面積を大きくすることが好ましい。しかしながら、従来のコイン形リチウム一次電池などの扁平形リチウム一次電池では、極めて限られた形状および容積の外装体を用いていることから、電極の反応面積を大きくすることは困難である。
そこで、本発明のリチウム一次電池では、正極と負極とセパレータで構成される電極体および非水電解液(以下、「電解液」と省略する)といった発電要素を収容する外装体に金属ラミネートフィルム外装体を使用し、外装体の形状に自由度を持たせ、反応面積が電池の平面視での面積よりも大きな電極体の収容を可能とし、電池の重負荷放電特性を向上させた。
なお、金属ラミネートフィルム外装体は、その形状の自由度が高い一方で、例えば、電池内でのガス発生による膨れの問題が顕著となる。そこで、本発明のリチウム一次電池では、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとを体積比で30:70〜70:30で含む混合溶媒を主溶媒とし、かつ環状スルトン誘導体を含有する電解液を使用し、これにより、電池内でのガス発生を抑えて、電池膨れの発生を抑制している。
なお、本明細書でいう「重負荷放電」とは、0.1C(Cは放電率)以上の大きな電流値の条件で使用(放電)することを意味している。
本発明によれば、重負荷放電特性に優れたリチウム一次電池を提供することができる。また、本発明のリチウム一次電池は、金属ラミネートフィルム外装体を有しつつ、電池膨れの発生を抑制できる。
図1および図2に本発明のリチウム一次電池の一例を模式的に示す。図1は平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図1および図2は、本発明の電池の構成を説明するためのものであって、各構成要素のサイズは必ずしも正確ではない。
図1および図2のリチウム一次電池では、平面視で、四角を曲線状にした正方形の金属ラミネートフィルム外装体1を有しており、この金属ラミネートフィルム外装体1内部に、正極7と負極8とをセパレータ9を介して渦巻状に巻回し、更にこれを扁平状に押しつぶした形状の巻回電極体と、電解液(図示しない)とを有している。
また、図1および図2中、10はステンレス鋼、Ni/ステンレス鋼のクラッド材、Niなどで構成される正極集電タブであり、正極7の正極集電体と溶接などにより電気的に接続されている。11はNi、銅/ステンレス鋼のクラッド材などで構成される負極集電タブであり、負極8の負極集電体と溶接などにより電気的に接続されている。
金属ラミネートフィルム外装体1は、図2中下側の金属ラミネートフィルム2と、図2中上側の金属ラミネートフィルム3とで構成されている。金属ラミネートフィルム2は、外装層6a/金属層5a/熱融着性樹脂層4aにより構成される3層構造の金属ラミネートフィルムであり、また、金属ラミネートフィルム3も、外装層6b/金属層5b/熱融着性樹脂層4bにより構成される3層構造の金属ラミネートフィルムである。そして、金属ラミネートフィルム外装体1は、フランジ部12a、12bにおいて、金属ラミネートフィルム2と金属ラミネートフィルム3とが、それらの有する熱溶融性樹脂層4a、4bによって熱融着されることで構成されている。すなわち、図2中の4は、金属ラミネートフィルム2の熱融着性樹脂層4aと金属ラミネートフィルム3の熱融着性樹脂層4bとが熱融着することで形成された層(熱融着性樹脂層)である。
図2に示すように本発明のリチウム一次電池は、正極、負極およびセパレータにより構成される電極体の反応面積、すなわち、正極と負極とが対向する面積が、電池の平面視での面積(平面視での投影面積)よりも大きいものである。従来のコイン形電池などの扁平形電池では、1層のみからなる正極と1層のみからなる負極とを、セパレータを介して積層した電極体を用いるのが主流であり、この場合、電極体の反応面積は電池の平面視での面積よりも小さくなる。これに対し、本発明のリチウム一次電池では、前記のように、電極体の反応面積を電池の平面視での面積よりも大きくして、電池の重負荷放電特性向上を図っている。
電極体の反応面積を電池の平面視での面積よりも大きくする方法としては、2枚以上の正極と2枚以上の負極とを、セパレータを介して積層した積層電極体を用いる方法や、図2に示すように、正極と負極とをセパレータを介して積層した積層体を、渦巻状に巻回し、必要に応じて押しつぶすなどして扁平状にした巻回電極体を用いる方法などが挙げられる。これらの中でも、電極体の作製がより容易であり、電池の生産性をより高め得ることから、巻回電極体(扁平状の巻回電極体)を使用することがより好ましい。
本発明に係る正極には、二酸化マンガンを活物質とする正極を使用する。具体的には、活物質である二酸化マンガンと、導電助剤と、バインダーとを含有する正極合剤層を、正極集電体の片面または両面に形成した構成の正極を使用することができる。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、鱗片状黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素などが用いられ、バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンラバーなどが用いられる。
正極の作製にあたっては、二酸化マンガンと導電助剤とバインダーとを混合して調製した正極合剤を水または有機溶剤に分散させてペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(この場合、バインダーはあらかじめ水または溶剤に溶解または分散させておき、それを正極活物質などと混合して正極合剤含有組成物を調製してもよい)、その正極合剤含有組成物を集電体に塗布し、乾燥した後、加圧成形する方法が採用できる。ただし、正極の作製方法は、前記例示の方法のみに限られることなく、他の方法によってもよい。正極合剤層の厚みは、例えば、50〜250μmであることが好ましい。
正極集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼製の金属箔、エキスパンドメタル、平織り金網などが使用できる。正極集電体の厚みは、例えば、5〜200μmであることが好ましい。
本発明に係る負極は、リチウム(金属リチウム)またはリチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−ビスマス、リチウム−インジウム、リチウム−ガリウム、リチウム−インジウム−ガリウムなどのリチウム合金で構成されるものを用いることができる。具体的には、これらのリチウムやリチウム合金を、集電体に圧着して負極としてもよい。リチウム合金の場合、リチウムの含有量が90質量%以上であることが好ましい。また、リチウムとリチウム合金とを併用して負極を構成してもよい。負極に係るリチウムやリチウム合金の厚みは、例えば、20〜200μmであることが好ましい。
負極集電体としては、銅製や銅合金製の金属箔、金属網などが使用できる。負極集電体の厚みは、例えば、5〜50μmであることが好ましい。
本発明に係るセパレータとしては、従来公知のリチウム一次電池で使用されているセパレータ、すなわち、微孔性樹脂フィルムからなるセパレータや樹脂不織布からなるセパレータが使用できる。その材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンの他、耐熱用として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。また、前記材質の微孔性フィルムと不織布とを複数積層するか、または微孔性フィルム同士や不織布同士を複数積層することによって構成される複層構造のセパレータを用いることにより、高温環境下で使用する場合の信頼性を高めることもできる。
セパレータの厚みは、例えば、10〜500μmであることが好ましい。また、セパレータの空孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であって、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下である。ここでいうセパレータの空孔率は、一定面積の試料を切り出してその質量と厚みを測定し、これらの測定値から算出することで求められる値である。
本発明に係る電解液には、有機溶媒に電解質を溶解させた溶液を用いるが、プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを体積比で30:70〜70:30で含む混合溶媒を主溶媒とし、かつ環状スルトン誘導体を含有する電解液を使用する。このような電解液を用いることで、電池の膨れの発生を抑制できる。なお、前記の「主溶媒」とは、PCとDMEとを前記の比率で含有する混合溶媒が、電解液の有する有機溶媒のうち、50体積%以上であることを意味している。
電解液に係る有機溶媒には、前記のPCとDMEとの混合溶媒のみ(すなわち、電解液の有する有機溶媒のうち、100体積%が前記のPCとDMEとの混合溶媒)を用いてもよく、これらと共に他の有機溶媒を用いてもよい。
PCおよびDME以外の有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル;ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;などが挙げられる。
前記のPCおよびDME以外の有機溶媒の中でも、貯蔵中の内部抵抗の増加や、開路電圧の低下を防ぐ目的からECを用いることが好ましい。また、電解液溶媒全量中におけるECの量は、ECの使用による効果をより有効に確保する観点から、0.5体積%以上であることが好ましく、1体積%%以上であることがより好ましい。ただし、ECの量が多すぎると、電池の低温特性が低下することから、電解液溶媒全量中におけるECの量は、20体積%以下であることが好ましく、6体積%以下であることがより好ましい。
また、本発明の電池では、環状スルトン誘導体を含有する電解液を使用する。環状スルトン誘導体を含有する電解液を用いて電池を構成することで、正極の表面に電解液の溶媒との反応を抑制する皮膜が形成され、電池の膨れの原因となるガス発生を抑制することができる。
電解液に用いる環状スルトン誘導体としては、例えば、1,3−プロパンスルトンや1,4−ブタンスルトンが好ましく、これらのうちの少なくとも1種を用いればよい。
本発明の電池においては、電池製造時における環状スルトン誘導体の量が、電極体の反応面積1mmあたり、好ましくは0.001mg以上、より好ましくは0.002mg以上となるように、電池に使用する電解液中の環状スルトン誘導体量や、電解液の使用量を調整することが望ましい。このような構成とすることで、環状スルトン誘導体の使用による前記の効果をより有効に確保できる。ただし、環状スルトン誘導体の使用量が多すぎると、正極表面に形成される皮膜が厚くなりすぎて、内部抵抗の増大を引き起こす虞がある。よって、本発明の電池においては、電池製造時における環状スルトン誘導体の量が、電極体の反応面積1mmあたり、好ましくは0.025mg以下、より好ましくは0.007mg以下となるように、電池に使用する電解液中の環状スルトン誘導体量や、電解液の使用量を調整することが望ましい。
また、電池に使用する電解液における環状スルトン誘導体の含有量は、例えば、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であって、10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
更に、本発明の電池においては、環状スルトン誘導体の使用による前記の効果をより有効に確保する観点から、電池製造時における環状スルトン誘導体の量が、電池の有する正極活物質である二酸化マンガン100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。ただし、環状スルトン誘導体の使用量が多すぎると、前記の通り、内部抵抗の増大を引き起こす虞がある。そのため、本発明の電池においては、電池製造時における環状スルトン誘導体の量が、電池の有する二酸化マンガン100質量部に対して、4質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
また、本発明の電池に係る非水電解液は、酸無水物も含有していることが好ましい。酸無水物を環状スルトン誘導体と併用することで、環状スルトン誘導体の量を減らしても、電池内でのガス発生を抑制することができるようになることから、環状スルトン誘導体の使用量をより少なくすることができる。
電解液に用いる酸無水物としては、例えば、無水メリト酸、無水マロン酸、無水マレイン酸、無水酪酸、無水プロピオン酸、無水プルビン酸、無水フタロン酸、無水フタル酸、無水ピロメリト酸、無水乳酸、無水ナフタル酸、無水トルイル酸、無水チオ安息香酸、無水ジフェン酸、無水シトラコン酸、無水ジグリコールアミド酸、無水酢酸、無水琥珀酸、無水桂皮酸、無水グルタル酸、無水グルタコン酸、無水吉草酸、無水イタコン酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水安息香酸などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
本発明の電池においては、電池製造時における酸無水物の量が、電極体の反応面積1mmあたり、好ましくは0.0002mg以上、より好ましくは0.0004mg以上となるように、電池に使用する電解液中の酸無水物量や、電解液の使用量を調整することが望ましい。このような構成とすることで、酸無水物を環状スルトン誘導体と併用することによる前記の効果をより有効に確保できる。ただし、酸無水物の使用量が多すぎると、酸無水物が電解液中の水分と反応して酸が生成し、これが更に負極と反応してリチウム塩などの形で負極の表面を被覆することにより、負荷特性が低下する虞がある。よって、本発明の電池においては、電池製造時における酸無水物の量が、電極体の反応面積1mmあたり、好ましくは0.004mg以下、より好ましくは0.0014mg以下となるように、電池に使用する電解液中の酸無水物量や、電解液の使用量を調整することが望ましい。
また、電池に使用する電解液における酸無水物の含有量は、例えば、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であって、2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
更に、本発明の電池においては、酸無水物の使用による前記の効果をより有効に確保する観点から、電池製造時における酸無水物の量が、電池の有する正極活物質である二酸化マンガン100質量部に対して、0.02質量部以上であることが好ましく、0.04質量部以上であることがより好ましい。ただし、酸無水物の使用量が多すぎると、前記の通り、電池の負荷特性が低下する虞がある。そのため、本発明の電池においては、電池製造時における酸無水物の量が、電池の有する二酸化マンガン100質量部に対して、0.8質量部以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
電解液に溶解させる電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiCFSO、LiCSOなどのLiC2n+1SO(n≧1)、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiCFCO、LiB10Cl10、低級脂肪酸カルボン酸リチウム、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどが挙げられ、それらのうちの少なくとも1種が用いられる。これらの中でも、二酸化マンガンとの共存性の観点から、LiClO、LiCFSO、LiCSOなどのLiC2n+1SO(n≧1)や、LiN(CFSO、LiN(CSOなどのリチウムイミド塩が好ましい。
電解液中における電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.2〜2mol/lが好ましく、0.3〜1.5mol/lがより好ましい。
また、LiBF、LiPF、LiAsFおよびLiSbFよりなる群から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩からなるリチウム塩Aと、前記LiBF、LiPF、LiAsFおよびLiSbF以外のリチウム塩からなるリチウム塩Bとを併用することにより、放電が進行した電池においても、前記添加剤の効果が発現しやすくなり、そのような放電が進行した電池を貯蔵したときでもガス発生を充分に抑制することができる。前記のようにリチウム塩Aとリチウム塩Bとを併用する場合、リチウム塩Aの全電解質中での割合を2モル%以上とすればよい。ただし、リチウム塩Aは、電池内に存在する微量の水分による分解を受けやすいため、リチウム塩Aの全電解質中での割合は20モル%以下にすることが好ましい。
電池の特性を総合的に判断すれば、リチウム塩Aとしては、LiBFまたはLiPFが好ましく、またリチウム塩Bとしては、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSOおよびLiN(CSOによりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の電池では、前記の通り、外装体に金属ラミネートフィルム外装体を使用する。金属ラミネートフィルム外装体としては、外装層/熱融着樹脂層からなる2層構造の金属ラミネートフィルムや、図2に示すような、外装層6a、6b/金属層5a、5b/熱融着性樹脂層4a、4bからなる3層構造の金属ラミネートフィルムで構成された外装体が挙げられる。
外装層/熱融着性樹脂層からなる2層構造の金属ラミネートフィルムで構成された金属ラミネートフィルム外装体の場合、外装層としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属や、これらの合金、ステンレス鋼などで構成された金属層が挙げられる。この場合、外装層の厚みは、10〜150μmであることが好ましい。
外装層/熱融着性樹脂層からなる2層構造の金属ラミネートフィルムで構成された金属ラミネートフィルム外装体の場合、熱融着性樹脂層を構成する熱融着性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、熱融着性ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;熱融着性ポリイミド;ポリメタクリル酸メチル;アイオノマー樹脂;などの樹脂や、これらの樹脂を形成するためのモノマーの2種以上からなる共重合体(エチレン−プロピレン共重合体など)などが挙げられる。この場合、熱融着性樹脂層の厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
外装層/金属層/熱融着性樹脂層からなる3層構造の金属ラミネートフィルムで構成された金属ラミネートフィルム外装体の場合、外装層としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのナイロンなどで構成された樹脂層;ステンレス鋼などで構成された金属層;が挙げられる。
前記3層構造の金属ラミネートフィルムにおける外装層が前記の樹脂層の場合、金属層としては、前記2層構造の金属ラミネートフィルムで構成された外装体に係る前記外装層と同じ構成および厚みの金属層が挙げられる。また、前記3層構造の金属ラミネートフィルムにおける外装層が前記の樹脂層の場合、熱融着性樹脂層としては、前記2層構造の金属ラミネートフィルムで構成された外装体に係る前記熱融着性樹脂層と同じ構成および厚みの熱融着性樹脂層が挙げられる。そして、前記3層構造の金属ラミネートフィルムにおける外装層が前記の樹脂層の場合、その厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
他方、前記3層構造の金属ラミネートフィルムにおける外装層が前記のステンレス鋼で構成される金属層の場合、前記のステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS405、SUS430などの一般的なステンレス鋼が挙げられる。ステンレス鋼で構成する外装層の厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
また、前記3層構造の金属ラミネートフィルムにおける外装層が前記のステンレス鋼で構成される金属層の場合、外装層と熱融着性樹脂層との間の金属層としては、ステンレス鋼よりも熱融着性樹脂層を構成する熱融着性樹脂との接着強度が大きな金属で構成した層であることが好ましい。
例えば、ステンレス鋼で構成された層を外装層とし、その表面に熱融着性樹脂層を設けた2層構造の金属ラミネートフィルムを用いた金属ラミネートフィルム外装体の場合、電池の電解液が熱融着性樹脂層に付着すると、外装層と熱融着性樹脂層との接着強度が大きく低下する虞がある。しかし、金属ラミネートフィルム外装体を構成する金属ラミネートフィルムを3層構造とし、ステンレス鋼で構成された外装層と、熱融着性樹脂層との間に、ステンレス鋼よりも熱融着性樹脂層を構成する熱融着性樹脂との接着強度が大きな金属で構成した層を配置することで、熱融着性樹脂層の表面に電解液が付着した場合の、金属ラミネートフィルムを構成する各層間の接着強度を高めることができる。
外装層と熱融着性樹脂層との間に配置される金属層を構成するための金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルや、これらの合金などが挙げられる。例えば、アルミニウム合金の場合の合金元素としては、例えば、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどが挙げられる。
外装層と熱融着性樹脂層との間に配置される金属層としては、外装層を構成するステンレス鋼とクラッドを構成するものであってもよく、外装層を構成するステンレス鋼の表面に蒸着などにより設けられた膜(蒸着膜)であってもよい。外装層と熱融着性樹脂層との間に配置される金属層の厚みは、0.1〜2μmであることが好ましい。
また、外装層と熱融着性樹脂層との間に配置される金属層と、熱融着性樹脂層との接着強度を高めるために、前記金属層の表面に処理を施したり、熱融着性樹脂層を構成する熱融着性樹脂を変性処理したりすることもできる。
前記金属層の表面処理方法としては、例えば、酸化処理、プラズマ処理、各種めっき[電気めっきや、無電解めっき(化学めっき)など]などにより、前記金属層の熱融着性樹脂層側表面に、熱融着性樹脂との接着性を向上させ得る皮膜などを形成する処理方法;粗面化などにより、熱融着性樹脂との接着性を物理的に高める処理方法;などが挙げられる。また、前記金属層の表面や、熱融着性樹脂の有する官能基(水酸基など)と反応して、その表面の親和性を改良するような処理でもよく、例えば、チタネート系カップリング剤やシラン系カップリング剤によって、前記金属層の表面を処理する方法も挙げられる。このような表面処理の場合には、前記例示のカップリング剤を含有する処理液中に、前記金属層を構成するための板(箔)や、外装層と前記金属層との積層体を浸漬するか、または、これらの板(箔)や積層体表面に、処理液を塗布した後、乾燥する方法が採用できる。これらの表面処理は、電池の内面側となる面にのみ施してもよく、電池の外面側となる面にも施しても構わない。
また、熱融着性樹脂の変性処理としては、例えば、熱融着性樹脂に、無水マレイン酸などの不飽和基を有する酸などをグラフトさせる公知の酸変性処理などが挙げられる。このような酸変性処理は、比較的極性の小さな樹脂(例えば、前記例示のポリオレフィン樹脂)を熱融着性樹脂として使用する場合に特に有効であるが、比較的極性の大きな熱融着性樹脂に、こうした酸変性処理を施しても構わない。
なお、これまで、図1および図2を用いて本発明を説明したが、図1および図2は本発明のリチウム一次電池の一例を示すものであって、本発明のリチウム一次電池はこれらの図面に示したものに限定される訳ではない。例えば、図1および図2に示すリチウム一次電池では、正極集電タブと負極集電タブとが、金属ラミネートフィルム外装体の一辺から引き出されているが、例えば、正極集電タブと負極集電タブとを、それぞれ対向する辺から引き出してもよい。また、図1では、平面視での形状が正方形の電池を示したが、本発明の電池は、平面視で長方形や円形、五角形以上の多角形(五角形、六角形、八角形など)の形状を有していてもよい。
本発明のリチウム一次電池は、重負荷放電特性に優れていることに加えて、金属ラミネート外装体を用いつつ、その電池膨れが抑制されていることから、こうした特性を生かして、カラー表示のプライスタグなどの液晶表示素子の電源用途などの大電流での放電が要求される用途を始めとして、従来公知の扁平形リチウム一次電池が適用されている各種用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
図1および図2に示す構造のリチウム一次電池を作製した(ただし、図1および図2における各要素・各部分のサイズは、現実の電池とは必ずしも一致していない)。
<正極の作製>
活物質である二酸化マンガン:88質量部と、導電助剤である天然黒鉛:7質量部と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF):5質量部とを混合し、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に均一に分散させて正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストを厚みが10μmのステンレス集電体の両面に塗工し、乾燥後、カレンダーロールにより厚みを調整した後スリットして、幅が20mm、長さが90mm、厚みが300μmの正極を得た。この正極に、ポリプロピレン(PP)付きステンレス鋼集電タブ(厚さ0.1mm。図1中、10。)を超音波溶接により溶接した。
<負極の作製>
活物質である厚みが50μm、幅が20mm、長さが180mmのリチウム金属箔を、厚みが10μm、幅が20mm、長さが190mmの銅集電体の片面に圧着し負極を作製した。この負極の端部を、集電体が内側になるように二つ折りにして、一部、外面両面にリチウム金属箔が露出するように配置した。ここで、折り曲げを容易に行なうためには、この負極の折り曲げ部分には、リチウム金属箔を配置しなくてもよい。この負極に、PP付き銅/ステンレス鋼クラッド集電タブ(厚さ0.1mm。図1中、11。)を、銅側を集電体側に向けて配置し、超音波溶接により溶接した。
<電極体の作製>
前記の正極および負極を、厚みが25μm、幅が30mmのPP製微多孔膜からなるセパレータを介して巻回して、縦30mm×横40mm×厚み1.8mmの電極体を作製した。その際、電極体の巻き終わり方向からステンレス鋼集電タブおよび銅/ステンレス鋼クラッド集電タブが露出するようにした。ここで、電極体の反応面積は、正負極の対向面積として、3600mmであった。
<金属ラミネートフィルムの作製>
図2に示す金属ラミネートフィルム外装体1を構成するための金属ラミネートフィルム2を、以下のようにして作製した。厚みが50μmのステンレス鋼箔(外装層6a)の片面に蒸着により厚みが5000Åのアルミニウム層(金属層5a)を形成し、表面処理(Cr、F、N、C、Pを含有するアミン系の処理剤により処理)を行った。その後、アルミニウム層全面に厚みが50μmの無延伸PPフィルム(熱融着性樹脂層4a)を熱融着して金属ラミネートフィルムを作製した。その後、この金属ラミネートフィルムを、押し金型を用いて、縦32mm×横42mm×深さ0.5mmの凹部を有し、3辺が幅4mm、1辺が幅2mmのフランジ部を有する蓋状に成形した。
また、金属ラミネートフィルム外装体1を構成するための金属ラミネートフィルム3についても、金属ラミネートフィルム2の場合と同様にして作製した後、押し金型を用いて、縦32mm×横42mm×深さ1.5mmの凹部を有し、3辺が幅4mm、1辺が幅2mmのフランジ部を有する皿状に成形した。すなわち、金属ラミネートフィルム3も、金属ラミネートフィルム2と同様に、外装層6bをステンレス鋼で、金属層5bをアルミニウムで、熱融着性樹脂層4bを無延伸PPフィルムで構成した。
<電池の組み立て>
金属ラミネートフィルム3の2mm幅のフランジ部に電極体の集電タブが位置するように、電極体を金属ラミネートフィルム3の凹部に収容した後、金属ラミネートフィルム2と金属ラミネートフィルム3とを、2mm幅の辺同士が合うように重ね合わせ、両フィルムの周縁部、すなわち、2mm幅の辺の部分と、4mm幅の3辺のうち2辺の部分とを、ヒートブロックを用いて、190℃、0.5MPaの条件で4秒間加圧融着した。その後、フランジ部の熱融着していない辺部分から、減圧注液法によって電解液を500mg注入した。なお、電解液には、PCとDMEとを、PC:DME=1:1(体積比)で混合した溶媒に、電解質としてLiClOを0.5mol/lの濃度で溶解し、1,3−プロパンスルトンを25mg(濃度:5質量%)添加したものを用いた。電解液の注入後、金属ラミネートフィルム2、3の熱融着していない辺部分を前記と同様の条件で加圧融着させた後、フランジ部の4mm幅の辺部分を幅2mmに切断して、リチウム一次電池を得た。この電池における1,3−プロパンスルトンの量は、電極体の反応面積1mあたり0.007mgで、電池の有する二酸化マンガン100質量部に対して1.8質量部である。また、この電池の平面視での面積は、1656mmである。
実施例2
電解液に、PCとDMEとを、PC:DME=1:1(体積比)で混合した溶媒に、電解質としてLiClOを0.5mol/lの濃度で溶解し、1,3−プロパンスルトンを50mg(濃度:10質量%)添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム一次電池を作製した。この電池における1,3−プロパンスルトンの量は、電極体の反応面積1mあたり0.014mgで、電池の有する二酸化マンガン100質量部に対して3.6質量部である。
実施例3
電解液に、PCとDMEとを、PC:DME=1:1(体積比)で混合した溶媒に、電解質としてLiClOを0.5mol/lの濃度で溶解し、1,3−プロパンスルトンを25mg(濃度:5質量%)、無水フタル酸を5mg(濃度:1質量%)添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム一次電池を作製した。この電池における1,3−プロパンスルトンの量は実施例1と同じであり、無水フタル酸の量は、電極体の反応面積1mあたり0.0014mgで、電池の有する二酸化マンガン100質量部に対して0.36質量部である。
実施例4
電解液に、PCとDMEとECとを、PC:DME:EC=19:19:2(体積比)で混合した溶媒に、電解質としてLiClOを0.5mol/lの濃度で溶解し、1,3−プロパンスルトンを25mg(濃度:5質量%)添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム一次電池を作製した。この電池における1,3−プロパンスルトンの量は実施例1と同じであり、電解液溶媒中のECの量は、5体積%である。
比較例1
電解液に1,3−プロパンスルトンを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウム一次電池を作製した。
実施例1〜4および比較例1の各リチウム一次電池について、下記の貯蔵時の膨れ量確認試験、および放電容量確認試験を行った。これらの結果を表1に示す。
<貯蔵時の膨れ量確認試験>
実施例1〜4および比較例1の各電池について、常温で36mAの定電流で5時間放電し、貯蔵前の電池厚みを測定し、その後、45℃の環境下に100日間貯蔵した後に、電池を常温になるまで静置してから電池厚み(貯蔵後の電池厚み)を測定し、電池厚みの増加量(電池膨れ)を求めた。表1の「電池膨れ」では、比較例1の電池における電池厚みの増加量を1とした場合の、各電池における電池厚みの増加量の相対値を示している。すなわち、例えば、電池膨れが0.5の電池では、貯蔵による電池の膨れ量が、比較例1の電池の半分に抑制されていることを示している。
<放電容量確認試験>
実施例1〜4および比較例1の各電池について、常温で36mA(0.1C)の定電流で電池電圧が2.0Vまで定電流放電を行って、そのときの放電容量を求めた。
Figure 2009252731
表1から分かるように、実施例1〜4のリチウム一次電池では、環状スルトン誘導体を含有していない非水電解液を用いた比較例1のリチウム一次電池に比べて、電池膨れが抑えられていると共に、電極体の反応面積が、電池の平面視での面積よりも大きく構成されているため、0.1Cに相当する36mAといった大きな電流値での放電でも高い容量を有しており、重負荷放電特性が優れている。
本発明のリチウム一次電池の一例を模式的に示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。
符号の説明
1 金属ラミネートフィルム外装体
7 正極
8 負極
9 セパレータ

Claims (5)

  1. 二酸化マンガンを含有する正極と、金属リチウムまたはリチウム合金を含有する負極と、セパレータとで構成される電極体、および非水電解液を外装体内に有するリチウム一次電池であって、
    前記外装体は、金属ラミネートフィルム外装体であり、
    前記電極体の反応面積が、電池の平面視での面積よりも大きく、
    前記非水電解液は、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとを体積比で30:70〜70:30で含む混合溶媒を主溶媒とし、かつ環状スルトン誘導体を含有していることを特徴とするリチウム一次電池。
  2. 電池製造時における環状スルトン誘導体の量が、電極体の反応面積1mmあたり0.001〜0.025mgとなるように非水電解液を使用した請求項1に記載のリチウム一次電池。
  3. 環状スルトン誘導体の含有量が、0.5〜10質量%である非水電解液を使用した請求項1または2に記載のリチウム一次電池。
  4. 非水電解液が酸無水物を含有している請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム一次電池。
  5. 非水電解液の溶媒が、エチレンカーボネートを0.5〜20体積%含有している請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム一次電池。
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