JP2009257587A - 自転車用のチェーンに用いられる関節ピンおよび該チェーン - Google Patents

自転車用のチェーンに用いられる関節ピンおよび該チェーン Download PDF

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Abstract

【課題】経験の少ないユーザでも、リンク部を損傷するリスクを伴うことなく自転車用の伝動チェーンの簡単かつ効果的な組立てが可能となる関節ピンを提供する。
【解決手段】関節ピンは、自転車用のチェーンのリンク部5,10の関節ピン25であって、チェーンの外側のリンク部5および対応する内側のリンク部10の整列した孔17,19に挿入され、リンク部5,10を互いにヒンジ接続する型であり、中心部27と遠位端部30とを有しており、遠位端部30が、孔17,19を通って挿入できるように、少なくとも一部において弾性変形可能であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、自転車用のチェーンに用いられる関節ピン、およびこのような関節ピンで組み立てられるチェーンに関する。
従来の自転車用のチェーンは、外側のリンク部と内側のリンク部とが交互に連続するチェーンとして製造されている。外側のリンク部の各々は、対向する離間した一対のプレートで構成されており、これら一対のプレートの端部は、その内表面において、内側のリンク部を構成する一対のプレートにヒンジ接続されている。内側のリンク部は、外側のリンク部によって形成される隙間よりも小さいけれども自転車のスプロケットまたはクラウンの歯を収容するのには十分な隙間を形成している。内側のリンク部を構成するプレートは、動作時に自転車のスプロケットまたはクラウンの歯の側面に当接するピンによって離間状態に保持されている。
上記伝動チェーンの内側のリンク部および外側のリンク部を形成するプレートには貫通孔が設けられている。チェーンの最終組立て工程において、関節ピンは内側のリンク部および外側のリンク部の整列した孔に挿入される。このようにして、内側のリンク部は外側のリンク部にヒンジ接続される。すなわち、外側のリンク部および対応する内側のリンク部の整列した孔は、関節ピンの座部となる。
関節ピンはチェーンのリンク部間のヒンジとして構成されているのみでなく、変形することなくペダル動作時に機械的応力を内側のリンク部から外側のリンク部、および外側のリンク部から内側のリンク部に伝達するという役割も担っている。すなわち、関節ピンは、機械的荷重、主に引張り力を伝達する、チェーンのリンク部間の接続要素である。この意味において、関節ピンは、しばしば従来のチェーンに設けられる単純な固定要素または補強要素と区別される。
一般的に、市場で利用されている解決手段としては、関節ピンのリベット加工によるチェーンの組立てが挙げられる。この関節ピンは、リンク部の孔の直径よりも大きい直径を有するヘッド部を有している。関節ピンがリンク部に完全に挿入されると、この関節ピンのヘッド部は、第1の孔において、外側のリンク部の第1のプレートの外面に当接状態となる。ヘッド部と反対側にある関節ピンの部位、すなわち、関節ピンの遠位部には、リベット加工が施される。つまり、恒久的な塑性変形が施されて、上記ヘッド部と対向するヘッド部が得られる。この対向ヘッド部の直径は、外側のリンク部の第2のプレートに設けられた第2の孔の直径よりも大きい。このようにして、関節ピンは、その両端部において、リンク部から外れないように固定される。上記リベット加工は、しばしば、押圧部および押圧部の押圧手段が設けられた適切な工具により手作業で行われ、押圧部は、その少なくとも一部が関節ピンの遠位部に挿入される。
関節ピンを対応するリンク部に挿入してチェーンを組み立てる工程には細心の注意が必要である。というのも、不正確な挿入が行われると、チェーンの局所的な変形が生じたり、チェーンの機能性が損なわれ得るからである。通常、チェーンは組み立てられていない状態で商品化されており、エンドユーザが、最後の関節ピンを挿入してチェーンを所望の長さに設定することになっている。使用したチェーンをばらして再度組み立てる場合にも、関節ピンを挿入して最後のリンク部を関節接続する必要がある。
一般的に、取り外される関節ピンに対応するチェーンのリンク部は、新しいリンク部に取り替えられる。新しいリンク部として、関節ピンを含んでいる修理キットが利用される。新しいリンク部についても、対応する関節ピンの挿入を最大限に正確にできるものである必要がある。不利なことに、修理キットは比較的高価である。
本願と同一の出願人による特許文献1には、自転車用の伝動チェーンが開示されている。この伝動チェーンに用いられる関節ピンは、第1の孔において、外側のリンク部のプレートに溶接されている。関節ピンの内面には、環状の突部が形成されており、この突部に、金属材料からなるロックボタンの、部分的に弾性を有する遠位部をスナップ係合させることができる。このロックボタンは、その遠位部から関節ピン内部に挿入されるもの、すなわち、外側のリンク部に溶接された関節ピンの部位と反対側の部分から関節ピン内部に挿入されるものであり、かつ、関節ピンの自由部位および外側のリンク部の第2の孔に当接するヘッド部が設けられている。このロックボタンにより、関節ピンが軸方向に外れることが防止され、すなわち、チェーンのリンク部から関節ピンが外れることが防止される。
上記の解決手段にも幾つかの欠点が存在する。関節ピンを溶接することによって、チェーンの最終組立てが複雑になり、エンドユーザにとって管理が難しいものになってしまう。さらに、溶接作業は、組立コストおよび組立時間に悪影響を及ぼす。
米国特許第6364799号明細書
よって、本発明の基礎をなす技術的課題は、経験の少ないユーザでも、リンク部を損傷するリスクを伴うことなく自転車用の伝動チェーンの簡単かつ効果的な組立てが可能となる関節ピンを提供することである。
したがって、本発明の第1の構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載の構成を有する、自転車用のチェーンの関節ピンに関する。
詳細には、本発明の第1の構成は、自転車用のチェーンのリンク部の関節ピンに関するものであり、この関節ピンは、チェーンの外側のリンク部および対応する内側のリンク部の互いに整列した孔に挿入され、このリンク部を互いにヒンジ接続する型であり、中心部と遠位端部とを有しており、遠位端部が、前記孔を通って挿入できるように、少なくとも一部において弾性変形可能であることを特徴とする。
本発明の明細書および特許請求の範囲に記載の、「関節ピン」という用語は、自転車用の伝動チェーンにおいて、内側と外側のリンク部をヒンジ接続し、かつ、内側のリンク部に加わった機械的応力を外側のリンク部、および外側のリンク部に加わった機械的応力を内側のリンク部に伝達するために使用される要素のことをいう。すなわち、関節ピンは、対応するリンク部のヒンジのように、機械的応力、特にチェーンに対する長手方向の応力の伝達要素として構成されている。
チェーンのリンク部の孔を通す関節ピンの挿入は、以前に使用した関節ピンを用いた挿入であってもよい。すなわち、第1の挿入の後、関節ピンをチェーンから取り外しても、この関節ピンの遠位部は、関節ピンを第2のチェーンのリンク部の孔に通して挿入するのに十分な残余の弾性を保持できる。
従来の解決手段と比較して、本発明の関節ピンには、リンク部のプレートに対する損傷のリスクを抑えながら、これと同時にリンク部との効果的な結合が確実になされるという利点がある。遠位端部、すなわち関節ピンの端部が弾性変形することにより、孔の内壁との有害な機械的干渉を防止しながら関節ピンをリンク部の孔に挿入することができる。
好ましくは、関節ピンまたは弾性を有する遠位端部の表面硬度は、チェーンのリンク部の材料の硬度よりも小さい。
本発明の好ましい一実施形態によると、関節ピンの、対応する内側のリンク部および外側のリンク部を通す挿入は、関節ピンの遠位端部の変形されていない形状への弾性復帰によって完了する。すなわち、本発明の関節ピンは、チェーンの外側のリンク部にスナップ結合することによって伝動チェーンの組立てを行う。
さらなる利点として、関節ピンは、プレートしたがってリンク部を変形したり損傷させたりすることなく、リンク部の孔に挿入されてリンク部と結合したり、結合を解除して取り出されたりすることが度々できる。関節ピンの遠位端部が弾性変形することにより、リンク部の孔内で関節ピンがつっかえたり干渉したりすることを防いでいる。
無視することのできないさらなる利点として、関節ピンは、対応する外側のリンク部において必ずしもリベット加工される必要がない。スナップ結合により、チェーンの使用の通常条件下において機械的なシールが十分かつ確実になされる。
好ましくは、関節ピンは、中心部と、チェーンの対応する外側のリンク部のプレートの外面に当接する、遠位端部と反対側の頂部とを有している。
本発明の好ましい一実施形態によると、関節ピンの中心部は、円筒状であり、かつ、その外面は連続している。中心部の表面に、孔、切り込み、開口および空洞(全体的にいうと不連続部)がないことにより、このような部位における機械的応力は均一に分布することになる。関節ピンとその対応するリンク部との間の荷重分布は、径方向において均一となり、すなわち、チェーンが直線状に移動しているときにも、ギアに巻かれているときにも、荷重分布は均一である。さらに、中心部の表面に不連続部がないことにより、関節ピンの中心部上を直接摺動する内側のリンク部の孔の内壁の摩耗が抑えられる。
関節ピンの遠位端部の弾性変形は、主に径方向に生じる。リンク部の整列した孔内に関節ピンを挿入する最初の工程では、遠位端部が、孔の内壁との相互作用で生じる力の作用により、関節ピンの軸心に向かって弾性変形を生じる。
関節ピンが完全に挿入される実施形態では、遠位端部が、外側のリンク部から出てきて、変形方向とは反対方向に弾性復帰して最初の形状に戻る。すなわち、遠位端部は、外側のリンクの出口となる孔の外部に押し出されると、スナップしてチェーンの組立状態となり、弾性復帰を生じ、その周縁部の直径が、リンク部の孔の直径よりも大きくなる。関節ピンがチェーンのリンク部を通って完全に挿入されて遠位端部がスナップして係合状態となることにより、遠位端部は外側のリンク部の外壁に当接するので、予想外に結合が解除されることが防止される。
好ましくは、遠位端部は中空であり、かつ、直径全体にわたって延在する、および軸方向に延在する少なくとも1つの切り込みを有している。切り込みが設けられていることにより、関節ピンの軸心に向かう径方向およびこれと反対の径方向に遠位端部が変形し易くなる。より好ましくは、遠位端部は、直径全体にわたって延びる2つ以上の切り込みを有している。たくさんの切り込みが設けられることにより、特に、これらの切り込みが互いに等間隔で分布されていることにより、遠位端部をその円周に沿って一様に変形させることができる。
関節ピンとチェーンの外側のリンク部とのスナップ結合が行われる状態における、変形されていない遠位端部は、関節ピンの中心部の外径よりも大きい外径を有する。
好ましくは、遠位端部は、チェーンのリンク部の孔への挿入方向においてテーパ状であり、また、チェーンが閉じられた状態でリンク部の外壁と当接する表面、例えば、関節ピンの抜け落ちを防止する「アンダーカット」(または平坦面)を有する。
関節ピンを製作するための適切な材料は、例えば、チタン合金、または炭素含有率が0.20%以上の鋼である。これらの材料を用いることにより、関節ピンの遠位端部の十分な弾性と、これ以外の部分の、機械的応力に対する十分な抗力とが同時に確保される。好ましくは、関節ピンの表面硬度は500HV0.1以上である。
本発明の第2の構成は、特許請求の範囲の請求項10に記載の構成を有する、自転車用のチェーンの関節ピンに用いられるロックボタンに関する。
詳細には、本発明の第2の構成は、自転車用のチェーンに用いられるロックボタンに関するものであり、このロックボタンは、前記チェーンの2つのリンク部をヒンジ接続する関節ピンに挿入でき、当該関節ピンが抜け落ちないようにする型であり、関節ピンの内壁が、当該関節ピンの軸心に向かって径方向に変形または移動しないように塑性変形可能であることを特徴とする。
このロックボタンは、遠位端部が径方向内方に、すなわち、関節ピンの軸心に向かって弾性変形を生じないように、径方向外方に、すなわち、関節ピンの軸心から離れる方向に塑性変形可能である。
変形された形状において、ロックボタンの外壁は関節ピンの内壁に当接しており、実際、関節ピンが自身の軸心に向かって弾性変形することを防いでいる。すなわち、ロックボタンを塑性変形することにより、関節ピンは外側のリンク部に固定される。関節ピンが軸方向に抜け落ちるのに必要な荷重、つまり軸方向の抜け落ち荷重は、遠位端部が弾性縮小しないようにロックボタンが塑性変形されたときに最大となり、関節ピン−リンク部結合部の機械的シールについて明らかに有利である。
本発明の第1の実施形態において、ロックボタンは、変形されていない形状において、対応する関節ピンの内部の空洞に干渉しながら、またはクリアランスをもって挿入可能な別個の要素である。ロックボタンが変形された形状になると、上記クリアランスは減少するか、または完全にゼロになる。
好ましくは、ロックボタンは、外部変形具および/または関節ピンのガイド要素を挿入するのに適した内部の空洞を有している。上記のような変形要素は、例えば、押圧体である。
本発明の第2の実施形態において、ロックボタンは、関節ピンと一体形成されたものであってもよい。このロックボタンは、塑性変形を生じる前では、環状の隙間により遠位端部の内壁から実質的に隔てられている。
好ましくは、関節ピンの遠位端部は、ロックボタンの少なくとも一部を収容するのに十分な第1の内径を有している。関節ピンの中心部の一部が、遠位端部の第1の内径よりも小さい第2の内径を有している。事実上、関節ピンは中空であり、前記内部の空洞に該当する内部の孔は有底孔であるか、または関節ピンの頂部に向かうにつれて幅が狭くなっており、当該頂部の部分からロックボタンが抜け落ちないようにされている。このようにして、ロックボタンは、関節ピンの頂部から排出される恐れを伴うことなく、弾性を有する遠位端部内において、同端部に進入する工具を用いて変形可能である。
変形例として、関節ピンの内部の孔はテーパ状であり、すなわち、遠位端部において外部に向かって開いており、かつ、例えば円錐形のように、反対方向で幅が狭くなっている。
本発明のさらなる一実施形態によると、関節ピンは、その内表面に形成された少なくとも1つの環状の凹部を有している。対応する環状の突部がロックボタンの外表面に形成されており、干渉しながら上記環状の凹部と形状結合を生じる。
好ましくは、関節ピンは、さらに、リンク部の孔内部におけるセンタリングおよび挿入を容易にする機能を有するガイド要素を備えている。このガイド要素は、ロックボタンの付属物のように形成されており、リンク部の孔の直径およびロックボタンの外径よりも小さい最大外径を有している。チェーンを閉じる工程では、まず、ガイド要素がリンク部の孔に挿入され、これにより、関節ピンの壁または中芯体の壁と、孔の壁との間において、有害であり得る干渉が発生することを防止できる。ガイド要素は、上記中芯体と一体かつ中芯体から分離可能であってもよいし(例えば、せん断またはへし折ることにより)、上記中芯体に一時的に固定可能な別個の要素、例えば、ロックボタンの内部の空洞に一部が挿入可能な要素であってもよい。
変形例として、ガイド要素はロックボタンと一体であり、かつ、関節ピンの頂部と反対側の、ロックボタンの端部に設けられた薄肉部を含む喉部から延出しており、この喉部は、せん断したり、へし折ったり、いずれにせよ、簡単に分離させるのに適した部位となっている。
好ましくは、ロックボタンは、炭素含有率が0.20%以上の鋼からなる。
さらに、本発明の第3の構成は、特許請求の範囲の請求項11に記載の構成を有する、自転車用のチェーンを固定するアセンブリに関する。
詳細には、自転車用の伝動チェーンを固定する上記アセンブリは、特許請求の範囲の請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの関節ピンと、関節ピンの内壁が当該関節ピンの長手方向の軸心に向かって径方向に変形または移動しないように塑性変形可能である、対応するロックボタンとを備えることを特徴とする。
さらに、本発明の第4の構成は、特許請求の範囲の請求項20に記載の構成を有する、自転車用の伝動チェーンに関する。
詳細には、上記伝動チェーンは、対応する関節ピンによってヒンジ接続された外側のリンク部および内側のリンク部が連続しており、前記関節ピンの少なくとも1つが、特許請求の範囲の請求項1〜9のいずれか一項に記載の関節ピンであることを特徴とする。
好ましくは、関節ピンは、対応する外側のリンク部とスナップ結合してチェーンを閉じるために弾性変形可能である端部を有している。
好ましくは、上記伝動チェーンの関節ピンは、本発明の第1の構成に関して上述した型の関節ピンである。
有利なことに、リンク部の結合要素、すなわち、ヒンジとしても応力伝達要素としても作用する関節ピンが、対応する外側のリンク部にスナップ固定されることができる。この特性により、結合部のシールおよびチェーンの全体としての性能に悪影響を及ぼすことなく、チェーンの組立て作業を大幅に簡略化することができる。
従来の解決手段と比較して、本発明の関節ピンは必ずしもリベット加工される必要がない。つまり、関節ピンの弾性を有する端部をスナップさせて外側のリンク部に当接させることにより、チェーンを素早くかつ効果的に組み立てることができる。
好ましくは、上記伝動チェーンは、本発明の第2の構成に関して上述した少なくとも1つのロックボタンを備えている。
好ましくは、介在ピンが、内側のリンク部の環状のフランジの外面と回転可能に結合される。この介在ピンは、スプロケットまたはクラウンの歯による摩擦によって関節ピンが摩耗することを防ぐ。他の実施形態によると、チェーンは上記ピンを備えず、関節ピンが、上記ピンとして作用するように、すなわち、スプロケットおよびクラウンの歯と直接的に相互作用するように寸法合わせかつ形成されている。
好ましくは、関節ピンの遠位端部、すなわち、弾性変形可能な端部は、スナップ結合が完了したときにも、外側のリンク部内の空間に少なくとも一部が収容されている。このようにして、遠位端部の少なくとも一部が、当該遠位端部に損傷を与えたり当該遠位端部の抜け落ちを引き起こしたりし得る衝撃から保護される。
好ましくは、関節ピンは、その中心部の2つの環状の突部、すなわち、その中心部の2つの環状の肉厚部において外側のリンク部にヒンジ接続されている。
好ましくは、関節ピンの長さは、その頂部が外側のリンク部の外壁に当接した際に、その遠位端部の少なくとも一部が、当該遠位端部の取付対象である外側のリンク部の他方の外壁を越えて突出するように選択される。すなわち、頂部が外側のリンク部に当接しているとき、変形されていない形状にスナップして復帰した遠位端部は、リンク部の外面に当接していない。関節ピンの長さは、外側のリンク部における一対の孔の中心間の距離よりも若干大きい。この特性により、挿入が終了すると遠位端部は完全に膨張することができ、これにより、作業を行っている人は、結合が成功したことの確証を感知することができる。この感知は、例えば、挿入に対する抗力の急激な低下であったり、遠位端部の弾性復帰によって生じる音であったりする。
好ましくは、チェーンの対応するリンク部の整列した孔に対する関節ピンの挿入は、チェーンを閉じるための工具によって行われる。この工具は、関節ピンをリンク部から排出させることなく前述のロックボタンを変形するためにも使用できる。
本発明の第5の構成は、特許請求の範囲の請求項23に記載の構成を有する、自転車用のチェーンを組み立てる工具に関する。
詳細には、自転車用のチェーンを組み立てる工具は、チェーンのリンク部を通って関節ピンが挿入される際の非動作位置と、関節ピンに押圧を付与することにより、当該関節ピンが自身の長手方向の軸心に沿ってリンク部から抜け落ちないようにする動作位置との間を移動できる当接要素を備えており、当該工具の本体にヒンジ接続された支持体に、前記当接要素が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記支持体および前記当接要素のうち少なくとも1つは交換可能なものであり、これにより、当該当接要素が摩耗しても、その後で最適な状態に設定し直すことができる。
本発明のチェーンの平面図である。 図1に示されたチェーンの細部を拡大して示した長手方向断面図である。 本発明の関節ピンの斜視図である。 図2に示されたチェーンの細部を拡大して示した長手方向断面図である。 図2に示されたチェーンの細部を拡大して示した長手方向断面図である。 本発明のアセンブリの第1の実施形態の長手方向断面図である。 図6に示されたアセンブリの詳細図である。 本発明のアセンブリの他の実施形態の長手方向断面図である。 本発明のアセンブリの他の実施形態の長手方向断面図である。 本発明のアセンブリのさらなる他の実施形態の長手方向断面図である。 本発明のチェーンを閉じるための工具の平面図である。 使用形態における、図11の工具の斜視図である。 使用形態における、図11の工具の斜視図である。 図11に示された工具の背面図である。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を用いた以下の説明から明らかになる。
図1に示されているように、本発明のチェーン1は、互いに関節接続された、外側のリンク部5と内側のリンク部10とを交互に備える。外側のリンク部5の各々は、内側のリンク部10が介在できるように互いに平行かつ離間状態で配設された一対の外側のプレート7を含む。内側のリンク部10の各々は、介在ピン15が介在できるように互いに平行かつ離間状態で配設された一対の内側のプレート12を含む。
外側のプレート7は、ほぼ平坦であり、端部に貫通孔である孔17(図2)を有している。
これとは異なり、内側のプレート12は、環状のフランジ18を形成する湾曲した端部を有しており、このフランジ18は、図2に示された孔19の周りを軸方向に延びている。
図2に示されているように、外側のリンク部5および内側のリンク部10は対応する端部で互いに重なっており、孔17、孔19、および介在ピン15の中心における孔20が、長手方向の共通の軸心Xに沿って互いに整列している。チェーン1の少なくとも1つの外側のリンク部5と、チェーン1の少なくとも1つの内側のリンク部10とが、整列した孔17および19に挿入された本発明の関節ピン25によってヒンジ接続されている。この結合により、外側のリンク部5および内側のリンク部10は、関節ピン25に対して回転可能、かつ互いに対して回転可能となっている。
図2、特に図3に示されているように、関節ピン25は、連続的な円筒状の外面、すなわち、開口、空洞、切り込み、および印などの不連続部が存在しない円筒状の外面を有する中心部27を含む。
好ましくは、関節ピン25の中心部27の各端部には肉厚部29、すなわち、中心部27よりも大きい直径を有する環状部が設けられている。肉厚部29は、孔17において外側のプレート7と直接的に結合している。変形例として、中心部27は、肉厚部29がなくて延びていてもよい。
さらに、関節ピン25は、肉厚部29よりも軸方向のさらに外側の位置に頂部32および遠位部30(遠位端部30とも称する)を有する。
頂部32の反対側に位置する上記遠位端部30が、孔17および19に最初に挿入される。頂部32は、孔17および19への関節ピン25の挿入時に関節ピン25の移動終了部として作用し、外側のプレート7の外面に当接する。
好ましくは、遠位端部30は、外側のリンク部5および内側のリンク部10を損傷することなく孔17および19に挿入できるように弾性変形可能である。
好ましくは、遠位端部30は外側のリンク部5にスナップ係合可能である。詳細には、遠位端部30は、関節ピン25が外側のリンク部5および内側のリンク部10に挿入されて孔17および19の内壁と相互作用する際、少なくとも一部が径方向内方に向かって、すなわち長手方向の軸心Xに向かって径方向に弾性変形可能である。遠位端部30は、関節ピン25の挿入側とは反対の、外側のリンク部5の孔17の出口部38(図4)を出ると、最初の変形方向とは反対方向に弾性復帰する。
遠位端部30がスナップして出口部38の外面に当接するのに丁度よい弾性変形をできるか否かは、主に、関節ピン25を構成する材料の固有な特性および関節ピン25の形状に左右される。好ましくは、関節ピン25は、炭素含有率が0.2%以上の鋼からなる。さらに好ましくは、関節ピン25の鋼における炭素含有率は0.5%超である。例えば、適切な鋼は、ばねを製造するのに一般的に使用される鋼である。変形例として、関節ピン25は、チタン合金からなり、好ましくは、このチタン合金は、バナジウム、アルミニウム、クロムおよび錫のうち1つ以上含んでいる。さらに好ましくは、このチタン合金は、熱処理に適さない種類のものである。
好ましくは、関節ピン25は、500HV0.1(ビッカース硬さ)以上の表面硬度を得るように熱処理および/または被覆処理されており、より好ましくは、1500HV0.1超、さらに好ましくは2500HV0.1超の表面硬度を得るように熱処理および/または被覆処理されている。好ましくは、関節ピン25が抜け落ちるのに必要な荷重、すなわち抜け落ち荷重は200〜300Kgf(キログラム重)(おおよそ1960〜2940N(ニュートン))である。上述の表面硬度に設定することにより、関節ピン25の十分な耐摩耗性が確保できる。
しかしながら、全般的には、関節ピン25の材料は、挿入時に周縁部34が孔17の内壁および孔19の内壁と相互作用する際に当該周縁部34が軸心Xに向かって弾性変形し、挿入が完了すると、周縁部34が挿入時と反対方向に弾性変形して最初の形状に復帰するような特性を有する(図4)。いずれにせよ、関節ピン25の材料は、挿入によって生じる応力、すなわち、外側のリンク部5の孔17の内壁および内側のリンク部10の孔19の内壁との相互作用による応力に耐えられる十分な剛性を有する。
図4は、遠位端部30の細部を示す断面図である。周縁部34が遠位端部30の外縁に沿って延びている。変形されていない形状、すなわち、外側のリンク部5および内側のリンク部10に対する関節ピン25の挿入前および挿入完了後の形状において、周縁部34での遠位端部30の直径は、関節ピン25の中心部27の直径および間接ピン25の肉厚部29の直径よりも大きい。好ましくは、周縁部34は、外側のリンク部5および内側のリンク部10からの関節ピン25の軸方向への抜け落ち荷重の最小限が、200Kgf(キログラム重)(約1960N(ニュートン))よりも確実に大きくなるように寸法合わせされている。すなわち、周縁部34における関節ピン25の厚さは、チェーン1の使用時の通常条件下で関節ピン−リンク部結合部が確実にシールされるような厚さである。
好ましくは、遠位端部30は、直径全体にわたって延在する、および軸方向に延在する少なくとも1つの切り込み36を含んでおり(図3には、切り込みが1つだけ設けられており、この切り込みは、遠位端部30の円周の2つの部位に及んでいる)、周縁部34が不連続となっている。さらに好ましくは、遠位端部30は、2つ以上の切り込み36を含む(図示せず)。変形例として、遠位端部30は、円周に沿って等間隔で設けられた(三ツ矢星形状に従い)、軸方向に延在する少なくとも3つの周囲切り込み(図示せず)を含む。
切り込み36により、間接ピン25の軸心Xに向かう周縁部34の弾性変形が容易になる。すなわち、切り込み36により、周縁部34の直径を一時的に減少させる変形が容易になる。
好ましくは、切り込み36は、肉厚部29の一部に及ぶところまで、軸方向に延びている。変形例として、切り込み36の軸方向の延びは、これより少なくてもよい。すなわち、切り込み36は、肉厚部29にまで及ばないものであってもよい。
図4に示されているように、外側のリンク部5のプレート7を通る孔17の出口部38は外部に向かって座ぐり加工されており、遠位端部30の少なくとも一部、詳細には、関節ピン25の挿入完了時に変形されていない形状に戻った周縁部34を収容する。
好ましくは、関節ピン25の長さは、外側のリンク部5のプレート7における一対の孔17の中心間距離よりも大きい。この場合、周縁部34は、出口部38の表面に当接せず、これら2つの部材間に隙間Sが生じる。周縁部34は、関節ピン25の挿入が完了すると同時に、変形されていない形状で最大の直径にスナップして復帰するので、作業を行っている人が感知できる合図となり、接続完了の確証になる。例えば、この合図は、関節ピン25の挿入に対する抗力の急激な低下であったり、周縁部34のスナップにより生じる音であったりする。
図5に示されているように、好ましくは、関節ピン25の頂部32は、軸心Xに対して径方向外方に延びて外側のリンク部5のプレート7に当接係止するフランジ44を有している。
図2に示されているように、好ましくは、関節ピン25は中空であり、すなわち、軸方向に延びる内部の貫通孔である孔42を有している。この内部の孔42の内径は、軸心Xに沿って一定であってもよいが、好ましくは、遠位端部30の近傍で若干増大している。すなわち、好ましくは、内部の孔42はテーパ状である。
本発明によると、ロックボタン40が関節ピン25に結合される。全般的に、このロックボタン40は、チェーン1の使用時の一定の条件下で関節ピン25が外側のリンク部5および内側のリンク部10から抜け落ちることを防ぐ機能を有する。好ましくは、ロックボタン40は塑性変形可能であり、関節ピン25の内部の孔42の内壁に圧力を加えることにより、この内壁が径方向内方に向かって、すなわち長手方向の軸心Xに向かって径方向に変形したり移動したりすることを防止する。
有利なことに、関節ピン25および対応するロックボタン40は、チェーン1を閉じるためのアセンブリ70(図2)を形成する。
ロックボタン40の一実施形態が図2に示されている。この図において、ロックボタン40は対応する関節ピン25に結合しており、かつ、関節ピン25は、チェーン1の外側のリンク部5および内側のリンク部10にスナップして当接している。
ロックボタン40は少なくとも壁41において塑性変形可能であり、関節ピン25の遠位端部30の内壁に側方当接するように設定されている。ロックボタン40の壁41は、内部の軸方向孔つまり空洞である孔54を形成している。
関節ピン25および対応するロックボタン40はほぼ円筒状に延びるものであり、いずれにせよ、それぞれ、円筒母線を有する形状で延びるものであってもよい。つまり、孔54の径方向外方におけるロックボタン40の壁41は、軸方向に延びる環状のフランジ41を形成する。環状のフランジ41の厚さ、すなわち、壁41の部分の厚さは、このフランジ41が容易に塑性変形できるように選択される。
変形例として、関節ピン25および対応するロックボタン40は、ほぼ円筒状に延びるものであるが、円錐母線を有する形状で延びている部位も有する。
好ましくは、ロックボタン40は、炭素含有率が0.2%以上の鋼からなり、より好ましくは、炭素含有率が0.5%超の鋼からなる。さらに好ましくは、ロックボタン40は、ステンレス鋼、例えばマルテンサイト系のステンレス鋼からなる。上述の材料を用いることにより、関節ピン25の内部の孔42内におけるロックボタン40(少なくともフランジ41)の塑性変形が可能となり、また、これと同時に、遠位端部30の壁に過度の圧力が働くリスクを最小限にする。すなわち、上述した鋼を用いることにより、ロックボタン40は、遠位端部30を破損するリスクを伴うことなく、変形して関節ピン25の内壁を閉じることができる。
上述した材料を用いることにより、前述の抜け落ち荷重が作用した場合にも、ロックボタン40が確実にシールされる。すなわち、300Kgf(キログラム重)未満の抜け落ち荷重が作用してもフランジ41は変形せず、関節ピン25が径方向に弾性変形して外側のリンク部5および内側のリンク部10から抜け落ちることが防止される。
好ましくは、関節ピン25の内部の孔42は頂部32において第1の直径を有しており、この第1の直径は、遠位端部30における第2の直径よりも小さい。内側において、内部の孔42はテーパ状であってもよいし、肩部46における部位で急激に幅が狭くなるものであってもよい。肩部46は、出口部38を通って内部の孔42に挿入されるロックボタン40に対する限界スイッチ面のように形成されており、ロックボタン40が頂部32から排出されないようにしている。変形例として、内部の孔42は有底孔であってもよく、すなわち、頂部32で閉じられたものであってもよい。
好ましくは、ロックボタン40は関節ピン25の内部の孔42に干渉しながら挿入されて結合するので、使用状態における抜け落ち荷重を最大にすることができる。変形例として、ロックボタン40は内部の孔42にクリアランスをもって挿入されて、これら2つの部材間に環状の隙間を形成し、当該ロックボタン40が変形するとこのクリアランスが打ち消されるように構成されている。いずれの場合においても、ロックボタン40は、スナップして外側のリンク部5および内側のリンク部10を閉じた状態で関節ピン25内に収容されているときに、内部の軸方向孔54に別個の物体が挿入されることで塑性変形を生じる。
図6および図7には、チェーン1の外側のリンク部5および内側のリンク部10を通って関節ピン25が挿入される前の、チェーン1を閉じるためのアセンブリ70が示されている。好ましくは、同図に示されているように、アセンブリ70はガイド要素50と組み合わされることができ、このガイド要素50は、手作業で外側のリンク部5の孔17および内側のリンク部10の孔19を通して挿入されて当該孔17および19を整列状態に保持し、挿入が完了すると、第2段階でアセンブリ70から取り外される。
ガイド要素50は円筒形状であり、その外径は、関節ピン25の遠位端部30の内径よりも小さいか、または最大外径が遠位端部30の内径と同一である。ガイド要素50は、ロックボタン40の内部の軸方向孔54に挿入される突部または延出部52により、ロックボタン40に一時的に取付固定される。アセンブリ70からガイド要素50を取り外すには、延出部52を軸方向孔54から滑り出すだけでよい。
図6の断面の詳細図である図7に詳細に示されているように、ロックボタン40と関節ピン25の内壁との間には、少なくとも遠位端部30のところにおいて隙間72が存在する。このような隙間72により、挿入工程時の関節ピン25の遠位端部30の弾性変形が可能になる。チェーン1に対する関節ピン25の挿入が完了すると、ロックボタン40が軸心Xと反対の径方向外方に変形されることにより、隙間72が打ち消される。
図8は、本発明のアセンブリ170の他の実施形態を示す長手方向断面図であり、ガイド要素150が、接続のネック部56を介してロックボタン140と一体形成されている。ネック部56は、容易に壊れるように、すなわち、上記一体品が孔17および19を通って挿入された後に手作業でまたは特定の工具によって壊すことができる寸法にされている。詳細には、ネック部56は、遠位端部30の外部に位置する薄肉の喉部58を有する。喉部58が外部に位置していることにより、ネック部56が壊されたときに、ロックボタン140の、関節ピン25の弾性変形を防止するために変形されるべき部位が、喉部58から延在しているガイド要素150と共に取り外されないことが確実になる。
図9は、チェーン1に固定されたアセンブリ270の他の実施形態を示す長手方向断面図である。図2に示された実施形態の構成に追加して、関節ピン225の内部の孔242の表面には、ロックボタン240の外面に形成された環状の突起285が挿入される、対応する環状の凹部280が形成されている。突起285が凹部280に係合して形状結合することにより、関節ピン225からのロックボタン240の抜け落ちに抗する抗力を最大にすることができる。
図10は、チェーン1を閉じるアセンブリ370の他の実施形態を示す長手方向断面図である。この場合、関節ピン325は、対応するロックボタン340と一体形成されている。塑性変形前のロックボタン340が図示されているように、ロックボタン340の外壁を関節ピン325の遠位端部330の内壁から隔てる隙間372がある。関節ピン325の遠位端部330の壁330は弾性作用を有する。ロックボタン340のフランジの壁341は、関節ピン325の遠位端部330の壁330よりも薄肉であり、かつ、塑性作用を有する。
図9および図10に示されているアセンブリ270,370の実施形態には、ロックボタン240,340と別体、またはこれと一体であるガイド要素50を組み合わせることができる。
本発明の一実施形態によると、関節ピン25は、1回以上使用できるように形成され、かつ寸法合わせされている。この場合、関節ピン25がチェーン1から取り出されても、遠位端部30は、第2のチェーンの外側のリンク部の孔17および内側のリンク部の孔19を通る有効な挿入を行うのに十分な残余の弾性を保持している。
図11には、本発明のチェーン1を閉じるための工具500が示されている。工具500は、スクリュー部材518と係合するためのねじ孔を備えた本体512を有している。スクリュー部材518には、ハンドルMによってトルクを加えることができる。スクリュー部材518は、ハンドルMの操作に従い本体512に対して前後に移動できる押圧部522を有している。好ましくは、図11に示されているように、押圧部522の端部523はテーパ状である。
本体512は、接続対象である内側のリンク部10および外側のリンク部5(図1)のそれぞれの挿入に用いる、少なくとも2つの歯部526を有している。歯部526は、ねじ加工された部材であるスクリュー部材518と、外側のリンク部5および内側のリンク部10を支持するための支持壁530との間に位置する隙間に設けられている。
図12に示されているように、支持壁530は、2つの歯部526間の隙間と整列した切欠部535を有しており、関節接続される外側のリンク部5および内側のリンク部10を通ってアセンブリ70が挿入される際にガイド要素50を収容することができる。
図12に示されているように、支持壁530と平行な第2の壁540が、歯部526に対して支持壁530と反対側に設けられている。切欠部535は、さらに、その一部が第2の壁540にも延在し、ガイド要素50を排出するための排出孔545と交差している。
支持壁530と第2の壁540との間には、回動可能に接続された軸方向の当接要素555が設けられており、この当接要素555は、図12に示されているような、歯部526が係合したチェーン1に関節ピン25を挿入する際の位置と、図13に示されているような、関節ピン25のロックボタン40を変形させる際の位置との間を回動して移動することができ、ロックボタン40を変形させる際の位置では、関節ピン25に当接する。軸方向の当接要素555は、アンビル形状の部材として形成されて本体512にヒンジ接続された支持体550と一体的である。
好ましくは、軸方向の当接要素555および支持体550のうち少なくとも1つは交換可能なものである。当接要素555は、関節ピン25の頂部32と相互作用する領域において摩耗する。生じた摩耗に応じて必要なときに、当接要素555または対応する支持体550を交換すればよい。工具500を交換したり、工具500を完全に分解したりする必要はない。
未接続のチェーン1は、まず、関節接続する対象である外側のリンク部5および内側のリンク部10を歯部526間に嵌め込むことにより、工具500と組み合わされる。この状態において、互いに接続される外側のリンク部5および内側のリンク部10の孔17,19が整列され、かつ、ガイド要素50が手作業で挿入可能な状態である一方、当該ガイド要素50と組み合わされる関節ピン25は、外側のリンク部5および内側のリンク部10の外部に位置している。次に、ねじ加工された部材であるスクリュー部材518にハンドルMによりトルクを加えることにより、押圧部522が関節ピン25を押圧して当該関節ピン25を孔17,19に通し、これと同時に、ガイド要素50が切欠部535に収容されて、その後、押圧部522と軸合せされた排出孔545から排出される。遠位端部30がスナップして外側のリンク部5の出口部38が閉じられると、関節ピン25は完全に挿入されたことになる(図4)。
この形態に達すると、作業を行っている人は、チェーン1を工具500から取り外して、取り外す前の位置と鏡面対象となる位置、すなわち、ロックボタン40を押圧部522と対向する位置にしてチェーン1を再度嵌め込む。
アンビル形状の部材である支持体550は、軸方向の当接要素555が関節ピン25の頂部32に当接するように図13に示されているように回動され、これにより、関節ピン25は排出されることなく、他方、ロックボタン40は、外部変形具である押圧部522の少なくとも一部がその内部に挿入されることで押圧を受け、塑性変形を生じる。
変形例として、アンビル形状の部材である支持体550は、これと一体的な軸方向の当接要素555に関連して説明した前述の2つの位置の間を並進運動するものであってもよい。
上述した動作のあいだチェーン1を固定するために、歯部526に加えて、歯部526に設けられた孔を通って挿入可能でこれらの孔から突出するばね560(図13)を設けてもよい。
図14は、工具500の背面図であり、さらなる孔580が示されている。ガイド要素150がロックボタン140と一体形成されている場合(図8)に、排出孔545よりも小さい直径を有するさらなる孔580は、ガイド要素150の少なくとも一部を収容し、事実上、喉部58を壊すためのてことして機能する。
詳細には、さらなる孔580の直径は、3.60ミリメートル(mm)以上であり、その深さは、8ミリメートル(mm)以下である。
さらなる孔580は、工具500の任意の箇所に位置決めされてもよいが、好ましくは、スクリュー部材518と反対側の、本体512の壁585に形成される。
好ましくは、上記壁585は、貫通孔である排出孔545と孔590が形成される同一の壁である(孔590は、ばね560を挿入するための孔である(図13))。
関節ピン25を外側のリンク部5および内側のリンク部10に挿入し終えると、チェーン1が工具500から取り外されて、ガイド部位であるガイド要素150が上記さらなる孔580に嵌め込まれる。工具500を回転させることにより、ガイド部150が、喉部58のところで、ロックボタン140から分離される。
1 チェーン
5 外側のリンク部
10 内側のリンク部
17 孔
19 孔
25 関節ピン
27 関節ピンの中心部
30 関節ピンの遠位端部
40 ロックボタン
50 ガイド要素
70 チェーン固定アセンブリ
150 ガイド要素
500 チェーン組立工具
512 工具の本体
522 押圧部
545 排出孔
555 当接要素
580 さらなる孔
X 関節ピンの長手方向の軸心

Claims (25)

  1. 自転車用のチェーン(1)のリンク部(5,10)の関節ピン(25)であって、前記チェーン(1)の外側のリンク部(5)および対応する内側のリンク部(10)の整列した孔(17,19)に挿入され、前記リンク部(5,10)を互いにヒンジ接続する型であり、中心部(27)と遠位端部(30)とを有する関節ピン(25)において、
    前記遠位端部(30)が、前記孔(17,19)を通って挿入できるように、少なくとも一部において弾性変形可能であることを特徴とする関節ピン(25)。
  2. 請求項1において、さらに、前記チェーン(1)の前記外側のリンク部(5)の外面に当接する頂部(32)を、前記遠位端部(30)と反対側に有することを特徴とする関節ピン(25)。
  3. 請求項1または2において、前記中心部(27)が連続的な円筒状の外面を有することを特徴とする関節ピン(25)。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記遠位端部(30)が、当該関節ピン(25)の挿入時に前記孔(17,19)の内壁との相互作用で生じる力の作用により、当該関節ピン(25)の長手方向の軸心(X)に向かって径方向に弾性変形可能であり、前記力が停止すると反対方向に弾性復帰することを特徴とする関節ピン(25)。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、前記遠位端部(30)が、中空であり、かつ、当該関節ピン(25)の長手方向の軸心(X)に対して平行に延在する、1つ以上の直径方向の切り込み(36)を有していることを特徴とする関節ピン(25)。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項において、前記遠位端部(30)が、変形されていない形状において、前記中心部(27)の外径よりも大きい外径を有することを特徴とする関節ピン(25)。
  7. 請求項6において、前記遠位端部(30)が、前記外側のリンク部(5)とのスナップ係合のために弾性変形可能であることを特徴とする関節ピン(25)。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、チタン合金、または炭素含有率が0.20%以上の鋼からなることを特徴とする関節ピン(25)。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項において、表面硬度が500HV0.1以上であることを特徴とする関節ピン(25)。
  10. 自転車用のチェーン(1)に用いられるロックボタン(40)において、
    関節ピン(25)の内壁が当該関節ピン(25)の長手方向の軸心(X)に向かって径方向に変形または移動しないように、塑性変形可能であることを特徴とするロックボタン(40)。
  11. 自転車用の伝動チェーン(1)を固定するためのアセンブリ(70)において、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの関節ピン(25)と、
    前記関節ピン(25)の内壁が当該関節ピン(25)の長手方向の軸心(X)に向かって径方向に変形または移動しないように塑性変形可能である、対応するロックボタン(40)と、
    を備えることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  12. 請求項11において、前記ロックボタン(40)が、前記関節ピン(25)の前記遠位端部(30)内部に挿入されて、前記遠位端部(30)が径方向内方に弾性変形を生じないように径方向外方に塑性変形可能であることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  13. 請求項12において、前記関節ピン(25)が、前記遠位端部(30)において外部に向かって開いた内部の空洞(42)を有しており、
    前記ロックボタン(40)の少なくとも一部が、前記内部の空洞(42)内において、当該内部の空洞(42)の内壁との干渉結合により、または当該内部の空洞(42)の内面に形成された環状の凹部(280)との形状結合により保持されていることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  14. 請求項11において、前記ロックボタン(340)が、前記関節ピン(25)と一体形成されており、かつ、塑性変形を生じる前では、環状の隙間(372)により前記遠位端部(330)から隔てられていることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  15. 請求項11〜14のいずれか一項において、前記ロックボタン(40)の外壁の少なくとも一部が、変形された形状において、対応する前記関節ピン(25)の内壁に当接していることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  16. 請求項11〜15のいずれか一項において、前記ロックボタン(40)が、前記リンク部(5,10)の孔(17,19)への挿入時に外部変形具(522)および/または前記関節ピン(25)のガイド要素(50)を挿入するのに適した内部の空洞(54)を有していることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  17. 請求項11〜16のいずれか一項において、前記関節ピン(25)のガイド要素(50,150)を前記リンク部(5,10)の孔(17,19)内部に有し、
    前記ガイド要素(150)が、前記ロックボタン(140)と一体かつ前記ロックボタン(140)から分離可能である、または前記ロックボタン(40)に一時的に固定可能な別個の要素(50)であることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  18. 請求項17において、前記ガイド要素(150)が、前記ロックボタン(140)の端部の薄肉部を含む喉部(58)から延在していることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  19. 請求項11〜18のいずれか一項において、前記ロックボタン(40)が、炭素含有率が0.20%以上である鋼からなることを特徴とするチェーン固定アセンブリ(70)。
  20. 対応する関節ピンによってヒンジ接続された外側のリンク部(5)および内側のリンク部(10)が連続する自転車用の伝動チェーン(1)において、
    前記関節ピン(25)の少なくとも1つが請求項1〜9のいずれか一項に記載の関節ピンであることを特徴とする自転車用伝動チェーン(1)。
  21. 請求項20において、請求項11〜19のいずれか一項に記載の少なくとも1つのチェーン固定アセンブリ(70)を備えることを特徴とする自転車用伝動チェーン(1)。
  22. 自転車用のチェーン(1)を閉じる工具(500)を用いて、請求項10〜19のいずれか一項に記載のロックボタン(40)を塑性変形させる、工具の使用方法。
  23. 自転車用のチェーン(1)を組み立てる工具(500)であって、
    前記チェーン(1)のリンク部(5,10)を通って関節ピン(25)が挿入される際の非動作位置と、前記関節ピン(25)に押圧を付与することにより、当該関節ピン(25)が自身の長手方向の軸心(X)に沿って前記リンク部(5,10)から抜け落ちないようにする動作位置との間を移動できる当接要素(555)を備えたチェーン組立工具(500)において、
    当該工具の本体(512)にヒンジ接続された支持体(550)に、前記当接要素(555)が設けられていることを特徴とするチェーン組立工具(500)。
  24. 請求項23において、前記支持体(550)および前記当接要素(555)のうち少なくとも1つが交換可能なものであることを特徴とする、チェーン組立工具(500)。
  25. 請求項23または24において、
    前記関節ピン(25)または対応する前記ロックボタン(40)に少なくとも一部を挿入することができる押圧部(522)と、
    前記押圧部(522)と軸合せされており、前記ロックボタン(40)と一体のガイド要素(150)の少なくとも一部を収容して排出するための排出孔(545)と、
    前記ガイド要素(150)の少なくとも一部を収容して当該ガイド要素(150)を前記ロックボタン(40)から分離し易いようにするためのさらなる孔(580)とを備え、かつ、
    前記さらなる孔(580)の直径が、前記排出孔(545)の直径よりも小さいことを特徴とする、チェーン組立工具(500)。
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