JP2009297639A - 焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システム - Google Patents

焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄灰に残存する塩類を低減することが可能な焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システムを提供する。
【解決手段】石炭灰の処理システム100は、石炭灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする処理装置11と、灰スラリーを脱水する手段、及び、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ手段、並びに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする手段を兼ね備えた遠心脱水機21と、を有し、すすぎ手段は、固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うように制御されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システムに関する。
近年、石炭灰、一般ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰など、さまざまな種類の焼却灰が大量に発生しており、とりわけ、石炭灰については、国内において年間に約1千万トンも発生している。これらの焼却灰は、いずれも微細な粒子からなり、その発生過程である燃焼過程において重金属などの有害物質(例えば、ホウ素、フッ素、砒素、セレン)が濃縮されることとなる。そのため、焼却灰は、高濃度の有害物質を含んでおり、産業廃棄物に指定されているのである。
ところで、近時、リサイクルの要請が高まっており、これに伴って、焼却灰を有効利用する試みが活発になっている。ところが、焼却灰は水に浸漬されると、その微粒子から有害物質が溶出してしまうため、焼却灰を埋立材などとして有効利用しようとしても、その有害物質が、土壌汚染を引き起こしてしまうおそれがある。しかも、この有害物質は無機質であるため、無害化されにくい。このような事情により、焼却灰を有効利用する試みは進んでいないのが現状である。また、焼却灰の中でも、とりわけ石炭灰には、有害物質として多量のホウ素が含まれており、当該ホウ素は溶出しやすい性質を有する。そのため、石炭灰をリサイクルする際には、このような性質を有するホウ素が障害となってしまう。しかも、石炭灰などの焼却灰からホウ素などの有害物質を除去する技術は、コスト面及び品質面において課題が多く、実用的なレベルに至っていないのが現状である。
このような現状を踏まえると、焼却灰、とりわけ石炭灰を、安全且つ安信な材料として盛土材、充填材、土壌改良材などに有効利用するためには、当該焼却灰の洗浄技術を確立しておく必要がある。このような要請に基づいた焼却灰の洗浄技術として、従来、水或いは酸溶液などの溶媒に焼却灰を投入して攪拌混合することにより、ホウ素などの有害物質を溶媒中へ抽出し、その全体(すなわち、灰スラリー)を脱水機にかけて固液分離し、固形分である脱水灰を回収して有効利用する一方、分離液(以下この分離液を「洗浄脱水液」という。)を水処理して、その一部を洗浄液としてリサイクルし、その残部を廃棄処分する技術が知られている。もっとも、このように焼却灰及び溶媒を脱水機にかけて固液分離を行うだけでは、固形分である灰の粒子表面に水分が付着しており、この水分には分離液と同濃度の有害物質が含まれている。そのため、焼却灰及び溶媒を脱水機にかけて固液分離を行うだけでは、脱水灰が十分に浄化されたとはいえない。脱水灰を十分に浄化するためには、別途、灰の粒子表面に付着した水分を洗浄する必要がある。そこで、従来の技術にあっては、脱水灰を清澄水ですすぎ洗浄してから脱水することとされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−320342号公報
しかしながら、従来の技術の如く、脱水灰を清澄水ですすぎ洗浄したとしても、その洗浄灰に塩類(例えば、石膏、炭酸カルシウム、硫酸鉄、硫酸アルミニウムなど)が残留することがあった。このように洗浄灰に塩類が残留すると、洗浄灰を盛土材などの資材として有効利用した際に、この塩類が徐々に間隙水に溶解し、資材の表面が乾燥するに伴って、当該表面に塩類が析出してしまう。その結果、白色或いは半透明の物質が目に付くようになり、美観が低下するだけでなく、構造物(例えば、鋼鉄構造物、コンクリート構造物)の耐久性が低下してしまうなどの悪影響が懸念され、洗浄灰の用途が限定されてしまう。
また、脱水灰をすすぎ洗浄する場合には、廃液の量が多くなって、水処理量が増加するとともに、清澄水の使用量も増加してしまう。従って、この場合には、多くの水槽などが必要となって、処理コストも増加してしまう。さらに、前述した洗浄脱水液は、pHが低く、しかも、ホウ素などの有害物質を高濃度で含んでおり、従来の技術では、このような洗浄脱水液を適切に処理することができないのが実情であった。
そこで、本発明は、洗浄灰に残存する塩類を低減することが可能な焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システムを提供することを主たる目的とする。
さらに、本発明は、水処理量若しくは水使用量を低減することも可能であり、或いは、洗浄脱水液を適切に処理することも可能な焼却灰の処理方法、及び焼却灰の処理システムを提供することを従たる目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の焼却灰の処理方法は、焼却灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする工程と、前記灰スラリーを脱水する工程と、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ工程と、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする工程と、を有する焼却灰の処理方法であって、前記すすぎ工程は、前記固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うことを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ工程は、前記すすぎを行いつつ、脱水を行うことを特徴とする焼却灰の処理方法。
また、本発明において、前記すすぎ工程で使用したすすぎ水の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用することを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ工程で使用した前記中性のすすぎ水の残存液を、当該すすぎ工程で使用する前記酸性のすすぎ水の調製水として再利用することを特徴とする。
また、本発明において、前記焼却灰にホウ素が含まれる場合には、前記灰スラリーを脱水して得られた洗浄脱水液をナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液から前記ホウ素を回収することを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ工程で使用した前記酸性のすすぎ水の残存液を、前記洗浄脱水液とともにナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液から前記ホウ素を回収することを特徴とする。
また、本発明において、前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用することを特徴とする。
また、本発明において、前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記すすぎ水の調製水として再利用することを特徴とする。
また、本発明の焼却灰の処理システムは、焼却灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする処理装置と、前記灰スラリーを脱水する手段、及び、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ手段、並びに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする手段を兼ね備えた遠心脱水機と、を有し、前記すすぎ手段は、前記固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うことを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ手段は、前記すすぎを行いつつ、脱水を行うことを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ手段で使用したすすぎ水の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ手段で使用した前記中性のすすぎ水の残存液を、当該すすぎ手段で使用する前記酸性のすすぎ水の調製水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする。
また、本発明において、前記焼却灰はホウ素を含有し、前記灰スラリーを脱水して得られた洗浄脱水液をナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理を行う中和処理装置と、前記中和処理装置で中和処理された処理物を脱水する脱水機と、前記脱水機に残存する脱水ケーキを廃棄物処理する手段と、前記脱水機によって得られた脱水液から前記ホウ素を回収する手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明において、前記すすぎ手段で使用した前記酸性のすすぎ水の残存液を、前記中和処理装置に循環させるための循環手段を有することを特徴とする。
また、本発明において、前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする。
また、本発明において、前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記すすぎ水の調製水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、洗浄灰に残存する塩類を低減することが可能となる。また、本発明によれば、水処理量若しくは水使用量を低減することも可能であり、或いは、洗浄脱水液を適切に処理することも可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
==石炭灰の処理システムの概要==
図1は、本発明の実施形態に係る石炭灰の処理システムを示す概略図である。
図1に示す石炭灰の処理システム100では、本発明の実施形態に係る石炭灰の処理方法が採用されており、この方法は、工程10,20,30を有する。
(工程10について)
工程10は、石炭灰に酸性の洗浄液である希硫酸を加えて灰スラリーにし、当該石炭灰からホウ素その他の有害物質を抽出する工程である。この工程10では、抽出槽11が用いられる。なお、この実施形態では、焼却灰として、石炭灰を例に挙げているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、石炭灰以外の焼却灰であっても、本発明を適用することが可能である。また、酸性の洗浄液として、希硫酸を例に挙げているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、希塩酸などを用いることも可能である。
(工程20について)
工程20は、工程10で得られた灰スラリーを脱水し、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄を行うとともに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする工程である。この工程20において、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄を行う際には、まず、固形分を酸性のすすぎ水(具体的には、前述した洗浄液よりも弱酸性の水)ですすぎ(以下「前段のすすぎ」ともいう。)、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行う(以下「後段のすすぎ」ともいう。)。本実施形態では、このようなすすぎを行いつつ、同時に脱水を行うこととする。前段のすすぎと後段のすすぎとの分岐点は、石炭灰のアルカリ度や溶出特性によって異なることから、工程20で得られる脱水液の電気伝導率(EC)やpHをモニタリングして(図2参照)、両者の分岐点を決定するものとし、具体的には、ECが減少して安定し始めた時点、或いは、pHが上昇して弱酸性(pH≧4)となった時点を分岐点とする(例えば、図2の場合には、脱水を開示してから20分が経過した時点などを分岐点とする。)。
工程20で得られた洗浄灰には、塩類がほとんど含まれない。工程20では、遠心脱水機21が用いられる。遠心脱水機21は、灰スラリーを脱水する手段、及び、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ手段、並びに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする手段を兼ね備えている。すすぎ手段は、固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うように制御されており、このようなすすぎを行いつつ、同時に脱水を行うものである。
この制御方式として、手動制御方式を採用することも可能であるが、システムの合理化を図るためには、自動制御方式を採用することが好ましい。自動制御方式を採用する場合、具体的には、前述したモニタリングの結果を参照し、例えば、ECが減少して安定し始めた時点、或いは、pHが上昇して弱酸性(pH≧4)となった時点に、前段のすすぎから後段のすすぎへの切替えを自動的に行うようにするとよい。
(工程30について)
工程30は、灰スラリーを脱水して得られた洗浄脱水液を水酸化ナトリウム(NaOH)により中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理(すなわち廃棄処分)する一方で、その分離液である脱水液からホウ素を回収する工程である。この工程30では、中和槽31、脱水機32、ホウ素吸着塔33が用いられる。つまり、洗浄脱水液を中和処理する際には、中和槽31が用いられ、中和処理後の処理物を固液分離する際には、脱水機32が用いられる。また、分離液である脱水液からホウ素を回収する際には、ホウ素吸着樹脂(ホウ素を選択的に吸着することが可能なイオン交換樹脂)が内蔵されたホウ素吸着塔33が用いられる。このホウ素吸着塔33により回収されたホウ素は、純度が高いので、各種の工業原料(例えば、半導体材料、ガラス工業原料)などに、幅広く利用することができる。
なお、この実施形態では、洗浄脱水液を中和処理する際に用いる中和剤として、水酸化ナトリウム(NaOH)を例に挙げているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、その他のナトリウム系アルカリ(例えば、炭酸ナトリウムなど)を使用することが可能であり、或いは、カリウム系アルカリ(例えば、水酸化カリウムなど)を使用することも可能である。また、脱水機32における固液分離の方式として、遠心分離方式のみならず、フィルタープレス方式を採用することも可能である。
このような石炭灰の処理システム100にあっては、まず、工程10において、石炭灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする。この工程10により、石炭灰からホウ素その他の有害物質(フッ素、砒素、セレンなど)が洗浄液に抽出されることになる。
続いて、工程20おいて、工程10で得られた灰スラリーを脱水し、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄を行うとともに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする。すすぎ洗浄を行う際には、固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行う。この工程20により、洗浄灰には、塩類がほとんど含まれないこととなる。従って、石炭灰の処理システム100にあっては、洗浄灰に残存する塩類を低減することが可能となるのである。
さらに、工程30において、洗浄脱水液を水酸化ナトリウム(NaOH)により中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液からホウ素を回収する。この工程30において、洗浄脱水液を水酸化ナトリウムで中和処理することにより、脱水ケーキのスラッジ総量が減少し、廃棄物処理量が減少することとなる。また、このように洗浄脱水液を水酸化ナトリウムで中和処理すると、洗浄脱水液に含まれるホウ素は、沈殿しにくくなって脱水ケーキに取り込まれにくくなる一方で、洗浄脱水液に含まれるホウ素以外の有害物質(例えば、フッ素、砒素、セレンなど)は、脱水ケーキに取り込まれやすくなる。しかも、ホウ素は、沈殿した状態のときよりもイオン化した状態のときに、効率的に回収されやすい。そのため、中和処理後の洗浄脱水液を固液分離することにより、洗浄脱水液に含まれているホウ素とホウ素以外の有害物質とを容易に分離することが可能となるとともに、その分離液である脱水液から貴重なホウ素のみを効率的に回収することも可能となる。このようにして、前述した洗浄脱水液を適切に処理することが可能となるのである。
また、石炭灰の処理システム100は、循環手段201、循環手段301を有する。循環手段201は、すすぎ手段で使用したすすぎ水の残存液(当該残存液には、すすぎを行いつつ脱水して得られた脱水液を含む。)、すなわち、すすぎ脱水液を、前述した洗浄液の調整水として再利用するための装置である。一方、循環手段301は、前述した脱水液からホウ素を回収した後の残存液、すなわち、ホウ素回収後の脱水液を、前述した洗浄液の調整水として再利用するための装置である。このような石炭灰の処理システム100にあっては、循環手段201、循環手段301により、それぞれ、すすぎ脱水液、ホウ素回収後の脱水液を、洗浄液の調整水として再利用することが可能となり、水処理量若しくは水使用量(具体的には、洗浄液を調整するために使用する水使用量)を低減することも可能となるのである。
==本発明の確認試験==
本発明者らは、前述した本発明の効果を確認するために、次のような試験を行った。
以下、各試験の概要について説明する。
<石炭灰の溶出試験の概要>
まず、本発明者らは、各種の石炭灰(表1の石炭灰1〜4参照)を対象にして、石炭灰の溶出試験を行った。その試験結果を表1に示す。
表1に示すように、石炭灰1〜4には、いずれもホウ素が含まれており、とりわけ、石炭灰1〜3には、土壌環境基準を超える量のホウ素が含まれていた。また、石炭灰1〜4には、ホウ素以外にも、フッ素、砒素、セレンが含まれており、これらの中には、土壌環境基準を超えるものもあった。
<工程20で得られる脱水液の水質試験の概要>
続いて、本発明者らは、表1の石炭灰4を対象として、工程20で得られる脱水液の水質試験を行った。その試験方法は、次の通りである。なお、図2は、脱水液の水質試験結果を示すグラフである。この脱水液の水質試験では、まず、表1の石炭灰4に希硫酸を加えて、固液比1:1の灰スラリー(0.4mol)を得た。次に、この灰スラリーを、図1に示した遠心脱水機21により、脱水(図2の「洗浄液脱水」に相当する。)した。続いて、脱水後の固形分にすすぎ水(具体的には、水道水)を加えてすすぎ洗浄を行いつつ、脱水を行うとともに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して(これらの脱水は、図2の「すすぎ脱水」に相当する。)、洗浄灰を得た。そして、その際に得られた脱水液について、ホウ素濃度(mg/l)、pH、及び電気伝導率(EC(S/m))を測定し、その経時変化を観察した(図2のグラフ参照)。
図2に示すように、洗浄液脱水で得られた脱水液については、ホウ素濃度及びECがいずれも高く、また、pHが低く強酸性を示した。一方、すすぎ脱水で得られた脱水液については、すすぎ洗浄が進むにつれて、ホウ素濃度及びECが急激に低くなる一方で、pHが高くなり弱酸性を示した。要するに、すすぎ脱水量が増えるにつれて、脱水液の化学特性は、次のように変化した。すなわち、すすぎがある程度進むと、ホウ素濃度は、著しく低下した。また、初期の脱水液には酸溶液が含まれているため、ECは、当初、酸溶液と同程度の高い値を示したが、灰の間隙に含まれていた酸溶液がほぼ絞り出されると、その値は著しく低下した。一方、pHは、強酸性から中性に近づいていった。以上より、すすぎ工程が進むと、脱水液中に含まれる酸溶液の成分や抽出されたイオンの量が減少して、その化学特性が清澄水に近づいていくことが判明した。
本発明者らは、このような結果に基づき、すすぎ工程で使用したすすぎ水の残存液を、前述した洗浄液の調整水として再利用することが可能であると考えた(図1の循環手段201参照)。また、本発明者らは、すすぎ工程で使用した中性のすすぎ水の残存液を、当該すすぎ工程で使用する酸性のすすぎ水の調製水として再利用することが可能であると考えた。さらに、本発明者らは、すすぎ工程で使用した酸性のすすぎ水の残存液を、洗浄脱水液とともにナトリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液からホウ素を回収することも可能であると考えたのである。
<洗浄灰の溶出試験>
また、本発明者らは、前述した洗浄灰の溶出特性を調べるために、洗浄灰の溶出試験を行った。その試験結果を表2に示す。
表2に示すように、すべての洗浄灰について、ホウ素及びフッ素は、いずれも土壌環境基準をほぼ満足した。また、砒素及びセレンについては、土壌環境基準を超えてしまうものがあったものの、いずれも酸洗浄により溶出量が低下した。
<すすぎ工程の検討>
本発明者らは、これらの試験結果を踏まえて、すすぎ工程を次のように行うこととした。すなわち、本発明者らは、前述したすすぎ工程において、脱水後の固形分を、まず、低濃度酸溶液ですすぎ、その後、清澄水で仕上げすすぎを行うこととし、このようなすすぎ工程により、洗浄灰に残留する塩類(例えば、石膏など)の含有量を低減することが可能であると考えたのである。
より具体的に説明すると、例えば、脱水後の固形分を灰質量の2倍のすすぎ水で洗浄する場合には、その固形分を、まず、0.2倍量の酸(例えば、0.1M硫酸)ですすぎ、その後、1.8倍量の清澄水ですすぎを行う。これにより、通常処理の場合、すなわち、脱水後の固形分を灰質量の2倍の清澄水ですすいだ場合と比べて、洗浄灰のSO含有量が低下し、石膏(主成分;CaSO)含有量が低下することとなる。その一例を表3に示す。なお、表3は、洗浄灰の化学分析結果を示す実験データ例であり、その化学分析では、表1の石炭灰2から得られた洗浄灰を分析対象にした。
<中和剤の検討>
また、本発明者らは、工程30において、前述した洗浄脱水液を中和処理する際に使用することが望ましい中和剤を選定するために、次のような実験を行った。
すなわち、本発明者らは、2種類の中和剤(苛性ソーダ(NaOH)及び消石灰(Ca(OH))を使用して、表1の石炭灰1に由来する洗浄脱水液を中和処理し、その中和液中の物質濃度を測定した。その測定結果を表4に示す。
表4に示すように、中和剤として苛性ソーダを使用した場合には、中和剤として消石灰を使用した場合と比べ、中和液中のホウ素含有量が多くなった。このことから、当該中和液からホウ素を回収するためには、中和剤として、消石灰よりも、苛性ソーダを使用した方が、望ましいといえる。また、いずれの場合にも、砒素やセレンなどの重金属、及び、アルミニウム、シリカ、鉄などの一般元素は、ほぼ100%沈殿した。
なお、中和剤として苛性ソーダを使用した場合には、硫酸イオンの沈殿率は小さかった(26%)が、中和剤として消石灰を使用した場合には、硫酸イオンの沈殿率は著しく大きくなった(97%)。このことは、中和剤として消石灰を使用した場合には、その成分であるカルシウムイオンが硫酸イオンと反応して、沈殿しやすい硫酸カルシウムを形成するためであると推測される。
本発明者らは、このような結果及び推測を踏まえて、工程30で使用する中和剤としては、苛性ソーダ、すなわち、水酸化ナトリウム(NaOH)が望ましいと考えた。このように、中和剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を使用した場合には、次の(1)〜(3)に掲げる利点がある。(1)脱水ケーキのスラッジ総量が少なくなり、廃棄物の量を少なくすることができる。(2)また、ホウ素が脱水ケーキに取り込まれにくくなり(表5参照)、脱水液に残留するため、当該脱水液から多くのホウ素を効率的に回収することができる。(3)一方、ホウ素以外の有害物質(フッ素、砒素、セレンなど)については、脱水ケーキに取り込まれやすくなる(表5参照)。従って、ホウ素を回収した後の残存液には、これらの有害物質が含まれにくくなるため(表7参照)、当該残存液を放流することが可能となり、或いは、当該残留液を前述した洗浄液として再利用することも可能となる。
また、本発明者らは、中和剤として、水酸化ナトリウム(NaOH)のみならず、それ以外のものを使用することが可能であり、具体的には、水酸化ナトリウム(NaOH)以外の一般のナトリウム系アルカリ(例えば、炭酸ナトリウムなど)を使用することが可能であり、また、カリウム系アルカリ(例えば、水酸化カリウムなど)を使用することも可能であると推測した。
<脱水ケーキの特性>
さらに、本発明者らは、前述した脱水ケーキの特性を調べるために、脱水ケーキの含有量試験及び溶出量試験を行った。各試験結果をそれぞれ表5及び表6に示す。なお、表5の含有量試験は、底質調査法により行った。また、表6の溶出量試験は、環告46号に規定されている方法により行った。
表5及び表6に示すように、ホウ素は、含有量が少なく含有量試験では土壌環境基準を満たしたものの、溶出量が多く溶出試験では土壌環境基準を満たさなかった。また、フッ素及びセレンについても、ホウ素と同様の傾向が見られ、含有量が少なく含有量試験では土壌環境基準を満たしたものの、溶出量が多く溶出試験では土壌環境基準を満たさないものがあった。これらとは逆に、砒素は、溶出量が少なく溶出試験では土壌環境基準を満たすものの、含有量が多く含有量試験では土壌環境基準を満たさないものがあった。いずれにしても、脱水ケーキには、ホウ素、フッ素、砒素、セレンなどの有害物質が含まれており、いずれも含有量試験及び溶出量試験の双方を満たすことはなかった。従って、このような特性を有する脱水ケーキについては、廃棄物処理することとする。
<脱水液からホウ素を回収した後の残存液の水質>
また、本発明者らは、脱水液からホウ素を回収した後の残存液の水質を調べるために、当該残存液について水質分析を行った。その水質分析結果を表7に示す。なお、水質分析を行う際には、表1の石炭灰1に由来する残存液を分析対象にした。
表7に示すように、脱水液からホウ素を回収した後の残存液は、各項目の分析値が管理基準値をすべて満たした。なお、表7の管理項目以外のものとして、ナトリウムイオン及び硫酸イオンの分析も行ったところ、両イオンはいずれも高濃度に含まれていた(Na+:7600mg/l、SO 2−:17000mg/l)が、いずれも当該残存液を放流することが可能な範囲内であり、また、当該残留液を前述した洗浄液として再利用することも可能な範囲内であった。このことから、脱水液からホウ素を回収した後の残存液については、これを放流することが可能であり、或いは、当該残留液を前述した洗浄液として再利用することも可能であるといえる。
==その他の実施形態==
ところで、前述した実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、本発明には、図3に示すような石炭灰の処理システム200が含まれる。
この石炭灰の処理システム200は、抽出槽110、清水タンク120、遠心脱水機210、高濃度ろ液タンク220、低濃度ろ液タンク230、すすぎタンク240、中和槽310、フィルタープレス320、ホウ素吸着塔330、循環手段202、循環手段302などを有する。高濃度ろ液タンク220は、前述した洗浄脱水液及び前段のすすぎによって得られた脱水液を貯蔵するタンクである。一方、低濃度ろ液タンク230は、後段のすすぎによって得られた脱水液を貯蔵するタンクである。
高濃度ろ液タンク220に貯留された脱水液は、中和槽310で中和処理され、その後、フィルタープレス320で固液分離される。固形分である脱水ケーキは、廃棄処分され、分離液である脱水液は、ホウ素吸着塔330に供給される。さらに、このホウ素吸着塔330でホウ素が回収された後の脱水液は、循環手段302により、すすぎタンク240に供給される。一方、低濃度ろ液タンク230に貯留された脱水液については、循環手段202により、すすぎタンク240に供給される。このようにしてすすぎタンク240に供給された脱水液は、清水タンク120に貯留された清水によって、すすぎ水(洗浄水)として調整され、遠心脱水機210に供給される。
このような石炭灰の処理システム200にあっては、高濃度ろ液タンク220、中和槽310、フィルタープレス320、及びホウ素吸着塔330などにより、前述したすすぎ工程で使用した酸性のすすぎ水の残存液を、洗浄脱水液とともにナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液からホウ素を回収することが可能となる。また、清水タンク120、循環手段302、すすぎタンク240などにより、ホウ素吸着塔330でホウ素を回収した後の脱水液を、すすぎ水として再利用することが可能となる。さらに、清水タンク120、循環手段202、低濃度ろ液タンク230、すすぎタンク240などにより、すすぎ工程で使用した中性のすすぎ水の残存液を、酸性のすすぎ水の調製水として再利用することも可能となる。
このような石炭灰の処理システム200においても、前述した石炭灰の処理システム100と同様、洗浄灰に残存する塩類を低減することが可能となるとともに、水処理量若しくは水使用量(具体的には、すすぎ水を調整するために使用する水使用量)を低減することが可能となり、しかも、洗浄脱水液を適切に処理することも可能となる。
本発明の実施形態に係る石炭灰の処理システムを示す概略図である。 (工程20で得られる)脱水液の水質試験結果を示すグラフである。 本発明のその他の実施形態に係る石炭灰の処理システムを示す図である。
符号の説明
11,110 抽出槽
21,210 遠心脱水機
31,310 中和槽
32,320 脱水機,フィルタープレス
33,330 ホウ素吸着塔
100,200 石炭灰の処理システム
120 清水タンク
240 すすぎタンク
201,202,301,302 循環手段

Claims (16)

  1. 焼却灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする工程と、
    前記灰スラリーを脱水する工程と、
    脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ工程と、
    すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする工程と、
    を有する焼却灰の処理方法であって、
    前記すすぎ工程は、前記固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うことを特徴とする焼却灰の処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記すすぎ工程は、前記すすぎを行いつつ、脱水を行うことを特徴とする焼却灰の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記すすぎ工程で使用したすすぎ水の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  4. 請求項1又は2において、
    前記すすぎ工程で使用した前記中性のすすぎ水の残存液を、当該すすぎ工程で使用する前記酸性のすすぎ水の調製水として再利用することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、前記焼却灰にホウ素が含まれる場合には、
    前記灰スラリーを脱水して得られた洗浄脱水液をナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液から前記ホウ素を回収することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  6. 請求項5において、
    前記すすぎ工程で使用した前記酸性のすすぎ水の残存液を、前記洗浄脱水液とともにナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理し、中和処理後の処理物を固液分離し、その固形分である脱水ケーキを廃棄物処理する一方で、その分離液である脱水液から前記ホウ素を回収することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  7. 請求項5において、
    前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  8. 請求項5において、
    前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記すすぎ水の調製水として再利用することを特徴とする焼却灰の処理方法。
  9. 焼却灰に酸性の洗浄液を加えて灰スラリーにする処理装置と、
    前記灰スラリーを脱水する手段、及び、脱水後の固形分をすすぎ水ですすぎ洗浄するすすぎ手段、並びに、すすぎ洗浄後の洗浄物を脱水して洗浄灰にする手段を兼ね備えた遠心脱水機と、を有し、
    前記すすぎ手段は、前記固形分を酸性のすすぎ水ですすぎ、その後、中性のすすぎ水で仕上げすすぎを行うことを特徴とする焼却灰の処理システム。
  10. 請求項9において、
    前記すすぎ手段は、前記すすぎを行いつつ、脱水を行うことを特徴とする焼却灰の処理システム。
  11. 請求項9又は10において、
    前記すすぎ手段で使用したすすぎ水の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
  12. 請求項9又は10において、
    前記すすぎ手段で使用した前記中性のすすぎ水の残存液を、当該すすぎ手段で使用する前記酸性のすすぎ水の調製水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項において、前記焼却灰はホウ素を含有し、
    前記灰スラリーを脱水して得られた洗浄脱水液をナトリウム系アルカリ若しくはカリウム系アルカリを用いて中和処理を行う中和処理装置と、
    前記中和処理装置で中和処理された処理物を脱水する脱水機と、
    前記脱水機に残存する脱水ケーキを廃棄物処理する手段と、
    前記脱水機によって得られた脱水液から前記ホウ素を回収する手段と、
    を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
  14. 請求項14において、
    前記すすぎ手段で使用した前記酸性のすすぎ水の残存液を、前記中和処理装置に循環させるための循環手段を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
  15. 請求項14において、
    前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記洗浄液の調整水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
  16. 請求項14において、
    前記脱水液から前記ホウ素を回収した後の残存液を、前記すすぎ水の調製水として再利用するための循環手段を有することを特徴とする焼却灰の処理システム。
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