JP2009298902A - 無機蛍光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな発光中心を有し、直流、交流のいずれでも駆動可能な発光素子に適用でき、十分な発光効率が得られ照明用途などで十分な輝度を有し、特に青色で高輝度に発光する無機蛍光体、それを用いる発光素子および直流薄膜型無機EL素子を提供する。
【解決手段】本発明の無機蛍光体は、第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくとも1種と、母体材料を構成する元素以外の第16族元素のうち少なくとも1種とを含有することを特徴とし、発光素子、特に直流薄膜型無機EL素子に好適に用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、交流分散型無機EL素子、交流薄膜型無機EL素子、直流薄膜型無機EL素子等に有用な無機蛍光体(以下、無機蛍光体材料ともいう)に関するものである。
蛍光体とは、外部から光、電気、圧力、熱、電子線等のエネルギーが与えられることによって発光する材料のことであり、古くから知られている材料である。中でも無機材料から成る蛍光体は、その発光特性や安定性などからブラウン管、蛍光ランプ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられてきた。近年ではLED用の色変換材料として、PDPといった低速電子線励起用としても盛んに研究がなされている。
無機蛍光体を用いたエレクトロルミネッセンス(EL)素子は、駆動方法によって交流駆動型と直流駆動型に大別される。交流駆動型の中には高誘電性バインダーに蛍光体粒子を分散してなる交流分散型EL素子、誘電体層間に蛍光体薄膜を挟んでなる交流薄膜型EL素子の2種類があり、直流駆動型の中には、透明電極と金属電極で蛍光体薄膜を挟んで低電圧直流駆動する直流薄膜型EL素子がある。
次に直流駆動型無機EL素子を取り上げて説明する。
直流駆動型無機EL素子は、1970〜80年代に研究が盛んになされていた(非特許文献1)。これはZnSe:MnをGaAs基板上にMBEにより成膜し、Au電極と挟むことで構成される素子である。約4Vを印加することで電極からトンネル効果で電子が注入され、発光中心であるMnを励起し、発光するという機構である。しかしながら、この素子は発光効率が低いこと(〜0.05lm/W)、再現性が低いことから、それ以来、実用化はもとより学術的な研究もなされていない。
近年、新たな直流駆動型無機EL素子が報告された(特許文献1)。発光材料としては、CuやMnといった従来から知られている発光中心を含有するZnS系であり、これを透明電極であるITO電極と背面電極であるAg電極とで挟みこんだ構成である。その発光機構については記載されていないが、想定される機構としては、Cuとともに含有するClとでDAペア対を形成し、そこで注入された電子と正孔の再結合すなわち発光すると考えられる。
同様な駆動方法で発光する有機EL素子と比較して、発光素子がすべて無機材料で構成されているため、耐久性が高く、照明やディスプレイなど様々な分野での活用が可能となる。さらに同様な駆動であるLEDはすべて無機材料で構成されているという点で類似しているが、LEDは発光面積が極微小すなわち点発光であるため、単位面積あたりの輝度は高いものの、絶対光量(光束)は少ないために、用途が限られる。一方無機EL素子はもともと面発光であるため、多くの光束を得ることが可能であるという点で有利である。
また、特許文献2は、付活剤として銅を含み、共付活剤として塩素および臭素から選ばれる少なくとも1種類を含み、かつ、第6族から第10族までの第2遷移系列または第3遷移系列に属する金属元素の少なくとも1種類を含有する硫化亜鉛粒子からなる無機蛍光体を、特許文献3は、硫化亜鉛を母体として、付活剤として銅、第1の共付活剤として塩素、臭素の少なくとも1種、第2の共付活剤として金を含有する蛍光体材料を、それぞれ開示している。
また、特許文献4は、希土類硫化物を母体材料とし、該母体材料とPr、Mn、Auを含み、該母体材料を活性化する活性化剤との混合物を生成し、生成した混合物を加熱して該母体材料を活性化する発光体の製造方法を開示している。
国際公開第07/043676号パンフレット 特開2006−233147号公報 特開平4−270780号公報 特開2006−199794号公報 Journal of Applied Physics,52(9),5797,1981.
しかしながら、特許文献1の直流駆動無機EL素子は発光効率が低く、実用的ではなかった。また、特許文献2および特許文献3に記載の蛍光体は、付活剤として銅を含んでいることから、DA(ドナーアクセプタ)ペア発光型のものであるが、粒子分散型および交流薄膜型にしか適用できず、用途が限定されるという問題があった。さらに、特許文献4に記載の発光体は、母体材料として希土類硫化物を用いたMn及び/またはPrの局在発光型と考えられるが、Mnや希土類の局在発光型のものは、直流、交流のいずれでも駆動可能な発光素子に適用できるが、十分な発光効率が得られないという問題があった。
また、特許文献1〜4のいずれの蛍光体も照明用途などで十分な輝度を有するものではなく、特に青色で高輝度に発光するものはなかった。
以上のことから、新たな発光中心を有し、直流、交流のいずれでも駆動可能な発光素子に適用でき、十分な発光効率が得られ、照明用途などで十分な輝度を有し、特に青色で高輝度に発光する蛍光体の開発が望まれていた。
従って、本願発明は、新たな発光中心を有し、直流、交流のいずれでも駆動可能な発光素子に適用でき、十分な発光効率が得られ照明用途などで十分な輝度を有し、特に青色で高輝度に発光する無機蛍光体、それを用いる発光素子および直流薄膜型無機EL素子を提供しようとするものである。
発明者らは、鋭意検討の結果、従来から知られているCuやMnや希土類といった発光中心金属を添加せずに、周期律表の第6族〜第11族までの第2遷移系列に属する金属元素または第3遷移系列に属する金属元素、及び、母体材料を構成する元素以外の元素で周期律表の第16族に属する元素を第2−16族化合物に添加することによって、紫外線励起でのフォトルミネッセンスおよび直流駆動によるエレクトロルミネッセンスを示す新規な蛍光体を見出したことにより、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は以下の要件により達成される。
(1)第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくとも1種と、母体材料を構成する元素以外の第16族元素のうち少なくとも1種とを含有することを特徴とする無機蛍光体。
(2)前記第6族〜第11族の第2遷移系列に属する元素または第3遷移系列に属する元素が、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、PtおよびAuのうちの少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)の無機蛍光体。
(3)前記母体材料が硫化亜鉛、セレン化亜鉛もしくはその混晶からなることを特徴とする前記(1)の無機蛍光体。
(4)前記母体材料を構成する元素以外の第16族元素が酸素であることを特徴とする前記(3)の無機蛍光体。
(5)周期律表の第13族および第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする前記(1)の無機蛍光体。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の無機蛍光体を有する発光素子。
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の無機蛍光体を有する直流薄膜型無機EL素子。
(8)p型半導体層を有する前記(7)の直流薄膜型無機EL素子。
本発明の無機蛍光体は、これまでにない新たな発光中心による強度の高い青色発光を示すだけでなく、無機エレクトロルミネッセンス素子用の蛍光体として有用であり、発光輝度に優れ長寿命を有するものである。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明の無機蛍光体は、第2−16族化合物または第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とし、さらに周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくともいずれかと、母体材料を構成する元素以外の第16族元素のうち少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
なお、本発明の無機蛍光体の母体材料として用いられる、第2−16族化合物とは、周期律表の第2族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物、第12−16族化合物とは、周期律表の第12族に属する少なくとも1種の元素と周期律表の第16族に属する少なくとも1種の元素からなる化合物を意味するものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有するもの(当業者)が通常使用している標記・表現である。
該母体材料の例としては、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CaS、SrS、BaSなどの第2−16族化合物または第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種またはそれらの混晶が用いられる。好ましくはZnS、ZnSe、ZnSSe、SrS、CaS、SrSe、SrSSeであり、さらに好ましくは、ZnS、ZnSe、ZnSSeである。
また母体材料とは、蛍光体材料を構成する化合物のうち1モル%以上を構成する材料すべてを指す。例えばZnSとZnSeとの比率が99モル%と1モル%の場合はZnSSe混晶を母体材料とみなし、99.1モル%と0.9モル%の場合はZnS単体を母体材料と考える。
本発明の無機蛍光体に用いられる、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の例としては、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、Auがあるが、中でもRu、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auが好ましいが、さらにはOs、Ir、Pt、Auが好ましい。これらの金属は単独で含有していてもよいし、複数で含有していてもよい。
上記の周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の母体材料への含有のさせ方、すなわちドープ方法は、いかなる方法にも限定するものではないが、たとえば、焼成での粒子形成時の金属塩の形で混入させても良いし、焼成条件で溶融、昇華もしくは反応可能であれば、化合物結晶の形で混入させても良い。これらの金属は母体材料の結晶内に取り込まれた部分以外の結晶表面への析出分や、結晶表面への吸着分は、エッチングや洗浄等で除去することが好ましい。金属塩としては、酸化物、硫化物、硫酸化物、シュウ酸化物、ハロゲン化物、硝酸化物、窒化物等、いかなる化合物でも良いが、中でも酸化物、硫化物、ハロゲン化物が好ましく用いられる。それぞれ単独で用いても良いが、複数種の金属塩を用いても良い。ドープ量としては、母体材料1モルに対して1×10−7モル以上1×10−2モル未満が好ましく、さらに好ましくは1×10−5モル以上5×10−3モル未満である。
本発明の無機蛍光体に用いられる、母体材料を構成する元素以外の第16族元素の例としては、母体材料が硫黄化合物の場合はO、Se、Teであり、セレン化号物の場合はO、S、Teであり、硫黄とセレンの混晶化合物の場合は、O、Teである。これらの元素は単独で含有していても良いし、複数で含有していても良い。特に母体化合物が硫黄化合物の場合、結晶構造中の硫黄欠陥を生成しやすいために、同族の−2価の元素を含有させることで、発光に対して効率低下を引き起こす結晶欠陥の生成を抑制し、発光効率を高めることができる。Irといった第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素を含有するZnSでは、Ir周囲の局所的な結晶構造の歪みをSだけでは埋めることができず、イオン半径の大きなSeやイオン半径の小さなOで格子位置を占めることができるため、結晶欠陥を低減でき、結果として顕著な発光効率の増大が得られる。
上記の母体材料を構成する元素以外の第16族元素の母体材料への含有のさせ方、すなわちドープ方法は、前述の周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の母体材料への含有のさせ方と同様に、いかなる方法にも限定するものではないが、たとえば、前述の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素の母体材料へ含有させるために用いる金属塩として酸化物や硫化物、セレン化物、テルル化物を用いたり、母体材料の酸化物や硫化物、セレン化物、テルル化物を用いることで、母体材料を構成する元素以外の第16族元素をドープさせることができる。また焼成条件で溶融、昇華もしくは反応可能であれば、化合物結晶の形で混入させても良い。さらに、酸素や硫黄やセレンについては、焼成雰囲気として分圧をコントロールすることでドープしても良い。これらの元素は母体材料の結晶内に取り込まれた部分以外の結晶表面への析出分や、結晶表面への吸着分は、エッチングや洗浄等で除去することが好ましい。ドープ量としては、母体材料1モルに対して1×10−7モル以上1×10−2モル未満が好ましく、さらに好ましくは1×10−5モル以上5×10−3モル未満である。
さらに蛍光体として性能を上げるために、周期律表の第13族に属する元素及び第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することが有効である。
好ましくは、第13族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有し、さらに好ましくは、第13族に属する元素としてAl、Ga、InおよびTlから選ばれる少なくとも1種を含有し、第15族に属する元素としてN、P、Sb、AsおよびBiから選ばれる少なくとも1種を含有し、特に好ましくは、第13族に属する元素としてGaを含有し、第15族に属する元素としてN、PおよびSbから選ばれる少なくとも1種を含有する。
また、これらの元素を蛍光体に含有させる場合には、第13族に属する元素と第15族に属する元素とからなる化合物(第13−15族化合物)を添加することが好ましい。
これらの周期律表の第13族に属する元素及び第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種の元素の含有量は、特に限定されないが、母体材料1モルに対して1×10−7モル以上1×10−2未満が好ましい。
一般に交流駆動の無機EL素子は電圧50〜300V、周波数50〜5000Hzで駆動するが、直流駆動の無機EL素子は0.1〜20Vと低電圧で駆動できることが特長として挙げられる。本発明の無機蛍光体は、分散型無機EL素子、薄膜型無機EL素子といった交流駆動型素子、さらには直流駆動型の無機EL素子に有用であるが、中でも直流駆動型無機EL素子に有用である。
次に直流駆動型無機EL素子について詳しく説明する。
直流駆動型無機EL素子は少なくとも透明電極(透明導電膜とも称する)と蛍光体層(発光層とも称する)と背面電極とから構成される。発光層の厚みは厚くなりすぎると発光に必要な電界強度を得るために両電極間の電圧が上昇するので、低電圧駆動を実現するためには50μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。また厚みが薄くなりすぎると、蛍光体層の両面にある電極が短絡しやすくなるため、短絡を避けるために厚みは50nm以上が好ましく、さらに好ましくは100nm以上である。
また透明電極と蛍光体層もしくは蛍光体層と背面電極の間にp型半導体層を設けることで発光強度を高めることができる。p型半導体層を構成する材料は、正孔をキャリアとする硫化物の材料である。例えば、硫化銅(CuS)、あるいは硫化亜鉛(ZnS)と硫化銅の混合物を用いることができる。また、ZnSにアクセプターとなる不純物元素であるリチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、又はインジウム(In)をドープしたものを用いることもできる。さらに、ZnSにCu、又はAgを過剰にドープしたものを用いることもできる。
成膜方法としては、物理的蒸着法である抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着、スパッタリングやイオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition)など無機材料を一般的に成膜する方法が用いられる。本発明に用いられる蛍光体は高温でも安定で高融点であることから、高融点材料を蒸着するのに適した電子ビーム蒸着法や、蒸着源をターゲット化できる場合はスパッタリング法が好適に用いられる。さらに電子ビーム蒸着の場合、蛍光体中に含有する金属の蒸気圧が、母体材料の蒸気圧と大幅に異なる場合には、それぞれ単独の蒸着源として複数の蒸着源を利用した蒸着方法も有用である。また結晶性を高めるという意味で、基板との格子マッチングを考慮したMBE(Molecular Beam Epitaxiy)法も好適である。
本発明に好ましく用いられる透明導電膜の表面抵抗率は、10Ω/□以下であることが好ましく、0.01Ω/□〜10Ω/□が更に好ましい。特に0.01Ω/□〜1Ω/□が好ましい。
透明導電膜の表面低効率は、JIS K6911に記載の方法に準じて測定することができる。
透明導電膜は、ガラス又はプラスチック基板上に形成されており、かつ酸化錫を含有していることが好ましい。
すなわち、ガラスとしては無アルカリガラス、ソーダライムガラスなど、一般的なガラスが用いられるが、耐熱性が高く平坦性の高いガラスを用いることが好ましい。プラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロースベース等の透明フィルムが好適に用いられる。それらを基板として、インディウム・錫酸化物(ITO)や錫酸化物、酸化亜鉛等の透明導電性物質を蒸着、塗布、印刷等の方法で付着、成膜することができる。
この場合、耐久性を上げる目的で透明導電膜表面を酸化錫を主体の層とすることが好ましい。
透明導電膜を構成する透明導電性物質の好ましい付着量は、透明導電膜に対して、100質量%〜1質量%、より好ましくは、70質量%〜5質量%、さらに好ましくは、40質量%〜10質量%である。
透明導電膜の調製法はスパッター、真空蒸着等の気相法であっても良い。ペースト状のITOや酸化錫を塗布やスクリーン印刷で作成したり、膜全体を加熱したりレーザーにて加熱して成膜しても良い。
本発明のEL素子において、透明導電膜には一般的に用いられる任意の透明電極材料が用いられる。例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどの共役系高分子などが挙げられる。
更に低抵抗化するには、例えば櫛型あるいはグリッド型等の網目状ないしストライプ状金属細線を配置して通電性を改善することが好ましい。金属や合金の細線としては、銅や銀、アルミニウム、ニッケル等が好ましく用いられる。この金属細線の太さは、任意であるが、0.5μm程度から20μmの間が好ましい。金属細線は、50μm〜400μmの間隔のピッチで配置されていることが好ましく、特に100μm〜300μmピッチが好ましい。金属細線を配置することで、光の透過率が減少するが、この減少は出来るだけ小さいことが重要で、80%以上100%未満の透過率を確保することが好ましい。
金属細線は、メッシュを透明導電性フィルムに張り合わせてもよいし、予めマスク蒸着ないしエッチングによりフィルム上に形成した金属細線上に金属酸化物等を塗布、蒸着しても良い。また、予め形成した金属酸化物薄膜上に上記の金属細線を形成してもよい。
これとは、異なる方法となるが、金属細線の代わりに、100nm以下の平均厚みを有する金属薄膜を金属酸化物と積層して本発明に適した透明導電膜とすることができる。金属薄膜に用いられる金属としては、AuやIn、Sn、Cu、Niなど耐腐食性が高く、展延性等に優れたものが好ましいが、特にこの限りではない。
これらの複層膜は、高い光透過率を実現することが好ましく、具体的には70%以上の光透過率を有することが好ましく、80%以上の光透過率を有することが特に好ましい。光透過率を規定する波長は、550nmである。
光の透過率に関しては、干渉フィルターを用いて550nmの単色光を取り出し、一般に用いられる白色光源を用いた積分型光量測定やスペクトル測定装置を用いて測定することが出来る。
(背面電極)
光を取り出さない側の背面電極は、導電性の有る任意の材料が使用出来る。金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作製する素子の形態、作製工程の温度等により適時選択されるが、その中でも熱伝導率が高いことが重要で、2.0W/cm・deg以上であることが好ましい。
また、EL素子の周辺部に高い放熱性と通電性を確保するために、金属シートや金属メッシュを用いることも好ましい。
本発明に利用可能な無機蛍光体は、当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で10nm〜50nmの微粒子粉末(生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃〜1300℃の高温で30分〜10時間、第1の焼成をおこない、粒子を得る。
第1の焼成によって得られる中間蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。
次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成をほどこす。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500〜800℃で、また短時間の30分〜3時間の加熱(アニーリング)をする。
上記製法により無機蛍光体を得ることができるが、直流駆動型無機EL素子に用いる場合には上記製法により得られた蛍光体を加圧成型し、電子ビーム蒸着等の物理蒸着によってEL素子を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
ZnS1モルに対して、IrO(Ir源、O源)、ZnO(O源)、IrCl(Ir源)、Ir(Ir源)、ZnSe(Se源)を下記表1の比率で秤量する。それらを乳鉢に入れ20分間以上混合した後、真空中で1100℃、3時間焼成する。焼成後の粉体を乳鉢で粉砕し、水洗した後に乾燥を行って、蛍光体A〜Gを得た。
得られた蛍光体に励起光として波長330nmの光を照射した際の、フォトルミネッセンス発光波長および蛍光体Dの発光強度を100とした場合の相対発光強度を下記表2にまとめる。
Figure 2009298902
Figure 2009298902
蛍光体A〜Gまですべて450nm付近を発光ピークとする青色の発光を示した。蛍光体DはIr源としてIrClを、蛍光体EはIr源としてIrをそれぞれ添加したのみであり、母体材料以外の第16族元素は含有してない。それらに対して蛍光体AはIr源および母体材料以外の第16族元素であるO源として、IrOを添加している。発光強度は最も高いものであった。蛍光体Bは蛍光体Aと同様であるが、IrOの添加量のみを半分にした。それでも比較的高い発光強度を示した。蛍光体CはIr源としてIrClを、O源としてZnOを添加したが、IrおよびOの添加量としては同じである蛍光体Bと比較して、わずかながら高い発光強度を示した。さらに蛍光体FはIr源としてIrClを母体材料以外の第16族元素であるSe源としてZnSeを添加したが、蛍光体BやCと同様な強い発光強度を示した。蛍光体Gは、Ir源としてIrClを、母体材料以外の第16族元素であるO源及びSe源として、それぞれZnO、ZnSeを添加したが、蛍光体B、C、Fと同様な強い発光強度を示した。OやSeといった母体材料以外の第16族元素を添加することで、母体材料であるZnS中の硫黄欠陥をそれらが埋めて、高効率な発光が得られたものと考えられる。
〔実施例2〕
また、さらにGaAs粉末をZn1モルに対して2×10−4モル添加して合成した以外は蛍光体Aと同様に合成したものを蛍光体Hとする。蛍光体Hは、実施例1と同様に評価した結果、発光波長が443nmで、発光強度は280となり、他の蛍光体サンプルに対して、最も発光強度が高いものが得られた。
〔実施例3〕
実施例1および2の蛍光体A〜Hの無機蛍光体を用いて直流駆動型無機EL素子を作製した。該直流駆動型無機EL素子の構造の概略を図1に示す。
第1電極2として厚さ200nmのITO層が形成されたガラス基板1に対して、ITO層の上に、実施例1で得られた蛍光体A〜Hをエレクトロンビーム蒸着法により蒸着成膜することで発光層3を形成した。発光層3の膜厚は2μmとし、そのときの蒸着チャンバー内の真空度は1×10−6Torr、基板1温度は200℃に設定した。さらに、結晶性を向上させるために、成膜した発光層3に対して同一チャンバー内で600℃、1時間熱処理を施した後、発光層3の上に抵抗加熱蒸着法により第2電極4としてAlを蒸着し、発光素子を得た。
得られた発光素子に、Alを正極、ITOを負極として直流電流を流したところ、発光が確認された。
〔実施例4〕
実施例1および2の蛍光体A〜Hの無機蛍光体を用いて直流駆動型無機EL素子を作製した。該直流駆動型無機EL素子の構造の概略を図2に示す。
第1電極2として厚さ200nmのITO層が形成されたガラス基板1に対して、ITO層の上にp型半導体層5としてCuS層を、さらにその上に、実施例1および2で得られた蛍光体A〜Hをいずれもエレクトロンビーム蒸着法により、同一チャンバー内で連続して蒸着成膜することでp型半導体層5および発光層3を形成した。CuS層の膜厚は100nm、発光層3の膜厚は2μmとし、そのときの蒸着チャンバー内の真空度は1×10−6Torr、基板1温度は200℃に設定した。さらに、結晶性を向上させるために、成膜した発光層3に対して同一チャンバー内で600℃、1時間熱処理を施した後、発光層3の上に抵抗加熱蒸着法により第2電極4としてAlを蒸着し、発光素子を得た。
得られた発光素子に、Alを正極、ITOを負極として直流電流を流したところ、それぞれ実施例3に対して2〜10倍の強度の発光が確認された。
実施例3の直流駆動型無機EL素子の構造の概略を示す図である。 実施例4の直流駆動型無機EL素子の構造の概略を示す図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 第1電極(ITO電極)
3 発光層
4 第2電極(Al電極)
5 p型半導体層

Claims (8)

  1. 第2−16族化合物および第12−16族化合物から選ばれる少なくとも1種、またはそれらの混晶を母体材料とする無機蛍光体であって、CuおよびMnを含有せず、周期律表の第6族〜第11族の第2遷移系列に属する金属元素および第3遷移系列に属する金属元素のうちの少なくとも1種と、母体材料を構成する元素以外の第16族元素のうち少なくとも1種とを含有することを特徴とする無機蛍光体。
  2. 前記第6族〜第11族の第2遷移系列に属する元素または第3遷移系列に属する元素が、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、PtおよびAuのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の無機蛍光体。
  3. 前記母体材料が硫化亜鉛、セレン化亜鉛もしくはその混晶からなることを特徴とする請求項1に記載の無機蛍光体。
  4. 前記母体材料を構成する元素以外の第16族元素が酸素であることを特徴とする請求項3に記載の無機蛍光体。
  5. 周期律表の第13族および第15族に属する元素から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の無機蛍光体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の無機蛍光体を有する発光素子。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の無機蛍光体を有する直流薄膜型無機EL素子。
  8. p型半導体層を有する請求項7に記載の直流薄膜型無機EL素子。
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