JP2010143065A - 液体吐出方法および液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体を吐出する吐出口と、吐出口と連通する個別液室と、個別液室の内側面の一部をなす振動板と、該振動板を変形させることで前記個別液室の容積を変化させるアクチュエータと、を備え、アクチュエータに個別液室を膨張、収縮、再膨張、再収縮させるための駆動信号を入力することで液体を吐出させる液体吐出方法において、駆動信号入力完了後のメニスカスのオーバーシュートを防止して、突き出し液柱の屈曲を要因とした液体吐出方向の偏向を抑制する。
【解決手段】上記駆動信号入力完了後に出現する振動板の極小変位に対し、当該出現後から吐出口側にて液柱切断部が観察される時点までの振動板変位が極小変位を下回らないように、個別液室を膨張させるための波形部分と、個別液室を初期容積に戻すための波形部分とを含む補助駆動信号をアクチュエータに入力する。
【選択図】図7
【解決手段】上記駆動信号入力完了後に出現する振動板の極小変位に対し、当該出現後から吐出口側にて液柱切断部が観察される時点までの振動板変位が極小変位を下回らないように、個別液室を膨張させるための波形部分と、個別液室を初期容積に戻すための波形部分とを含む補助駆動信号をアクチュエータに入力する。
【選択図】図7
Description
本発明は、液体吐出方法および液体吐出装置に関する。特に本発明は、液体を吐出するための吐出口とこれに連通する個別液室とを具え、この個別液室の一部を構成する振動板をアクチュエータにより変形させることで液体を吐出させる液体吐出方法および液体吐出装置に関する。そして本発明は、紙,布,皮革,不織布,OHP用プラスチックフィルム等の記録媒体に記録を行う機器だけでなく、基板,板材,固体物等に液体を付着させることでパターニングや加工を行う装置、さらには塗装装置等にも適用可能なものである。
従来より、電圧パルスの印加により変形する圧電素子を利用して液体(インクなど)を吐出する液体吐出ヘッドが知られている。かかる液体吐出ヘッドでは、液体を吐出する吐出口と、その吐出口と連通する個別液室とを備え、個別液室の側面の一部に振動板が配置されている。そして、圧電素子の変形により振動板を変形させて、個別液室の内容積の変化(膨張または収縮など)を生じさせることで液体を吐出する。圧電素子の変形を利用する方式としては、圧電素子の軸方向に伸張・収縮を生じさせる縦振動を利用するタイプや、圧電素子のたわみを利用するタイプ(以下、ベンダー型と称する)がある(例えば特許文献1参照)。
圧電素子を使用した液体吐出ヘッドを使用して液滴を吐出させる代表的な方法の1つとして、個別液室の容積を「膨張−収縮−再膨張−再収縮」の順序で変化させるものがある。このような容積変化によって液体吐出ヘッドから吐出される液体は、柱状に伸びた後に途中で分断され、これにより分離した液滴が記録媒体などの受容体に到達する。そして特許文献1には、柱状に伸びた液体(液柱)が分断され、液滴が千切れる時刻は「再膨張」のプロセス中である旨が開示されている。
ところが、本発明者が特許文献1と同じベンダー型の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)を用いて、後述する図6(a)に示す駆動信号でインクの吐出実験を行ったところ、特許文献1の開示とは異なる現象が確認された。すなわち、液柱が吐出口付近のメニスカスから分断されて飛翔するのを詳細に観察した結果、実際に分断が生じるのは、上記変化を生じさせる駆動信号の入力が完了した後、すなわち「再収縮」のプロセス後であることが確認されたのである。
この現象を確認した本発明者が鋭意検討を行ったところ、この「再収縮」のプロセス後に液柱分断を生じさせる吐出形態は、液滴量を確実に制御できるという意味で有効であるとの知見を得た。なぜならば、「再膨張」のプロセス中の時点では液柱分断が生じていないので、「再膨張」での制御量を液柱に伝えることが可能となり、その制御量が適切に変化するよう操作することによって液滴量を調整できるからである。
しかしながら本発明者の検討に係る「再収縮」のプロセス後に液柱分断を生じさせる吐出形態において、当該分断前にメニスカスが吐出口の外に隆起するオーバーシュートが生じると、液柱の付け根が曲り、液滴吐出方向が偏向するという課題が見出された。
本発明の目的は、個別液室の容積の2番目の膨張(再膨張)プロセスでの液滴量の制御性を確保しつつも、メニスカスのオーバーシュートを防止し、突出する液柱の屈曲を要因とした吐出方向の偏向をなくして高品位印刷が実現できるようにすることにある。
そのために、本発明は、液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連通する個別液室と、該個別液室の内側面の一部をなす振動板と、該振動板を変形させることで前記個別液室の容積を変化させるアクチュエータと、を備え、前記個別液室の容積変化によって液体を吐出させる液体吐出方法において、
前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含む主駆動信号を前記アクチュエータに入力し、
当該主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む補助駆動信号を前記アクチュエータに入力する、
ことを特徴とする。
前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含む主駆動信号を前記アクチュエータに入力し、
当該主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む補助駆動信号を前記アクチュエータに入力する、
ことを特徴とする。
また、本発明は、液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連通する個別液室と、該個別液室の内側面の一部をなす振動板と、該振動板を変形させることで前記個別液室の容積を変化させるアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドを用い、前記個別液室の容積変化によって液体を吐出させる液体吐出装置において、
前記アクチュエータに主駆動信号を入力し、当該入力後に補助駆動信号を入力する制御部を具え、
前記主駆動信号は、前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含み、
前記補助駆動信号は、前記主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む、
ことを特徴とする。
前記アクチュエータに主駆動信号を入力し、当該入力後に補助駆動信号を入力する制御部を具え、
前記主駆動信号は、前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含み、
前記補助駆動信号は、前記主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む、
ことを特徴とする。
本発明によれば、液体を吐出するための主駆動信号の入力後に補助駆動信号を入力することによって、吐出口から突出した液柱の分断が生じる前には、液柱の屈曲の要因となるメニスカスのオーバーシュートが発生しないようにすることが可能となった。このため、吐出方向の偏向をなくして高品位印刷が実現できるものとなる。なお、液体吐出ヘッドは、記録装置だけでなくパターニング装置や塗布装置など様々な分野に応用され、様々な物性の液体や様々なヘッド構造が用いられる。従って、適切かつ普遍的な液体吐出ヘッドの駆動制御の指針を与え、応用分野を拡大する上でも、本発明は好ましいものである。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
1.液体吐出装置
図1は、本発明が適用可能な液体吐出装置の一例として、インクジェット記録装置形態のものを示す概略斜視図である。液体吐出装置に挿入された記録媒体Pは、送りローラ107,108,109,110によって液体吐出ヘッドユニット100の記録可能領域へ搬送される。液体吐出ヘッドユニット100は、ガイド軸102によって、その延在方向に沿って移動可能に支持されている。そして、モータ103の駆動によってプーリ105,106に架けられたベルト104が移動し、これに伴って液体吐出ヘッドユニット100が記録領域をA方向に往復移動する。当該移動の過程で液体吐出を行うことが可能である。また、図において矢印Bで示す方向は記録媒体Pの搬送方向である。
図1は、本発明が適用可能な液体吐出装置の一例として、インクジェット記録装置形態のものを示す概略斜視図である。液体吐出装置に挿入された記録媒体Pは、送りローラ107,108,109,110によって液体吐出ヘッドユニット100の記録可能領域へ搬送される。液体吐出ヘッドユニット100は、ガイド軸102によって、その延在方向に沿って移動可能に支持されている。そして、モータ103の駆動によってプーリ105,106に架けられたベルト104が移動し、これに伴って液体吐出ヘッドユニット100が記録領域をA方向に往復移動する。当該移動の過程で液体吐出を行うことが可能である。また、図において矢印Bで示す方向は記録媒体Pの搬送方向である。
液体吐出ヘッドユニット100には、複数色のインクを吐出するためのインクジェットヘッド形態の液体吐出ヘッド103と、それぞれの液体吐出ヘッド103にインクを供給するためのインクタンク101とが搭載されている。この例の液体吐出装置における複数色のインクは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色である。なお、各色の位置は特に限定されるものではなく、また、用いる色調(色および濃度)の種類およびその数についても限定されるものではない。
また、本例の場合、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色インク(Bk,C,M,Y)のインクタンクが全て独立に交換可能な構成となっている。液体吐出ヘッドユニット100には、Bk,C,M,Yの各色液滴を吐出する液体吐出ヘッドの群と、Bk用インクタンク101B、C用インクタンク101C、M用インクタンク101M、Y用インクタンク101Yが搭載される。各インクタンクは対応する液体吐出ヘッドと接続され、その液体吐出ヘッドの吐出口に連通する個別液室内にインクを供給する。この例以外にも、例えば、各色用のインクタンクと液体吐出ヘッドとが分離不能に一体となった構造としてもよい。また、液体吐出ヘッドユニットには液体吐出ヘッドのみを搭載し、装置の固定部位に設けたインクタンクから可撓性チューブ等を介してインクが供給されるものでもよい。これらの例以外にも、例えば、各色用のインクタンクを任意の組み合わせで一体構造としてもよい。
液体吐出ヘッドユニット100が移動可能な主走査領域の一端(図では右端)の下部には、回復系ユニット112が配備されている。回復系ユニット112は、液体吐出ヘッドの吐出口形成面をキャッピングし、非記録動作時などにおいてはその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行ったりするためのキャップや、吐出口形成面を払拭するワイパブレードなどを有したものとすることができる。
2.液体吐出ヘッド
図2および図3は本発明に適用可能な液体吐出ヘッドの構成例であり、それぞれ、吐出口形成面側から見た模式的正面図およびそのC−C線断面図を示している。本実施形態で説明する液体吐出ヘッドは圧電素子の面外方向の歪を利用する所謂ベンダー型のヘッドである。
図2および図3は本発明に適用可能な液体吐出ヘッドの構成例であり、それぞれ、吐出口形成面側から見た模式的正面図およびそのC−C線断面図を示している。本実施形態で説明する液体吐出ヘッドは圧電素子の面外方向の歪を利用する所謂ベンダー型のヘッドである。
この例の液体吐出ヘッドは、インクを吐出する複数の吐出口2が設けられたオリフィスプレート1と、各吐出口に対応する個別液室3の複数およびこれらに共通に連通してインクを供給する共通液室11を画成する壁部が配置された基体6とを有する。個別液室3は、連通路7を介して吐出口2に連通している。
個別液室3の側面の一部には変位可能な振動板4が設けられ、この振動板4に対して、個別液室の容積制御部である圧電素子(ピエゾ素子)および電極を含むアクチュエータ5が配置されている。圧電素子は、蒸着法,ゾル・ゲル法,CVD法,スパッタ法などによって成膜した圧電体薄膜であってもよい。アクチュエータ5に、記録情報に対応して駆動電圧信号を印加することにより振動板4を変位させ、個別液室3の容積変化を生じさせることで、吐出口2から液滴を吐出させることが可能である。アクチュエータ5は、これに印加される駆動電圧が下降する場合には個別液室の容積を増大させるよう、また駆動電圧が上昇する場合に個別液室の容積を減少させるよう、それぞれ厚み方向に変形するものとする。
なお、本発明を成すにあたって検討に使用した液体吐出ヘッドにおいて、吐出口2は直径30μmの円形状であり、吐出させる液体は、密度1.0×103kg/m3、粘度2.0×10−3Pa・s、表面張力3.5×10−2N/mを持つインクとした。
また、アクチュエータ5(上電極、圧電素子、下電極)、および振動板4はこれら自体の変形を容易にするために、振動板とアクチュエータとをあわせて10μmの厚みを持つ構成とした。圧電素子を圧電体薄膜として構成すればアクチュエータを薄く形成でき、この程度の厚みを実現できる。そして、この程度の薄膜形状であれば、個別液室の容積の増減を示す指標となる振動板変位の時間推移δ(t)は、アクチュエータ5の表面(上電極位置)の変位(面外変位)で表されているとみなすことができる。この変位は、振動板が形成されている面に対して垂直な方向の変位を指し、従って例えばレーザー・ドップラー方式によってその変位の測定を行うことで、振動板変位の時間推移ひいては個別液室3の体積変化(膨張、収縮)を知ることができる。
図4はアクチュエータ5を駆動するために用いられる駆動部の構成例を示す。アクチュエータ5は電力を供給するための電極配線を介して駆動回路51に接続されている。駆動回路51は、液体吐出情報(例えば記録情報)に対応する駆動データ(吐出の有無を定めるためのデータ)に応じ、制御部である駆動波形設定部53によって設定される駆動波形にて、アクチュエータ5を作動させることができる。
駆動波形設定部53は、好ましい液体吐出形態を生じさせる個別液室の容積増減の時間推移(振動板の面外変位の時間推移)が生じるような駆動波形を設定する。
3.比較例
ここで、本発明にあたって検討した例(比較例)について先に説明する。
ここで、本発明にあたって検討した例(比較例)について先に説明する。
図2および図3について説明したベンダー型の液体吐出ヘッドに対し、図4に示した駆動部を用いて、図5(a)に示す駆動信号を印加した。その際の振動板4の時間推移(振動板変位時刻歴線図)を図5(b)に示す。また、図6(a)〜(g)はこの際に観察された液滴の吐出状態を示す。図6を詳細に見ると、吐出口2側の液柱の付け根部が曲がっており、この影響で液滴の吐出方向の偏向(以下、「ヨレ」とも称する)が生じていることがわかる。
本発明者は、このヨレの発生の要因を鋭意検討した。まず、図5の(a)と(b)との比較から明らかなように、ベンダー型の液体吐出ヘッドの場合、電圧変化と振動板4の変位とが必ずしもそのまま一致する訳ではない。従って、駆動信号だけでなく、振動板変位時刻歴線図を基に要因分析することとした。
図5(b)の横軸は時間、縦軸は振動板の変位であって、変位量が増加する方向への推移は個別液室3を膨張させることを示している。また、図5(b)においてtBは吐出口側にて液柱の分断が観察される時点を示し、区間Tは図5(a)の駆動信号入力完了後に出現する振動板の極小変位点δL出現の時点から液柱の分断が観察される時点tBまでの時間を示す。
上記方針に基づいて吐出過程を分析すると、以下のようになる。
第一の信号波形部分P1によって、個別液室3を膨張させる方向に振動板4を変位させて(図5の(a)における振動板変位時刻歴線C1)、図6(a)のようにメニスカスを吐出口内に引き込む。次に第二の信号波形部分P2によって、個別液室3を収縮させる方向に振動板4を変位させて(図5の(a)における振動板変位時刻歴線C2)、図6(b)のようにメニスカスを盛り上げ、液柱を形成する。
次に第三の信号波形部分P3によって、個別液室3を再膨張させる方向に振動板4を変位させて(図5の(a)における振動板変位時刻歴線C3)、メニスカスを吐出口内に引き込み、図6(c)のように突出液柱の太さのリサイズ(調整)を行う。次に第四の信号波形部分P4により個別液室3を収縮させる方向に振動板4を変位させて(図5の(a)における振動板変位時刻歴線C4)、個別液室の容積を初期状態にするために初期待機電圧V1に復帰させる。第四の信号P4入力完了後の吐出状態が図6(d)であり、この図に示すように主駆動信号入力完了後も液柱は千切れない。
図5(b)の振動板変位時刻歴線図において、第四の信号波形部分P4の入力完了後、インクとの連成挙動によって生じる個別液室3の内容積変動に伴って振動板の変位が極小となる極小変位点δLが出現し、次に極大となる振動板変位点が出現する。この極大変位点出現後、個別液室3を収縮させる方向に変位させると、時点tCで振動板変位が極小変位点δLを下回った。これに対応して、図6(e)に示すように液柱の付け根にはメニスカスのオーバーシュートが発生し、液柱の付け根が屈曲させられて、図6(f)および(g)のように液滴のヨレが生じたと考えられる。
4.実施例
そこで本発明者らは、外界から吐出口部を観察することによって、吐出口から突出した液柱が千切れる前にメニスカスのオーバーシュートが発生しないように制御することで、液滴のヨレを防止できるのではないかと考察した。
そこで本発明者らは、外界から吐出口部を観察することによって、吐出口から突出した液柱が千切れる前にメニスカスのオーバーシュートが発生しないように制御することで、液滴のヨレを防止できるのではないかと考察した。
ここで、本発明が有効に適用される構成をまとめると、次のとおりである。
液体吐出ヘッドは、液体(インク等)を吐出する吐出口と、この吐出口と連通する個別液室と、その個別液室の内側面の一部を形成している振動板と、その振動板をアクチュエータにより変形させ、個別液室の容積を変化させることで液体を吐出させるものである。ここで、当該吐出を行わせるためにアクチュエータに印加される主駆動信号の波形は、個別液室を膨張させるための波形部分と、個別液室を収縮させるための波形部分と、個別液室を再膨張させるための波形部分と、個別液室を収縮させるための波形部分とを含む。また、主駆動信号の入力完了後には振動板の変位が極小となる極小変位点δLが出現する。
そして本発明の特徴構成では、主駆動信号の入力後に、次のような補助駆動信号を入力する。すなわち、振動板変位時刻歴線にて、極小変位点δLが出現した後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させる波形部分と、初期待機電圧に戻す波形部分とを含む補助駆動信号である。
本発明者らは、かかる補助駆動信号を用いれば確実に所期の効果が得られると考察し、下記実施例に基いてその検証を行った。
実施例1
図2および図3について説明した液体吐出ヘッドに対し、図4に示した駆動部を用いて、図7(a)に示す駆動信号を印加した。その際の振動板4の変位時刻歴線図を図7(b)に示す。図5(b)と同様、図7(b)において横軸は時間、縦軸は振動板の変位を示し、変位量が増加する方向への推移は個別液室3を膨張させることを示している。また、図5(a)の時間tBは液柱の切断部が観察された時点を示す。図8(a)〜(f)は観察された液滴の吐出状態である。
図2および図3について説明した液体吐出ヘッドに対し、図4に示した駆動部を用いて、図7(a)に示す駆動信号を印加した。その際の振動板4の変位時刻歴線図を図7(b)に示す。図5(b)と同様、図7(b)において横軸は時間、縦軸は振動板の変位を示し、変位量が増加する方向への推移は個別液室3を膨張させることを示している。また、図5(a)の時間tBは液柱の切断部が観察された時点を示す。図8(a)〜(f)は観察された液滴の吐出状態である。
図7(a)において、第一の波形部分P1から第四の波形部分P4が主駆動信号の波形を形成している。本実施例の場合、第一の波形部分P1〜第四の波形部分P4は比較例と同一とした。従って、主駆動信号入力完了までの吐出過程は比較例と同様であり、個別液室3を膨張、収縮、再膨張および再収縮させることによって、図8(a)〜(d)に示すように液柱が形成される。主駆動信号入力完了後の吐出状態が図8(d)であり、この図に示すように主駆動信号入力完了後も液柱は千切れない。
なお、主駆動信号の第二の波形部分P2および第三の波形部分P3の電圧は初期待機電圧V1と同一でも構わない。また、各波形部分の電圧や印加時間を変えることで振動板変位を適切に調整し、所望の吐出性能(吐出量Vd,吐出速度v)が得られるように設定することができる。
さて、主駆動信号入力を完了した後、振動板4はインクとの連成挙動によって振動板の極小変位点δLが出現し、次に個別液室3を膨張させる方向に振動板4が変位する。
ここで本実施例においては、主駆動信号入力完了後に、補助駆動信号を入力する。図7(a)の第五の波形部分P5および第六の波形部分P6を含むものが補助駆動信号である。極小変位点δLが出現した後、この補助駆動信号に含まれる第五の波形部分P5によって個別液室3を膨張させる方向に振動板4を変位させ(図7(b)の振動板変位時刻歴線C5)、個別液室3を収縮させる方向への振動板変位を抑制した(図8(e))。そして、最後に第六の波形部分P6によって個別液室を初期容積に戻すための初期待機電圧V1に復帰させた。
以上のような補助駆動信号を入力した結果、図8(f)に示すようにメニスカスのオーバーシュートが発生する前に液柱の切断部が観察され、液柱には屈曲が見られず、図8(g)に示すようにヨレのない吐出が実現できた。
実施例2
実施例2においては、主駆動信号は実施例1と同一とし、その後に入力する補助駆動信号の第6の波形部分P6を、積極的に液柱の切断部が観察されてから入力するように変更した。このように変更を行っても、実施例1と同様に、図8(f)に示すようにメニスカスのオーバーシュートが発生する前に液柱の切断部が観察され、液柱には屈曲が見られず、図8(g)に示すようにヨレのない吐出が実現できた。
実施例2においては、主駆動信号は実施例1と同一とし、その後に入力する補助駆動信号の第6の波形部分P6を、積極的に液柱の切断部が観察されてから入力するように変更した。このように変更を行っても、実施例1と同様に、図8(f)に示すようにメニスカスのオーバーシュートが発生する前に液柱の切断部が観察され、液柱には屈曲が見られず、図8(g)に示すようにヨレのない吐出が実現できた。
5.その他
なお、上述した各種の数値は、例示であることは勿論である。
なお、上述した各種の数値は、例示であることは勿論である。
また、上例ではインクジェット記録装置形態の液体吐出装置およびヘッドに本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、記録装置だけでなくパターニング装置や塗布装置など様々な液体吐出装置に好ましく適用可能である。装置に応じて様々な物性の液体や様々なヘッド構造が用いられることに対して、吐出口を小径化せずに吐出液滴の微細化を達成し得る適切かつ普遍的な液体吐出ヘッドの駆動制御の指針を与えることができるからである。
さらに、上記実施形態においてはアクチュエータ5に正の駆動電圧を与えることにより個別液室3が収縮する形態について説明したが、負の駆動電圧を与えることにより個別液室3が収縮する形態にも本発明が適用可能であることは言うまでもない。
2 吐出口
3 個別液室
4 振動板
5 アクチュエータ
3 個別液室
4 振動板
5 アクチュエータ
Claims (5)
- 液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連通する個別液室と、該個別液室の内側面の一部をなす振動板と、該振動板を変形させることで前記個別液室の容積を変化させるアクチュエータと、を備え、前記個別液室の容積変化によって液体を吐出させる液体吐出方法において、
前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含む主駆動信号を前記アクチュエータに入力し、
当該主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む補助駆動信号を前記アクチュエータに入力する、
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 前記個別液室の容積を初期状態に戻すための前記補助駆動信号の波形部分は、前記吐出の過程で形成される液柱の分断が観察される時点より後に入力されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
- 前記アクチュエータは圧電素子と電極とを含み、該電極への電圧の印加に応じて前記圧電素子が変形することで前記振動板が変位し、前記個別液室の容積を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出方法。
- 前記圧電素子が圧電体薄膜の形態を有することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出方法。
- 液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連通する個別液室と、該個別液室の内側面の一部をなす振動板と、該振動板を変形させることで前記個別液室の容積を変化させるアクチュエータと、を備えた液体吐出ヘッドを用い、前記個別液室の容積変化によって液体を吐出させる液体吐出装置において、
前記アクチュエータに主駆動信号を入力し、当該入力後に補助駆動信号を入力する制御部を具え、
前記主駆動信号は、前記液体の吐出を行わせるために、前記個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分と、前記個別液室を再膨張させるための波形部分と、前記個別液室を収縮させるための波形部分とを含み、
前記補助駆動信号は、前記主駆動信号の入力完了後に出現する前記振動板の極小変位点δLに対し、当該出現の後、吐出口側にて液柱分断が観察される時間tBまでの振動板変位が極小変位点δLを下回らないように個別液室を膨張させるための波形部分と、前記個別液室の容積を収縮させて初期状態に戻すための波形部分とを含む、
ことを特徴とする液体吐出装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2008322396A JP2010143065A (ja) | 2008-12-18 | 2008-12-18 | 液体吐出方法および液体吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2008322396A JP2010143065A (ja) | 2008-12-18 | 2008-12-18 | 液体吐出方法および液体吐出装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2010143065A true JP2010143065A (ja) | 2010-07-01 |
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ID=42563995
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2008322396A Pending JP2010143065A (ja) | 2008-12-18 | 2008-12-18 | 液体吐出方法および液体吐出装置 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2010143065A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017052153A (ja) * | 2015-09-08 | 2017-03-16 | 株式会社リコー | 液体を吐出する装置、駆動波形生成装置、ヘッド駆動方法 |
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2008
- 2008-12-18 JP JP2008322396A patent/JP2010143065A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017052153A (ja) * | 2015-09-08 | 2017-03-16 | 株式会社リコー | 液体を吐出する装置、駆動波形生成装置、ヘッド駆動方法 |
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