JP2010143555A - 車両用ドア - Google Patents

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裕之 鈴木
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直樹 藤澤
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Abstract

【課題】ベルトラインが乗員の肩部よりも低い車両においても、車両の側面への衝突時に、人体耐性の高い肩部及び腰部へ衝突によるエネルギーを伝達し、衝突によって車両内側へ侵入してくるドアから乗員をいち早く遠ざけ、且つ人体耐性の低い胸部へのエネルギーの入力を低減するため胸部とドアとの間にスペースを確保する。
【解決手段】ドアパネルと、前記ドアパネルの室内側に取り付けられるドアトリムからなる車両用ドアにおいて、前記ドアトリムは、前記ドアパネルに固定されるドアトリム本体と、該ドアトリム本体と分割されて上方に移動可能な上方移動部とから構成され、前記上方移動部とドアパネルとの間に、前記上方移動部とともに上方に移動可能な衝撃吸収材を収容し、前記車両への側方からの荷重入力時に、前記上方移動部を前記衝撃吸収材とともに上方に移動させる移動手段を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ドアに関するものであり、側方からの衝突などの荷重入力時に乗員を保護することができる車両用ドアに関するものである。
図5は従来のドア及び乗員を示した一例の概略図である。車両のドア104の車両内側にはシート132が配置され、シート132に乗員102が座るように構成されている。
ドア104は、車両の外板をなすアウタパネル110と、アウタパネル110の車両内側に配されてアウタパネル110とともにウインドガラス(不図示)、ドアロックシステム(不図示)等の収容空間を形成するインナパネル108と、インナパネル108の車両内側に取り付けられたドアトリム106とから構成されている。
アウタパネル110とインナパネル108の間、及びインナパネル108とドアトリム106の間であり、乗員102の腰部Wと略同じ高さ位置には車両前後方向に延びるエネルギー吸収部材(以下EA部材と称する)136が配されている。また、車両側方から衝突するなど、車両への側方からの荷重入力時には、乗員102とドア104との間にサイドエアバック(SAB)138が作動して乗員を保護するように構成されている。
また、図5に示した車両は、視認性を向上させるためにドア104の上部に位置するドアガラス(不図示)を広くとると同時にベルトライン134の高さ位置が下がり、乗員102が一般成人である場合には肩部Xがベルトライン134よりも上方に位置するようなドア104構造となっている。
このようなドア104を有する車両が側面衝突した場合に乗員が受ける衝撃について図6を用いて説明する。図6は従来のドア104を有する車両が側面から衝突した場合に乗員が受ける衝撃の説明図であり、図6(A)は衝突前を表す図であり、図6(B)は衝突時を表す図である。
図6(A)に示したような衝突前の状態から、ドア104に衝突物130が側面から衝突すると、乗員102を保護するためにサイドエアバック138が作動する。そして、図6(B)に示したように衝撃により乗員102は車両外側に傾き、ドア104の上部に位置する胸部Yと、ドア104の下部に位置する腰部Wに大きな荷重が入力される。腰部は人体耐性が高いことに加え、EA部材136により荷重の一部が吸収されるため保護が可能であるが、胸部は人体耐性が低いため、サイドエアバック138のみならず更なる保護が必要である。
人体耐性は、肩部X及び腰部Wが高く、胸部Yが低い。そのため、車両が側面から衝突した時に乗員102を保護するためには、人体耐性の高い肩部X及び腰部Wへ衝突によるエネルギーを伝達し、衝突によって車両内側へ侵入してくるドア104から乗員102をいち早く遠ざけ、且つ人体耐性の低い胸部Yへの入力を低減するため胸部Yとドア104との間にスペースを確保することが必要である。しかし、図5に示したような肩部がベルトライン134よりも上方に位置するようなドアの構造では、肩部Xとドア104との接触位置にEA材の設置が不可能であり、そのため肩部Xへの荷重の入力と、胸部Yとドア104との間のスペースの確保が困難であり、人体耐性の低い胸部Yへの入力を低減することができない。
そのため、乗員の肩部がベルトラインよりも上方となるドア構造であっても肩部に荷重を入力する技術が特許文献1に開示されている。図7は特許文献1に係る実施形態を示す図である。
図7に示したように、ドアトリム216cの上方部分に、可動パネル(衝撃吸収パネル)243と、5つの円筒状パネル441〜445から形成される伸縮機構(移動部材)244とから構成された隔離手段242が配置されており、通常時は隔離手段242はドアトリムの一部を成し、車両の側面衝突時は伸縮機構244が駆動することで図7に示したように可動パネル243が上方且つ車両内側方向へ移動し乗員の肩部に荷重が入力されるように構成されている。
特開2006−1383号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、衝撃吸収パネルである可動パネル243が車両内側方向即ち乗員方向に移動するため、可動パネル243が乗員に近づくことによる乗員へ大きな荷重がかかり、肩部への負担が過度に大きくなる。特に車両への衝突の衝撃が大きいとその負担が大きい。
また、隔離手段242の稼動時には伸縮機構244が外部に露出されるため、衝突の衝撃により乗員身体の一部が伸縮機構244を構成する円筒状パネル441〜445間に挟まれるなど、乗員へ危害を加える恐れがある。
従って、胸部への負担低減を含めた安全性向上の観点では十分とはいえない。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、ベルトラインが乗員の肩部よりも低い車両においても、車両の側面への衝突時に、人体耐性の高い肩部及び腰部へ衝突によるエネルギーを伝達し、衝突によって車両内側へ侵入してくるドアから乗員をいち早く遠ざけ、且つ人体耐性の低い胸部へのエネルギーの入力を低減するため胸部とドアとの間にスペースを確保することができる車両用ドアを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、車両のドアパネルと、該ドアパネルの室内側に取り付けられるドアトリムからなる車両用ドアにおいて、前記ドアトリムは、前記ドアパネルに固定されるドアトリム本体と、該ドアトリム本体と分割されて上方に移動可能な上方移動部とから構成され、前記上方移動部とドアパネルとの間に、前記上方移動部とともに上方に移動可能な衝撃吸収材を収容し、前記車両への側方からの荷重入力時に、前記上方移動部を前記衝撃吸収材とともに上方に移動させる移動手段を設けたことを特徴とする。
車両への側方からの荷重入力時に、前記上方移動部を前記衝撃吸収材とともに上方へ移動させることで、上方移動部及び衝撃吸収材を乗員の肩部の高さ位置まで移動することができ、ベルトラインが乗員の肩部よりも低い車両においても、車両への側方からの荷重入力によるエネルギーを適切に肩部へ伝達することができる。
また、車両への側方からの荷重入力時に前記上方移動部が衝撃吸収材とともに上方へ移動するため、通常時、即ち側方からの荷重非入力時に前記上方移動部及び衝撃吸収材が位置していた場所にスペースができる。該スペースの存在により、車両の側方からの荷重入力時に乗員の胸部とドアとの間のスペースを確保することができ、乗員の胸部への車両側方からの荷重入力によるエネルギーの伝達を低減することができる。
これにより、ベルトラインの高さ位置が乗員の肩部の高さ位置よりも低い車両においても、側方からの荷重の入力に対して乗員を保護することができるため、車両のレイアウトの自由度が高まる。
また、前記移動手段は、前記ドアトリム本体と前記ドアパネルとの間に配置したことを特徴とする。
このようにして前記移動手段を配置することで、移動手段は車両内側ではドアトリム本体に覆われる。移動手段が外部に露出されずにドアトリム本体に覆われていることによって、乗員に直接移動手段が衝突することを回避することができる。
また、前記上方移動部は、前記ドアトリム本体と車幅方向にオーバーラップして、前記上方移動部と前記ドアトリムとの間に、前記衝撃吸収材を収容していることを特徴とする。
これにより、荷重非入力時の前記衝撃吸収材の収容部は、前記上方移動部及び衝撃吸収材が上方へ移動したときに、車両外側へへこむ凹部(スペース)を形成することとなり、車両側方からの荷重入力時に、乗員と車両(ドアトリム)との距離を長く確保することができる。
また、前記ドアパネルは、室外側から順にアウタパネルとインナパネルが配されており、前記移動手段は、下部を前記インナパネルに固定され、上部を前記上方移動部に固定された圧縮バネと、前記上方移動部に取り付けられた車両外側を向いた突起部と、前記インナパネルに設けられ前記突起部を嵌合可能な嵌合孔と、前記突起部先端と対向する位置で前記アウタパネルの車両内側に取り付けられたプッシュロッドとから構成され、前記圧縮バネが弾性変形した状態で前記突起部を前記嵌合孔に嵌合させることで、前記上方移動部を前記インナパネルに固定し、前記車両への側方からの荷重入力時に、該荷重により前記プッシュロッドが車両内側方向へ移動することで前記突起部を前記嵌合孔から外し、前記圧縮バネの復元力により前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする。
車両の側方からの荷重入力時には、前記アウタパネルが衝撃により車両内側方向に押され、前記プッシュロッドが内側に移動する。プッシュロッドの移動により前記突起部を嵌合穴から押し出すことで、前記上方移動部とインナパネルとの固定が解除されるため、前記圧縮バネの復元力により上方移動部を上方へ移動させることができる。
これにより、簡単な機構で側方からの荷重の入力に対して乗員を保護することができる。
また、前記移動手段は、前記車両への側方からの荷重入力を検知する検知手段と、火薬の爆発によってシリンダ内のピストンを作動させる火薬シリンダから構成され、前記火薬シリンダのシリンダを前記ドアパネルに固定するとともに、前記ピストンを前記上方移動部に固定し、前記検知手段により車両への側方からの荷重入力を検知すると、前記火薬シリンダを作動させ、前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする。
前記検知手段としては、車両のBピラー内部に備えられた側面衝突を検知するセンサや、サイドエアバックを作動させるためのエアバックECUなど、従来より備えられているものを兼用することができる。
これにより、例えばアウタパネルが真っ直ぐ車両内側方向に移動せず、車両内側後方などに移動した場合などにおいても、車両への側方からの荷重入力を検知すると前記上方移動部を上方へ移動させることが可能であり、衝突の状態に左右されず乗員の保護が可能となる。
また、前記移動手段は、前記車両への側方からの荷重入力を検知する検知手段と、下部を前記ドアパネルに固定され上部を前記上方移動部に固定された圧縮バネと、前記上方移動部に設けられ車両外側を向いた突起部と、前記ドアパネルに設けられ、前記突起部を嵌合可能な嵌合孔と、前記突起部を嵌合穴から取り外し可能な取り外し手段とから構成され、前記圧縮バネが弾性変形した状態で前記突起部を前記嵌合孔に嵌合させることで、前記上方移動部を前記インナパネルに固定し、前記検知手段により車両への側方からの荷重入力を検知すると、前記取り外し手段によって前記突起部を前記嵌合孔から外し、前記圧縮バネの復元力により前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする。
これにより、衝突の状態に左右されず乗員の保護が可能であるとともに、簡単な機構で乗員の保護が可能となる。
以上記載のごとく本発明によれば、ベルトラインが乗員の肩部よりも低い車両においても、車両の側面への衝突時に、人体耐性の高い肩部及び腰部へ衝突によるエネルギーを伝達し、衝突によって車両内側へ侵入してくるドアから乗員をいち早く遠ざけ、且つ人体耐性の低い胸部へのエネルギーの入力を低減するため胸部とドアとの間にスペースを確保することができる車両用ドアを提供することができる。
また、ベルトラインの高さに寄与することなく乗員保護性能を確保できるので、デザインの自由度が増す。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、実施例1における車両のドア及び乗員を示した概略図である。図1(A)は通常時、図1(B)〜図1(D)は側面衝突時を表し、図1(A)の状態から車両が衝突物に側面衝突し、図1(B)、図1(C)、図1(D)の順に時間が経過している。
図1(A)において、ドア4の車両内側にはシート(不図示)が配置され、該シートに乗員2が座るように構成されている。
ドア4は、車両の外板をなすアウタパネル10と、アウタパネル10の車両内側に配されてアウタパネル10とともにウインドガラス(不図示)、ドアロックシステム(不図示)等の収容空間を形成するインナパネル8と、インナパネル8の車両内側に取り付けられ内装品(不図示)が取り付けられるドアトリムとから構成されている。
また、視認性を向上させるためにドア4の上部に位置するドアガラス(不図示)を広くとると同時にベルトラインの高さ位置が下がり、乗員2が一般成人である場合には肩部Xがベルトラインよりも上方に位置するようなドア4構造となっている。
前記ドアトリムは、ドアトリム(ロア)(以下ドアトリム本体と称する)6と、ドアトリム(アッパ)(以下上方移動部と称する)18とから構成されている。また、上方移動部18の下部には圧縮バネ14の上部が固定されており、該圧縮バネ14の下部はインナパネル8の上部に固定されている。上方移動部18に設けた突起状のストッパ20をインナパネル8に設けた嵌合孔に嵌合させることで前記圧縮バネ14が十分に圧縮された状態で、上方移動部18がドアトリム本体6の上部でドアトリム本体6と一体化するように固定されている。また、圧縮バネ14の軸心には車両上下方向に立設されたロッド状のガイド22が設けられている。
また、ストッパ20の先端部と対向する位置で、アウタパネル10の車両内側にプッシュロッド12が取り付けられている。
さらに、上方移動部18とドアトリム本体6とは、ドアトリム本体6の上部で車幅方向にオーバーラップしており、上方移動部18とドアトリム本体6との間に出来る空間には車両前後方向に延びるエネルギー吸収材(以下EA部材と称する)16が上方移動部18に固定されて配置されている。
図1(A)に示された構成のドア4の側面に衝突物30が衝突すると、図1(B)に示したように衝突による荷重の車両内側方向への入力によって、ドア4を構成するアウタパネル10が車両内側方向へ侵入する。アウタパネル10の車両内側方向への侵入により、上方移動部18に設けられた突起状のストッパ20と対向する位置に設けられたプッシュロッド12がストッパ20に徐々に近づき、最後にはストッパ20をインナパネル8に設けた嵌合孔から押し出す。
プッシュロッド12によってストッパ20がインナパネル8に設けた嵌合孔から押し出されると、上方移動部18のインナパネル8への固定が解除されるため、図1(C)に示したように、圧縮バネ14の復元力によって上方移動部18及びEA部材16がガイド22に沿って乗員2の肩部Xの高さ位置と略同じ高さ位置まで上方に移動する。
衝突物30による荷重の入力が進むと、ドア4と乗員2が衝突するが、図1(D)に示したように、上方移動部18及びEA部材16が肩部Xと略同じ高さ位置まで移動しているため、衝突によるエネルギーが適切に人体耐性の高い肩部に伝達される。
さらに、図1(A)に示した通常時に上方移動部18及びEA部材16が位置していた場所は、上方移動部18及びEA部材16が上方に移動することによってスペースができるため、人体耐性の低い胸部への衝突によるエネルギーの伝達を低減することができる。このようにして出来るスペースで開くように車両の側面衝突時に作動するサイドエアバックを設けることもできる。
さらにまた、圧縮バネ14、ストッパ20、ガイド22、プッシュロッド12から構成され、通常時は上方移動手段を定位置に固定し、側方からの荷重入力時には上方移動部18を上方へ移動させる移動手段は、ドアトリム本体に覆われているため、前記移動手段と乗員とが直接衝突することを回避することができる。
図2は、実施例2における車両のドア及び乗員を示した概略図である。図2(A)は通常時、図2(B)〜図2(D)は側面衝突時を表し、図2(A)の状態から車両が衝突物に側面衝突し、図2(B)、図2(C)、図2(D)の順に時間が経過している。
図2(A)において、ドア4の車両内側にはシート(不図示)が配置され、該シートに乗員2が座るように構成されている。
ドア4は、車両の外板をなすアウタパネル10と、アウタパネル10の車両内側に配されてアウタパネル10とともにウインドガラス(不図示)、ドアロックシステム(不図示)等の収容空間を形成するインナパネル8と、インナパネル8の車両内側に取り付けられ内装品(不図示)が取り付けられるドアトリムとから構成されている。
また、視認性を向上させるためにドア4の上部に位置するドアガラス(不図示)を広くとると同時にベルトラインの高さ位置が下がり、乗員2が一般成人である場合には肩部Xがベルトラインよりも上方に位置するようなドア4構造となっている。
前記ドアトリムは、ドアトリム本体6と、上方移動部18とから構成されている。また、上方移動部18の下方には、シリンダ15bとピストン15aから構成されるアクチュエーター15が配置されており、アクチュエーター15構成するピストン15aの上部が上方移動部18の下部に固定されるとともに、シリンダ15bの下部はインナパネル8の上部に固定されている。
また、衝突検知センサ28が設けられている。衝突検知センサ28は車両の側面衝突を検知するものであり、実施例2に係る車両用ドア4専用に設けてもいいが、車両のBピラー内部に備えられた側面衝突を検知するセンサや、サイドエアバックを作動させるためのエアバックECUの衝突検知信号など、他の設備と兼用するものでもよい。
衝突検知センサ28とアクチュエーター15とはケーブルを介して接続されており、衝突検知センサ28で車両の側面衝突を検知するとケーブルを介してアクチュエーター15に作動命令信号が送られ、アクチュエーター15が作動するように構成されている。
さらに、上方移動部18とドアトリム本体6とは、ドアトリム本体6の上部で車幅方向にオーバーラップしており、上方移動部18とドアトリム本体6との間に出来る空間には車両前後方向に延びるEA部材16が上方移動部18に固定されて配置されている。
図2(A)に示された構成のドア4の側面に衝突物30が衝突すると、図2(B)に示したように衝突による荷重の車両内側方向への入力によって、ドア4を構成するアウタパネル10が車両内側方向へ侵入する。この衝突を衝突検知センサ28が検知すると、図2(B)に示したようにケーブルを介してアクチュエーター15に作動命令信号が送られる。
前記作動命令信号を受けると図2(C)に示したように、アクチュエーター15のピストン15aが押し上げられ、それに伴ってピストン15aの上部に固定されている上方移動部18及びEA部材16が乗員2の肩部Xの高さ位置と略同じ高さ位置まで上方に移動する。
さらに衝突物30による荷重の入力が進むと、ドア4と乗員2が衝突するが、図2(D)に示したように、上方移動部18及びEA部材16が肩部Xと略同じ高さ位置まで移動しているため、衝突によるエネルギーが適切に人体耐性の高い肩部に伝達される。
さらに、図2(A)に示した通常時に上方移動部18及びEA部材16が位置していた場所は、上方移動部18及びEA部材16が上方に移動することによってスペースができるため、人体耐性の低い胸部への衝突によるエネルギーの伝達を低減することができる。このようにして出来るスペースで開くように車両の側面衝突時に作動するサイドエアバックを設けることもできる。
さらにまた、通常時は上方移動手段を定位置に固定し、側方からの荷重入力時には上方移動部18を上方へ移動させる火薬シリンダ15は、ドアトリム本体に覆われているため、前記移動手段と乗員とが直接衝突することを回避することができる。
図3は、実施例3における車両のドア及び乗員を示した概略図である。図3(A)は通常時、図3(B)〜図3(D)は側面衝突時を表し、図3(A)の状態から車両が衝突物に側面衝突し、図3(B)、図3(C)、図3(D)の順に時間が経過している。
図3(A)において、ドア4の車両内側にはシート(不図示)が配置され、該シートに乗員2が座るように構成されている。
ドア4は、車両の外板をなすアウタパネル10と、アウタパネル10の車両内側に配されてアウタパネル10とともにウインドガラス(不図示)、ドアロックシステム(不図示)等の収容空間を形成するインナパネル8と、インナパネル8の車両内側に取り付けられ内装品(不図示)が取り付けられるドアトリムとから構成されている。
また、視認性を向上させるためにドア4の上部に位置するドアガラス(不図示)を広くとると同時にベルトラインの高さ位置が下がり、乗員2が一般成人である場合には肩部Xがベルトラインよりも上方に位置するようなドア4構造となっている。
前記ドアトリムは、ドアトリム本体6と、上方移動部18とから構成されている。また、上方移動部18の下部に圧縮バネ14の上部が固定されており、該圧縮バネ14の下部はインナパネル8の上部に固定されている。上方移動部18に設けた突起状のストッパ20をインナパネル8に設けた嵌合孔に嵌合させることで前記圧縮バネ14が十分に圧縮された状態で、上方移動部18がドアトリム本体6の上部でドアトリム本体6と一体化するように固定されている。また、圧縮バネ14の軸心には車両上下方向に立設されたロッド状のガイド22が設けられている。
前記ストッパ20にはワイヤケーブル26の一端が取り付けられており、ワイヤケーブル26の他端はワイヤ巻取り装置24に収納されている。
また、衝突検知センサ28が設けられている。衝突検知センサ28は車両の側面衝突を検知するものであり、実施例3に係る車両用ドア4専用に設けてもいいが、図2を用いて説明した実施例2における衝突検知センサと同様に、車両のBピラー内部に備えられた側面衝突を検知するセンサや、サイドエアバックを作動させるためのエアバックECUの衝突検知信号など、他の設備と兼用するものでもよい。
衝突検知センサ28とワイヤ巻取り装置24とはケーブルを介して接続されており、衝突検知センサ28で車両の側面衝突を検知すると前記ケーブルを介してワイヤ巻取り装置24に作動命令信号が送られ、ワイヤ巻取り装置24が作動してワイヤケーブル26を巻取るように構成されている。
さらに、上方移動部18とドアトリム本体6とは、ドアトリム本体6の上部で車幅方向にオーバーラップしており、上方移動部18とドアトリム本体6との間に出来る空間には車両前後方向に延びるEA部材16が上方移動部18に固定されて配置されている。
図3(A)に示された構成のドア4の側面に衝突物30が衝突すると、図3(B)に示したように衝突による荷重の車両内側方向への入力によって、ドア4を構成するアウタパネル10が車両内側方向へ侵入する。この衝突を衝突検知センサ28が検知すると、図3(B)に示したようにケーブルを介してワイヤ巻取り装置24に作動命令信号が送られる。
前記作動命令信号を受けると、ワイヤ巻取り装置24はワイヤケーブル26を巻取る。これにより、ワイヤケーブル26のワイヤ巻取り装置24と反対側の端部に取り付けられたストッパ20がインナパネル8に設けた嵌合孔から引き抜かれる。
ワイヤ巻取り装置24の作動によってストッパ20がインナパネル8に設けた嵌合孔から引き抜かれると、上方移動部18のインナパネル8への固定が解除されるため、図3(C)に示したように、圧縮バネ14の復元力によって上方移動部18及びEA部材16がガイド22に沿って乗員2の肩部Xの高さ位置と略同じ高さ位置まで上方に移動する。
さらに衝突物30による荷重の入力が進むと、ドア4と乗員2が衝突するが、図3(D)に示したように、上方移動部18及びEA部材16が肩部Xと略同じ高さ位置まで移動しているため、衝突によるエネルギーが適切に人体耐性の高い肩部に伝達される。
さらに、図3(A)に示した通常時に上方移動部18及びEA部材16が位置していた場所は、上方移動部18及びEA部材16が上方に移動することによってスペースができるため、人体耐性の低い胸部への衝突によるエネルギーの伝達を低減することができる。このようにして出来るスペースで開くように車両の側面衝突時に作動するサイドエアバックを設けることもできる。
さらにまた、通常時は上方移動手段を定位置に固定し、側方からの荷重入力時には上方移動部18を上方へ移動させる火薬シリンダ15は、ドアトリム本体に覆われているため、前記移動手段と乗員とが直接衝突することを回避することができる。
図1、図2及び図3を用いて説明した実施例1、2及び3におけるEA部材16の配置位置について図4を用いて説明する。
EA部材16は、車両の側面衝突時に肩部Xに位置していればよい。そのため、通常時は、図4左図に示したように、EA部材16はその高さ位置が肩部Xよりも低い位置に配置される。また、車両前後方向は、EA部材16の配置される範囲が肩部Xの車両前後方向よりも広い範囲となるように配置される。ドア4の後方からドア全体の1/3〜1/2程度の範囲にEA部材16を配置すればよい。このようなEA部材の配置により衝突時は図4右図に示したようにEA部材16が上方に移動し、肩部に衝突によるエネルギーを伝達することができる。
ベルトラインが乗員の肩部よりも低い車両においても、車両の側面への衝突時に、人体耐性の高い肩部及び腰部へ衝突によるエネルギーを伝達し、衝突によって車両内側へ侵入してくるドアから乗員をいち早く遠ざけ、且つ人体耐性の低い胸部へのエネルギーの入力を低減するため胸部とドアとの間にスペースを確保することができる車両用ドアとして利用することができる。
実施例1における車両のドア及び乗員を示した概略図である。 実施例2における車両のドア及び乗員を示した概略図である。 実施例3における車両のドア及び乗員を示した概略図である。 実施例における車両のドア及び乗員を示した側面概略図である。 従来のドア及び乗員を示した一例の概略図である。 車両が側面衝突した場合に乗員が受ける衝撃の説明図である。 特許文献1に係る実施形態を示す図である。
符号の説明
2 乗員
4 ドア
6 ドアトリム本体
8 インナパネル
10 アウタパネル
12 プッシュロッド
14 圧縮バネ
15 アクチュエーター
16 エネルギー吸収材
18 上方移動部
20 ストッパ
22 ガイド
24 ワイヤ巻取り装置
26 ワイヤケーブル
28 衝突検知センサ
30 衝突物

Claims (6)

  1. 車両のドアパネルと、該ドアパネルの室内側に取り付けられるドアトリムからなる車両用ドアにおいて、
    前記ドアトリムは、前記ドアパネルに固定されるドアトリム本体と、該ドアトリム本体と分割されて上方に移動可能な上方移動部とから構成され、
    前記上方移動部とドアパネルとの間に、前記上方移動部とともに上方に移動可能な衝撃吸収材を収容し、
    前記車両への側方からの荷重入力時に、前記上方移動部を前記衝撃吸収材とともに上方に移動させる移動手段を設けたことを特徴とする車両用ドア。
  2. 前記移動手段は、前記ドアトリム本体と前記ドアパネルとの間に配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
  3. 前記上方移動部は、前記ドアトリム本体と車幅方向にオーバーラップして、前記上方移動部と前記ドアトリムとの間に、前記衝撃吸収材を収容していることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ドア。
  4. 前記ドアパネルは、室外側から順にアウタパネルとインナパネルとが配されており、
    前記移動手段は、
    下部を前記インナパネルに固定され、上部を前記上方移動部に固定された圧縮バネと、
    前記上方移動部に取り付けられた車両外側を向いた突起部と、
    前記インナパネルに設けられ、前記突起部を嵌合可能な嵌合孔と、
    前記突起部先端と対向する位置で、前記アウタパネルの車両内側に取り付けられたプッシュロッドとから構成され、
    前記圧縮バネが弾性変形した状態で前記突起部を前記嵌合孔に嵌合させることで、前記上方移動部を前記インナパネルに固定し、
    前記車両への側方からの荷重入力時に、該荷重により前記プッシュロッドが車両内側方向へ移動することで前記突起部を前記嵌合孔から外し、前記圧縮バネの復元力により前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の車両用ドア。
  5. 前記移動手段は、
    前記車両への側方からの荷重入力を検知する検知手段と、
    火薬の爆発によってシリンダ内のピストンを作動させる火薬シリンダから構成され、
    前記火薬シリンダのシリンダを前記ドアパネルに固定するとともに、前記ピストンを前記上方移動部に固定し、
    前記検知手段により車両への側方からの荷重入力を検知すると、前記火薬シリンダを作動させ、前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の車両用ドア。
  6. 前記移動手段は、
    前記車両への側方からの荷重入力を検知する検知手段と、
    下部を前記ドアパネルに固定され、上部を前記上方移動部に固定された圧縮バネと、
    前記上方移動部に設けられ車両外側を向いた突起部と、
    前記ドアパネルに設けられ、前記突起部を嵌合可能な嵌合孔と、
    前記突起部を嵌合穴から取り外し可能な取り外し手段とから構成され、
    前記圧縮バネが弾性変形した状態で前記突起部を前記嵌合孔に嵌合させることで、前記上方移動部を前記ドアパネルに固定し、
    前記検知手段により車両への側方からの荷重入力を検知すると、前記取り外し手段によって前記突起部を前記嵌合孔から外し、前記圧縮バネの復元力により前記上方移動部を上方へ移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の車両用ドア。
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