JP2010201714A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥を高効率に行うことができ、かつ、カックルを効率的に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、記録媒体上に付与されたインクを乾燥する第1の乾燥手段80と、を備え、第1の乾燥手段80は、乾燥風を記録媒体上に送風する送風手段81と、乾燥風を加熱する加熱手段82、83と、乾燥風に水蒸気を供給する水蒸気供給手段85と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に、乾燥の高効率化およびカックルを効率的に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、記録媒体上でインクを連続的に打滴することによって画像を形成する装置であり、装置構成が簡単でかつ良好な画質の画像記録が可能であることから、個人用途のホームプリンタをはじめ、業務用途のオフィスプリンタとしても広く使用されている。特に、業務用途のオフィスプリンタにおいては、処理の高速化および高画質化が一層要望されている。
インクジェット記録装置においては、一般の印刷用紙に印刷を行う場合、インクが付着した領域(画像部)とインクが付着していない領域(非画像部)とで紙の繊維に吸収される水の量が異なるため、紙に凹凸(カックル)が発生するという問題があった。
このような問題を解決するため、下記の特許文献1には、非画像部に水を主成分とする略透明の液体を付与することにより、非画像部の紙の繊維に吸収される水分量を画像部の水分量に近づけることでカックルを抑制することが記載されている。
また、下記の特許文献2には、装置の温湿度を測定し、それらの値と飽和水蒸気量および実際の水蒸気量を求めることで蒸発可能水蒸気量を算出し、それに応じて乾燥を制御することで、高効率な乾燥をすることが記載されている。このように、効率の良い乾燥手段を具備することにより、カックルもある程度抑制することが可能である。
特開2005−212371号公報 特開2008−119980号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、非画像部に付与する液体および液体付与装置が必要であるため、コストアップという課題があった。また、特許文献2に記載されている装置では、乾燥手段により非画像部の水分も減少してしまうため、画像部と非画像部の水分量は依然として存在し、カックルを充分に抑制することができていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、乾燥を高効率に行うことができ、かつ、カックルを効率的に抑制することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する第1の乾燥手段と、を備え、前記第1の乾燥手段は、乾燥風を前記記録媒体上に送風する送風手段と、該乾燥風を加熱する加熱手段と、該乾燥風に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項1によれば、インク打滴後の乾燥において、乾燥風を記録媒体に送風する際に、この乾燥風を加熱し、水蒸気を供給している。これにより、空気を加熱することで下がった相対湿度を上げることができる。
ここで、記録媒体に含まれる水分量は、その記録媒体と触れている空気の相対湿度によって、ほぼ一意に決定する(相対湿度が高いほど水分量が大きくなる)。
描画後、記録媒体は画像部と非画像部において、含まれる水分量が異なっているが、相対湿度が一定の風を送風すると、画像部および非画像部ともに記録媒体に含まれる水分量は、一定の値に漸近する。
ここで、画像部および非画像部ともに記録媒体に含まれる水分量が一定の値にまで漸近する時間は空気の温度によって決まる(空気の温度が高いほど時間が短い)。従って、請求項1によれば、空気の温度および湿度を変化させないで送風を行う場合と比べ、短時間で画像部及び非画像部の水分量を一定の値に漸近させることができる。
請求項2は請求項1において、装置周囲の空気の温度および相対湿度を測定する温湿度測定手段を備え、前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように、前記水蒸気供給手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項2によれば、乾燥風の相対湿度と装置周囲の空気の相対湿度の差が略同等であるため、記録媒体に含まれる水分量は、装置の設置されている環境における空気と平衡した値に漸近する。したがって、印字終了後、記録媒体を装置外に搬送しても、記録媒体に含まれる水分量の変化を少なくすることができるので、カックルの発生を抑制することができる。
請求項3は請求項1または2において、前記水蒸気供給手段は、水を蓄える貯水部と、該水を加熱し水蒸気とする発熱体と、からなり、前記乾燥風が通過する流路部と前記水蒸気供給手段とは、開閉自在なシャッターにより隔てられており、前記制御手段は、前記シャッターの開口割合および前記発熱体に通電する電流の少なくともいずれか1つを制御することを特徴とする。
請求項4は請求項3において、前記乾燥風の温湿度を測定する乾燥風温湿度測定手段を備え、前記制御手段は、前記乾燥風の温湿度に基づきフィードバック制御して、前記シャッターおよび前記発熱体の少なくともいずれか1つを作動させることを特徴とする。
請求項3および請求項4は、乾燥風の温湿度を制御する方法を規定したものであり、請求項3および4によれば、水蒸気供給手段に設けられたシャッターの開口割合、水中に備えられた発熱体に通電する電流を制御することで、乾燥風に供給する水蒸気の量を制御することができる。
請求項5は請求項1から4いずれか1項において、前記乾燥風は、装置周囲の空気を用いることを特徴とする。
乾燥風に用いる気体として、装置周囲の空気を用いることにより、コストを下げることができる。
請求項6は請求項1から5いずれか1項において、前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与手段と、前記処理液を乾燥する処理液乾燥手段と、を備え、前記処理液乾燥手段は、乾燥風を前記記録媒体上に送風する処理液用送風手段と、該乾燥風を加熱する処理液用加熱手段と、該乾燥風に水蒸気を供給する処理液用水蒸気供給手段と、を備え、前記乾燥風の相対湿度と、前記装置周囲の空気の相対湿度の差が略同等となるように、前記処理液用水蒸気供給手段を制御する処理液乾燥制御手段を備えることを特徴とする。
請求項6によれば、処理液を付与した後の乾燥においても、乾燥風を加熱、装置周囲の空気の相対湿度と略同等とした乾燥風を吹き付けている。したがって、処理液付与時において、記録媒体に含まれる水分量を装置周囲の空気に接した場合の水分量と同等とすることができるので、その後の乾燥において、記録媒体の描画部と非描画部に含まれる水分を平衡にする時間を短縮することができる。
請求項7は請求項1から6いずれか1項において、前記インク吐出手段と前記第1の乾燥手段との間に、第2の乾燥手段を備え、前記第2の乾燥手段は、乾燥風を供給する第2の送風手段と、該乾燥風を加熱する第2の加熱手段と、を備えることを特徴とする。
請求項7によれば、第2の乾燥手段を設け、第2の乾燥手段においては、加熱のみ行った乾燥風を吹き付けることで乾燥を行なっている。したがって、乾燥風は温度が高く、湿度が低いため、乾燥を促進させることができ画像部、非画像部とも水分量を下げることができる。しかしながら、画像部の水分は、インク溶媒としての水分が主であり、紙の表面に留まっているので、乾燥しやすくなっている。そのため、記録媒体の画像部、非画像部とも水分量はともに少なくなるものの、画像部の水分の方が乾燥しやすいので、画像部と非画像部の水分量の差を少なくすることができる。
そして、すでに、画像部と非画像部の水分量の差が小さくなっているので、その後の第1の乾燥手段で画像部と非画像部との記録媒体に含まれる水分量を平衡にするまでの時間を短くすることができる。
請求項8は請求項1から7いずれか1項において、前記記録媒体に付与された前記インクの単位面積あたりのインク量を計測するインク量計測手段をさらに備え、前記インク量に従って、前記第1の乾燥手段と前記第2の乾燥手段の強度を調整する乾燥制御手段を備えることを特徴とする。
請求項8によれば、インク量測定手段を設け、記録媒体に付与されたインク量を測定し、このインク量に従って、第1の乾燥手段と第2の乾燥手段の強度を調節しているため、乾燥を促進させることができる。
請求項9は請求項8において、前記乾燥制御手段は、前記インク量が基準値より低い場合は、前記第1の乾燥手段のみを使用するように制御することを特徴とする。
請求項9によれば、インク量がある所定の基準値よりも低い場合は、第1の乾燥部による乾燥のみで、記録媒体の画像部と非画像部に含まれる水分量を平衡にすることができる。したがって、第2の乾燥部を使用しないため、ランニングコストを削減することができる。
請求項10は請求項9において、前記基準値は、前記温湿度測定手段で測定した装置周囲の空気の相対湿度から決定されることを特徴とする。
請求項10によれば、インク量の基準値を装置周囲の空気の相対湿度から決定している。装置周囲の空気の相対湿度が高い場合は、乾燥後に記録媒体に含まれる水分量を多くすることができ、記録媒体から乾燥する水分量を少なくすることができる。したがって、インク量が少なくても第1の乾燥手段のみで乾燥することができる。逆に、装置周囲の空気の相対湿度が低い場合は、画像部からの水分の乾燥を促進させることができるので、インク量が多くても、第1の乾燥部のみで乾燥により、平衡状態にすることができる。このように、基準値は装置周囲の空気の相対湿度により変更することができる。
本発明の請求項11は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する第1の乾燥工程と、を有し、前記第1の乾燥工程は、乾燥風を加熱するとともに水蒸気を供給し、前記記録媒体上に送風することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
請求項12は請求項11において、装置周囲の空気の温度および相対湿度を測定する温湿度測定工程と、前記第1の乾燥工程で送風される前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように制御する制御工程と、を有することを特徴とする。
請求項13は請求項11または12において、前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記処理液を乾燥する処理液乾燥工程と、を有し、前記処理液乾燥工程は、乾燥風を加熱するとともに水蒸気を供給し、前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように制御する処理液乾燥制御工程を有することを特徴とする。
請求項14は請求項11から13いずれか1項において、前記第1の乾燥工程の前に、前記記録媒体に付与された前記インクの単位面積あたりのインク量を計測するインク量計測工程を有し、前記インク量に従って、加熱された乾燥風を供給する第2の乾燥工程を有することを特徴とする。
請求項15は請求項14において、前記装置周囲の空気の相対湿度によって決定される基準値により、前記第2の乾燥工程を行なうか決定することを特徴とする。
請求項11から15は、インクジェット記録装置の発明をインクジェット記録方法として展開したものであり、請求項11から15によれば、インクジェット記録装置と同様の効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、乾燥時に乾燥風の温度を上げるとともに、相対湿度を上げることで、記録媒体の画像部と非画像部とで、記録媒体中に含まれる水分量を一定の値とすることができる。したがって、画像部と非画像部で、記録媒体中に含まれる水分を平衡状態とすることができ、カックルの発生を抑制することができるとともに、平衡状態に達するまでの時間を短縮することができ、乾燥を効率良く行うことができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。 第1の乾燥手段(第1の温風噴出しノズル)の拡大図である。 ヘッドの内部構造を示す要部平面透視図 ヘッドの他の構成例を示す平面図 図3中のX−X線に沿う断面図 ヘッドのノズル配置例を示す平面図 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
以下、添付図面にしたがって、本発明に係るインクジェット記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。
図1は、本実施の形態のインクジェット記録装置1を模式的に示す構成図である。同図に示すインクジェット記録装置1は記録媒体22の記録面に画像を形成する装置であり、主として給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18及び排出部20で構成される。給紙部10には記録媒体22(枚葉紙)が積層されており、この記録媒体22が給紙部10から処理液付与部12に送られ、処理液付与部12で記録面に処理液が付与された後、描画部14で記録面に色インクが付与される。インクが付与された記録媒体22は、乾燥部16でインクを乾燥し、定着部18で画像が堅牢化された後、排出部20によって搬送される。
各部の間には中間搬送部24、26、28が設けられ、この中間搬送部24、26、28によって記録媒体22の受け渡しが行われる。すなわち、処理液付与部12と描画部14との間には、第1の中間搬送部24が設けられ、この第1の中間搬送部24によって処理液付与部12から描画部14への記録媒体22の受け渡しが行われる。同様に、描画部14と乾燥部16との間には、第2の中間搬送部26が設けられ、この第2の中間搬送部26によって描画部14から乾燥部16への記録媒体22の受け渡しが行われる。さらに、乾燥部16と定着部18との間には、第3の中間搬送部28が設けられ、この第3の中間搬送部28によって乾燥部16から定着部18への記録媒体22の受け渡しが行われる。
以下、インクジェット記録装置1の各部(給紙部10、処理液付与部12、描画部14、乾燥部16、定着部18、排出部20、第1〜第3の中間搬送部24、26、28)について説明する。
(給紙部)
給紙部10は、記録媒体22を描画部14に供給する機構である。給紙部10には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体22が一枚ずつ処理液付与部12に給紙される。
(処理液付与部)
処理液付与部12は、記録媒体22の記録面に処理液を付与する機構であり、処理液は、後述のインク中の色材(顔料もしくは染料)を凝集または増粘させる成分を含有している。色材を凝集若しくは増粘させる方法としては具体的に、インクと反応してインク中の色材を析出あるいは不溶化させる処理液、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する処理液等が挙げられる。そして、インクと処理液との反応を引き起こす手段は、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、処理液中の多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、などがある。
処理液の付与方法としては、インクジェットヘッドによる打滴、ローラによる塗布、スプレーによる一様付与、等がある。たとえば図1に示す処理液付与部12は、渡し胴52、処理液ドラム54、処理液塗布装置56および温風噴出しノズル58を備えている。渡し胴52は、給紙部10の給紙トレイ50と処理液ドラム54の間に配置され、回転駆動される。給紙部10から給紙された記録媒体22は、この渡し胴52によって受け取られ、処理液ドラム54に受け渡される。なお、渡し胴52の代わりに、後述の中間搬送部を設けてもよい。
処理液ドラム54は、記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、処理液ドラム54を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送される。なお、処理液ドラム54の外周面に吸引孔を設けるとともに、その吸引孔から吸引を行うようにしてもよい。これにより記録媒体22を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
処理液塗布装置56の構成は特に限定するものではないが、たとえば、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラに当接されて計量を行うスキージと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体22に圧接されて計量後の処理液を記録媒体22に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液をスキージで計量しながら記録媒体22に塗布することができる。処理液の膜厚は、描画部14のインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kから打滴されるインクの液滴径より十分に小さいことが望ましい。例えば、インクの打滴量が2plのときには、液滴の平均直径は15.6μmである。このとき、処理液の膜厚が大きい場合には、インクドットが記録媒体22の表面に接触することなく、処理液内で浮遊する。そこで、インクの打滴量が2plのときに着弾ドット径を30μm以上得るためには、処理液の膜厚を3μm以下にすることが望ましい。
処理液塗布装置56で処理液が塗布された記録媒体22は、温風噴出しノズル58の位置に搬送される。温風噴出しノズル58としては、高温(たとえば50℃)の温風を一定の風量(たとえば9m/分)で記録媒体22に向けて吹き付けるような構成とすることができる。温風噴出しノズル58としては、後述する乾燥部における第1の温風噴出しノズル80と同様の構成を用いることができ、乾燥風を加熱し温風にすると同時に、水蒸気を供給し、相対湿度を、装置周囲の空気の相対湿度まで上昇させることが好ましい。このような処理を行うことで、処理液乾燥後の記録媒体に含まれる水分量は、装置周囲の雰囲気と平衡状態となった場合の記録媒体に含まれる水分量と略同等になるため、後述するインク乾燥時に画像部と非画像部の水分量差を近づける(記録媒体中の画像部、非画像部の水分量が共に、記録媒体が装置周囲の雰囲気と平衡状態となったときの水分量に漸近する)までの時間を短縮することができる。
この温風噴出しノズル58による加熱によって、処理液の溶媒成分の乾燥が行われる。このように、記録媒体22に付与した処理液をインクの打滴前に乾燥させることによって、インクの色材が処理液に浮遊することを防止することができる。なお、処理液の乾燥は必ずしも処理液の溶媒を完全に蒸発させる必要はなく、乾燥後の総膜厚(処理液中の非乾燥成分[凝集剤など]と乾燥残液の総和)が約1.0g/m以下の厚みになるように乾燥すればよい。
また、図1においては、処理液の温風噴出しノズル58で行っているが、IRヒータを用いて乾燥を行うことができる。IRヒータを用いて乾燥を行うことにより、乾燥を促進することができる。ただし、IRヒータを用いると乾燥時の記録媒体周囲の雰囲気が変わり、相対湿度が装置雰囲気より低い空気での乾燥となる。IRヒータの使用の有無は、乾燥条件により適宜判断することが好ましい。
(描画部)
描画部14は、インクジェット方式でインクを打滴することによって入力画像に対応した画像を描画する機構であり、描画ドラム70と、この描画ドラム70の外周面に対向する位置に近接配置されたインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kで構成される。インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kはそれぞれ、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインクに対応しており、描画ドラム70の回転方向に上流側から順に配置される。
描画ドラム70は、その外周面に記録媒体22を保持し、回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、描画ドラム70は、その外周面に爪形状の保持手段(不図示)を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、描画ドラム70を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kからインクが付与される。
インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kはそれぞれ、記録媒体22における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kは、記録媒体22の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。各インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kには、対応する色インクのカセットが取り付けられる。
上記の如く構成された各インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kから、各インクの液滴が描画ドラム70の外周面に保持された記録媒体22の記録面に向かって吐出される。これにより、処理液付与部12上の処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体22上での色材流れなどが防止され、記録媒体22の記録面に画像が形成される。その際、描画部14の描画ドラム70は、処理液付与部12の処理液ドラム54に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kに処理液が付着することがなく、インクの不吐出要因を低減することができる。
なお、各インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kの打滴タイミングは、描画ドラム70に配置された回転速度を検出するエンコーダに同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。また、予め描画ドラム70のフレなどによる速度変動を学習し、エンコーダで得られた打滴タイミングを補正して、描画ドラム70のフレ、回転軸の精度、描画ドラム70の外周面の速度に依存せずに打滴ムラを低減させることができる。
また、各インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kのノズル面の清掃、増粘インク排出などのメンテナンス動作は、ヘッドユニットを描画ドラム70から退避させて実施するとよい。
さらに、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥部)
乾燥部16は、色材凝集作用により分離された溶媒(水)を乾燥させる工程であり、乾燥ドラム76と、この乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置された第1の乾燥手段である第1の温風噴出しノズル80と、第2の乾燥手段である第2の温風噴出しノズル95で構成される。第2の温風噴出しノズル95は、第1の温風噴出しノズル80に対して、乾燥ドラム76の回転方向(図1において反時計周り方向)の上流側に設けられる。
乾燥ドラム76は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、乾燥ドラム76は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム76を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して第1の温風噴出しノズル80、第2の温風噴出しノズル95による乾燥処理が行われる。
図2に、第1の乾燥手段を模式的に示す構成図を示す。第1の乾燥手段は、装置周囲の空気を取り込み、第1の温風噴出しノズル80から記録媒体22上に送風する送風手段であるファン81と、乾燥風となる空気を加熱する第1のヒータ82、第2のヒータ83と、空気に水蒸気を供給する水蒸気供給手段85とから構成される。
第1の温風噴出しノズル80は、記録媒体22の略全面に送風を行うことができる。装置周囲の空気の温度をT0、相対湿度をH0、第1の温風噴出しノズル80から噴出される空気の温度をTu、相対湿度をTuとする。ファン81により取り込まれた空気は、第1のヒータ82により温度T1に加熱される。ここでの空気の加熱は、T0<T1<Tuである。第1のヒータ82で空気を加熱することにより、飽和水蒸気量を上げることができる。温度T1まで加熱された空気は、水蒸気供給手段により水蒸気が付与され、空気中の水分量が増加される。
水蒸気供給手段85は、一定量の水が保持された水槽87と、水槽87内に設けられた発熱体89と、水槽87と第1の温風噴出しノズル80の間に設けられるシャッター97から構成される。空気に供給される水分量は、シャッター97の開口割合および水中に設けられた発熱体89に通電する電流を制御することにより調整される。
水蒸気が付与された空気は、さらに、第2のヒータ83により加熱され、所望の温度となり、記録媒体22に噴射される。
このように、装置周囲から取り込んだ空気を温めることで、インクの乾燥に要する時間を短縮させることができる。また、乾燥風内の相対湿度を高くすることにより、描画部で形成された画像部のインク溶媒に含まれる水分が蒸発され、非画像部の水分の乾燥を抑制または、増加させることができるので、記録媒体の画像部と非画像に含まれる水分量を平衡状態にすることができ、カックルの発生を抑制することができる。
また、図2に示すように、第1の温風噴出しノズル80の出口には、乾燥風温湿度測定手段93を設けることができる。この乾燥風温湿度測定手段93により、噴射される乾燥風の温湿度を測定することができる。この測定値を各々にフィードバックすることで、所望の温湿度の空気を作り出すことができる。好ましくは、装置周囲の空気の温度、湿度を測定する温湿度測定手段68を設け、乾燥風の温度Tuが、50℃以上70℃以下となるように制御することが好ましい。より好ましくは60℃以上65℃以下である。このように、乾燥風の温度を上昇させると、空気中に含まれる水分は変わらないため、相対湿度が下がることになる。したがって、乾燥風の湿度は、装置周囲の空気の相対湿度Huと略同等となるように調整することが好ましい。なお、乾燥風の空気の相対湿度H0と装置周囲の空気の相対湿度Huの差が略同等とは、−5%<Hu−H0<+5%の範囲に入っていることをいう。
乾燥風の制御は、乾燥風の空気の温度が所望の温度Tuになるように第2のヒータ83の電流値もしくは通電タイミングを調整する。また、噴射後の空気の相対湿度HuがH0となるように、シャッター97の開口度、発熱体89の電流を調整する。また、温度Tにおける飽和水蒸気量をSH(T)としたとき、SH(T1)>SH(Tu)×Hu/100(即ち、温度T1での飽和水蒸気量>温度Tu、相対湿度Huでの水蒸気量)を満たすように、第1のヒータ82の電流値、もしくは、通電タイミングを調整する。
乾燥風の相対湿度Huを装置周囲の空気の相対湿度H0と略同等とすることにより、乾燥中の雰囲気を装置周囲の雰囲気と略等しくすることができるので、乾燥後に排紙部の排出トレイ92に排出されても、記録媒体中に含まれる水蒸気量の変化を小さくすることができるので、カックルの発生を抑制することができる。
なお、上記においては、装置周囲の空気を取り込む構成について説明したが、乾燥風として供給する気体は装置周囲の空気に限定されず、他の気体を用いることもできる。例えば、ガスボンベから気体を供給することができる。
さらに、乾燥部においては、第1の乾燥手段80により乾燥を行う前に第2の乾燥手段である第2の温風噴出しノズル95により乾燥を行うこともできる。第2の乾燥手段95においては、温度を上げただけで、水分量(湿度)を調整していない、もしくは、水分量を下げた空気を供給することで乾燥を行うことが好ましい。第2の乾燥手段においては、相対湿度が低いため、乾燥を促進させることができる。第2の乾燥手段においては、画像部、非画像部ともに、水分量が下がることになる。しかしながら、画像部の水分は、インク溶媒としての水分が主であり、紙の表面に留まっているので、乾燥しやすい。したがって、第2の乾燥手段95により乾燥を行うことで、画像部と非画像部の水分量は両者とも減少するが、画像部において特に乾燥が進行するため、両者の差を小さくすることができる。そして、その後、第1の乾燥手段80により乾燥を行うことで、記録媒体に形成された画像は、画像部と非画像部とで記録媒体に含まれる水分量の差が小さくなっているので、第1の乾燥手段により乾燥を行う際、記録媒体中の水分を画像部と非画像部で平衡に達するまでの時間を短くすることができる。第2の乾燥手段95による乾燥は、インクの乾燥条件により適宜変更可能であるが、打滴されたインクの水分が約半分乾燥する程度まで乾燥することが好ましい。
第1の乾燥手段80と第2の乾燥手段95は、記録媒体上に付与されたインクの単位面積当たりのインク量に応じて、強度を調節することが好ましい。
具体的には、打滴量が少ない場合は、画像部と非画像部に含まれる水分量が少ないため、第1の乾燥手段80のみで、乾燥することで、水分量を平衡状態に達することができる。逆に、打滴量が多い場合は、第1の乾燥手段80のみで乾燥を行うと、平衡状態に達するまでの時間がかかってしまうので、第2の乾燥手段95を用いて、画像部と非画像部の水分量の差を小さくしておくことが好ましい。
第1の乾燥手段80のみで乾燥を行うか、第2の乾燥手段95も用いて乾燥を行うかは、装置環境の温度、湿度によって変更させることによって、効率よく漸近させることができる。例えば、下記に示す表中の相対湿度に応じた所定の基準量の平均インク量以下の場合は、第1の乾燥手段のみで行い、所定の基準量を超える場合は、第2の乾燥手段も用いて乾燥を行うことで、水分量の差を小さくし、効率よく乾燥を行うことができる。
下記表1においては、相対湿度が低い場合は乾燥を進みやすくすることができるので、平均インク量が大きくても、第1の乾燥手段のみで乾燥させることができる。また、相対湿度が高い場合は、乾燥が進みにくいので、相対湿度が低い場合よりもインク量が少なくなければ、第2の乾燥手段95も用いることが好ましい。なお、下記に示す表1は一例であり、装置環境の温度、湿度により所定の基準値は適宜変更することが好ましい。
Figure 2010201714
インク量は下記式により求め、基準量と比較し、乾燥方法を決定することができる。
所定の面積のインク総量:V[pL]、所定の面積の画素数(所定の面積に打滴可能なドットの総数):N[個]、とするとき、
平均インク量m=V/N
で算出することができる。
また、乾燥処理の際、乾燥部16の乾燥ドラム76は、描画部14の描画ドラム70に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部16の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
乾燥工程での画像表面の到達温度をTd、インクの自己分散性ポリマー微粒子の軟化点をTpとした場合、Td<Tpの関係を満たすように温度制御することが好ましい。Td<Tpに制御することによって、ドット径の縮小を防止することができるとともに、画像褶曲(画像が褶曲状に湾曲した状態)が発生することを防止でき、画像褶曲に伴う画像密着性・耐擦性・画像光沢の低下を防止することができる。ここで、自己分散性ポリマー微粒子の軟化温度Tpは30℃以上70℃以下が好ましい。Tpが30℃未満になると乾燥不足によるオフセットが発生し、Tpが70℃超になると高速記録下において皮膜性が不足するためである。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
さらに、乾燥ドラム76は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を乾燥ドラム76の周面に密着保持することができる。
(定着部)
定着部18は、定着ドラム84、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90で構成される。第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88及びインラインセンサ90は、定着ドラム84の周面に対向する位置に配置され、定着ドラム84の回転方向の上流側から順に配置される。
定着ドラム84は、その外周面に記録媒体22を保持して回転搬送させるドラムであり、回転駆動される。また、定着ドラム84は、その外周面に爪形状の保持手段を備え、この保持手段によって記録媒体22の先端を保持できるようになっている。記録媒体22は、保持手段によって先端が保持された状態で定着ドラム84を回転させることによって、回転搬送される。その際、記録媒体22の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行われる。
第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体22を加圧・加熱するように構成される。具体的には、第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88はそれぞれ、定着ドラム84に対して所定の圧力(たとえば0.3MPa)で圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体22は、第1の定着ローラ86と定着ドラム84との間、及び、第2の定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(たとえば1MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
第1の定着ローラ86及び第2の定着ローラ88で記録媒体22を加圧、加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体22の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、上記において、加熱と加圧の両方を行う例を示したが、一方のみを行うようにしてもよい。また、第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88は、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性により、複数段設けた構成でもよい。さらに、定着ドラム84の表面を所定の温度(たとえば60℃)に制御するようにしてもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体22に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部18によれば、乾燥部16で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が第1の定着ローラ86、第2の定着ローラ88によって加圧・加熱されて溶融されるので、記録媒体22に固定定着させることができる。また、定着部18によれば、定着ドラム84が他のドラムに対して構造上分離されているので、定着部18の温度設定を、描画部14や乾燥部16と分離して自由に設定することができる。
なお、上記の定着ドラム84は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体22を定着ドラム84の周面に密着保持することができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部18に続いて排出部20が設けられている。排出部20は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部18の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体22は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
(中間搬送体)
次に、第1の中間搬送部24の構造について説明する。なお、第2の中間搬送部26、第3の中間搬送部28は、第1の中間搬送部24と同様の構成であり、その説明を省略する。
第1の中間搬送部24は、中間搬送体30を有する。中間搬送体30は、前段のドラムから記録媒体22を受け取り、回転搬送させた後、後段のドラムに受け渡すためのドラムであり、回転自在に取り付けられている。また、中間搬送体30は、不図示のモータによって回転するようになっている。
中間搬送体30の外周面には、爪形状の保持手段が90°間隔で設けられている。保持手段は、円軌跡を描きながら回転するようになっており、この保持手段の動作によって記録媒体22の先端が保持される。したがって、保持手段で記録媒体22の先端を保持した状態で中間搬送体30を回転させることによって、記録媒体22を回転搬送させることができる。なお、中間搬送体30の表面に複数の送風口を設け、この送風口からエアを吹き出すことによって、記録媒体の記録面を非接触で搬送するとよい。
第1の中間搬送部24によって搬送された記録媒体22は、後段のドラム(すなわち、描画ドラム70)に受け渡される。その際、中間搬送部24の保持手段と描画部14の保持手段を同期させることによって、記録媒体22の受け渡しが行われる。受け渡された記録媒体22は、描画ドラム70によって保持されて回転搬送される。
(インクジェットヘッドの構造)
次に、各インクジェットヘッドの構造について説明する。色別のインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号100によってインクジェットヘッドを示すものとする。
図3(a)はインクジェットヘッド100の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)はその一部の拡大図である。記録媒体22上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、インクジェットヘッド100におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のインクジェットヘッド100は、図3(a)、(b)に示したように、インク吐出口であるノズル102と、各ノズル102に対応する圧力室104等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)108を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体22の搬送方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体22の搬送方向(図3中矢印S)と略直交する方向(図3中矢印M)に記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は図示の例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図4に示すように、複数のノズル102が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール100’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで長尺化することにより、全体として記録媒体22の画像形成領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル102に対応して設けられている圧力室104は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a)、(b)参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル102への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)106が設けられている。なお、圧力室104の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図5は、インクジェットヘッド100における記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル102に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a)中のX−X線に沿う断面図)である。
図5に示したように、各圧力室104は供給口106を介して共通流路110と連通されている。共通流路110はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路110を介して各圧力室104に供給される。
圧力室104の一部の面(図5において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)112には個別電極114を備えたアクチュエータ116が接合されている。個別電極114と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ116が変形して圧力室104の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル102からインクが吐出される。なお、アクチュエータ116には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ116の変位が元に戻る際に、共通流路110から供給口106を通って新しいインクが圧力室104に再充填される。
入力画像からデジタルハーフトーニング処理によって生成されるドットデータに応じて各ノズル102に対応したアクチュエータ116の駆動を制御することにより、ノズル102からインク滴を吐出させることができる。記録媒体22を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル102のインク吐出タイミングを制御することによって、記録媒体22上に所望の画像を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット108を図6に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット108を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影(正射影)されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル102が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影される実質的なノズル列の高密度化を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図6に示すようなマトリクス状に配置されたノズル102を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル102-11、102-12、102-13、102-14、102-15、102-16を1つのブロックとし(他にはノズル102-21、…、102-26を1つのブロック、ノズル102-31、…、102-36を1つのブロック、…として)、記録媒体22の搬送速度に応じてノズル102-11、102-12、…、102-16を順次駆動することで記録媒体22の搬送方向と直交する方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと記録媒体22とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、記録媒体22の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ116の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
(制御系の説明)
図7は、インクジェット記録装置1のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置1は、通信インターフェース120、システムコントローラ122、プリント制御部124、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、インラインセンサ90、エンコーダ91、モータドライバ142、メモリ144、ヒータドライバ146、画像バッファメモリ148、吸引制御部149等を備えている。
通信インターフェース120は、ホストコンピュータ150から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース120にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ150から送出された画像データは通信インターフェース120を介してインクジェット記録装置1に取り込まれ、一旦メモリ144に記憶される。
システムコントローラ122は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置1の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ122は、通信インターフェース120、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、ヘッドドライバ130、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、メモリ144、モータドライバ142、ヒータドライバ146、吸引制御部149等の各部を制御し、ホストコンピュータ150との間の通信制御、メモリ144の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ152やヒータ154を制御する制御信号を生成する。
メモリ144は、通信インターフェース120を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ122を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ144は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
ROM145には、システムコントローラ122のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM145は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ144は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ142は、システムコントローラ122からの指示にしたがってモータ152を駆動するドライバである。図7には、装置内の各部に配置されるモータを代表して符号152で図示されている。例えば、図7に示すモータ152には、図1の渡し胴52、処理液ドラム54、描画ドラム70、乾燥ドラム76、定着ドラム84、渡し胴94などの回転を駆動するモータ、描画ドラム70の吸引孔から負圧吸引するためのポンプ75の駆動モータ、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kのヘッドユニットの退避機構のモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ146は、システムコントローラ122からの指示にしたがって、ヒータ154を駆動するドライバである。図7には、インクジェット記録装置1に備えられる複数のヒータを代表して符号154で図示されている。例えば、図7に示すヒータ154には、給紙部10において記録媒体22を予め適温に加熱しておくための不図示のプレヒータ、などが含まれている。
プリント制御部124は、システムコントローラ122の制御にしたがい、メモリ144内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ130に供給する制御部である。プリント制御部124において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ130を介してインクジェットヘッド100のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部124には画像バッファメモリ148が備えられており、プリント制御部124における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ148に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ148はプリント制御部124に付随する態様で示されているが、メモリ144と兼用することも可能である。また、プリント制御部124とシステムコントローラ122とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース120を介して外部から入力され、メモリ144に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データがメモリ144に記憶される。
インクジェット記録装置1では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、メモリ144に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ122を介してプリント制御部124に送られ、該プリント制御部124において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部124は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部124で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ148に蓄えられる。
ヘッドドライバ130は、プリント制御部124から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ148に記憶されたドットデータ)に基づき、インクジェットヘッド100の各ノズル102に対応するアクチュエータ116を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ130にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ130から出力された駆動信号がインクジェットヘッド100に加えられることによって、該当するノズル102からインクが吐出される。記録媒体22を所定の速度で搬送しながらインクジェットヘッド100からのインク吐出を制御することにより、記録媒体22上に画像が形成される。
また、システムコントローラ122は、処理液付与制御部126、第1中間搬送制御部128、第2中間搬送制御部132、乾燥制御部134、第3中間搬送制御部136、定着制御部138、吸引制御部149を制御する。
処理液付与制御部126は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、処理液付与部12の処理液塗布装置56、温風乾燥装置(温風噴出しノズル)58の動作を制御する。処理液付与装置において、記録媒体22に付与する処理液付与量を制御する。温風乾燥装置制御部162において、記録媒体22に供給される温風の温度、湿度を、第1のヒータ164、第2のヒータ166、水蒸気供給手段168により制御する。
第1中間搬送制御部128は、システムコントローラ122からの指示にしたがい、第1の中間搬送部24の中間搬送体30の動作を制御する。具体的には、中間搬送体30において、中間搬送体30自体の回転駆動、中間搬送体30に備わる保持手段などを制御する。第2中間搬送制御部132、第3中間搬送制御部136も第1中間搬送制御部128と同様の制御を行う。
乾燥制御部134は、システムコントローラ122の制御にしたがって、打滴されたインクの乾燥を行うため、第1の温風乾燥装置(第1の温風噴出しノズル)制御部170、第2の温風乾燥装置(第2の温風噴出しノズル)制御部172により制御を行う。第1の温風乾燥装置制御部170は、乾燥風を加熱する第1のヒータ174、第2のヒータ176、乾燥風の湿度を調整する水蒸気供給手段178を制御する。また、乾燥制御部134は、温湿度測定手段68により計測された装置周囲の空気の温度、湿度、および、インク量計測手段74により計測されたインク量に基づいて、第2の温風乾燥装置制御部172により第2の温風乾燥装置(第2の温風噴出しノズル)の制御を行う。
また、第1の温風乾燥装置により制御された乾燥風は乾燥風温湿度測定手段93により乾燥風の温度、湿度が測定される。測定された乾燥風の温度、湿度に基づいて、フィードバック制御を行い、水蒸気供給手段のシャッターの開口割合、発熱体に通電する電流などを制御し、乾燥風の相対湿度の調整を行う。また、ROM145に、装置周囲の空気の温度、湿度に対応する、加熱後の乾燥風に供給する水蒸気の量を記憶させておき、この供給する水蒸気の量により、シャッターの開口割合、発熱体に通電する電量などを制御することもできる。
なお、計測された温度、湿度およびインク量は、パソコン(不図示)により直接入力を行うこともでき、通信インターフェース120を介して、外部から入力され、この情報に基づいて制御することもできる。
処理液付与制御部で乾燥風の温度、湿度を制御する場合も同様の方法により取得した温度・湿度に基づいて、第1のヒータ164、第2のヒータ166、水蒸気供給手段168を駆動することで制御を行うことができる。
[記録媒体]
本発明においては、乾燥風の湿度を高くすることにより乾燥を行い、記録媒体中に含まれる水分量を平衡状態としているため、液体浸透性を有する記録媒体であれば、特に限定せず、用いることができ、普通紙、コート紙などを使用することができる。
[インク]
用いられるインクとしては、液体の溶媒に色材が分子の状態(イオンの状態でもよい)で溶解している染料インク、液体の溶媒に色材が微小な塊の状態で分散している顔料インクなどが挙げられる。
以下、水性インクについて詳細に説明するが、本発明においては、水性インクに限定されず、油性インクに適用することもできる。
水性インクは、樹脂分散剤(A)と、前記樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)と、自己分散性ポリマー微粒子(C)と、水性液媒体(D)とを少なくとも含んでいる。
<樹脂分散剤(A)>
前記樹脂分散剤(A)は、水性液媒体(D)中での顔料(B)の分散剤として用いるものであり、顔料Bを分散しうる樹脂であれば如何なる樹脂でもかまわないが、樹脂分散剤(A)の構造は、疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(b)とを有することが好ましい。必要に応じて、樹脂分散剤(A)は、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を含むことができる。
前記親水性構造単位(b)及び疎水性構造単位(a)の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位(a)が樹脂分散剤(A)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが好ましく、85質量%以上がより好ましい。即ち、親水性構造単位(b)は15質量%以下にする必要があり、親水性構造単位(b)が15質量%よりも多い場合には、顔料の分散に寄与せず単独で水性液媒体(D)中に溶解する成分が増加し、顔料(B)の分散性等の諸性能を悪化させ、インクジェット記録用インクの吐出性を悪化させる原因となる。
<顔料(B)>
顔料(B)とは化学大辞典第3版1994年4月1日発行(編集 大木道則他)の518頁に記載のように、水、有機溶剤にほとんど不溶の有色物質(無機顔料では白色も含む)の総称であり、本発明では有機顔料と無機顔料とを用いることができる。
また、本発明において、「樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)」とは、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料をいい、水性液媒体(D)に樹脂分散剤(A)を用いて分散保持されている顔料として用いることが好ましい。水性液媒体(D)中には更に分散剤を含んでいても、含んでいなくともよい。
本発明において、樹脂分散剤(A)によって分散された顔料(B)としては、樹脂分散剤(A)によって分散保持されている顔料であれば、特に限定されないが、中でも、顔料分散の安定性、吐出安定性の観点から、転相法により作製されたマイクロカプセル化顔料であることが一層好ましい。
本発明に含有される顔料(B)として、マイクロカプセル化顔料を好ましい例として挙げることができる。マイクロカプセル化顔料とは、顔料が樹脂分散剤(A)で被覆された顔料である。
マイクロカプセル化顔料の樹脂は、前記樹脂分散剤(A)を用いる必要があるが、更に、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物を樹脂分散剤(A)以外の樹脂に用いることが好ましい。
上顔料は、単独種で使用してもよく、また、複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
本発明における水性インク中の顔料(B)の含有量としては、水性インクの分散安定性、濃度の観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。
<顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率>
顔料(B)と樹脂分散剤(A)の比率は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。樹脂分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。樹脂分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
<自己分散性ポリマー微粒子(C)>
水性インクは、自己分散性ポリマー微粒子の少なくとも1種を含有する。本発明における自己分散性ポリマー微粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、pr樹脂自身が有する官能基(特に、酸性基またはその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの微粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明の自己分散性ポリマー微粒子は、例えば、水性インク組成物に好適に含有させることができ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<水性液媒体(D)>
インクジェット記録方式の水性インクにおいて、水性液媒体(D)とは、水及び水溶性有機溶媒の混合物を表す。水溶性有機溶媒(以下、「水溶性有機溶剤」ともいう。)は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用される。
インクは、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的のために、水溶性溶剤を用いる。特に、インクジェット記録方式のインクとして用いる場合は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で、水溶性有機溶剤が好ましく使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、インク組成物(特に、インクジェット用インク組成物)を紙により良く浸透させる目的で、浸透促進剤として水溶性有機溶剤が好適に使用される。
(a)水溶性溶剤の含有量としては、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
水の添加量は特に制限は無いが、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
<界面活性剤>
水性インクには、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
<その他成分>
本発明に使用される水性インクはその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
[処理液]
水性処理液は、水性インク中の成分を固定化させる固定化剤の少なくとも1種を含有する。固定化剤は、紙上においてインクと接触することにより、インクを固定化(凝集)可能なものである。例えば、処理液を付与することにより紙上に固定化剤が存在している状態でインクが着滴して接触することにより、インク中の成分を凝集させて紙上に固定化することができる。
固定化剤は、水性インクを固定化(凝集)可能なことが望ましいことから、水性インクと接触した際に水性インク中に溶解しやすい素材であることが好ましく、この点で水溶性の高い多価金属塩はより好ましく、更には水溶性の高い酸性物質が好ましい。また、水性インクと反応してインク全体を固定化させる観点から、2価以上の酸性物質が特に好ましい。また、カチオン性化合物も使用することができる。
ここで、水性インクの凝集反応は、水性インク中に分散した粒子(着色剤(例えば、顔料)、樹脂粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性物質と反応させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての酸性物質は、pKaが低く、溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
水性インクを固定化させる固定化剤の水性処理液中における含有量としては、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは10〜25質量%の範囲である。
本発明における水性処理液は、前記固定化剤に加えて、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、更に前記水性インクと同様に、その他の各種添加剤を用いて構成することができる。有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、有機溶剤は、処理液中に、1〜50質量%含有されることが好ましい。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、68…温室度測定手段、70…描画ドラム、72C,72M,72Y,72K…インクジェットヘッド、74…インク量計測手段、76…乾燥ドラム、80…第1の乾燥手段(第1の温風噴出しノズル)、81…ファン、82…第1のヒータ、83…第2のヒータ、84…定着ドラム、85…水蒸気供給手段、86…第1の定着ローラ、87…水槽、88…第2の定着ローラ、89…発熱体、93…乾燥風温湿度測定手段、95…第2の乾燥手段(第2の温風噴出しノズル)、97…シャッター

Claims (15)

  1. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出手段と、
    前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する第1の乾燥手段と、を備え、
    前記第1の乾燥手段は、乾燥風を前記記録媒体上に送風する送風手段と、該乾燥風を加熱する加熱手段と、該乾燥風に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 装置周囲の空気の温度および相対湿度を測定する温湿度測定手段を備え、
    前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように、前記水蒸気供給手段を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記水蒸気供給手段は、水を蓄える貯水部と、該水を加熱し水蒸気とする発熱体と、からなり、
    前記乾燥風が通過する流路部と前記水蒸気供給手段とは、開閉自在なシャッターにより隔てられており、
    前記制御手段は、前記シャッターの開口割合および前記発熱体に通電する電流の少なくともいずれか1つを制御することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記乾燥風の温湿度を測定する乾燥風温湿度測定手段を備え、
    前記制御手段は、前記乾燥風の温湿度に基づきフィードバック制御して、前記シャッターおよび前記発熱体の少なくともいずれか1つを作動させることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記乾燥風は、装置周囲の空気を用いることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与手段と、
    前記処理液を乾燥する処理液乾燥手段と、を備え、
    前記処理液乾燥手段は、乾燥風を前記記録媒体上に送風する処理液用送風手段と、該乾燥風を加熱する処理液用加熱手段と、該乾燥風に水蒸気を供給する処理液用水蒸気供給手段と、を備え、
    前記乾燥風の相対湿度と、前記装置周囲の空気の相対湿度の差が略同等となるように、前記処理液用水蒸気供給手段を制御する処理液乾燥制御手段を備えることを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インク吐出手段と前記第1の乾燥手段との間に、第2の乾燥手段を備え、
    前記第2の乾燥手段は、乾燥風を供給する第2の送風手段と、該乾燥風を加熱する第2の加熱手段と、を備えることを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記記録媒体に付与された前記インクの単位面積あたりのインク量を計測するインク量計測手段をさらに備え、
    前記インク量に従って、前記第1の乾燥手段と前記第2の乾燥手段の強度を調整する乾燥制御手段を備えることを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記乾燥制御手段は、前記インク量が基準値より低い場合は、前記第1の乾燥手段のみを使用するように制御することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記基準値は、前記温湿度測定手段で測定した装置周囲の空気の温度および相対湿度から決定されることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
    前記記録媒体上に付与された前記インクを乾燥する第1の乾燥工程と、を有し、
    前記第1の乾燥工程は、乾燥風を加熱するとともに水蒸気を供給し、前記記録媒体上に送風することを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 装置周囲の空気の温度および相対湿度を測定する温湿度測定工程と、
    前記第1の乾燥工程で送風される前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように制御する制御工程と、を有することを特徴とする請求項11に記載インクジェット記録方法。
  13. 前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
    前記処理液を乾燥する処理液乾燥工程と、を有し、
    前記処理液乾燥工程は、乾燥風を加熱するとともに水蒸気を供給し、
    前記乾燥風の相対湿度と前記装置周囲の空気の相対湿度との差が略同等となるように制御する処理液乾燥制御工程を有することを特徴とする請求項11または12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記第1の乾燥工程の前に、
    前記記録媒体に付与された前記インクの単位面積あたりのインク量を計測するインク量計測工程を有し、
    前記インク量に従って、加熱された乾燥風を供給する第2の乾燥工程を有することを特徴とする請求項11から13いずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記装置周囲の空気の相対湿度によって決定される基準値により、前記第2の乾燥工程を行なうか決定することを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録方法。
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